22-23 片伊勢武アミン

2004年2月8日生まれ

ジュニア6シーズン目

シーズン獲得賞金:$4,000

世界ランキング:79位

シーズンランキング:45位

シーズンベストスコア 234.24(25位) JGPグダンスク2

ショートプログラムシーズンベスト 79.06 JGPグダンスク2

フリーシーズンベスト 155.18 JGPグダンスク2

ショートプログラム楽曲:大河ドラマ義経』より

フリープログラム楽曲:序奏とロンドカプリチオーソ

スピンレベル4率 31/45 = 68.9%(国際大会:16/24 = 66.7%)

ステップレベル4率 3/10 = 30.0%(国際大会:2/5 = 40.0%)

スピンオールレベル4 1/7(国際大会:0/4)

スピンステップオールレベル4 1/7(国際大会:0/4)

ジャンプ回転不足率 6/77 = 7.79%(国際大会:2/40 = 5.00%)

ジャンプ回転不足なし 2/7(国際大会:2/4)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/7(国際大会:0/7)

 

○22-23シーズンの戦績

J/S Grade Event Pl Total SP FS
J JGP JGP Gdansk2 1 234.24 79.06 155.18
J JGP JGP Egna 3 201.35 65.56 135.79
J RT 西日本選手権 4 179.41 64.25 115.16
J NJ 全日本ジュニア 2 208.22 83.27 124.95
J JGPF JGP Final 6 182.49 58.19 124.30
S NC 全日本選手権 19 185.40 70.05 115.35
S CC 日本学生氷上選手権 6 133.90   133.90
S IC Coupe de Printemps 5 183.33 63.28 120.05

片伊勢武アミン選手は昨シーズン全日本ジュニア4位。今シーズンがジュニア最終シーズンになるわけですが、ここでようやくジュニアグランプリシリーズデビューとなりました。

 

そのデビュー戦、ジュニアグランプリアルメニア、になるはずが紛争ぼっ発して中止、エントリーは再配置となりまして、10月のグダンスクに回されます。このデビュー戦、ショートプログラムから全要素プラス評価で79.06を出してあっと言わせます。首位で迎えたフリーは最終滑走。144.01出せば優勝、という場面でまたもほぼノーミス、155.18でトータル234.24を出しジュニアグランプリシリーズ初出場初優勝を飾りました。この234.24はこの時点で今シーズンのジュニアの最高スコアとなりました。

ジュニアグランプリシリーズは全7戦が1つ中止で6戦に。2戦目はもうグダンスクの翌週のエーニャしか残っていません。ということで連戦になるエーニャに出場。慣れない海外遠征でしかも連戦というのは疲れもあったでしょうか、ショート2転倒で65.56 7位と出遅れます。ファイナルに進むには4位あたりまで上がればいい、というフリー。冒頭トリプルアクセルがダウングレードになり、これはフリーもダメかなあという雰囲気も漂いましたが以降は大きなミスなくまずまずまとめ135.79までは出して201.35と200点に乗せて最終グループを待つと、結果は3位。表彰台に乗ってファイナル進出を決めました。

 

ジュニアはこの後国内戦です。西日本選手権もショートのトリプルアクセル転倒で始まり全体通してよくありませんでしたが4位で通過します。

シーズンベスト1位で臨む全日本ジュニア。世界ジュニアの代表になるために勝ちたい試合です。このショートが全要素全ジャッジプラス評価のスピンステップオールレベル4 圧巻の出来で83.27 2位と11.43差をつけて首位に立ちましたので、これは勝ちだなという展開だったのですが、フリーまさかの大崩れ。トリプルアクセル転倒、ループは2回転になりさらにそこからダウングレード、3連続は連続ジャンプとしてカウントしてもらえず、と散々な出来で124.95 トータル208.22は1.35差の2位。大逆転負けを喫してしまいました。

 

ショックの大きい試合がありましたが、来期につなげるためには12月の2試合が大事。ジュニアグランプリファイナルもシーズンベスト1位で臨みます。しかしここもショートから2転倒で上位に絡めず6位で終わります。

全日本は世界ジュニアの2枠目を賭けた試合なのですが、やはりジャンプ決まらず。19位で終わり世界ジュニアは補欠ももらえず終わる形になりました。

 

シーズン後半は来期シニアに上がる準備のような試合になっていきます。大学生なので学生選手権に登場。トリプルアクセル転倒もあって6位に終わります。

全日本ジュニア2位があるのでB級大会の派遣をもらってクープドプランタンのシニアカテゴリーへ登場。ここでもトリプルアクセルをショートフリーで1つづつ転倒。トータル183.33とスコア伸びませんでしたが5位には入ってランキングポイントを獲得しました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
JGP Gdansk2 234.24 123.05 111.19 78.94 12.66 22.48 8.97
JGP Egna 201.35 98.33 105.02 71.04 -4.86 23.65 8.50
西日本選手権 179.41 79.07 101.34 58.64 -9.75 21.86 8.32
全日本ジュニア 208.22 102.80 106.42 65.19 3.80 24.54 9.27
JGP Final 182.49 86.23 98.26 60.06 -3.75 21.91 8.01
全日本選手権 185.40 82.84 102.56 50.83 -1.51 22.19 11.33
日本学生氷上選手権 133.90 64.97 69.93 46.01 0.00 11.51 7.45
Coupe de Printemps 183.33 89.62 95.71 67.78 -10.58 21.88 10.54

