22-23 イザボーレビト

2007年3月3日生まれ

シニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$63,000

世界ランキング:5位

シーズンランキング:2位

シーズンベストスコア 215.74(6位)MK John Wilson Trophy

ショートプログラムシーズンベスト 73.03 世界選手権

フリーシーズンベスト 143.68  MK John Wilson Trophy

ショートプログラム楽曲:Una noche más

フリープログラム楽曲:Dulcea Si Tandra Mea Fiara

スピンレベル4率 39/51 = 76.5%(国際大会:33/45 = 73.3%)

ステップレベル4率 15/17 = 88.2%(国際大会:13/15 = 86.7%)

スピンオールレベル4 3/8 (国際大会2/7)

スピンステップオールレベル4  3/8 (国際大会:2/7)

ジャンプ要素回転不足率 6/83=7.23% (国際大会:6/73 = 8.22%)

ジャンプ回転不足なし 4/8 (国際大会 3/7)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 2/8(国際大会:1/7)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
IC Philadelphia International 1 207.67 70.72 136.95
CS Ondrej Nepela Memorial 1 198.99 65.37 133.62
GP Skate America 2 206.66 71.30 135.36
GP MK John Wilson Trophy 2 215.74 72.06 143.68
GPF Grand Prix Final 2 197.23 69.26 127.97
NC US Championships 1 223.33 73.78 149.55
4CC Four Continents - 71.50 71.50  
WC World Championships 4 207.65 73.03 134.62
WT World Team Trophy 3 213.87 71.22 142.65

昨シーズンの世界ジュニアチャンピオン、イザボーレビト選手は今シーズンからシニアに上がりました。初戦は8月頭からアメリカ国内のB級大会に出て、まずはあいさつ代わりとばかりに207.67を出して軽く優勝します。

チャレンジャーシリーズはオンドレイネペラメモリアル。ここではスコアはそれほど伸びませんでしたが優勝。チャレンジャーシリーズ初優勝となります。

平均年齢がやたら上がった今シーズンのグランプリシリーズ。期待の若手として臨んだスケートアメリカは坂本選手にかなわず2位。ショートフリーと2位に入り、坂本選手にあこがれ目線を向けながらの記者会見となりました。

2戦目はMKジョンウィルソン杯。ショート72.03で2位。フリーは143.68とパーソナルベスト更新でトータル215.74 これは初優勝なったか、とも思われましたが、ショート首位の三原選手に逃げ切られ2位に終わりました。

2位2つでファイナルへ。シーズンベストが僅差な6人での勝負なのでレビト選手もいきなり優勝のチャンスもあるという試合。ショートでコンビネーションがqで69.29 悪くない滑りでしたがこれでも5位。3位と4.98差。ループジャンプ1本分くらいの差がある中でのフリーは最後のフリップからのコンビネーションで転倒し127.97で終わり、これは表彰台はないな、と点が出た時点では思われたのですが、後続の選手が次々と崩れて行って、結果として4位と1.22差、3位とは0.88差の2位表彰台となりました。

 

シーズン後半、全米選手権は今シーズンの流れだと優勝候補本命として臨む形になりました。ショートは2位と0.02差の僅差で首位。プレッシャーのかかるフリー最終滑走でしたがこれを全要素プラス評価のノーミスで滑り、トータル223.33で優勝。全米チャンピオンの座につきました。

間1週のハードスケジュールで4大陸選手権。ショートは71.50と2位スタートでしたがフリーは棄権。コロラドの高地でダメージ受けてしまったでしょうか。

世界選手権、ちゃんと出てくるんだろうか、みたいな心配もされたのですが、問題なかったようでしっかり来日。アメリカのエースとして表彰台を目指しつつ3枠確保もしたいという試合になります。ショートは73.03で4位。3位と0.43差という僅差。グランプリファイナルと似た試合展開。フリーは3人残して出てきてここで首位には立っておきたい、最低ターゲットスコアは137.40 ノーミスなら140点を出せるのでチャンスはあったのですが、冒頭ルッツで転倒。そのままコンビネーションが付けられないまま1つ余らせリカバリーできず134.62で終わりトータル207.65 この時点で2位。最終順位も4位に終わり、表彰台はなりませんでした。また、アメリカ3枠も確保できない形となりました。

 

