21-22 宇野昌磨

1997年12月17日生まれ

シニア7シーズン目

シーズン獲得賞金:$95,000

世界ランキング:3位

シーズンランキング:3位

シーズンベストスコア 312.48(2位) 世界選手権

ショートプログラムシーズンベスト 109.63 世界選手権

フリーシーズンベスト 202.85 世界選手権

ショートプログラム楽曲:オーボエコンチェルト

フリープログラム楽曲:ボレロ

スピンレベル4率 30/36=83.3% (国際大会:23/27=85.2%)

ステップレベル4率 8/12=66.7%(国際大会:6/9=66.7%)

スピンオールレベル4 2/5 (国際大会2/4)

スピンステップオールレベル4  2/5(国際大会2/4)

ジャンプ要素回転不足率 2/60=3.33%

ジャンプ回転不足なし 3/5(国際大会2/4)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/5(国際大会:1/4)

 

○21-22シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
Others Japan Open 1 181.21   181.21
GP Skate America 2 270.68 89.07 181.61
GP NHK Trophy 1 290.15 102.58 187.57
NC 全日本選手権 2 295.82 101.88 193.94
OG OlympicGames Team SP 2 105.46 105.46  
OG Olympic Games 3 293.00 105.90 187.10
WC World Championships 1 312.48 109.63 202.85

 

宇野選手の今シーズンはジャパンオープンスタートでした。コロナがまだ強めだったこともあってかチャレンジャーシリーズの登場はなし。ジャパンオープンは181.21 4回転5本構成のチャレンジスタートですが、GOEプラスは2本、着氷は3本という厳しいスタートでした。

グランプリシリーズはいきないスケートアメリカから登場。ショートはフリップが2回転になって零点というやはりここでも厳しいスタート。フリーはGOEプラスの4回転は2本と、まだ難易度についていけず270.68の2位。本人比で平凡なスコアですが、もっとひどかったネイサンチェン選手を上回るという不思議な光景もありました。

日本のエース格としてNHK杯に登場。4-3はまた入らないなど完ぺきではないですがショートで100点到達。フリーの4回転はプラス評価3本にまではなって290.15のスコアでこの試合は圧勝でした。ファイナルは中止でオリンピックの前哨戦はなくなりますが、プチ前哨戦感もある全日本がその次に待っています。

全日本は2位でした。1年ぶりに鍵山選手の上へ出ました。ただフリーはコンビネーションが1つしか入らずの3位。優勝した羽生選手とのポイント差はだいぶありました。

 

2度目のオリンピック。2強を超えられるか? というその2強に続く位置で迎えたオリンピックです。まずは団体戦。4回転-3回転が入っての105.46 実はスピンステップでレベル3やってたりと完璧ではないですが、4-3がここで入ったのは大きい、という印象でした。

個人戦はその4-3がわずかにGOEマイナスになりつつも105.90で3位スタート。首位と8.07差は相手が崩れるのを待たないといけない苦しい点差。フリーは4回転5本はGOEプラスに出来たのが結局2本。滑り終わった時点で首位には立ちましたが結局ショートの順位を保っての3位、銅メダルとなりました。

4年前もそうでしたが、宇野選手はオリンピック出た後の世界選手権を休養、ということはなくそのまま出ていきます。事前に好調は伝えられていました。ネイサンチェン選手や羽生結弦選手はいませんでしたが、ここ2年、国際大会で勝っていない鍵山優真選手はいます。

ショートは今度こそ正真正銘ノーミス、109.63のパーソナルベストで首位に立ちます。フリーは、直前の鍵山選手がまずまず程度の出来で、187.98が出れば優勝出来る、という状況。オリンピックのフリーは187.10 それを超えないと優勝はありません。

このフリーでついに、4回転を4本まで加点付きで降りました。4本目を下りたあたりで優勝がほぼ見えて、5本目が回転不足ながらも転倒せずにこらえたことで、世界チャンピオンの座を得ました。出場6回目。ついに戴冠です。

 

