オリンピックの代表になる条件(女子シングル編)

オリンピックのプレシーズンが終わりました

試合の少ない、超超特殊シーズンとなりましたが、男女シングルでオリンピック3枠しっかり確保はしてきました

なんだかんだで北京オリンピックはきっとやるのでしょうし、今の時代に先進国がオリンピックをボイコットできない、と思っているので、普通にいくかどうかはわかりませんが、選手は派遣されると思っています

 

そんなオリンピック

過去の実績から、どんな実績のある選手が選ばれているか、というのを見ていきたいと思います

どんな実績というのは、代表選考条件のことではなく、それまでにどんな実績を残してきた選手が選ばれるのか? あるいは、こんな実績持っていても代表になれないこともある、というような話です

あまり昔までさかのぼるとデータがないのでわからなくなりますので、今世紀、2002年のソルトレイクシティオリンピック以降を基本に見ていきたいと思います

 

○世界ジュニアの出場実績は必須

 2002年以降の5回のオリンピックに出場したのは、恩田美栄村主章枝荒川静香安藤美姫浅田真央鈴木明子村上佳菜子宮原知子、坂本花織、の全9人です。

この9人は全員世界ジュニアの出場実績があります。ジュニア時代に世界ジュニアの代表になるくらいの実績を残せていない選手がオリンピック代表になった、という実績は今世紀に入ってからありません。もっとさかのぼっても、少なくとも88年カルガリー八木沼純子さんの時代までは世界ジュニア出場経験なしでオリンピック代表になった選手はいません。

今回の有力選手の中では、松生理乃選手は出場経験がないですが、全日本ジュニア優勝により代表には実質的になっています。コロナで世界ジュニアの方がなくなってしまった、というのはこの場合は除外でいいでしょうか。ジュニア残留を表明していますが、吉田陽菜選手もまだ世界ジュニアの代表になった経験がないです。

意外なところでは、三原舞依選手が世界ジュニア代表選出経験がありません。ジュニアグランプリファイナルには出ていたのですが、体調の問題もあり世界ジュニア代表にはなれずにシニアに上がりました。ただ、世界ジュニアの代表になっていない選手が世界選手権の代表になった例がない、というのを打ち破ったのが三原選手でもあります

他に、全日本トップテンクラスでは新田谷凜選手も世界ジュニア代表経験がないです。

 

○世界ジュニアの成績はほぼ無関係

 世界ジュニアの出場実績は必要ですが、出た時の結果はほぼ無関係です。もちろん、浅田真央さんや安藤美姫さん、さらには村上佳菜子さんのように、世界ジュニアで優勝経験のあるオリンピック選手もいます。しかしながら、恩田美栄さんは世界ジュニア17位が最高位ですがオリンピックにたどり着きました。荒川静香さんは3回出て7位が最高。鈴木明子さんも1度出ての7位です。一方で、太田由希奈さんは世界ジュニアを制しましたがオリンピックにはたどり着けませんでした。中野友加里さんも世界ジュニアの銀メダルを持っていますがオリンピックの代表になることは出来ていません。

今回のメンバーの中で世界ジュニアの成績が最もよいのは金銀二つのメダルを持つ本田真凜選手ですし、銅メダル二つの樋口新葉選手もいます。この二人は前回大会の時の有力候補でしたが代表になることができませんでした。さらにそこに山下真瑚選手が今回は世界ジュニアの銅メダルを持つ選手として戦線に加わってきます。

ちなみに、紀平梨花選手は世界ジュニアは1度出て8位でした。

 

○当該シーズンのグランプリシリーズの2試合出場は必須

 オリンピックシーズンにグランプリシリーズへの2試合の出場がなくオリンピック代表になった選手はいません。その壁に挑もうとしたのが13-14ソチシーズンの安藤美姫さんですが、全日本7位で代表には届きませんでした。

