前回の女子シングルに続いて、今回は男子シングルです。なかなかすごい試合展開でした。
○男子シングル 総合結果
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Ilia MALININ | USA | 333.76 | 105.97 | 227.79 |
2 | Yuma KAGIYAMA | JPN | 309.65 | 106.35 | 203.30 |
3 | Adam SIAO HIM FA | FRA | 284.39 | 77.49 | 206.90 |
4 | Shoma UNO | JPN | 280.85 | 107.72 | 173.13 |
5 | Jason BROWN | USA | 274.33 | 93.87 | 180.46 |
6 | Lukas BRITSCHGI | SUI | 274.09 | 93.41 | 180.68 |
7 | Deniss VASILJEVS | LAT | 257.80 | 89.42 | 168.38 |
8 | Kao MIURA | JPN | 254.72 | 85.00 | 169.72 |
9 | Nikolaj MEMOLA | ITA | 253.12 | 93.10 | 160.02 |
10 | Junhwan CHA | KOR | 249.65 | 88.21 | 161.44 |
11 | Aleksandr SELEVKO | EST | 247.57 | 84.08 | 163.49 |
12 | Mark GORODNITSKY | ISR | 243.25 | 80.49 | 162.76 |
13 | Nika EGADZE | GEO | 241.55 | 92.08 | 149.47 |
14 | Mikhail SHAIDOROV | KAZ | 234.19 | 80.02 | 154.17 |
15 | Donovan CARRILLO | MEX | 232.67 | 80.19 | 152.48 |
16 | Gabriele FRANGIPANI | ITA | 231.38 | 82.63 | 148.75 |
17 | Wesley CHIU | CAN | 227.21 | 78.00 | 149.21 |
18 | Hyungyeom KIM | KOR | 222.79 | 74.89 | 147.90 |
19 | Roman SADOVSKY | CAN | 221.57 | 84.28 | 137.29 |
20 | Camden PULKINEN | USA | 219.86 | 78.85 | 141.01 |
21 | Luc ECONOMIDES | FRA | 217.10 | 74.02 | 143.08 |
22 | Semen DANILIANTS | ARM | 213.99 | 73.46 | 140.53 |
23 | Andreas NORDEBACK | SWE | 211.45 | 76.20 | 135.25 |
24 | Sihyeong LEE | KOR | 207.59 | 73.23 | 134.36 |
25 | Vladimir LITVINTSEV | AZE | 72.16 | 72.16 | |
26 | Davide LEWTON BRAIN | MON | 71.58 | 71.58 | |
27 | Maurizio ZANDRON | AUT | 69.59 | 69.59 | |
28 | Tomas-Llorenc GUARINO SABATE | ESP | 68.35 | 68.35 | |
29 | Jari KESSLER | CRO | 68.32 | 68.32 | |
30 | Burak DEMIRBOGA | TUR | 68.18 | 68.18 | |
31 | Vladimir SAMOILOV | POL | 67.81 | 67.81 | |
32 | Nikita STAROSTIN | GER | 67.34 | 67.34 | |
33 | Ivan SHMURATKO | UKR | 66.90 | 66.90 | |
34 | Valtter VIRTANEN | FIN | 66.55 | 66.55 | |
35 | Adam HAGARA | SVK | 65.37 | 65.37 | |
36 | Georgii RESHTENKO | CZE | 65.35 | 65.35 | |
37 | Alexander ZLATKOV | BUL | 64.77 | 64.77 | |
38 | Edward APPLEBY | GBR | 59.51 | 59.51 | |
39 | Boyang JIN | CHN | 58.53 | 58.53 | |
40 | Aleksandr VLASENKO | HUN | 51.50 | 51.50 |
