四大陸選手権 初優勝初優勝

日程的に国によっては微妙な位置になる4大陸選手権。昨季は女子ではアメリカがフルメンバー送り込んで来たりと意外な展開を見せましたが、今期はほぼ日韓決戦という構図になりました。

 

○女子シングル(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mone CHIBA JPN 214.98 71.10 143.88
2 Chaeyeon KIM KOR 204.68 69.77 134.91
3 Rinka WATANABE JPN 202.17 67.22 134.95
4 Ava Marie ZIEGLER USA 201.19 68.25 132.94
5 Seoyeong WI KOR 193.57 64.44 129.13
6 Madeline SCHIZAS CAN 185.69 61.57 124.12
7 Mai MIHARA JPN 184.07 65.18 118.89
8 Elyce LIN-GRACEY USA 173.98 62.83 111.15
9 Sara-Maude DUPUIS CAN 172.45 56.00 116.45
10 Tzu-Han TING TPE 171.87 59.17 112.70
11 Haein LEE KOR 169.38 56.07 113.31
12 Lindsay THORNGREN USA 162.63 64.11 98.52

今季前半不振だった千葉百音選手が大幅自己ベスト更新で優勝しました。これまでの国際大会優勝経験は、ジュニア時代のチャレンジカップ2回と、シニアカテゴリーではクープドプランタンがあるだけですので、チャンピオンシップ初優勝どころか、ISU公認試合初優勝となります。

2位には韓国のキムチェヨン選手が入ってきました。こちらはチャンピオンシップ初表彰台。200点台をコンスタントに出して安定して上位に入ってきています。世界選手権も表彰台の可能性を持つ1人でしょうか。

渡辺倫果選手が3位表彰台を確保。こちらもチャンピオンシップ初表彰台です。ワールドを逃しているので、今期はこれが最後の大舞台でしたが結果を残しました。

アメリカのアヴァマリージーグラー選手が4位。全米選手権におらず、あれ? と思っていたのですが、まさかの全米放棄しての4大陸専念。それってワールドあきらめると同義だったと思うのですが、本人的にはそれでも1つのチャンスに賭けたのでしょうか。NHK杯に次いで200点突破でパーソナルベストは一定の結果を残したとも言えますが、表彰台まで0.98差、ルッツでe付かずに!までだったら表彰台だったことを考えると、惜しい4位だったかもしれません。

韓国のウィソヨン選手が5位。193.57はパーソナルベスト更新です。今期は国際大会で不調で3試合で158.15が最高、ナショナルも175.29止まりでしたので、ちょっと厳しいかな、来期もグランプリなくなるかも、と思っていましたがここで一定の結果を出してきました。193.57は今シーズン20位のスコア。来期のグランプリ枠獲得につながっていきそうです

カナダのシーザス選手が6位です。ナショナルでフリー失敗して3連覇ならずからの4大陸どうか、というところでしたが力なりのスコアを出してきて過去最高位を得ています。

日本からもう一人、三原舞依選手は7位でした。今シーズンはずっと本調子ではなかったのではないかと思いますがこれでひとまずシーズンは終了でしょうか。ワールドの補欠持ってますけど。怪我なおして、体調戻して、来季への準備をしていっていただければと思います。

昨季のチャンピオンイ・ヘイン選手はジャンプ決まらず11位に終わりました。

 

○千葉百音選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F+3T   9.50   1.21 10.71 2.333
2 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
3 3S   4.30   0.86 5.16 2.111
4 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.111
5 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.333
6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
7 3Fq+2T+2Lo q 9.13 x -0.45 8.68 -0.889
8 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.10 11.22 1.778
9 FCCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.778
10 3Lz! ! 6.49 x 0.51 7.00 0.667
11 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.444
12 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
  TES   64.34   11.08 75.42  

構成はいつものものでルッツフリップ2本立て。スピンステップオールレベル4で基礎点64.34 これは今季6位、シニアの中では3位の基礎点です。トリプルアクセル無し組では2番目の基礎点で、スピンにレイバックスピンがあるのですが、これを基礎点3.0のものに替えれば、高難度無しの中で1番の基礎点になってきます