○要素別スコア

Event Pl Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Japan Open 1 181.21 93.07 89.14 57.96 2.67 12.60 9.34
Skate America 2 270.68 137.54 133.14 95.26 5.00 22.65 14.63
NHK Trophy 1 290.15 153.54 136.61 97.21 19.22 24.27 12.84
全日本選手権 2 295.82 157.12 139.70 102.75 15.64 24.16 14.57
OlympicGames Team SP 2 105.46 58.89 46.57 33.50 9.08 11.69 4.62
Olympic Games 3 293.00 155.29 138.71 104.93 7.61 26.60 16.15
World Championships 1 312.48 170.07 142.41 102.86 24.30 27.01 15.90

 

今シーズンは290点台の試合が多く、技術点は150点台が並びましたが、ショートフリーで合わせて6本の4回転で加点を得た世界選手権は170.07まで出ました。PCSは世界選手権で140点超え。5項目平均で9.5ほどでした。TESもPCSも今シーズン2位の評価です。

ジャンプの基礎点は結果的にオリンピックが最高。世界選手権はフリーでコンビネーションが1つ入らず3連続も3つ目が1回転だったりと基礎点は取り切れていません。104.93だと今シーズン4番目です。102.86の世界選手権は上に6人いて7番目。基礎点で圧倒しているわけでもなく、出来栄えで上位に来ている形なようです。というわけでジャンプの加点、世界選手権の24.30が今シーズン2位でした。

スピンの27.01も今シーズン2位、ステップの16.15は4位。こういったところもしっかり上位にいます。

 

○要素別偏差値

Event Pl Total J Base J GOE Spin Step PCS
Skate America 2 66.75 63.53 60.20 56.45 63.73 67.81
NHK Trophy 1 72.04 64.78 78.80 61.70 56.00 70.16
全日本選手権 2 73.58 68.32 74.12 61.34 63.47 72.26
Olympic Games 3 72.82 69.72 63.61 69.26 70.30 71.58
World Championships 1 78.12 68.39 85.45 70.59 69.22 74.09

 

偏差値はトータルスコアで78.12まで出ました。ジャンプの基礎点は70までは乗らない領域で、加点の方で70台があり、オリンピックでは85.45まで偏差値が伸びました。

スピン、ステップ、PCS、いずれも偏差値70に乗せる試合があり、どの要素を取ってもトップ選手である、というのが見て取れます。

21-22シーズン 宇野昌磨要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは、意外とジャンプの基礎点が低く見える形。この要素だけ偏差値70に乗った試合がありませんでした。ジャンプも跳べるけれど、本質的には魅せる部分に力がある選手、という読み取り方になるのかもしれません。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○世界選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4F   11.00   3.46 14.46 3.111
2 4T+3T   13.70   3.39 17.09 3.556
3 FCSp4   3.20   1.01 4.21 3.111
4 3A   8.80 x 3.43 12.23 4.222
5 CSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
6 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.000
7 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.222
  TES   47.10   15.26 62.36  

ショートプログラムは基礎点47.10が最高でした。これは今シーズン4位の基礎点です。フリップとトーループでセカンド3回転が入るとここまで来ます。ルッツ組にはかなわない、という計算です。3回転のルッツも構成に入れてこない宇野選手としては、ショートで基礎点上げるには4回転のルッツ投入ではなくて、フリップとループにするとかコンビネーションを1.1倍にいれるとか、そういったアレンジが必要になりますが、この47.10はトップの49.87と2.77ポイント差。出来栄え上げていく形の勝負でもある程度対抗できそうでもあります。

 

スケートアメリカ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lo   10.50   -1.50 9.00 -1.333
2 4S<< <<  4.30   -2.09 2.21 -4.778
3 4T+2T   10.80   1.90 12.70 1.889
4 3A   8.00   1.83 9.83 2.444
5 FCSp4   3.20   0.87 4.07 2.778
6 ChSq1   3.00   0.93 3.93 1.778
7 4F   12.10 x -0.63 11.47 -0.556
8 4T+2T   11.88 x 2.44 14.32 2.667
9 3A+1Eu+3Fq q 15.18 x -2.29 12.89 -2.667
10 FCCoSp4V   2.63   0.30 2.93 1.111
11 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 2.889
12 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.556
  TES   88.99   4.26 93.25  

フリーは、基礎点が一番良かったのは結局スケートアメリカになりました。88.99は今シーズン8位です。

サルコウが4回転ちゃんと入って、3つ目の要素が2つ目のジャンプを3回転に出来、スピンのVが取れると、10.17基礎点を上げることが出来て、99.16にまでなります。99.16なら今シーズントップの基礎点構成でした。非常に難易度の高い構成だったことがわかります。

