ドミトリーアリエフ Dmitri Aliev 19-20

1999年6月1日生まれ

シニア3シーズン目

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シーズン獲得賞金:$46,000

世界ランキング:4位

シーズンランキング:2位

シーズンベストスコア 272.89(6位) ヨーロッパ選手権

ショートプログラムシーズンベスト 101.89 ネペラメモリアル

フリーシーズンベスト 184.44 ヨーロッパ選手権

ショートプログラム楽曲: Je Dors Sur Des Roses

フリープログラム楽曲 : The Sound of Silence

スピンレベル4率 22/36=61.1%

ステップレベル4率 9/12=75.0%

スピンオールレベル4 0/6

スピンステップオールレベル4 0/6

ジャンプ回転不足率  7/60=11.7%

ジャンプ回転不足なし試合 1/6

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/6

 

 ●ドミトリーアリエフ選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
CS Lombardia Trophy 2 249.62 81.18 42.03 40.15 168.44 86.34 82.10
CS Nepela Memorial 1 255.32 101.49 58.19 43.30 153.83 71.93 82.90
GP Skate America 3 253.55 96.57 54.54 42.03 156.98 73.98 83.00
GP Rostelecom Cup 2 259.88 90.64 48.18 42.46 169.24 82.88 86.36
GPF Grand Prix Final 6 220.04 88.78 47.22 41.56 131.26 61.56 73.70
ECC Europe Championships 1 272.89 88.45 47.17 41.28 184.44 98.10 86.34

ドミトリーアリエフ選手はシニア三シーズン目。過去の大きなタイトルはジュニアグランプリファイナル優勝くらいでしたが、着実に実績を積み重ねて今シーズンエンドの段階では世界ランキングを4位にまで上げてきました。

シーズン序盤はチャレンジャーシリーズ2試合。ロンバルディア杯では冒頭四回転ルッツから転倒という嫌なシーズンの入りになりショートは点が伸びませんでしたが、フリーはそこそこまとめて249.62という初戦になりました。

2戦目ネペラメモリアルショートプログラム会心の出来。101.49はパーソナルベストで初の100点越え。現行ルールで6人だけのショート100点スコアラーに仲間入りしました。

しかしながらフリーで崩れてトータル255.32 これはこれでパーソナルベスト更新でしたが、何とも残念な結果。

グランプリ2戦は250点台というまずまずのスコアで2戦連続表彰台。グランプリシリーズで表彰台に乗ったのはこのスケートアメリカが初で、そのままファイナルにまで進出します。

ところがこのグランプリファイナルで大崩れ。ショートは大きなミスは出さずに踏みとどまったのですが、フリーで転倒三つ回転不足二つ、スピンもノーカウントまで出して131.26という自己ワーストスコアを出し、トータルも220.04 初のファイナルは痛い結果で終わりました。

年末のロシア選手権はシーズン後半のチャンピオンシップの出場権をかけた戦い。この試合でショート4位からの逆転優勝。ロシア選手権初優勝を果たします。

 

年が明けてヨーロッパ選手権。フェルナンデスさんが7連覇したまま引退。誰が勝っても初優勝という試合。ショートは回転不足二つながらもなんとか2位発進。フリーは23番滑走で冒頭の四回転ルッツこそ回転不足になったものの、他はしっかりまとめて184.44のパーソナルベスト。首位に立ってプレッシャーをかけた状態で最終滑走のショート1位ブレジナ選手を待ちます。初のビッグタイトルがかかったベテランブレジナ選手でしたが、三回挑んだ4回転はすべて失敗。ジャンプ要素三つで7.72点と減点2しかとれず、その後は立て直したものの点数は届かず。アリエフ選手が逆転でビッグタイトルをつかみました。

 

世界選手権は中止になったため、ヨーロッパ制覇でアリエフ選手の今シーズンは終了しました。

 

 ●ドミトリーアリエフ選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS Lombardia Trophy 2 249.62 128.37 122.25 93.58 20.90 13.89
CS Nepela Memorial 1 255.32 130.12 126.20 93.69 22.41 14.02
GP Skate America 3 253.55 128.52 125.03 94.60 21.00 12.92
GP Rostelecom Cup 2 259.88 131.06 128.82 95.20 22.15 13.71
GPF Grand Prix Final 6 220.04 108.78 115.26 83.59 13.87 11.32
ECC Europe Championships 1 272.89 145.27 127.62 107.87 22.95 14.45

