羽生結弦 19-20

1994年12月7日生まれ

シニア10シーズン目

 

所属: ANA

スポンサー関連:ANA 味の素 ファイテン 西川 他

CM:ガーナチョコレート ロッテガム 雪肌精 他

シーズン獲得賞金:$75,000

世界ランキング:2位

シーズンランキング:1位

シーズンベストスコア 322.59(2位) スケートカナダ

ショートプログラムシーズンベスト 111.82 四大陸選手権

フリーシーズンベスト 212.99 スケートカナダ

ショートプログラム楽曲: Otoñal  → バラード1番

フリープログラム楽曲: Origin → SEIMEI

スピンレベル4率 36/36=100.0%

ステップレベル4率 8/12=66.7%(国際試合7/10=70.0%)

スピンオールレベル4 6/6

スピンステップオールレベル4 2/6(国際試合2/5)

ジャンプ回転不足率  10/60=16.7%(国際試合7/50=14.0%)

ジャンプ回転不足なし試合 1/6(国際試合1/5)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/6

 

 ●羽生結弦選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
CS Autumn Classic 1 279.05 98.38 53.03 46.35 180.67 90.97 89.70
GP Skate Canada 1 322.59 109.60 61.13 48.47 212.99 116.59 96.40
GP NHK Trophy 1 305.05 109.34 61.23 48.11 195.71 101.57 94.14
GPF Grand Prix Final 2 291.43 97.43 50.10 47.33 194.00 100.36 93.64
NC 全日本選手権 2 282.77 110.72 62.33 48.39 172.05 83.33 89.72
4CC Four Continents 1 299.42 111.82 63.42 48.40 187.60 97.32 91.28

羽生選手は今シーズン国際大会5試合プラス全日本で6試合言出場しました。

例年通りのスケジュール、初戦はオータムクラシックです。279.05というのは羽生選手としてはあまりよくないですが、いつも初戦はそれほどよくないので、まあ、こんなもんですかね、といったところ。

グランプリシリーズに入ると本領発揮。実は勝っていなかったスケートカナダ。ここで322.59というビッグスコアを出して優勝します。メンバー的には、どうやっても勝つでしょ、と外野は思う試合でしたが、本人的には、なぜか勝てないというジンクス的なもののある大会。アクセル踏み切っちゃいましたでしょうか。

久しぶりの登場となったNHK杯も300点越えのスコアでしっかり勝ちます。

 

そしてシーズン中盤の山場、グランプリファイナル。ネイサンチェン選手との一騎打ちという構図でしたが、ショートで崩れてしまって結果的には大敗。ただ、点差ほどの差は感じていないと本人も言っていましたでしょうか。見ていても、確かに、点差ほどの差は感じない、というのはありました。

全日本も久しぶりの登場となりました。これは今シーズンの調子からするとしっかり勝つのかな、と思ったこの試合はフリーで大崩れして宇野選手に敗北。連戦の疲れも見受けられましたが、宇野選手との直接対決での初めての敗戦となりました。

 

年が明けて四大陸選手権。もうこれは出なくていいんじゃ? と思ったりしますが、獲ってないビッグタイトルはこれだけ、とのことで取りに行き、プログラムもオリンピックと取った時のものにショートフリー共に変更。ショートで111.82のワールドレコード。フリーは伸びませんでしたがしっかりと勝ち、スーパースラムを達成しました。

 

世界選手権が中止となったため、ここでシーズン終了となりました。

 

 ●羽生結弦選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS Autumn Classic 1 279.05 144.00 136.05 102.71 25.88 15.41
GP Skate Canada 1 322.59 177.72 144.87 136.16 26.49 15.07
GP NHK Trophy 1 305.05 162.80 142.25 120.36 26.26 16.18
GPF Grand Prix Final 2 291.43 150.46 140.97 109.14 26.50 14.82
NC 全日本選手権 2 282.77 145.66 138.11 103.99 26.47 15.20
4CC Four Continents 1 299.42 160.74 139.68 119.28 26.09 15.37

要素別を見ると、技術点の方が演技構成点より高いのは当然ですが、演技構成点も常に高いレベルにあります。スケートカナダの144.87は今シーズンの全選手中最高点です。

ジャンプは一番悪い時でも100点を超えてきます。136.16はネイサンチェン選手に次いで今シーズン2番目です。

スピンは26点台。これが他の要素よりやや落ちて、今シーズン全体で6位。上に5人います。

ステップ系要素はNHK杯で16.18という高いスコアを上げています。ただ、これでも全選手中3位。

ジャンプ、スピン、ステップ、すべてにおいてベストスコアはネイサンチェン選手に今シーズン負けていました。

 

 ●羽生結弦選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Autumn Classic 1 69.07 69.47 54.67 67.06 68.94 68.95
Skate Canada 1 80.17 74.60 86.44 68.96 67.33 74.30
NHK Trophy 1 75.70 67.63 80.24 68.24 72.57 72.71
Grand Prix Final 2 72.23 65.35 70.66 68.99 66.15 71.93
全日本選手権 2 70.02 68.38 58.38 68.90 67.95 70.20
Four Continents 1 74.26 71.61 71.19 67.71 68.75 71.15

偏差値に直すと、スケートカナダのトータルスコアは80に乗りました。

ジャンプは崩れた時は基礎点の偏差値が60台半ばまで下がってきます。一方、しっかり決まった時は基礎点で75ほどまで、加点は偏差値80台後半まで伸びます。

スピンは60台後半。もうなんか、偏差値70乗らないと低い、みたいな水準にいますこの選手。

ステップはしっかりレベルを取り加点もよかったNHK杯で偏差値70に乗りました。

PCSは偏差値70台が標準です。

やはり、全選手の中で比べると、異常値レベルのハイスコアを持っているというのが偏差値並べると見えます。

 

 

羽生結弦スケート偏差値

レーダーチャートは、ジャンプのGOEが良い時は突出する、という点を取るときに必要な姿になっています。

ステップが、意外と凹む位置にあることが多いです。案外レベル4を取り損ねたりすることが多い要素だったりするためです。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
NHK Trophy 1 4S   9.70   3.74 13.44 3.889
NHK Trophy 2 3A   8.00   3.89 11.89 4.778
NHK Trophy 3 4T+3T   15.07 X 2.44 17.51 2.667
NHK Trophy 4 FCSp4   3.20   0.82 4.02 2.444
NHK Trophy 5 CSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
NHK Trophy 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
NHK Trophy 7 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
NHK Trophy   TES   46.37   14.86 61.23  

ショートプログラムの基礎点最高は46.37 これは全選手中5位です。飛ぶジャンプがサルコウトーループなので、ルッツを入れてくる選手はこれより上を作ることが普通に可能です。

この構成の時、全要素GOE満点が出た場合の加点は20.40 したがって、技術点満点は66.77になり、トータルスコアの満点は116.77となります。実際のスコアが109.34なので、極めて満点に近いスコアを出してきている、というのがわかります。

四大陸選手権でもそうなのですが、基礎点自体は他の選手がもっと高いものを持っているのですが、極めて高い完成度で、その構成での計算上の満点に近い得点までもっていく、というのは羽生選手のショートプログラムになっています。

  

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate Canada 1 4Lo   10.50   -0.15 10.35 0.000
Skate Canada 2 4S   9.70   3.05 12.75 3.333
Skate Canada 3 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
Skate Canada 4 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
Skate Canada 5 3Lz   5.90   2.19 8.09 3.778
Skate Canada 6 4T   9.50   3.94 13.44 4.111
Skate Canada 7 4T+1Eu+3F   16.83 x 4.07 20.90 4.333
Skate Canada 8 3A+3T   13.42 x 2.51 15.93 3.111
Skate Canada 9 3A+2T   10.23 x 1.37 11.60 1.556
Skate Canada 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.667
Skate Canada 11 FCSSp4   3.00   1.07 4.07 3.556
Skate Canada 12 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.444
Skate Canada   TES   92.98   23.61 116.59  

フリーの基礎点最高は92.98 これはネイサンチェン選手に次ぐ今シーズン2番目のスコアです。四回転は4本。四回転5本を回転不足なく入れているネイサンチェン選手には、さすがに基礎点段階では勝てません。ただ、コンビネーションをすべて1.1倍に入れるなど、高い基礎点になっていくような工夫は入っています。

二回飛ぶジャンプは四回転トーループトリプルアクセル。単独のトリプルルッツ以外は、すべてトリプルアクセルコンビネーション以上の難度というすごい構成です。

グランプリファイナルではルッツ入りの四回転5本を試していましたが、得意のトリプルアクセルが1回転半になるなどして、結果的に基礎点は伸びていません。やろうとしたことが全部できていた場合は基礎点100.37でネイサンチェン選手を上回ることになる可能性がありました。

 

