23-24 ミハイルシャイドロフ

2004年6月25日生まれ

シニア2シーズン目

シーズン獲得賞金:$14,000

世界ランキング:17位

シーズンランキング:9位

シーズンベストスコア 264.46(12位) 中国杯

ショートプログラムシーズンベスト 89.94 中国杯

フリーシーズンベスト 174.52 中国杯

スピンレベル4率 24/36 = 66.7%

ステップレベル4率 0/12 = 0.0%

スピンオールレベル4 0/6

スピンステップオールレベル4 0/6

ジャンプ回転不足率 4/60 = 6.67%

ジャンプ回転不足なし 3/6

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/6

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
GP Skate Canada 5 241.65 79.18 162.47
GP Cup of China 3 264.46 89.94 174.52
CS Golden Spin 2 235.29 82.82 152.47
4CC Four Continents 6 244.80 81.76 163.04
IC Challenge Cup 1 256.34 85.75 170.59
WC World Championships 14 234.19 80.02 154.17

シャイドロフ選手は昨季ワールドユニバーシティゲームズ4位、4大陸選手権5位。今期は表彰台に乗る試合が欲しい、というような位置にいます。

 

昨季枠をもらえなかったグランプリシリーズに今期デビューをします。昨季の実績により当初から2枠もらえていました。2戦目のスケートカナダから登場。ショート冒頭から4回転ルッツを投入してきます。これまではアンダーローテーションまでしかありませんでしたが、ここでqは付きましたが初めて基礎点満額の4回転ルッツを降りて、パーソナルベスト更新の79.18で5位。3位までは2.45差で十分射程圏です。フリーも4回転ルッツをqで降りました。あとは後半のコンビネーション2つでqがついたくらいで大きなミスは無し。162.47を出してトータル241.65 3位と4.46差の5位に入りました。qもつかないノーミスが出来れば表彰台に乗れていた、という試合でした。

 

2戦目は中国杯になります。日本から宇野選手が登場し、山本草太選手、友野一希選手と言ったファイナルを狙う選手たち、フランスのアダムシャオイムファ選手や地元のボーヤンジン選手といったあたりが強いで試合です。シャイドロフ選手も優勝すればファイナルという可能性を残してはいます。ショートプログラム、今回は後半グループに入りました。7番滑走。4回転ルッツを初めてGOEプラスで決めてきます。それを含めて全要素プラス評価。89.94とまたもパーソナルベスト更新で3位に付けます。フリーは162.02以上で表彰台確定という状況で登場。初戦では162.47を出しています。4回転ルッツはqは付いたもののGOEはプラス側になります。後半、構成を上げて4回転トーループ2本目を入れてきました。それと次のアクセルでqは付きましたが大きなミスなく滑り切り174.52とパーソナルベスト更新。トータル264.46もパーソナルベストで3位。グランプリシリーズ初表彰台となりました。

 

ファイナル進出とはなりませんでしたが、日程的にその真裏にあるゴールデンスピンに出場します。ここは多少調子を落としていたでしょうか、235.29の2位に終わります。

 

年が明けて4大陸選手権。2年連続5位に入っている相性のいい試合です。ショートプログラムは22番滑走、最終グループの1番目で出てきます。今期良く決まっていた4回転ルッツを転倒。81.76で7位と少し出遅れます。3位までは13.54差、表彰台争いは少し苦しくなります。フリーは第3グループ最後に登場。構成が上がって4回転3種類4本。ルッツをまず決め、フリップも初成功、トーループは1本目がマイナスでしたが後半の3連続は素晴らしい出来です。フリー163.04 トータル244.80で首位に立って最終グループ6人を待ちますが、結局6位。スコアは過去2シーズンより上げたのですが、順位は下がってしまいました。

 

2月には調整試合でチャレンジカップを1つ挟んで256.34で優勝。世界選手権へつなげます。

昨季14位だった世界選手権は上位進出を目指します。ランキングもだいぶ上がってきてショートプログラムは30番滑走と、最終グループの1つ前に入りました。4回転ルッツは何とか耐えたものの、4回転トーループからのコンビネーションをステップアウト。80.02はそれほど悪いわけでもないですが、流石の世界選手権、これでも16位となります。