アリエフ選手も技術点優位型。大崩れしたグランプリファイナルのみはPCSの方が高くなっています。

PCSは120点台が標準的です。各要素平均8点で120点。8.5まで行くと127.5点まで出ますので、いい時は平均8.5ほど取れていることがわかります。

ジャンプは伸びると100点台後半まで出ます。ヨーロッパ選手権の107.87は全体7位。ヨーロッパ圏の選手ではトップです。

スピンが苦手。ファイナルの13.87はちょっといろいろあってひどいですが、それ以外でも一番いい時で22点台に留まっています。スピンのトップは27点台、上位選手は26点台を出すのと比べるとスピンだけで4点差がついてくることになります。

ステップは14点台まで。これは苦手というほどではないですが、トップは16点台出しますのでトップ層にはとどきません。

 

 ●ドミトリーアリエフ選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Lombardia Trophy 2 61.57 63.84 54.20 51.51 61.76 60.58
Nepela Memorial 1 63.02 62.56 56.80 56.22 62.37 62.97
Skate America 3 62.57 57.92 66.91 51.82 57.18 62.26
Rostelecom Cup 2 64.18 57.69 68.11 55.41 60.91 64.56
Grand Prix Final 6 54.03 60.24 48.70 29.55 49.63 56.34
Europe Championships 1 67.50 67.75 64.44 57.91 64.41 63.83

偏差値で取ると、250点台のスコアは60前半になります。270点台乗ったヨーロッパ選手権は偏差値67.5 かなり高いスコアです。

ジャンプはしっかりこなせば基礎点60台後半まで出る構成ですが、回転不足がいくつか重なってくると60前後に落ちてきます。

ジャンプのGOEは良い時で60台後半まで。70までは乗ってきません。

苦手要素のスピンは基本的には50台です

ステップは60に乗ってきてPCSも60台前半です。

ジャンプが得意側でスピンは苦手、ステップとPCSが普通、というのが本人比でみたところなようです。

 

 

ドミトリーアリエフスケート偏差値

レーダーチャートで見るとグランプリファイナルの凹みがなかなかひどいですが・・・。

スピン以外の四項目は割とバランスが取れています。四回転ルッツ使いなので、ジャンプ側にもう少し寄ってもよさそうなものなのですが、その辺は成功率の関係もあって、それほど極端にそちらによる形にはならないようです。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nepela Memorial 1 4Lz+3T   15.70   3.45 19.15 3.000
Nepela Memorial 2 4T   9.50   2.66 12.16 2.286
Nepela Memorial 3 FCSp4   3.20   0.64 3.84 1.857
Nepela Memorial 4 3A   8.80 x 1.76 10.56 2.143
Nepela Memorial 5 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
Nepela Memorial 6 CSSp3   2.60   0.31 2.91 0.857
Nepela Memorial 7 CCoSp4   3.50   0.77 4.27 2.143
Nepela Memorial   TES   47.20   10.99 58.19  

ショートプログラムの最高基礎点は47.20でした。これは全体で4位のスコアで羽生結弦選手より上に行きます。スピンが一つレベル3ですが、これをレベル4に出来れば、基礎点は0.4上がって47.60になり、3位に並びます。加点はGOE満点の時に21.3まで出せるので、技術点の満点は68.90となります。PCSが各要素8.5点くらいまでで、ショートでは43点ほどまでなことを考えると、ショートで100点は出せる、110点は厳しい、105点くらいが今の限界目標値かな、という印象です。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Europe Championships 1 4Lz< 9.20   -0.92 8.28 -1.111
Europe Championships 2 4T   9.50   1.90 11.40 1.889
Europe Championships 3 4T+3T   13.70   2.71 16.41 2.889
Europe Championships 4 3F   5.30   1.29 6.59 2.556
Europe Championships 5 FCSp4   3.20   0.41 3.61 1.222
Europe Championships 6 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.444
Europe Championships 7 3A   8.80 x 2.29 11.09 2.778
Europe Championships 8 3Lz+3T   11.11 x 0.93 12.04 1.667
Europe Championships 9 3Lo+1Eu+3S   10.67 x 0.91 11.58 1.889
Europe Championships 10 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
Europe Championships 11 CSSp3   2.60   0.67 3.27 2.667
Europe Championships 12 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.778
Europe Championships   TES   84.48   13.62 98.10  

フリーの最高基礎点は84.48 これは全体7位のやはり高い基礎点です。

ルッツ回転不足が効いていて、ここだけで回転足りれば2.3基礎点を上げることができます。スピンのレベル3を4にするのと合わせると2.7 やりたいこと全部できた理想形で87.18の基礎点になります。そこまで行けば、上にいるのはネイサンチェン選手と羽生結弦選手の二人だけ、という領域になります。

