世界選手権24 男子シングルレビュー1

前回まで女子シングルの振り返りをしていましたが今回からは男子シングルです。

女子の時と同じ流れで進みます。

 

ショートプログラム要素別スコア

Pl Name Nation J Base J GOE Spin Step PCS
1 Shoma UNO JPN 33.50 8.52 12.84 5.63 47.23
2 Yuma KAGIYAMA JPN 32.20 9.39 12.62 5.68 46.46
3 Ilia MALININ USA 34.00 10.26 12.51 4.53 44.67
4 Jason BROWN USA 24.41 4.85 13.06 5.63 45.92
5 Lukas BRITSCHGI SUI 28.19 5.23 11.86 5.24 42.89
6 Nikolaj MEMOLA ITA 30.61 7.21 10.60 4.96 39.72
7 Nika EGADZE GEO 32.20 6.40 10.11 4.79 38.58
8 Deniss VASILJEVS LAT 24.20 4.24 12.24 5.13 43.61
9 Junhwan CHA KOR 29.30 -0.56 12.07 5.46 42.94
10 Kao MIURA JPN 28.15 -0.39 11.66 4.29 42.29
11 Roman SADOVSKY CAN 27.80 2.57 11.16 4.15 38.60
12 Aleksandr SELEVKO EST 28.61 0.04 10.77 4.53 40.13
13 Gabriele FRANGIPANI ITA 32.20 -1.65 9.33 4.85 38.90
14 Mark GORODNITSKY ISR 23.99 3.37 10.77 4.90 37.46
15 Donovan CARRILLO MEX 27.89 -0.19 11.40 4.79 36.30
16 Mikhail SHAIDOROV KAZ 34.57 -4.26 10.04 3.58 36.09
17 Camden PULKINEN USA 28.61 -1.63 10.99 3.23 38.65
18 Wesley CHIU CAN 25.29 0.69 10.83 3.21 37.98
19 Adam SIAO HIM FA FRA 27.10 -8.58 11.83 5.85 42.29
20 Andreas NORDEBACK SWE 23.93 0.73 11.66 4.05 35.83
21 Hyungyeom KIM KOR 23.93 1.47 10.86 3.91 34.72
22 Luc ECONOMIDES FRA 24.41 -0.78 10.64 4.38 36.37
23 Semen DANILIANTS ARM 28.61 -0.44 9.23 3.91 32.15
24 Sihyeong LEE KOR 28.61 -2.90 10.17 4.46 34.89
25 Vladimir LITVINTSEV AZE 27.95 -3.91 10.90 3.08 35.14
26 Davide LEWTON BRAIN MON 18.30 3.00 11.60 3.96 34.72
27 Maurizio ZANDRON AUT 24.01 0.42 9.38 3.58 32.20
28 Tomas-Llorenc GUARINO SABATE ESP 21.13 0.27 10.26 3.82 32.87
29 Jari KESSLER CRO 17.65 0.60 11.55 4.68 33.84
30 Burak DEMIRBOGA TUR 23.93 -1.19 9.74 3.72 31.98
31 Vladimir SAMOILOV POL 28.81 -5.34 9.77 2.11 32.46
32 Nikita STAROSTIN GER 19.23 -0.45 10.99 4.46 33.11
33 Ivan SHMURATKO UKR 20.13 -0.47 10.78 3.82 33.64
34 Valtter VIRTANEN FIN 17.93 0.41 11.00 4.51 33.70
35 Adam HAGARA SVK 23.99 -1.53 6.06 3.63 33.22
36 Georgii RESHTENKO CZE 18.80 1.22 9.71 3.77 31.85
37 Alexander ZLATKOV BUL 18.63 1.68 10.74 2.90 30.82
38 Edward APPLEBY GBR 21.09 -5.64 9.54 3.49 32.03
39 Boyang JIN CHN 10.10 -1.68 9.84 4.96 35.31
40 Aleksandr VLASENKO HUN 14.70 -1.74 8.63 2.64 27.27

多いよ40人。フリー進出ラインは72.23でした。昨シーズンは70.29でしたので幾分上がりました。

ジャンプの基礎点は軒並み30点を男子は超えてきます。1位はマリニン選手、ではなくてシャイドロフ選手でした。4回転ルッツがありつつ、後半に4-3を入れたのが大きかったのですが、基礎点取れたもののステップアウトで点は伸びずに上位進出はならずという構図でした。2番目にマリニン選手がいて宇野選手が3番目です。ジェイソンブラウン選手は24.41でシャイドロフ選手とは10.16の差がジャンプの基礎点だけでありますが、スコアははるかに上回りました。基礎点だけあってもダメ、ということです。

ジャンプのGOEはマリニン選手が1位です。結果としてジャンプのスコアはやはりマリニン選手が1位でした。GOEは鍵山選手が2位で宇野選手が3位。出来が良くないと上位には来ません。アダムシャオイムファ選手は-8.58で全選手中最下位。これだと優勝争いからは脱落です。ジェイソンブラウン選手は加点はしっかり取っていて、ジャンプのスコアとしては全体10位です。4回転が無いというだけで、ジャンプで点が取れないということでもないです。さすがに優勝争いは厳しいですが表彰台争いくらいまでは展開次第で来るわけです。

そんなジェイソンブラウン選手がスピンはただ一人13点台で1位。今期の男子でショートのスピン1位のスコアになります。宇野選手が2位で鍵山選手が3位。マリニン選手も4番目で続きます。ジャンプがすごい、ステップも見せ場がある、というのはわかりやすいですがマリニン選手にとってスピンも穴の要素ではなくなっています。

ステップはアダムシャオイムファ選手が満点で1位でした。2位に鍵山選手、3位に宇野選手とジェイソンブラウン選手です。マリニン選手はレベル3だったことでややスコアが落ちます。

PCSは宇野選手が1位、鍵山選手が2位でジェイソンブラウン選手が3位です。ショートのPCS差として宇野選手とマリニン選手は2.56 鍵山選手とマリニン選手だと1.79 ジャンプで負けてもPCS差で賄う、というにはもう小さな差しかありませんが、ショートだけで見るなら、ルッツとサルコウの基礎点差よりはPCS差がありますので、まだなんとかなるとも言えます。結果、ショートはこの順位の並びになりました。三浦選手は42.29なので宇野選手と4.94の差があります。これだけあると技術点で補うには少し苦しくなるので、こちらのスコアももう少し上げないと最上層で戦うには少し苦しそうです。

 

○総合上位6選手のショートプログラム構成

 

Ilia

MALININ

Yuma

KAGIYAMA

Adam SIAO

HIM FA

Shoma

UNO

Jason

BROWN

Lukas

BRITSCHGI

1 4T 4S 4Lz 4F 3F 4T+3T
2 4Lz+3T 4T+3T 3A 4T+3T 3A 3A
3 CCSp4 CCSp4 4T<+COMBO FCSp4 FSSp4 CSSp4
4 3A 3A FCSp4 3A 3Lz+3T 3Lz
5 FSSp4 FSSp4 CCoSp3 StSq4 CCSp4 FCSp4
6 StSq3 StSq4 StSq4 CSSp4 StSq4 StSq4
7 CCoSp4 CCoSp4 CSSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp3
Base 47.00 45.80 40.20 47.10 38.01 41.29
GOE 14.30 14.09 -4.00 13.39 9.94 9.23
PCS 44.67 46.46 42.29 47.23 45.92 42.89
Total 105.97 106.35 77.49 107.72 93.87 93.41

上位4選手は4回転2本構成。ルッツとトーループがマリニン選手とアダムシャオイムファ選手、宇野選手はフリップとトーループ、鍵山選手はサルコウトーループです。ジェイソンブラウン選手は4回転無し。ブリッチギー選手はトーループ1本構成です。

ステップでレベル3だったマリニン選手はショートプログラム全体の基礎点としては宇野選手にわずかに劣りました。

1.1倍に4回転を入れる選手はこの中にはいませんでした。アダムシャオイムファ選手は最後のジャンプが4回転からのコンビネーションですが、これは前半に入っていて1.1倍になりません。今回たまたまタイミングが早くて後半に入らなかった、というものではなく、常時前半になっています。他の選手は最初に2つジャンプを飛んで、3つ目にスピンを入れて、後半の時間帯になる4つ目の要素で最後のジャンプを飛ぶ。4回転2本の選手はここにトリプルアクセルが来がち。構成の均質化がやはり見られます。

最後は全員スピンで締める。足替えのコンビネーションスピン。アダムシャオイムファ選手だけ足替えのシットスピンです。女子もそうですが、みんなスピンで終わる傾向がどうしてもあります。

スピンはマリニン選手、鍵山選手、宇野選手、ジェイソンブラウン選手はすべてレベル4 ステップはマリニン選手以外レベル4です。

GOEはマリニン選手が最も稼ぎました。アダムシャオイムファ選手は厳しいショートでした。ジェイソンブラウン選手、ブリッチギー選手も10点近い加点。これくらい稼げると90点台までは4回転2本入れなくても持っていけます。

PCSは45点くらいまでもってくると、その上の幅が小さいので差が付きにくい。マリニン選手もその領域まで入ってきました。宇野選手の47.23は今大会の1位というだけでなく今シーズン1位のショートPCSです。宇野選手は今期全体でこの世界選手権、グランプリファイナル、NHK杯の3試合で今シーズン全体のショートPCSの1位2位3位となっていました。PCS評価は今季も宇野選手が王者です。

 

○総合7~12位の選手のショートプログラム構成

 

Deniss

VASILJEVS

Kao

MIURA

Nikolaj

MEMOLA

Junhwan

CHA

Aleksandr

SELEVKO

Mark

GORODNITSKY

1 3Lz+3T 4S 4Lz 4S+3T<< 4Tq 3A
2 3F! 3A 3A 4T 3A 3F+3T
3 CCSp4 FCSp3 FCSp4 FCSp4 CCSp4 FCSp4
4 3A 4T+COMBO 3Lz+3T 3A 3Lz+3T 3Lz!
5 StSq4 StSq3 StSq4 CSSp4 StSq3 StSq4
6 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 FSSp4 CCoSp3
7 FSSp4 CSSp4 CSSp4 StSq4 CCoSp3 CSSp4
Base 37.80 40.75 44.21 42.90 41.11 37.09
GOE 8.01 2.96 9.17 3.37 2.84 5.94
PCS 43.61 42.29 39.72 42.94 40.13 37.46
Total 89.42 85.00 93.10 88.21 84.08 80.49

三浦選手、チャジュンファン選手といった上位を狙った選手はサルコウトーループで4回転2本。メモラ選手はルッツの1本、セレフコ選手はトーループ1本、バシリエフス選手とゴロニツキー選手は4回転無しです。

後半に4回転を入れ込んだのは三浦選手。得意のトーループだったはずですがこれが転倒、裏目に出ます。このトーループ転倒がこの試合の勝負の分かれ目でした。

4回転2本入れてミスをするよりも、ルッツで基礎点高いこともありますが4回転1本のメモラ選手の方が基礎点が高くなりました。4回転無しの2選手は37点台の基礎点。この基礎点差で上位へ行くには相当な加点が求められます。

ここもスピンで締める選手が多いですがチャジュンファン選手はステップで締めます。今期ステップで締めるショートプログラムを組んでいるのは有力選手ではチャジュンファン選手の他にはケビンエイモズ選手がいるくらいでした。なかなか特徴的です。

メモラ選手とバシリエフス選手は二桁近い加点を得ました。チャジュンファン選手、三浦選手、転倒が出るとやはり加点は伸びません。

PCSは40点前後。バシリエフス選手は43.61と40点台中盤に近いところまで出しました。4回転持たずに上位へ行くにはこれくらいのPCSは欲しそうです。

 

ショートプログラム上位20人のPCS

Name J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Shoma UNO 28.00 27.50 29.00 28.25 28.50 28.50 28.75 27.50 28.50
Yuma KAGIYAMA 27.75 27.25 29.00 27.75 27.75 29.00 27.50 27.00 28.00
Ilia MALININ 27.75 26.75 27.00 26.50 29.00 24.00 27.50 26.50 25.25
Jason BROWN 27.25 27.75 27.75 27.25 26.25 28.50 29.25 27.50 26.00
Lukas BRITSCHGI 25.50 26.00 25.50 25.25 26.50 25.25 26.00 25.75 25.50
Nikolaj MEMOLA 23.75 24.75 23.00 23.00 24.00 22.75 25.25 26.50 22.25
Nika EGADZE 24.25 24.50 23.75 21.75 25.50 22.00 22.00 23.25 21.50
Deniss VASILJEVS 25.25 26.25 25.75 25.75 27.25 25.75 27.25 26.00 26.25
Junhwan CHA 25.75 26.00 27.25 25.50 27.50 25.50 25.25 24.25 24.75
Kao MIURA 25.75 25.25 25.25 24.00 27.25 26.25 26.00 24.00 24.50
Roman SADOVSKY 21.75 22.75 24.50 23.25 22.25 23.00 25.75 24.25 21.25
Aleksandr SELEVKO 25.00 23.75 24.50 23.50 23.75 24.50 21.25 23.25 25.50
Gabriele FRANGIPANI 24.50 23.50 23.25 23.25 24.25 23.50 22.25 22.25 23.00
Mark GORODNITSKY 22.00 20.00 22.50 22.75 20.75 21.75 23.75 23.50 24.00
Donovan CARRILLO 22.00 21.75 22.25 21.00 21.25 20.75 24.25 22.50 20.75
Mikhail SHAIDOROV 21.75 21.50 22.00 21.25 22.00 21.00 20.50 21.75 22.50
Camden PULKINEN 22.75 21.25 22.50 23.25 24.50 22.00 25.00 25.50 22.25
Wesley CHIU 23.75 23.00 23.00 21.50 22.75 24.00 22.00 22.75 22.25
Adam SIAO HIM FA 26.25 26.00 26.00 24.25 26.00 24.75 24.75 25.25 24.00
Andreas NORDEBACK 21.25 20.00 22.75 21.00 21.75 21.75 21.25 21.00 22.25

