宇野昌磨 19-20

1997年12月17日生まれ

シニア5シーズン目

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所属: トヨタ自動車 中京大学

スポンサー関連: トヨタ自動車 ミズノ コラントッテ

CM: DHC

シーズン獲得賞金:$3,000

世界ランキング:3位

シーズンランキング:24位

シーズンベストスコア 290.57(3位) 全日本選手権

 ISU公認試合では255.23 フィンランディアトロフィー

ショートプログラムシーズンベスト 105.71 全日本選手権

 国際試合では92.28 フィンランディアトロフィー

フリーシーズンベスト 198.70 チャレンジカップ

ショートプログラム楽曲: Great Spilit

フリープログラム楽曲: Dancing On My Own

スピンレベル4率 27/33=81.8%(国際試合21/27=77.8%)

ステップレベル4率 5/11=45.5%(国際試合3/9=33.3%)

スピンオールレベル4 2/5 (国際試合1/4)

スピンステップオールレベル4 1/5(国際試合0/4)

ジャンプ回転不足率  8/57=14.0%(国際試合8/47=17.0%)

ジャンプ回転不足なし試合 1/5(国際試合0/4)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 1/5

 

 ●宇野昌磨選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
Others Japan Open 2 169.09       169.09 80.37 89.72
CS Finlandia Trophy 1 255.23 92.28 47.60 44.68 162.95 76.95 87.00
GP Internationaux de France 8 215.84 79.05 37.94 43.11 136.79 61.57 79.22
GP Rostelecom Cup 4 252.24 87.29 44.49 43.80 164.95 80.17 86.78
NC 全日本選手権 1 290.57 105.71 58.78 46.93 184.86 94.14 90.72
IC Challenge Cup 1 290.41 91.71 46.31 45.40 198.70 104.50 94.20

波乱万丈という表現が今シーズンの宇野選手にはぴったり当てはまるでしょうか。

樋口先生の下を離れて、今シーズンはコーチ不在という状態でスタートしました。

初戦はジャパンオープン。出来は悪かったですが、この時点では、まあジャパンオープンだし、という感じもしていました。

翌週にはすぐにチャレンジャーシリーズのフィンランディア杯。ここでも思いのほか点が伸びませんでした。安定的に300点を取る選手ではないですが、270点280点くらいはしっかり出す選手。それがフリーで伸びずに250点台というあたりが不安感を誘う内容となっていました。

その不安が当たってしまうのがグランプリシリーズフランス杯。ショート冒頭の四回転フリップこそ決まったものの、コンビネーションとトリプルアクセルが転倒で80点に届きません。フリーも転倒三つ。GOEがプラスの成功ジャンプが2つしかなく、スピンで二つレベル2、ステップもレベル2という、ジャンプだけですらなく全体的に壊れてしまった演技で、トータル215.84という信じられない点数になってしまいました。

ここで声をかけたのがランビエール先生だったでしょうか。日本にも、夏の代表合宿などで何度も訪れていて、宇野選手とも旧知の仲だったはず。宇野選手にも、この人なら、という感覚はあったのでしょうか。正式にコーチということではまだないですが、トレーニングをチームの中で積ませてもらうようになったようでした。

というのを経て、たった二週間しか時間がありませんでしたがロステレコム杯を迎えます。ショートは冒頭のフリップで回転不足から転倒、やっぱりまだ駄目なのか? と心配になりますが、あとの二つのジャンプは手堅くまとめます。フリーは、四回転トーループが入るべきところでジャンプを入れずにスルーという、目を疑うようなシーンもありつつ、リンクサイドから、ジャンプ余ってる! というランビエール先生の声を受けて終盤に一本追加。回転不足で転倒でしたので、リカバリーは出来てませんが、なんというか、微笑ましいような出来事もありました。スコアは252.24 宇野選手基準では、まだ、ひどい、に属する点数ですが、試合の前後には笑顔も見られ、精神的にはだいぶ回復したな、というのが見える試合でした。

 

