23-24 渡辺倫果

2002年7月19日生まれ

シニア2シーズン目

シーズン獲得賞金:$24,000

世界ランキング:7位

シーズンランキング:9位

シーズンベストスコア 203.22 (11位) 中国杯

ショートプログラムシーズンベスト 67.22 4大陸選手権

フリーシーズンベスト 138.13 中国杯

ショートプログラム楽曲:ムーランルージュ

フリープログラム楽曲:ドラマ-仁-より

スピンレベル4率 41/51 = 80.4%(国際大会:22/24 = 91.7%)

ステップレベル4率 7/17 = 41.2%(国際大会:5/8 = 62.5%)

スピンオールレベル4 4/8(国際大会:3/4)

スピンステップオールレベル4 3/8(国際大会:2/4)

ジャンプ回転不足率 16/87 = 18.4%(国際大会:6/40 = 15.0%)

ジャンプ回転不足なし 1/8(国際大会:1/4)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 1/8(国際大会:1/4)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL 東京夏季フィギュア 5 159.06 56.17 102.89
RT 東京選手権 6 152.93 60.14 92.79
CS Finlandia Trophy 2 180.36 62.73 117.63
CC 東日本学生選手権 7 91.17   91.17
GP Skate Canada 6 182.08 57.52 124.56
GP Cup of China 2 203.22 65.09 138.13
NC 全日本選手権 6 194.88 63.66 131.22
CC 日本学生氷上選手権 3 191.21 65.45 125.76
4CC Four Continents 3 202.17 67.22 134.95

渡辺倫果選手は昨季シニアに上がって補欠代打グランプリシリーズ初優勝から一躍飛躍したように見えたのですが、グランプリファイナル4位、全日本12位、4大陸5位、世界選手権10位と、実はほしいものはあと少し届かず手に入っていなかったのでは、というようなシーズンでした。

今期も8月の国内ローカル戦から始まります。東京夏季フィギュアは159.06 どうしたのですか? という酷いシーズンインでしたが、昨季はげんさんサマーカップで149.55から始まっていますので、まあ、そういう人なのでしょう。

とはいえ9月後半の東京選手権で152.93の6位なんていう結果を出されるとさすがに心配になってきます。ここではフリーにトリプルアクセルを入れてアンダーローテーションの転倒となっていました。

国際大会初戦、今期はフィンランディア杯です。昨季はこのチャレンジャーシリーズの優勝によって人生を変えましたが、今期はある種ただの調整試合。キムイェリム選手、グバノワ選手あたりとの顔合わせ。トリプルアクセルの投入はなし。それでもジャンプのミスが目立って180.36 スコア伸びず2位に終わります。

もう1試合調整試合。東日本学生はフリーだけの試合。トリプルアクセル投入しますがダウングレード。ループ1回転とアンダーローテーション。ルッツはダウングレードとアンダーローテーションのリピート。フリップは! まともにきまったジャンプはダブルアクセルからの3連続だけという、これもなかなか見ないひどい滑りで91.17 フリー100点割れ今季2試合目。10月中旬まできてこれは、ちょっと大丈夫なんでしょうか? と心配になります。

 

そこから1週間をおいてスケートカナダへ。ディフェンディングチャンピオンですが坂本花織選手いるし連覇するのは大変。キムチェヨン選手、日本からは松生理乃選手もいて、地元からはエースのシザス選手、アメリカのソーングレン選手など強敵ぞろいです。

ショートプログラムトリプルアクセル封印してのダブルアクセル構成。昨季苦しんだルッツも決めて、流石にちゃんと合わせてきたかと思った最後のコンビネーション。1つ目のループで転倒、コンボ付かず。57.52の7位と後半グループに入れません。3位とは8.77差、1位とは17.66差。さすがに2年連続の大逆転優勝は苦しいですが、3位まで持ってくるのが渡辺式。しかしながら今期はトリプルアクセル封印でフリーに臨みます。序盤良かったのですが昨季から課題のルッツが1回転に。後はしっかり滑りましたが124.56にとどまりトータル182.08 逆転表彰台は遠く6位に終わります。