PCSのスコアが高い選手は比較的ジャッジ毎の評価差が小さい傾向はあったかもしれません。その辺は上限が近いのでキャップされている影響かとも思います。

そんな中でジャッジ毎の差が大きかったのがマリニン選手。最高は29.00までつけたジャッジもいた一方で、最低は24.00がいます。係数掛けるまで5点。係数掛けると8.35もの差が出ます。ジャンプはともかく滑りはまだまだだ、と見るジャッジと、滑りももう世界の頂点の水準だ、と見るジャッジそれぞれいるようです。

他にも、メモラ選手、エガゼ選手、サドフスキー選手、セレフコ選手あたりはジャッジ毎の差が大きいです。ジャンプ型の選手がいい演技をしたとき、PCS評価が分かれがちなのかもしれません。

 

ショートプログラム上位20人のジャッジ別PCS順位

Name J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Shoma UNO 1 2 1 1 2 2 2 1 1
Yuma KAGIYAMA 2 3 1 2 3 1 3 3 2
Ilia MALININ 2 4 5 4 1 10 3 4 7
Jason BROWN 4 1 3 3 8 2 1 1 4
Lukas BRITSCHGI 8 6 8 7 7 7 6 7 5
Nikolaj MEMOLA 13 10 14 14 13 14 9 4 14
Nika EGADZE 12 11 12 17 10 15 17 14 19
Deniss VASILJEVS 9 5 7 5 5 5 5 6 3
Junhwan CHA 6 6 4 6 4 6 9 10 8
Kao MIURA 6 9 9 9 5 4 6 12 9
Roman SADOVSKY 18 15 10 11 16 13 8 10 21
Aleksandr SELEVKO 10 12 10 10 14 9 20 14 5
Gabriele FRANGIPANI 11 13 13 11 12 12 16 19 12
Mark GORODNITSKY 16 25 17 15 27 18 14 13 10
Donovan CARRILLO 16 17 19 21 22 26 13 17 26
Mikhail SHAIDOROV 18 18 20 19 17 24 25 20 13
Camden PULKINEN 15 20 17 11 11 15 11 8 14
Wesley CHIU 13 14 14 18 15 10 17 16 14
Adam SIAO HIM FA 5 6 6 8 9 8 12 9 10
Andreas NORDEBACK 22 25 16 21 19 18 20 23 14

ジャッジ毎にその選手をPCSで全体の何位と付けたか? を見ています。宇野選手を1位と付けたジャッジが5人、ジェイソンブラウン選手を1位としたジャッジが3人、鍵山選手1位が2人、マリニン選手1位が1人います。同点1位もあります。

宇野選手は全ジャッジが1以下2位、鍵山選手も1位から3位までですが、ジェイソンブラウン選手は1位から8位まで割れます。マリニン選手は1位から10位まで評価が分かれます。

意外とジャッジ毎の差がついていないのがブリッチギー選手。5位から8位までの間に収まっています。ちょっと不思議な傾向です。

こうやって眺めると、このジャッジは他と傾向が違う、みたいなことがあるわけでもなく、どのジャッジもなぜかこの選手の順位が高いとか低いとかがそれぞれある、というように見えます。強いて言うなら、6番ジャッジは日本が好き? と思ったりはしました。

 

 

次回フリーへ続きます。

世界選手権24 女子シングルレビュー3

前回からの続きです。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア(ショート通過24選手)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Kaori SAKAMOTO 222.96 110.17 64.09 10.26 24.95 13.49
2 Isabeau LEVITO 212.16 105.26 64.35 5.23 23.16 14.16
3 Chaeyeon KIM 203.59 95.84 65.97 4.54 23.08 14.16
4 Loena HENDRICKX 200.25 105.18 53.42 3.89 24.38 14.38
5 Kimmy REPOND 196.02 93.58 65.00 2.46 22.61 13.37
6 Haein LEE 195.48 98.74 59.14 -0.17 24.13 13.64
7 Mone CHIBA 195.46 95.08 57.34 5.48 24.04 13.52
8 Hana YOSHIDA 194.93 94.41 68.69 -1.18 22.02 11.99
9 Livia KAISER 187.24 85.94 66.34 4.61 19.38 10.97
10 Amber GLENN 186.53 97.68 52.91 2.92 21.98 12.04
11 Ekaterina KURAKOVA 184.76 89.08 59.80 -0.08 22.57 13.39
12 Young YOU 183.35 91.65 53.28 3.38 23.88 12.16
13 Anastasiia GUBANOVA 182.42 91.80 61.23 -1.58 20.26 10.71
14 Olga MIKUTINA 177.76 88.21 53.41 0.25 22.12 13.77
15 Nina PINZARRONE 177.46 90.73 57.49 -5.59 23.79 12.04
16 Niina PETROKINA 176.53 91.83 54.27 -4.05 22.88 12.60
17 Lorine SCHILD 172.90 82.37 63.55 -4.02 20.48 11.52
18 Madeline SCHIZAS 171.78 88.75 48.75 4.72 20.50 9.06
19 Josefin TALJEGARD 167.47 87.68 46.05 -2.56 22.56 13.74
20 Sarina JOOS 167.04 81.48 60.26 -7.64 20.82 12.12
21 Nataly LANGERBAUR 159.55 79.32 51.15 -1.75 19.41 11.42
22 Tzu-Han TING 157.83 79.47 51.86 -6.67 21.23 11.94
23 Mia RISA GOMEZ 147.13 71.30 54.65 -7.25 19.59 10.84
24 Nella PELKONEN 145.45 78.01 41.56 -2.16 18.29 10.75

PCSは坂本選手が110点に到達しました。当然、これが今季の全演技の中で1位になります。レビト選手とヘンドリックス選手が105点台。その下は98点台のイ・ヘイン選手まで離れます。3位表彰台に乗ったキムチェヨン選手は95.84 キムチェヨン選手は技術点ならレビト選手を上回ったのですが、PCSで大差あってこれだけ点差離れての3位となりました。

ジャンプの基礎点は吉田陽菜選手が1位でした。ただ、本人比では今シーズンだけ見ても大していいスコアでもなかったです。75点台まで出したこともあります。スイスのカイザー選手が2位、キムチェヨン選手が3位。ミスなく上位へ出た選手がジャンプの基礎点は高かったです。坂本選手は6位ですが、それほど差が付きませんでした。千葉選手は抜け2本あって57.34ということで割と平凡でした。

ジャンプの加点は坂本選手が1位。ただ一人二桁加点。さすがです。2位が千葉選手。抜けミスありましたが、飛べたジャンプはきっちり加点を稼ぎました。イ・ヘイン選手はマイナス。吉田陽菜選手もマイナス。ジャンプでもう少し点を取りたいところでした。

スピンは坂本選手が1位です。2位にヘンドリックス選手。3位はイ・ヘイン選手。ただ、今回は25点台がいません。全体的にそれほどスピンのスコアが伸びませんでした。

ステップ系要素はヘンドリックス選手が1位。レビト選手とキムチェヨン選手が2番目で続きます。ただ、14点台なのでそれほどいいわけでもありませんでした。坂本選手は珍しく13点台。ショートもフリーもレベル3ということでスコア伸びませんでした。吉田選手は11点台。ここをしっかりとっていれば5位まではあったのですが、もったいなかったとも思います。

 

以下、個別の要素を見ます

 

トリプルアクセル

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Amber GLENN 1 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
FS Hana YOSHIDA 1 3Aq q 8.00   -0.34 7.66 -0.444

今大会でトリプルアクセルを飛んだのは2人。二人ともきれいに着氷しましたが、吉田陽菜選手はqがついてGOEはわずかにマイナスになりました。アンバーグレン選手はこれで今季ISU公認のトリプルアクセル成功が3回目。島田選手を上回って今期の成功回数1位となりました。

 

○3連続ジャンプで平均GOEがプラス

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Kaori SAKAMOTO 9 2A+3T+2T   9.68 x 1.32 11.00 3.111
FS Hana YOSHIDA 9 3S+2A+2T   9.79 x 0.74 10.53 1.667
FS Nina PINZARRONE 6 3Lo+2A+2T   10.45 x 0.49 10.94 0.889
FS Mone CHIBA 7 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.38 9.51 0.556
FS Anastasiia GUBANOVA 8 3F+2T+2T   8.69 x 0.30 8.99 0.556
FS Kimmy REPOND 7 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.23 9.36 0.444
FS Mia RISA GOMEZ 6 2A+1Eu+3S   8.91 x 0.12 9.03 0.222

3連続ジャンプでGOEプラスの評価をもらったのは7人いました。坂本選手の評価は突出しています。日本勢は3人ともプラス評価です。

3連続ジャンプは1.1倍に入れる選手が多いです。疲れているところでの3連続。そこでプラス評価をもらえるようなジャンプをするのはなかなか難しいようです。

 

○セカンド3回転で平均GOEが+2.000を超えるジャンプ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Kaori SAKAMOTO 8 3F+3T   10.45 x 1.82 12.27 3.444
FS Kaori SAKAMOTO 9 2A+3T+2T   9.68 x 1.32 11.00 3.111
FS Amber GLENN 2 3F+3T   9.50   1.51 11.01 2.889
SP Haein LEE 1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.556
FS Young YOU 1 3Lz+3T   10.10   1.52 11.62 2.556
SP Loena HENDRICKX 1 3F+3T   9.50   1.44 10.94 2.556
FS Chaeyeon KIM 2 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.444
SP Mone CHIBA 1 3F+3T   9.50   1.36 10.86 2.444
FS Madeline SCHIZAS 1 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.333
SP Young YOU 1 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.222
SP Amber GLENN 1 3F+3T   9.50   1.29 10.79 2.222
FS Mone CHIBA 1 3F+3T   9.50   1.14 10.64 2.222
FS Olga MIKUTINA 1 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000

セカンド3回転は女子では1つの鍵になるジャンプです。これも最高評価は坂本花織選手でした。+3超えは坂本選手のみです。上位の選手はほとんどここに名を連ねていますがレビト選手がいません。セカンド3回転苦手でセカンドループにしてみたりと苦慮していますがそれがこの辺にも出ています。また、吉田陽菜選手も名前が無く、余りコンビネーションで加点を稼げませんでした。

 

○ステップで平均GOE+3.000以上

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP Loena HENDRICKX 5 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.222
SP Haein LEE 7 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
SP Isabeau LEVITO 6 StSq3   3.30   1.23 4.53 3.778
FS Kaori SAKAMOTO 5 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.444
SP Josefin TALJEGARD 6 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.333
SP Chaeyeon KIM 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
SP Amber GLENN 6 StSq3   3.30   1.08 4.38 3.222
FS Haein LEE 11 StSq3   3.30   1.08 4.38 3.222
FS Isabeau LEVITO 11 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
SP Niina PETROKINA 6 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.111
FS Loena HENDRICKX 11 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000

ステップはGOEとレベルがいまいち相関しない要素です。+4超えがヘンドリックス選手。平均GOE+4.222は今期全体で最高の評価です。今シーズン+4.000を超えるステップはヘンドリックス選手しか出すことができませんでした。

これも上位の選手が軒並み名を連ねている一方、下位の方からスウェーデンのタイガード選手が入ってきています。タイガード選手はステップが得意で今シーズン他の試合でもこれより高い評価を複数回受けています。

 

○コレオで平均GOE+2.600以上

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Kaori SAKAMOTO 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.556
FS Olga MIKUTINA 11 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.333
FS Loena HENDRICKX 6 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.111
FS Isabeau LEVITO 7 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
FS Amber GLENN 10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
FS Anastasiia GUBANOVA 6 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.778
FS Mone CHIBA 6 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
FS Josefin TALJEGARD 6 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667

コレオは全体的にステップよりも評価が低めでした。ここでも最高評価は坂本花織選手です。2番目にミクティナ選手がいます。ヨーロッパ選手権でも+3.111まで出していましたし、+3台は普通に出してくる選手です。

 

○平均GOE+3.400以上の要素

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Mone CHIBA 12 LSp4   2.70   1.23 3.93 4.556
SP Kaori SAKAMOTO 1 2A   3.30   1.46 4.76 4.333
SP Loena HENDRICKX 5 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.222
FS Kaori SAKAMOTO 1 2A   3.30   1.41 4.71 4.222
SP Loena HENDRICKX 3 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
FS Loena HENDRICKX 12 LSp4   2.70   1.08 3.78 4.000
SP Haein LEE 7 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
SP Mone CHIBA 7 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
FS Isabeau LEVITO 5 CCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
SP Isabeau LEVITO 6 StSq3   3.30   1.23 4.53 3.778
SP Loena HENDRICKX 7 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.778
SP Nina PINZARRONE 7 LSp4   2.70   1.00 3.70 3.778
FS Kaori SAKAMOTO 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.556
FS Loena HENDRICKX 5 CCoSp3   3.00   1.07 4.07 3.556
FS Kaori SAKAMOTO 8 3F+3T   10.45 x 1.82 12.27 3.444
FS Kaori SAKAMOTO 11 3Lo   5.39 x 1.68 7.07 3.444
FS Kaori SAKAMOTO 5 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.444
SP Isabeau LEVITO 3 FCSp4   3.20   1.14 4.34 3.444
SP Isabeau LEVITO 7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.444

今大会のすべての要素の中の最高評価は、千葉百音選手のフリー最後のレイバックスピンでした。平均GOE+4.556です。レイバックスピンはジュニアの頃から得意な要素で、平均GOE+4.556はこれで4度目です。