シニアに上がってから初めてファイナルに出場できず、という流れで、今シーズンはグランプリシリーズから全日本に直行します。形としては四連覇がかかる全日本。一方で、羽生選手と久しぶりに全日本で直接対決、という場でもありました。ショートはノーミスで105.71発進。復活を印象付ける演技でした。フリーは大きなミスなくまとめましたが、加点は今一つ伸びずの184.86 トータル290.57は優勝するにはちょっと厳しいかな、という感じで最終滑走羽生選手待ちでしたが、まさかの羽生選手の中盤以降大崩れもあり、四連覇となりました。

 

全日本優勝ですので、シーズン後半は四大陸と世界選手権の権利がありましたが、四大陸は昨シーズン優勝していることもあってかスキップ。全日本後、ランビエール先生にしっかりコーチとしてついてもらうということを発表し、ヨーロッパでトレーニングを重ね、調整試合として2月前半にチャレンジカップを選びました。ショートは転倒もあり点が伸びませんでしたが、フリーは198.70と久しぶりにまとめてきて、世界選手権が期待されるという展開だったのですが、世界選手権中止により、ここでシーズンを終了しました。

 

 ●宇野昌磨選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
Others Japan Open 2 169.09 80.37 89.72 57.45 13.17 9.75
CS Finlandia Trophy 1 255.23 124.55 131.68 87.00 23.81 13.74
GP Internationaux de France 8 215.84 99.51 122.33 66.88 21.55 11.08
GP Rostelecom Cup 4 252.24 124.66 130.58 87.69 23.84 13.13
NC 全日本選手権 1 290.57 152.92 137.65 111.87 25.36 15.69
IC Challenge Cup 1 290.41 150.81 139.60 109.16 26.26 15.39

要素別は、出来の良くなかったロステレコム杯以前はTESよりPCSの方が高くなっています。崩れた時はTESの下がりは大きいですが、PCSはそれほど極端には下がらないためです。

全日本以降はTESが150点を超えていて、PCS満点が150点ですので、当然TESの方が高くなります。

PCSはシーズン後半は130点台後半。各要素平均9点で135点ですので、平均9点を少し超える水準です。9.5点なら142.5点になりますので、9.5までは届いていません。それでも、全体の3位。ちゃんと滑れば世界の三番手、というのが今の宇野選手の立ち位置なようです。

ジャンプはいい時に110点前後稼ぎます。チャレンジカップの109.16は今シーズン6位の数字。

スピンはシーズン前半は24点に満たず、崩れたのはジャンプだけではないことが表れていますが、チャレンジカップでは26点台まで出してきました。このスコアで全体7位。足を引っ張るような要素ではないです。

ステップもシーズン前半ひどいスコアがありますが、チャレンジカップで15.39までちゃんと出していて、これは全体5位です。

やはり総合的にどの要素もしっかりこなせて、総合力で世界の三番手、ちゃんと滑れば、というのが見えます。

 

 ●宇野昌磨選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Finlandia Trophy 1 63.00 59.81 53.79 60.59 61.05 66.30
Internationaux de France 8 52.96 61.33 25.79 53.54 48.49 60.62
Rostelecom Cup 4 62.24 62.27 49.90 60.69 58.17 65.63
全日本選手権 1 72.01 65.06 74.62 65.43 70.26 69.92
Challenge Cup 1 71.97 65.99 69.45 68.24 68.84 71.10

偏差値に直すと、ものすごく悪かったフランス杯でも、トータルスコア偏差値50は超えています。まあ、ジャンプGOEが偏差値25.79という、なかなか見ることのない値で、ホントひどかったんだな、というのがわかりますけれど。ちなみに、このフランス杯のじゃんぷのGOEは-21.37というもので、今シーズンの全選手の全演技の中で最低のものでした。基礎点の高いジャンプを飛んだうえで失敗しないと、GOEのマイナスを大きくできないので、宇野選手級の選手があれだけ崩れたことによって生まれたスコアです。

 

トータルスコア、ちゃんと滑れば偏差値70に乗ります。上にいるのは、統計上の異常値レベルの選手二人だけしかいませんので。

ジャンプは基礎点、GOE共に、ちゃんと滑った時は60後半まで出ます。出来が良ければGOEは偏差値70超えるのでしょう。シーズンベストはチャレンジカップのスコアですが、本当にすべてが揃えばもっと上が出せるはずの選手。