 

○平均GOE3.600以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 FS 12 StSq3   3.30   1.60 4.90 4.667
World Championships FS 12 StSq4   3.90   1.84 5.74 4.667
Olympic Games SP 6 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.556
Olympic Games FS 12 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.556
World Championships SP 4 3A   8.80 x 3.43 12.23 4.222
World Championships SP 7 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.222
World Championships FS 11 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.111
NHK Trophy SP 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 4.000
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
OlympicGames Team SP 4 3A   8.80 x 3.20 12.00 4.000
Olympic Games SP 4 3A   8.80 x 3.20 12.00 4.000
World Championships SP 6 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.000
OlympicGames Team SP 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 3.889
Olympic Games SP 7 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 3.889
World Championships FS 1 4Lo   10.50   4.05 14.55 3.889
World Championships FS 4 3A   8.00   3.09 11.09 3.889
Japan Open FS 12 StSq4   3.90   1.56 5.46 3.833
Skate America SP 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
NHK Trophy SP 7 CCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
Olympic Games FS 11 CCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.667
World Championships FS 7 4F   12.10 x 3.93 16.03 3.667

評価が高い要素としてはステップが並んでいます。ジャンプではトリプルアクセルが来ます。コンビネーションで高評価は入ってこない。セカンド3回転がなかなかつかないあたりも含め、コンビネーションジャンプは苦手でしょうか。スピンはCCoSpだけが高評価で入ってきていて、他は入ってこない形です。

 

○フリップから始まる要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Japan Open FS 7 4F   12.10 X 1.38 13.48 1.333
Skate America SP 1 2F* * 0.00   0.00 0.00  
Skate America FS 7 4F   12.10 x -0.63 11.47 -0.556
NHK Trophy SP 1 4F   11.00   2.99 13.99 2.778
NHK Trophy FS 7 2F   1.98 X 0.05 2.03 0.333
全日本選手権 SP 1 4F   11.00   2.99 13.99 2.556
全日本選手権 FS 3 4F   11.00   1.57 12.57 1.444
OlympicGames Team SP 1 4F   11.00   3.30 14.30 3.000
Olympic Games SP 1 4F   11.00   3.77 14.77 3.444
Olympic Games FS 3 4F   11.00   -5.34 5.66 -4.778
World Championships SP 1 4F   11.00   3.46 14.46 3.111
World Championships FS 7 4F   12.10 x 3.93 16.03 3.667

4回転フリップは世界で初めて飛んだのが宇野選手であり、宇野選手のジャンプ。ショートフリーどちらも1本筒入れています。グランプリシリーズでは2回転に抜けたのが2本ありました。成功率は割と高いのですが、オリンピックの転倒は残念でした。

 

○4回転ループ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate America FS 1 4Lo   10.50   -1.50 9.00 -1.333
NHK Trophy FS 1 4Lo   10.50   3.30 13.80 3.111
全日本選手権 FS 1 4Lo   10.50   3.15 13.65 3.000
Olympic Games FS 1 4Lo   10.50   3.45 13.95 3.333
World Championships FS 1 4Lo   10.50   4.05 14.55 3.889

4回転ループはフリー冒頭で跳びます。5本飛んで加点が4本。GOEで+3以上出ています。意外と成功率が高いループです。

 

サルコウを含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Japan Open FS 2 2S   1.30   0.00 1.30 0.167
Skate America FS 2 4S<< <<  4.30   -2.09 2.21 -4.778
NHK Trophy FS 2 4S   9.70   2.91 12.61 2.889
全日本選手権 FS 2 4S   9.70   2.91 12.61 2.889
Olympic Games FS 2 4Sq q 9.70   -2.77 6.93 -2.667
World Championships FS 2 4S   9.70   3.19 12.89 3.222

サルコウはフリー2つ目の要素。ジャパンオープンで2回転、スケートアメリカでダウングレードと序盤は苦しんでいました。オリンピックでも評価はマイナスで成功率は5割。あまり高くありませんでした。

 

