21-22 マイアフロミフ

2006年5月25日生まれ

シニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$22,000

世界ランキング:20位

シーズンランキング:13位

シーズンベストスコア 226.35(7位) グランプリトリノ

ショートプログラムシーズンベスト 72.82 ブダペスト

フリーシーズンベスト 154.97 ロステレコム杯

ショートプログラム楽曲:I'll Take Care of You

フリープログラム楽曲:ブエノスイアイレス午前0時ほか

スピンレベル4率 29/30=96.7%

ステップレベル4率 4/10=40.0%

スピンオールレベル4 4/5

スピンステップオールレベル4  2/5

ジャンプ要素回転不足率 4/50=8.00%

ジャンプ回転不足なし 2/5

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 2/5

 

○21-22シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
IC Budapest Trophy 1 224.91 72.82 152.09
GP Grand Prix Torino 2 226.35 72.04 154.31
CS Warsaw Cup 1 194.02 69.24 124.78
GP Rostelecom Cup 3 219.69 64.72 154.97
NC Russian Nationals 8 217.18 69.36 147.82

今シーズンがシニアデビューのフロミフ選手。ワリエワ世代なのですが、ジュニア時代の実績がそれほど目立ったものではなかったので、ほとんど並列に語られることはありませんでした。

しかし、シニアデビュー戦のブダペストトロフィー。ここで、世界チャンピオンのシェルバコワ選手に勝って優勝します。ジュニア時代にもできなかった国際大会の初優勝です。ロシアは激戦ですが、それでもこの優勝で、ワンチャンあるぞ、というのを示します。

グランプリシリーズは最初はトリノ(正確には最初は中国杯予定)だけ入っていて、ロステレコム杯は地元枠が最終的に回ってきた形での2戦確保。トリノでは申し分ない出来でパーソナルベスト更新。ただ流石にここでは復調したシェルバコワ選手に敗れ2位となります。

あれ? と少し疑問符が付いたのがその次の試合のワルシャワカップ。ここでショートのコンビネーションがしっかり決まらずに70点に届かず。フリーでは4回転2本とも決まらずに120点台に終わり、トータル200点に届きませんでした。

翌週地元枠回ってきたロステレコム杯。今度はショートのコンビネーションで転倒。5位スタート。フリーでは4回転2本を着氷して逆転表彰台に乗るものの、代表を争うトゥクタミシェワ選手に10点近く離されての3位。ちょっと苦しいかな、という立ち位置ではありますが、ファイナルへつながる表彰台でした。

ところが、グランプリファイナルは中止。おそらく、ファイナル中止が一番残念だったのがフロミフ選手だったのではないかと思われます。他の選手にとっては通過点であり、また、大きな舞台を他にも踏んでいる中でのグランプリファイナルでしたが、フロミフ選手にとってはこれまでの人生で最大の舞台になる試合。そしてナショナル前の最後のアピールの舞台でしたが、その場が突如なくなってしまう形になりました。

オリンピックへ向けて勝負のロシア選手権。立ち位置的に位はチャンスがある5番手、ただ少し遠いかな、というようなところにいました。ショートプログラム、多少出遅れるのは想定内とは思いますが、コンビネーションの2つ目が2回転になったのが痛恨。9位スタートになります。フリーは初の4回転サルコウ投入。しかしこれが不発。トリプルループでも転倒。この時点でトップには立ちますが最終順位は8位。オリンピックはかなわぬ夢となりました。

その後ロシアの国内イベントで1試合滑りますが精細を欠く滑りで今シーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Pl Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Budapest Trophy 1 224.91 120.75 104.16 73.27 6.66 25.55 15.27
Grand Prix Torino 2 226.35 125.32 101.03 75.88 12.68 25.14 11.62
Warsaw Cup 1 194.02 99.98 96.04 66.32 -2.74 24.66 11.74
Rostelecom Cup 3 219.69 117.29 103.40 72.30 5.15 25.37 14.47
Russian Nationals 8 217.18 115.22 102.96 75.85 1.43 24.91 13.03

トータルスコアは220点台後半から190点台まで。安定感にはやや欠けました。

技術点は125.32まで出ています。これは今シーズン6番目となります。

PCSは100点台前半。5項目平均8点台の半ばです。最近若手がすごすぎて感覚ずれてしまってますが、シニア1年目でPCS8点台半ばはなかなか出ないです。

ジャンプの基礎点は75.88が最高。4回転2本があるのでここまで出ますが、トリプルアクセル組でもこの辺まで出してくる水準でもあります。トリプルアクセル3本あるトゥクタミシェワ選手は77.42が今シーズンありますので後塵を拝した形になっています。

