23-24 吉田陽菜

2005年8月21日生まれ

シニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$33,000

世界ランキング:9位

シーズンランキング:4位

シーズンベストスコア 203.97 (10位) 中国杯

ショートプログラムシーズンベスト 64.65 中国杯

フリーシーズンベスト 142.51 グランプリファイナル

スピンレベル4率 68/75 = 90.7%(国際大会:35/36 = 97.2%)

ステップレベル4率 12/23 = 52.2%(国際大会:7/12 = 58.3%)

スピンオールレベル4 7/12(国際大会:5/6)

スピンステップオールレベル4 2/12(国際大会:2/6)

ジャンプ回転不足率 15/123 = 12.2%(国際大会: 7/60 = 11.7%)

ジャンプ回転不足なし 3/12(国際大会:2/6)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 1/12(国際大会:1/6)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL 木下トロフィー 1 189.33 60.71 128.62
DL げんさんサマーカップ 1 198.95 63.43 135.52
CS Lombardia Trophy 2 185.45 62.54 122.91
RT 近畿選手権 1 174.83 57.11 117.72
GP Skate America 4 190.98 59.40 131.58
GP Cup of China 1 203.97 64.65 139.32
DL 愛知県代表選考会 3 65.21 65.21  
GPF Grand Prix Final 3 203.16 60.65 142.51
NC 全日本選手権 7 194.22 62.73 131.49
IH 全国高等学校選手権 1 199.10 64.83 134.27
NG 国民スポーツ大会 1 188.81 56.18 132.63
IC Tallink Hotels Cup 2 187.25 59.02 128.23
WC World Championships 8 194.93 64.56 130.37

昨季はジュニアグランプリシリーズの連勝に始まり飛ぶ鳥落とす勢いだったものが中盤以降苦戦しつつも4大陸選手権8位にたどり着いた、という形で終えて、今シーズンからシニア本格参戦となる吉田陽菜選手です。

まずは国内2戦。8月に木下トロフィーとげんさんサマーカップと連戦。木下トロフィーでは住吉りをん選手や千葉百音選手、げんさんではさらに坂本花織選手を抑えて2連勝。今期も上々なシーズンスタートとなります。

 

国際大会は9月頭のロンバルディア杯から。昨季ワールド6位のキムチェヨン選手、ヨーロッパチャンピオンのグバノワ選手などがいます。ショートプログラムから今期はトリプルアクセルを入れていきますが転倒。次のコンビネーションもqと<ということでスコア伸びず62.54で3位スタート。フリーもトリプルアクセルがダウングレードの転倒と最悪な展開ですが何とか122.91を出し、トータル185.45で2位に入ります。今はポイントを取ってランキングを上げていきたい時期。2位でも貴重な270ポイント確保です。

月末には国内でブロック大会、近畿選手権です。スコア的にはぱっとしない174.83ですがしっかり優勝してブロック大会通過。西日本は免除になるため全日本出場権を確保します。

 

グランプリシリーズデビュー。初戦のスケートアメリカからになります。ヘンドリックス選手、レビト選手の二人がシード選手、他にグレン選手、ペトロキナ選手がいて、日本からは千葉選手、河辺選手と18歳3人組で戦う形です。ショートプログラム、冒頭からトリプルアクセル投入しようとしたものの1回転半になって零点。最悪な出だしで59.40 なかなか厳しいスコアで9位。3位までは10.67差ありかなり厳しい点差です。フリーはトリプルアクセルは降りたもののステップアウト。それでも基礎点満額入れば十分。以降ミスなく滑って技術点は72.76までもらいます。シニア1年目、前半グループで滑ったこともありPCSは58.82しかもらえずフリー131.58のトータル190.88に留まりましたが大きく順位を上げて4位。フリーだけなら3位でスモールメダル獲得し、またファイナルへの可能性を残します。

 