坂本花織選手のダブルアクセルがそれに続きます。なかなかジャンプで+4まで出してくる選手は女子ではいません。今期、ジャンプで平均GOE+4.000以上を出したのは坂本選手のみですが、その坂本選手はダブルアクセルジャパンオープンいれると11回の+4.000以上がありました。

他はヘンドリックス選手とレビト選手の名前が目立ちます。

 

前回と比べて全体的にスコアが伸びにくい試合でした。とはいえNHK杯のような理不尽さを感じるような判定でもなく、結構しっかり取りますねえ今回、というくらいな、厳しいというのがいいのかきちんとしているというのがいいのか、際どいところですが結構、エッジ、回転、レベル、チェックされていたように感じました。

日本勢は1位7位8位で来期3枠獲得。千葉選手、吉田選手の2人も、結果を見ると、やはり表彰台まではチャンスあったんだけどなあ、ともったいない思いもあります。初出場だか、まだ若いから、という見立てもあるかもしれませんが、2位と3位の2人は、千葉選手、吉田選手よりも若いです。そして、日本は、1度チャンスを逃すと次のシーズンにまた代表になれるとは限らない。2人は来期も代表になれるでしょうか。

女子は今季は結局主要大会は派遣できないヨーロッパ選手権以外はすべて日本が獲りました。昨季も同様。日本1強、というには結構僅差な試合も多いですがなんだかんだで勝っています。オリンピック以降変わらない構図。来期もこれを続けていけるでしょうか。

 

次回からは男子です。

 

 

世界選手権24 女子シングルレビュー2

前回の続きで女子シングルの振り返り2回目。今回はフリーの数値編です

 

○フリーの要素別スコア

Pl Name Nation J Base J GOE Spin Step PCS
1 Kaori SAKAMOTO JPN 44.44 8.67 12.68 9.29 74.59
2 Isabeau LEVITO USA 45.12 2.83 10.46 9.63 70.39
3 Chaeyeon KIM KOR 47.58 4.01 12.19 9.03 63.87
4 Kimmy REPOND SUI 45.71 4.01 11.26 9.17 63.23
5 Mone CHIBA JPN 44.54 3.55 12.73 8.56 63.44
6 Hana YOSHIDA JPN 49.90 0.11 11.18 6.98 63.20
7 Anastasiia GUBANOVA GEO 46.20 -0.65 9.69 7.59 60.93
8 Loena HENDRICKX BEL 34.13 0.39 11.49 8.86 69.40
9 Livia KAISER SUI 47.11 2.12 9.60 6.40 57.96
10 Ekaterina KURAKOVA POL 43.91 -1.12 11.14 9.19 59.30
11 Amber GLENN USA 35.80 2.60 10.61 7.66 65.33
12 Haein LEE KOR 39.91 -4.20 12.49 8.24 65.49
13 Olga MIKUTINA AUT 35.02 1.69 12.38 8.76 59.14
14 Young YOU KOR 34.05 2.19 12.05 7.87 60.82
15 Lorine SCHILD FRA 44.92 -3.08 9.89 7.75 55.01
16 Nina PINZARRONE BEL 40.72 -5.00 11.84 7.19 59.67
17 Madeline SCHIZAS CAN 33.02 4.03 10.07 5.87 59.14
18 Niina PETROKINA EST 37.88 -5.81 11.00 8.26 59.97
19 Sarina JOOS ITA 42.91 -5.29 9.73 7.27 53.03
20 Josefin TALJEGARD SWE 31.95 -3.95 10.99 8.56 58.37
21 Nataly LANGERBAUR EST 36.02 -0.71 9.93 7.46 53.04
22 Tzu-Han TING TPE 34.85 -4.06 11.26 7.20 52.26
23 Mia RISA GOMEZ NOR 36.72 -7.36 10.13 6.49 48.06
24 Nella PELKONEN FIN 26.53 -2.40 8.25 6.79 50.46

フリーのジャンプの基礎点は吉田陽菜選手が1位。トリプルアクセルを決めただけでなく、他のジャンプも大きなミスが無く基礎点を稼ぎました。表彰台に乗ったキムチェヨン選手が2位。大躍進のカイザー選手が3位でした。グレン選手はトリプルアクセルを決めたのに35.80とフリー24人中17位。トリプルアクセルだけではダメ、ということです。

ジャンプのGOEは坂本選手が1位でした。キムチェヨン選手とレポンド選手が並んで2位。ジャンプのスコアとしてはキムチェヨン選手が1位ということになります。ジャンプで表彰台に乗りました。

スピンは千葉選手が1位で坂本選手が2位でした。二人ともスピンが苦手ということは無いですが、すごく得意というほどでもなく、シニアの日本勢がスピンでこうやって上位を占めるのは比較的珍しいです。イ・ヘイン選手が3番目。こちらは昨季もスピンでスコアを稼いでいました。

ステップ系要素はレビト選手が1位でした。坂本選手が2位でクラコワ選手が3位です。いつもなら10点を超える選手がいるのですが今回は全体的に伸びなかったようです。

PCSは坂本選手が1位。レビト選手が続いて2位ですが、70点台はここまで。へんドリックス選手やイ・ヘイン選手といったPCSで稼げる選手が今回のフリーではあまり伸びていませんでした。

 

○総合上位6選手のフリーの構成

 

Kaori

SAKAMOTO

Isabeau

LEVITO

Chaeyeon

KIM

Loena

HENDRICKX

Kimmy

REPOND

Haein

LEE

1 2A 3Lz!+3Tq 2A 3Lz+2T 3F+3T 2A+3T<
2 3Lze 2A 3Lz+3T 2A 3Lz! 1Lz+3Tq
3 3S 3F 3Lo 3F 3Lo 3Loq
4 CCoSp4 2A 3F! 2A 2A 3S
5 StSq3 CCoSp4 FCCoSp4 CCoSp3 FCCoSp4 FCSp4
6 3F+2T 3Lze+1Eu+3S 3F!+2T+2Lo ChSq1 ChSq1 FCCoSp4
7 FSSp4 ChSq1 3Lz+2A+SEQ 2Lz+3T<< 3F+2T+2Lo ChSq1
8 3F+3T 3F+2T StSq4 3F<+REP 2A+3T 3Lzq+2T+2Lo
9 2A+3T+2T 3Lo ChSq1 3Sq+2T+2Lo 3S 3F!
10 ChSq1 FCSp3 3Sq FCCoSp3 LSp3 2A
11 3Lo StSq4 FCSp4 StSq3 StSq4 StSq3
12 FCCoSp4 FCCoSp2V CCoSp4 LSp4 CCoSp4 CCoSp4
Base 60.74 60.20 64.68 49.13 62.01 56.41
GOE 14.34 7.84 8.13 5.74 8.14 0.03
PCS 74.59 70.39 63.87 69.40 63.23 65.49
Total 149.67 138.43 136.68 123.27 133.38 121.93

上位選手の中で基礎点ベースでノーミスと言えるのはキムチェヨン選手くらいでした。64.68というのは今期全体で4位の基礎点構成。トリプルアクセル無し構成では今季1番高い基礎点です。

レポンド選手もほぼノーミスですがレイバックスピンがレベル3な分0.30基礎点が下がります。坂本選手はルッツのeとステップのレベル、レビト選手はルッツのeとさらにスピン2つで基礎点が削られました。ヘンドリックス選手、イ・ヘイン選手は十分な滑りが出来ていません。

2回飛ぶジャンプがルッツとフリップなのがレビト選手とヘンドリックス選手にキムチェヨン選手、ルッツとトーループなのがイ・ヘイン選手、フリップとトーループなのが坂本選手とレポンド選手です。ヘンドリックス選手はもともとループが無いので6トリプル構成なところでミスまで出てしまうと基礎点が出ない。さすがに49.13の基礎点だと勝負にならなかったです。

加点はさすがの坂本花織選手、全選手中ただ一人の二桁だったわけですが、レポンド選手、キムチェヨン選手も大きく稼ぎました。レビト選手はノーミスに見えてeと!とVで伸び悩んだ部分もありました。イ・ヘイン選手は全体的に苦労した印象で、結局加点を獲れなかった構図です。

全員がスピンで締める構成。冒頭は4つジャンプをまとめる選手が多いですが、坂本選手は3つまでで4つ目の要素はスピンを入れています。ステップとコレオを繋げているのはキムチェヨン選手。魅せる力がないとこの構成は間延びしてしまうのですが、しっかり滑り切りました。

 

○総合7~12位の選手のフリーの構成

 

Mone

CHIBA

Hana

YOSHIDA

Livia

KAISER

Amber

GLENN

Ekaterina

KURAKOVA

Young

YOU

1 3F+3T 3Aq 3Lz+3T 3A 3Lz+1Eu+3F!q 3Lz+3T
2 2A 2A+3T 3F+2A+SEQ 3F+3T 3Lo 3S
3 3S 3Lo 3F 3Lo+2T 3Tq 3F!
4 CCoSp4 FCCoSp4 3S 2S 3S 2Lo
5 3Lo<< 3F! CCoSp4 FSSp3 FCCoSp4 FCSp4
6 ChSq1 3Lzq 3Lz+2T+2Loq StSq2 3Lo+2A+SEQ 2A+2T
7 3F+2T+2Lo ChSq1 3Lo 1Lz 3Sq+2T 1Lz
8 3Lz+2A+SEQ 3Lz+2T 2A 3Lo< 2A ChSq1
9 FCCoSp4 3S+2A+2T+SEQ StSq2 3Fq LSp4 2A+2T+2Loq
10 3Lz! CCoSp4 FSSp4 ChSq1 StSq4 FCCoSp4
11 StSq3 StSq2 ChSq1 CCoSp4 ChSq1 StSq3
12 LSp4 SSp4 FCCoSp3 LSp4 CCoSp4 CCoSp4
Base 60.54 65.00 62.21 50.20 60.51 50.55
GOE 8.84 3.17 3.02 6.47 2.61 5.61
PCS 63.44 63.20 57.96 65.33 59.30 60.82
Total 132.82 130.37 123.19 122.00 122.42 115.98

フリーで上がってきた選手、フリーで失敗して落ちてきた選手が入り混じる7~12位。

トリプルアクセルを降りた吉田陽菜選手が全選手中1位の基礎点でした。ただ、セカンド3回転が2回あるはずが1つになった分、本人としては基礎点伸びていません。トリプルアクセルをしっかり決めたもう一人、アンバーグレン選手は他のジャンプが崩れてしまったので基礎点50.20で終わっています。残念。順位を上げたカイザー選手はジャンプノーミス。千葉選手はループが1つダウングレードだったことで予定ほど基礎点は伸びませんでした。クラコワ選手は予定構成で基礎点満額なのですが、それでも60.51までなのがつらいところ。

加点は千葉選手がしっかり稼ぎました。グレン選手は序盤3つのジャンプまでの加点が大きかったです。

2回飛ぶジャンプはルッツとフリップが千葉選手とカイザー選手、吉田選手とユヨン選手はルッツとトーループ予定でトーループ2本目入らず、グレン選手はフリップとループ、クラコワ選手はループとサルコウです。クラコワ選手はやはり構成的にちょっと厳しい。

ここの6人も全員スピンで締めます。冒頭4つジャンプ続ける選手が多い中で千葉選手と吉田選手は3つ目までジャンプで4つ目にスピンを入れます。上位12選手の中で日本の3選手だけ4つ目にスピンを持ってくる構成。お国柄なんでしょうかこれ。

ここの6人でステップレベル4はクラコワ選手のみ。スピンは千葉選手、吉田選手、クラコワ選手とユヨン選手がオールレベル4でした。

クラコワ選手はステップとコレオを繋げます。氷の上を走りだす振り付けは印象的でしたし、演技終わってから走り出す姿も印象的でした。

 

○フリー上位18人のPCS

Name J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Kaori SAKAMOTO 28.50 28.00 26.50 28.50 27.75 28.00 27.00 28.00 28.25
Isabeau LEVITO 27.00 26.75 25.75 27.25 26.25 25.75 27.25 25.50 25.75
Chaeyeon KIM 23.75 24.75 22.00 26.75 24.00 24.50 23.00 24.00 23.50
Kimmy REPOND 24.00 23.75 23.25 24.25 23.75 23.50 24.25 23.50 22.75
Mone CHIBA 24.25 24.00 20.50 23.50 23.50 24.25 23.50 24.50 23.25
Hana YOSHIDA 23.75 24.00 23.75 26.00 23.50 23.25 22.75 22.75 24.50
Anastasiia GUBANOVA 23.00 23.00 21.00 23.00 23.50 21.00 23.00 23.00 24.00
Loena HENDRICKX 27.00 25.75 24.75 28.00 25.75 25.25 26.00 25.75 26.25
Livia KAISER 22.25 22.75 19.00 22.75 23.00 21.75 21.00 20.00 21.50
Ekaterina KURAKOVA 22.75 23.00 18.75 22.00 22.25 21.75 22.75 22.25 22.00
Amber GLENN 25.25 24.50 22.25 25.00 24.25 25.00 23.25 24.25 25.75
Haein LEE 25.25 25.25 23.50 26.75 23.50 24.50 23.50 24.00 25.25
Olga MIKUTINA 22.00 23.00 21.75 22.00 21.75 22.00 22.75 22.00 22.00
Young YOU 22.50 24.25 21.75 23.25 23.00 22.75 22.50 22.50 23.00
Lorine SCHILD 20.50 21.00 19.50 21.75 21.50 20.25 18.50 20.50 20.75
Nina PINZARRONE 22.25 23.75 21.75 22.50 22.00 22.00 22.50 22.25 22.50
Madeline SCHIZAS 22.25 21.50 20.75 22.00 22.50 23.00 23.25 22.00 21.50
Niina PETROKINA 22.00 22.75 23.00 22.00 22.25 21.50 22.50 23.00 22.75