フリーは第2グループ。4回転4本構成ですがルッツで転倒。広範囲トリプルアクセルでも転倒したことでコンビネーションが1つ余る形にもなり154.17 トータル234.19で14位と昨季と同じ順位でおわりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Skate Canada 241.65 133.23 108.42 100.57 2.66 19.24 10.76
Cup of China 264.46 149.52 114.94 107.72 10.23 21.88 9.69
Golden Spin 235.29 123.62 111.67 96.80 -5.66 21.06 11.42
Four Continents 244.80 136.08 109.72 104.76 -1.20 20.81 11.71
Challenge Cup 256.34 148.67 107.67 108.52 7.67 20.70 11.78
World Championships 234.19 127.44 108.75 105.33 -9.47 20.51 11.07

トータルスコアは世界選手権がワーストになってしまうという残念な形でした。230点台から260点台まで。中国杯の264.46は今期全選手中12位にあたります。

技術点は149.52まで出ていて今期全選手中6位にあたる高いスコアです。

PCSは110点前後が並んでいて中国杯で114.94をもらいました。1項目平均7.5を少し超える程度でした。技術点と演技構成点で比べると、かなり技術点に寄っている選手です。

ジャンプの基礎点はコンスタントに100点を超えていきます、チャレンジカップの108.52が最高でした。今期全選手中3位という高い基礎点です。マリニン選手の最高の基礎点とは20.97の差になります。加点の方はマイナスの試合も目立ちますが中国杯では10.23と二桁稼ぎました。今期全選手中18位にあたります。加点はほどほどでした。

スピンは20点台が多く中国杯で21.88までは出ました。レベル4率が66.7%ということで、3つのうち1つはレベル4が取れない計算ですので、レベル自体もあまり取れていませんし、加点もそれほど得られていないです。

ステップ系要素は11点台が並びました。ステップはレベル4率0% まだまだという要素です。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Skate Canada 58.02 65.28 54.84 46.05 46.85 51.58
Cup of China 63.91 69.57 64.21 55.12 41.96 55.93
Golden Spin 56.37 63.02 44.54 52.30 49.86 53.75
Four Continents 58.83 67.79 50.06 51.44 51.19 52.45
Challenge Cup 61.81 70.05 61.04 51.07 51.51 51.08
World Championships 56.09 68.14 39.83 50.41 48.26 51.80

トータルスコアは60前後の偏差値があります。

ジャンプの基礎点は60台後半が標準でチャレンジカップでは70を超えていきました。

加点の方はばらつきありますがいい時で60台です。

スピンは50前後。1番いい時は55.12で50台中盤までは出せます。

ステップ系要素も50前後ですが、こちらは平均割れの方が多く、1番良くても51.51ということで平均以下程度の力となっています。スピンとステップだとよりステップの方が弱いようです。

PCSも50台前半で中国杯だけ55.93までは出ています。

ジャンプの基礎点でとにかく稼ぎます、というスタイルです。

 

ミハイルシャイドロフ選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートははっきりと右寄りです。ジャンプに寄る選手というのはそれなりにいますが、ここまではっきり偏る選手は珍しいです。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○4大陸選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lz F 11.50   -5.75 5.75 -5.000
2 3A   8.00   1.26 9.26 1.667
3 CCSp4   3.20   0.00 3.20 0.222
4 4T+3T   15.07 x 1.63 16.70 1.889
5 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.222
6 StSq3   3.30   0.52 3.82 1.556
7 CCoSp4   3.50   0.10 3.60 0.556
  TES   47.57   -1.60 45.97  

ショートプログラムは47.57という高い基礎点がありました。4回転はルッツとトーループ。コンビネーションを1.1倍に入れる構成です。スピンオールレベル4でステップがレベル3でした。ジャンプ構成はこの形が今シーズン基本でよく基礎点取れていましたがスピンステップのレベルを1番しっかり取れたのがこの試合、ということで4大陸選手権の基礎点が1番高くなっています。

この47.57という基礎点は今期の全選手中3位にあたります。ステップレベル4にすれば0.60基礎点上がって48.17になります。そこまでいくとそれより上は、4回転アクセルを入れ込んだマリニン選手しかありません。マリニン選手でもショートで後半コンビネーションという選択はしておらず、4回転アクセル無し構成ではシャイドロフ選手が最もノーミス基礎点が高いことになります。ただ、実際にはステップレベル4はだしたことがありませんので、ミスとも言い難いです。シャイドロフ選手にとっては4回転フリップ入れるよりもステップレベル4にする方が難しいかもしれません。