●平均GOE+4.200以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate Canada SP 2 3A   8.00   4.00 12.00 4.889
NHK Trophy SP 2 3A   8.00   3.89 11.89 4.778
Grand Prix Final SP 2 3A   8.00   3.77 11.77 4.667
Four Continents SP 4 3A   8.80 x 3.77 12.57 4.667
Autumn Classic SP 2 3A   8.00   3.68 11.68 4.571
Skate Canada SP 1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
Skate Canada SP 6 StSq3   3.30   1.51 4.81 4.556
Four Continents SP 1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
Four Continents FS 3 3A   8.00   3.66 11.66 4.556
Four Continents FS 11 ChSq1   3.00   2.29 5.29 4.556
Four Continents SP 2 4T+3T   13.70   4.21 17.91 4.444
Skate Canada FS 7 4T+1Eu+3F   16.83 x 4.07 20.90 4.333
NHK Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
NHK Trophy FS 10 ChSq1   3.00   2.21 5.21 4.333
Grand Prix Final SP 6 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.333
Autumn Classic SP 3 4T+3T   15.07 x 3.99 19.06 4.286
Grand Prix Final SP 1 4S   9.70   4.16 13.86 4.222

平均GOEの高い評価、+4.000で切ってもあまりにも多すぎたので、+4.200という、多くの選手が取ったこともない水準で切ってみます。

上の方にはトリプルアクセルが並んでいるというのが非常に特徴的です。スケートカナダでは、9人いるジャッジのうち1人だけが+4で後は+5評価。低い評価一人は採点に使われず切られるので、得られた加点は+4.00であり、結果的に加点満額を得ました。ジャンプの加点満額というのは、現行ルールでは全選手中初になります。

トリプルアクセルの次には四回転サルコウが入ります。ステップコレオを一つづつ挟んで四回転トーループのコンビネーション。ショートプログラムで飛ぶのはこの三種類なわけですから、世界最高得点が出るのもうなづけます。

逆に、これも特徴的なのですが、スピンが一つもいません。まあ、+4.0にはスピンもいるので、苦手ということは全然言えないのですが、やはり相対的にはジャンプやステップよりもポイントが取れていないというか、加点が取れていないということになります。

また、全日本選手権の要素が表中に一つもありません。本人比で、全日本というのは、やはり全体的に出来が良くなかったんだな、というのがこの辺にも表れています。

 

●四回転のルッツとループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic FS 1 4Lo   10.50   -2.94 7.56 -2.571
Skate Canada FS 1 4Lo   10.50   -0.15 10.35 0.000
NHK Trophy FS 1 4Lo   10.50   1.65 12.15 1.556
Grand Prix Final FS 1 4Lo   10.50   4.05 14.55 3.778
Grand Prix Final FS 2 4Lz   11.50   3.94 15.44 3.222
Four Continents FS 1 4Lz   11.50   -3.78 7.72 -3.222
全日本選手権 FS 1 4Lo   10.50   -1.80 8.70 -1.333

四回転ルッツを今シーズン2回要素に入れましたが、成功1、失敗1となっています。ルッツが計算できるジャンプになると、ショートプログラムにも入れることができるようになっていって、さらに得点が上がる可能性がありますので、この先二シーズン、ポイントになる要素だと思います。

ループは5試合でフリー冒頭に飛んでGOEプラスは2回です。ただマイナスもそれほど大きくないので、失敗と前は言い難い。三回転のジャンプを入れた時と比べればおつりは来る点数は得ています。

三回転以下と異なり、四回転の場合は一番難しいのはループなのではないかとおもっているのですが、そのループで抜けもなく転倒もなく着氷し続けているのは羽生結弦選手しかいません。

 

●四回転サルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 1 4S< 7.76   -3.88 3.88 -5.000
Autumn Classic FS 2 4S   9.70   -2.72 6.98 -2.857
Skate Canada SP 1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
Skate Canada FS 2 4S   9.70   3.05 12.75 3.333
NHK Trophy SP 1 4S   9.70   3.74 13.44 3.889
NHK Trophy FS 2 4S   9.70   3.19 12.89 3.333
Grand Prix Final SP 1 4S   9.70   4.16 13.86 4.222
Grand Prix Final FS 6 4S   9.70   2.22 11.92 2.333
Four Continents SP 1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
Four Continents FS 2 4S   9.70   3.88 13.58 4.000
全日本選手権 SP 1 4S   9.70   4.30 14.00 4.000
全日本選手権 FS 2 4S   9.70   2.77 12.47 2.556

四回転サルコウはショートフリーで1回づつ飛んで、回転不足1、回転足りてのGOEマイナスが1で後の10回は成功ジャンプです。失敗したのは初戦のオータムクラシックのみ。基本的には成功率高い信用できるジャンプと言えそうです。

スケートカナダ四大陸選手権と2度、平均GOE+4.556という高い評価を得ました。これは今シーズンの全選手の四回転サルコウ中最高の評価です。

 

●四回転トーループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 3 4T+3T   15.07 x 3.99 19.06 4.286
Autumn Classic FS 6 4T< 7.60   0.46 8.06 0.571
Autumn Classic FS 7 4T<+1Eu+3S 13.64 x 0.46 14.10 0.571
Skate Canada SP 3 4T+3T   15.07 x 1.90 16.97 1.889
Skate Canada FS 6 4T   9.50   3.94 13.44 4.111
Skate Canada FS 7 4T+1Eu+3F   16.83 x 4.07 20.90 4.333
NHK Trophy SP 3 4T+3T   15.07 X 2.44 17.51 2.667
NHK Trophy FS 6 4T   9.50   2.71 12.21 2.889
NHK Trophy FS 8 4T+3T< 14.15 X -0.14 14.01 0.000
Grand Prix Final SP 3 4T+COMBO   10.45 x -4.75 5.70 -5.000
Grand Prix Final FS 7 4T+1Eu+3F< 15.66 x -2.31 13.35 -2.556
Grand Prix Final FS 8 4T+2T   11.88 x 1.90 13.78 1.889
Four Continents SP 2 4T+3T   13.70   4.21 17.91 4.444
Four Continents FS 7 4T+1Eu+3S   15.73 x -0.95 14.78 -0.889
Four Continents FS 8 4T< 8.36 x -3.80 4.56 -5.000
全日本選手権 SP 2 4T+3T   13.70   4.34 18.04 4.000
全日本選手権 FS 6 4T   9.50   -2.44 7.06 -2.111
全日本選手権 FS 7 4T+1Eu+3F< 15.66 X -1.76 13.90 -1.444

トーループは6試合で18回、ショートではコンビネーションジャンプ、フリーでは単独とコンビネーション一本づつ、という構成です。

回転不足が6回あります。意外と回転不足率が高い要素です。これはトーループが苦手、ということではなく、後半、あるいは後半に近い位置に来てから飛ぶ、ということによる体力的な面からの影響かと思われます。ショートでは六回飛んで回転不足は一度もありません。

3連続ジャンプを4回転トーループから飛ぶ、という選手は男子ではネイサンチェン選手と羽生結弦選手の二人しかいません。女子でトゥルソワ選手が飛んでいたりしますけど

四回転からの3連続でスケートカナダではGOE+4.333という驚異的な値をたたき出しています。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 2 3A   8.00   3.68 11.68 4.571
Autumn Classic FS 8 3A+2T   10.23 x 0.64 10.87 0.714
Autumn Classic FS 10 3A+3T< 12.50 x 0.00 12.50 0.143
Skate Canada SP 2 3A   8.00   4.00 12.00 4.889
Skate Canada FS 8 3A+3T   13.42 x 2.51 15.93 3.111
Skate Canada FS 9 3A+2T   10.23 x 1.37 11.60 1.556
NHK Trophy SP 2 3A   8.00   3.89 11.89 4.778
NHK Trophy FS 9 3A+1Eu+3S   14.08 X 2.74 16.82 3.222
Grand Prix Final SP 2 3A   8.00   3.77 11.77 4.667
Four Continents SP 4 3A   8.80 x 3.77 12.57 4.667
Four Continents FS 3 3A   8.00   3.66 11.66 4.556
Four Continents FS 9 3A+3T   13.42 x 2.74 16.16 3.556
全日本選手権 SP 3 3A   8.80 X 2.63 11.43 3.000
全日本選手権 FS 8 3A+3T< 12.50 X 0.46 12.96 0.444
全日本選手権 FS 9 3A< 7.04 X -3.20 3.84 -4.444

羽生選手と言えば何と言ってもトリプルアクセルだと思っているのは私だけなんでしょうか。

これが意外とミスが出ることもあって、全日本では回転不足があり、おーたむくらしっくや全日本ではコンビネーションの後ろで回転不足が出ました。

一方で、スケートカナダでは加点+4.0という実質満点評価を受けていたりもします。

今シーズンの要素としては入っていませんが、練習などでは見せている3A-3Aというシークエンス。かつて会見で、「羽生」と名のついた技を開発したいと思わないか? と問われて、そういうのどう答えていいんだか? みたいな反応を羽生選手がしていて、一般的にも、なんだその質問は? という感じだったりしましたが、私はもう、この3A-3Aみたいなものを、HanyuなりYuzuruなり、そんな俗称にしてしまえば? と思うくらいにトリプルアクセルが羽生選手のイメージになっています。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
Autumn Classic FS 4 StSq4   3.90   1.25 5.15 3.286
Autumn Classic FS 11 ChSq1   3.00   1.80 4.80 3.429
Skate Canada SP 6 StSq3   3.30   1.51 4.81 4.556
Skate Canada FS 4 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
Skate Canada FS 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.667
NHK Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
NHK Trophy FS 4 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
NHK Trophy FS 10 ChSq1   3.00   2.21 5.21 4.333
Grand Prix Final SP 6 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.333
Grand Prix Final FS 4 StSq3   3.30   1.18 4.48 3.667
Grand Prix Final FS 10 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
Four Continents SP 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.111
Four Continents FS 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 3.889
Four Continents FS 11 ChSq1   3.00   2.29 5.29 4.556
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.000
全日本選手権 FS 4 StSq3   3.30   1.27 4.57 3.333
全日本選手権 FS 10 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.667