ジャンプの加点はトリノで二桁乗りましたが他はそこまで伸びていません。

スピンは25点台がしっかりあります。ステップはブダペストでは15点台と良かったのですが、トリノでは11点台と崩れていたりします。

トリノのジャンプにブダペストのスピンステップPCSが揃えば230点台半ばまで出せる選手でした。

 

○要素別偏差値

Event Pl Total J Base J GOE Spin Step PCS
Budapest Trophy 1 67.71 67.05 63.57 65.23 67.34 66.00
Grand Prix Torino 2 68.10 69.00 73.68 63.95 52.81 63.91
Warsaw Cup 1 59.33 61.86 47.78 62.46 53.29 60.58
Rostelecom Cup 3 66.29 66.32 61.03 64.67 64.16 65.49
Russian Nationals 8 65.61 68.97 54.79 63.24 58.43 65.20

偏差値的には60台後半のトータルスコアの選手です。ジャンプの基礎点も60台後半まであります。加点はいい時は70台出ますが60前後のところが普通でしょうか。

スピンは60台前半から中盤位。ステップ系要素は60台後半まで出た試合もありますが50ちょっとのときもあります。PCSでは60台半ばまでだしました。

21-22シーズン マイアフロミフ要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは、調子いいと割とバランス型ですが、右下左下はばらつきが大きいです。ロシア選手権では悪い方が出てしまいました。

 

●シーズン最高の基礎点構成

ブダペスト杯 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
2 3Lz   5.90   1.18 7.08 2.000
3 CCoSp4   3.50   0.98 4.48 2.571
4 3F!+3T ! 10.45 x 0.32 10.77 0.571
5 FCSp4   3.20   0.90 4.10 2.857
6 StSq4   3.90   1.17 5.07 2.714
7 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
  TES   32.95   6.35 39.30  

ショート最高基礎点は32.95 これは坂本花織選手と同じ構成です。1,1倍にフリップ起点のコンビネーションを入れています。ルッツ起点のコンビネーションだと33.01になるのですが、そこがダブルアクセル組の今シーズン最高。トリプルアクセル無し組では出来栄え勝負で戦う構成が出来上がっています。

 

ロステレコム杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+2T   10.80   2.58 13.38 2.667
2 4T   9.50   -2.71 6.79 -2.778
3 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
4 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.778
5 2A   3.30   0.99 4.29 3.111
6 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667
7 3Lz+3T   11.11 x 1.18 12.29 2.000
8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.83 11.94 1.667
9 3Lz   6.49 x 1.10 7.59 1.889
10 FCSp4   3.20   0.87 4.07 2.556
11 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.111
12 FCCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.333
  TES   74.31   10.95 85.26  

フリーは74.31まで基礎点がありました。今シーズン5位の構成です。トリプルアクセルまでのジャンプでは届かない基礎点になっています。

2回飛ぶジャンプは4回転のトーループに3回転のルッツ。4回転-3回転が飛べるならば、トーループ2本にしてルッツをダブルアクセルに変えた方がわずかに基礎点上がりますが、リスクとリターンを考えるとあまり得策でもなく、飛べたら飛ぶ、というくらいなのかなと思います。他の試合では4-3の構成の時もありました。

 

○平均GOE3.200以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Budapest Trophy FS 11 ChSq1   3.00   1.90 4.90 3.714
Russian Nationals SP 3 CCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.667
Grand Prix Torino FS 12 FCCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.556
Russian Nationals SP 1 2A   3.30   1.18 4.48 3.556
Grand Prix Torino SP 1 2A   3.30   1.08 4.38 3.444
Budapest Trophy FS 6 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.429
Warsaw Cup SP 1 2A   3.30   1.06 4.36 3.429
Grand Prix Torino FS 5 2A   3.30   1.08 4.38 3.333
Rostelecom Cup SP 2 3F   5.30   1.74 7.04 3.333
Rostelecom Cup SP 3 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
Rostelecom Cup FS 12 FCCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.333
Budapest Trophy FS 10 FCSp4   3.20   1.09 4.29 3.286
Budapest Trophy FS 12 FCCoSp4   3.50   1.12 4.62 3.286
Warsaw Cup SP 3 CCoSp4   3.50   1.19 4.69 3.286
Grand Prix Torino SP 2 3Lz   5.90   1.85 7.75 3.222

一番評価が高いのはブダペスト杯のコレオシークエンス。その次はスピン二つとダブルアクセルが来ます。ジャンプはダブルアクセルが目立ちます。高難度ジャンプがこの辺に入ってくると大きな加点になるのですが、そこまでは出てきていません。また、最高評価でも3.714ということで、GOE+4を超える評価はありませんでした。この辺が、同じ4回転2本でもシェルバコワ選手とノーミス同士だと大きな差が出る形になります。

