世界選手権23 男子シングルレビュー1

前回まで女子シングルの振り返りをしていましたが今回からは男子シングルです。

女子の時と同じ流れで進みます。

 

ショートプログラム要素別スコア

Pl Name Nation J Base J GOE Spin Step PCS
1 Shoma UNO JPN 30.60 8.89 13.35 4.86 46.93
2 Ilia MALININ USA 34.00 8.33 12.31 4.85 40.89
3 Junhwan CHA KOR 29.30 8.13 12.26 5.35 44.60
4 Keegan MESSING CAN 28.19 8.04 12.91 4.38 45.23
5 Kevin AYMOZ FRA 28.19 4.20 12.98 5.74 44.45
6 Jason BROWN USA 23.40 5.21 13.48 5.74 46.34
7 Kazuki TOMONO JPN 32.20 1.27 11.06 5.79 43.36
8 Daniel GRASSL ITA 30.61 -0.52 12.10 3.91 40.40
9 Lukas BRITSCHGI SUI 25.29 4.58 11.04 5.13 40.14
10 Vladimir LITVINTSEV AZE 27.95 3.03 11.18 3.87 36.68
11 Deniss VASILJEVS LAT 25.95 -3.35 13.15 4.62 42.00
12 Adam SIAO HIM FA FRA 27.20 -7.67 12.03 5.63 42.59
13 Matteo RIZZO ITA 24.20 -2.40 11.21 5.24 42.03
14 Mark GORODNITSKY ISR 23.99 4.38 10.87 3.23 35.42
15 Mihhail SELEVKO EST 28.40 -4.52 11.62 4.90 37.41
16 Nikita STAROSTIN GER 23.93 -1.01 11.68 4.85 36.08
17 Sota YAMAMOTO JPN 29.30 -7.00 10.32 4.43 39.43
18 Mikhail SHAIDOROV KAZ 29.58 0.00 8.85 3.44 33.54
19 Boyang JIN CHN 19.11 1.58 10.81 4.96 38.58
20 Andreas NORDEBACK SWE 23.93 -2.01 11.55 4.24 36.74
21 Morisi KVITELASHVILI GEO 29.58 -8.58 10.31 4.74 38.00
22 Andrew TORGASHEV USA 27.95 -5.05 10.26 4.01 35.24
23 Maurizio ZANDRON AUT 24.01 -2.89 10.65 3.77 34.82
24 Adam HAGARA SVK 23.40 2.76 8.93 2.82 32.38
25 Kyrylo MARSAK UKR 23.49 2.19 8.61 2.75 31.56
26 Conrad ORZEL CAN 19.80 1.46 9.90 2.97 33.52
27 Tomas-Llorenc GUARINO SABATE ESP 24.35 -3.19 8.83 4.01 34.60
28 Burak DEMIRBOGA TUR 24.35 -2.83 9.51 2.97 31.73
29 Nika EGADZE GEO 19.60 -0.60 8.68 2.90 34.59
30 Alexander ZLATKOV BUL 18.63 1.32 9.25 2.82 30.29
31 Jari KESSLER CRO 18.63 -1.02 7.13 3.08 34.12
32 Graham NEWBERRY GBR 18.80 -3.97 10.14 4.46 33.27
33 Vladimir SAMOILOV POL 20.81 -4.26 10.32 2.93 32.68
34 Georgii RESHTENKO CZE 24.88 -3.73 7.58 2.79 30.41

ジャンプの基礎点はショートプログラムからマリニン選手がトップでした。2番手は友野一希選手です。マリニン選手とは1.80差。出来栄え勝負ができる差なわけで、ノーミスなら友野選手はマリニン選手とも十分勝負できる形でした。30点を超えているのは他にグラスル選手と宇野昌磨選手。宇野選手は4回転2本入りましたがセカンドが2回転な分友野選手に劣ります。グラスル選手は4回転1本ですがルッツで入れてきたことで宇野選手と並ぶジャンプの基礎点になっています。

ジャンプの加点は上位4人が8点台です。ジャンプの出来が順位にそのまま反映された形です。ジェイソンブラウン選手が5点台でそれに続きました。ジェイソンブラウン選手は4回転無しですが、ジャンプで得た得点は全体11位になっています。これだけあれば他の要素で上位にまで上がって行けます。

