全日本ジュニア22 女子シングルプレビュー

全日本ジュニアが11月26・27と行われます。ここで勝てば世界ジュニア内定。そして子シーズンからは枠が増えて8人が全日本へ進出となります。強いジュニアは従来は2年でシニアに上がれたのですが、新ルールでは4年滞留することになるのでその対策で枠が拡がったでしょうか。

今回はその全日本ジュニアのプレビューです。まずは女子シングルを見ていきます。

 

○女子シングルエントリー者今シーズンのベストスコア

  Name Nation Total SP FS
1 Mao SHIMADA JPN 217.68 68.81 148.87
2 Ami NAKAI JPN 205.90 69.00 136.90
3 Mone CHIBA JPN 205.82 70.16 135.66
  (島  田  麻  央) 木下アカデミー 199.35 67.52 131.83
4 Ayumi SHIBAYAMA JPN 188.39 67.09 121.30
  (中  井  亜  美) MFアカデミー 185.86 63.59 122.27
  (柴  山      歩) 木下アカデミー 181.79 63.47 118.32
5 Ikura KUSHIDA JPN 177.02 55.67 121.35
  (櫛  田  育  良) 宇治市立宇治中学校 176.49 60.77 115.72
6 奥  野  友莉菜 駒場学園高校 173.66 63.02 110.64
7 髙  木      謠 MFアカデミー 168.71 60.29 108.42
8 和  田  薫  子 名古屋市立前津中学校 168.45 55.15 113.30
  (千  葉  百  音) 東北高校 167.43 66.37 101.06
9 村  上  遥  奈 木下アカデミー 167.27 55.39 111.88
10 穂  積  乃  愛 駒場学園高校 161.80 56.22 105.58
11 山  田      恵 木下アカデミー 156.06 51.44 104.62
12 岡  本  真  綸 岡山理大附高校 155.37 51.20 104.17
13 清  水  咲  衣 大阪スケート倶楽部 154.24 50.48 103.76
14 田  邊  桜  香 星槎国際横浜 149.13 50.12 99.01
15 岩  崎  陽  菜 なみはやクラブ 140.25 54.22 86.03
16 今  関  友梨香 MFアカデミー 138.87 47.00 91.87
17 中  尾      歩 埼玉アイスアリーナFC 138.03 46.40 91.63
18 長  岡  柚  奈 藤女子 134.91 51.53 83.38
19 鴨  井  彬莉彩 パピオフィギュアクラブ 131.80 49.06 82.74
20 吉  本      玲 神戸クラブ 130.93 50.52 80.41
21 瀬  川  穂  乃 仙台FSC 130.90 48.49 82.41
22 杉  山  菜  那 京都宇治FSC 130.80 46.42 84.38
23 入  江  美  友 Mエイトクラブ 127.25 47.01 80.24
24 岡  万佑子 手稲東中 127.19 40.37 86.82
25 藤  沼  聖  空 埼玉アイスアリーナFC 126.13 47.73 78.40
26 柚  木  心  春 京都宇治FSC 125.93 44.74 81.19
27 花  田  実  優 宇都宮フィギュアC 125.05 39.74 85.31
  上  薗  恋  奈 LYS 99.73   99.73
  宮  本  琉  花 白鳥T・FSC 87.88   87.88
  河  野  莉々愛 木下アカデミー 83.00   83.00

ジュニアグランプリシリーズに出場した選手は国際大会のシーズンベストと国内のシーズンベストをどちらも記してあります。5人全員が国際大会のスコアの方がいいのは不思議なような当然なような。

ノービスAの推薦選手のうち3人はジュニアで今シーズン滑った実績がないためノービスとしてフリーだけのスコアが入っています。

やはりジュニアグランプリ組5人が強く、その中でもジュニアグランプリで優勝した3人が強く、その中でも2勝した島田麻央選手が強い、という数字並べなくても予想付くよというそのままなものが並んでいます。

ジュニアグランプリシリーズにはもう一人、吉田陽菜選手も出場していましたが、吉田選手は国内ではシニアコースということで全日本ジュニアには出てきません。出てくれば上位の混戦具合が増しておもしろかったので残念ですが、その分、ジュニア→シニアの全日本推薦枠が実質的に1枠余裕が出たような形にもなります。全日本推薦枠の8番目付近に同門の木下アカデミー勢がいますので、その辺の計算もチームとしてあったかどうか。

 

ショートはジュニアではトリプルアクセル禁止なので、基礎点がほぼ変わらない中での争いとなるわけですが、そこで誰か島田選手の上へ行けるかどうか。70点を超えるシーズンベストは島田選手の他に千葉百音選手も出しています。60点台後半までは中井亜美選手や柴山歩選手も出しています。フリー最終グループ入りは60点台は必要でしょうか。

トータルは210点台の決着になる可能性もある一方で、国内戦では島田麻央選手も200点に欠けるスコアしか出せていません。フリーで高難度ジャンプが決まってこないとここで土を付けられるのか氷を付けられるのかする可能性も十分にあります。

ノービス勢では上薗選手はフリー100点近いスコアがあり、ジュニアルールでジャンプ要素が増えれば110点近くまで出してくる力があります。ノービス勢の鬼門、ショートプログラムをしっかり乗り越えてくればトップ10くらいには絡んでくる可能性もあります。

 