○4回転トーループを含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Japan Open FS 3 4T   9.50   -0.71 8.79 -0.500
Japan Open FS 8 4T+2T   11.88 X 2.85 14.73 3.000
Skate America SP 2 4T+3T   13.70   2.71 16.41 2.889
Skate America FS 3 4T+2T   10.80   1.90 12.70 1.889
Skate America FS 8 4T+2T   11.88 x 2.44 14.32 2.667
NHK Trophy SP 2 4T+2T   10.80   2.85 13.65 2.889
NHK Trophy FS 3 4T+2T   10.80   1.90 12.70 2.111
NHK Trophy FS 8 4T   10.45 X -0.95 9.50 -1.000
全日本選手権 SP 2 4T+2T   10.80   1.90 12.70 1.889
全日本選手権 FS 7 4T   10.45 X -4.75 5.70 -5.000
全日本選手権 FS 8 4T+REP   7.32 X 1.36 8.68 1.333
OlympicGames Team SP SP 2 4T+3T   13.70   2.58 16.28 2.778
Olympic Games SP 2 4T+3T   13.70   -0.14 13.56 -0.111
Olympic Games FS 7 4T   10.45 x -0.95 9.50 -0.889
Olympic Games FS 8 4T+2T   11.88 x 2.85 14.73 3.000
World Championships SP 2 4T+3T   13.70   3.39 17.09 3.556
World Championships FS 3 4T+2T   10.80   1.36 12.16 1.444
World Championships FS 8 4T< 8.36 x -2.17 6.19 -2.778

トーループはショートフリーで合計3本、コンビネーションも付きます。このジャンプが意外と決まりませんでした。回転不足やダウングレードはないのですが、加点がついてこない。3本とも加点が付いた試合はスケートアメリカだけです。これがコンビネーション付きで3本が毎試合揃うようになると、330点まで見えて来たりするんでしょうか。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Japan Open FS 4 3A   8.00   2.40 10.40 3.167
Japan Open FS 9 3A+1Eu+3F   15.18 X 2.00 17.18 2.500
Skate America SP 4 3A   8.80 x 2.63 11.43 3.222
Skate America FS 4 3A   8.00   1.83 9.83 2.444
Skate America FS 9 3A+1Eu+3Fq q 15.18 x -2.29 12.89 -2.667
NHK Trophy SP 4 3A   8.80 X 2.63 11.43 3.333
NHK Trophy FS 4 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
NHK Trophy FS 9 3A+1Eu+3F   15.18 X 1.14 16.32 1.333
全日本選手権 SP 4 3A   8.80 X 2.51 11.31 3.000
全日本選手権 FS 4 3A   8.00   2.86 10.86 3.556
全日本選手権 FS 9 3A+1Eu+3F   15.18 X 1.14 16.32 1.556
OlympicGames Team SP SP 4 3A   8.80 x 3.20 12.00 4.000
Olympic Games SP 4 3A   8.80 x 3.20 12.00 4.000
Olympic Games FS 4 3A   8.00   2.63 10.63 3.444
Olympic Games FS 9 3A+1Eu+1F   9.90 x 0.91 10.81 1.111
World Championships SP 4 3A   8.80 x 3.43 12.23 4.222
World Championships FS 4 3A   8.00   3.09 11.09 3.889
World Championships FS 9 3A+1Eu+1F   9.90 x 0.57 10.47 0.667

トリプルアクセルはショートフリーで合計3本飛びます。フリーは3連続が1つ入る。GOEマイナスは1回飛んで1回だけですが、3連続の最後が1回転になったのがオリンピック、世界選手権と続き、スコア的にはこれは大きく響いてきます。トリプルアクセルからの3連続は決まるとスコア云々ではなく、非常にかっこいいんですけどね。3つ目が1回転になるとちょっと格好がつかない。決めてもらいたいジャンプです。

 

ついに世界チャンピオンになりました。ジュニアグランプリファイナル、世界ジュニア、四大陸、それぞれ金メダルを持っています。オリンピックは銀と銅。世界選手権は銀2つ。そこに世界選手権金メダルが加わりました。来シーズンはオリンピックは無理ですが、銅2つと銀2つ持っているグランプリファイナルのタイトルを獲りに行けるシーズンです。世界選手権、いい演技で確かに勝ったのですが、パーフェクトとはいきませんでした。4回転4種類5本。宇野選手の演技力でパーフェクトが出ると、すごいものが見られそうですが、来シーズンはボレロからは変更予定でしたかね。ランビエール先生ともども、長いご活躍を期待してお待ちしております。