2戦目は2週おいての中国杯。ここはヘンドリックス選手がいて渡辺倫果選手、さらにキムイェリム選手にペトロキナ選手と強豪ぞろい。ファイナル進出には優勝が欲しいというわずかな可能性に賭ける状況は難しい試合です。ショートプログラムトリプルアクセルがアンダーローテーションで転倒。64.65までは出しますが3位。首位のヘンドリックス選手とは6.00差。グランプリ初の表彰台は見えてきたけれどファイナルはちょっと厳しいか、という中でのフリー。トリプルアクセルはステップアウトながら着氷。以降は大きなミスなく、最後の3連続の3つ目が1回転になったくらい。残り3人のところで出てくるとPCSもスケートアメリカからだいぶ上がっての65.68 技術点73.64と合わせてフリーは139.32まで出してトータル203.97 残り2人を待ちます。次の渡辺倫果選手は0.75差、最終滑走ヘンドリックス選手は2.48差、僅差の3人の勝負でしたが結果は吉田陽菜選手の逆転優勝。グランプリ初優勝し、ファイナル進出をほぼ当確。次戦でファイナルが決定しました。

 

グランプリファイナルの遠征の前に愛知県でローカル試合に出場。世界ジュニアの代表選考用でしょうか、インターハイ用でしょうか。ジュニアカテゴリーのショートに出場し65.21をマークします。そしてファイナルへ。

どうもショートがうまくいかない。6人中3人目で出てきますが、トリプルアクセルは転倒。次のコンビネーションも転倒。おいおいおいおいおい、と思いましたが最後のループはしっかり決めます。2転倒ありながらも60.65と何とか60点台に乗せて4位。3位のピンツァローネ選手とは6.07差。2転倒の割には大きな差は付かず、フリー大得意な吉田選手なら射程圏内に残ります。

フリー、冒頭トリプルアクセルついに成功。結果的にはqが付いてGOEはわずかにマイナスになります。ただ、これで気分が乗ったか、以降のジャンプは次々に決めていきます。技術点78.14という今期のシニア最高点まで叩きだしてPCSも64.37もらいフリー142.51でパーソナルベスト更新。トータル203.16で残り3人を待ちます。最終的には3位。グランプリファイナルのメダルを手に入れました。

 

代表選考争いで2番手あたりの位置にいて全日本を迎えます。表彰台に乗れば代表確実。乗れなくても上位に残ればワールドは見えてきます。ショートのトリプルアクセルはやっぱり転倒。次にコンビネーションもqと< なかなか苦しい展開で62.73 9位スタートとなります。3位とは5.29差。まだまだ十分射程圏です。フリー、トリプルアクセル決まれば、というところでしたがシングルアクセルに。つぎの2A+3Tは生命線ですがこれもステップアウト。全日本のプレッシャー、厳しいか、とも思われましたがここから立て直していきあとは大きなミスなく滑り131.49 トータル194.22で首位に立って残り8人を待ちます。最終結果は7位。上にいるシニアの選手は4人。代表選考どうなる??  試合終わっても発表まで読み切れない難しい選考でしたが、4大陸は補欠1で世界選手権に3番手代表として選出されました。

 

試合数が何だか多い吉田選手。1月にはインターハイ、さらに国体と出場しどちらも優勝。ジュニアカテゴリーでの出場なのでショートでトリプルアクセルは飛べませんでしたがフリーは2試合ともトリプルアクセルを決めてきます。

2月にはタリンクホステルカップへ。住吉りをん選手、山下真瑚選手との遠征試合。ショートはダブルアクセル構成でルッツに転倒。フリーのトリプルアクセルは転倒。あまりいいところのない試合で2位に終わります。

 

そして、世界選手権へ。これだけのメンバーが集まると、ショートしくじるとフリーに進めない可能性が出てきます。枠取り問題もあり、構成をどうするか注目されましたが今回はダブルアクセル構成。2つ目のコンビネーションは2つともqがついてGOEは大幅マイナス。スピンステップオールレベル4は確保して64.56 8位とまずまずの位置で折り返します。

