21-22 羽生結弦

1994年12月7日生まれ

シニア12シーズン目

シーズン獲得賞金:$0

世界ランキング:7位

シーズンランキング:29位

シーズンベストスコア 283.21(6位) オリンピック

ショートプログラムシーズンベスト 95.15 オリンピック

フリーシーズンベスト 188.06 オリンピック

ショートプログラム楽曲:序奏とロンドカプリチオーソ

フリープログラム楽曲:天と地と

スピンレベル4率 11/12=91.7% (国際大会:5/6=83.3%)

ステップレベル4率 4/4=100%(国際大会:2/2=100%)

スピンオールレベル4 1/2 (国際大会0/1)

スピンステップオールレベル4  1/2(国際大会0/1)

ジャンプ要素回転不足率 2/20=10.0% (国際大会1/10=10.0%)

ジャンプ回転不足なし 0/2(国際大会0/1)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 0/2(国際大会:0/1)

 

○21-22シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
NC 全日本選手権 1 322.36 111.31 211.05
OG Olympic Games 4 283.21 95.15 188.06

羽生選手は今シーズンの登場は2試合のみでした。グランプリシリーズはNHK杯ロステレコム杯にエントリー。これがけがで欠場となります。全日本も出てくるのか? 大丈夫なのか? と心配されましたがエントリ、そして、実際に会場に姿を現しました。

コーチは不在。コロナの関係で来日が難しいというのもありましたが、そのコロナの関係でオーサー先生のところでしばらく練習していないというのもあります。怪我は大丈夫なの? という周りの不安は公式練習で4回転アクセルに挑む姿である程度落ち着きますが、でも、この方、多少怪我してても無理に頑張ろうとするし、試合に出る意志の表れとしては大丈夫そうなのだけど、ケガが大丈夫なのかどうかはよくわからないんだよな、とも思ったりしました。

そんなこんなも出れば強い。ショートは普通にノーミス、全要素全ジャッジ+2以上ついて111.31 首位に立ちます。ショートの時点で2位と9.43ポイントの差がありましたから羽生選手としてはもうセーフティーリードです。後は注目は4回転アクセルに集まります。個人的には、4回転アクセルの成功を祈るというよりは、4回転アクセルでケガをしないように祈る、でしたがフリー冒頭のそれはダウングレードの着氷。4回転アクセルの成功だけがモチベーション、というような言い方をよくされていましたが、他の要素も完璧で全要素全ジャッジ+3以上の評価を付け、最低の平均GOEでも4T+3Tの+3.333という常識外れっぷり。211.05のスコアを加えトータル322.36 完勝でした。

 

北京オリンピック。4回転アクセルとネイサンチェン選手との対決。どちらに注目が集まっていたのでしょう。怪我を抱えていたこともあってか、団体戦の出場は無し。これは4年前と同じ流れです。個人戦のみの出場。21番滑走は第4グループ4番目。ここでまさかの冒頭サルコウが1回転に。溝にはまった、とのことですが、世の中というかオリンピックというか、いろいろなことが起きるなあ、と思います。実質的にはここで3連覇の夢はほぼ途絶えたと思います。次の4回転トーループ-3回転トーループまで、およそ27秒。このジャンプを9人のジャッジのうち3人が満点をつける平均GOE+4.222という高い評価で決めていきます。これは今シーズンの全4T+3Tの中で最高評価。どんなメンタルしてたらこんなことができるのでしょう。以降の要素全ジャッジ+3以上の評価で95.15 8位となります。首位とは18.82差。逆転の芽はほとんどありません。注目は4回転アクセルにほぼ集約されます。2日後のフリー。冒頭4回転アクセル。回転は足りずにアンダーローテーションでの転倒となりました。さすがにリズムも崩れたか次の4回転サルコウも転倒。ただ、ここから立て直して残りの要素は全ジャッジ+2以上の評価。フリーは188.06 トータル283.21 すっきりした表情で長い時間トップスリー控室で待つことになり、最終結果は4位でした。

 

オリンピックで現役終了とか取りざたされ、エキシビジョン待ちの調整練習でも過去のプログラムを次々に滑ったりと、本当にこれで最後かな? とも思わされましたが、世界選手権はケガもあるため欠場したものの、去就については明確な発表はされずに翌シーズンの開幕が近づいていくこととなっています。

 