ステップとコレオの評価も当然高いです。コレオの最高評価は四大陸選手権のGOE+4.556 ステップもやはり4.556がスケートカナダであります。ただ、ステップはレベル3が結構目立ちます。ステップはレベル4を安定して取るのがかなり難しいようですが、加点を増やすよりもレベルを安定して取る方が高い点数を安定して取るには求められそうです。

 

また、スピンが今シーズンレベル4率100%でした。スピンはステップと比べるとレベル4が取りやすい要素ではありますが、それにしても6試合に出て100%というのは素晴らしいことです。90%を超える選手は結構いますが100%はなかなかいません。

 

 

羽生選手も今シーズン途中に25歳になりました。シニアに上がって早くも10シーズンです。初めて四大陸選手権に出たのが2011年。初めて世界選手権に出たのが2012年。その頃から世界で戦い続けているメンバーは、もう何人も現役に残っていません。

何よりすごいのが、オリンピックで金メダルを取った後も戦い続けていること。それも、一つではなく、二つ取ってもまだ試合に出続ける。

女子のザギトワ選手のところで触れましたが、オリンピックで金メダルを取ってからもグランプリシリーズレベルの試合に出続ける選手は稀です。男子ではプルシェンコ選手が金メダル獲得後も現役は長く続けましたが、グランプリシリーズレベルの試合には出てきませんでした。

それが、6分間練習で激突して出血しても包帯巻いて試合に出る。足のケガがあっても次の試合に出てくる。そこまでできる精神構造っていうのはどうなっているんでしょう?

 

あと取っていないタイトルは、強いて言えばグランプリシリーズの全種類制覇というのがあります。浅田真央さんが成し遂げたもの。これが実はまだ結構遠くて、中国、フランスにスケートアメリカも獲ってません。その辺はほとんど出場がないんですね。スケートアメリカは12年に一度出ただけ、フランスは13年、中国は11年14年と2回。目指してなさそうですし、この先もNHK杯が固定で入ったりすると取りにもなかなか行けないのですが、そういう勲章は、一応まで手に入っていないものとしてあります。

 

今シーズンのプログラムは昨シーズンからの持越し。ショートがジョニーウィアーさん、フリーがプルシェンコさん。完成したプルシェンコさん、じゃなくて、完成したOriginを見たかったのですが、年越してからはプログラム変更、平昌オリンピックシーズンの二つに戻しました。

バラード1番はこれで何シーズン目カウントになるんでしょう。ずいぶん滑っている印象です。羽生選手の代表作ということにたぶんなるんでしょうけど、私の中ではショートはパリの散歩道の印象の方が強いんですが、少数派なんですかね。あれはもしかしたら、若いころ、挑戦者立ち位置だったからこそ似合ったプログラムだった部分もあるのかもしれませんので、復刻していま滑るというのは競技会でやるとちょっと違う感がでてしまうのかもしれません。

フリーのSEIMEIは羽生選手と言えばこれ、というプログラム。和の選択肢としてこういうのもあるんだな、というのも最初の時に感じました。女子だとSayuriとか蝶々夫人とかいった選択肢があったのですが、男子だとそれは選べない。という中でこれは新しいと思ったのですが、もう、ここまで来てしまうと、ほかの選手にとっては選択肢として選べないですね。かつて、ラフマニノフの2番を、浅田真央さんの次のシーズンにジュニア1年目の青木祐奈選手が選んだ時に、すごい度胸しているな、と思いましたが、あれはまだ、それ以前に数多くの選手が演じたプログラムでもありました。それに対してSEIMEIは羽生選手以前が知っている限りで無いので、SEIMEI=羽生結弦、な構図がある。つぎにSEIMEIを他の選手が選べるのは2030年頃でしょうか。この30年のオリンピックで滑りたいんです、と佐藤駿選手が挨拶に行く、なんてシーンもあったりして。それまでは、羽生ゆずれない、しか出来ないんだろうと思います。

 

羽生選手の話題としては四回転アクセルというのもあるでしょうか。

基礎点12.5 4回転ルッツより+1.0です。トリプルアクセルから+4.5 不思議なもので、ダブルアクセルからトリプルアクセルになると+4.7ですから、点の増え方が小さくなっています。ジャンプ高難度化でジャンプ依存の流れを止めたい、という意志がいくらかあるのだと思いますが、この傾向から考えると、得点としては4回転アクセルの習得を目指すのはそれほど得策とは思えません。それよりは四回転五種類や、セカンド3Loを入れていく方が得策です。

ただ、もはやそういうことではないんだろうな、というのは感じます。個人的には、四回転アクセルは見てみたいような、そこで無理するよりも完成度の高い演技を見ている方がいいような、微妙なところ

ただ、先行きの見通しとしては厳しくなってきたかなと感じます。おそらく、練習不足の時期が何か月かあったうえでシーズンが始まると、四回転アクセルに力を入れている時間はない。シーズン終盤になってくると、そういういったチャレンジジャンプを入れている余裕はない。そして、その次のシーズンになるとオリンピックなので、やはりチャレンジジャンプしている余裕はない。

ちょっと難しいんだろうな、と思いますけど、無理はしないでほしいですね。

 

最近は毎シーズンケガをしていて、シーズン中盤が休みになる傾向がありましたが、今シーズンは中盤の試合も出ずっぱり。NHK杯、ファイナル、全日本の2週おき3連戦は、日本のトップ選手がずっとやってきたことなのですが、今シーズンの羽生選手はここがうまく乗り切れませんでした。スケジュールのつくり方がひどい、という批判もあるようですが、本来の羽生選手なら調整可能だったと思います。ただ、最近はその流れがなかったので、うまく乗り切れなかった。今シーズンも結局世界選手権がなかったので、一シーズンしっかり滑りきるということ自体は出来ませんでしたが、調整までは済んでいた段階ですので、流れの感覚は取り戻せたと思います。

来シーズン、どの程度通常時と同じスケジュールになるかはわかりませんが、いつもと同じスケジュールで行けるなら、今度は問題なく3連戦も乗り切れるのではないかと思います。

 

来シーズン、新しいプログラムを用意するのか、何か復刻版で滑るのかわかりません。

ただ、北京で終わりだとすると、新しいものを導入できるのは来シーズンが最後という可能性がかなりあるので、できれば、新プログラムを見たいなと思います。振付師とリンクで滑る時間もとれていないでしょうから難しいかもしれませんが、新、代表作の誕生を期待したいです。

 

 

ネイサンチェン Nathan Chen 19-20

1999年5月5日生まれ

シニア4シーズン目

WebSite Twitter Instagram

シーズン獲得賞金:$61,000

世界ランキング:1位

シーズンランキング:15位

シーズンベストスコア 335.30(1位) グランプリファイナル

ショートプログラムシーズンベスト 110.38 グランプリファイナル

フリーシーズンベスト 224.92 グランプリファイナル

ショートプログラム楽曲: La Boheme

フリープログラム楽曲 : Rocketman

スピンレベル4率 16/21=76.2%

ステップレベル4率 5/7=71.4%

スピンオールレベル4 1/4

スピンステップオールレベル4 0/4

ジャンプ回転不足率  0/37=0.00%

ジャンプ回転不足なし試合 3/3

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/3

 

 ●ネイサンチェン選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
Others Japan Open 1 189.83       189.83 98.67 91.16
GP Skate America 1 299.09 102.71 56.21 46.50 196.38 102.38 94.00
GP Internationaux de France 1 297.16 102.48 55.97 46.51 194.68 102.10 92.58
GPF Grand Prix Final 1 335.30 110.38 63.13 47.25 224.92 129.14 95.78

世界チャンピオンネイサンチェン選手。今シーズンは結果的に国際大会は3試合プラスジャパンオープンで終わりました。

チャレンジャーシリーズに出ることもなく、初戦は小手調べジャパンオープン。4回転4本を軽く決めて189.83 本人比では大したスコアではないですが、普通の選手から見たらこれももう、なかなか手の届かないスコアです。

グランプリ2戦は300点近いスコアで楽勝。ショートは2戦連続100点越えでした。

そしてファイナル。ショートで110点到達。羽生選手がショートでミスして点差が空いていたこともあり、余裕のあるフリーでしたが、ここでなんと224.92のスーパースコア―を出して、トータル335.30 史上最高得点で優勝しました。