男子シングルは40人出場。全7グループ。世界ジュニアみたいな人数です。昨季は34人、一昨年は29人。だいぶ増えました。
ショート第1グループからメキシコのドノバンカリーヨ選手が4回転サルコウを決めて国際大会初の80点超え。4年ぶりのワールドでフリー進出濃厚。中南米の選手も伸びてくると面白いなあフィギュア界。
第2グループは全体的にスコア伸びず、フリーに残れる選手いるかどうかという水準。
第3グループはエースがいるので来期3枠を目指したい韓国のキムヒョンギョム選手、フランスのエコノミド選手と出てきますがスコアはほどほど。2人とも4回転が無い構成なこともあり70点台中盤に留まります。フリーには進めそうですが、3枠への貢献は厳しそう。
第4グループにはカナダのサドフスキー選手が登場。誰出てきても割と盛り上がる観客ですが、その中でも地元大歓声。でも今期はまだナショナルと4大陸だけであまり調子上がってないよね、と思いきやほぼノーミスと言える演技で84.28を出して首位に立ちます。危ういかなと思われていた来期カナダ2枠が、まあ行けそう、という1人目でした。
韓国2人目イシヒョン選手もこのグループで出てきましたがトリプルアクセル転倒で73.23 これフリー進出危ないんじゃ? というスコア。韓国は2人70点台で来期3枠はもうこの時点で赤信号です。
第5グループでは世界ジュニア3位表彰台のハガラ選手が出てきましたが、スピン零点なんかもあり65.37でショート落ちの憂き目にあいます。
来期2枠欲しいエストニアのセレフコ兄選手が84.08で2位に。この試合初のPCS40点台。この辺からレベルが上がってきます。続くフランジパーニ選手は4回転サルコウ転倒しながらも82.63とまずまず。イタリア、来期3枠は難しいにしても2枠はキープできそう。
続けなかったのがボーヤンジン選手。ルッツが2回転に次のトーループも2回転でジャンプ2つ零点。58.53のショート落ち。えーー、せっかく復活してきたと思ったのに・・・。からのベテラン続きでジェイソンブラウン選手も心配だったのですが、そんな心配を吹き飛ばす演技。4回転こそないのですが、スピン、ステップ、生きる芸術です。93.87で首位に立ちます。
第6グループはラス前グループ。上位を狙いたいプルキネン選手、シャイドロフ選手は今一つ伸びず。続いて、昨季のジュニアグランプリファイナルチャンピオンのメモラ選手がワールド初登場。ここで4回転ルッツ込みのノーミスが出ます。今大会最初の技術点50点超え。ただPCSはまだジェイソンブラウン選手と比べるとだいぶ差があって、スコア93.10は2位。初の90点台に乗せました。
続いてバシリエフス選手。今回はショートに4回転は入れず。この構成なら強いです。ノーミスで89.42を出してきます。続いてブリッチギー選手もノーミス93.41 ニカエガゼ選手もノーミス92.08 連続パーソナルベストで第6グループをしっかり締めて最終グループへいい流れが出来ました。
4強プラスチャレンジャー2人。最終グループ1番滑走は4大陸チャンピオンの鍵山選手。相変わらず美しい4回転サルコウでしたが、本人比ではいつもより少し質的に劣っていて加点が小さく出ました。ノーミスの中の細かい加点の欠落。106.35は素晴らしいのですが、これ出もパーソナルベストでもなくシーズンベストでもない。フリーで基礎点差があるのでもう少しショートで点が欲しかったかもしれません。
続いてチャレンジャー位置にいる三浦選手。4回転サルコウは本人初の+4超え。ところがトリプルアクセルから怪しくなって、得意のトーループが転倒でコンボはいらず。まだ若い、キスアンドクライでも取り繕う姿も無く暗い表情のまま85.00 第3グループには残りますが、表彰台争いからは脱落模様。続いて昨季2位ながら今期の立ち位置はやはりチャレンジャーなチャジュンファン選手。4回転サルコウは得意ですが、意外とセカンドで3回転を付けることは少なく単独がこれまで多い選手。それが上位を狙うにはショートで4回転2本が欲しい、ということで無理をしたでしょうか、セカンド3回転飛びに行って転倒。そこから崩れずに立て直すあたりはさすがですが88.21だとやはり表彰台争いから脱落。韓国来期3枠はほぼ消滅ですが、2枠は取れるかな、という状況です。
残り3人でマリニン選手。今日は安全運転で4回転ルッツからのコンビネーションですという謎構成。素晴らしい演技ですし、つなぎも多くPCSが出るようにはなってきていますが、それでもまだ難しい技発表会な雰囲気になっているあたりで、表現力という方向から見た点の伸びなさになっているでしょうか。105.97で2位。フリーの基礎点差あるので問題ない位置です。
4強は順当に結果を出してきてのラス前宇野昌磨選手。意外とノーミス少ない選手ですが、ここではどうか? 冒頭4回転フリップは平均GOE+4.222付いて自己最高です。4-3ちょっと怖かったですがノーミス。107.72で首位に立ちます。