フリーのPCSもやはり9人のジャッジでそれなりに差があります。上位で差が大きかったのはキムチェヨン選手。最終グループ1番滑走で出てきて、あとに有力選手も残る仲いい滑りをしたときにどこまで出すか。それが分かれたように感じます。最低で22.00から最高で26.75まで。その差4.75に係数2.67を掛けると12.68の差が付きます。千葉選手、カイザー選手、クラコワ選手も4点以上の差がジャッジ間で付きました。その滑走順で想定されるよりいい滑りをしてくると、PCS評価のばらつきが大きくなる、という傾向があるようにも見えました。このあたりの選手は係数掛けた後で見るとジャッジ間で10点以上の差が出ます。誰がジャッジかによって表彰台争い、枠取り争い、結果が変わっていた可能性があるわけです。

 

○フリー上位18人のジャッジ別PCS順位

Name J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Kaori SAKAMOTO 1 1 1 1 1 1 2 1 1
Isabeau LEVITO 2 2 2 3 2 2 1 3 3
Chaeyeon KIM 8 5 9 4 5 5 10 6 8
Kimmy REPOND 7 10 6 8 6 8 4 8 12
Mone CHIBA 6 8 16 9 7 7 5 4 9
Hana YOSHIDA 8 8 4 6 7 9 12 11 6
Anastasiia GUBANOVA 10 12 13 11 7 18 10 9 7
Loena HENDRICKX 2 3 3 2 3 3 3 2 2
Livia KAISER 13 15 18 12 11 15 18 19 17
Ekaterina KURAKOVA 11 12 19 14 14 15 12 13 15
Amber GLENN 4 6 8 7 4 4 8 5 3
Haein LEE 4 4 5 4 7 5 5 6 5
Olga MIKUTINA 16 12 10 14 17 13 12 15 15
Young YOU 12 7 10 10 11 11 15 12 10
Lorine SCHILD 20 20 17 18 18 19 23 18 20
Nina PINZARRONE 13 10 10 13 16 13 15 13 14
Madeline SCHIZAS 13 18 14 14 13 10 8 15 17
Niina PETROKINA 16 15 7 14 14 17 15 9 12

続いてジャッジ毎のPCS順位を見ます。8人のジャッジが坂本選手を1位としました。レビト選手1位としたのが1人です。2位をレビト選手としたのが5人、ヘンドリックス選手を2位としたのが4人います。この辺は僅差のようでした。その下にイ・ヘイン選手とグレン選手が来ますが滑走順の早かったグレン選手の方がばらつきがやや大きいようです。

それ以下の選手はジャッジ毎の評価の違いが大きいです。

千葉選手は4位と付けたジャッジがいるかと思えば16位とつけたジャッジもいます。この16位と付けたジャッジは吉田選手を4位と付けていて、日本が嫌いとかそういう特殊な理由で16位を付けたわけではなさそうです。吉田選手も4位があれば12位という評価もあります。

 

もう一回続きます。

世界選手権24 女子シングルレビュー1

前回は感想ということで文章を並べましたが、今回からは数値編になります。

総合順位は感想のところで出しましたので飛ばして、それぞれの中身に最初から入ります。今回は女子シングルのショートプログラムです。

 

ショートプログラム要素別スコア

Pl Name Nation J Base J GOE Spin Step PCS
1 Loena HENDRICKX BEL 19.29 3.50 12.89 5.52 35.78
2 Isabeau LEVITO USA 19.23 2.40 12.70 4.53 34.87
3 Haein LEE KOR 19.23 4.03 11.64 5.40 33.25
4 Kaori SAKAMOTO JPN 19.65 1.59 12.27 4.20 35.58
5 Young YOU KOR 19.23 1.19 11.83 4.29 30.83
6 Chaeyeon KIM KOR 18.39 0.53 10.89 5.13 31.97
7 Niina PETROKINA EST 16.39 1.76 11.88 4.34 31.86
8 Hana YOSHIDA JPN 18.79 -1.29 10.84 5.01 31.21
9 Amber GLENN USA 17.11 0.32 11.37 4.38 32.35
10 Livia KAISER SUI 19.23 2.49 9.78 4.57 27.98
11 Nina PINZARRONE BEL 16.77 -0.59 11.95 4.85 31.06
12 Kimmy REPOND SUI 19.29 -1.55 11.35 4.20 30.35
13 Mone CHIBA JPN 12.80 1.93 11.31 4.96 31.64
14 Ekaterina KURAKOVA POL 15.89 1.04 11.43 4.20 29.78
15 Josefin TALJEGARD SWE 14.10 1.39 11.57 5.18 29.31
16 Olga MIKUTINA AUT 18.39 -1.44 9.74 5.01 29.07
17 Madeline SCHIZAS CAN 15.73 0.69 10.43 3.19 29.61
18 Lorine SCHILD FRA 18.63 -0.94 10.59 3.77 27.36
19 Sarina JOOS ITA 17.35 -2.35 11.09 4.85 28.45
20 Anastasiia GUBANOVA GEO 15.03 -0.93 10.57 3.12 30.87
21 Nella PELKONEN FIN 15.03 0.24 10.04 3.96 27.55
22 Tzu-Han TING TPE 17.01 -2.61 9.97 4.74 27.21
23 Mia RISA GOMEZ NOR 17.93 0.11 9.46 4.35 23.24
24 Nataly LANGERBAUR EST 15.13 -1.04 9.48 3.96 26.28
25 Nina POVEY GBR 15.13 -0.14 9.75 3.72 25.04
26 Alexandra FEIGIN BUL 16.20 -0.67 9.27 3.49 25.04
27 Julia SAUTER ROU 15.58 -3.94 10.07 3.72 27.09
28 Eliska BREZINOVA CZE 17.93 -3.58 8.84 3.77 23.94
29 Kristina ISAEV GER 13.12 -2.20 10.24 3.12 25.79
30 Vanesa SELMEKOVA SVK 18.19 -4.51 9.45 3.63 23.18
31 Sofja STEPCENKO LAT 12.89 -3.23 9.07 2.79 25.22
32 Mariia SENIUK ISR 13.33 -4.74 10.69 3.58 23.71
33 Anastasia GRACHEVA MDA 15.22 -3.05 8.94 3.63 21.38
34 Anastasia GOZHVA UKR 14.10 -6.13 8.89 2.67 21.75
35 Meda VARIAKOJYTE LTU 12.13 -3.15 9.77 2.30 20.99

ショートプログラムは今回トリプルアクセルを入れた選手がいませんでした。そうなると、後半コンビネーションの人が基礎点高くなるわけですが、該当するのが坂本花織選手です。というわけで、ジャンプの基礎点1位が坂本花織選手ということになりました。2位にヘンドリックス選手がいて、ルッツ-トーループのコンビネーションを飛んで、単独フリップを後半に入れた19.23の基礎点の選手が多数います。千葉選手、ルッツ抜けたのでジャンプ基礎点は34位。よくそれで13位に入ってきました。

ジャンプの加点はイ・ヘイン選手が最高。ここの要素が高い選手は印象がいいです。上位3選手はやはり高かった。スイスのカイザー選手が全体3番目だったりもしました。

スピンはヘンドリックス選手が1位、レビト選手2位に坂本選手3位です。12点台はこの3人にだけでした。

ステップはヘンドリックス選手が1位でイ・ヘイン選手が2位。3位にいるのはスウェーデンのタイガード選手です。たまたま珍しいではなくて、タイガード選手はステップの評価は高い選手です。

PCSはヘンドリックス選手、坂本選手、レビト選手の順。平均8点越えはそこにイ・ヘイン選手とアンバーグレン選手が加わります。

 

○総合上位6選手のショートプログラム構成

 

Kaori

SAKAMOTO

Isabeau

LEVITO

Chaeyeon

KIM

Loena

HENDRICKX

Kimmy

REPOND

Haein

LEE

1 2A 3Lz!+3T 2A 3F+3T 3F+3T 3Lz+3T
2 3Lz! 2A 3Lz+3T< 2A 2A 2A
3 FCSp4 FCSp4 FCSp4 CCoSp4 FCSp3 FCSp4
4 3F+3T 3F 3F! 3Lz 3Lz! 3F
5 LSp4 CCoSp4 SSp4 StSq4 CCoSp4 SSp4
6 StSq3 StSq3 StSq4 FCSp4 StSq3 CCoSp4
7 CCoSp4 LSp4 CCoSp4 LSp4 LSp4 StSq4
Base 32.35 31.93 31.49 32.59 31.59 32.33
GOE 5.36 6.93 3.45 8.61 1.70 7.97
PCS 35.58 34.87 31.97 35.78 30.35 33.25
Total 73.29 73.73 66.91 76.98 62.64 73.55

スピンステップオールレベル4で基礎点満額取れたのはヘンドリックス選手とイ・ヘイン選手。他は回転不足があったキムチェヨン選手と、ステップレベル3の坂本選手、レビト選手、レポンド選手です。この上位6選手は全員ルッツとフリップを飛びます。基礎点低めのループを入れる選手はいませんでした。

昨季は後半コンビネーションが多かったのですが、今期は上位の中では坂本選手のみ。やや安全策に振った選手が多かったです。

ルッツの!が坂本選手とレビト選手にレポンド選手、フリップで!がキムチェヨン選手。今大会はよくエッジにエラー、アテンションが付きました。エッジがはっきりしない選手が増えた、ということでもなくて、今回はその辺きっちりとりましたね、ということのように感じています。

加点が伸びたのはヘンドリックス選手とイ・ヘイン選手。ついでレビト選手が来ます。この辺は普通に出来の良かった選手が上位に来ました、というところ。

PCSが上位の中だとキムチェヨン選手とレポンド選手はやや落ちました。

 

○総合7~12位の選手のショートプログラム構成

 

Mone

CHIBA

Hana

YOSHIDA

Livia

KAISER

Amber

GLENN

Ekaterina

KURAKOVA

Young

YOU

1 3F+3T 2A 3Lz+3T 3F+3T 3Lz+2T 3Lz+3T
2 2A 3Lzq+3Tq 2A CCoSp4 2A 2A
3 FCSp4 SSp4 LSp4 2A FCSp4 FCSp4
4 1Lz* 3Lo 3F 3Lo< 3Lo LSp4
5 CCoSp3 FCSp4 FSSp4 FSSp4 StSq3 3F!q
6 StSq4 StSq4 StSq4 StSq3 CCoSp4 CCoSp4
7 LSp4 CCoSp4 CCoSp4 LSp4 LSp4 StSq3
Base 25.60 31.89 32.33 29.61 28.59 31.93
GOE 5.40 1.46 3.74 3.57 3.97 4.61
PCS 31.64 31.21 27.98 32.35 29.78 30.83
Total 62.64 64.56 64.05 64.53 62.34 67.37

このあたりの位置の選手は、ショートでいい演技で上位に来たタイプと、ショートで大きなミスをして出遅れたタイプとが混ざってきます。

大過失があったのは千葉選手。ショート通過選手の中で基礎点25.60は最下位です。良くフリーに通過したなという水準。ルッツ抜け1回転は厳しかったです。グレン選手も回転不足があり基礎点が30点に届かず。一方、クラコワ選手は3-3が入らなかったことで基礎点が30点に届いていませんが、これは実力。3-3は装備出来ていない、という状態です。

ここの6人はフリップ回避でループを入れた吉田選手とクラコワ選手、ルッツ回避でループを入れたグレン選手といます。

加点はショート上位4人と比べるとやはりこのあたりの選手は落ちますが、千葉選手は坂本選手を上回る加点を引き出しています。ルッツが抜けたので基礎点痛んでいますが加点の方は痛んでいません。吉田選手は逆に基礎点はしっかり予定通り取れたのですが、q2つ付いたことで加点の方は伸び悩んでいます。

ここの6人だとエッジを取られたのはユヨン選手のフリップで!がついたくらいでした。ここはエッジの踏み分けが上手なのではなくて、苦手度が強くてルッツフリップを回避した選手が多かったから、ということのように感じます。

PCSはベテランのグレン選手は高め。千葉選手吉田選手は8点平均には届かず。カイザー選手は7点平均にもまだ届いていません。スイス勢はあまりPCSをもらえる滑りが出来ていない、という状態です。ユヨン選手はもうオリンピックシーズンまではもう少しもらえる選手だったのですが今回は30点台まで。ジャンプは決まったけれどまだ復活しきっていないあたりがこの辺に出ています。

 

ショートプログラム上位18人のジャッジ別PCS

  J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Loena HENDRICKX 27.25 27.00 27.75 27.00 26.00 27.50 25.75 26.50 27.00
Isabeau LEVITO 25.75 25.75 27.25 27.00 24.75 27.50 25.25 26.75 25.75
Haein LEE 23.75 25.25 25.75 26.25 24.00 26.25 24.00 24.50 25.25
Kaori SAKAMOTO 27.00 26.75 27.50 28.00 25.75 27.00 26.50 27.00 25.75
Young YOU 22.50 23.00 23.75 23.50 22.75 25.75 22.25 24.50 21.75
Chaeyeon KIM 23.50 25.25 23.50 24.25 23.50 24.75 23.50 24.50 23.75
Niina PETROKINA 23.75 24.50 22.25 25.00 21.25 24.75 23.75 24.00 25.25
Hana YOSHIDA 22.75 23.00 23.00 24.50 22.75 26.00 22.00 24.00 23.75
Amber GLENN 25.25 23.25 24.50 25.25 21.00 25.00 23.75 24.75 24.25
Livia KAISER 20.50 20.00 21.25 20.75 21.25 22.00 21.25 22.25 20.50
Nina PINZARRONE 23.50 22.50 23.75 23.25 22.00 24.25 23.00 25.25 23.00
Kimmy REPOND 22.25 23.75 23.75 22.75 22.00 22.50 22.25 24.25 22.00
Mone CHIBA 22.00 24.75 24.75 23.25 22.50 25.00 23.75 24.50 22.75
Ekaterina KURAKOVA 22.75 23.00 22.75 22.50 21.25 23.25 22.00 22.25 21.50
Josefin TALJEGARD 21.75 22.00 22.75 20.50 22.00 22.75 20.75 22.25 23.25
Olga MIKUTINA 21.50 22.25 22.00 22.00 21.25 22.25 20.50 23.75 21.75
Madeline SCHIZAS 22.50 22.75 24.00 22.00 21.50 22.75 21.50 21.50 22.25
Lorine SCHILD 20.00 21.00 22.00 20.50 20.50 20.50 21.00 19.75 20.25