スピンはジェイソンブラウン選手が1位。宇野選手、バシリエフス選手とランビエール門下生が13点台を出して続きました。

ステップは友野一希選手が5.79と高評価で1位でした。ジェイソンブラウン選手、ケビンエイモズ選手が5.74と並んで2位です。意外に出ていないのがメッシング選手ですが、レベルが3でした。山本草太選手は4.43で全体15位、スピンは全体20位。ジャンプだけでなくこういったところでもスコアが伸びませんでした。この辺しっかり取れていれば、まだ、フリー後半グループまではあったと思うのでもったいなかったように感じます。

PCSは宇野昌磨選手、ジェイソンブラウン選手、キーガンメッシング選手の順です。マリニン選手は全体10位。宇野選手とは6.04の差があります。ショートではジャンプの基礎点差がそこまでは付かないので、ノーミス勝負ではまだ宇野選手に分がありそうです。

 

○総合上位6選手のショートプログラム構成

  Shoma UNO Junhwan CHA Ilia MALININ Kevin AYMOZ Jason BROWN Kazuki TOMONO
1 4F 4S 4Lz+3T 4T+3T 3F 4T+3T
2 4T+2T 3Lz+3Lo 4T 3A 3A 4Sq
3 FCSp4 FCSp4 CCSp4 CCSp4 CCSp4 CSSp3
4 3A 3A 3A 3Lz 3Lz+3T 3A
5 StSq3 CSSp4 StSq4 FSSp4 StSq4 FCSp4
6 CCoSp4 StSq4 FSSp4 CCoSp4 FSSp4 CCoSp3
7 CSSp4 CCoSp4 CCoSp4 StSq4 CCoSp4 StSq4
Base 43.60 42.90 47.60 41.79 37.00 44.90
GOE 14.10 12.14 11.89 9.32 10.83 5.42
PCS 46.93 44.60 40.89 44.45 46.34 43.36
Total 104.63 99.64 100.38 95.56 94.17 92.68

4回転2本構成は宇野選手、マリニン選手、友野選手。ルッツ入りのマリニン選手の基礎点が高いですが、友野選手との差はスピンのレベルを取れているかどうかの差まで含みます。友野選手はジャンプの基礎点はしっかり取れたのですがスピンレベル3が2つはもったいなくなっています。宇野選手はコンビネーションで3回転が入らなかったところとステップレベル3のところで基礎点落としています。

上位6選手では友野選手以外はスピンオールレベル4 です。ステップは宇野選手だけレベル3

チャジュンファン選手とケビンエイモズ選手は4回転1本。セカンドループ入れたチャジュンファン選手はセカンドが2回転になった宇野選手と総基礎点でそれほど差がなくなっています。GOEはチャジュンファン選手が全体1位でした。

ほとんどの選手がトリプルアクセルを1.1倍に入れています。4回転無しのジェイソンブラウン選手はコンビネーションを入れました。4回転を1.1倍に入れてくる選手はいません。

しかし、そろいもそろって、ジャンプ、ジャンプ、スピンを挟んで1.1倍ジャンプ、という4番目までの構成が組まれています。今のルールに最適化しようとするとどうしてもそうなってしまうのでしょうが、もう少しバラエティが欲しい気もします。

 

○総合7~12位の選手のショートプログラム構成

  Keegan MESSING Lukas BRITSCHGI Matteo RIZZO Adam SIAO HIM FA Vladimir LITVINTSEV Daniel GRASSL
1 4T+3T 4T+2T 4T+3T 4T 4T 4Lzq
2 3A 3A 4Loq 3A 3A 3A
3 FCSp4 CSSp4 CCSp4 4S+COMBO FCSp4 FSSp4
4 3Lz 3Lz 1A* FCSp4 3F+3T 3Lz+3T
5 CSSp4 CCoSp3 CCoSp3 StSq4 StSq3 CCSp4
6 StSq3 StSq4 StSq4 CCoSp3 CSSp4 StSq3
7 CCoSp4 FCSp4 FSSp4 CSSp4 CCoSp3 CCoSp4
Base 41.19 38.39 37.30 40.30 40.45 43.61
GOE 12.33 7.65 0.95 -3.11 5.58 2.49
PCS 45.23 40.14 42.03 42.59 36.68 40.40
Total 98.75 86.18 79.28 79.78 82.71 86.50