年が明けてからは全米選手権がありましたが、これも当然優勝。スコアはまあ、全米なのでというところではありますが、ショートで114点なんてのが出ていました。

世界選手権中止で、シーズン終了。結局、オリンピックの負けを最後に、これで2シーズン全勝です。

 

 ●ネイサンチェン選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
Others Japan Open 1 189.83 98.67 91.16 75.64 12.36 10.67
GP Skate America 1 299.09 158.59 140.50 120.35 22.74 15.50
GP Internationaux de France 1 297.16 158.07 139.09 116.31 25.39 16.37
GPF Grand Prix Final 1 335.30 192.27 143.03 149.88 26.86 15.53

この領域の選手は当然TESの方がPCSより高くなります。PCSの満点は150点。300点超えるためにはどうやってもTESが高くなくてはいけません。グランプリファイナルの192.27という技術点は、当然のように全選手中最高です。

PCSはトータル140点前後。各要素平均9点で135点になり、9.5点で142.5点です。グランプリファイナルは平均9.5を上回っていました。ただ、このスコアは全選手中2位。PCSは羽生選手の方が上でした。

ジャンプで得た点数はフランス杯の116.31でも、これより上を今シーズン出したのは羽生選手しかいないというスコア。ファイナルの149.88は当然全選手中トップです。

スピンは、スケートアメリカの22.74だと普通の選手のスコアです。ファイナルの26.86で全選手中3位。ステップはフランス杯の16.37が最高でこれは全選手中2位でした。

 

 ●ネイサンチェン選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Skate America 1 74.18 67.48 80.51 57.25 69.36 71.64
Internationaux de France 1 73.69 73.50 63.83 65.53 73.47 70.79
Grand Prix Final 1 83.41 79.07 94.87 70.12 69.50 73.18

偏差値とるとものすごいことになってます。

トータルスコアがファイナルでは偏差値83.41 3シグマの上を行く異常値扱いのスコアです。

ジャンプは基礎点からすごいですが、加点はものすごく、ファイナルの偏差値は94.87

理論的に、偏差値90は上位0.00315%とされてますので、その上まで行ってしまっているこのスコアは、もう常人の達するところではありません。

スピンステップPCSもいい時は偏差値70超えです

とにかくすごい、しか言いようがないです。

 

ネイサンチェンスケート偏差値

レーダーチャートではこんな感じ。

ジャンプのGOEが突出してしまっていますが、他もかなり高い位置にあります、

ジャンプが得意というよりは、全部すごいけど、競技のルールの関係上、ジャンプの加点の偏差値がものすごく高く出る、というとらえ方がいいんでしょうか。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Grand Prix Final 1 4Lz   11.50   4.44 15.94 3.889
Grand Prix Final 2 3A   8.00   2.51 10.51 3.111
Grand Prix Final 3 CCSp4   3.20   1.01 4.21 3.222
Grand Prix Final 4 4T+3T   15.07 x 2.99 18.06 3.000
Grand Prix Final 5 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
Grand Prix Final 6 FSSp4   3.00   0.99 3.99 3.444
Grand Prix Final 7 CCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.889
Grand Prix Final   TES   48.17   14.96 63.13  

ショートプログラムの基礎点最高は48.17でした。

これは全選手中2番目。選んだ四回転がルッツとトーループなので、ルッツとフリップの選手の方が上に行くことができます。

そうは言ってもものすごいスコアです。

この構成で獲得できる加点は、全要素満点で21.3なので、理論上の技術点上限値は69.47となります。PCSの満点は50点なので、ショートプログラムのネイサンチェン選手の理論上の上限値は119.47となります

基礎点上げるには、四回転フリップを投入し、4Lz-3Tを1.1倍に入れるというのがあります。そこまで行った場合、基礎点49.87になり、GOE満点で加点が22.05ついて、技術点71.92のトータル121.92が上限値となります。

究極形としては、コンビネーションの後ろをトーループからループに変える、というのまでありますが、そこまで行けば、基礎点が50.64と50点を超えて、トータル122.69が理論上の上限値となります。

それより上にいくには、四回転アクセルや四回転-四回転のコンビネーションという世界になっていきます。

ネイサンチェン選手の場合、手持ちのカードの組み合わせで、満点が121.92の構成までは作ることができるはずです。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Grand Prix Final 1 4F+3T   15.20   5.03 20.23 4.444
Grand Prix Final 2 4Lz   11.50   4.27 15.77 3.556
Grand Prix Final 3 4T+1Eu+3S   14.30   2.71 17.01 2.778
Grand Prix Final 4 CCSp4   3.20   1.01 4.21 3.111
Grand Prix Final 5 3A   8.00   2.86 10.86 3.556
Grand Prix Final 6 StSq3   3.30   1.23 4.53 3.667
Grand Prix Final 7 4S   10.67 x 4.16 14.83 4.222
Grand Prix Final 8 4T   10.45 x 3.26 13.71 3.556
Grand Prix Final 9 3Lz+3T   11.11 x 1.85 12.96 3.000
Grand Prix Final 10 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.444
Grand Prix Final 11 ChSq1   3.00   2.43 5.43 4.778
Grand Prix Final 12 FCCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
Grand Prix Final   TES   97.73   31.41 129.14  

フリーの基礎点最高は97.73 これは全選手中トップです。

4回転が5本 二回飛ぶジャンプは4Tと3Tです。3Tを2回というのが一見もったいなさそうに見えるのですが、3Lz-3Tを3A-2Tに変えると基礎点が下がるので、3Aを2回組み込もうとするよりはこちらの方がお得です。ただし、セカンド3Loを持っていれば話は変わってきます。

あとは、ここまで来ると、3Fが余っているので、3連続の一番後ろをサルコウからフリップに変えると基礎点が上がります。

なお、この構成はステップがレベル3なので、そこがレベル4になれば単純に基礎点が0.6上がって98.33になります。

それにしてもものすごい構成です。この構成でステップレベル4とすると、GOE満点の時に41.60の加点が得られます。したがって、計算上の技術点満点は139.99となります。PCSも合わせたトータルは239.99が満点です。

ショートの今シーズンの最高構成と合わせると、トータルスコア359.46が計算上の最高点です。350点は厳しでしょうけれど345点くらいまではありそうな気もします。

 

●平均GOE+3.800以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Internationaux de France FS 11 ChSq1   3.00   2.50 5.50 5.000
Skate America FS 11 ChSq1   3.00   2.50 5.50 4.889
Grand Prix Final FS 11 ChSq1   3.00   2.43 5.43 4.778
Japan Open FS 11 ChSq1   3.00   2.43 5.43 4.667
Grand Prix Final FS 1 4F+3T   15.20   5.03 20.23 4.444
Internationaux de France SP 5 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.333
Grand Prix Final SP 5 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
Internationaux de France FS 12 FCCoSp4   3.50   1.50 5.00 4.222
Grand Prix Final FS 7 4S   10.67 x 4.16 14.83 4.222
Skate America SP 5 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.000
Skate America FS 1 3Lz+3T   10.10   2.36 12.46 4.000
Skate America FS 2 4F   11.00   4.40 15.40 4.000
Grand Prix Final SP 1 4Lz   11.50   4.44 15.94 3.889
Grand Prix Final SP 7 CCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.889

ネイサンチェン選手は今シーズン、コレオシークエンス満点がありました。フランス杯では全ジャッジ+5の満点。スケートアメリカは、ジャッジの一人だけ+4であとは+5ということで、評価の低い一人分は切られるので、加点としては+2.50の満点です。

今シーズン4回滑ったコレオシークエンスが上から四つ並んでいます。その次に来るのが4F-3Tという高難度コンビネーション。これを+4.444というすごい評価を得て、1要素で20.23というものすごい点をもらいました。

ステップも高評価が並びます。

強いて言えばスピンの高評価が少ないかな、という風には言えますが、これ、国際試合3試合+ジャパンオープンしか出ていないのに、GOE+3.8で切ってもこれだけの数並んでいるんですよね。とにかくすごいです。

 

●四回転のルッツとフリップ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 2 4F   11.00   3.14 14.14 2.778
Skate America SP 1 4Lz   11.50   0.82 12.32 0.667
Skate America FS 2 4F   11.00   4.40 15.40 4.000
Internationaux de France SP 4 4F   12.10 x 3.30 15.40 3.000
Internationaux de France FS 1 4Lz   11.50   -0.49 11.01 -0.333
Grand Prix Final SP 1 4Lz   11.50   4.44 15.94 3.889
Grand Prix Final FS 1 4F+3T   15.20   5.03 20.23 4.444
Grand Prix Final FS 2 4Lz   11.50   4.27 15.77 3.556

今シーズン、四回転のルッツは4回、フリップも4回飛びました。転倒無し、回転不足なし。ルッツの一回だけはGOEがわずかにマイナスですが、他はすべてプラス評価です。

フリップは最低評価でも+2.778 これ、3回転じゃないですからね。4回転のフリップでこの評価です。

 