ほぼミスなし。1.1倍のところでqと!がついていますが、この2つは割とこれまでもこういったマークや回転不足が付きやすいところでしたので、今回はその程度にうまく抑えたとも言えそうです。

技術点75.42は今季4位のスコアです。上にいるのは日本人選手3人で、島田麻央選手除くと、坂本選手吉田選手といますので、ワールド日本代表3人は、フリー技術点上位3人ということになりました。

全日本以降、シーズン序盤はなんだったんだろう、という活躍ぶりの千葉選手。なんだったんだろうって喘息だったんだろう、ということのようですが、そういった体調不良を克服して本来の力を取り戻したというか自信を取り戻しての好成績、と捉えればよいのでしょうか。

シーズン前半の成績だと、来期のグランプリ枠あるかどうか? くらいの先行き不安があったのですが、この優勝で、ケガさえなければオリンピックシーズンまで世界のトップで戦えることがほぼ確定しました。このスコアだとワールド表彰台争いに入ってきます。この調子を3月まで保っていけるかどうか? その辺が鍵になって来るのかと思います。

 

○渡辺倫果選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   2.06 10.06 2.556
2 3Lo+3T< 8.26   -0.91 7.35 -1.889
3 3F   5.30   1.29 6.59 2.444
4 1Lz+2A+SEQ   3.90   0.00 3.90 0.000
5 FCSp4   3.20   0.73 3.93 2.333
6 ChSq1   3.00   0.79 3.79 1.667
7 3Lz< 5.19 x -0.87 4.32 -1.889
8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.23 10.14 2.778
9 3Lo   5.39 x 1.33 6.72 2.778
10 CCoSp4   3.50   0.40 3.90 1.111
11 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.778
12 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.556
  TES   61.55   7.88 69.43  

トリプルアクセル決めました。昨年の4大陸選手権以来1年ぶりです。+2.556の評価は今シーズンの全選手の最高評価です。ただ、その他のミスが3つ。ルッツ2本は昨年からの課題。そして、3-3のセカンドも回転不足、ということで基礎点は61.55 トリプルアクセル決めたものの、普通の基礎点となりました。ルッツが1回転に抜けてセカンドにアクセルのシークエンス、というのは昨年の4大陸でもあった姿でした。

昨季はトリプルアクセル決めてもルッツの成功率が低い、という課題があったのですが、今期はルッツの成功率が上がっていてアクセルが決まらなくても200点に乗せる力が付いてきました。それが今回は昨季と同じ構図に。なかなかアクセルとルッツが両立しないようです。

ルッツ片方でも決めていれば2位まではありました。優勝スコアとの差は12点以上ありますので、ノーミスでも届いたかどうかくらいです。ショートのコンビネーションでq2つというのも痛かったでしょうか。今回はアクセルに力を注ぎすぎて、ルッツとコンビネーションでミスが出たということのように見えます。アクセルを飛びに行くというのはこういうところでもリスクがあるんだろうと思います。それでも今回はしっかり決め、表彰台を確保しました。

チャンピオンシップのメダルを初獲得。これでMFアカデミーにジュニアシニアのチャンピオンシップメダルが揃った形になりました。次はワールド、と行きたいところでしたが今シーズンは補欠2 主要大会の登場はこれで最後となると思われます。

 

○キムチェヨン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.90 4.20 2.444
2 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.556
3 3Lo   4.90   0.49 5.39 1.000
4 3F! ! 5.30   0.30 5.60 0.556
5 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
6 3F!+2T+2Lo ! 9.13 x 0.15 9.28 0.222
7 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.18 11.30 1.889
8 StSq2   2.60   0.71 3.31 2.667
9 ChSq1   3.00   1.00 4.00 1.889
10 3S< F 3.78 x -1.72 2.06 -5.000
11 FCSp4   3.20   0.64 3.84 2.000
12 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
  TES   62.43   7.30 69.73  

