20年シーズン全日本ジュニアの予選終了1

西日本選手権、東日本選手権、と順に終えて、全日本ジュニアの地区予選が終了した形になりました。全日本選手権の予選でもあったのですが、そちらは全日本ジュニア経由のコースもあるので、それが終わってから触れます

 

まずは女子

今シーズンは西日本から18人、東日本から7人と、シードの吉田陽菜選手にノービスAからの推薦で4人、という振り分けの合計30選手になります

全日本ジュニアの出場権を持つ30選手を、今シーズンのブロック大会、および東西の選手権と全日本ノービス、といった試合の各選手のベストスコア順に並べてみました

  Name Total Event
1 松生理乃 188.90 西日本選手権
2 吉田陽菜 184.00 西日本選手権
3 江川マリア 168.60 西日本選手権
4 横井きな結 161.30 西日本選手権
5 松千 161.07 西日本選手権
6 住吉りをん 159.06 東日本選手権
7 前野百花 156.84 近畿選手権
8 田中梓沙 156.06 西日本選手権
9 清水咲衣 153.99 近畿選手権
10 千葉百音 151.52 東北・北海道選手権
11 鴨井彬莉彩 150.59 西日本選手権
12 岡本真綸 144.09 中四国九州選手権
13 瀬川穂乃 143.61 東日本選手権
14 鈴木なつ 142.82 東日本選手権
15 岩崎陽菜 142.09 西日本選手権
16 片山緋奈子 141.45 西日本選手権
17 田村珠里亜 137.86 西日本選手権
18 元榮愛子 137.63 東京選手権
19 奥野友莉菜 137.05 東日本選手権
20 村岡那菜 136.70 西日本選手権
21 田邊桜香 136.70 東日本選手権
22 磯村彩姫 131.75 西日本選手権
23 芳岡優釉 129.27 西日本選手権
24 寺島綾優 126.88 西日本選手権
25 吉井絹恵 125.92 中部選手権
26 今永梨絵 125.14 西日本選手権
  島田麻央 108.42 全日本ノービス
  柴山歩 107.30 全日本ノービス
  中井亜美 102.03 全日本ノービス
  櫛田育良 101.56 全日本ノービス

今シーズンの女子のジュニアは上二人が抜けています。昨シーズン、ISUベストスコアで193.03というスコアを持っている松生理乃選手が今シーズンもトップスコアになっています。昨シーズンはジュニアグランプリで193点を出した後はケガで苦しんでいましたが、ケガさえなければ昨年時点でも全日本ジュニアを勝っていたかもしれない、という選手。今年はこのまま行けるでしょうか

スコア二番手は昨シーズン3位だった吉田陽菜選手。今シーズンジュニア二年目。184.00は自己ベストです。トリプルアクセルはq判定で回転ぎりぎり、かつGOEは大きくマイナスではありましたが着氷しました。計算としてはこれがしっかり決まれば松生選手の上まで行くスコアです。

吉田陽菜選手はこれまで、全日本ノービスB、全日本ノービスAと優勝経験があります。ノービスB、ノービスA、全日本ジュニアと三つのカテゴリーで優勝することができれば、女子では浅田真央さんに次ぐ2人目となります。なかなか、各カテゴリーで勝ち続けてシニアに上がっていく、というのは難しいのです。

 

全日本ジュニアはこの二強で190点台の優勝スコアが出ますでしょうか?