最終滑走、ヨーロッパチャンピオンのアダムシャオイムファ選手。4強が100点後半で並ぶか、と思われたのですが、ルッツ2回転、アクセルステップアウト、トーループで転倒のコンボはいらず。ここまで盛り上がっていて最後これですか・・・、というところでしたがここからステップ満点を出すと不思議展開。ショート落ちも心配されるところでしたがスピンステップPCSで稼いで77.49出して19位でフリー進出。ただ、表彰台争いからは脱落です。
首位から3位まで1.75差の僅差。ただ3位と4位は12.10の大差がつきました。優勝争い、表彰台争いは上位3人に絞られた感があります。
来期3枠は日本とアメリカは固そう。今期3枠あった韓国は完全に赤信号。イタリアが6位と13位なので、フランジパーニ選手が躍進すれば6位7位あたりでの3枠の芽が残ります。2枠は韓国、カナダあたりは取りそうですが、フランスが19位と22位でかなり危ない状態。エストニアのセレフコ選手は12位で10位と0.92差。兄弟ワールドのために10位に入って2枠を持って帰りたい、という状態で後半へ進みます。
フリーは第1グループ最終滑走に、ショートまさかの19位だったアダムシャオイムファ選手が出てきます。今日はジャンプ大丈夫なの? くらいに見ていたら、冒頭4回転ルッツを決めて、以降も止まらない。どこのネイサンチェンさんですか? という展開でしたがコレオでまさかのバックフリップ。またやるか。試合は投げちゃいけない、とか思いました。昔、ミーシャジーさんが、減点になってもいいから声いれた曲使う、というのもありましたので、主義主張としてはそれと同列、なような気もしますが、飛ぶ試合を選んでいるのは少し違うようにも思います。いずれにしてもフリーは206.90 第1グループで出る点数じゃないですこれ。トータル284.39 どこまで首位で残るでしょう。
第2グループはイタリアのフランジパーニ選手が上位進出すると3枠の芽が出てきたのですがトータル231.38で終わるとなかなか難しい。続くメキシコのカリーヨ選手、4回転サルコウ成功。ショートフリー共に決めたのは初。以降も大きなミスなく滑って152.48でパーソナルベスト。232.67を出して15人残して2位。過去最高位は20位なので自己最高更新決定。
第2グループ終わって、2位はイスラエルのゴロニツキー選手で243.25 あまり伸びてきません。
第3グループはトップ10入りを狙うショート12位のセレフコ兄選手から。前半4つのジャンプ完璧。4回転ルッツはさすがに回避しました。これは来期の兄弟ワールドあるか、というところから暗転。トリプルアクセルのコンビネーションが入れられず、おそらくそのリカバリーをしようとした最後の3回転サルコウもステップアウトでコンビネーションが1つ余る。フリーは163.49 ヨーロッパ選手権に続いての160点台でトータル247.57 11人残しての2位。スコア的にトップ10は微妙なところ。
続いてカナダのサドフスキー選手。ショート11位なのでトップ10に入って2枠を維持したいのですが、4回転サルコウのステップアウトで始まって以降ジャンプがことごとく決まらず。フリー137.29は厳しい、トータル221.57 10人残して9位、カナダもう1人のウェスリーチウ選手もこの時点で7位。事実上、2枠の確保もほぼなくなりました。
ここで、三浦佳生選手登場。4回転ループ転倒。次のトーループは何とか降りたけれど、その次のサルコウも転倒。その後ジャンプは気合で決めて行ったものの、スピンとステップも気合で突っ込んでいってレベルが取れていない、というように見えました。ジャンプは仕方ないとも思うのですが、スピンはもう少しきちんとやりましょう、と言わざるを得ないような滑りでした。フリー169.72のトータル254.72はキスアンドクライのお葬式感と比べて悪いスコアでもないです。4回転は2本入ったしコンビネーション完璧だったのは大きい。
ショート9位のチャジュンファン選手。さすがの4回転サルコウの後、トーループが1回転に。やはりサルコウのが得意だな、と思う間もなく次のサルコウオーバーターン。それでもコンボよく付けた。そんな我慢の滑りでしたが後半のトリプルアクセル転倒で力尽きたでしょうか。フリー161.44のトータル249.65 8人残して3位。韓国2枠確保は確定。2年連続の3枠が取れないのも確定。
ショートパーソナルベストで7位だったニカエガゼ選手。フリーはジャンプ決められず。意外と苦手なトリプルアクセルが2本とも決められないのが痛かったです。トータル241.55で7人残して6位。昨季ショート落ちですし、大躍進ということでよいかと思います。
第3グループ最終滑走はラトビアのバシリエフス選手。ノーミスが見たいのですがやっぱりやるのね4回転サルコウ。2回転になったものの転倒はせず。飛びなおし、はさすがに世界選手権ではやらずに標準構成。ジャンプは得意なわけでもないので、以降も今日の審判団だとしっかりqとかつけられはしましたが、流石のバシリエフスです、という演技。フリー168.38 トータル257.80 6人残して2位。6年ぶりの1桁順位が確定して、来期ラトビア2枠確保。ラトビアは200点を超えるとこまでは出してくるシニア可能なジュニアがいますので、今年2枠取れたのは良かったのではないかと思います。