スピンステップもちゃんと滑ると偏差値60台後半。70にはなかなか乗らないんですかね。

 

宇野昌磨スケート偏差値

レーダーチャートで表すと、フランス杯がすごいことになってますが、それは横に置くと、全体のバランスが割と取れたチャートになっています。上二人はジャンプのGOEが突出したチャートになってますので、もう一段階上がるにはそこが求められるわけです。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
全日本選手権 1 4F   11.00   3.93 14.93 3.111
全日本選手権 2 4T+2T   10.80   2.85 13.65 2.778
全日本選手権 3 FCSp4   3.20   0.91 4.11 2.444
全日本選手権 4 3A   8.80 X 3.20 12.00 3.556
全日本選手権 5 CSSp4   3.00   0.86 3.86 2.444
全日本選手権 6 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 2.778
全日本選手権 7 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.000
全日本選手権   TES   44.20   14.58 58.78  

 

ショートプログラムの最高基礎点は全日本の44.20でした。今シーズンはちゃんとまとめたと言えるショートは全日本だけでしたでしょうか。国際大会ではフィンランディア杯の42.08が最高で、それくらいの値だと、男子としては割と平凡、という値だったりします。

全日本はこの基礎点で105.71まで出していますが、構成的にはもっと上が普通にあります。コンビネーションの後ろを3Tに出来れば基礎点が2.9上がります。そうすると基礎点は47.10になる。その基礎点になれば、上にいるのは四回転ルッツ組だけになってきますし、全日本は単純計算で108.61まで出たことになる。

ノーミス構成だと宇野選手はショート110点が狙える、つまり、羽生選手、ネイサンチェン選手と、ほぼ並んだスコアでフリーに進むことができる、ということがわかります。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Challenge Cup 1 4S   9.70   2.91 12.61 3.143
Challenge Cup 2 4F   11.00   2.86 13.86 2.571
Challenge Cup 3 4T< 7.60   -2.43 5.17 -3.286
Challenge Cup 4 3A   8.00   3.04 11.04 3.857
Challenge Cup 5 FCSp4   3.20   0.83 4.03 2.571
Challenge Cup 6 4T+2T   11.88 x 2.66 14.54 2.714
Challenge Cup 7 3S   4.73 x 1.29 6.02 2.857
Challenge Cup 8 3A+1Eu+3F   15.18 x 2.40 17.58 3.000
Challenge Cup 9 StSq3   3.30   1.45 4.75 4.143
Challenge Cup 10 FCCoSp4   3.50   1.12 4.62 3.143
Challenge Cup 11 ChSq1   3.00   2.10 5.10 4.000
Challenge Cup 12 CCoSp4   3.50   1.68 5.18 4.571
Challenge Cup   TES   84.59   19.91 104.50  

フリーの最高基礎点は84.59 これは今シーズン6位の構成です。

この構成で198.70まで宇野選手は出したのですが、これ、どう見ても全然ノーミスではありません。

まず、四回転トーループが回転不足。次にステップがレベル3 その上で、コンビネーションが二つしかありません。

本当にやりたかった構成は、3Sの後ろに3Tだと思いますので、その場合基礎点は7.12上がるので91.71となります。この段階で、上にいるのはあの二人だけ、となります。

宇野選手は、コンビネーションをすべて1.1倍のところに入れる、という構成を今シーズンは組もうとしていたようです。また、これまでもコンビネーションを後ろに法にまとめる傾向があります。そのためなのか、結果的にコンビネーションが二つしか入りませんでした、となる試合が多い。ここが解消できると、もう5点くらいは普通に上がってきます。

 

また、上記の構成もそうなのですが、今シーズン、宇野選手は一度もルッツジャンプを飛んでいません。四回転の、ではなく、三回転も含めてルッツジャンプが一つもない。昨シーズンもそうでした。練習中に四回転ルッツを飛んだ、という報道はあったりしますが、試合でのルッツは三回転のものでも久しく見ていません。

今の構成であれば、3Sのところはルッツに組み替え可能です。それをしない、というのは、あまり得意ではないんだな、というのの表れかと思います

何となくですが、山田先生の系譜のチームは、ルッツを好まない選手が多いかなあ、と感じています。

 

