卓球の10月の主要大会が終了しました。
国際卓球連盟による世界ランキングの更新は行われていませんが、試合が終わればポイントは確定しています。従って、10月時点での、東京オリンピックに向けての獲得ポイントも確定しました。
というわけで、まず、10月の主要大会でのランキング上位選手の結果を見ていきます
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SWEオープン |
GERオープン |
POLオープン |
ベスト16(720) |
ベスト8(1125) |
出場無し |
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ベスト16(720) |
ベスト16(900) |
出場無し |
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丹羽考希 |
ベスト16(720) |
ベスト16(900) |
出場無し |
森園政崇 |
ベスト32(540) |
予選決勝(450) |
出場無し |
吉村和弘 |
出場無し |
出場無し |
出場無し |
神巧也 |
ベスト32 |
ベスト32 |
出場無し |
吉村真晴 |
出場無し |
予選決勝(450) |
出場無し |
宇田幸矢 |
ベスト32 |
ベスト32 |
出場無し |
女子は今月ワールドカップがありましたが、男子にはなく、ワールドツアーの普通のものが一つ、プラチナが一つとチャレンジシリーズの試合が一つありました。
チャレンジシリーズへの出場選手はこのあたりの上位選手からはありませんでした。スウェーデン、ドイツとツアー戦が2週続いた翌週のポーランドなので、ヨーロッパ転戦の三戦目として入れてもおかしくはないスケジュールだったのですが、男子のトップ選手からの出場はなし。女子では早田選手や橋本選手がそういったスケジュールだったので、実際にあり得る選択だったのですけどね。ポーランドの大会の週にはTリーグがあったので、そちらを優先した、という考え方もあったのかもしれません。
ポイント上位の水谷選手はチャレンジシリーズに出て優勝してもポイント増えませんので、ポーランドの試合に出る、という選択肢はもともと無く、Tリーグの試合に出場していました。ただ、チャレンジシリーズで勝ち上がればポイントが伸ばせる森園選手や吉村真晴選手、あるいは宇田選手もその週のTリーグの試合に出ていました。この辺は、もうこの時点で、オリンピック選考レースのために少しでも多くのポイントを、という意欲はやや薄れている感じなのでしょうか。以下に見ますが、4番手以下の選手はかなりポイント差がついてきていますので、そういった選択になるのも致し方ないのかもしれません
10月の主要大会が終わった段階で、各選手のポイントは以下のようになりました。
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当月ポイント |
先月ポイント |
8番目 |
7番目 |
10975 |
10930 |
1125 |
1125 |
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8425 |
8245 |
900 |
900 |
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丹羽考希 |
7960 |
7690 |
720 |
720 |
森園政崇 |
5195 |
4885 |
450 |
450 |
神巧也 |
4945 |
4400 |
340 |
540 |
吉村和弘 |
4830 |
4830 |
360 |
540 |
宇田幸矢 |
4400 |
3750 |
340 |
360 |
吉村真晴 |
4390 |
4120 |
340 |
360 |
4000ポイント以上持っている選手をリストアップしています。
張本選手はベースとなるポイントがすでにもうかなり高いので、ツアーのプレミア大会でベスト8に入ってもほとんどポイントが増やせない、といった状態になってきました。
2番手3番手の水谷選手丹羽選手もあまりポイントを伸ばせず。丹羽選手は7大会続いた初戦敗退をようやく途切れさせることができて、10月の2試合では一つづつ勝つことができました。