3位まで8.99差はさすがにこのレベルだと簡単にはいきませんが、逆転の可能性はまったくなくはない。フリーのトリプルアクセルを着氷。これでもしかしたら、という雰囲気を出したのですが後半に入ってのルッツ転倒。これが痛かった。結局130.37でトータル194.93 最終グループの6人を残しての3位。最終的には8位となりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
木下トロフィー 189.33 103.45 87.88 75.74 -5.81 21.27 12.25
げんさんサマーカップ 198.95 109.04 90.91 73.38 3.82 21.42 10.42
Lombardia Trophy 185.45 95.91 91.54 66.92 -6.44 21.57 13.86
近畿選手権 174.83 93.28 83.55 63.90 -4.09 22.08 11.39
Skate America 190.98 103.37 87.61 68.58 -0.45 21.95 13.29
Cup of China 203.97 109.16 95.81 73.99 -0.16 22.30 13.03
愛知県代表選考会 65.21 35.62 29.59 18.29 0.97 11.29 5.07
Grand Prix Final 203.16 110.87 94.29 75.74 -0.31 22.23 13.21
全日本選手権 194.22 101.32 93.90 68.84 -2.82 21.62 13.68
全国高等学校選手権 199.10 109.20 89.90 71.31 9.05 19.53 9.31
国民体育大会 188.81 99.24 89.57 65.46 2.63 21.99 9.16
Tallink Hotels Cup 187.25 97.37 91.88 62.83 0.27 22.19 12.08
World Championships 194.93 101.52 94.41 68.69 -1.18 22.02 11.99

今期は200点台が2試合ありました。国内では170点台と沈みこんだ試合もありますが国際大会は悪くても185点までは出しています。不安定なようでいて国際大会のスコアはまあまあ安定しています。安定して崩れる、特にショート、というような表現にでもなるでしょうか。

技術点は100点台にほとんどの試合で乗せていて、グランプリファイナルは110.87に達しました。今期全選手中6位にあたります。PCSは90点前後、最高は中国杯の95.81で8点平均程度です。全選手中18位、ISU公認だけ見ても16位。やはり技術点の方で稼ぐスタイルです。

ジャンプの基礎点は70点前後あります、グランプリファイナルでは75.74ありました。今期全体で2位です。70点以上あるのは今季4人だけ。残りの3人は全員ジュニア。シニアで吉田選手に次ぐジャンプの基礎点を出したのは住吉選手で68.10 世界選手権に出た選手で見ると千葉選手の67.03が続くだけですので、ジャンプの基礎点で見ると吉田選手は大変優位に立っています。

一方、加点の方はマイナスの試合が多いです。インターハイの+9.05というのはありますが国内参考記録。国際大会でプラスなのは1試合だけ。ISU公認試合はすべてマイナスでした。

スピンは22点前後。最高で中国杯の22.30 平凡なスコアです。スピンレベル4率は国際大会で97.2%を示すなど極めて高いのですが、加点が取れないのとショートもフリーも基礎点低いシットスピンが入ることで伸び悩んでいます。

ステップ系要素は13点台までで、ロンバルディア杯で13.86ありました。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
木下トロフィー 61.34 76.04 43.71 54.07 55.39 56.80
げんさんサマーカップ 64.88 73.51 63.44 54.68 46.42 59.30
Lombardia Trophy 59.91 66.61 42.42 55.28 63.28 59.82
近畿選手権 56.00 63.39 47.23 57.34 51.18 53.24
Skate America 61.94 68.39 54.69 56.81 60.49 56.58
Cup of China 66.73 74.17 55.29 58.23 59.22 63.34
Grand Prix Final 66.43 76.04 54.98 57.94 60.10 62.08
全日本選手権 63.14 68.66 49.84 55.48 62.40 61.76
全国高等学校選手権 64.93 71.30 74.16 47.06 64.56 58.47
国民体育大会 61.15 65.05 61.00 56.98 66.37 58.20
Tallink Hotels Cup 60.57 62.24 56.17 57.78 54.56 60.10
World Championships 63.40 68.50 53.20 57.10 54.12 62.18