●平均GOE+3.200以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Challenge Cup FS 12 CCoSp4   3.50   1.68 5.18 4.571
Challenge Cup FS 9 StSq3   3.30   1.45 4.75 4.143
Finlandia Trophy SP 7 StSq2   2.60   1.04 3.64 4.000
Challenge Cup SP 7 StSq4   3.90   1.64 5.54 4.000
Challenge Cup FS 11 ChSq1   3.00   2.10 5.10 4.000
全日本選手権 SP 7 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.000
Finlandia Trophy FS 12 CCoSp4   3.50   1.34 4.84 3.875
Challenge Cup FS 4 3A   8.00   3.04 11.04 3.857
Finlandia Trophy FS 11 ChSq1   3.00   1.83 4.83 3.750
Japan Open FS 12 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.556
Rostelecom Cup FS 2 3A   8.00   2.74 10.74 3.556
全日本選手権 SP 4 3A   8.80 X 3.20 12.00 3.556
Rostelecom Cup SP 6 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.444
Rostelecom Cup SP 7 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.444
Finlandia Trophy FS 9 StSq4   3.90   1.37 5.27 3.375
Internationaux de France SP 7 StSq2   2.60   0.85 3.45 3.333
Japan Open FS 9 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.222
全日本選手権 FS 9 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.222

評価の高い要素はスピンのうちのCCoSpすなわち、チェンジフットコンビネーションスピンと、ステップ系要素が並びます。また、ジャンプの中ではトリプルアクセルが入ってきます。

今シーズン、全体的に出来が良くなかったこともあって、上記のリストは+3.200まで含まれる、この水準の選手からするといくらか甘い基準なのですが、ジャンプで入ってきているのは単独のトリプルアクセルだけ。この辺が、上二人と差があることの表れかな、とも感じます。

 

●四回転のフリップとサルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 2 4F   11.00   -1.10 9.90 -0.889
Finlandia Trophy SP 1 4F   11.00   -0.18 10.82 0.000
Finlandia Trophy FS 2 4F   11.00   2.57 13.57 2.500
Internationaux de France SP 1 4F   11.00   2.36 13.36 2.222
Internationaux de France FS 1 4S< 7.76   -3.44 4.32 -4.333
Internationaux de France FS 2 4F   11.00   -4.71 6.29 -4.222
Rostelecom Cup SP 1 4F< 8.80   -4.40 4.40 -5.000
Rostelecom Cup FS 1 4S   9.70   -4.85 4.85 -5.000
Challenge Cup SP 1 4F   11.00   3.30 14.30 3.000
Challenge Cup FS 1 4S   9.70   2.91 12.61 3.143
Challenge Cup FS 2 4F   11.00   2.86 13.86 2.571
全日本選手権 SP 1 4F   11.00   3.93 14.93 3.111
全日本選手権 FS 1 4F   11.00   1.57 12.57 1.222

四回転フリップと言えば宇野昌磨選手。

今シーズン不調ながらも、10回飛んで回転不足は1度だけ。GOEマイナスはそれも含めて3回ありますが、7回はGOEがマイナスにならない成功ジャンプです。一番信頼できるジャンプかもしれません。

サルコウは3回飛んで回転不足1、転倒も2で成功ジャンプは一度だけです。まだ、あまり計算できるジャンプではありません。

 

●四回転トーループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 6 4T   9.50   -4.75 4.75 -5.000
Finlandia Trophy SP 2 4T+2T   10.80   2.69 13.49 2.875
Finlandia Trophy FS 6 4T   9.50   -4.59 4.91 -4.750
Internationaux de France SP 2 4T+COMBO   9.50   -4.75 4.75 -5.000
Internationaux de France FS 3 4T+2T   10.80   2.71 13.51 2.667
Internationaux de France FS 6 4T   9.50   -4.75 4.75 -5.000
Rostelecom Cup SP 2 4T+2T   10.80   2.44 13.24 2.556
Rostelecom Cup FS 5 4T   9.50   2.04 11.54 2.111
Rostelecom Cup FS 11 4T<+REP 5.85 x -3.80 2.05 -5.000
Challenge Cup SP 2 4T<+COMBO 7.60   -3.80 3.80 -5.000
Challenge Cup FS 3 4T< 7.60   -2.43 5.17 -3.286
Challenge Cup FS 6 4T+2T   11.88 x 2.66 14.54 2.714
全日本選手権 SP 2 4T+2T   10.80   2.85 13.65 2.778
全日本選手権 FS 2 4T   9.50   0.95 10.45 1.111
全日本選手権 FS 6 4T+2T   10.80   2.99 13.79 2.889