今シーズンは締めくくりが国別対抗戦でした。アメリカ強かったですが、レビト選手もそこに貢献します。ショートは3位、フリーは4位。お祭り試合を楽しんで今シーズンは終わりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Philadelphia International 207.67 108.73 98.94 64.23 7.49 21.90 15.11
Ondrej Nepela Memorial 198.99 104.90 94.09 66.05 1.72 22.87 14.26
Skate America 206.66 105.03 101.63 62.07 4.42 24.30 14.24
MK John Wilson Trophy 215.74 112.25 103.49 65.97 7.25 24.94 14.09
Grand Prix Final 197.23 100.80 97.43 61.97 0.59 23.73 14.51
US Championships 223.33 117.42 105.91 65.97 9.60 26.06 15.79
Four Continents 71.50 39.43 33.07 19.71 2.99 11.55 5.18
World Championships 207.65 105.88 102.77 61.07 4.43 25.38 15.00
World Team Trophy 213.87 110.59 103.28 64.07 5.45 25.89 15.18

スコアは基本的に200点を超えますが、190点台が2試合ありました。全米の223点の次はMKジョンウィルソン杯の215.74があります。今シーズン6位のスコアでした。

技術点は100点台ですが110点台まで乗せた試合もあります。112.25のMKジョンウィルソン杯のスコアは今シーズン10位相当です。

PCSはシニア1年目で序盤は伸びていませんでしたがグランプリシリーズから100点台に乗せています。ここもMKジョンウィルソン杯が103.49 今シーズン5位にあたるスコア。今シーズンのシニア5強のなかでは1番低くなっていました。

ジャンプの基礎点は60点台には常に乗っていて、オンドレイネペラメモリアルの66.05が最高です。これはそれほど高いスコアではないですが、坂本選手、ヘンドリックス選手あたりよりは上の基礎点にはなっていました。

ジャンプの加点はフィラデルフィアの7.49が最高です。二桁までは獲れませんでした。グランプリファイナルはミスの多い試合ではありましたがそれでもプラスは確保しています。

スピンは最初の2戦は22点前後で低かったですが、グランプリシリーズに24点台に上がり、終盤は25点台を出しました。国別の25.89はシーズン5位のスコアになります。

ステップ系要素は15点台を多く並べています。これも国別の15.18が本人比のベストで,

シーズン5位のスコアとなっています。

突出して高い要素はないのですが、ジャンプ以外はシーズン5位の位置にいて、穴無くスコア稼ぐ形でした。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Philadelphia International 67.38 63.72 71.52 56.24 69.70 64.94
Ondrej Nepela Memorial 64.51 65.49 59.71 59.48 65.87 61.41
Skate America 67.04 61.61 65.24 64.25 65.78 66.89
MK John Wilson Trophy 70.04 65.41 71.03 66.39 65.10 68.24
Grand Prix Final 63.93 61.51 57.40 62.35 67.00 63.84
US Championships 72.55 65.41 75.84 70.13 72.76 70.00
World Championships 67.37 60.63 65.26 67.86 69.20 67.72
World Team Trophy 69.42 63.56 67.35 69.56 70.01 68.09

偏差値で見るとトータルスコアは60台が主ですがMKジョンウィルソン杯で70に乗りました。

ジャンプの基礎点は60台前半が多いですがいい時は60台半ばまで出ます。

ジャンプの加点は偏差値70台に乗せる試合もありました。

スピンも60台後半。ステップ系要素も60台後半で国別では70.01と70に乗っています。

PCSも60台後半。全体的に満遍なく偏差値60台後半という、バランスの取れた選手です。

22-23シーズン イザボーレビト選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートで見ると、全米選手権がジャンプの基礎点はいつもと変わらないまま他の評価がやたら高くなっているのでバランス崩れています。

世界選手権はジャンプがやや凹み、MKジョンウィルソン杯はステップがやや凹み、グランプリファイナルはステップだけ伸びていてと、バランスよく全要素で60台後半の偏差値を持っているのだけど、実はどの試合もどこかが欠けていて、トータルバランス全部いい方に出た試合というのは無かった、強いて言えば全米だけだった、というのがレーダーチャートに表れているように見えます。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○4大陸選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F   5.30   1.21 6.51 2.222
2 2A   3.30   0.94 4.24 2.778
3 FSSp4   3.00   0.51 3.51 1.667
4 3Lz+3T   11.11 x 0.84 11.95 1.444
5 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
6 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.222
7 LSp4   2.70   0.89 3.59 3.111
  TES   32.81   6.62 39.43  