 

例年、上位6人が全日本への推薦出場権を得ますので、6番手争いも気になるところ。シーズンベストから見るボーダーラインは159.06になっています。昨シーズンは161.59でしたので、結果的に、河辺選手、川畑選手と上二人がシニアへ移行して抜けても、6位のラインはそれほど変わらず維持されています。

今回のエントリー選手の中では、吉田陽菜選手、浦松千聖選手、千葉百音選手の三選手以外は、全日本への出場経験はありませんので、この6位というラインが表彰台に次ぐ一つの目標になって来るかと思います

 

ただ、実際には6位が素直に全日本ラインになるか? というのがちょっと怪しい。

ここで、トータルスコアではなく、フリーのみのスコアの今シーズンのベストスコアランキングを並べます

  Name Total Event
1 松生理乃 126.83 西日本選手権
2 吉田陽菜 121.75 西日本選手権
3 島田麻央 108.42 全日本ノービス
4 住吉りをん 108.39 東日本選手権
5 江川マリア 107.87 西日本選手権
6 柴山歩 107.30 全日本ノービス
7 横井きな結 104.62 西日本選手権
8 中井亜美 102.03 全日本ノービス
9 櫛田育良 101.56 全日本ノービス
10 田中梓沙 101.55 西日本選手権
11 前野百花 99.46 近畿選手権
12 清水咲衣 98.52 近畿選手権
13 鴨井彬莉彩 98.27 西日本選手権
14 松千 98.09 西日本選手権
15 瀬川穂乃 96.98 東日本選手権
16 千葉百音 96.23 東北・北海道選手権
17 岡本真綸 93.34 中四国九州選手権
18 鈴木なつ 92.82 東日本選手権
19 田村珠里亜 92.04 西日本選手権
20 村岡那菜 89.78 西日本選手権
21 岩崎陽菜 88.85 西日本選手権
22 片山緋奈子 88.37 西日本選手権
23 奥野友莉菜 88.13 東日本選手権
24 田邊桜香 86.99 東日本選手権
25 元榮愛子 86.98 東京選手権
26 寺島綾優 85.78 近畿選手権
27 磯村彩姫 83.99 西日本選手権
28 吉井絹恵 83.36 中部選手権
29 今永梨絵 80.03 西日本選手権
30 芳岡優釉 76.93 近畿選手権

フリーのスコアを取り出しても、上位の二人が抜けているのは変わりません

ここで目につくのは三番目。ノービスの島田選手がいます。6番目もノービスの柴山選手。

今回ノービスから出場する4選手は、全員100点を超えるスコアを出してきています。これは史上初です。ノービスAのフリーの要素は10個。ジャンプ要素が6つとジュニアの7つより一つ少なく、コンビネーションも2つまでですし、1.1倍ボーナスタイムもジャンプ2つまでしか入らず、同じフリーでもジュニアより点は出にくいです。単純に2A-2Tでも加えることができれば110点台にまでは乗ってきます。

ノービスの選手はショートプログラムが鬼門になることが多いのですが、それを乗り越えることができれば、表彰台争いにノービスが絡んでくることが十分にあり得る、という状況です。

ノービスからの推薦出場の選手が、もし、全日本ジュニアで表彰台に乗れば、女子では2000年の安藤美姫さん以来2度目となります。

 

おまけで、以下、今シーズンのこれまでの要素別のめだったものを上げていきます

ある種、全日本ジュニアの見どころ、とも言えるようなものかもしれません

 

 ●トリプルアクセル

Event Name Elements    BaseValue GOE Scores  
中部選手権 横井きな結 3A< 6.40 -3.20 3.20 -5.000
近畿選手権 島田麻央 3A<< << 3.30 -1.21 2.09 -3.600
東北・北海道選手権 中井亜美 3A< < 6.40 -3.20 3.20 -5.000
全日本ノービス 島田麻央 3A<< << 3.30 -1.65 1.65 -5.000
全日本ノービス 中井亜美 3Aq q 8.00 -4.00 4.00 -5.000
西日本選手権 吉田陽菜 3Aq q 8.00 -3.20 4.80 -3.857
西日本選手権 横井きな結 3Aq q 8.00 -4.00 4.00 -5.000

 

今シーズントリプルアクセルに挑んだ実績があるのは4人で7回。3人は回転ぎりぎりのqまでは来ていて、着氷までできたのは吉田陽菜選手一人だけです。世界で一番女子にトリプルアクセルを飛ばせるノウハウが集まっている濱田先生の木下アカデミーの選手が三人います。