四回転トーループが昨シーズンまでと比べて確率が著しく下がったのが、今シーズン目立ちます。

15回飛んで3回回転不足、転倒が6 GOEプラスの成功ジャンプは8回で、成功率5割程度しかありません。トーループは宇野選手の中で、それほど難易度が高くないという認識なのか、ショートもフリーも最初のジャンプとはなっておらず2番目以降、フリーでは後半に入ってくることもあります。フリップは冒頭に飛ぶことが多いのに対し、トーループはそれより後の方に来ることから、体力的あるいは集中力的に不利になり、成功率が上がりにくい、という要素はあります

とは言え、これが決まってこないと苦しい。

ほぼ復活したと思われるチャレンジカップでも、ショート転倒のフリーも一つ目は回転不足と、しっかり決まっていません。来シーズン、300点超えて2強と勝負、ということを考えた時に、キーになる要素かもしれません。

 

●単独のトリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 3 3A   8.00   1.03 9.03 1.222
Finlandia Trophy SP 4 3A   8.80 x -0.27 8.53 -0.125
Finlandia Trophy FS 3 3A   8.00   2.40 10.40 3.125
Internationaux de France SP 4 3A   8.80 x -4.00 4.80 -5.000
Internationaux de France FS 4 3A   8.00   -4.00 4.00 -5.000
Internationaux de France FS 8 3A<<+REP <<  2.54 x -1.65 0.89 -5.000
Rostelecom Cup SP 4 3A   8.80 x 2.51 11.31 3.111
Rostelecom Cup FS 2 3A   8.00   2.74 10.74 3.556
Challenge Cup SP 4 3A   8.80 x 1.44 10.24 1.857
Challenge Cup FS 4 3A   8.00   3.04 11.04 3.857
全日本選手権 SP 4 3A   8.80 X 3.20 12.00 3.556
全日本選手権 FS 3 3A   8.00   1.26 9.26 1.333

単独のトリプルアクセルは、基本的には成功率高く入りました。

転倒が3回ありますが、すべてあのフランス杯のものです。それ以外はフィンランディア杯でGOEマイナスがありますが、あとはGOEプラスの成功ジャンプでした。

問題なく跳べるジャンプで、あとはどれだけ加点を稼げるか、ということになるんだと思われます。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 8 3A+1Eu+3F   15.18 X 2.63 17.81 3.111
Finlandia Trophy FS 8 3A+1Eu<<+1F <<  9.35 x -2.40 6.95 -3.000
Rostelecom Cup FS 7 3A+1Eu+3F< 14.01 x -0.46 13.55 -0.667
Challenge Cup FS 8 3A+1Eu+3F   15.18 x 2.40 17.58 3.000
全日本選手権 FS 8 3A+1Eu+1F   9.90 X 0.69 10.59 0.778

3連続ジャンプはトリプルアクセルからで最後がフリップという変わり種。フリップが余っているわけでもなく、トリプルサルコウからのコンビネーションを飛んでいますから、そちらをフリップにして、三連続の最後をサルコウにする方が本来自然です。それをあえてフリップにしているのは、よほどフリップが得意というのがあるのでしょう。ただし、最後がフリップでもサルコウでもGOEの基準幅は変わらないのに対し、3S-3Tが3F-3Tになると、GOEが+1毎に上がる点数は3F-3Tの方が高くなるので、実は計算上不利なことをしています。