○要素別スコア

Event Pl Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
全日本選手権 1 322.36 176.53 145.83 103.70 27.52 28.11 17.20
Olympic Games 4 283.21 147.69 137.52 96.40 9.52 25.38 16.39

全日本では322.36を出しました。4回転アクセルではなくて4回転ループだったらどこまでいったかな、と思ったりもします。

オリンピックでは技術点147.69でPCSは137.52 PCSは2転倒しながらも今シーズン5位にあたります。

ジャンプの基礎点は4回転サルコウ抜けて96.40になりました。ジャンプの加点の方が、2転倒しながら9.52あります。

スピンは25.38とさすがに高評価。ステップ系要素の16.39は今シーズン2位です。全日本の17.20は国内参考記録ながら満点になります。

 

○要素別偏差値

Event Pl Total J Base J GOE Spin Step PCS
全日本選手権 1 80.80 68.93 89.66 74.16 74.83 76.41
Olympic Games 4 70.15 64.26 66.11 65.30 71.33 70.78

偏差値としてはオリンピックのスコアは70に届いています。ジャンプの基礎点と加点は60台半ばとなりました。スピンも60台半ば。ステップ系要素は70を超え、PCSも70超えです。

21-22シーズン 羽生結弦要素別偏差値レーダーチャート

2試合しかないですがレーダーチャート。全日本はジャンプの加点がものすごいことになっています。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○オリンピック ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 1S* * 0.00   0.00 0.00  
2 4T+3T   13.70   4.07 17.77 4.222
3 FCSp4   3.20   1.01 4.21 3.222
4 3A   8.80 x 2.63 11.43 3.444
5 CSSp4   3.00   1.03 4.03 3.444
6 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.556
7 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.222
  TES   36.10   11.97 48.07  

オリンピックのショートはサルコウが抜けて基礎点36.10です。4回転さある鋼が入った全日本は45.80でした。コンビネーション1.1倍投入すればもう少し基礎点あがりますが、最近はそういう戦略を取っていません。

 

○オリンピック フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4A< 10.00   -5.00 5.00 -5.000
2 4Sq q 9.70   -4.85 4.85 -5.000
3 3A+2T   9.30   2.40 11.70 3.000
4 3F   5.30   1.51 6.81 2.889
5 FCCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
7 4T+3T   15.07 x 2.44 17.51 2.556
8 4T+1Eu+3S   15.73 x 3.12 18.85 3.333
9 3A   8.80 x 3.20 12.00 3.889
10 ChSq1   3.00   2.14 5.14 4.333
11 FCSSp4   3.00   1.20 4.20 4.000
12 CCoSp4V   2.63   0.86 3.49 3.333
  TES   89.93   9.69 99.62  

オリンピックのフリーでは基礎点が89.93となりました。最後の要素のスピンで何か思うところでもあったのか、Vが付くミスが出ていてこれがなければ基礎点はあと0.87高く90点台にはなっていました。

4回転アクセルは回転不足ですが基礎点10.00あります。従来の4回転ループ構成だともう0.5基礎点は上がります。

トリプルアクセルの得意な羽生選手。シークエンスも1.0倍ルールに変わる来シーズン。4回転ループの通常構成でシークエンスの新ルールを活かした構成を見てみたいのですが、ご本人はあまりそういうことにもう興味がなさそうにも感じます。新ルールは4T+3Aが1.1倍に入ると19.25というものすごい基礎点になってGOEつくとどんな点が出るんだろう、とか見たいのですけどね。

 

○平均GOE4.000以上(国際大会と全日本より)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   1.95 5.85 5.000
全日本選手権 FS 10 ChSq1   3.00   2.50 5.50 5.000
全日本選手権 FS 6 StSq4   3.90   1.95 5.85 4.889
全日本選手権 SP 7 CCoSp4   3.50   1.75 5.25 4.778
全日本選手権 FS 9 3A   8.80 X 3.89 12.69 4.778
全日本選手権 SP 1 4S   9.70   4.57 14.27 4.667
全日本選手権 FS 8 4T+1Eu+3S   15.73 X 4.48 20.21 4.556
Olympic Games SP 6 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.556
全日本選手権 FS 11 FCSSp4   3.00   1.33 4.33 4.444
全日本選手権 FS 2 4S   9.70   4.30 14.00 4.333
Olympic Games FS 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
Olympic Games FS 10 ChSq1   3.00   2.14 5.14 4.333
全日本選手権 FS 12 CCoSp4   3.50   1.50 5.00 4.222
Olympic Games SP 2 4T+3T   13.70   4.07 17.77 4.222
Olympic Games SP 7 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.222
全日本選手権 SP 4 3A   8.80 X 3.20 12.00 4.111
全日本選手権 SP 5 CSSp4   3.00   1.24 4.24 4.111
全日本選手権 FS 3 3A+2T   9.30   3.31 12.61 4.111
全日本選手権 FS 4 3Lo   4.90   1.96 6.86 4.000
全日本選手権 FS 5 FCCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
Olympic Games FS 11 FCSSp4   3.00   1.20 4.20 4.000