1戦目6位だとファイナルはありません。2戦目は1週おいて中国杯へ。ショートプログラム、ジャンプ2つ決めてカナダで決められなかったコンビネーションはq2つ付けながらもおります。65.09の2位。首位ヘンドリックス選手と5.56差。すぐ下の0.44差の3位に自分と同じフリー逆転型の吉田陽菜選手が付けているのも怖いところ。このフリーもトリプルアクセル回避。今回はジャンプを次々に決めていきました。アクセル以外は昨季前半の渡辺選手の姿が戻ってきました。全要素プラス評価、技術点72.60までもってきてフリー138.13 トータル203.22 これが最終的に優勝した吉田陽菜選手に0.75届かずの2位。本人としては復活劇の2位でよかったのですが、実はここで吉田選手の優勝を防げなかったことが、世界選手権の代表争いに響いてきます。

 

12月の全日本へ。代表選考レースでは坂本花織選手が抜けているのは別として、吉田選手、住吉選手、渡辺選手あたりが各項目で競っています。渡辺選手はシーズンベストが吉田選手に次ぐ3位、世界ランキングは吉田選手を上回って3番目、シーズンランキングも吉田選手の次の3番目。中国杯で吉田選手に勝っていれば、グランプリファイナル上位2人に吉田選手も入っておらず、代表選考的に有利だったのですが、まだ十分にチャンスがあるという立場です。

ショートプログラムは19番滑走。このショートは今期よくある流れになりました。ダブルアクセルを確実に決め、今期は割と決まるルッツでしっかり加点。最後のコンビネーションでセカンドにアンダーローテーションが付きます。結果、63.66 大崩れせず8位。吉田選手は9位で62.73 三原選手が上にいて67.70の4位あたりが代表選考争いで勝っておきたい相手。3位の千葉百音選手が68.02を出していますがそこまで4.36差。フリー次第というのが見えます。フリーは17番滑走。先に滑った吉田陽菜選手が194.22でいるので、最低でもそこを超える130.57は欲しい。出来れば表彰台を狙えるスコアまで出したいところ。ここでトリプルアクセルを投入してきました。これはqながら基礎点満額もらっての転倒。基礎点満額入ればスコア的な痛手はそれほどなく進めます。以降のジャンプは次々と決めていきました。結果的にはルッツ2つにqが付いたのがいくらか響いて技術点は70.32まで。PCSがあまりもらえなかったのが痛くて61.90止まりでフリー131.22 際どく吉田陽菜選手の上へ出てトータル194.88 首位に立って上位7人を待ちます。

最終順位は6位。5位に入った三原選手、7位の吉田選手、2位の千葉選手、このあたり4人の中から世界選手権の代表をどう選ぶか? というのが難しそうでしたが、結局選ばれたのは千葉選手と吉田選手。スケートカナダで吉田選手を抑えて優勝出来ていれば、違う展開もあったかもしれませんでした。渡辺選手は4大陸の第3代表、世界選手権は補欠の2となります。

 

年が明けて学生選手権は青木祐奈選手、住吉りをん選手との東日本勢三つ巴の闘いでしたが191.21の3位。トリプルアクセルのダウングレードが基礎点満額のGOE-5なら勝てていた試合でした。

 

補欠2ではワールドは回ってこないだろうと思われますので、今期の集大成は4大陸選手権になります。メンバー的には渡辺選手は勝ってもおかしくない、チャンスの試合でもありました。

ショートプログラムはいつもと同じ展開。確実にダブルアクセルを決め、今期はしっかり決まるルッツを降り。最後のコンビネーションでq2つ。それでも今季最高のPCSをもらって67.22のシーズンベスト。3位と1.03差、1位とも3.88差。十分射程圏の4位に付けます。