●四回転のサルコウトーループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 3 4T+1Eu+1F   10.50   1.90 12.40 1.889
Japan Open FS 7 4S   10.67 X 1.39 12.06 1.333
Japan Open FS 8 4T   10.45 X 3.12 13.57 3.111
Skate America SP 4 4T+3T   15.07 x 2.44 17.51 2.556
Skate America FS 3 4T+1Eu+2F   11.80   2.44 14.24 2.556
Skate America FS 7 4S   10.67 x 2.77 13.44 2.889
Internationaux de France SP 1 4T+3T   13.70   3.53 17.23 3.667
Internationaux de France FS 3 4T+1Eu+3F   15.30   2.99 18.29 3.000
Internationaux de France FS 7 4S   10.67 x -1.52 9.15 -1.667
Internationaux de France FS 8 4T   10.45 x -0.14 10.31 -0.222
Grand Prix Final SP 4 4T+3T   15.07 x 2.99 18.06 3.000
Grand Prix Final FS 3 4T+1Eu+3S   14.30   2.71 17.01 2.778
Grand Prix Final FS 7 4S   10.67 x 4.16 14.83 4.222
Grand Prix Final FS 8 4T   10.45 x 3.26 13.71 3.556

四回転のサルコウは4回飛んでGOEマイナスが1つ

トーループは10回飛んでGOEマイナスは-0.222とわずかですが一つあります。

四回転トーループは3連続で入っていて、この3連続はすべてプラス評価です。フランス杯以降は3連続の一番後ろにしっかり3回転がついています。

ものすごすぎて声が出ないです。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 5 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
Skate America SP 2 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
Skate America FS 5 3A   8.00   3.09 11.09 3.778
Skate America FS 9 3A+2T   10.23 x 1.83 12.06 2.222
Internationaux de France SP 2 3A   8.00   -2.29 5.71 -2.778
Internationaux de France FS 5 3A   8.00   2.51 10.51 3.000
Internationaux de France FS 9 3A+2T   10.23 x 0.34 10.57 0.444
Grand Prix Final SP 2 3A   8.00   2.51 10.51 3.111
Grand Prix Final FS 5 3A   8.00   2.86 10.86 3.556

トリプルアクセルは9回飛んでGOEマイナスは1回だけ。

トリプルアクセルが苦手、ということになっていましたが・・・

たしかにGOEがプラス4に達することがなかったですので、ほかのジャンプよりは苦手なのかもしれませんが、何なんだろうその基準、という感じの値です。

 

なお、今シーズン、これだけの四回転、さらにはトリプルアクセルを飛んでいるのですが、回転不足はゼロでした。ジャンプの回転不足率ゼロパーセント。試合数が少ないとはいえ、これ自体がすごいことです。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
Japan Open FS 11 ChSq1   3.00   2.43 5.43 4.667
Skate America SP 5 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.000
Skate America FS 6 StSq3   3.30   1.18 4.48 3.444
Skate America FS 11 ChSq1   3.00   2.50 5.50 4.889
Internationaux de France SP 5 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.333
Internationaux de France FS 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
Internationaux de France FS 11 ChSq1   3.00   2.50 5.50 5.000
Grand Prix Final SP 5 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
Grand Prix Final FS 6 StSq3   3.30   1.23 4.53 3.667
Grand Prix Final FS 11 ChSq1   3.00   2.43 5.43 4.778

ステップとコレオも高評価。コレオシークエンスは満点も出しています。全選手の全演技中、コレオシークエンスの高評価上から四つがネイサンチェン選手です。

ステップも高評価。一番低くて+3.333です。ただ、レベル3は散見するんですね。ステップでレベル4を取り続けるのは大変難しい。四回転トーループを全試合回転不足なく跳ぶより、ステップレベル4を全試合続ける方がむしろ難しいようです。

 

●レベル4のスピン

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 4 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
Japan Open FS 12 FCCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.111
Skate America SP 3 CCSp4   3.20   0.91 4.11 2.667
Skate America FS 4 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.222
Skate America FS 10 CCSp4   3.20   0.87 4.07 2.667
Internationaux de France SP 3 CCSp4   3.20   0.82 4.02 2.444
Internationaux de France SP 7 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.667
Internationaux de France FS 4 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
Internationaux de France FS 10 CCSp4   3.20   0.64 3.84 1.889
Internationaux de France FS 12 FCCoSp4   3.50   1.50 5.00 4.222
Grand Prix Final SP 3 CCSp4   3.20   1.01 4.21 3.222
Grand Prix Final SP 6 FSSp4   3.00   0.99 3.99 3.444
Grand Prix Final SP 7 CCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.889
Grand Prix Final FS 4 CCSp4   3.20   1.01 4.21 3.111
Grand Prix Final FS 10 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.444
Grand Prix Final FS 12 FCCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778

スピンをレベル4のものだけ並べてみました。

最高評価でフライングチェンジフットコンビネーションスピンFCCoSpで+4.222の評価をフランス杯で受けていました。これは、このスピンとして全選手中最高評価です。他の要素と比べてネイサンチェン選手の中ではやや落ちるのがスピンですが、それでも、全選手中最高になる要素があったりします。

 

 

今シーズン、世界選手権がなかったことにより、出場試合は少なく終わりました。もう、真剣に滑る試合は限られていて、グランプリシリーズくらいだと小手調べに見えます。

グランプリファイナルで出した335.30が現在のワールドレコードということになっています。なんかもう、ただただすごい、しか言いようがないんですが・・・。

フリーのロケットマンの衣装が話題になっていたでしょうか。

え? と最初思ったような気がしないでもないですが、まあ、あれはあれでありなんじゃないかと思うんですが、ダメですかね?  オリンピックシーズンのショートプログラム、ネメシス、みたいなシンプル衣装で滑りかっこいい、みたいなのが似合うと思うので、ああいうのまたやってほしいと思ったりします。

実は世界ジュニアは、ジュニア最後のシーズンのケガの関係もあって取っておらず、いわゆるスーパースラムは不可能なのですが、それはそれとして、あと取りたいものはオリンピックしか残っていないでしょう。高いモチベーションで戦い続けるのも難しいので、本当のいい演技というのは、この先もファイナルと世界選手権くらいでしか見せてもらえないと思いますが、そういった試合で、羽生選手との勝負がどうなるか?

オリンピックまではこの二人の時代が続きそうなので、数少ない真剣勝負の試合を楽しみにしたいと思います。

 

 

 

吉田陽菜 19-20

2005年8月21日生まれ

ジュニア1シーズン目

所属:名東FSC 猪高中学校

スポンサー関連:

シーズン獲得賞金:$0

世界ランキング:-

シーズンランキング:-

シーズンベストスコア 169.41  西日本選手権

ショートプログラムシーズンベスト 58.62 西日本選手権

フリーシーズンベスト 115.11 全日本ジュニア

ショートプログラム楽曲: ラ・ラ・ランドより

フリープログラム楽曲: キャッツより

スピンレベル4率 37/42=88.1%

ステップレベル4率 0/14=0.00%

スピンオールレベル4 4/7

スピンステップオールレベル4 0/7

ジャンプ回転不足率  7/70=10.0%

ジャンプ回転不足なし試合 2/7

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/7

 

 ●吉田陽菜選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
DL 西日本中小学生フィギュア 1 158.77 48.39 25.13 23.26 110.38 62.44 48.94
DL げんさんサマーカップ 3 154.77 49.94 28.54 21.40 104.83 57.83 48.00
RT 中部選手権 1 159.12 56.67 34.25 22.42 102.45 57.98 45.47
RT 西日本選手権 3 169.41 58.62 33.78 24.84 110.79 59.27 51.52
NJ 全日本ジュニア 3 167.86 52.75 28.51 24.24 115.11 64.79 50.32
NC 全日本選手権 19 149.72 50.96 28.18 23.78 98.76 51.34 47.42
IJ 全国中学スケート大会 4 160.59 54.61 30.65 23.96 105.98 57.17 50.81

吉田陽菜選手は、トリプルアクセルを引っ提げて今シーズンジュニアデビューしました。昨シーズンはケガでほとんど試合に出ていませんが、その前2シーズンは全日本ノービスで優勝していた、この世代のトップ選手です。

今シーズンはジュニアグランプリへの派遣無し。まず、そこがちょっと残念だった気はします。

というわけで国内戦が続くわけですが、地方大会前の8月は2試合で150点台。ショートが50点に届かず、ということであまり伸びませんでした。

地方大会は、まず中部選手権は、昨シーズン全日本ジュニア二位の荒木菜那選手に勝っての優勝。得点自体は伸びていないのですが、勝負強いんでしょうか、ショートのリードを守って逃げ切りました、

西日本選手権はシーズンベストの169.41のスコアで3位に入り、順当に全日本ジュニアへ進みます。

その全日本ジュニア。ショートは10位と出遅れ、これは厳しいかなというところからフリーではトリプルアクセルを決め逆転の表彰台。全日本へ進み、世界ジュニアの可能性をつなぎます。

しかし残念ながら全日本ではショートから入れていったトリプルアクセルがフリーも含めて不発。19位に終わり、世界ジュニア代表の切符はつかめませんでした。

年が明けると、中学2年生の吉田陽菜選手には全中があります。ここは160.59というスコアで表彰台には乗れず4位に終わりました。

本来はこの後、全日本ジュニアの成績などから国際大会への派遣があったのですが、3月中盤以降の試合はすべて中止、ということで、結局国内大会のみの出場でシーズンを終えました。