トータルスコアは初戦の234.24が光ります。ISU公認としては今シーズン23位のスコアですので来期のグランプリシリーズの優先枠があります。一方で200点に届かない試合も目立っています。

技術点は123.05がある一方で西日本では79.07 落差が激しいです。

PCSは111.19が最高。1項目平均7.5に少し欠けるくらいまでです。

ジャンプは基礎点で一番いい時で78.94でした。4回転がないのでここまでになっています。全日本の50.83はちょっと寂しいです。一方加点の方もマイナスが目立っていますが、初戦は+12.66出しました。今シーズン11位の加点であり、ジュニアとしては三浦佳生選手に次ぐ2位の加点でした。

スピンはばらつきありますが国際大会では23.65が最高、全日本ジュニアで24.54までありました。

ステップ系要素はジュニアの試合では8点台から9点台、シニアの試合で11.33が最高です。ジュニアで9点台出れば悪くはないです。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
JGP Gdansk2 58.42 54.22 72.86 57.94 63.41 54.07
JGP Egna 49.14 49.16 47.62 61.92 60.59 49.85
西日本選手権 42.96 41.22 40.57 55.83 56.95 47.33
全日本ジュニア 51.08 45.41 60.10 64.94 65.69 50.81
JGP Final 43.82 42.13 49.22 56.00 54.42 45.23
全日本選手権 44.65 36.22 52.45 56.95 51.07 48.17
Coupe de Printemps 44.06 47.07 39.38 55.90 47.23 43.48

偏差値で見るとトータルスコアは国際大会で50を超えたのが1試合しかありませんでした。初戦以外はどうもスコアが伸びませんでした。

ジャンプの基礎点も初戦以外は平均割れ。全日本の30台の偏差値はちょっと厳しいです。加点の方は誰にとってもばらつきの大きい要素ではあるのですが、初戦で70超えの素晴らしいものを見せてもらっただけに、あとの試合が残念でして。

スピンは60前後、ステップ系要素もジュニア補正ある試合では60前後ですが、シニアの2試合では50前後になっていました。

PCSは初戦で50を超えていますが後は50以下程度です。

初戦は良かったのですけどねえ・・・、という並びになっています。

 

22-23シーズン 片伊勢武アミン選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは、ばらつきが大きい・・・。どこかが伸びるとか凹むという感じでもなく、どの要素もばらつきが大きくてよくわかりません。

 

・シーズン最高の基礎点構成

JGP グダンスク2 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   2.40 10.40 3.111
2 3Lo   4.90   0.49 5.39 1.000
3 CSSp3   2.60   0.48 3.08 1.889
4 3Lz+3T   11.11 x 1.35 12.46 2.333
5 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.556
6 FCSp3   2.80   -0.04 2.76 0.000
7 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.444
  TES   36.81   6.58 43.39  

ショートプログラムの最高基礎点は国際大会では初戦のジュニアグランプリグダンスクで36.81がありました。全日本ジュニアは同じ構成でスピンオールレベル4で37.61となっています。

4回転はなし。ジュニアだからでもなく、シニアの試合でも4回転は入っていません。ジュニアなので単独ループは強制。1.1倍はルッツからの3-3です。ジュニアとしてはここから基礎点上げるすべはほぼないですが、シニアになったら4回転が欲しい、というところです。

上記の構成でスピンステップオールレベル4でGOE満点だと技術点が53.81となりPCS加味して103.81満点となります。

 

JGPグダンスク2 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+3T   12.20   2.29 14.49 2.889
2 3A   8.00   2.17 10.17 2.778
3 3F   5.30   1.29 6.59 2.444
4 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.333
5 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.333
6 3Lz   6.49 x 1.60 8.09 2.667
7 2A+3T   8.25 x -0.36 7.89 -0.889
8 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.31 10.10 0.889
9 CSSp4   3.00   0.69 3.69 2.222
10 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.111
11 FCCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
  TES   67.93   11.73 79.66  

フリーは67.93が最高でした。シニアの試合も数試合出ていますが、それよりもジュニアのこの試合の方が基礎点が高いです。4回転なし。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルとトリプルトーループになっています。セカンド3回転2本。シークエンスアクセルは3連続に入れました。シニアルールでステップが足されるとレベル4の時71.83の基礎点になります。ここから基礎点上げていくには4回転が求められるという状況です。

上記の構成でGOE満点取ると技術点95.73 PCS加味すると195.73満点です。シニアルールでステップレベル4のGOE満点が足されれば201.58満点となります。