 

2回飛ぶジャンプは四回転トーループと三回転トーループ。3T(4.2)を一つ2T(1.3)に下げて、3Lo(4.9)を3A(8.0にすれば、わずかに基礎点を上げることは出来ますが、難易度の上がり方と比べると損になるのでこのままでいい、というのは自然でしょうか。

コンビネーションを二つ1.1倍のところに入れています。ここに四回転からのコンビネーションが入ってくるようになるとさらに基礎点が上がるのですが、そのためには四回転の安定度をさらに上げる必要があるでしょうか。

四回転は二種類。もっと飛んでいそうな印象なのですが、トーループの次にルッツを入れていて、エッジ系ジャンプのサルコウは入っていません。3種類目をこの先入れていくのか、今の完成度を上げていくのか。

上二人がすごすぎるのでかすんでしまう部分がありますが、この構成で十分すごいですので、これより基礎点を上げることを考えるより、この構成で完成度を上げる、成功率を上げることを考える、というスタイルで、たぶん良いのだろうと思います。

 

●平均GOE+2.800以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy FS 1 4Lz   11.50   4.37 15.87 3.714
Nepela Memorial SP 5 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
Rostelecom Cup SP 1 3Lz+3T   10.10   2.02 12.12 3.333
Europe Championships FS 10 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
Lombardia Trophy FS 3 4T+3T   13.70   2.85 16.55 3.000
Nepela Memorial SP 1 4Lz+3T   15.70   3.45 19.15 3.000
Nepela Memorial FS 1 3Lz   5.90   1.77 7.67 3.000
Europe Championships SP 5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Skate America SP 4 3A   8.80 x 2.40 11.20 2.889
Skate America SP 5 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
Rostelecom Cup FS 1 3Lz   5.90   1.69 7.59 2.889
Grand Prix Final FS 1 4Lz   11.50   3.29 14.79 2.889
Europe Championships FS 3 4T+3T   13.70   2.71 16.41 2.889
Lombardia Trophy SP 5 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Nepela Memorial FS 6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 2.857

アリエフ選手の中で、今シーズン一番評価の高い要素は、なんと四回転ルッツでした。一番難しい技が一番加点も高いという、なかなか珍しいことが起きています。

上位にあるのはジャンプとステップ。スピンが苦手なのはここにもはっきり表れていて、GOEが3に達したことがシーズン通じでありませんでした。

トリプルアクセルよりも四回転の方が評価が高い傾向があります。これは、要素順の兼ね合いで先に飛ぶ方に集中力、エネルギーを投入出来て四回転の評価の方が高くなるのか、アクセルというジャンプがそれほど得意ではないためか、どちらかはわかりません。

アリエフ選手はシーズン通じて平均GOEが+4に達した要素がありませんでした。この辺が、上二人、あるいはいい時の宇野選手あたりとの差になっています。基礎点は上と勝負できる領域にいるのですが、出来栄え勝負で負けている、という状態です。

 

 ●四回転ルッツ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy SP 1 4Lz   11.50   -5.75 5.75 -4.571
Lombardia Trophy FS 1 4Lz   11.50   4.37 15.87 3.714
Nepela Memorial SP 1 4Lz+3T   15.70   3.45 19.15 3.000
Skate America SP 1 4Lz+3T   15.70   3.29 18.99 2.778
Grand Prix Final SP 1 4Lz+2T   12.80   1.31 14.11 1.222
Grand Prix Final FS 1 4Lz   11.50   3.29 14.79 2.889
Europe Championships SP 1 4Lz<+3T 13.40   -0.53 12.87 -0.444
Europe Championships FS 1 4Lz< 9.20   -0.92 8.28 -1.111

今シーズン四回転ルッツは8回飛んで、回転不足が2回、回転足りた転倒が1回、あとの5回は成功ジャンプでした。四回転ルッツが成功率5/8はかなりすごいという印象です。

ショートでは4回コンビネーションで飛んでいます。現在までの最高基礎点4Lz-3Tを2度成功させ、GOE+3も得ています。

 