フリーは最終グループ2人目で登場。冒頭、今季初、今季唯一、トリプルアクセルを決めます。

これで首位とのショートのビハインドも消えたのであと全部ノーミスなら勝てる、というチャンスだったのですが、ここで昨季と同じ、アクセル頑張っているとルッツ決まらない病が出て、1つ目のルッツは1回転に、2つ目のルッツがアンダーローテーションもらいます。フリーは134.95 トータル202.17で残り4人を待ちます。表彰台ライン、際どい争いでしたが、最終的には0.98差かわして3位。チャンピオンシップの初メダルを獲得してシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
東京夏季フィギュア 159.06 69.50 89.56 37.22 1.23 20.32 10.73
東京選手権 152.93 77.83 77.10 52.04 -4.65 19.47 10.97
Finlandia Trophy 180.36 92.66 88.70 57.04 2.00 21.00 12.62
東日本学生選手権 91.17 40.76 51.41 26.99 -5.12 10.43 8.46
Skate Canada 182.08 93.47 89.61 54.03 4.83 21.54 13.07
Cup of China 203.22 107.05 96.17 64.90 7.97 22.00 12.18
全日本選手権 194.88 103.86 92.02 70.68 -1.41 21.38 13.21
日本学生氷上選手権 191.21 104.21 87.00 66.90 6.74 20.01 10.56
Four Continents 202.17 105.16 97.01 64.16 4.72 22.63 13.65

今期のスコアは150点台2試合ある一方200点台が2試合。大事な試合で200点台なので問題ないと言えばないのですが、シーズン序盤とはいえ150点台連発されると心配になります。ばらつきが大きいことというか、一発かます力があるのが渡辺選手の魅力ではありますが。

技術点は70点を下回るというフリーだけの試合ですか? みたいなのも混じっていますが、シーズン中盤以降は100点をしっかり超えていきました。中国杯の107.05は今期全選手中15位、ISU公認なら14位にあたるスコアです。

PCSの方は最終的に97.01と8点平均を超えるところまでたどり着きました。このスコアは今期全選手中12位、ISU公認だけ見ると11位です。意外とPCS順位の方が高い。技術点寄りの選手がジュニアに多いので順位で見るとこんな形になりました。

ジャンプの基礎点は全日本で70点台に乗せました。トリプルアクセル決めた4大陸は64.16止まり。3A決めてもルッツが抜けると基礎点下がります。70.68ならその上は今期は4人しかいませんが、64.90だと割と普通に近い水準です。

加点の方は国内戦ではマイナスが目立ちますが国際大会はプラスは確保しています。中国杯の7.97は今期全選手中9位。ISU公認だけで見れば7位です。ジャンプのミスはGOE削られるより前に抜けや回転不足といった基礎点削られる形で出ることが多い選手です。

スピンは22点台までで4大陸選手権では22.63を出しました。上位選手では24点台くらいまでは普通にいますので、あまり高くない水準です。スピンのレベル4率は国際大会では90%超えますのでしっかりレベルは取れているのですが、加点があまり伸びていないです。

ステップ系要素は13点台まで。昨季は14点台を連発していましたので少しスコアが下がっています。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
東京夏季フィギュア 50.19 34.88 58.14 50.24 47.94 58.19
東京選手権 47.93 50.72 46.09 46.81 49.12 47.92
Finlandia Trophy 58.03 56.06 59.71 52.98 57.21 57.48
Skate Canada 58.67 52.84 65.51 55.16 59.41 58.23
Cup of China 66.45 64.46 71.95 57.02 55.05 63.63
全日本選手権 63.38 70.63 52.73 54.52 60.10 60.21
日本学生氷上選手権 62.03 66.59 69.43 48.99 47.11 56.08
Four Continents 66.06 63.66 65.29 59.56 62.25 64.32

偏差値で見ると、トータルスコアが国内戦では平均にあたる50を割っていたりしました。シーズン中盤以降は60台、いい時は60台後半まで出せます。

ジャンプの基礎点も同じで60台中盤が普通に出て全日本は70に乗りました。

加点の方も60台が本来は普通に出て、中国杯で70に乗せています。

スピンは50台中盤位が標準で、今期は1度も60に乗りませんでした。他の要素と比べてやや落ちます。

ステップ系要素は50台が標準ですがいい時は60台に乗せてきます。

PCSはステップ系要素とほぼ相関していて、50台が標準でいい時に60台に乗ってきます。

ジャンプが得意なはずだけどうまく生かしきれていない。スピンは他の要素より苦手、という風に見える偏差値表です。

 