○シーズンベスト上位6名のフリーの構成

  島田麻央 中井亜美 千葉百音 柴山歩 櫛田育良 奥野友莉菜
1 3A 3A 3Lz+3T 2A 3Lz!+3Tq 2Lz+2T
2 4Tq 3Lz+3T 2A 3Lz!+3T 3S+3T 3F
3 3Lz+3T 3Lo+2A+SEQ 3S FSSp4 2A 2A
4 FSSp4 FSSp4 FCCoSp4 3Lo FSSp3 FSSp4
5 3F+2A+SEQ 2A 3F 3S 3Lz!q 3Lo
6 ChSq1 3F!+1Eu+3S 3Lo ChSq1 3F LSp4
7 3S+3T+2T CCoSp4 CCoSp4 3Lz!+2T+2Lo ChSq1 2A+3T
8 3Lo 3Lo 3F+2A+SEQ CCoSp4 LSp4 3Lz+2T+2Lo
9 3Lz 3Lz 3Lzq+2T+2Lo 2A+3Tq 3Lo 3S
10 CCoSp4 LSp4 ChSq1 3Fq 2A+2T+2Lo CCoSp2V
11 LSp4 ChSq1 LSp4 LSp4 CCoSp4 ChSq1
Base 71.06 64.79 60.34 58.67 57.75 50.25
GOE 14.39 12.06 11.64 5.74 6.39 4.86
PCS 63.42 60.05 63.68 56.33 57.21 49.82
Total 148.87 136.9 135.66 120.74 121.35 104.93

今シーズン一番技術点が高かったときの構成です。基礎点はこれより高かったけれど技術点は伸びなかった、みたいなものや、PCSが良かったのでトータルスコアはこれよりよかった、というものも他にある場合があります。

島田麻央選手のノーミス基礎点は圧倒的です。71.06はこのメンバーで最大とかいうレベルではなく、今シーズンの国際大会すべての中で最大です。追いかけるのは中井亜美選手。トリプルアクセル持ちで64.79まで出しています。千葉百音選手は60.34 4回転練習中とは聞きますが全日本ジュニアまでに完成しているかどうか?

GOEも上位3人は二桁稼ぎます。島田麻央選手はこの試合は4回転で立つところまで行っているのですが、4回転かトリプルアクセル、どちらかで回転不足の転倒となってきた場合にはノーミス中井亜美選手に技術点で上回られる可能性がありますし、千葉選手の高PCSで逆転される可能性もあります。

柴山選手、櫛田選手はとにかくノーミスして表彰台を狙いたいという立ち位置でしょうか。奥野選手は非JGP組の筆頭にいまのところなっていますが、こちらもノーミス構成で全体のスコアを上げていきたいところです。

 

○シーズンベスト上位12名の点の取り方

  Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Mao SHIMADA 217.68 93.77 78.17 11.37 25.63 8.74
2 Ami NAKAI 205.90 89.79 71.38 11.09 23.93 9.71
3 Mone CHIBA 205.82 94.60 66.43 9.44 25.47 9.88
4 Ayumi SHIBAYAMA 188.39 88.35 59.96 7.69 23.22 9.17
5 Ikura KUSHIDA 177.02 84.09 63.66 -0.38 21.74 8.91
6 奥  野  友莉菜 173.66 84.55 58.12 0.51 22.29 9.19
7 髙  木      謠 168.71 76.53 61.94 0.30 22.16 8.78
8 和  田  薫  子 168.45 72.25 63.50 3.91 22.09 6.70
9 村  上  遥  奈 167.27 70.46 65.06 3.86 20.40 7.49
10 穂  積  乃  愛 161.80 79.25 50.44 0.95 22.70 8.46
11 山  田      恵 156.06 65.56 64.10 -0.95 20.99 6.36
12 岡  本  真  綸 155.37 67.79 62.05 -1.80 20.64 6.69

女子は優勝争い、表彰台争い、全日本進出枠争い、それぞれ熾烈です。

PCSは千葉選手が島田選手を上回ります。奥野選手も国内参考記録ですがJGP組の櫛田選手を上回るところまで出しています。全日本出場権争いの位置では穂積選手のPCSが高めです。

ジャンプの基礎点は島田麻央選手が圧倒的なのは目に見えていますが国内組で村上遥奈選手が高難度ジャンプ無し構成のJGP組に匹敵するところまで出しています。ペア掛け持ちで点を取るのはジャンプですというちょっと変わった特徴で全日本を目指します。同じく木下アカデミーの山田恵選手も高いジャンプの基礎点です。逆に柴山選手は少しここが落ちます。構成が弱いわけではなくてノーミスで滑り切れていないという形ですので力をはっきりしきりたい今大会です。

ジャンプの加点は高難度ジャンパー2人が二桁稼ぎます。櫛田選手はここを伸ばして表彰台を狙いたいところ。国内組もここがプラスになる出来だと全日本が見えてきそうです。

スピンは島田選手と千葉選手が25点台で世界的にも上位です。島田選手はこれとは別の試合で26.14という今シーズンの世界最高を持っています。

ステップ系要素は千葉選手がトップ。高難度ジャンプがないところをPCSにスピンステップでどこまで差を埋められるか。国内組では奥野選手が9点台で高評価です。

 

今シーズンの世界ジュニアは2枠だけ。来シーズンは3枠に拡がるのはほぼ確実かと思いますが、今シーズンは激戦です。全日本で2枠目に入りに行くのは総合的にいろいろと考慮される、という読めないところがあるので、絶対確実な全日本ジュニア優勝の内定枠に入りたいところ。表彰台に乗るのは誰か? 8枠まで広がった全日本出場権も誰がつかめるか? フリーは第2グループ後半あたりからその辺、はらはらする展開になりそうな全日本ジュニアになりそうです。

全日本ジュニアのこれまでの最高スコアは2020年に松生理乃選手が優勝したときの198.38 そこから多少ルールが変わっているというのもありますが、今大会は初の200点決着、場合によっては表彰台ラインが200点台となっていくことが考えられます。