 

○平均GOE2.500以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本ジュニア SP 6 FCSp4   3.20   0.96 4.16 3.143
全日本ジュニア SP 5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.143
全日本ジュニア SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.143
JGP Gdansk2 SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.111
全日本ジュニア SP 3 CSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
JGP Egna SP 7 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
JGP Gdansk2 FS 1 3A+3T   12.20   2.29 14.49 2.889
全日本ジュニア SP 7 CCoSp4   3.50   0.98 4.48 2.857
日本学生氷上選手権 FS 4 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 2.800
JGP Egna FS 9 CSSp3   2.60   0.74 3.34 2.778
JGP Gdansk2 FS 2 3A   8.00   2.17 10.17 2.778
西日本選手権 SP 5 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
JGP Gdansk2 FS 6 3Lz   6.49 x 1.60 8.09 2.667
全日本選手権 SP 3 CSSp4   3.00   0.73 3.73 2.556
JGP Gdansk2 SP 5 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.556
JGP Egna FS 4 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.556
全日本選手権 SP 5 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.556

評価の高い要素はスピンとトリプルアクセルが並びます。ステップも全日本ジュニアのショートは高評価でした。コレオシークエンスの高評価は見かけないでしょうか。スピンはCCoSpが多いですが、それに限らず他のスピンも高い評価を受けることが出来ています。安定してそういった高評価を受けることができるようになるとシニアでも戦っていけるのだろうと思われます。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Gdansk2 SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.111
JGP Gdansk2 FS 1 3A+3T   12.20   2.29 14.49 2.889
JGP Gdansk2 FS 2 3A   8.00   2.17 10.17 2.778
JGP Egna SP 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
JGP Egna FS 1 3A<< <<  3.30   -1.60 1.70 -4.778
JGP Egna FS 2 3Aq+3T q 12.20   -0.23 11.97 -0.222
西日本選手権 SP 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
西日本選手権 FS 1 3A   8.00   -2.08 5.92 -2.429
全日本ジュニア SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.143
全日本ジュニア FS 1 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
全日本ジュニア FS 2 3A+3T   12.20   1.60 13.80 1.857
JGP Final SP 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
JGP Final FS 1 3A   8.00   1.26 9.26 1.444
JGP Final FS 2 3A+3T   12.20   1.03 13.23 1.222
全日本選手権 SP 1 3A   8.00   -1.94 6.06 -2.333
日本学生氷上選手権 FS 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
Coupe de Printemps SP 1 3Aq F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
Coupe de Printemps FS 1 3A   8.00   -2.40 5.60 -2.800
Coupe de Printemps FS 2 3A+REP F 5.60   -4.00 1.60 -5.000

片伊勢選手は4回転を持っていません。1番基礎点高いジャンプはトリプルアクセルとなります。今シーズン19回飛んで転倒が7回、ダウングレードが1回、それら以外でGOEマイナスが4回あるので、GOEプラスの成功ジャンプは7回です。確率にはあまり高いとは言えません。初戦は3本そろったので良かったのですが、他の試合では3本そろうことがありませんでした。4回転ありませんので、トリプルアクセルは3本そろえたいところかと思います。

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Gdansk2 FS 8 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.31 10.10 0.889
JGP Egna FS 8 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.61 10.40 1.333
全日本ジュニア FS 8 2S<<+SEQ+2A*+2T*   0.44 X -0.20 0.24 -5.000
全日本選手権 FS 8 3Sq+2A*+2T+SEQ   6.16 X 0.37 6.53 0.667
Coupe de Printemps FS 8 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.43 10.22 1.200

今シーズンフリーは8回滑って3連続は5回入りました。8番目の要素でトリプルサルコウからという形です。GOEプラスで成功ジャンプになったのは4回なので成功率5割。ただ、全日本選手権ではダブルアクセルが3回目のジャンプになって無効扱いになりました。

やはり4回転持っていない状態なわけですから3連続はしっかり飛びたいかと思います。

 

ジュニア最終シーズンにしてジュニアグランプリデビューシーズン。初戦にアッと驚かせる結果を出したのですが後が続きませんでした。全日本ジュニアが特にもったいなかったです。来期は二十歳になるシーズンですので問答無用でシニアに上がります。今季初戦のハイスコアがISUシーズンベスト23位なのでグランプリシリーズには呼んでもらえるはずです。そういう意味では来期につながるシーズンにはできました。

男子のシニアで4回転持たずに世界で戦えている選手はジェイソンブラウン選手しかほとんどいません。バシリエフス選手も戦えているというか4回転かすかに持っているというか微妙ですが、そこまで含めても2人。このまま4回転持たずに戦う形になっていくのかどうか。来期のグランプリシリーズはこの先のスケート人生をどういう方向へ進めていくことになるのかの分かれ目にもなる大事な試合になりそうですので、そこで一定の結果を出してくれることが期待されます。