 

チャレンジカップ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lzq q 11.50   -0.23 11.27 -0.286
2 4Fe e 8.80   -0.88 7.92 -1.000
3 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
4 ChSq1   3.00   1.00 4.00 1.857
5 3F! ! 5.30   0.00 5.30 0.000
6 FCCoSp4   3.50   0.49 3.99 1.429
7 4T   10.45 x 2.28 12.73 2.429
8 3A+2A+SEQ   12.43 x 1.76 14.19 2.286
9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.59 12.36 1.143
10 FCSSp3   2.60   0.47 3.07 1.714
11 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.857
12 CCoSp3   3.00   0.84 3.84 2.714
  TES   89.35   8.81 98.16  

フリーはチャレンジカップで89.35を出しました。こちらも今シーズン全選手中3位にあたります。

4回転はルッツフリップトーループ2本。フリップはeが付きました。セカンド3回転、シークエンスのアクセル、3つ目3サルコウとあります。スピン2つレベル3でステップレベル3となって89.35です。4回転フリップのeが取れれば2.20基礎点上がって91.35となり90点台の基礎点に出来ます。さらにスピンステップオールレベル4なら1.50基礎点上がって92.85にまでなる計算です。トゥ系4回転3種類を揃えました。4回転サルコウも成功実績ありますので、4種類5本を組むことも理屈上は可能となってきました。

 

○平均GOE2.000以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Challenge Cup FS 12 CCoSp3   3.00   0.84 3.84 2.714
Golden Spin SP 1 4Lz   11.50   3.22 14.72 2.714
Cup of China FS 3 4T+3T   13.70   2.44 16.14 2.556
Four Continents FS 1 4Lz   11.50   2.63 14.13 2.444
Challenge Cup FS 7 4T   10.45 x 2.28 12.73 2.429
Cup of China FS 12 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.333
Challenge Cup FS 8 3A+2A+SEQ   12.43 x 1.76 14.19 2.286
Golden Spin SP 2 3A   8.00   1.76 9.76 2.286
Challenge Cup SP 2 3A   8.00   1.76 9.76 2.286
Cup of China FS 5 3F   5.30   1.14 6.44 2.222
Four Continents SP 5 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.222
Skate Canada SP 2 3A   8.00   1.71 9.71 2.111
Four Continents FS 4 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.000
Challenge Cup FS 3 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
Golden Spin SP 5 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.000
Golden Spin FS 1 3Lz   5.90   1.18 7.08 2.000
Skate Canada FS 2 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
Cup of China FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.18 12.95 2.000
Cup of China FS 6 FCCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
Cup of China SP 2 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
World Championships FS 3 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000

シャイドロフ選手の評価の高い要素はジャンプが多いですが、その中にスピンも混ざっていました。スピンの中では足替えのコンビネーションスピンが比較的得意なようです。次いでフライングシットスピンも入ってきています。

ステップは+2以上の評価は無し。かなり苦手なところが見て取れます。

 

○4回転ルッツ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate Canada SP 1 4Lzq q 11.50   -1.64 9.86 -1.444
Skate Canada FS 1 4Lzq q 11.50   -0.33 11.17 -0.111
Cup of China SP 1 4Lz   11.50   1.97 13.47 1.778
Cup of China FS 1 4Lzq q 11.50   0.16 11.66 0.111
Golden Spin SP 1 4Lz   11.50   3.22 14.72 2.714
Four Continents SP 1 4Lz F 11.50   -5.75 5.75 -5.000
Four Continents FS 1 4Lz   11.50   2.63 14.13 2.444
Challenge Cup SP 1 4Lzq q 11.50   -0.46 11.04 -0.571
Challenge Cup FS 1 4Lzq q 11.50   -0.23 11.27 -0.286
World Championships SP 1 4Lz   11.50   -1.15 10.35 -0.889
World Championships FS 1 4Lz F 11.50   -5.75 5.75 -5.000