渡辺倫果選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートはばらつき大きすぎてよくわかりません。4大陸選手権の時は比較的バランス型です。ただ、よく見れば下が凹んでいます。

右上、右下、ジャンプ系項目はばらつきが大きいです。不安定さが見て取れます。全日本のJ GOEの凹みが痛くて、これをしっかり取れていればワールド代表合ったのだろうなあ、とも見えます。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○4大陸選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.94 4.24 2.889
2 3Lz   5.90   0.84 6.74 1.444
3 CSp4   2.60   0.56 3.16 2.111
4 3Loq+3Tq q 10.01 x -1.19 8.82 -2.444
5 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.444
6 CCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.667
7 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.444
  TES   32.21   3.52 35.73  

ショートプログラムの最高基礎点は32.21でした。スピンステップオールレベル4 単独ジャンプにルッツを選択してコンビネーションはループからを1.1倍に入れます。フリップは跳ばず。これで32.21です。トリプルアクセル無し組だと33.23が最高。セカンドループなしだと33.01が最高ですので、基礎点では大きな差は出ません。

ジャンプだけでなく、スピンも少し基礎点低い構成で足替えのシットスピンが入っています。これが基礎点2.60 スピンはショートで合計9.40の基礎点を組めますが、渡辺選手は9.10です。この0.30の差というのも改善の余地があるにはあります。ただ、そこにこだわるよりはジャンプ側の方に目が行くのが自然でしょうか。

トリプルアクセルを入れるか、入れないならここから基礎点上げるよりもqが付かないコンビネーションにしていく、というのが次の道筋なのだろうと想像されます。昨季はトリプルアクセルが入って36.49の基礎点構成を組んでいました。それが出来れば全選手中最高基礎点構成になります。

 

中国杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   1.18 4.48 3.556
2 3Lo+3T   9.10   1.05 10.15 2.222
3 3F! ! 5.30   0.00 5.30 0.111
4 3Lz+2T   7.20   0.93 8.13 1.444
5 FCSp4   3.20   0.78 3.98 2.444
6 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.111
7 3Lz   6.49 x 1.35 7.84 2.333
8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.11 10.02 2.556
9 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 3.000
10 CCoSp4   3.50   0.35 3.85 1.000
11 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.444
12 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.444
  TES   61.69   10.91 72.60  

国際大会では中国杯の61.69が最高でした。トリプルアクセル無し構成。2回飛ぶジャンプはルッツとループです。ステップレベル3ですが、これをレベル4に出来れば62.29までは出ます。

渡辺選手は全日本でトリプルアクセルを構成に入れて68.99の基礎点を出していました。国際大会で68.99を上回る基礎点を出したのは2人しかいません。その構成まで組む力はあります。

ルッツフリップの確度を上げてダブルアクセル構成にするのか、トリプルアクセル入れるけれどルッツフリップの確度が下がるような選択をするのか。

最終的には両立したいわけですが、今の時点では一発狙うときはルッツフリップの確度が下がってもトリプルアクセル入れる、という選択になるようです。

 