キムチェヨン選手も千葉選手と似ていて、ルッツフリップの2本立てです。スピンが基礎点高い組み合わせなので、ノーミス基礎点なら千葉選手の上へ行けるのですが、サルコウの回転不足とステップレベル2により、62.43に留まりました。

フリップに!がつくのはキムチェヨン選手の課題にずっとなっていて、今大会もショートフリーで3つ!でした。なのである意味定常運転だったわけですが、サルコウのアンダーローテーション転倒は痛かったです。以前はサルコウでミスが起きることはなかったのですが、今期はグランプリシリーズでも同じように回転不足を出していますので、サルコウの得意不得意ではなくて、終盤の体力的な課題があるのかもしれません。

ただ、それでも何とか2位は確保しました。ノーミスでも千葉選手には少し届かなかったと思われるので、獲りえるものはしっかり獲れた、というところかと思います。結果として、昨季の3位4位5位が今期は1位2位3位と、それぞれうれしい結果が出たのではないかと思われます。

次は世界選手権。国際大会で200点声が7回あるのですがパーソナルベストは205.51 安定感はあるのですが爆発力は無い。というタイプになっているので、表彰台争いは周りが崩れてラインが下がって来るのを待つ、という力関係になっていますが、ノーミスすれば210点台に乗せられる力はありますので、溜まりに溜まったものが一気にワールドで爆発すれば、表彰台のチャンスもありそうな位置にはいます。

 

○女子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Mone CHIBA 214.98 100.77 67.03 7.65 24.50 15.03
2 Chaeyeon KIM 204.68 98.06 65.86 5.06 24.32 12.38
3 Rinka WATANABE 202.17 97.01 64.16 4.72 22.63 13.65
4 Ava Marie ZIEGLER 201.19 96.77 64.27 4.50 22.70 12.95
5 Seoyeong WI 193.57 87.78 65.93 7.78 21.11 10.97
6 Madeline SCHIZAS 185.69 89.87 62.70 0.18 20.11 12.83
7 Mai MIHARA 184.07 96.17 52.59 -0.01 22.42 13.90
8 Elyce LIN-GRACEY 173.98 86.85 60.34 -6.04 20.15 13.68
9 Sara-Maude DUPUIS 172.45 81.99 57.03 0.70 21.36 11.37
10 Tzu-Han TING 171.87 82.95 58.79 -2.83 21.63 11.33
11 Haein LEE 169.38 93.57 51.48 -10.33 23.35 13.31
12 Lindsay THORNGREN 162.63 87.64 51.58 -8.77 21.00 13.18

PCSただ一人の100点到達が千葉選手でした。キムチェヨン選手、渡辺倫果選手と順位と同じ並びで続きます。三原選手も96点台で平均8点台はもらえました。

ジャンプの基礎点も千葉選手が1位。ジャンプはしっかり決めて行ったウィソヨン選手が2位でキムチェヨン選手が3位です。トリプルアクセル決めつつも渡辺選手は5位。すべてのジャンプが大事です。加点はウィソヨン選手が1位でした。千葉選手2位でキムチェヨン選手3位。イ・ヘイン選手はジャンプがことごとく決まらず厳しい試合になりました。ジャンプ合計は千葉選手が1位です。

スピンも千葉選手が24点台で1位。キムチェヨン選手が2位です。渡辺選手の22.63は本人比では普通程度のスコアですが、上位で争うにはもう2点くらい欲しいところです。

ステップ系要素は千葉選手が初めて15点台に乗せました。今季4位の高評価です。三原舞依選手が2位でアメリカのグレーシー選手が3番目でした。

千葉選手の強さが目立った試合となりました。

 

○男子シングル(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Yuma KAGIYAMA JPN 307.58 106.82 200.76
2 Shun SATO JPN 274.59 99.20 175.39
3 Junhwan CHA KOR 272.95 95.30 177.65
4 Sota YAMAMOTO JPN 263.43 94.44 168.99
5 Boyang JIN CHN 256.89 89.41 167.48
6 Mikhail SHAIDOROV KAZ 244.80 81.76 163.04
7 Wesley CHIU CAN 240.38 83.50 156.88
8 Andrew TORGASHEV USA 237.20 81.15 156.05
9 Yudong CHEN CHN 218.66 78.74 139.92
10 Roman SADOVSKY CAN 217.83 72.44 145.39
11 Tomoki HIWATASHI USA 217.74 75.39 142.35
12 Maxim NAUMOV USA 215.00 67.61 147.39