下位の方から神選手がツアー二試合続けて予選を通過しポイントを伸ばして、全体の5番目に上がってきました、宇田選手も二試合予選通過でポイント加算して7番手に浮上です。
残り2カ月、主要な出場可能な大会として、チームワールドカップ、また個人のワールドカップが男子は残っています。さらに、ツアープラチナは1試合、T2ダイヤモンドの試合もあり、チャレンジシリーズとチャレンジプラスも1試合づつあって、最後にツアーファイナルがあります。
チームワールドカップの代表は、張本、水谷、丹羽、吉村真晴、神、5選手。ワールドカップの出場権があるのは、張本選手と丹羽選手です。T2ダイヤモンドは張本選手と水谷選手に出場権があります。
張本選手は3位とのポイント差が3015ポイントあるので、当確圏と言える状態ではありますが、まだ大きな大会が残っていますので、確定には至りません。一番早く決まるパターンとしては、11月2週目のツアープラチナの試合で、丹羽選手が勝ち上がれずにポイントを増やせず、ファイナルへの出場権を取れなかった場合、その段階で決まるはずです。
下位の選手が2番手まで届くだけのポイントを得るのは結構大変です。森園選手と水谷選手で3230ポイント差。チームワールドカップの出場権のある神選手で3480ポイント差あります。
この先出場可能な大会にすべて出てすべて優勝したとして、森園選手のポイントは9875ポイントまで伸ばすことは可能です。チャレンジシリーズとチャレンジプラスに出ない場合は9005ポイント。水谷選手が現在8425ポイントで、この先もポイントを増やすことが確実な試合がいくつかあるので、森園選手以下の選手は、この先全部勝って、ようやく少し可能性が残る、というくらいの水準になっています。ちょっとこれまでの実績考えると、現実的ではない、ということになっていて、もはや実質的には代表争いは3名に絞られた、と言えそうです。
2番手水谷選手と3番手丹羽選手の差は465ポイント。現時点では水谷選手の方がはっきりと有利になっています。丹羽選手は水谷選手が出場出来ないワールドカップの出場権がありますが、水谷選手は丹羽選手が出場できないT2ダイヤモンドの出場権があります。T2ダイヤモンドは出場すれば確実に400ポイントが加算されるので、ボーナスポイントとしてかなりおいしいです。丹羽選手は水谷選手とのそれも含めて実質的な差865ポイントをワールドカップだけで埋めようとすると、ベスト4までは進む必要があります。
また、現段階で、水谷選手はツアーファイナルの出場圏内ですが、丹羽選手は圏外です。丹羽選手がツアーファイナルに進むためには、最後のツアープラチナ大会で少なくともベスト8、現在ポイント上位の選手がすべてその試合に出場すると仮定した場合(本選出場選手はポイントが加算される)ベスト4まで進まないとファイナルの出場権は得られません。
一方水谷選手は、最終のプラチナ大会に出場すれば、初戦敗退でも高確率でファイナルに進むことができます。水谷選手がファイナルに進み、丹羽選手が進めなかった場合、ワールドカップで丹羽選手がベスト4以上の好成績を上げてポイントを逆転できなければ水谷選手のポイントを上回ることができません。
また、チームワールドカップで、それぞれ何ポイント取れるか? というのも一つの注目点になります。チームワールドカップはチーム戦ですが、シングルスでの試合結果は個人のランキングポイントに影響、反映されます。一勝すれば250ポイント。つまり、丹羽選手なら3勝、水谷選手なら4勝すれば自身のランキングポイントを増やすことができるわけです。したがって、同じチームでありながら、自分のオリンピックの出場権を考えた場合、素直にチームメイトの勝利を喜べるか、という微妙な問題があったりするのですが、それはそれ・・・。
代表権争いは、11月の丹羽選手の成績でほぼ決まってきそうです。チームワールドカップで何勝出来るか? オーストリアのプラチナ大会でベスト4まで勝ち進めるか? 月末のワールドカップで上位進出できるか?
現段階で出場権のないT2ダイヤモンドもツアーファイナルも、ケガなどで辞退者が出れば数名分で回って来る位置にはいますので、そういった展開でチャンスを得る可能性もありますが、自力で水谷選手を超えていくには、11月にかなりの好成績が必要になっています
以上、卓球男子の東京オリンピック選考レースの現状でした