偏差値で見るとトータルスコアは60台中盤です。

ジャンプの基礎点は70台中盤まで出します。グランプリファイナルは76.04 極めて高い値になってきます。一方加点の方はインターハイでかなり高い数値になっていますがこれは国内参考。50前後で平均的です。

スピンは50台で60に乗ることがありません。ステップ系要素は60前後が多いです。

PCSも60前後。中国杯では63.34までは出ました。

とにかくジャンプの基礎点でリードして、それをどう生かせるかというスタイルです。スピンは苦手側。ジャンプは基礎点稼げるけどなかなか決まらないので加点が取れない。基礎点を活かせる演技が出来るとすごいことになってきます。

 

吉田陽菜 要素別偏差値23-24

レーダーチャートで見るとあからさまな右上に凸のグラフになります。ジャンプ依存型。ただし加点は稼げない、という構図です。

 

●シーズン最高の基礎点構成

ロンバルディア杯 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
2 3Lzq+3T< 9.26   -2.24 7.02 -3.857
3 SSp4   2.50   0.65 3.15 2.429
4 3Lo   5.39 x 1.08 6.47 2.286
5 FCSp4   3.20   0.51 3.71 1.571
6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
7 CCoSp4   3.50   0.49 3.99 1.286
  TES   35.75   -2.34 33.41  

ショートプログラムは35.75の基礎点がありました。今期の全選手中最高基礎点です。ショートのトリプルアクセルは強い。ただし、転倒しています。

コンビネーションでアンダーローテーションが付いています。これをしっかり基礎点満額取れればあと0.84基礎点が上がりますので36.59に出来ます。1.1倍にコンビネーションを持って行ったり、ループをフリップに変えたりすればさらに基礎点上がりますが、トリプルアクセル持ちがそこまでする必要はおそらく無いのでしょう。

この試合、基礎点最高ですが、ショートプログラムのシーズンベストではないです。ジャンプしっかり決めないと点は出ません。

 

スケートアメリカ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq q 8.00   -3.43 4.57 -4.333
2 2A+3T   7.50   0.84 8.34 2.111
3 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.889
4 FCCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.444
5 3F   5.30   -0.15 5.15 -0.333
6 3Lz+3T   11.11 x 0.34 11.45 0.556
7 ChSq1   3.00   0.71 3.71 1.333
8 3Lz   6.49 x 0.93 7.42 1.556
9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.25 10.04 0.667
10 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
11 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.444
12 SSp4   2.50   0.57 3.07 2.222
  TES   69.49   3.27 72.76  

フリーの最高基礎点は69.49がありました。今期全体で2位の基礎点です。シニアでは最高基礎点。シニアで2位の選手は64.68ですので5点近い優位があります。フリーしっかり滑ればショートでのちょっとやそっとの差ならひっくりかえせます。

トリプルアクセルあり。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。後半にルッツ2本入れてセカンド3回転も後半にありながら3連続も後半。ジャンプの基礎点は非常に高くなる構成です。スピンはシットスピンがあるため、レベル4基礎点が9.50 最高基礎点より0.70下がります。

ここから基礎点を上げるにはシットスピンではないスピンに変える手もありますし、それ以外にもジャンプの配置などいろいろありますが、そういう方向ではなく、今の構成で精度を上げる方が優先されるのだろうと思われます。

 

○平均GOE2.600以上(国際大会+全日本より)

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Lombardia Trophy FS 12 SSp4   2.50   0.80 3.30 3.143
Tallink Hotels Cup FS 12 SSp4   2.50   0.75 3.25 3.000
Lombardia Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Grand Prix Final FS 11 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
Cup of China FS 12 SSp4   2.50   0.75 3.25 3.000
Cup of China FS 11 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Cup of China FS 2 2A+3T   7.50   1.20 8.70 2.889
World Championships SP 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
Tallink Hotels Cup SP 1 2A   3.30   0.88 4.18 2.800
Cup of China SP 4 3Lo   5.39 x 1.40 6.79 2.778
全日本選手権 FS 11 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667
Cup of China FS 10 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
World Championships FS 12 SSp4   2.50   0.68 3.18 2.667
Tallink Hotels Cup SP 6 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.600

