卓球の10月の主要大会が終了しました。
国際卓球連盟による世界ランキングの更新は行われていませんが、試合が終わればポイントは確定しています。従って、10月時点での、東京オリンピックに向けての獲得ポイントも確定しました。
というわけで、まず、10月の主要大会でのランキング上位選手の結果を見ていきます
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SWEオープン |
GERオープン |
POLオープン |
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準優勝(1440) |
準優勝(1800) |
出場無し |
出場無し |
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ベスト16(720) |
ベスト32(675) |
出場無し |
ベスト16(1020) |
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ベスト32(540) |
ベスト16(900) |
出場無し |
ベスト8(1275) |
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佐藤瞳 |
ベスト32(540) |
ベスト16(900) |
出場無し |
出場無し |
ベスト32(540) |
ベスト16(900) |
出場無し |
出場無し |
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ベスト32(540) |
ベスト32(675) |
ベスト8(425) |
出場無し |
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芝田沙希 |
ベスト32(540) |
予選(270) |
ベスト64(170) |
出場無し |
橋本帆之香 |
ベスト16(720) |
ベスト32(675) |
ベスト8(425) |
出場無し |
上位選手の中で大きくポイントを伸ばしたのは、もともとポイントトップだった伊藤美誠選手のみだった、という結果となりました。
伊藤選手が出場権のないワールドカップは、石川選手平野選手が差を詰める大きなチャンスだったのですが、そのチャンスは行かせず。平野選手は初戦敗退。石川選手は初戦はエジプトの選手に完勝したものの、準々決勝でシンガポールのファンティエンウェイ選手に振るゲームの末敗れました。いろいろな意味で勝たないといけない相手だったんですけどね。ロンドンオリンピックの3位決定戦で敗れてメダルを取れなかった相手ですし、日中以外の最上位格の選手ですし・・・。
その下の選手たちも、今月はチャンスがあったのですが生かせませんでした。
スウェーデンオープンでは一回戦から佐藤瞳選手が伊藤美誠選手と対戦。直接対決で勝って上に上がれば、伊藤美馬選手のポイント獲得を阻止しつつ自分が稼げる、というシチュエーションでしたが1-4で敗戦。同様に早田ひな選手も平野選手と一回戦直接対決を先に3ゲーム取っていながら、6ゲーム目7ゲーム目ととられ敗戦。その勝った同士の対戦が2回戦だったので平野選手も同様に伊藤選手を止めるチャンスだったのですが、やはり3ゲームを先に撮ったものの6ゲーム目7ゲーム目と取られて敗戦。ランキング上位選手が直接対決に打ち勝つ、というある種正しい姿なのかもしれませんが、ポイント差が広がる、という結果になりました。
そんな中で伊藤選手は2戦続けて準優勝。優勝しきれなかった、というのはありますが、日本勢の中で頭一つ上に出た感じがあります。
では、10月終了時点での東京オリンピック選考ポイントを見ていきます。
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当月ポイント |
先月ポイント |
8番目 |
7番目 |
12305 |
10865 |
1125 |
1170 |
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10295 |
10175 |
900 |
900 |
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10230 |
9855 |
900 |
900 |
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7545 |
7195 |
675 |
680 |
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佐藤瞳 |
7315 |
7135 |
720 |
720 |
6760 |
6625 |
540 |
540 |
