世界選手権22 男子シングルレビュー1

前回までで女子シングルが終わりましたので今回は男子シングルです。

女子の時と同じようにショートプログラムから見ていきます。

 

ショートプログラム要素別スコア

Pl Name Nation J Base J GOE Spin Step TES PCS
1 Shoma UNO JPN 33.50 10.28 13.06 5.52 62.36 47.27
2 Yuma KAGIYAMA JPN 32.20 7.76 13.20 5.46 58.62 47.07
3 Kazuki TOMONO JPN 32.20 8.90 11.90 4.38 57.38 43.74
4 Ilia MALININ USA 34.00 8.52 12.57 4.05 59.14 41.02
5 Daniel GRASSL ITA 30.40 6.78 12.42 5.07 54.67 42.95
6 Vincent ZHOU USA 32.26 1.69 12.43 5.29 51.67 44.17
7 Morisi KVITELASHVILI GEO 32.77 1.16 11.88 5.01 50.82 41.79
8 Matteo RIZZO ITA 28.40 3.29 11.64 5.46 48.79 42.88
9 Keegan MESSING CAN 25.29 3.61 13.21 4.96 47.07 44.11
10 Adam SIAO HIM FA FRA 28.61 2.96 11.75 5.52 48.84 42.13
11 Deniss VASILJEVS LAT 24.41 3.13 13.04 5.74 46.32 44.63
12 Camden PULKINEN USA 28.61 4.47 10.54 5.01 48.63 40.87
13 Vladimir LITVINTSEV AZE 27.95 2.23 11.85 4.79 46.82 39.01
14 Sihyeong LEE KOR 27.80 3.39 11.32 4.62 47.13 38.21
15 Kevin AYMOZ FRA 19.60 3.42 12.71 5.63 41.36 43.90
16 Maurizio ZANDRON AUT 24.01 3.83 11.33 4.85 44.02 39.08
17 Junhwan CHA KOR 27.36 -4.65 12.40 5.29 40.40 43.03
18 Roman SADOVSKY CAN 26.36 -2.76 12.41 4.85 40.86 39.68
19 Nikolaj MAJOROV SWE 23.93 0.55 11.45 5.07 41.00 39.36
20 Mihhail SELEVKO EST 24.41 0.79 11.71 4.46 41.37 37.48
21 Graham NEWBERRY GBR 23.00 0.53 11.60 3.72 38.85 36.07
22 Ivan SHMURATKO UKR 23.93 -2.03 11.28 4.96 38.14 36.85
23 Nikita STAROSTIN GER 23.93 -2.27 11.71 4.96 38.33 36.46
24 Tomas-Llorenc GUARINO SABATE ESP 22.81 -1.32 9.36 4.46 35.31 36.11
25 Mark GORODNITSKY ISR 18.70 1.97 11.09 3.91 35.67 34.03
26 Adam HAGARA SVK 23.93 -2.36 5.41 2.56 29.54 31.38
27 Vladimir SAMOILOV POL 16.41 0.72 8.36 1.65 27.14 35.57
28 Burak DEMIRBOGA TUR 12.20 -3.47 8.20 3.68 20.61 32.25
29 Aleksandr VLASENKO HUN 11.60 -1.08 9.12 2.60 22.24 28.86

ショートプログラム、ジャンプの基礎点全体トップは17歳のマリニン選手でした。宇野選手の33.50が続きます。二人の0.5差はルッツとフリップの差です。3位のクビテラシビリ選手はサルコウトーループという普通の4回転2種類ですが、コンビネーションを1.1倍に持ってきていることでここまで来ます。

ジャンプの加点は宇野選手がトップでした。基礎点2位で加点も稼げればそれは高得点が出るでしょう。加点2位は友野選手です。ジャンプが得意という印象はそれほどない選手ですが、今回のショートはジャンプ3本きっちり合わせて高加点を得ました。マリニン選手が3番目で鍵山選手が4番目。鍵山選手はここが上位の中で今回はやや劣って、宇野選手との点差になりました。5番目のグラスル選手までがジャンプで大きな加点を得たという構図です。