女子のトリプルアクセル発祥の地は元々名古屋でしたので、横井きな結選手にも頑張ってほしいところ

 

●セカンドトリプルループ

Event Name Elements    BaseValue GOE Scores  
東京選手権 住吉りをん 3F+3Lo< 9.22 -2.65 6.57 -4.800
西日本選手権 鴨井彬莉彩 3Lz+3Loq q 10.8 -1.42 9.38 -2.286

コンビネーションのセカンドジャンプにトリプルループを付けようとしたのは二人います。鴨居選手は回転ぎりぎりながら着氷までは持っていきました。それにしても、やはりセカンド3Loはセカンド3Tと比べてだいぶ難易度が高いようです

 

●ステップレベル4

Event Name Elements    BaseValue GOE Scores  
関東選手権 鈴木なつ StSq4   3.90 0.91 4.81 2.400
西日本選手権 吉田陽菜 StSq4   3.90 1.01 4.91 2.429

 ジュニアながらにステップレベル4の実績が今シーズンあるのは二人。吉田陽菜選手はここにも名前があります。

 

●平均GOEが3.5以上の要素

Event Name Elements    BaseValue GOE Scores  
中部選手権 松生理乃 CCoSp4   3.50 1.28 4.78 3.600
中部選手権 松生理乃 StSq3   3.30 1.21 4.51 3.600
中部選手権 松生理乃 LSp4   2.70 1.08 3.78 4.000
東北・北海道選手権 千葉百音 LSp4   2.70 1.08 3.78 3.800
全日本ノービス 島田麻央 LSp4   2.70 0.99 3.69 3.600
全日本ノービス 島田麻央 CCoSp4   3.50 1.28 4.78 3.600
全日本ノービス 和田薫 LSp4   2.70 1.08 3.78 4.000
東日本選手権 千葉百音 LSp4   2.70 0.97 3.67 3.571
東日本選手権 元榮愛子 LSp4   2.70 0.97 3.67 3.571

 

平均GOEが3.5を超える要素の実績はこれだけありました。ノービスから二人名前が入っていますが、和田薫子選手は全日本ノービス6位なので全日本ジュニアへの出場はありません。

松生選手は中部選手権で高評価の要素が多数ありました

ノービスの島田真央選手はスピンから二つ。高難度ジャンプとスピンで点を取る年少者、というのはワリエワ選手タイプ。さすがにまだそのまま比較するには厳しいですが、トリプルアクセル着氷し始めたらそんな希望もあるかもしれません。ただ、スケート年齢で3年違うので、島田選手がシニアに上がるまでワリエワ選手が待っていてくれるかは怪しいですが・・・

 

 ●5コンポーネンツの平均が6.5以上

Event   Name Scores
中部選手権 FS 松生理乃 34.67
近畿選手権 SP 田中梓沙 33.17
西日本選手権 SP 松千 33.90
西日本選手権 SP 吉田陽菜 33.55
西日本選手権 SP 松生理乃 34.05
西日本選手権 SP 田中梓沙 33.10
西日本選手権 FS 松生理乃 36.70
西日本選手権 FS 吉田陽菜 34.20
東日本選手権 FS 住吉りをん 32.50

 

この演技構成点は、いわゆるファイブコンポーネンツ、五項目の合計をした点数で出しています。女子はショートは0.8、フリーは1.6という係数を掛けて、合計点に反映されるのですが、ここではその係数を掛ける前のスコアです。32.50というのは、五項目の平均が6.50というラインになります

ただ一人、平均7.0の35.0を超えるスコアを出しているのは松生選手。吉田選手はそれに続いて34点台までは出しています。PCSは、このトータルスコア上位二人が強いようです

 

全日本ジュニアは11月の22日23日です。休日があるので、土日ではなく、日月での開催です