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芝田沙希 |
5720 |
5720 |
675 |
675 |
橋本帆乃香 |
5520 |
5115 |
540 |
550 |
ポイントを大きく伸ばしたのはトップにいた伊藤選手でした。前月段階では2位の平野選手と690ポイント差だったものが、今月終わって2010ポイント差と大差を付けました。このポイント差になると、もう一試合では追いつけないだけの差になります。
二位と三位は差が縮まりました。石川選手がワールドカップで組み合わせにも恵まれてベスト8に進んだのに対し、平野選手は初戦で負けたところの差が出て。ポイント差は65ポイントにまで縮まっています。
4番手以下の選手も差を詰めるに至りませんでした。
この先、下位の選手はポイントを稼げる試合はそれほど多くありません。11月はチャレンジシリーズが2つありますが、1つはワールドツアーのプラチナ大会と重なる日程なので、おそらくツアーの方を優先するでしょう。12月にチャレンジプラスの試合が1つあります。普通に出られるのはこの3試合までです。ツアーのプラチナ大会で上位に進出すれば、12月最後にツアーファイナルへ進める可能性はあるにはあります。
仮にファイナルまで含めて4試合、すべて優勝した場合、ポイントは6750得られます。このポイントは単純に上積みではなく、すでに得ているポイントの中で悪い方の成績を捨てていく、という形になるので、実際に増えるポイントはもう少し少ないです。
それを加味すると、橋本選手は9950ポイント、芝田選手で9770ポイントまでしか今年の最後に積み増せる可能性はなく、現在2位の平野選手のポイントを上回ることができません。したがって、橋本選手、芝田選手の二人は、現時点で選考レースから脱落です。
早田選手は同じ計算で10900ポイント、加藤選手は11500ポイントが上限です。なので、極めて難しいですが可能性はゼロではなく残っています。
ただ、上位選手は出場できる試合がもう少し多くあります。まず、チームワールドカップにランキング上位の伊藤平野石川佐藤4選手が参加します。チームワールドカップは団体戦ですが、個人の試合として1勝すれば250ポイントが獲得できますので、現在の8番目のスコアを超えるだけのポイントを得られれば、ランキングポイントを増やすことができます。すなわち、佐藤選手なら3勝、石川選手平野選手は4勝、伊藤選手は5勝すればポイントが増えます。
また、11月にシンガポールで行われるT2ダイヤモンドという試合の出場権も、チームワールドカップに出場する4選手にはあります。この試合は出場すれば400ポイントがボーナスとして加算され、優勝すればそのポイントを1000ポイントにまでできます。
また、ツアーファイナルも現在、上記の同じ4選手は出場圏内です。ツアーポイント14位の佐藤選手は、11月のツアー大会の結果次第で圏外に落ちてしまう可能性もありますが、10位以内にいる上位3選手はほぼ確実にファイナルに出場できる状況です。
ファイナルは、出場すれば確実に1020ポイントが付きますので、8番目のポイントがそれより高い伊藤選手は、出場しただけではポイントが増えませんが、石川選手平野選手は、ポイントを増やせます。
このように計算すると、石川選手と平野選手は、出場できる試合にすべて出場すれば、それだけで400+1020-900=520ポイントは確実に今より増やすことができます。したがって、平野選手は最低でも10815ポイントにまではなります。早田選手の獲得可能上限ポイントが10900ポイントですので、事実上ほとんどチャンスはないですかね。チームワールドカップで平野選手が4勝した時点で、早田選手がランキング2番手以内に入る可能性は消滅します。
従って、オリンピック選考争いは事実上5人にまで絞られたと言える状態です。加藤選手はこの先全勝が最低条件、といった感じなので厳しくて、まともに可能性があるのは佐藤瞳選手まででしょうか。佐藤瞳選手もチームワールドカップやT2ダイヤモンドで大きくポイントを取らないと厳しいです。
一方、伊藤選手は11月中に実質的に内定が決まる可能性も出てきました。平野選手と石川選手、二人が同時にある大会で優勝する、ということは不可能ですので、二人ともに抜かれる、というのは極めて可能性が低い状態になってきました。最速で11月2週目のオーストリアオープンで決まる可能性もあります。
熾烈なのは二番手争い。これ、最終的に、ツアーファイナルでどちらの成績が上だったか? 場合によっては、勝った方が代表です、という試合がファイナルで行われるような可能性があります。
非常に厳しい戦いになっていますが、外野として見ている分には楽しめます。ただ、やはり脱落していく選手が出てきて、少し寂しくはなってきました。
以上、卓球の女子シングル、東京オリンピック代表選考レースの情勢でした。