フリー棄権した4大陸選手権がショートの最高基礎点構成というのは皮肉です。世界選手権でも基礎点32.81を出していましたが、スコアは4大陸の方が上でした。

コンビネーション1.1倍に入れて単独はフリップということでジャンプは高い構成になっています。スピンであと0.20上げることがショートでは可能なので33.01までジャンプはこのまま出すことができます。32.81は今シーズン5位タイの基礎点。上にスピンの基礎点が高い坂本選手やヘンドリックス選手がいます。この基礎点構成の場合、GOE満点だと技術点は46.61になり、PCS加味して86.61満点となります。

レビト選手の場合はセカンドループが使えるので3Lz+3Loにすることで基礎点を上げることが可能です。1.1倍は3Fにしたとして、この構成から0.22基礎点を上げることができます。セカンドループを冒頭に入れるのと、セカンドトーループを1.1倍に入れるのと、どちらの成功率が高いか? という比較になってきます。

3Lz+3Loを1.1倍に入れるなら、ここから0.77基礎点が上がって33.58にまでなります。実際、シーズン序盤は3Lz+3Loを構成に入れていましたので、来期はそういう構成になってくる可能性もあります。

 

○MKジョンウィルソン杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3Lo   10.80   0.34 11.14 0.556
2 3T   4.20   1.20 5.40 2.778
3 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
4 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.444
5 3F! ! 5.30   0.38 5.68 0.556
6 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.778
7 2A   3.63 x 0.80 4.43 2.444
8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.18 12.95 2.000
9 3F!+2T ! 7.26 x 0.00 7.26 0.000
10 FCSp4   3.20   0.91 4.11 2.889
11 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
12 FCCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.556
  TES   63.36   10.82 74.18  

フリーの最高基礎点はMKジョンウィルソン杯で63.36がありました。レビト選手は結構な謎構成で、冒頭に3Lz+3Loというセカンドループを入れながら、次に単独で3Tを飛ぶという。これだとセカンドループがまるっきり生きていないです。セカンドトーループが飛べないならありなのですが、ショートでは1.1倍に3Lz+3Tを入れているわけで、基本的には跳べるはずです。この構成がよくわかりません。

2回飛ぶジャンプはルッツとフリップ。3連続にサルコウ入れてダブルアクセルを単独で2回飛ぶのもわかるようでわからない構成です。

シークエンスの利用は無し。シークエンス入れるとまた構成変わって基礎点を上げられるのですが、世界選手権で冒頭ルッツ転倒後コンビネーションのリカバリーないまま終わってしまったりと、コンビネーションが苦手な感じが見えるので、その辺触るのが基礎点さらに上げる手になるかもしれません。

この構成はGOE満点の時に技術点は89.51まで出るのでPCS加味して169.51満点となります。

 

○平均GOE3.500以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
US Championships FS 4 CCoSp4   3.50   1.50 5.00 4.222
US Championships FS 11 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
US Championships SP 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
World Championships SP 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
World Team Trophy FS 10 FCSp4   3.20   1.28 4.48 3.889
MK John Wilson Trophy FS 11 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
US Championships FS 6 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.778
US Championships FS 12 FCCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
World Team Trophy SP 7 LSp4   2.70   1.00 3.70 3.778
Skate America SP 6 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.667
World Team Trophy FS 4 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 3.667
Philadelphia International FS 11 StSq4   3.90   1.48 5.38 3.571
Philadelphia International FS 4 CCoSp3   3.00   1.14 4.14 3.571
Philadelphia International FS 12 FCCoSp3   3.00   1.14 4.14 3.571
World Team Trophy FS 11 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
MK John Wilson Trophy FS 12 FCCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.556
Grand Prix Final FS 4 CCoSp3   3.00   1.03 4.03 3.556
Skate America SP 7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556
MK John Wilson Trophy SP 7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556
US Championships SP 7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556