評価が高い要素はシットスピンとステップです。昨季は+3以上で多くの要素が並んだのですが、今シーズンは+3以上だとその2つの要素のみです。1つ1つの要素での加点が昨シーズンより下がっているのは気になるところです。

ロンバルディア杯のシットスピンで+3.143の評価を受けましたが、これは今季のシットスピンの中で3位の評価です。シットスピンは上位の選手はあまり入れてこないので順位としては高くなりやすいはなりやすいです。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー SP 1 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
木下トロフィー FS 1 3A   8.00   -2.40 5.60 -2.800
げんさんサマーカップ SP 1 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
げんさんサマーカップ FS 1 3A   8.00   1.87 9.87 2.400
Lombardia Trophy SP 1 3Aq F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
Lombardia Trophy FS 1 3A<< F 3.30   -1.65 1.65 -5.000
近畿選手権 FS 1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
Skate America FS 1 3Aq q 8.00   -3.43 4.57 -4.333
Cup of China SP 1 3A< F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
Cup of China FS 1 3Aq q 8.00   -3.09 4.91 -3.778
Grand Prix Final SP 1 3Aq F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
Grand Prix Final FS 1 3Aq q 8.00   -0.57 7.43 -0.667
全日本選手権 SP 1 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
全国高等学校選手権 FS 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.200
国民体育大会 FS 1 3A   8.00   2.13 10.13 2.200
Tallink Hotels Cup FS 1 3A< F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
World Championships FS 1 3Aq q 8.00   -0.34 7.66 -0.444

トリプルアクセルは今季要素として17回入って、GOEプラスの成功ジャンプは3回。成功率は20%弱となっています。ただ、その成功3回はすべて国内の試合です。国際大会では世界選手権の-0.444が最高です。グランプリファイナルのフリーで-0.667というのもあり、この辺までは成功カウントでもいいのかもしれません。ショートの成功はゼロ。6回飛んですべて転倒です。ショートのこの転倒率は何なんでしょう? 演技開始から最初の要素の最初のジャンプでショートとフリーでこれだけ違いが出る理由はよくわかりません。

トリプルアクセルの吉田陽菜選手ですが、残念ながら今期はISU公認でのGOEプラス成功は無しで終わりました。

 

○3回転-3回転を含む要素(国際大会+全日本より)

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Lombardia Trophy SP 2 3Lzq+3T< 9.26   -2.24 7.02 -3.857
Lombardia Trophy FS 6 3Lzq+3T< 10.19 x -2.36 7.83 -4.143
Skate America SP 2 3Lz+3Tq q 10.10   -0.84 9.26 -1.333
Skate America FS 6 3Lz+3T   11.11 x 0.34 11.45 0.556
Cup of China SP 2 3Lz+3T   10.10   0.93 11.03 1.444
Cup of China FS 6 3Lz+3T   11.11 x 0.59 11.70 0.889
Grand Prix Final SP 2 3Lzq+3T< F 9.26   -2.95 6.31 -5.000
Grand Prix Final FS 6 3Lz+3T   11.11 x 1.01 12.12 1.667
全日本選手権 SP 2 3Lzq+3T< 9.26   -2.19 7.07 -3.778
全日本選手権 FS 6 3Lz+3T   11.11 X 0.84 11.95 1.444
Tallink Hotels Cup FS 6 3Lz+3T   11.11 x 0.39 11.50 0.600
World Championships SP 2 3Lzq+3Tq q 10.10   -2.95 7.15 -5.000