鍵山優真選手初優勝。4大陸3位、グランプリファイナル3位、世界選手権2位、オリンピック2位、ついでに世界ジュニアも2位を持っていますが、チャンピオンシップ級の優勝はこれが初になります。持っていたタイトルはグランプリシリーズ以外だとユースオリンピックくらい。ようやく1つ取れた、ということになるでしょうか。念願の初チャンピオンシップ優勝でした。

佐藤駿選手が2位表彰台です。昨季の3位から1つ順位を上げてきました。世界選手権が無いのでここで一発タイトルが欲しいところでしたが届きませんでした。

3位は韓国のチャジュンファン選手。今季前半は不調というかケガに苦しむというか、スコアが全然出ていませんでしたが、年が明けてから調子上がってきたでしょうか。昨季はショートフリーで4回転3本ながら296点まで出している選手ですので、もう一段ギアを上げると世界選手権の表彰台争いに今年も名乗りを上げて行けそうです。

本草太選手は4位。シニアのチャンピオンシップ表彰台はまだありませんので、今大会は3位に入っておきたいところですが届きませんでした。あと10点ほど。ミスなく滑れば十分届くところでしたので残念でした。

5位にはボーヤンジン選手が入ってきています。しばらく不振が続いていましたがだいぶ戻ってきたでしょうか。今期もグランプリシリーズは結果が出ませんでしたが、ゴールデンスピンでは258.67を出し、今大会も250点台後半までは来ました。古めなルールですが300点経験もある選手ですので、完全復活とはちょっと失礼すぎて言えませんが、だいぶ上位で戦える力は戻ってきたようです。フリーは冒頭、オリンピック以来2年ぶりの4回転ルッツ成功です。26歳4か月での4回転ルッツ成功は、ISU公認試合では、これまでの羽生結弦さんの25歳0日を上回る最年長記録更新となりました。

カザフスタンのシャイドロフ選手は6位。2年連続の5位から、スコアは伸びたのですが順位は1つ下がりました。4回転フリップを初成功。ルッツも決めています。今期サルコウは入れていないのですが昨季は跳んでいました、種類的には4種類飛べるので、体力整えば4回転5本構成も可能で、さらに上位進出してくる姿が見られるかもしれません.

 

○鍵山優真選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
2 4F   11.00   -3.46 7.54 -3.222
3 4T+1Eu+3S   14.30   3.26 17.56 3.444
4 3A+2A+SEQ   11.30   2.51 13.81 3.222
5 FCSSp4   3.00   0.73 3.73 2.444
6 3A   8.80 x 2.51 11.31 3.111
7 3Lz!+3T ! 11.11 x 0.67 11.78 1.111
8 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.889
9 3F   5.83 x 1.67 7.50 3.222
10 StSq4   3.90   1.84 5.74 4.667
11 CCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
12 FCCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.667
  TES   88.94   18.34 107.28  

4回転3本構成入れてきました。フリップは国際大会初投入で、降りることは出来ましたがGOEマイナス。あともう少しといったところです。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルのみ。これ、フリップが不安定なら得意の4回転サルコウを2本入れる、ということが原理的には可能です。おそらくフリップ入れるのと同じくらいのスコアは出せます。

冒頭の4回転サルコウ、平均GOE+4.556 これは今期全体1位の評価です。サルコウ2本でいいような気がするのですが、今点を取れる構成ではなくて、先を見ながらの構成なのだろうな、と思われます。

かつてはセカンドループも使っていましたが、今期は入れていません。今のルールだと4回転2本3本飛ぶ選手の構成としては、セカンド3Loは2Aの代替なので基礎点にして1.60しか上がりません。ハイリスクローリターン感が強すぎて入れにくいかと思います。