4回転ルッツは22年の世界ジュニアで最初に試していましたが、定常的に構成に入れてきたのは今シーズンからです。ショートフリーでそれぞれ冒頭に飛ぶ要素になっています。

今季11回飛んで転倒が2回、それ以外のGOEマイナスが5回でGOEプラスの成功ジャンプは4回でした。ただ、マイナスの場合もわずかなマイナスが多く、実質的には9回は跳んだ価値のあるジャンプとなっていました。

チャレンジカップの+2.714という評価は今期の全選手中7位の4回転ルッツとなっています。意外と成功者が多い4回転ルッツです。

 

○4回転フリップ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Golden Spin FS 2 4F!q ! 11.00   -1.98 9.02 -1.714
Four Continents FS 2 4F   11.00   0.47 11.47 0.444
Challenge Cup FS 2 4Fe e 8.80   -0.88 7.92 -1.000
World Championships FS 2 4F! ! 11.00   -0.31 10.69 -0.222

4回転フリップは今季初投入で下。4回飛んでGOEプラスは1回です。ただ、eになった1回ははっきり失敗ですが、あとの2回は基礎点満額入ってGOEのマイナスはそれほど大きくありませんので、4回転フリップを跳んだ価値は十分あったと言えそうです。

今期4回転フリップを成功させた選手は4人だけで、その中の1人となりました。

 

○4回転トーループ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate Canada SP 4 4T+2T   11.88 x 0.14 12.02 0.222
Skate Canada FS 3 4T+3T   13.70   1.49 15.19 1.556
Cup of China SP 4 4T+3T   15.07 x 1.63 16.70 1.889
Cup of China FS 3 4T+3T   13.70   2.44 16.14 2.556
Cup of China FS 7 4Tq q 10.45 x -0.81 9.64 -0.778
Golden Spin SP 4 4T+2T<< <<  10.89 x -4.75 6.14 -5.000
Golden Spin FS 3 4T+3T   13.70   -1.90 11.80 -2.286
Golden Spin FS 7 4Tq q 10.45 x -0.57 9.88 -0.571
Four Continents SP 4 4T+3T   15.07 x 1.63 16.70 1.889
Four Continents FS 3 4T   9.50   -2.58 6.92 -2.667
Four Continents FS 7 4T+1Eu+3S   15.73 x 1.63 17.36 1.667
Challenge Cup SP 4 4T+3T   15.07 x 0.95 16.02 1.000
Challenge Cup FS 3 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
Challenge Cup FS 7 4T   10.45 x 2.28 12.73 2.429
World Championships SP 4 4T+3T   15.07 x -4.48 10.59 -4.667
World Championships FS 3 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
World Championships FS 7 4T   10.45 x 1.22 11.67 1.222

4回転トーループはシーズン序盤はショートフリーで1回づつ、中盤以降フリーでは2回飛ぶようになっていきました。

今シーズン17回飛んで、GOEマイナスになったのは6回。11回は成功ジャンプです。

まずまずの成功率と言えるかと思います。

 

○3連続の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate Canada FS 7 3Lz+1Eu+3Sq q 11.77 x -0.67 11.10 -1.111
Cup of China FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.18 12.95 2.000
Golden Spin FS 9 3A<+1Eu+3S 12.32 x -0.90 11.42 -1.429
Four Continents FS 7 4T+1Eu+3S   15.73 x 1.63 17.36 1.667
Challenge Cup FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.59 12.36 1.143
World Championships FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.93 12.70 1.556

3連続ジャンプはルッツから飛ぶのが基本形ですが、構成を色々変えていたりもして試行錯誤があります。それでも6試合すべてで入りました。ルッツからの3連続は4戦中3戦成功。トリプルアクセルからはアンダーローテーション付きます。4回転からは成功ジャンプとなりました。それほど苦にはしていないようでしっかり得点源となっています。

 

シャイドロフ選手、今期はグランプリシリーズにデビューし表彰台に乗りました。パーソナルベストもだいぶ伸ばしてきましたし、4回転の種類も増え、上位で戦う力は着々と蓄えられています。ジャンプのスコアだけならトップクラスです。スピンステップPCS、そちらが伸びてくればオリンピックの表彰台争いに絡んでくるだけの力もありそう。そちらは年齢と共にスコアが伸びてきそうにも感じますが、来期はどうなっていくでしょうか?