3項目10点満点の合計で見たPCSスコアです。係数0.8は掛けていません。

やはりジャッジ毎に評価はずいぶん分かれるものです。坂本選手は最小で25.75、最高は28.00で2.25の差。これもそれなりの差ですが、中位くらいの選手はもっと大きな差が普通に出てきます。吉田陽菜選手は最小で22.00がある一方最大で26.00と4.00の差。グレン選手に至っては最小で21.00、最大で25.25と4.25も差があります。昨年も同じようなことを書きましたが、ジャッジ毎にこれだけ違いがあるわけですから、ファンが見る感想、印象の点数がばらつくのは当然なのだろうと思います。

ただ、これでも昨季の世界選手権よりは差は小さくなっています。昨季は5点以上の差を普通に見かけました。採点の統一性が少しは取れるようになってきたのでしょうか。

 

ショートプログラム上位18人のジャッジ別PCS順位

  J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Loena HENDRICKX 1 1 1 2 1 1 2 3 1
Isabeau LEVITO 3 3 3 2 3 1 3 2 2
Haein LEE 5 4 4 4 4 4 4 6 4
Kaori SAKAMOTO 2 2 2 1 2 3 1 1 2
Young YOU 12 11 9 9 7 6 11 6 15
Chaeyeon KIM 7 4 12 8 6 9 8 6 7
Niina PETROKINA 5 7 16 6 15 9 5 11 4
Hana YOSHIDA 9 11 13 7 7 5 13 11 7
Amber GLENN 4 9 6 5 19 7 5 5 6
Livia KAISER 20 23 20 19 15 18 17 15 21
Nina PINZARRONE 7 15 9 10 10 12 9 4 10
Kimmy REPOND 14 8 9 12 10 16 11 10 13
Mone CHIBA 15 6 5 10 9 7 5 6 11
Ekaterina KURAKOVA 9 11 14 14 15 13 13 15 17
Josefin TALJEGARD 16 17 14 20 10 14 19 15 9
Olga MIKUTINA 17 16 18 15 15 17 21 13 15
Madeline SCHIZAS 12 14 7 15 13 14 16 18 12
Lorine SCHILD 21 20 18 20 21 22 18 23 23

ジャッジ毎に誰に何位と付けたのか、で見るとまた違う絵が出てきます。

へんドリックス選手は6人が1位と付けました。坂本選手に3人。レビト選手も同点1位を1つもっています。

上位はまだ極端な差は出ていません。中位の選手の差はすごいです。

ショート5位のユヨン選手、6位を付けたジャッジが2人いますが11位を2人、12位を1人、さらには15位と付けたジャッジも1人います。グレン選手は一桁順位をほとんどのジャッジが付けている中、1人だけ19位と付けたジャッジがいます。千葉選手は5位までつけたジャッジも2人いる中、1番ジャッジは15位と付けました。シザス選手は逆に二桁順位が並ぶ中、3番ジャッジだけ7位と付けています。

得点の絶対値の方でも書いた繰り返しですが、ジャッジでこれだけ評価が異なるのだから、ファン目線で点付けたら、それはそれは順位が上下するのが当たり前なのでしょう。

 

次回フリーへ続きます。

世界選手権24 男子シングル

前回の女子シングルに続いて、今回は男子シングルです。なかなかすごい試合展開でした。

 

○男子シングル 総合結果

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ilia MALININ USA 333.76 105.97 227.79
2 Yuma KAGIYAMA JPN 309.65 106.35 203.30
3 Adam SIAO HIM FA FRA 284.39 77.49 206.90
4 Shoma UNO JPN 280.85 107.72 173.13
5 Jason BROWN USA 274.33 93.87 180.46
6 Lukas BRITSCHGI SUI 274.09 93.41 180.68
7 Deniss VASILJEVS LAT 257.80 89.42 168.38
8 Kao MIURA JPN 254.72 85.00 169.72
9 Nikolaj MEMOLA ITA 253.12 93.10 160.02
10 Junhwan CHA KOR 249.65 88.21 161.44
11 Aleksandr SELEVKO EST 247.57 84.08 163.49
12 Mark GORODNITSKY ISR 243.25 80.49 162.76
13 Nika EGADZE GEO 241.55 92.08 149.47
14 Mikhail SHAIDOROV KAZ 234.19 80.02 154.17
15 Donovan CARRILLO MEX 232.67 80.19 152.48
16 Gabriele FRANGIPANI ITA 231.38 82.63 148.75
17 Wesley CHIU CAN 227.21 78.00 149.21
18 Hyungyeom KIM KOR 222.79 74.89 147.90
19 Roman SADOVSKY CAN 221.57 84.28 137.29
20 Camden PULKINEN USA 219.86 78.85 141.01
21 Luc ECONOMIDES FRA 217.10 74.02 143.08
22 Semen DANILIANTS ARM 213.99 73.46 140.53
23 Andreas NORDEBACK SWE 211.45 76.20 135.25
24 Sihyeong LEE KOR 207.59 73.23 134.36
25 Vladimir LITVINTSEV AZE 72.16 72.16  
26 Davide LEWTON BRAIN MON 71.58 71.58  
27 Maurizio ZANDRON AUT 69.59 69.59  
28 Tomas-Llorenc GUARINO SABATE ESP 68.35 68.35  
29 Jari KESSLER CRO 68.32 68.32  
30 Burak DEMIRBOGA TUR 68.18 68.18  
31 Vladimir SAMOILOV POL 67.81 67.81  
32 Nikita STAROSTIN GER 67.34 67.34  
33 Ivan SHMURATKO UKR 66.90 66.90  
34 Valtter VIRTANEN FIN 66.55 66.55  
35 Adam HAGARA SVK 65.37 65.37  
36 Georgii RESHTENKO CZE 65.35 65.35  
37 Alexander ZLATKOV BUL 64.77 64.77  
38 Edward APPLEBY GBR 59.51 59.51  
39 Boyang JIN CHN 58.53 58.53  
40 Aleksandr VLASENKO HUN 51.50 51.50  

男子シングルは40人出場。全7グループ。世界ジュニアみたいな人数です。昨季は34人、一昨年は29人。だいぶ増えました。

ショート第1グループからメキシコのドノバンカリーヨ選手が4回転サルコウを決めて国際大会初の80点超え。4年ぶりのワールドでフリー進出濃厚。中南米の選手も伸びてくると面白いなあフィギュア界。

第2グループは全体的にスコア伸びず、フリーに残れる選手いるかどうかという水準。

第3グループはエースがいるので来期3枠を目指したい韓国のキムヒョンギョム選手、フランスのエコノミド選手と出てきますがスコアはほどほど。2人とも4回転が無い構成なこともあり70点台中盤に留まります。フリーには進めそうですが、3枠への貢献は厳しそう。

第4グループにはカナダのサドフスキー選手が登場。誰出てきても割と盛り上がる観客ですが、その中でも地元大歓声。でも今期はまだナショナルと4大陸だけであまり調子上がってないよね、と思いきやほぼノーミスと言える演技で84.28を出して首位に立ちます。危ういかなと思われていた来期カナダ2枠が、まあ行けそう、という1人目でした。

韓国2人目イシヒョン選手もこのグループで出てきましたがトリプルアクセル転倒で73.23 これフリー進出危ないんじゃ? というスコア。韓国は2人70点台で来期3枠はもうこの時点で赤信号です。

 

第5グループでは世界ジュニア3位表彰台のハガラ選手が出てきましたが、スピン零点なんかもあり65.37でショート落ちの憂き目にあいます。

来期2枠欲しいエストニアのセレフコ兄選手が84.08で2位に。この試合初のPCS40点台。この辺からレベルが上がってきます。続くフランジパーニ選手は4回転サルコウ転倒しながらも82.63とまずまず。イタリア、来期3枠は難しいにしても2枠はキープできそう。

続けなかったのがボーヤンジン選手。ルッツが2回転に次のトーループも2回転でジャンプ2つ零点。58.53のショート落ち。えーー、せっかく復活してきたと思ったのに・・・。からのベテラン続きでジェイソンブラウン選手も心配だったのですが、そんな心配を吹き飛ばす演技。4回転こそないのですが、スピン、ステップ、生きる芸術です。93.87で首位に立ちます。

 

第6グループはラス前グループ。上位を狙いたいプルキネン選手、シャイドロフ選手は今一つ伸びず。続いて、昨季のジュニアグランプリファイナルチャンピオンのメモラ選手がワールド初登場。ここで4回転ルッツ込みのノーミスが出ます。今大会最初の技術点50点超え。ただPCSはまだジェイソンブラウン選手と比べるとだいぶ差があって、スコア93.10は2位。初の90点台に乗せました。

続いてバシリエフス選手。今回はショートに4回転は入れず。この構成なら強いです。ノーミスで89.42を出してきます。続いてブリッチギー選手もノーミス93.41 ニカエガゼ選手もノーミス92.08 連続パーソナルベストで第6グループをしっかり締めて最終グループへいい流れが出来ました。

 

4強プラスチャレンジャー2人。最終グループ1番滑走は4大陸チャンピオンの鍵山選手。相変わらず美しい4回転サルコウでしたが、本人比ではいつもより少し質的に劣っていて加点が小さく出ました。ノーミスの中の細かい加点の欠落。106.35は素晴らしいのですが、これ出もパーソナルベストでもなくシーズンベストでもない。フリーで基礎点差があるのでもう少しショートで点が欲しかったかもしれません。

続いてチャレンジャー位置にいる三浦選手。4回転サルコウは本人初の+4超え。ところがトリプルアクセルから怪しくなって、得意のトーループが転倒でコンボはいらず。まだ若い、キスアンドクライでも取り繕う姿も無く暗い表情のまま85.00 第3グループには残りますが、表彰台争いからは脱落模様。続いて昨季2位ながら今期の立ち位置はやはりチャレンジャーなチャジュンファン選手。4回転サルコウは得意ですが、意外とセカンドで3回転を付けることは少なく単独がこれまで多い選手。それが上位を狙うにはショートで4回転2本が欲しい、ということで無理をしたでしょうか、セカンド3回転飛びに行って転倒。そこから崩れずに立て直すあたりはさすがですが88.21だとやはり表彰台争いから脱落。韓国来期3枠はほぼ消滅ですが、2枠は取れるかな、という状況です。

残り3人でマリニン選手。今日は安全運転で4回転ルッツからのコンビネーションですという謎構成。素晴らしい演技ですし、つなぎも多くPCSが出るようにはなってきていますが、それでもまだ難しい技発表会な雰囲気になっているあたりで、表現力という方向から見た点の伸びなさになっているでしょうか。105.97で2位。フリーの基礎点差あるので問題ない位置です。

4強は順当に結果を出してきてのラス前宇野昌磨選手。意外とノーミス少ない選手ですが、ここではどうか? 冒頭4回転フリップは平均GOE+4.222付いて自己最高です。4-3ちょっと怖かったですがノーミス。107.72で首位に立ちます。

最終滑走、ヨーロッパチャンピオンのアダムシャオイムファ選手。4強が100点後半で並ぶか、と思われたのですが、ルッツ2回転、アクセルステップアウト、トーループで転倒のコンボはいらず。ここまで盛り上がっていて最後これですか・・・、というところでしたがここからステップ満点を出すと不思議展開。ショート落ちも心配されるところでしたがスピンステップPCSで稼いで77.49出して19位でフリー進出。ただ、表彰台争いからは脱落です。

 

首位から3位まで1.75差の僅差。ただ3位と4位は12.10の大差がつきました。優勝争い、表彰台争いは上位3人に絞られた感があります。

来期3枠は日本とアメリカは固そう。今期3枠あった韓国は完全に赤信号。イタリアが6位と13位なので、フランジパーニ選手が躍進すれば6位7位あたりでの3枠の芽が残ります。2枠は韓国、カナダあたりは取りそうですが、フランスが19位と22位でかなり危ない状態。エストニアのセレフコ選手は12位で10位と0.92差。兄弟ワールドのために10位に入って2枠を持って帰りたい、という状態で後半へ進みます。

 

フリーは第1グループ最終滑走に、ショートまさかの19位だったアダムシャオイムファ選手が出てきます。今日はジャンプ大丈夫なの? くらいに見ていたら、冒頭4回転ルッツを決めて、以降も止まらない。どこのネイサンチェンさんですか? という展開でしたがコレオでまさかのバックフリップ。またやるか。試合は投げちゃいけない、とか思いました。昔、ミーシャジーさんが、減点になってもいいから声いれた曲使う、というのもありましたので、主義主張としてはそれと同列、なような気もしますが、飛ぶ試合を選んでいるのは少し違うようにも思います。いずれにしてもフリーは206.90 第1グループで出る点数じゃないですこれ。トータル284.39 どこまで首位で残るでしょう。

 

第2グループはイタリアのフランジパーニ選手が上位進出すると3枠の芽が出てきたのですがトータル231.38で終わるとなかなか難しい。続くメキシコのカリーヨ選手、4回転サルコウ成功。ショートフリー共に決めたのは初。以降も大きなミスなく滑って152.48でパーソナルベスト。232.67を出して15人残して2位。過去最高位は20位なので自己最高更新決定。

第2グループ終わって、2位はイスラエルのゴロニツキー選手で243.25 あまり伸びてきません。

 