グランプリシリーズが今回行われるのかも若干怪しいですが、開催準備としてメンバーが発表されれば、その時点で、グランプリ2枠持っていない選手はオリンピックの可能性は低いだろうな、というのが見えてきます。ただ、今シーズンはコロナ禍なのかコロナ後なのか微妙ですがいずれにしても超特殊シーズンが続いているので、このグランプリシリーズのエントリーも、特にジュニアから上がってくる選手には厳しいものになる可能性が高いです。シニア一年目になる松生理乃選手や、一シーズン休養がある三原舞依選手あたりは、ランキングが低いので枠があるかどうか。全日本6位の河辺愛菜選手もシニア2年目ですが1年目のランキングポイント対象大会ゼロでやはり苦しいです。

 

 

○グランプリシリーズの表彰台に乗った経験は必須 当該シーズンである必要はない

 グランプリシリーズで表彰台に乗ったことがない選手がオリンピックの代表になったことは今世紀に入ってありません。グランプリシリーズが始まって以降では、98年の長野の代表の荒川静香さんは表彰台経験のないまま代表になりましたが、今はそんな時代ではない、ということです。

オリンピックシーズンに表彰台に乗っている選手が多いですが、そのシーズンではなく、以前に乗ったことがあるだけ、という選手もいました。2002年ソルトレイクシティの時の村主章枝さんはグランプリシリーズ2戦で4位と7位。14年ソチの村上佳菜子さんも4位と7位で代表になっています。二人ともそれ以前のシーズンに表彰台には乗っていました。こうやって見ると、最低でもそのシーズンに4位にまでは入っている、とも見えます。

一番際どかったのが18年平昌の坂本花織選手。このシーズンにシニアに上がって、2戦目のスケートアメリカで初の2位表彰台でした。

現役の選手でグランプリ表彰台実績があるのは、紀平梨花選手、坂本花織選手、宮原知子選手、樋口新葉選手、三原舞依選手、山下真瑚選手、本郷理華選手に、特殊条件ですが昨年のNHK杯で松生理乃選手が乗っています。

 

○直近4シーズン(前のオリンピック以降)のグランプリファイナルで2位以内の経験があり、年齢条件が合えば必ず代表入り

 近い時期にグランプリファイナルで好成績が出せている選手はオリンピック代表になれる、というのは割とわかりやすい条件です。

年齢条件が合えば、という変な前提条件が付くのは、06年トリノのシーズンに、年齢制限でオリンピックに出られない浅田真央さんがグランプリファイナルに優勝してしまっているためです。

この条件を満たしてきたのは、06年の村主章枝さん(03年金)、荒川静香さん(03-04銀) 10

年の浅田真央さん(06,07銀、08金)、安藤美姫さん(09銀)、14年浅田真央さん(12,13金)、鈴木明子さん(11銀)、18年宮原知子選手(15,16銀) となっています

銅メダルでは1例届かない例があって、2005年に中野友加里さんがグランプリファイナル銅メダルですが、06年トリノの代表になれていません。

今回は18年金メダルの紀平梨花選手がいます。

 

○グランプリファイナルの出場実績はあった方がいいが、出てもダメな場合は多い

 グランプリファイナルの出場経験のないままオリンピック代表になったのは、18年平昌の坂本花織選手のみの1例です。

逆に、直近4シーズン(前のオリンピック以降)にグランプリファイナルの出場経験があっても、オリンピック代表になれなかった例は多数あります。

06年は恩田美栄さん、中野友加里さん、10年も中野友加里さんに村主章枝さん、14年は安藤美姫さん、18年は樋口新葉選手に本郷理華選手。今回はグランプリファイナルが一回少ないですが、紀平梨花選手と宮原知子選手がファイナル出場実績を直近で持っています。

そのシーズンのグランプリファイナルに出場していてもオリンピックの代表になれていない、というケースはあって、06年中野友加里さん、18年樋口新葉選手の2例です。どちらもその試合でより上位に日本人選手がいた、という共通点もあります。とはいえ中野友加里さんは、3位表彰台で、上にいたのは年齢制限でオリンピック枠に関係ない浅田真央さんだったのですが・・。

現役選手でグランプリファイナルの出場経験があるのは、宮原知子選手、樋口新葉選手、紀平梨花選手に本郷理華選手です。坂本花織選手は今でもファイナル出場経験はありません。

 

次回へ続きます