なお、愛知県内のショートのみの試合など、ほかにも出場している大会はありますが、ここからは外しています。

 

●吉田陽菜選手の今シーズンの要素別得点

 

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
DL 西日本中小学生フィギュア 1 158.77 87.57 72.20 59.51 21.47 6.59
DL げんさんサマーカップ 3 154.77 86.37 69.40 59.93 20.07 6.37
RT 中部選手権 1 159.12 92.23 67.89 65.27 20.16 6.80
RT 西日本選手権 3 169.41 93.05 76.36 65.80 21.06 6.19
NJ 全日本ジュニア 3 167.86 93.30 74.56 66.27 20.94 6.09
NC 全日本選手権 19 149.72 79.52 71.20 49.06 19.70 10.76
IJ 全国中学スケート大会 4 160.59 87.82 74.77 59.36 22.31 6.15

要素別を見ると、全試合ではっきりとTESの方がPCSより高くなっています。PCSは一番いい西日本選手権で76.36 低いと70点を切る水準です。これは五項目で平均6点前後という位置です。PCSだけでもまだまだ伸ばす余地があります。

獲得点数が高いのはやはりジャンプ。全日本ジュニアでは66.27を取りました、ほかの試合でも60点台に乗せることが多いです。この辺のスコアは、今シーズン不調ではあったのですが、坂本花織選手の64.33 宮原知子選手の63.95といったあたりを上回っています。ジャンプだけなら日本のトップ選手と遜色ない部分もあります。

スピンは全中で22.31  22点台あれば170点180点台くらいの選手としてみると遜色ないです。ただ、ほかの試合のように20点前後になると、シニアのそれくらいの選手とは差があるかな、という数字になります。

ステップは6点台。コレオ付きの全日本で10.76 これくらいのスコアだとジュニアの上位の選手と比べても弱い、という水準です。ジュニアでも世界のトップはコレオなしで10点台後半まで出しますし、日本でも、岩野桃亜選手はジュニアグランプリシリーズで10.42の高いスコアを出しています。そのあたりの選手と比べると、はっきり弱点とされる要素になります。

 

●吉田陽菜選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
西日本中小学生フィギュア 1 50.18 58.16 49.45 53.35 49.52 45.42
げんさんサマーカップ 3 49.09 56.65 53.86 48.71 47.51 43.58
中部選手権 1 50.27 60.54 53.78 49.01 47.76 42.59
西日本選手権 3 53.07 58.36 60.02 51.99 45.65 48.15
全日本ジュニア 3 52.65 62.11 51.70 51.59 45.19 46.97
全日本選手権 19 47.72 52.41 45.11 47.48 48.71 44.76
全国中学スケート大会 4 50.67 60.23 44.13 56.13 45.95 47.10

トータルスコアが160点前後ですと、偏差値では50前後となります。国際舞台で戦う選手全体と比べて普通くらいのスコアということです。

偏差値が高いのはやはりジャンプ。ジャンプの基礎点は偏差値60を超えてきます。そこに高いGOEを取れた時にトータルスコアが伸びるわけですが、ここは偏差値60まで乗るいい時もあれば、40台前半にまで落ち込むこともあります。

スピンは偏差値50前後。今のところ普通という位置。

ステップは、コレオ補正をしても40台となって弱点です。

PCSもジュニア一年目感がはっきり出ていて、偏差値40台、それも試合によっては前半という低めな扱いになっています。

 

 

 

吉田陽菜スケート偏差値

レーダーチャートは右寄り。ジャンプ偏重型です。

ここまではっきり出る選手も案外珍しい感じがします。まだ先は長いですので、ジャンプを伸ばしつつ他もどう補っていくか、ということになるんでしょうか。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
全日本選手権 1 3A   8.00   -4.00 4.00 -4.444
全日本選手権 2 3Lo   4.90   0.21 5.11 0.444
全日本選手権 3 FSSp4   3.00   0.26 3.26 0.667
全日本選手権 4 StSq3   3.30   0.38 3.68 1.000
全日本選手権 5 3Lz<+2T 6.62 X -1.62 5.00 -2.889
全日本選手権 6 CSp4   2.60   0.33 2.93 1.111
全日本選手権 7 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 1.889
全日本選手権   TES   31.92   -3.74 28.18  

ショートプログラムのシーズン最高は、唯一シニアカテゴリーの試合となった全日本選手権の31.92でした。これは、トリプルアクセルをシニアだとショートから入れられて、それもしっかり回転が足りていて基礎点満額もらえたことによります。

ただ、コンビネーションが3回転-2回転で、かつ、回転不足もついていることから、トータルではインパクトがあるほど高いスコアにはなりませんでした。これで3-3で回転足りていたら、基礎点が4.49上がって36.41という、今シーズンその上には3人しかいないという高い基礎点になるところでした。

ジュニアルール試合での最高基礎点は西日本選手権の30.49 ステップがレベル2ですが、他はミスなく、ジュニアとしては高めな基礎点を取っていました。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
全日本ジュニア 1 3A   8.00   1.12 9.12 1.429
全日本ジュニア 2 3Lz+3T   10.10   0.83 10.93 1.286
全日本ジュニア 3 3S   4.30   0.60 4.90 1.429
全日本ジュニア 4 3Lo   4.90   -0.10 4.80 -0.143
全日本ジュニア 5 SSp4   2.50   0.40 2.90 1.429
全日本ジュニア 6 CCoSp4   3.50   0.28 3.78 0.857
全日本ジュニア 7 StSq2   2.60   0.47 3.07 1.857
全日本ジュニア 8 3F!+2T+2Lo ! 9.13 X 0.00 9.13 0.000
全日本ジュニア 9 2A+3T< 7.33 X -1.41 5.92 -4.286
全日本ジュニア 10 3Lz! ! 6.49 X -0.24 6.25 -0.429
全日本ジュニア 11 FCCoSp4   3.50   0.49 3.99 1.286
全日本ジュニア   TES   62.35   2.44 64.79  

フリーの最高基礎点は全日本ジュニアの62.35 これは高い基礎点で、今シーズン国際試合でこれより高い基礎点を出した選手は13人しかいません。ジュニアでは3人だけです。

トリプルアクセルが入り、しっかり着氷して、スピンもすべてレベル4など、回転不足1つあるくらいでほかはしっかりこなせていることから高い基礎点となっています。

二つ跳ぶジャンプはルッツとトーループ。1.1倍部分にコンビネーション二つを含め高めな基礎点のものが配置されています。

回転不足になった3Tがしっかり飛べていれば0.92基礎点が上がって63.27にまですることが出来ていました。

 

●平均GOE+1.800以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
全国中学スケート大会 FS 11 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
中部選手権 SP 2 2A   3.30   0.88 4.18 2.600
全国中学スケート大会 SP 2 2A   3.30   0.77 4.07 2.400
全国中学スケート大会 FS 5 SSp4   2.50   0.58 3.08 2.400
西日本選手権 SP 2 2A   3.30   0.79 4.09 2.286
西日本選手権 FS 1 3A   8.00   1.92 9.92 2.286
全日本ジュニア SP 2 2A   3.30   0.73 4.03 2.286
中部選手権 SP 3 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.200
中部選手権 FS 5 SSp4   2.50   0.58 3.08 2.200
全国中学スケート大会 FS 7 StSq2   2.60   0.52 3.12 2.200
西日本選手権 SP 5 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 2.143
全日本選手権 FS 5 SSp4   2.50   0.57 3.07 2.000
全国中学スケート大会 SP 3 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.000
全国中学スケート大会 SP 7 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
全日本選手権 SP 7 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 1.889
西日本選手権 FS 7 StSq2   2.60   0.52 3.12 1.857
全日本ジュニア FS 7 StSq2   2.60   0.47 3.07 1.857
中部選手権 SP 4 StSq3   3.30   0.55 3.85 1.800
中部選手権 FS 8 3F   5.83 X 0.88 6.71 1.800
中部選手権 FS 9 2A+3T   8.25 X 0.84 9.09 1.800
全国中学スケート大会 SP 4 StSq2   2.60   0.43 3.03 1.800
全国中学スケート大会 FS 10 2A+3T   8.25 X 0.84 9.09 1.800

ここでは全日本ジュニアにつながる地方大会と全日本、あとは全中のみから拾い上げました。

評価が高いのはスピンとジャンプ。ジャンプはダブルアクセルが目立ちます。そんな中にトリプルアクセルが一つ混ざっていたりもします。

最高のGOEで+3まで。まだ、各要素の評価という点では上位の選手と差があるのかな、というのはこの辺から感じられます。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
西日本中小学生フィギュア FS 1 3A   8.00   -4.00 4.00 -5.000
げんさんサマーカップ FS 1 3A   8.00   1.28 9.28 1.600
中部選手権 FS 1 3A<< ! 3.30   -1.65 1.65 -5.000
西日本選手権 FS 1 3A   8.00   1.92 9.92 2.286
全日本ジュニア FS 1 3A   8.00   1.12 9.12 1.429
全日本選手権 SP 1 3A   8.00   -4.00 4.00 -4.444
全国中学スケート大会 FS 1 3A   8.00   -4.00 4.00 -5.000