最終グループを残してアダムシャオイムファ選手が1位を保ったまま。バシリエフス選手が2位で三浦佳生選手が3位です。3枠争いはあまり見どころなく、最終グループに2人いる日米はおそらく当確。ショートの時点で可能性あったイタリアはもう届かない。ということで、枠取りはあとは、6人残して5位のエストニアが10位に残れるかと、スイスのブリッチギー選手がしっかり10位以内に残れるか、というところくらいになっています。
最終グループはイタリアのメモラ選手から。この長身でサムソンとデリラはなんだかずるい。普通に滑っているだけでサムソン感があります。4回転ルッツは何とか降りて以降のジャンプもよかったのですが、後半ルッツがステップアウトでコンビネーション付けられず。4回転も跳べて得意なようでいて意外とミスも多い3回転ルッツです。そんなわけで技術点はそれほど伸びませんでしたがPCSは初めて80点に乗せてフリーは160.02 トータル253.12 5人残して4位なので初出場で1桁順位確保が確定します。
続いてジェイソンブラウン選手。アメリカの上位2人は両極振り切れていますが、ジェイソンブラウン選手は4回転無し。1人だけ何か違う競技のような滑り。2本目のトリプルアクセルが1回転半になりましたが、得点とかもうどうでもいいですという世界。4回転無しで180.46まで出してトータル274.33 4人残して2位に付けます。PCSは93.98まで出ました。
ここ2シーズンで一気に飛躍してきたブリッチギー選手が最終グループ3人目。割とミスの少ない選手。4回転さえ乗り越えれば、という最初の2本をしっかり決めると、そのままの勢いで最後まで。失点らしい失点は、3連続の3つ目が2回転になったことくらい。会心の演技で180.68とパーソナルベスト。トータル274.09で3人残して2位。スイスは来期も2枠あります。そして、あと3人まで来ても、まだ第1グループのアダムシャオイムファ選手がトップで残っています。
後は3強の優勝争い。宇野昌磨選手がここで出てきます。ショートは1位だけど最終滑走にマリニン選手がいるのでここはノーミスで滑りたい。でも意外とノーミス率の低い宇野選手。今季4回飛んで転倒1回、q2回、クリーンに降りたのは1度だけの4回転ループを転倒。ショートで+4.222もらっていた4回転フリップまでステップアウト。これで優勝はおそらく苦しくなった、と思いいましたがそれだけで終わらず、次のトーループからのコンビネーションでセカンドが2回転に。もしかして、表彰台危ないってある?? 3連続も着氷うまくいかず。ああ、ダメかも、いや、バックフリップに救われて表彰台残る展開もあるか?。という流れで結局173.13というオリンピック以降のワーストが出てトータル280.85 2人残して2位。まさかの結果となりました。
ラス前で鍵山優真選手登場。4回転サルコウからで+3.889 本人比これでも普通。そして次の4回転フリップ。これを初成功。ISU公認4人目。そのまま前半のジャンプはすべてクリーンに決めていく。難しい山は越えた。200点は確実。215点くらいまで行けば十分チャンスが、とおもったところで単独のトリプルアクセルをまさかの転倒。痛すぎる。転倒あっても203.30 トータル309.65で首位に立ちます。アクセル決まっていれば210点まで見えたのですが・・・。
最終滑走、イリアマリニン。優勝へのターゲットスコア203.68 パーソナルベストは207.76 滑ってみないとわからない。そんな領域でした。滑る前は。4回転をアクセル込みで5種類6本、コンビネーションはすべて後半で基礎点109.79の構成を全要素全ジャッジプラス評価で滑り切り。技術点137.18 フリー227.79 トータル333.76 新時代が始まりました。
結局表彰台3人は、今シーズンのグランプリファイナルチャンピオン、4大陸チャンピオン、ヨーロッパチャンピオンと並び、ディフェンディングチャンピオンは4位。4強とその下は最後の点差としてはそれほどあきませんでしたが、印象としては5位以下は表彰台争いに絡めていなかったなあ、というくらいな差はありました。
それにしても4回転アクセル含めた5種類6本。なんだこれは? という構成が完璧に演じ切られました。異次元とはこういうことを言う。新しい時代が始まりました。敵は、ケガだけ? ただ、まだ全く手が届かないというわけでもないなこれ、というのも鍵山選手が見せてくれた部分はありました。
来期3枠は日本とアメリカ。2枠をフランス、スイス、ラトビア、イタリア、韓国が確保。エストニアはセレフコ兄選手11位で来期の兄弟ワールドは無しです。まあ、男子は、来期に誰が出ても日本はオリンピック3枠は問題なく取ってくることでしょう。
次回から数値編となります。