さて、次は世界選手権です。基礎点88.94はグランプリファイナルのマリニン選手の108.09と20点ほどの差があります。ちょっとノーミスされたらかなわないですが、2ミスくらい入るとPCS差に出来栄え勝負でなんとかならないこともない、くらいの範疇に入るように見えます。

 

○佐藤駿選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lz   11.50   3.45 14.95 3.000
2 3A+1Eu+3S   12.80   1.60 14.40 1.889
3 4T+2T   10.80   0.41 11.21 0.556
4 FCSp3   2.80   0.32 3.12 1.111
5 4T   9.50   0.27 9.77 0.222
6 3A   8.80 x 1.37 10.17 1.778
7 3Lo   5.39 x -1.05 4.34 -2.111
8 3Lz+2T   7.92 x 0.59 8.51 1.000
9 CSSp4   3.00   0.43 3.43 1.444
10 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.556
11 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.222
12 CCoSp4   3.50   0.25 3.75 0.889
  TES   82.31   9.63 91.94  

4回転2種類3本。今回は初めて、ショートフリーで2本の4回転ルッツを決めました。ただ、ジャンプの天才というからにはもう少し本数欲しいところでしょうか。フリップは!以上率100%というところが痛いですが、割と降りていたので体力さえ持つなら入れてもよいように感じます。サルコウはジュニア時代に試したきりですが、その時も降りてはいるので技術的にはおそらく可能なのではないかと思われます。世界の頂点狙うには、ジャンプ勝負で行くなら4種類5本で勝負してほしいところです。

セカンド3Tが入らないのも残念なところです。また、シークエンスアクセルの導入が佐藤選手はなされていません。今回はいらなかったではなくてルール改正後入ったことがありません。このあたりも痛いところで基礎点は82.31とあまり伸びていません。21-22シーズンにはルッツフリップトーループで4回転3種類4本構成を組んでいて、コンスタントに80点台後半を出していましたので、それくらいは出して勝負したいところです。

世界選手権は補欠2ですので今期の主要大会はこれで終了と見込まれます。来期に向けて、フリーの4回転の本数を増やしていくことが予想されますが、その準備時間が十分とれる、というのが吉と出るか? 日本男子の上位6人の中で、ただ一人、ワールドの経験が無いという状態になっていきますが、実力差はさほどないと思いますので、来期のワールド、そしてその次のオリンピックへ向けて、調整していっていただければと思います。

 

○山本草太選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S F 9.70   -4.85 4.85 -4.889
2 4T+1T   9.90   -2.99 6.91 -3.222
3 4T   9.50   2.44 11.94 2.556
4 3A+1Eu+3S   12.80   1.71 14.51 2.000
5 FCSp4   3.20   0.46 3.66 1.444
6 3A   8.80 x 1.49 10.29 1.889
7 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.333
8 3F+3T   10.45 x 1.29 11.74 2.444
9 3Lz! ! 6.49 x 0.17 6.66 0.222
10 CSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
11 StSq3   3.30   0.99 4.29 2.889
12 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
  TES   83.64   4.17 87.81  

4回転2種類3本。冒頭2本が決まらなかったのが結局痛かったです。コンビネーション含め冒頭2つ決めていれば2位表彰台まで届いた計算です。4回転サルコウは成功率も高かったですし、トーループも悪くはない。むしろトリプルアクセルの方が確率が低いという中アクセル2本決めたわけですから、チャンスがあっただけに残念な序盤でした。

スピンはオールレベル4ですがステップはレベル3です。山本選手はステップのレベルは3が標準的で4はあまり取れていません。ショートフリーでGOE含めると1.5点前後失われるわけですのでこの辺も確実に4を取れる率を上げていきたいところでしょうか。

世界選手権が今期は補欠1 可能性は無くはないですが、まあ基本的には来季への準備となると思います。

山本選手は4回転がまだ2種類です。3種類目のフリップを試したことはありますが決まってきていません。このオフにフリップの習得を目指すのかどうか? オリンピック代表争いでは3枠あってもナショナル300点が必要になってくる可能性もありますので、そう考えると3種類目までは欲しいかなあ、とも感じます。