吉田陽菜選手の武器、トリプルアクセル。今シーズンは要素として7回入ってダウングレードが1つありますが、あとの6回は回転は足りているとして認定されました。ただ、加点を得た成功ジャンプは3本だけです。また、全日本のフリーでは、1Aになってしまったものもあったので、それも含めると成功率は3/8ということになります。

この確率がこの先上がっていって、フリーで2本いれられるようになっていくのか? あるいは、体の成長とともに成功率が下がってしまうのか? 大きな注目点になるのだろうと思います。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
西日本中小学生フィギュア FS 8 3F+2T+2Lo   9.13 X 0.71 9.84 1.400
げんさんサマーカップ FS 9 2A+3T+2T   9.68 X 1.01 10.69 2.400
中部選手権 FS 10 3Lz<!+2T+2Lo   8.49 X -0.94 7.55 -2.000
西日本選手権 FS 8 3F!+2T+2Lo ! 9.13 X -0.21 8.92 -0.429
全日本ジュニア FS 8 3F!+2T+2Lo ! 9.13 X 0.00 9.13 0.000
全日本選手権 FS 11 1Lz+2T+2Lo   3.96 X -0.27 3.69 -1.556
全国中学スケート大会 FS 8 3F!+2T+2Lo ! 9.13 X 0.00 9.13 0.000

3連続ジャンプは要素が一定しませんし、要素順も一定していません。

フリップから4回、ルッツから2回にダブルアクセルからセカンドで3回転を付けるものまであります。ただ、7試合すべてでちゃんと3連続の要素がありました。

加点がついたのはシーズン序盤の2試合のみ。ルッツからの2回は回転不足か1回転になるかの失敗ジャンプになっています。フリップからは!が3つついています。

 

●セカンド三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
西日本中小学生フィギュア FS 2 3Lz+3T   10.10   0.59 10.69 1.000
西日本中小学生フィギュア FS 9 2A+3T   8.25 X 0.98 9.23 2.200
げんさんサマーカップ FS 9 2A+3T+2T   9.68 X 1.01 10.69 2.400
中部選手権 SP 1 3Lz!+3T ! 10.10   0.59 10.69 0.800
中部選手権 FS 3 3S+3T   8.50   0.00 8.50 0.000
中部選手権 FS 9 2A+3T   8.25 X 0.84 9.09 1.800
西日本選手権 SP 1 3Lz!+3T ! 10.10   -0.24 9.86 -0.286
西日本選手権 FS 2 3Lz!+3T ! 10.10   -0.12 9.98 -0.286
全日本ジュニア FS 2 3Lz+3T   10.10   0.83 10.93 1.286
全日本ジュニア FS 9 2A+3T< 7.33 X -1.41 5.92 -4.286
全日本選手権 FS 2 3Lz+3T   10.10   0.67 10.77 0.889
全日本選手権 FS 9 2A+3T   8.25 X 0.66 8.91 1.444
全国中学スケート大会 SP 1 3Lz!+3T< ! 9.26   -0.59 8.67 -0.800
全国中学スケート大会 FS 2 3Lz+3T   10.10   0.79 10.89 1.200
全国中学スケート大会 FS 10 2A+3T   8.25 X 0.84 9.09 1.800

セカンド三回転のジャンプは、基本的にはルッツからとダブルアクセルからです。ショートは3Lz-3Tが基本構成。

ルッツの!が目立ちます。ただ、回転不足になったのは1回だけ。むしろ、3-3の要素に出来なかった、というものがショートでは多くあるように見えます。

ダブルアクセルからのものは回転不足が1つありますが、あとの5回はGOE+1以上付く成功ジャンプです。2A-3Tは計算できるジャンプにある程度なっていそうです。

 

●単独のルッツとフリップ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
西日本中小学生フィギュア SP 1 2Lz+COMBO   2.10   -1.05 1.05 -4.600
西日本中小学生フィギュア FS 10 3Lz<! ! 5.19 X -0.94 4.25 -2.200
げんさんサマーカップ FS 2 3Lz   5.90   0.35 6.25 0.600
げんさんサマーカップ FS 8 2F! ! 1.98 X -0.25 1.73 -1.400
中部選手権 FS 2 3Lz! ! 5.90   -0.59 5.31 -0.800
中部選手権 FS 8 3F   5.83 X 0.88 6.71 1.800
全日本ジュニア FS 10 3Lz! ! 6.49 X -0.24 6.25 -0.429
全日本選手権 FS 8 1F! ! 0.55 X -0.06 0.49 -1.000
全国中学スケート大会 FS 9 3Lz< 5.19 X -2.36 2.83 -5.000

単独のルッツフリップは案外多くありません。コンビネーションで使うケースが多い模様。

コンビネーションの時もそうだったのですが、ルッツでもフリップでも!が目立ちます。ルッツフリップのエッジの明確さというのが足りない、とジャッジからは認識されているようです。

成功率もジャンプ得意型選手としては低めかな、と見えます。ルッツは6回中1回、フリップも3回中1回しかGOEプラスがありません。

ルッツフリップの単独、あるいはコンビネーションをしっかり成功させていくことが、全体のスコアを上げていくためには、トリプルアクセル以上に重要な課題になっているように見えます。

 

●単独のループとサルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
西日本中小学生フィギュア SP 5 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 2.000
西日本中小学生フィギュア FS 3 3S   4.30   0.43 4.73 1.200
西日本中小学生フィギュア FS 4 3Lo   4.90   0.49 5.39 1.200
げんさんサマーカップ SP 5 3Lo   5.39 X -0.61 4.78 -1.250
げんさんサマーカップ FS 3 3S   4.30   0.52 4.82 1.200
げんさんサマーカップ FS 4 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
中部選手権 SP 5 3Lo   5.39 X 0.65 6.04 1.400
中部選手権 FS 4 3Lo   4.90   0.65 5.55 1.400
西日本選手権 SP 5 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 2.143
西日本選手権 FS 3 3S   4.30   0.69 4.99 1.571
西日本選手権 FS 4 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.429
全日本ジュニア SP 5 3Lo   5.39 X -0.10 5.29 -0.286
全日本ジュニア FS 3 3S   4.30   0.60 4.90 1.429
全日本ジュニア FS 4 3Lo   4.90   -0.10 4.80 -0.143
全日本選手権 SP 2 3Lo   4.90   0.21 5.11 0.444
全日本選手権 FS 3 3S   4.30   0.43 4.73 0.889
全日本選手権 FS 4 3Lo   4.90   0.49 5.39 0.889
全国中学スケート大会 SP 5 3Lo< 4.31 X -0.26 4.05 -0.600
全国中学スケート大会 FS 3 3S   4.30   0.57 4.87 1.400
全国中学スケート大会 FS 4 2Lo   1.70   0.06 1.76 0.600

ループとサルコウは成功率が低くはありません。

ループはショートフリーで1回づつ、7試合で14回飛んで、回転不足1、2回転になったのが1で、12回はきちんと飛べました。ただ、12回のうち3回はGOEマイナスではあります。

サルコウは単独で飛んだのは6回で、すべて回転は足りていて、GOEもすべてプラスの成功ジャンプです。

ルッツフリップと、ループサルコウの間には、成功率としてはかなりの差があります。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
西日本中小学生フィギュア SP 4 StSq2   2.60   0.61 3.21 2.400
西日本中小学生フィギュア FS 7 StSq2   2.60   0.78 3.38 3.000
げんさんサマーカップ SP 4 StSq2   2.60   0.39 2.99 1.500
げんさんサマーカップ FS 7 StSq2   2.60   0.78 3.38 3.000
中部選手権 SP 4 StSq3   3.30   0.55 3.85 1.800
中部選手権 FS 7 StSq2   2.60   0.35 2.95 1.200
西日本選手権 SP 4 StSq2   2.60   0.47 3.07 1.714
西日本選手権 FS 7 StSq2   2.60   0.52 3.12 1.857
全日本ジュニア SP 4 StSq2   2.60   0.42 3.02 1.714
全日本ジュニア FS 7 StSq2   2.60   0.47 3.07 1.857
全日本選手権 SP 4 StSq3   3.30   0.38 3.68 1.000
全日本選手権 FS 7 StSq3   3.30   0.42 3.72 1.000
全日本選手権 FS 10 ChSq1   3.00   0.36 3.36 0.556
全国中学スケート大会 SP 4 StSq2   2.60   0.43 3.03 1.800
全国中学スケート大会 FS 7 StSq2   2.60   0.52 3.12 2.200

ステップはまだレベル4がありません。レベル2が標準で、レベル3は3回だけ取れた、という水準です。GOEは+1台が多いです。レベルでGOE+1台だと3点ほどしか入りませんので、レベル4で高GOEの5点台取る選手と比べるとやはり差が出ます。

 