スピンはキーガンメッシング選手がトップです。0.01差で鍵山選手が2番目。宇野選手、バシリエフス選手と続いてここまでが13点台でした。友野選手は11点台。こういうところで上二人との差が出ています。

ステップトップはバシリエフス選手でした。ジャンプは点が伸びていませんがスピンステップで高い評価を得ています。2位はケビンエイモズ選手。トリプルアクセルが抜けて0点という残念なショートでしたが、それ以外の決まった要素は高評価でした。同じフランスのアダムシャオヒムファ選手と宇野選手がその下5.52で3番目に並んでいます。5番目には鍵山選手とリッツォ選手がいました。

PCSは宇野選手と鍵山選手の二人が抜けていて47点台。9点平均を超えたのはこの二人だけでした。PCS3位はバシリエフス選手。後はジャンプが入れば世界のトップまで来そうです。

 

○総合上位6選手のショートプログラム構成

  Shoma UNO Yuma KAGIYAMA Vincent ZHOU Morisi KVITELASHVILI Camden PULKINEN Kazuki TOMONO
1 4F 4S 4Lzq+3T 4S 4T 4T+3T
2 4T+3T 4T+3T 4S< 3A 3A 4S
3 FCSp4 CCSp4 FCSp4 FCSp4 FCSp4 CSSp4
4 3A 3A 3A 4T+3T 3Lz+3T 3A
5 CSSp4 FSSp4 CSSp4 StSq4 CSSp3 FCSp4
6 StSq4 StSq4 StSq4 CSSp4 StSq4 StSq3
7 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4
Base 47.10 45.80 45.86 46.37 41.81 45.20
GOE 15.26 12.82 5.81 4.45 6.82 12.18
PCS 47.27 47.07 44.17 41.79 40.87 43.74
Total 109.63 105.69 95.84 92.61 89.50 101.12
平均GOE 3.603 3.222 2.000 1.571 1.794 2.794

上位に来る選手はショートから4回転を2本入れるというのが通常の構成になってきています。5位のプルキネン選手は4回転1本でしたがショートは12位でした。

全員、ジャンプは1番目2番目、スピンで時間を使って後半時間にした4つ目の要素で最後のジャンプ、という構成になります。

この中ではヴィンセントジョウ選手だけが回転不足で基礎点削られ、qマークでGOE削られというのがありました。見た目ノーミスもこういったところで点が伸びずにショート6位折り返しとなっています。

平均GOEは宇野選手が3.603で抜けていて鍵山選手までが平均+3.000を超える水準です。4回転が2本入れば、種類の違いでの基礎点差より出来栄えの違いによるGOE差の方が大きくなる、というのがショートプログラムなようです。

 

○総合7~12位の選手のショートプログラム構成

  Daniel GRASSL Adam SIAO HIM FA Ilia MALININ Matteo RIZZO Kevin AYMOZ Roman SADOVSKY
1 4Lz 4T 4Lz 4T 4T+3T 4S
2 3Lz+3T 3A 4T+3T 3Lz+3T 3Lz 3Aq
3 FSSp4 CCoSp4 CCSp4 CCSp4 CCSp4 3F+3T<
4 3A 3Lz+3T 3A 3A 1A* FCSp4
5 StSq4 FCSp4 FSSp4 CCoSp4 FSSp4 CSSp4
6 CCSp4 StSq4 StSq3 StSq4 CCoSp4 StSq4
7 CCoSp4 CSSp4 CCoSp4 FSSp4 StSq4 CCoSp4
Base 44.00 42.21 47.00 42.00 33.20 39.96
GOE 10.67 6.63 12.14 6.79 8.16 0.90
PCS 42.95 42.13 41.02 42.88 43.90 39.68
Total 97.62 90.97 100.16 91.67 85.26 80.54
平均GOE 2.667 1.905 2.810 2.143 2.907 0.825

このあたりの選手は4回転1本が多いです。4回転1本だとルッツ入りでも基礎点は44点まで。トーループだと42点台あたりになります。47点台まである2本構成とは5点近い基礎点差です。出来栄え差で逆転可能な範囲ではありますが、2本でノーミスな上位に食らいつくのはちょっと難しい。