この三連続、トリプルアクセルまではしっかり決まっているのですが、最後のフリップがいまいち決まりません。

しっかり決まったのは5回中2回。このジャンプ一つで一番いい時と悪い時で11点ほど差が出ているので、一つカギになる要素です。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 9 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.222
Japan Open FS 11 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.111
Finlandia Trophy SP 7 StSq2   2.60   1.04 3.64 4.000
Finlandia Trophy FS 9 StSq4   3.90   1.37 5.27 3.375
Finlandia Trophy FS 11 ChSq1   3.00   1.83 4.83 3.750
Internationaux de France SP 7 StSq2   2.60   0.85 3.45 3.333
Internationaux de France FS 9 StSq2   2.60   0.67 3.27 2.444
Internationaux de France FS 11 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
Rostelecom Cup SP 7 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.444
Rostelecom Cup FS 8 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.111
Rostelecom Cup FS 10 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.556
Challenge Cup SP 7 StSq4   3.90   1.64 5.54 4.000
Challenge Cup FS 9 StSq3   3.30   1.45 4.75 4.143
Challenge Cup FS 11 ChSq1   3.00   2.10 5.10 4.000
全日本選手権 SP 7 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.000
全日本選手権 FS 9 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.222
全日本選手権 FS 11 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.000

ステップ、コレオも評価が高い要素ではあるのですが、目につくのはステップのレベル2あるいは3  案外ステップレベル4が取れていません。GOEは高く+4.000もよくあるのですが、レベルは2だったりする。レベル2のGOE+4は3.64点 レベル4ならGOE+0でも3.90点。GOEよりレベルの方が圧倒的に重要です。

コレオシークエンスは一番高くて4.000 要素順としてはコレオの方がステップより後の構成ですが、ステップとコレオとどちらが高評価かというのは試合によります。この辺、あとの要素だけ高い、という選手が結構いるのですが、宇野選手はこのあたりのバランスが取れています。

 

 

スピンはレベル4率81.8% トップ選手としては低め。ただ、ロステレコム杯では6つ中5つがレベル4になり、全日本とチャレンジカップではショートフリーオールレベル4でした。スピンの名手ランビエール先生の指導を直接受けるようになり、ちゃんと安定してレベル4が取れるようになったようです。

なお、昨シーズンもレベル4率は80%台前半でしたので、シーズン前半の不振の影響だけでなく、元々、安定してレベル4は取れていませんでした。

 

 

今シーズン紆余曲折あった宇野選手。これで世界選手権に勝ったらドラマチックだったのですが、世界選手権は中止。ただ、全日本で羽生選手に勝ったというだけでも十分ドラマチックではありました。

この不振シーズンに羽生選手との直接対決で初勝利。それが国内大会だったのがいいのか悪いのか何ともわかりませんが、次は世界の舞台で勝ちたい。

ジュニアのタイトルは獲った、四大陸も獲った。あとはグランプリファイナル、世界選手権、オリンピックという三つ。頂点三つ。この三つすべて2位は持っているので、あとは頂点大会の頂点だけです。

 

たぶん、そういうところまで来ていたので、山田先生は自分のところを離れるように言ったのかな、とも思いました。山田先生は、世界選手権までは獲っていますが、オリンピックは二位までです。足りないものは何か? そんなことはわかりませんけれど、その位置まで来た宇野選手、そして、世界で勝ちたいと思った宇野選手に対して、与えられるものは、自分達とは違う世界にある、そう思った、思われたのかな、ということを思いました。

 

その外の世界が、コーチ無し、という選択なのはかなりの予想外でしたが、半年の紆余曲折を経てランビエール先生のところに落ち着きました。その成否はまだよくわかりません。結局のところ北京オリンピックが終わったところで問われることなのかなと思います。

 

今シーズン、コーチだけでなく、振付も樋口先生を離れたのは初めてでした。

ショートプログラム Great Splitはたぶん名作。ただ、成功したのが全日本だけなので、宇野選手レベルの選手が代表作というにはちょっと弱い。世界の舞台で成功して初めて代表作と言えると思うので、できれば来シーズンも持ち越しでやってもらえたらと思います。ただ、これまで2シーズンプログラムを続けたことないので、どうですかね。

 

来シーズンはランビエール先生門下生としての実質的一年目として迎えます。

2強プラス1の1ではなく、3強として横並びで称されるくらいの活躍が見られたら良いなと思います。