●四回転のトーループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy SP 2 4T+2T   10.80   0.38 11.18 0.571
Lombardia Trophy FS 2 4T   9.50   -3.23 6.27 -3.429
Lombardia Trophy FS 3 4T+3T   13.70   2.85 16.55 3.000
Nepela Memorial SP 2 4T   9.50   2.66 12.16 2.286
Nepela Memorial FS 2 4T   9.50   -4.75 4.75 -5.000
Nepela Memorial FS 3 4T+REP   6.65   -3.04 3.61 -3.286
Skate America SP 2 4T   9.50   -0.14 9.36 -0.111
Skate America FS 2 4T   9.50   2.58 12.08 2.667
Skate America FS 3 4T+3T   13.70   1.36 15.06 1.444
Rostelecom Cup SP 2 4T   9.50   1.49 10.99 1.667
Rostelecom Cup FS 3 4T+3T   13.70   2.58 16.28 2.667
Rostelecom Cup FS 4 4T   9.50   1.22 10.72 1.222
Grand Prix Final SP 2 4T   9.50   1.22 10.72 1.222
Grand Prix Final FS 2 4T   9.50   -4.61 4.89 -4.667
Europe Championships SP 2 4T   9.50   2.44 11.94 2.444
Europe Championships FS 2 4T   9.50   1.90 11.40 1.889
Europe Championships FS 3 4T+3T   13.70   2.71 16.41 2.889

4回転トーループはシーズン通じて17回飛びました。回転不足はなし。ただ、抜けて2回転になったこと、3回転になったことは1回づつあります。

コンビネーションにしようとしたのは6回。1回はセカンド入らずにリピート扱いに。1回はセカンドがトーループ二。セカンド3回転までついた意図通りの成功ジャンプは4/6あります。

単独の四回転トーループの成功率は案外高くなくて、11回のうち4回がGOEマイナスです。フリーの二つ目に飛ぶ要素としての4Tで3回失敗しています。四回転ルッツの次の要素、という位置が負荷高いのでしょうか。

 

アクセルジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy SP 4 3A   8.80 x 0.80 9.60 1.000
Lombardia Trophy FS 7 3A   8.80 x 1.92 10.72 2.429
Nepela Memorial SP 4 3A   8.80 x 1.76 10.56 2.143
Nepela Memorial FS 7 3A< 7.04 x -0.77 6.27 -1.143
Skate America SP 4 3A   8.80 x 2.40 11.20 2.889
Skate America FS 7 1A   1.21 x -0.05 1.16 -0.444
Rostelecom Cup SP 4 3A   8.80 x 0.46 9.26 0.444
Rostelecom Cup FS 7 3A   8.80 x 1.37 10.17 1.667
Grand Prix Final SP 4 3A   8.80 x 0.69 9.49 1.000
Grand Prix Final FS 7 3A< 7.04 x -2.19 4.85 -3.444
Europe Championships SP 4 3A< 7.04 x -1.37 5.67 -2.222
Europe Championships FS 7 3A   8.80 x 2.29 11.09 2.778

アクセルジャンプは12回飛んで1回は1回転に、3回が回転武装で、あとの8回がGOEプラスの成功ジャンプです。成功率は8/12 四回転とあまり変わりありません。

すべて1.1倍のところで飛んでいるのですが、コンビネーションにはしていません。ショートは当然ですが、フリーでコンビネーションにしていないのは、する価値がないからというだけなのか、あまり得意でないからなのか。

世界のトップ点くらいだと、四回転含めこれくらいの成功率あれば十分。

一方、上二人と戦うこと、世界の表彰台上ることを考えると、もう少し高い確率が必要になるんでしょうか。

 

●三連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nepela Memorial FS 9 3Lo+1Eu+3S   10.67 x 0.20 10.87 0.429
Skate America FS 9 3Lo+1Eu+3S   10.67 x 0.70 11.37 1.333
Rostelecom Cup FS 8 3Lz*+1Eu+3S * 5.28 x 0.18 5.46 0.333
Grand Prix Final FS 9 3Lo+1Eu+3S< 9.72 x -0.77 8.95 -1.556
Europe Championships FS 9 3Lo+1Eu+3S   10.67 x 0.91 11.58 1.889

3連続ジャンプは3-1-3の構成。基本はループからなようです。ロステレコム杯でルッツから入れたのは完全に失敗。3Lzが、3種類目の2回飛ぶジャンプになってノーカウントにされました。ただ、ルール上のノーカウントであって、ジャンプ自体は飛べています。