第3グループはトップ10入りを狙うショート12位のセレフコ兄選手から。前半4つのジャンプ完璧。4回転ルッツはさすがに回避しました。これは来期の兄弟ワールドあるか、というところから暗転。トリプルアクセルのコンビネーションが入れられず、おそらくそのリカバリーをしようとした最後の3回転サルコウもステップアウトでコンビネーションが1つ余る。フリーは163.49 ヨーロッパ選手権に続いての160点台でトータル247.57 11人残しての2位。スコア的にトップ10は微妙なところ。

続いてカナダのサドフスキー選手。ショート11位なのでトップ10に入って2枠を維持したいのですが、4回転サルコウのステップアウトで始まって以降ジャンプがことごとく決まらず。フリー137.29は厳しい、トータル221.57 10人残して9位、カナダもう1人のウェスリーチウ選手もこの時点で7位。事実上、2枠の確保もほぼなくなりました。

ここで、三浦佳生選手登場。4回転ループ転倒。次のトーループは何とか降りたけれど、その次のサルコウも転倒。その後ジャンプは気合で決めて行ったものの、スピンとステップも気合で突っ込んでいってレベルが取れていない、というように見えました。ジャンプは仕方ないとも思うのですが、スピンはもう少しきちんとやりましょう、と言わざるを得ないような滑りでした。フリー169.72のトータル254.72はキスアンドクライのお葬式感と比べて悪いスコアでもないです。4回転は2本入ったしコンビネーション完璧だったのは大きい。

 

ショート9位のチャジュンファン選手。さすがの4回転サルコウの後、トーループが1回転に。やはりサルコウのが得意だな、と思う間もなく次のサルコウオーバーターン。それでもコンボよく付けた。そんな我慢の滑りでしたが後半のトリプルアクセル転倒で力尽きたでしょうか。フリー161.44のトータル249.65 8人残して3位。韓国2枠確保は確定。2年連続の3枠が取れないのも確定。

ショートパーソナルベストで7位だったニカエガゼ選手。フリーはジャンプ決められず。意外と苦手なトリプルアクセルが2本とも決められないのが痛かったです。トータル241.55で7人残して6位。昨季ショート落ちですし、大躍進ということでよいかと思います。

 

第3グループ最終滑走はラトビアのバシリエフス選手。ノーミスが見たいのですがやっぱりやるのね4回転サルコウ。2回転になったものの転倒はせず。飛びなおし、はさすがに世界選手権ではやらずに標準構成。ジャンプは得意なわけでもないので、以降も今日の審判団だとしっかりqとかつけられはしましたが、流石のバシリエフスです、という演技。フリー168.38 トータル257.80 6人残して2位。6年ぶりの1桁順位が確定して、来期ラトビア2枠確保。ラトビアは200点を超えるとこまでは出してくるシニア可能なジュニアがいますので、今年2枠取れたのは良かったのではないかと思います。

 

最終グループを残してアダムシャオイムファ選手が1位を保ったまま。バシリエフス選手が2位で三浦佳生選手が3位です。3枠争いはあまり見どころなく、最終グループに2人いる日米はおそらく当確。ショートの時点で可能性あったイタリアはもう届かない。ということで、枠取りはあとは、6人残して5位のエストニアが10位に残れるかと、スイスのブリッチギー選手がしっかり10位以内に残れるか、というところくらいになっています。

 

最終グループはイタリアのメモラ選手から。この長身でサムソンとデリラはなんだかずるい。普通に滑っているだけでサムソン感があります。4回転ルッツは何とか降りて以降のジャンプもよかったのですが、後半ルッツがステップアウトでコンビネーション付けられず。4回転も跳べて得意なようでいて意外とミスも多い3回転ルッツです。そんなわけで技術点はそれほど伸びませんでしたがPCSは初めて80点に乗せてフリーは160.02 トータル253.12 5人残して4位なので初出場で1桁順位確保が確定します。

続いてジェイソンブラウン選手。アメリカの上位2人は両極振り切れていますが、ジェイソンブラウン選手は4回転無し。1人だけ何か違う競技のような滑り。2本目のトリプルアクセルが1回転半になりましたが、得点とかもうどうでもいいですという世界。4回転無しで180.46まで出してトータル274.33 4人残して2位に付けます。PCSは93.98まで出ました。

ここ2シーズンで一気に飛躍してきたブリッチギー選手が最終グループ3人目。割とミスの少ない選手。4回転さえ乗り越えれば、という最初の2本をしっかり決めると、そのままの勢いで最後まで。失点らしい失点は、3連続の3つ目が2回転になったことくらい。会心の演技で180.68とパーソナルベスト。トータル274.09で3人残して2位。スイスは来期も2枠あります。そして、あと3人まで来ても、まだ第1グループのアダムシャオイムファ選手がトップで残っています。

 

後は3強の優勝争い。宇野昌磨選手がここで出てきます。ショートは1位だけど最終滑走にマリニン選手がいるのでここはノーミスで滑りたい。でも意外とノーミス率の低い宇野選手。今季4回飛んで転倒1回、q2回、クリーンに降りたのは1度だけの4回転ループを転倒。ショートで+4.222もらっていた4回転フリップまでステップアウト。これで優勝はおそらく苦しくなった、と思いいましたがそれだけで終わらず、次のトーループからのコンビネーションでセカンドが2回転に。もしかして、表彰台危ないってある?? 3連続も着氷うまくいかず。ああ、ダメかも、いや、バックフリップに救われて表彰台残る展開もあるか?。という流れで結局173.13というオリンピック以降のワーストが出てトータル280.85 2人残して2位。まさかの結果となりました。

 

ラス前で鍵山優真選手登場。4回転サルコウからで+3.889 本人比これでも普通。そして次の4回転フリップ。これを初成功。ISU公認4人目。そのまま前半のジャンプはすべてクリーンに決めていく。難しい山は越えた。200点は確実。215点くらいまで行けば十分チャンスが、とおもったところで単独のトリプルアクセルをまさかの転倒。痛すぎる。転倒あっても203.30 トータル309.65で首位に立ちます。アクセル決まっていれば210点まで見えたのですが・・・。

 

最終滑走、イリアマリニン。優勝へのターゲットスコア203.68 パーソナルベストは207.76 滑ってみないとわからない。そんな領域でした。滑る前は。4回転をアクセル込みで5種類6本、コンビネーションはすべて後半で基礎点109.79の構成を全要素全ジャッジプラス評価で滑り切り。技術点137.18 フリー227.79 トータル333.76 新時代が始まりました。

 

結局表彰台3人は、今シーズンのグランプリファイナルチャンピオン、4大陸チャンピオン、ヨーロッパチャンピオンと並び、ディフェンディングチャンピオンは4位。4強とその下は最後の点差としてはそれほどあきませんでしたが、印象としては5位以下は表彰台争いに絡めていなかったなあ、というくらいな差はありました。

それにしても4回転アクセル含めた5種類6本。なんだこれは? という構成が完璧に演じ切られました。異次元とはこういうことを言う。新しい時代が始まりました。敵は、ケガだけ? ただ、まだ全く手が届かないというわけでもないなこれ、というのも鍵山選手が見せてくれた部分はありました。

来期3枠は日本とアメリカ。2枠をフランス、スイス、ラトビア、イタリア、韓国が確保。エストニアはセレフコ兄選手11位で来期の兄弟ワールドは無しです。まあ、男子は、来期に誰が出ても日本はオリンピック3枠は問題なく取ってくることでしょう。

 

次回から数値編となります。

 

 

世界選手権24 女子シングル

今期も世界選手権が終わり、シーズンがほぼ終わってきました。いろいろと簡単にいかないものだなあ、と思わされた世界選手権。毎度のことですがハラハラさせられます。

今回は、全体の試合展開を振り返っていきます。まずは女子シングルから。数値編は振り返りやった後に別途行います。

 

○女子シングル 総合結果

Pl Name Nation Total SP FS
1 Kaori SAKAMOTO JPN 222.96 73.29 149.67
2 Isabeau LEVITO USA 212.16 73.73 138.43
3 Chaeyeon KIM KOR 203.59 66.91 136.68
4 Loena HENDRICKX BEL 200.25 76.98 123.27
5 Kimmy REPOND SUI 196.02 62.64 133.38
6 Haein LEE KOR 195.48 73.55 121.93
7 Mone CHIBA JPN 195.46 62.64 132.82
8 Hana YOSHIDA JPN 194.93 64.56 130.37
9 Livia KAISER SUI 187.24 64.05 123.19
10 Amber GLENN USA 186.53 64.53 122.00
11 Ekaterina KURAKOVA POL 184.76 62.34 122.42
12 Young YOU KOR 183.35 67.37 115.98
13 Anastasiia GUBANOVA GEO 182.42 58.66 123.76
14 Olga MIKUTINA AUT 177.76 60.77 116.99
15 Nina PINZARRONE BEL 177.46 64.04 113.42
16 Niina PETROKINA EST 176.53 66.23 110.30
17 Lorine SCHILD FRA 172.90 59.41 113.49
18 Madeline SCHIZAS CAN 171.78 59.65 112.13
19 Josefin TALJEGARD SWE 167.47 61.55 105.92
20 Sarina JOOS ITA 167.04 59.39 107.65
21 Nataly LANGERBAUR EST 159.55 53.81 105.74
22 Tzu-Han TING TPE 157.83 56.32 101.51
23 Mia RISA GOMEZ NOR 147.13 55.09 92.04
24 Nella PELKONEN FIN 145.45 56.82 88.63
25 Nina POVEY GBR 53.50 53.50  
26 Alexandra FEIGIN BUL 53.33 53.33  
27 Julia SAUTER ROU 52.52 52.52  
28 Eliska BREZINOVA CZE 50.90 50.90  
29 Kristina ISAEV GER 50.07 50.07  
30 Vanesa SELMEKOVA SVK 48.94 48.94  
31 Sofja STEPCENKO LAT 46.74 46.74  
32 Mariia SENIUK ISR 46.57 46.57  
33 Anastasia GRACHEVA MDA 46.12 46.12  
34 Anastasia GOZHVA UKR 40.28 40.28  
35 Meda VARIAKOJYTE LTU 40.04 40.04  

序盤に登場してくる選手はシーズンベストほどの点はなかなか出てこずフリー進出ラインは下がっていっているなあという印象。11人滑った時点で56.82が首位。以降はこの点数を超えればフリー進出は最低出来ます。

次のグループでようやく60点台が出始めますがなかなかベストの滑りを出来ている選手が出てきません。スイスのカイザー選手は良かったかな。

その次、第4グループに入っても、これショート落ち?みたいな選手が続いてしまいますが、21番滑走、ユヨン選手。ようやくここで会心の演技が出てきました。かつての天才少女もはや19歳。オリンピック以降のベストの演技だったと思います。3-3クリーンに決めたのはオリンピック以来でしょうか。67.37で首位に立ちます

続いて全米チャンピオンのアンバーグレン選手も続いて、70点出るか、という序盤の演技だったのですが、最後のループでまさかの転倒。それでも64.53でこの時点で2位に付けます。続くレポンド選手もルッツ転倒ながら62.64 さすが第4グループの後半の選手はミスが出ても60点台を出してきます。

フリー進出ラインは53.50で第5グループへ。これくらいなら、多少ミスが出てもだいじょうぶかな、というところで25番滑走千葉百音選手。序盤良かったので、これは70点ペースと思ったのですが、最後のルッツが抜け1回転で0点に。グレン選手と似たような展開ですが、3回転して転倒よりも抜け1回転はダメージが重く62.64は10人残して6位。フリー進出は確定ですが第3グループに入れるかどうかといったところ。

日本からもう1人吉田陽菜選手は第5グループ最終滑走。アクセルどうするんだろう? と思ったらダブルにしました。安全策取ると普通の3回転でミスをする法則が心配でしたがまずまず無難な滑り。実際にはコンビネーションがダブルqで-5ではありましたが、スピンステップオールレベル4で64.56 6人残して3位に付けます。ショート落ちが1番心配な選手でしたが、問題なくフリーに進みました。

 

最終グループは好演技連発。イ・ヘイン選手は復活の演技。グバノワ選手が続けばよかったのですがフリップ転倒でコンボはいらず60点に届かないとフリー第1グループになりました。キムチェヨン選手はジャンプでアンダーローテーションとエッジ注意でますが遠目にはいい演技でちゃんと最終グループに残る点を出してくる。レビト選手も、なんか大人びたなあという雰囲気をまとってパーソナルベスト、73.73、僅差ながら首位に出ます。スモールメダル確定。

ヘンドリックス選手は基礎点で差が無いショートで坂本選手の上へ出ておきたいところ。今季ただ一人の全試合70点台は伊達ではなく、76.98のパーソナルベストを出してきました。そのスコアを聞きながら最終滑走坂本選手がリンクへ。余裕なのか緊張感足りないのか、笑顔の意味はどちらなのか? ダブルアクセルこそいつもの爆加点を引き出しますが、次のルッツは着地だけでなく踏切もエッジを取られ減点、コンビネーションもいつもほどの出来でもなく、ステップがレベル3も痛かった。それでも73.29と踏みとどまって4位。首位とは3.69差。射程圏内に付けてショートを折り返します。

 

ショート終わって1位と2位の点差は3.25 2位から4位までは0.44の僅差。一方4位と5位は5.92差付きました。上位4人は昨季の上位4人でもあり、優勝争いはこの4人に絞られたのでしょう。表彰台争いもこの4人かなあ、という展開。それにしても最終グループは昨季の上位6人から三原選手が外れユヨン選手が入っただけであとの5人は今年も強いですね、という展開になりました。

千葉選手は14位で第2グループからですが、5位までなら4.73差なので届く距離。吉田陽菜選手は8位で、やはり5位までは2.81差なので十分射程圏です。3位までは8.99差あるので、吉田選手の爆発力でも厳しいかなあ、という印象。