平均GOE+4.000以上は全米選手権だけでした。平均GOE3台後半は多数の要素があります。

評価が高いのはステップ。国際大会でのGOE最高は世界選手権のショートのステップと国別フリーのフライングキャメルスピンで+3.889でした。

他もスピンとステップは高評価がありますが、ジャンプはリストに入ってきません。ジャンプの最高評価はスケートアメリカとMKジョンウィルソン杯でダブルアクセルトリプルフリップが2つづつ+3.000がありました。

 

○3回転-3回転

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Philadelphia International SP 4 3Lz+3Lo   11.88 x 1.06 12.94 1.857
Ondrej Nepela Memorial SP 4 3Lz+3Lo< 10.80 x -1.42 9.38 -2.143
Ondrej Nepela Memorial FS 1 3Lz+3Lo   10.80   1.06 11.86 1.714
Ondrej Nepela Memorial FS 8 3Lz+3T< 10.19 x -2.48 7.71 -4.000
Skate America SP 4 3Lz+3Lo< 10.80 x -1.01 9.79 -1.778
Skate America FS 8 3Lz+3Tq q 11.11 x -1.52 9.59 -2.667
MK John Wilson Trophy SP 4 3Lz+3T   11.11 x 1.26 12.37 2.222
MK John Wilson Trophy FS 1 3Lz+3Lo   10.80   0.34 11.14 0.556
Grand Prix Final SP 4 3Lz!+3Tq ! 11.11 x -1.60 9.51 -2.444
Grand Prix Final FS 1 3Lz+3Lo   10.80   -1.52 9.28 -2.667
US Championships SP 4 3Lz+3T   11.11 x 0.93 12.04 1.667
US Championships FS 1 3Lz+3Lo   10.80   0.84 11.64 1.444
Four Continents SP 4 3Lz+3T   11.11 x 0.84 11.95 1.444
World Championships SP 4 3Lz+3Tq q 11.11 X -0.34 10.77 -0.444
World Team Trophy SP 4 3Lz+3T< 10.19 X -1.10 9.09 -1.778
World Team Trophy FS 1 3Lz+3Lo< 9.82   -1.52 8.30 -2.556

3回転-3回転はショートで3Lz+3Tを1.1倍に、フリーでは3Lz+3Loを冒頭にというのが基本です。

3Lz+3Loは今季8回構成に入っていて、ループのアンダーローテーションが3回あり、それ以外でGOEマイナスになったのが1回あるので、GOEプラスの成功は4回。成功率5割に見えますが、実際にはルッツで転倒というのがあるので5割を切ります。

3Lz+3Tは8回構成に入っていてトーループのアンダーローテーションが2回、それ以外のGOEマイナスが3回なのでGOEプラスの成功は3回。これも成功率5割を切りました。

コンビネーションの成功率アップが来期に向けた課題になっているでしょうか。

なお、今シーズンセカンド3Loを構成に入れた選手は何人か入れましたが、国際大会でGOEプラスの成功をした選手は2人だけ。複数回成功させたのはレビト選手のみで、フィラデルフィアインターナショナルの平均GOE+1.857が全体最高の3Lz+3Loでした。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Philadelphia International FS 8 3Lz!+1Eu+3Sq ! 11.77 x -1.30 10.47 -2.000
Ondrej Nepela Memorial FS 9 3F!+2T+2Lo ! 9.13 x -0.42 8.71 -0.714
Skate America FS 9 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.83 9.96 1.444
MK John Wilson Trophy FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.18 12.95 2.000
Grand Prix Final FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.76 12.53 1.111
US Championships FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.84 12.61 1.333
World Championships FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 1.01 12.78 1.667
World Team Trophy FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 1.18 12.95 2.000

3連続ジャンプは基本的には3つ目サルコウ型です。ただ、シーズン序盤に2回転2つ型も試みていました。

初戦は3つ目サルコウ型で!とqがついてGOEマイナス、フリップ!で2戦目もGOEマイナスですが、他はプラス評価です。3連続ジャンプの成功率は高かったです。

 

今シーズンシニアデビューのレビト選手はグランプリファイナルで2位と結果を残し、また、全米チャンピオンの座にもつきました。ただ、4大陸や世界選手権では表彰台を確保できず。いいシーズンだったと取るか、あと一歩と取るか、何とも言い難いです。

来期は17歳になるシーズン。17歳は世界で勝つのに最適な時期説、というのを立証してくれると面白いのですが、どうなるでしょうか?