このレベルの選手から見たら、難易度はそれほど高くない構成で、5回飛んで4回はちゃんと成功させています。ファイナルは、たぶんこの辺では精神的に折れていた段階だと思うので、あまり参考にはならないでしょうか。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy SP 5 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Lombardia Trophy FS 6 ChSq1   3.00   1.30 4.30 2.429
Lombardia Trophy FS 10 StSq4   3.90   0.70 4.60 1.857
Nepela Memorial SP 5 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
Nepela Memorial FS 6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 2.857
Nepela Memorial FS 10 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
Skate America SP 5 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
Skate America FS 6 ChSq1   3.00   0.86 3.86 1.667
Skate America FS 10 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.444
Rostelecom Cup SP 5 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.556
Rostelecom Cup FS 6 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
Rostelecom Cup FS 10 StSq4   3.90   0.84 4.74 2.111
Grand Prix Final SP 5 StSq3   3.30   0.00 3.30 0.000
Grand Prix Final FS 6 ChSq1   3.00   0.79 3.79 1.444
Grand Prix Final FS 10 StSq4   3.90   0.33 4.23 0.889
Europe Championships SP 5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Europe Championships FS 6 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.444
Europe Championships FS 10 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333

ステップとコレオは本人比で普通くらいの評価です。GOEは+2台が多く、良い時は+3まで乗ってきます。

レベルは4の方が多め。レベル4率がステップの方がスピンより高い、という珍しい選手です。レベル4でGOE+3を獲っておけば、上位との差は付きません。

 

●レベル4のスピン

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy SP 3 FCSp4   3.20   0.51 3.71 1.571
Lombardia Trophy SP 7 CCoSp4   3.50   0.49 3.99 1.286
Lombardia Trophy FS 5 FCSp4   3.20   0.32 3.52 1.000
Lombardia Trophy FS 12 CCoSp4   3.50   0.56 4.06 1.571
Nepela Memorial SP 3 FCSp4   3.20   0.64 3.84 1.857
Nepela Memorial SP 7 CCoSp4   3.50   0.77 4.27 2.143
Nepela Memorial FS 5 FCSp4   3.20   0.64 3.84 2.143
Nepela Memorial FS 12 CCoSp4   3.50   0.98 4.48 2.714
Skate America SP 3 FCSp4   3.20   0.50 3.70 1.444
Skate America SP 6 CSSp4   3.00   0.51 3.51 1.667
Skate America FS 5 FCSp4   3.20   0.59 3.79 1.889
Skate America FS 12 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
Rostelecom Cup SP 3 FCSp4   3.20   0.55 3.75 1.778
Rostelecom Cup SP 6 CSSp4   3.00   0.56 3.56 1.667
Rostelecom Cup FS 5 FCSp4   3.20   0.46 3.66 1.333
Rostelecom Cup FS 12 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
Grand Prix Final SP 7 CCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.667
Europe Championships SP 3 FCSp4   3.20   0.59 3.79 1.889
Europe Championships SP 6 CSSp4   3.00   0.43 3.43 1.333
Europe Championships SP 7 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.444
Europe Championships FS 5 FCSp4   3.20   0.41 3.61 1.222
Europe Championships FS 12 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.778

スピンはレベル4のものだけ並べました。

トップ選手としては、スピンのレベル4率は低めです。また、加点もあまり取れていません。GOEで+3をシーズン通じてスピンで超えたことがない、というのは上位選手ではあまり聞きません。

 

 

日本にいると分かりにくいのですが、アリエフ選手は今シーズン大躍進のシーズンだったと言えます。初のグランプリ表彰台。それも2戦連続。ショートプログラムでは100点スコアラーの仲間入り。そして初のファイナル進出。

ロシアの国内選手権も初制覇。さらにヨーロッパ選手権も初優勝。

 

たぶん、ファイナルの印象が強すぎるのと、ノーミス試合がなく高い基礎点を確保しての高スコアで勝つ、という形なので、良い形のインパクトが伝わってこないため、というのもあると思います。

それでも、今の段階でも世界の表彰台は争って来る位置にいる選手ですし、もう一種類四回転が入って、全体の完成度が上がれば、300点が見える選手でもあります。

 

年齢的にはネイサンチェン選手と同じ二十歳のシーズンでした。羽生選手はもちろんのこと、宇野選手よりも年下。日本の上位選手で言えば、山本草太選手と同じ学年に当たります。

女子は知りませんが、男子シングルの二十歳はまだまだ若い。

この先、スピンの苦手が克服されるのかはわかりませんが、表現面は年齢を経て成長をしていくでしょうし、滑りの印象も変わっていくのかもしれません。

 

フェルナンデスさんの引退後、最初のヨーロッパチャンピオンとなりました。

現在の男子フィギュア界は、あまりにもアジア太平洋地域に勢力図が偏ってしまっています。

それと戦うヨーロッパ勢の顔、ロシア勢の顔として、来シーズン以降も期待したいと思います。