 

○男子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Yuma KAGIYAMA 307.58 140.42 104.24 21.00 25.51 16.41
2 Shun SATO 274.59 125.20 100.71 13.27 22.16 13.25
3 Junhwan CHA 272.95 129.61 97.54 6.16 23.98 15.66
4 Sota YAMAMOTO 263.43 123.16 99.04 4.86 24.10 13.27
5 Boyang JIN 256.89 117.08 95.18 10.46 22.41 12.76
6 Mikhail SHAIDOROV 244.80 109.72 104.76 -1.20 20.81 11.71
7 Wesley CHIU 240.38 113.82 90.10 3.62 20.69 12.15
8 Andrew TORGASHEV 237.20 116.80 75.54 7.72 22.60 14.54
9 Yudong CHEN 218.66 103.88 85.17 1.19 20.86 9.56
10 Roman SADOVSKY 217.83 115.39 75.41 -8.18 23.99 12.22
11 Tomoki HIWATASHI 217.74 100.08 94.80 -8.67 21.83 10.70
12 Maxim NAUMOV 215.00 111.02 73.60 -6.30 23.20 14.48

鍵山選手のPCSは140点台に達しています。これでもオリンピックのスコアには届いていません。チャジュンファン選手が2番目で129.61 130点台後半まで出せる選手ですのであまり伸びなかったという印象になります。佐藤選手は鍵山選手とPCSで15点差付くのはちょっと苦しいです。

ジャンプの基礎点はシャイドロフ選手が1位でした。ルッツフリップトーループ2本の4回転4本構成はやはり基礎点面では強かったです。基礎点削られるミスなかった鍵山選手が僅差の2番目。佐藤駿選手も100点には乗せました。

加点の方は鍵山選手が圧倒的です。ただ、これでも今期3位で、マリニン選手とアダムシャオイムファ選手がミスなく滑るともっと上に行きます。佐藤駿選手が2番目。ボーヤンジン選手が今回は3番目でした。

スピンも鍵山選手が1位で25点台。26点台をコンスタントに出しますので本人比ではむしろそれほど良くはなかったです。山本草太選手が24点台で2番手。山本選手もこれくらいはいつも出せます。ジャンプに苦しんだサドフスキー選手でしたがスピンは3番目のスコアでした。佐藤駿選手は22点台で鍵山選手と3点以上差があります。本人としては今季1位のスコアなのですが、こういうところで点差が付くのもちょっと苦しいところ。

ステップ系要素も鍵山選手が16点台で1位。これは自己最高スコアです。今期全体で3番目の評価です。チャジュンファン選手が15点台で続きます。トルガシェフ選手が3位でした。

 

 

男女ともに日本から初優勝が出ました。それも、獲れてなかった4大陸を後からとりました初優勝、ではなくて、チャンピオンシップ初優勝という2人です。フレッシュ、というには鍵山選手の方は実績山盛りなので違和感ありますが、世界選手権には日本の2番手として挑んでいく立場。次への弾みにもなりました。

日本のナショナルはグランプリファイナルに日程が近すぎる、という批判がよく出るのですが、4大陸で結果を出すにはちょうどいい時期にある、とも言えます。4大陸サイドの強豪国は年が明けてからのナショナルが基本。中国くらいでしょうか、年内にナショナル終えているのは。アメリカなんかは完全に4大陸無視日程を貫いています。どの程度4大陸を重視するかは国によって違いそうですが、日本は4大陸向けにはいいスケジュールになっているなあ、と今年も感じました。

観客がいまいち入っておらず、中国、コロナ以降はあの強かったペアも壊滅してしまっていて、盛り上がりようもなかったですかね。フィギュア界のお金の周りをよくするには、中国がもう少し強くあってくれないと困るのですが、立て直しには少し時間がかかるでしょうか?

今期も終盤になってきて、残るは世界ジュニアと世界選手権。女子はここまで日本勢がジュニアグランプリファイナル、グランプリファイナル、4大陸、ついでにユースオリンピックまで獲っていますので、世界ジュニアと世界選手権でコンプリートが見えてきています。