ここのクラスの選手は4回転1本が基本です。リッツォ選手は2本入れてきて、その2本は立ったのですがまさかのアクセルが抜けて零点。基礎点37.30と沈みこんでしまいました。アダムシャオイムファ選手は4回転2本ながらコンビネーションはいらずやはり基礎点削られました。また、アダムシャオイムファ選手だけ、4つ目の要素がスピンで、ジャンプは3つ目までで終わらせる構成なのですが、結果として1.1倍ジャンプがない、という形になっています。

スピンオールレベル4はショート4位だったメッシング選手とグラスル選手。他は1つづつレベル3がありました。ステップはブリッチギー選手、リッツォ選手、アダムシャオイムファ選手がレベル4 です。

PCSはこの辺の選手も40点台に乗せてきますが、リトヴィンツェフ選手は36.68と7点台前半でした。

 

ショートプログラム上位12人のPCS

Name Scores J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Shoma UNO 28.10 28.75 28.25 26.50 28.00 28.25 27.50 28.75 28.00 27.75
Ilia MALININ 24.49 23.75 24.50 25.00 24.00 24.50 24.75 23.00 25.00 26.00
Junhwan CHA 26.71 25.75 27.00 26.75 26.00 28.75 25.75 27.75 26.50 27.00
Keegan MESSING 27.08 26.00 26.25 27.00 27.25 28.25 26.50 27.00 27.75 28.00
Kevin AYMOZ 26.61 26.75 26.75 27.75 27.50 26.50 26.00 26.25 25.25 27.00
Jason BROWN 27.75 27.25 27.25 28.75 28.00 28.50 27.25 28.00 27.25 28.75
Kazuki TOMONO 25.96 26.00 25.25 26.50 26.25 26.25 25.25 26.25 25.50 26.75
Daniel GRASSL 24.19 24.75 24.50 24.25 24.50 22.25 23.00 23.00 25.25 25.75
Lukas BRITSCHGI 24.04 24.25 25.00 25.00 24.50 23.25 23.00 24.75 23.75 22.75
Vladimir LITVINTSEV 21.96 21.50 22.00 21.75 22.75 21.00 21.50 22.50 22.50 22.00
Deniss VASILJEVS 25.15 25.25 25.75 24.75 25.25 24.75 23.25 25.00 25.25 25.25
Adam SIAO HIM FA 25.50 25.50 25.75 25.50 25.00 23.25 25.50 25.50 25.75 27.25

3項目10点満点の合計で見たPCSスコアです。係数1.67は掛けていません。

ジャッジ毎の差はありますが、女子と比べるとその差は小さいのかなという印象です。

それでもチャジュンファン選手で1番ジャッジが25.75に対して5番ジャッジが28.75付けていて3点違います。係数掛けると5点違ってくることになります。全体では1番厳しかったのは5番ジャッジで全員分合計で744.50 1番甘かったのは8番ジャッジで780.25 トータルで35.75差がありますので、1人平均1点程度違うことになります。

 

ショートプログラム上位12人のジャッジ別PCS順位

Name Scores J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Shoma UNO 1 1 1 5 1 3 1 1 1 3
Ilia MALININ 10 12 11 9 12 8 8 12 11 8
Junhwan CHA 4 6 3 4 6 1 5 3 4 5
Keegan MESSING 3 4 5 3 4 3 3 4 2 2
Kevin AYMOZ 5 3 4 2 3 5 4 5 8 5
Jason BROWN 2 2 2 1 1 2 2 2 3 1
Kazuki TOMONO 6 4 8 5 5 6 7 5 6 7
Daniel GRASSL 11 10 11 12 10 15 11 12 8 10
Lukas BRITSCHGI 12 11 9 9 10 11 11 10 13 14
Vladimir LITVINTSEV 18 17 18 19 17 18 17 14 19 17
Deniss VASILJEVS 9 9 6 11 7 7 10 9 8 11
Adam SIAO HIM FA 7 7 6 7 9 11 6 7 5 4

PCS順位はまあまあ割れました。宇野選手を1位につけたのは6人。2人は3位に、3番ジャッジは5位と付けています。ジェイソンブラウン選手は1位評価3人で2位評価5人に3位評価1人です。チャジュンファン選手に1位と付けたジャッジもいます。

ただ、それでも女子ほどの差はないかなという印象です。

4位のメッシング選手から2位のマリニン選手までの差は1.63でした。PCSの係数掛ける前で1点差で逆転できる差です。ジャッジ運しだいでメッシング選手もスモールメダルは取れていたんだなあ、と思ったりもします。

 

次回フリーへ続きます。