 

○4回転を含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Budapest Trophy FS 1 4T   9.50   -3.23 6.27 -3.429
Budapest Trophy FS 2 4T+3T   13.70   2.85 16.55 3.000
Grand Prix Torino FS 1 4T+2T   10.80   2.44 13.24 2.556
Grand Prix Torino FS 2 4T   9.50   2.71 12.21 2.889
Warsaw Cup FS 1 4Tq q 9.50   -3.99 5.51 -4.143
Warsaw Cup FS 2 4T<<+REP <<  2.94   -2.10 0.84 -5.000
Rostelecom Cup FS 1 4T+2T   10.80   2.58 13.38 2.667
Rostelecom Cup FS 2 4T   9.50   -2.71 6.79 -2.778
Russian Nationals FS 1 4S   9.70   -3.60 6.10 -3.667
Russian Nationals FS 2 4T+3T   13.70   1.49 15.19 1.556

4回転は各試合で2本づつ飛びました。ワルシャワカップでダウングレードがありますが、他は回転じゃ十分で基礎点は満額入っています。転倒は1、GOEマイナスは5回あり成功率は5割です。ロシア選手権ではサルコウジャンプが入っていましたが、クリアな着氷は出来ませんでした。

 

○3回転以上-3回転

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Budapest Trophy SP 4 3F!+3T ! 10.45 x 0.32 10.77 0.571
Budapest Trophy FS 2 4T+3T   13.70   2.85 16.55 3.000
Budapest Trophy FS 7 3Lz+3T   11.11 x 1.77 12.88 2.857
Grand Prix Torino SP 4 3F+3T   10.45 x 1.14 11.59 2.111
Grand Prix Torino FS 7 3Lz+3T   11.11 x 1.52 12.63 2.667
Warsaw Cup FS 7 3Lz+3T   11.11 x 0.35 11.46 0.571
Rostelecom Cup FS 7 3Lz+3T   11.11 x 1.18 12.29 2.000
Russian Nationals FS 2 4T+3T   13.70   1.49 15.19 1.556
Russian Nationals FS 7 3Lz+3T   11.11 x 1.52 12.63 2.444

セカンド3回転はもちろん普通に飛んできます。2つは4回転-3回転でした。すべてGOEプラスの成功ジャンプ。ただ、ワルシャワカップ以降の3試合ではショートにセカンド3回転がありません。ロシア勢の闘いの中ではこういうところでセカンド3回転が飛べないと苦しくなります。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Budapest Trophy FS 8 3F!+1Eu+3S ! 11.11 x 0.32 11.43 0.714
Grand Prix Torino FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.44 12.55 2.667
Warsaw Cup FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.64 11.75 1.143
Rostelecom Cup FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.83 11.94 1.667
Russian Nationals FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.98 12.09 1.889

3連続ジャンプはフリップ起点の3つ目サルコウ。4回転2本ある構成だとサルコウジャンプは余るので3連続に付けるのは有効です。5試合ともGOEプラスの成功ジャンプになっています。

 

○回転不足要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Grand Prix Torino FS 4 3Lo< 3.92   -1.51 2.41 -3.778
Warsaw Cup FS 2 4T<<+REP <<  2.94   -2.10 0.84 -5.000
Warsaw Cup FS 4 3Lo< 3.92   -1.96 1.96 -5.000
Russian Nationals FS 4 3Lo< 3.92   -1.96 1.96 -5.000

5試合の50あるジャンプ要素のうち4つが回転不足になっていました。4回転が回転不足になると思いきやそれは1つだけ。後の3つはトリプルループです。4回転のトーループを飛べるのに、3回転のループがいまいちうまく飛べない。不思議なものです。

 

逆転オリンピックを狙ったフロミフ選手でしたがロシア選手権で敗北し届きませんでした。グランプリファイナル、これに出られる権利を得られるような選手にとっては通過点なことが多くてある意味では一番中止しやすい大会、というようなことを以前書いたと思います。その時注記のように、ただ、フロミフ選手のように後から振り返るとこれが人生で一番大きな大会になるはずだった、ということはあるかもしれません、と付け加えました。

結果として、その通りになってしまったなあ、というその後の展開です。

ファイナル進出だけなら来シーズンでもまだチャンスは本来あったと思うのですが、それすらも潰えてしまいそうな世界情勢。長身が映える選手だったのですが、このまま消えてしまうのでしょうか・・・。