○平均GOE2.500以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Cup of China FS 1 2A   3.30   1.18 4.48 3.556
東京夏季フィギュア SP 1 2A   3.30   1.10 4.40 3.200
Finlandia Trophy SP 1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
Cup of China SP 1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
Cup of China FS 9 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 3.000
Four Continents SP 1 2A   3.30   0.94 4.24 2.889
Finlandia Trophy FS 1 2A   3.30   0.94 4.24 2.875
東京選手権 SP 1 2A   3.30   0.99 4.29 2.800
東日本学生選手権 FS 11 StSq3   3.30   0.99 4.29 2.800
日本学生氷上選手権 SP 1 2A   3.30   0.99 4.29 2.800
Four Continents FS 9 3Lo   5.39 x 1.33 6.72 2.778
Four Continents FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.23 10.14 2.778
Skate Canada SP 1 2A   3.30   0.94 4.24 2.778
Skate Canada FS 1 2A   3.30   0.94 4.24 2.778
Four Continents FS 11 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.778
東京選手権 SP 2 3Lz   5.90   1.57 7.47 2.600
東京夏季フィギュア FS 1 2A   3.30   0.88 4.18 2.600
Cup of China FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.11 10.02 2.556
Four Continents FS 1 3A   8.00   2.06 10.06 2.556
Four Continents FS 12 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.556
Finlandia Trophy SP 2 3Lz   5.90   1.48 7.38 2.500
Finlandia Trophy SP 5 FSSp4   3.00   0.75 3.75 2.500

評価の高い要素はジャンプです。というよりダブルアクセルです、というのがふさわしいでしょうか。中国杯の+3.556という評価は今期全選手のダブルアクセルの中で3位です。

同じ中国杯ではトリプルループも+3.000をもらいました。これはループジャンプとして今期全選手中5位の評価。ループジャンプは得意なジャンプに入ってきます。

昨季はもう少しスピンやステップで高い評価を受けていたのですが、今期はジャンプの評価が目立ちます。昨季ほとんど飛ばなかった単独のダブルアクセルを今期はよく飛んでいた、というのもあるのでしょうが、派手なプログラムでステップ目立つわけですから、もう少しステップの評価が高いものがあるとよかったなあとも思います。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
東京選手権 FS 1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
東日本学生選手権 FS 1 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -5.000
全日本選手権 FS 1 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
日本学生氷上選手権 FS 1 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -4.800
Four Continents FS 1 3A   8.00   2.06 10.06 2.556

今期は要素として現れたトリプルアクセルは5回。成功したのは4大陸選手権の1回だけでした。おそらく4大陸と全日本以外は、成功する気がしなくても入れてみた、ということではあると思われます。

この4大陸選手権の+2.556というトリプルアクセルは、今期の全選手のトリプルアクセルの中で最高評価でした。大事なところで決めて、チャンピオンシップのメダルを導いたトリプルアクセルになりました。

 

○セカンド3回転を含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
東京選手権 FS 2 3Lo+3T< 8.26   -2.12 6.14 -4.400
Finlandia Trophy SP 4 3Loq+3T< 9.09 x -1.72 7.37 -3.250
Finlandia Trophy FS 2 3Lo+3T< 8.26   -0.41 7.85 -0.500
Skate Canada FS 2 3Lo+3T   9.10   0.07 9.17 0.111
Cup of China SP 4 3Loq+3Tq q 10.01 x -1.54 8.47 -3.222
Cup of China FS 2 3Lo+3T   9.10   1.05 10.15 2.222
全日本選手権 SP 4 3Loq+3T< 9.09 X -1.61 7.48 -3.222
全日本選手権 FS 2 3Lo+3T   9.10   0.91 10.01 1.889
日本学生氷上選手権 SP 4 3Lo+3T   10.01 X 1.14 11.15 2.400
日本学生氷上選手権 FS 2 3Lo+3T   9.10   0.98 10.08 2.200
Four Continents SP 4 3Loq+3Tq q 10.01 x -1.19 8.82 -2.444
Four Continents FS 2 3Lo+3T< 8.26   -0.91 7.35 -1.889

渡辺選手はループからの3-3をショートフリーで1回づつ飛びます。今期はこのジャンプが鬼門でした。主要大会から選んだわけではないのですが、国内のローカル大会ではそもそも3-3が入れられていない、というものが結構ありました。