ショート4位のマリニン選手、5位のグラスル選手は平均GOEが2点台後半になりました。その二人より高い全体3位の平均GOEを叩きだしたのはエイモズ選手。アクセル抜けての零点が痛すぎました。

 

ショートプログラム上位12人のPCS

Name Scores J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Shoma UNO 47.27 46.75 47.75 47.75 46.25 47.75 47.75 46.75 46.00 48.25
KAGIYAMA 47.07 46.25 47.50 47.50 47.50 47.75 47.25 46.50 46.25 47.00
TOMONO 43.74 42.75 44.00 46.00 45.00 43.00 42.50 44.25 40.50 45.25
MALININ 41.02 40.50 42.25 40.25 38.25 38.00 42.50 42.75 44.25 40.25
GRASSL 42.95 42.75 45.00 42.50 42.75 43.00 40.75 43.25 43.25 43.25
ZHOU 44.17 43.75 44.00 45.00 44.50 41.75 42.25 44.75 44.75 46.00
KVITELASHVILI 41.79 43.00 42.50 38.75 39.25 41.00 43.25 42.50 43.25 41.50
RIZZO 42.88 43.25 42.75 41.75 43.00 44.00 41.00 44.50 43.00 42.75
MESSING 44.11 43.25 45.25 43.75 43.50 45.25 42.25 44.25 45.75 44.50
SIAO HIM FA 42.13 42.00 42.75 42.50 43.25 40.25 41.50 42.25 42.50 41.75
VASILJEVS 44.63 43.25 45.50 44.25 45.00 45.00 41.75 44.75 47.25 44.75
PULKINEN 40.87 39.25 39.75 42.50 41.75 39.00 38.50 41.50 43.75 42.50

ジャッジ9人のばらつきは女子シングルほどではないですがそれなりにはあります。1番厳しいのはジャッジ5、1番甘いのはジャッジ8 5項目合計の平均で1.8点ほど差があるのですが、面白いことにPCSトップの宇野選手は8番ジャッジから1番低い評価を受けていたりします。

スコアとして5項目平均9点を超えたのは宇野選手と鍵山選手だけですが、ジャッジによっては平均9店合計45点に達している、という選手は他にもバシリエフス選手、メッシング選手、友野選手、ヴィンセントジョウ選手、グラスル選手、といて、順位が低いので表にいませんがエイモズ選手も45点を付けたジャッジがいました。

 

ショートプログラム上位12人のジャッジ別PCS順位

Name Scores J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Shoma UNO 1 1 1 1 2 1 1 1 3 1
Yuma KAGIYAMA 2 2 2 2 1 1 2 2 2 2
Kazuki TOMONO 7 10 7 3 3 8 5 7 17 4
Ilia MALININ 13 14 13 13 18 14 5 11 6 17
Daniel GRASSL 9 10 5 9 11 8 12 9 8 7
Vincent ZHOU 4 3 7 4 6 10 7 3 5 3
Morisi KVITELASHVILI 12 9 12 17 15 11 3 12 8 13
Matteo RIZZO 10 6 10 12 10 5 11 5 10 9
Keegan MESSING 5 6 4 7 7 3 7 7 4 6
Adam SIAO HIM FA 11 12 10 9 9 12 10 13 11 11
Deniss VASILJEVS 3 6 3 6 3 4 9 3 1 5
Camden PULKINEN 14 17 14 9 12 13 16 14 7 10

順位で見ると宇野選手が9人のジャッジのうち7人でトップ評価でした。鍵山選手が1位というのが1人と1位タイで1人。バシリエフス選手を1位としたジャッジが1人いました。鍵山選手は2位評価が7人。基本的には宇野選手鍵山選手で1位2位という評価です。

評価が割れているのが友野選手。3位を付けたジャッジが2人いるのですが、8番ジャッジは17位を付けています。マリニン選手は5位を付けたジャッジがいる一方で18位を付けたジャッジもいます。新星はこういう扱いを受けがちでしょうか。その日の見た目でスコアを付けるか、過去から定着した評価が反映されるか。クビテラシビリ選手も3位を付けたジャッジもいれば17位を付けたジャッジもいて、新星感はないですし予想外のいい出来でも悪い出来でもなかったと思うのですが、これはなんでしょうね?

 

次回フリーへ続きます。