ショートでは2番目、フリーでは1.1倍に入る6番目の要素としてルッツから3-3を飛びます。主要大会で12回飛んでGOEプラスの成功は6回と5割です。転倒は1回、アンダーローテーションは3回、qが2回。何かマークがつかなければしっかりプラスということで、ステップアウトで大幅減点、みたいなことはあまりないようです。

このコンビネーションもショートの成功率が低いです。フリーは6回飛んでGOEプラスが5回です。ショートで出遅れる要因はこのコンビネーションジャンプの確率の低さにあると言えそうです。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 X 0.72 10.51 1.400
げんさんサマーカップ FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 X 0.72 10.51 1.600
Lombardia Trophy FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.34 10.13 0.857
近畿選手権 FS 9 3Sq+2A+2T<+SEQ 9.50 X -1.72 7.78 -4.000
Skate America FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.25 10.04 0.667
Cup of China FS 9 3S+2A+1T+SEQ   8.80 x -0.37 8.43 -1.000
Grand Prix Final FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.68 10.47 1.556
全日本選手権 FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 X 0.86 10.65 2.111
全国高等学校選手権 FS 9 3S+2A+1T+SEQ   8.80 X -0.43 8.37 -0.800
国民体育大会 FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 X 0.29 10.08 1.000
Tallink Hotels Cup FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.72 10.51 1.600
World Championships FS 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.74 10.53 1.667

3連続ジャンプは9番目の要素でサルコウ起点のアクセル入れて最後はトーループです。

12回飛んでGOEプラスが9回。3連続でGOEプラス率75%は高い方です。

この辺でしっかり点が取れるあたりがフリーの強さに通じていそうです。

 

○2A+3T

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー FS 2 2A+3T   7.50   0.84 8.34 1.800
げんさんサマーカップ FS 2 2A+3T   7.50   0.84 8.34 2.000
Lombardia Trophy FS 2 2A+3T   7.50   0.92 8.42 2.143
近畿選手権 FS 2 2A+3T   7.50   0.98 8.48 2.000
Skate America FS 2 2A+3T   7.50   0.84 8.34 2.111
Cup of China FS 2 2A+3T   7.50   1.20 8.70 2.889
Grand Prix Final FS 2 2A+3T   7.50   1.08 8.58 2.556
全日本選手権 FS 2 2A+3T   7.50   -0.72 6.78 -1.667
全国高等学校選手権 FS 2 2A+3T   7.50   0.84 8.34 1.800
国民体育大会 FS 2 2A+3T   7.50   0.98 8.48 2.200
Tallink Hotels Cup FS 2 2A+3T   7.50   0.84 8.34 2.200
World Championships FS 2 2A+3T   7.50   0.60 8.10 1.556

フリーは冒頭トリプルアクセルの後、この2A+3Tが来ます。アクセル転倒した後、ここで点が取れないと演技全体がひどいことになりそうというカギになる要素。これを12回飛んでGOEプラスが11回。セカンド3回転の中では難易度が低いとはいえ、これだけの成功率を誇ることが、フリーでトリプルアクセルを挑みやすくしているでしょうか。逆に、ショートにはこういう鉄板要素ではなく、成功率あまり高くない3-3が来てしまうところで、トリプルアクセルも苦しくなっているようにも感じます。

 

 

今期シニアデビューでグランプリ初優勝、ファイナル表彰台。華々しい結果を前半残しました。中盤以降、全日本7位、世界選手権8位はどこまで本人の満足度の高い結果だったか? ただ、トリプルアクセルがクリーンに決まって一発かまして結果を残した、というよりは、トリプルアクセルは決まらない中でも何とか点を出していって上位に入ってきている、という形の今シーズンでした。

来期、トリプルアクセルはどうなるか? それが勝負の分かれ目なのか? あるいは、トリプルアクセル入らなくても勝っていける力がついていくのか? トリプルアクセルの練習を減らせばコンビネーションが安定する、という線もあるので、どういう先行きになるかわかりませんが、高い基礎点というだけで終わらない演技を来期も期待したいと思います。