今期12回要素として入っていてGOEプラスの成功ジャンプは5回。成功率5割を切ります。比較的フリーの方が成功率は高いようです。

回転不足が目立ちます。アンダーローテーション、q 遠くから見るとしっかり降りているのだけど…、というジャンプです。転倒になることは少ないので、印象はそれほど悪くないのだけど点が意外に伸びないね、ということになることが多いです。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
東京夏季フィギュア FS 8 2A+1Eu+1S   4.62 X -0.33 4.29 -1.200
東京選手権 FS 8 2A+1Eu+2S   5.61 X 0.55 6.16 1.400
Finlandia Trophy FS 8 2A+1Eu+3Sq q 8.91 x -0.57 8.34 -1.250
東日本学生選手権 FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 X 0.86 9.77 2.200
Skate Canada FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 0.86 9.77 2.000
Cup of China FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.11 10.02 2.556
全日本選手権 FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 X 1.04 9.95 2.444
日本学生氷上選手権 FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 X 0.72 9.63 1.600
Four Continents FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.23 10.14 2.778

3連続ジャンプは8番目の要素でダブルアクセルから3つ目サルコウ型です。今季9回飛んで、GOEがプラスで、3つ目がしっかり3回転になったのは6回。成功率は3分の2ですが、東日本学生選手権以降、シーズンが本格化してからはすべて決めました。

4大陸選手権では+2.778の評価を受けました。これは今期の3連続ジャンプとして全選手中5位です。3連続ジャンプで+2以上を出していける選手は割と少なく、このジャンプはしっかりと武器になっています。

 

○ルッツで始まる要素 (国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy SP 2 3Lz   5.90   1.48 7.38 2.500
Finlandia Trophy FS 4 3Lz+2T   7.20   0.89 8.09 1.375
Finlandia Trophy FS 7 3Lz< 5.19 x -0.47 4.72 -0.750
Skate Canada SP 2 3Lz   5.90   1.18 7.08 2.111
Skate Canada FS 4 1Lz   0.60   0.00 0.60 -0.111
Skate Canada FS 7 3Lz+2T   7.92 x 0.76 8.68 1.333
Cup of China SP 2 3Lz   5.90   1.43 7.33 2.444
Cup of China FS 4 3Lz+2T   7.20   0.93 8.13 1.444
Cup of China FS 7 3Lz   6.49 x 1.35 7.84 2.333
全日本選手権 SP 2 3Lz   5.90   1.10 7.00 1.778
全日本選手権 FS 4 3Lzq+2A+SEQ q 9.20   -0.84 8.36 -1.444
全日本選手権 FS 7 3Lzq q 6.49 X -0.76 5.73 -1.222
Four Continents SP 2 3Lz   5.90   0.84 6.74 1.444
Four Continents FS 4 1Lz+2A+SEQ   3.90   0.00 3.90 0.000
Four Continents FS 7 3Lz< 5.19 x -0.87 4.32 -1.889

昨季散々苦しんだルッツ。今期もショートフリーで合計3回入れています。主要大会で合計15回飛んで、1回転になったルッツが2つ、アンダーローテーション2つ、q2つ。GOEプラスに出来た成功ジャンプは9回と成功率6割。かなり改善されました。ただ、全日本と4大陸ではショートの1本しか決まっていません。トリプルアクセルを入れようとするとルッツが決まらないという昨季と同じ構図がこの全日本と4大陸では見えました。

アクセルとルッツが両立されるとすごいことになるのですが、そう簡単にはいかない。練習時間の配分の問題などもあるのだと思われますが、両方決めてノーミスで150点台、という姿を見てみたいものです。

 

昨季のような派手な目立ち方はしなかった渡辺倫果選手ですが、今期は4大陸選手権表彰台という、昨季つかめなかった結果をしっかりつかみました。世界選手権に出られていないので本人は満足は行っていないかもしれませんが、1つ階段を上がった部分もあったかと思います。

世界選手権の代表争いは紙一重でした。それは、オリンピックの代表争いという面でも紙一重のところにいる、という意味でもあります。来期はオリンピックの枠取りシーズン。この不安定さは枠取り代表としては不安でもあるのですが、本人としてはここでワールド代表に復帰して、表彰台を狙っていきたいところだろうとも思われます。