3枠確保は吉田選手が割とフリー得意ですし何とかなるでしょう、という展開になりました。ベルギーは昨季合計14でわずかに取れなかった3枠がショート終わって12と今年も際どい勝負、韓国は3位5位6位と最終グループ全員入ってますので3枠当確でしょう。2位9位のアメリカも十分チャンスがある。来期は4カ国3枠の可能性が出てきての折り返しです。

 

フリーの第1グループは、この中だとグバノワ選手だけ実績が抜けています。会心の、とまではいかないまでも、大過失はなく123.76まで出してトータル182.42 上位で枠取り争いする選手たちにとって気になる点までは出してきました。

第3グループでは2番滑走で千葉百音選手が出てきました。序盤はいい出来、このままノーミスで200点に乗せていきたいというところでループがしっかり着地できず。得意なわけではないけれど珍しい形の失敗。後半ジャンプが難しいのが来るので心配でしたが崩れず滑り切りました。終わった後も少し硬かったでしょうか、緊張感が抜けない姿が見て取れました。フリー132.82でトータル195.46 まだ16人残っていますので順位は全然わかりませんが、ショートの13位からは順位を大きく上げそう。でも、滑走順もう少し後ろならPCSもうちょっともらえたかなあ・・・。

今期国際大会8試合目、「地元」のワルシャワカップ以外は結果を残せず苦しんでいる印象のクラコワ選手。数少ない3連フリップ。今回も冒頭に持ってきてqながらもしっかり降りました。全体的にジャンプはなんとか、という感じがどうしても出ていますけど、存在感はさすが。そして、滑り終わってご機嫌に走り出す。ショート落ちのユーロからの復活が見られてよかったです。相変わらずの明るさ。フリー122.42でトータル184.76 シーズンベスト更新。

前半グループ終わって千葉選手1位、クラコワ選手2位、グバノワ選手3位。クラコワ選手がトップ10に残ってポーランド2枠取れるかどうか際どいところ。

 

後半グループはレポンド選手から。今期はあまりぱっとしない印象だったのですが、最後の最後のこの演技でノーミス。フリー133.38のパーソナルベストを出してトータル196.02も自己ベスト更新。千葉選手の上へ出て首位に立ちます。2年前の世界ジュニアからことごとく日本選手の少し上に出ていきます。

スイス勢が続いて次はカイザー選手。ノーミス続いた。けど、まだ、PCSがもらえる演技ではちょっとないかなあ・・・、ということで123.19 トータル187.24は10人残して3位。スイス2枠はきっちり確保。

ピンツァローネ選手は来期3枠へ順位を上げたいところが冒頭ルッツから転倒。以降もユーロではqで耐えていたジャンプが<まで行ってしまいスコア伸びず。トータル177.46で9人残して7位だと、ヘンドリックス選手が優勝しても3枠は回ってこなさそう。

続いてアンバーグレン選手。表彰台は厳しいけれど何とかトップ6へ。アメリカ3枠へ。夢を乗せてトリプルアクセル。これはクリーンに決まったのですが、意外とそのあとクリーンに続かないグレン選手。今回もまたそれが出てジャンプ抜け2つ。飛んでステップアウトや転倒より、抜けて入らないことが多いですね。トータル186.53 本人は満足いかなさそうですが、8人残して4位。アメリカ3枠の芽が残りました。

怪我から回復途上なのにショート7位で驚かせたペトロキナ選手。フリーは明らかな怪我対応構成で、今日の審判団だと結構きっちり回転取るのでその点でも苦しい。というところでスコア伸びず、176.53止まりで7人残して9位。エストニアは来期は1枠に戻ることがほぼここで決まります。

さて、第3グループ最後に吉田陽菜選手。グランプリファイナルの再現が出来れば210点近くまで出るので展開次第では表彰台も無くはない、という位置。難しい曲だと思うのですがフリーは得意とトリプルアクセルを決めてきます。回転足りたと思ったのだけどq これはノーミスコースと思ったのですが、フリップに!がつくのまでは織り込み済みですが、ルッツ転倒が痛かった。ついでに目立ってませんがセカンドで3T予定が2回転もあって印象ほどは点が伸びずの130.37 トータル194.93は僅差で3位。一桁順位は確定しましたが、もう少し欲しかった、というスコアでした。

 

最終グループ6人残して、1位レポンド選手、2位千葉選手、3位吉田選手に4位カイザー選手、5位はグレン選手。日本の来期3枠確定はまだお預けですが問題ないだろうという展開。アメリカも3枠の芽が結構出てきています。千葉選手、8番滑走からまだ2位に残っていて、いつまで上位組拘束されているんだろう、という状態です。以前は前半グループは拘束されていなかったような気がするのですが。

 

最終グループはキムチェヨン選手から。首位に立つには129.12が必要。今期はあと一歩が多いのですけど、今回はしっかり決めていきます。ただ、やはりちょっとできること発表会な雰囲気になっていてPCS稼げる滑りではない部分があります。今回もフリップで!取られつつもほぼノーミスと呼べる範疇。技術点は72.81まで出してフリー136.68 トータル203.59で首位に立ちます。ただ、このスコアだと表彰台争い的にはちょっと足りないかな、という印象。

韓国続いて2人目ユヨン選手。この時点で3枠確定させる6位以内には119.88で届き、首位に立つには136.23が必要。序盤は、これは復活来たか、と思えるような出だしだったのですがループで転倒。ここからおかしくなって以降立て直せませんでした。ジャンプだけでなく、スピンステップももう少し加点をもらえる選手なのですが、後半は全体的に元気がない。フリー115.98にとどまってトータル183.35だと4人残して8位。韓国3枠確定はお預け。逆に日本はここで坂本選手を待たずに3枠が決まります。あれ、スイスが3枠の芽が出てきてる? という意外な展開もついてきました。

 

今季ここまで全試合フリー最終滑走だった坂本選手が今回は3番滑走で登場。130.31で首位に立てますがターゲットはそこじゃない。今日のダブルアクセルはあまり高くなかったように感じましたが、加点はいつも通り大量ゲット。続いてルッツは・・・、これは今日の審判団はe取るよね…、という感じですが、ショートの失敗があったのでその対処の結果ですかね。以降は全要素全ジャッジ+2以上もらっていきます。ステップはレベル3 3人残しているからPCSどれだけくれるかなあ??? と心配でしたが74.59もらってフリー149.67 トータル222.96で問題なく首位に立ちます。ただ、後続にもチャンスが残るスコアでもありました。

 

続いて今期こそのレビト選手。自身の表彰台とアメリカの3枠が懸かるフリー。ノーミス、には見えるのだけど、飛ぶぞ感のあるジャンプなので、案外加点もらえないんですよね。そして、今日の審判団はこのルッツだとエッジを取る。PCSはどう見るんだろう、と思ったら初めて70点に乗せての70.39をもらいました。フリー138.43は国別除いてのベスト。トータル212.16で2位。残り2人を待ちます。

 

初優勝を狙うヘンドリックス選手がラス前で登場。首位に出るには145.99が必要。自己ベストは145.33 ワールドのこの滑走順ならノーミスすればPCSは自己ベスト時より出るので坂本選手を超えることは可能。しかし、1ミスでもう届かない。今日の審判団はエッジも回転も結構きっちりとる。さあ、どうなる? 冒頭のコンビネーション、セカンドが2回転。これ、狙って2回転にして後半3-3にする勝負に出た? どう? 微妙で判断付きませんでした。前半ジャンプは順当に決めて行ったのですが、後半、コンビネーションのルッツが2回転になったところで優勝はもう届かない。次のジャンプ転倒で2位も届かない。最後の3連続もq付けられてこれで表彰台も届かなくなってフリーは123.27 トータル200.25は1人に超して4位。レビト選手の表彰台とアメリカ来期3枠がここで決まり、韓国勢の2年連続メダルも決まります。

 

最終滑走イ・ヘイン選手。韓国3枠は112.99で確保。113.69以下ならスイスが3枠なので、この狭い範囲の中なら4カ国が3枠取るという珍しい可能性が。表彰台ラインには130.05で届き、優勝するには149.42が必要。自己ベストは国別対抗戦の148.57があり、昨季の世界選手権は147.32 十分チャンスのある領域。ところが、冒頭のコンビネーションから、これ、足りてないよね回転・・・。という始まりで次のルッツ抜けで優勝はなし。そのあとのループとサルコウもステップアウト。これ…、もしかして韓国3枠も危ないんじゃ・・・、という展開に。この流れでもスピンはすべてレベル4取り、後半ジャンプも踏みとどまって転倒は無し、ということでどうにか121.93は確保してトータル195.48で6位。このフリーは今期のイ・ヘイン選手が出てしまいましたが、何とか韓国3枠は確保して終わりました。

 

予想外の展開が次々に起こる試合でしたが、優勝は結局大本命坂本選手でした。2位3位はどちらも17歳。現行ルールならどちらもシニアに上がれていない年回りです。相変わらずティーンエージャーが強い女子シングル。来期も今シーズンに続いて、シニアに上がる有力ジュニアがいない、というシーズンになります。新ルール新シニアは2年後、オリンピックシーズンに上がってきます。来期はグランプリシリーズあたりは基本的に今期と同じメンバーで戦っていくことになるはずです。ワールドは日韓あたりは中の入れ替わりは普通に起こるとは思いますけれど。

来期3枠を日米韓が確保。この3国が3枠持ってしまうと、他国はトップ10に入るのが大変です。カナダ、ポーランドエストニア、このあたりの2枠欲しい国にとっては、アメリカか韓国かどちらかは2枠でいてほしかったところでしょう。スイスは躍進の5位と9位。あと1つで3枠取れました。ベルギーは逆に4位と15位で3枠から遠ざかった形です。

 

次回男子シングルを振り返った後、数値編へと進みます。

 

世界選手権24 男子シングルプレビュー

女子に続いて男子です。同じように、今シーズンのこれまでの実績から世界選手権の展望をしていきます。

 

○今シーズンの戦績

  Name Nation Season best 2nd best Worst National
1 Ilia MALININ USA 314.66 310.47 281.68 294.35
2 Yuma KAGIYAMA JPN 307.58 288.65 265.59 292.10
3 Adam SIAO HIM FA FRA 306.78 298.61 276.17 304.41
4 Shoma UNO JPN 297.34 286.55 279.98 298.04
5 Kao MIURA JPN 274.56 267.81 242.95 280.08
6 Junhwan CHA KOR 272.95 254.86 216.61 275.94
7 Mikhail SHAIDOROV KAZ 264.46 256.34 235.29  
8 Lukas BRITSCHGI SUI 263.43 254.60 229.37 264.89
9 Boyang JIN CHN 258.67 256.89 226.79  
10 Aleksandr SELEVKO EST 256.99 244.46 214.18 235.99
11 Nikolaj MEMOLA ITA 256.24 250.37 199.38 248.68
12 Deniss VASILJEVS LAT 256.18 255.15 215.34  
13 Gabriele FRANGIPANI ITA 251.59 246.09 187.55 239.78
14 Nika EGADZE GEO 243.35 243.31 233.16  
15 Wesley CHIU CAN 240.38 230.52 208.82 232.15
16 Vladimir LITVINTSEV AZE 237.44 228.57 209.21  
17 Jason BROWN USA 236.75   236.75 264.50
18 Camden PULKINEN USA 230.84 229.32 210.46 262.33
19 Luc ECONOMIDES FRA 230.74 212.91 204.97 243.59
20 Hyungyeom KIM KOR 230.46 223.61 211.76 229.50
21 Vladimir SAMOILOV POL 230.17 222.94 202.43 192.01
22 Adam HAGARA SVK 225.61 222.78 200.10 208.93
23 Nikita STAROSTIN GER 220.38 211.85 198.32 198.94
24 Roman SADOVSKY CAN 217.83   217.83 204.94
25 Maurizio ZANDRON AUT 216.28 207.59 202.91 224.34
26 Tomas Llorenc GUARINO ESP 215.98 214.20 151.36 220.64
27 Lev VINOKUR ISR 215.87 205.36 170.85  
28 Ivan SHMURATKO UKR 215.68 210.65 200.67  
29 Andreas NORDEBACK SWE 214.29 198.95 189.42  
30 Burak DEMIRBOGA TUR 213.38 211.02 182.95 220.99
31 Semen DANILIANTS ARM 212.07 179.92 171.38  
32 Sihyeong LEE KOR 209.13   209.13 241.05
33 Valtter VIRTANEN FIN 208.98 200.83 188.80 200.83
34 Donovan CARILLO SUAZO MEX 205.70 202.47 153.68 223.87
35 Edward APPLEBY GBR 205.55 202.68 170.97 219.61
36 Alexander ZLATKOV BUL 204.37 190.21 169.57 183.81
37 Jarri KESSLER CRO 199.77 192.04 169.97 221.86
38 Davide LEWTON BRAIN MON 198.23 197.17 163.22 154.72
39 Jari KESSLER CRO 199.77 192.04 169.97  
40 Aleksandr VLASENKO HUN 187.27 183.76 156.79 189.29

男子シングルは40人がエントリー。シーズンベスト1位はマリニン選手です。複数回の310点台。強いです。ただ、必ず300点を超えるということもなくて、ワーストは280点程度まで下がります。

シーズンベスト2位は鍵山選手です。試合ごとにスコアを上げてきています。4大陸の307.58より上はあるか? 優勝するには、おそらくその上まで行くことが必要そうには感じます。

アダムシャオイムファ選手がシーズンベスト3位。ここまでが300点超えです。ヨーロッパ選手権は結果的に楽勝でしたが、世界選手権はバク転してる余裕はないはずです。ヨーロッパ男子の世界選手権制覇は16年のハビエルフェルナンデス選手まで遡ります。ヨーロッパ勢として8年ぶり、フランス勢としては17年ぶりのワールド制覇なるか?