2試合しかありませんが、平均GOE+4.000以上でこれだけ並びます。オリンピックだけでも6要素ありました。全日本ではステップコレオで満点。オリンピックでは評価の高い方上から三つがステップステップコレオです。ステップ系要素の評価が極めて高いです。

 

○4回転アクセル

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 FS 1 4A<< <<  8.00   -3.89 4.11 -4.444
Olympic Games FS 1 4A< 10.00   -5.00 5.00 -5.000

4回転アクセル2試合で挑んだのがこれまで2回。初回の全日本はダウングレード。2度目のオリンピックはアンダーローテーションで転倒でした。

 

サルコウから始まる要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 SP 1 4S   9.70   4.57 14.27 4.667
全日本選手権 FS 2 4S   9.70   4.30 14.00 4.333
Olympic Games SP 1 1S* * 0.00   0.00 0.00  
Olympic Games FS 2 4Sq q 9.70   -4.85 4.85 -5.000

4回転サルコウは全日本ではショートフリー共に高評価でしたがオリンピックではうまくいきませんでした。

 

トーループで始まる要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 SP 2 4T+3T   13.70   2.58 16.28 2.778
全日本選手権 FS 7 4T+3T   15.07 X 3.12 18.19 3.333
全日本選手権 FS 8 4T+1Eu+3S   15.73 X 4.48 20.21 4.556
Olympic Games SP 2 4T+3T   13.70   4.07 17.77 4.222
Olympic Games FS 7 4T+3T   15.07 x 2.44 17.51 2.556
Olympic Games FS 8 4T+1Eu+3S   15.73 x 3.12 18.85 3.333

トーループはコンビネーションですべて飛んできます。オリンピックのショートで+4.222という高評価です。全日本では連続で4.556という極めて高い評価を受けています。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 SP 4 3A   8.80 X 3.20 12.00 4.111
全日本選手権 FS 3 3A+2T   9.30   3.31 12.61 4.111
全日本選手権 FS 9 3A   8.80 X 3.89 12.69 4.778
Olympic Games SP 4 3A   8.80 x 2.63 11.43 3.444
Olympic Games FS 3 3A+2T   9.30   2.40 11.70 3.000
Olympic Games FS 9 3A   8.80 x 3.20 12.00 3.889

トリプルアクセルは最低でも+3.000という高評価になっています。来期は試合に出てきたら、シークエンスに投入されるでしょうか。

 

○ステップとコレオ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   1.95 5.85 5.000
全日本選手権 FS 6 StSq4   3.90   1.95 5.85 4.889
全日本選手権 FS 10 ChSq1   3.00   2.50 5.50 5.000
Olympic Games SP 6 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.556
Olympic Games FS 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
Olympic Games FS 10 ChSq1   3.00   2.14 5.14 4.333

ステップとコレオがものすごい評価を受けています。2試合で最低評価が+4.333です。

 

オリンピック3回目。3連覇はなりませんでしたがものすごい戦歴です。ここ2シーズンは試合出場もめっきり減りました。オリンピック、優勝スコアは332.60でした。羽生選手のパーソナルベストよりは旧ルールを含めても高いスコアではあります。ただ、高い点を取ることを目指してプログラムを組み、トレーニングをすれば届くスコアだったように計算すると感じます。

ただ、もう、そういうモチベーションでなかったのだろうな、とも感じました。4回転アクセル、という違う誰かに勝つ負けるを超えたモチベーションが必要だったのかな、という印象でした。

この先の人生どうされていくのかわかりませんが、どうされていくにしろ、今までありがとうございました。