2連覇中の宇野昌磨選手がシーズンベストは4番目。意外とノーミスが少ない宇野選手。ノーミスすれば310点も問題なく出るのですが、シーズン終盤に調子を合わせてこられているかどうか。

この上位4人が順当にいけば優勝争い、ということになりそうです。

三浦佳生選手、チャジュンファン選手が270点台のシーズンベストを持っています。優勝争いは厳しいけれど表彰台を伺う位置にいる、と言えるでしょうか。

260点台に2人、カザフスタンのシャイドロフ選手とスイスのブリッチギー選手。近年の成長株。たまたま1つ入スコア持っているというのでもなく250点台のセカンドベストもありますし、地力をつけてきている印象。上位争いに絡んでくるかもしれません。

250点台に5人います。ベテランのボーヤンジン選手とバシリエフス選手、イタリアから新鋭のメモラ選手にフランジパーニ選手、さらにエストニアのセレフコ選手といます。このあたりの選手は来期2枠欲しい、イタリアは出来れば3枠欲しいという位置です。エストニアのセレフコ選手は特に、兄弟で世界選手権に出るには2枠必須ですのでトップ10にどうしても入りたいところ。2枠確保争いも激しい。

それより下では、今期はジャパンオープンの他にはゴールデンスピンとナショナルしか出ていないジェイソンブラウン選手がいます。236.75というシーズンベストはあまり参考にならなさそうです。表彰台争いまでするのは厳しい構成なのですが、また存在感は示してくれるのではないかと思います。

 

ショートプログラム シーズンベスト上位24人

  Name Nation Season best 2nd best Worst National
1 Adam SIAO HIM FA FRA 109.04 101.07 84.00 99.82
2 Ilia MALININ USA 106.90 104.06 100.87 108.57
3 Yuma KAGIYAMA JPN 106.82 105.51 91.47 93.94
4 Shoma UNO JPN 106.02 105.25 100.20 104.69
5 Kao MIURA JPN 99.58 94.86 80.80 93.91
6 Junhwan CHA KOR 95.30 91.80 83.91 96.51
7 Aleksandr SELEVKO EST 93.10 90.05 75.85 68.81
8 Lukas BRITSCHGI SUI 91.51 91.17 74.02 93.09
9 Boyang JIN CHN 91.25 89.41 76.21  
10 Mikhail SHAIDOROV KAZ 89.94 85.75 79.18  
11 Nikolaj MEMOLA ITA 89.41 88.99 70.27 90.70
12 Camden PULKINEN USA 86.40 83.44 62.96 87.90
13 Nika EGADZE GEO 85.76 84.11 77.00  
14 Deniss VASILJEVS LAT 85.36 82.40 75.84  
15 Gabriele FRANGIPANI ITA 85.19 83.51 63.95 91.04
16 Wesley CHIU CAN 83.50 80.93 72.02 88.98
17 Vladimir SAMOILOV POL 81.88 79.76 68.14 62.64
18 Vladimir LITVINTSEV AZE 80.03 74.61 62.13  
19 Luc ECONOMIDES FRA 78.59 76.99 69.54 86.55
20 Jason BROWN USA 78.48   78.48 89.02
21 Adam HAGARA SVK 78.02 74.97 59.86 73.88
22 Andreas NORDEBACK SWE 78.01 77.62 66.28  
23 Hyungyeom KIM KOR 77.01 75.24 72.61 79.44
24 Tomas Llorenc GUARINO ESP 76.89 71.93 55.04 75.20

ショートプログラムはシーズンベスト24位で76.89あります。上位選手でもシーズンワーストがこれより低い選手は結構な数います。まずはショート通過が第一関門。

ベストスコア1位はアダムシャオイムファ選手です。ただし、この109.04はB級大会で出したものでISU公認スコアにはなっていません。公認スコアでも100点超えを持っています。

100点超えは4選手いて、トータルスコア上位4名と同じです。優勝争いにはショート100点超えは必須で、ショートからミスが入った選手は脱落かと思われます。ただ、表彰台争いにまではまだ絡めるかもしれません。

三浦選手も100点に近いシーズンベスト。初の100点超えで上位に食らいつきたいところ。チャジュンファン選手も100点実績ありますし、2年連続表彰台には100点が欲しいところです。

ちょっとその下はスコアが落ちてきます。ボーヤンジン選手が完全復活する、ジェイソンブラウン選手が超絶PCSで稼ぐ、などで100点近いスコアを出してくる、という展開はあるかもしれませんが、他は厳しいか。それとも、このワールドで覚醒して新たに上位に顔を出してくる選手がいるでしょうか。

 

○フリー シーズンベスト上位24人

  Name Nation Season best 2nd best Worst National
1 Ilia MALININ USA 207.76 206.41 180.81 185.78
2 Adam SIAO HIM FA FRA 207.17 205.71 182.04 204.59
3 Yuma KAGIYAMA JPN 200.76 184.93 174.12 198.16
4 Shoma UNO JPN 191.32 186.35 174.73 193.35
5 Kao MIURA JPN 181.02 177.09 143.37 186.17
6 Junhwan CHA KOR 177.65 163.06 130.43 179.43
7 Lukas BRITSCHGI SUI 176.49 168.34 151.29 171.80
8 Mikhail SHAIDOROV KAZ 174.52 170.59 152.47  
9 Deniss VASILJEVS LAT 174.14 170.82 133.38  
10 Boyang JIN CHN 167.48 167.42 145.36  
11 Aleksandr SELEVKO EST 166.94 158.74 133.64 167.18
12 Nikolaj MEMOLA ITA 166.83 161.38 129.11 157.98
13 Gabriele FRANGIPANI ITA 166.40 164.87 123.60 148.74
14 Nika EGADZE GEO 164.60 159.20 150.87  
15 Vladimir LITVINTSEV AZE 162.83 158.97 139.49  
16 Vladimir SAMOILOV POL 159.12 144.70 132.79 129.37
17 Jason BROWN USA 158.27 144.38 144.38 175.48
18 Wesley CHIU CAN 158.19 156.88 127.89 143.17
19 Hyungyeom KIM KOR 155.22 149.54 138.31 150.06
20 Luc ECONOMIDES FRA 153.75 139.78 131.97 157.04
21 Adam HAGARA SVK 148.51 147.59 125.16 135.05
22 Camden PULKINEN USA 147.50 147.40 142.92 174.43
23 Lev VINOKUR ISR 147.28 135.46 121.65  
24 Roman SADOVSKY CAN 145.39   145.39 136.65

フリーは200点超えが3選手います。マリニン選手とアダムシャオイムファ選手が207点台。この2人は200点超えを今期複数回出しています。ワーストだと180点台。意外と伸びない、というケースもあるかもしれません。

鍵山選手もぎりぎり200点があります。ノーミスではなかったので伸びしろはある。宇野選手は191点までです。どこまでワールドに合わせてくるか。

三浦選手は180点台。上位の4人と比べるとワーストが極端に下がります。安定感はあまりない。ただ、枠取りは気にしなくていいと思われますので、一発勝負して表彰台か、大崩れか、でいいかとも思います。

170点台は4選手。チャジュンファン選手はもう少し出せる力がありましたが今季はまだあまり力を発揮していません。ワールドで本領発揮できるか? ブリッチギー選手、シャイドロフ選手もセカンドベストがシーズンベストに近いですので、ワールドでもしっかり上位で勝負できそうに見えます。バシリエフス選手は4回転決められると強いのですがどうか。

ボーヤンジン選手は旧ルールで300点を出したこともある選手。そろそろ復活した姿を見たいところです。

 

○上位6選手のフリーの技術点シーズンベスト時の構成

  Ilia Yuma Adam Shoma Kao Junhwan
MALININ KAGIYAMA SIAO HIM FA UNO MIURA CHA
1 4A 4S 4Lz 4Lo 3A+1Eu+3S 4S
2 4Lz 4F 4T+2T 4Fq 4T+3T 4T
3 4Lo 4T+1Eu+3S 3A+2A 3A 4S 3Lz!+3Lo
4 4S 3A+2A 4S 1A FCSp1 FCSp4
5 CCSp4 FCSSp4 4T StSq4 3A 3Lz!
6 StSq3 3A 3A 4T+3T StSq3 StSq4
7 4Lz+1Eu+3S 3Lz!+3T StSq4 4Tq 4T 3A+2A
8 4T+3T ChSq1 3Lz+1Eu+3S 3A+1Eu+3Fq 3Lo+2A 3A
9 ChSq1 3F FCCoSp4 FCSp4 3F 3F+1Eu+3S
10 3Lz+3A StSq4 ChSq1 CSSp3 CSSp2 CCoSp4
11 FSSp3 CCoSp4 CCoSp4 ChSq1 ChSq1 ChSq1
12 CCoSp4 FCCoSp4 CSSp4 CCoSp3 CCoSp4V FCCoSp4
Base 108.09 88.94 91.22 87.00 82.63 85.34
GOE 13.40 18.34 24.48 11.95 14.17 6.43
PCS 87.27 93.48 90.01 93.37 84.22 85.88
Total 207.76 200.76 205.71 191.32 181.02 177.65

マリニン選手はアクセル込みで4回転6本。アダムシャオイムファ選手と宇野選手は4本、鍵山選手、三浦選手は3本、チャジュンファン選手は2本、という構成。マリニン選手がやはり突出しています。基礎点108.09は驚異的。

宇野選手は昨季は4回転5本構成がありましたが今季はそこまで組んだことはありません。このシーズンベストの構成の時はアクセルが1回転ですし、コンビネーションも1つ余っていますし、4回転増やさずとももう少し基礎点は上がります。

アダムシャオイムファ選手はセカンド2回転があるのでここも基礎点の上りどころです。

鍵山選手はフリップを決められるかどうか。2回飛ぶジャンプがトリプルアクセルだけなので4回転なにか2回飛ぶこともできるのですが、今期はやらなさそうに感じます。

三浦選手はサルコウトーループで3本。ループかフリップか、どちらかを足しそうです。足さないと上位4人を超えていくのは難しい。

チャジュンファン選手はこの構成で完成度で勝負にしてくるでしょうか。

加点はアダムシャオイムファ選手が20点を超えるものをもらっています。ここまで稼げると強い。鍵山選手はフリップ失敗しても20点近い。ノーミスなら25点近いところになるはずです。マリニン選手はこの高難度だとさすがにノーミスは厳しくGOEは驚異的というほどは稼げていない。ただ、この構成でノーミスしてしっかり滑れば時代確立が確定しそうに感じます。まだ今期は他の選手も勝負になる。

PCSが鍵山選手宇野選手が高いです。アダムシャオイムファ選手はもう少し出そうな気もします。マリニン選手と鍵山選手で6.21差。80点台後半くらいでいてくれれば、PCSで4回転1本差分くらいはカバーできます。PCSまで上がってきたらもう手も付けられません。

 

○7-12番手の選手のフリーの技術点シーズンベスト時構成

  Mikhail Lukas Boyang Aleksandr Nikolaj Deniss
SHAIDOROV BRITSCHGI JIN SELEVKO MEMOLA VASILJEVS
1 4Lzq 4T+3T 4Lz 4T 4Lz 4S+2T
2 4Fe 4T 4T 3F 3A+1Eu+3S 4Sq
3 4T+3T 3A+2T 3A+1Eu+3S< 3Lo 3Lz 3A+2A
4 ChSq1 3Lo 3A 3A+3T 3Lo 3Lo
5 3F! CCoSp4 FCSp3 CCSp4 FCSp4 FSSp4
6 FCCoSp4 3A 4T+2T StSq4 3A ChSq1
7 4T 3F!+1Eu+3S 3Lz+2T 2A+2T 3Lz+3T 3A
8 3A+2A 3Lz CSSp4 3Lz+2A+2T 3F!+2A 3Lz+1Eu+3S
9 3Lz+1Eu+3S StSq3 ChSq1 3S CSSp4 3F
10 FCSSp3 ChSq1 3F FSSp3 StSq4 CCoSp4
11 StSq3 FCCoSp3 StSq4 ChSq1 ChSq1 StSq4
12 CCoSp3 CSSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 FCCoSp4
Base 89.35 79.60 82.77 69.44 80.27 80.20
GOE 8.81 14.94 9.02 13.98 8.31 9.49
PCS 72.43 81.95 76.69 83.52 78.25 85.45
Total 170.59 176.49 167.48 166.94 166.83 174.14

シャイドロフ選手は4回転4本あります。ボーヤンジン選手は3本。ブリッチギー選手が2本で、バシリエフス選手も2本入れています。セレフコ選手、メモラ選手は1本です。

シャイドロフ選手はフリップのeがありますが、それでも4回転4本あると基礎点は90点近いところまで来ます。他はあまり基礎点は高くありません。

ブリッチギー選手、セレフコ選手はGOEが高いです。4回転1種類だとGOEで稼ぐしかありません。

PCSはバシリエフス選手は80点台中盤まであります。一方、シャイドロフ選手は70点台前半。トップとはPCSで20点の差が付く。これだと4回転の本数増やしても追いつけないですので、シャイドロフ選手は滑りをもう少し磨かないといけなさそうです。

 

4強、の闘いなのか? 2連覇しているけれどシーズンベスト4位、という宇野選手の位置付けが微妙ですが、日米欧、それぞれのトップ選手で頂点を争います。マリニン選手の4回転アクセルが目立つので、そちらばかり注目が集まっていますが、アダムシャオイムファ選手も強い。優勝争いは非常に面白いものになりそうです。

宇野選手、3連覇すれば日本男子としては初の3回目のチャンピオンとなります。女子と違って男子は割と連覇が多いので、3連覇はネイサンチェンさん以来、というか2人続けて、ということになりますが、果たしてそれを成し遂げられるでしょうか?