スピンはレベル4率が88.1%と、トップ選手に近い確率でレベル4を取ることが出来ています。GOEが高いかというとそうでもないので、次の課題は出来栄えをどう伸ばすか、というところかと思いますが、レベル4が取れていれば、大きな穴というほどではないです。

 

 

名古屋の門奈先生門下生。トリプルアクセルを武器にするという、名古屋伝統の系譜を引き継いできたというか、これから引き継いでいく選手のように感じます。最近は関西にトリプルアクセルも持っていかれてしまっている感じはありますが、元々はトリプルアクセルと言えば名古屋でした。

ノービスBでもAでも全日本優勝経験があります。次は全日本ジュニア。一年は表彰台に乗って、二年目どうなるか。この先十分に勝っていくチャンスはありそうです。

残念ながら今シーズンは国際試合の出場無し。なので、世界ランキングは付いていません。

年齢的には二シーズン後、北京オリンピックシーズンにシニアに上がることは出来るのですが、来シーズン多少活躍したくらいでは、グランプリの枠も手に入らないでしょうし、現実的ではない。世界ジュニアで表彰台に上がるくらいが最低限必要になってきます。

そうなると、北京オリンピックをジュニアのまま迎えて、目指すは4年後、ということになります。

 

日本の女子シングルには一つの伝統があります。オリンピック選考会となる全日本選手権において、フリー最終グループに入り、そのシーズンの世界ジュニアに出場した選手は、次のオリンピックの代表になる。

ソルトレイクからその伝統は始まりました。安藤美姫浅田真央村上佳菜子宮原知子。そして、平昌オリンピックの最終選考会でフリー最終グループに入り、表彰台にも上ったのが紀平梨花選手でした。

日本の女子シングルが常に世界のトップに選手を送り続ける流れがこうして作られています。北京オリンピックの代表選考会。吉田陽菜選手がその伝統を引き継ぎ、次のオリンピックの代表になっていく。そんな将来像が実現していく可能性も感じます。

 

 

 

河辺愛菜 19-20

2004年10月31日生まれ

ジュニア2シーズン目

所属:関西大学KFSC 高槻第九中学校

スポンサー関連:

シーズン獲得賞金:$0

世界ランキング:122位

シーズンランキング:49位

シーズンベストスコア 193.57  全日本ジュニア

 (国際大会の最高は169.62(78位) 世界ジュニア)

ショートプログラムシーズンベスト 65.84 ユースオリンピック

フリーシーズンベスト 128.62 全日本ジュニア

 (国際大会の最高は119.38 ユースオリンピック)

ショートプログラム楽曲: 映画「グリンチ」より

フリープログラム楽曲: ブラックスワン

スピンレベル4率 42/54=77.8%(国際試合19/24=79.2%)

ステップレベル4率 3/18=16.7%(国際試合0/8=0.00%)

スピンオールレベル4 2/9(国際試合2/4)

スピンステップオールレベル4 0/9(国際試合0/4)

ジャンプ回転不足率  17/90=18.9%(国際試合10/40=25.0%)

ジャンプ回転不足なし試合 2/9(国際試合0/4)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/9

 

 ●河辺愛菜選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
JGP JGP LakePlacid 5 163.04 53.78 27.69 26.09 109.26 56.09 53.17
JGP JGP Croatia 4 163.73 53.12 26.72 26.40 110.61 54.77 55.84
RT 近畿選手権 1 176.82 63.03 36.63 26.40 113.79 63.32 51.47
RT 西日本選手権 1 179.09 64.18 36.34 27.84 114.91 61.27 54.64
NJ 全日本ジュニア 1 193.57 64.95 36.75 28.20 128.62 71.02 57.60
NC 全日本選手権 13 169.28 56.52 31.20 26.32 112.76 58.85 54.91
Others Youth Olympic Games 4 185.22 65.84 36.75 29.09 119.38 60.95 59.43
IJ 全国中学スケート大会 1 186.10 64.76 37.56 27.20 121.34 67.54 54.80
WJ World Junior 11 169.62 64.47 36.61 27.86 105.15 51.55 55.60

河辺愛菜選手は中学三年生、ジュニア二シーズン目でした。昨シーズンまでは全く無名ともいえる選手です。

昨シーズン、西日本ジュニアでショート落ちだった選手ですが、今シーズンは選考会でジュニアグランプリの出場権を得ました。そうして出場したレークプラシッドの試合で163.04 まずはこのスタートでISUデビューを果たします。連盟的にこれは合格点だったのか、2戦目ももらえてクロアチアの試合に出場すると、フリーではトリプルアクセルチャレンジ。転倒はしなかったものの回転不足に終わり認定はもらえませんでした。

その後年内は国内戦が続きます。近畿選手権176.82 西日本選手権179,09 西日本選手権ではトリプルアクセルが回転十分として認定、正し転倒ではありました。

そして全日本ジュニア。ショートからトップに立つと、フリーではついにトリプルアクセル成功。128.62の好スコアでトータル193.57 ルールこそ違えど2シーズン前の紀平梨花選手の優勝スコア193.46を上回る、まさかのスコアで圧勝しました。

全日本は13位。ショートフリー、2本挑んだトリプルアクセルはどちらも決まらず。ただ、決まらずとも13位まで持って来る力はある、ということでもありました。

年が明けてユースオリンピック、ショート4位からのフリー3位も、表彰台まで2.50届かずの4位。二つあったダウングレードのどちらか一つでもしっかり飛べていれば、という大魚を逸したユースオリンピックでした。

全中はトリプルアクセル封印でしたが圧勝。

そして世界ジュニア。ショートは大きなミスなく64.47 8位ながらも上位と差がなく好発進で、フリーワンちゃんあるぞ、という展開だったのですが、伸ばせず11位に終わりました。

それにしても、昨シーズン西日本ジュニアショート落ちから、一シーズンで全日本ジュニア勝つわ、ユースオリンピックで表彰台乗りかけるわ、トリプルアクセル跳ぶわと、大きな飛躍を遂げたシーズンとなりました。

 

 ●河辺愛菜選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
JGP JGP LakePlacid 5 163.04 83.78 79.26 54.71 22.61 6.46
JGP JGP Croatia 4 163.73 81.49 82.24 53.75 20.42 7.32
RT 近畿選手権 1 176.82 99.95 77.87 70.70 21.80 7.45
RT 西日本選手権 1 179.09 97.61 82.48 67.79 20.62 9.20
NJ 全日本ジュニア 1 193.57 107.77 85.80 76.38 22.04 9.35
NC 全日本選手権 13 169.28 90.05 81.23 58.28 21.00 10.77
Others Youth Olympic Games 4 185.22 97.70 88.52 67.04 22.41 8.25
IJ 全国中学スケート大会 1 186.10 105.10 82.00 71.42 22.22 9.69
WJ World Junior 11 169.62 88.16 83.46 62.65 17.02 8.49

要素別では、すべての試合で技術点が演技構成点より高いのがわかります。演技構成点は一番いいユースオリンピックで88.52 標準的には80前後です。5項目の平均が7でPCS合計84ですので、標準的には平均7に届かず、いい時は7を超える程度、ということになります。この辺はジュニア二年目です、というのがよく出ています。

ジャンプは全日本ジュニアで76.38まで出しました。これは結構すごい数字で、今シーズンの全選手中17位相当です。まあ、全日本ジュニアなので国内参考記録になってしまうのですけれど。

スピンは一番良い時で22.61 160点台の選手として見れば十分ですが、190点クラスの選手として見ると少し物足りない、という数字になります。

ステップは、ジュニアなので基本的にコレオがないのですが、国際大会では世界ジュニアの8.49が最高でした。コレオが乗ると12点くらいにはなるでしょうか。ジュニアとしては、これくらいかな、という数字で、よくもなく悪くもなくというくらいです。

 

 ●河辺愛菜選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
JGP LakePlacid 5 51.34 54.74 49.35 57.13 48.10 50.05
JGP Croatia 4 51.53 56.13 44.27 49.87 52.12 52.00
近畿選手権 1 55.09 62.78 57.85 54.44 53.86 49.14
西日本選手権 1 55.70 62.92 52.39 50.53 61.51 52.16
全日本ジュニア 1 59.64 63.72 65.54 55.24 62.68 54.34
全日本選手権 13 53.04 59.46 44.11 51.79 48.75 51.34
Youth Olympic Games 4 57.37 62.28 52.63 56.46 56.83 56.13
全国中学スケート大会 1 57.61 60.72 64.15 55.83 65.34 51.85
World Junior 11 53.13 57.63 56.25 38.60 58.41 52.81

偏差値としてはトータルスコアは50台になります。一番悪くても160点台なので、偏差値50割れはありませんが、193.57の全日本ジュニアでも偏差値60に乗らなかったりはします。

ジャンプは基礎点では偏差値60を超える試合も多いです。回転不足とはいえトリプルアクセル投入と、ほかの回転不足が少ないとこれくらいまで行きます。

ただ、GOEが高く稼げている試合はそれほど多くなく、偏差値60超えは国内の試合だけとなりました。

スピンも国内の試合では偏差値60に達するのですが、海外では世界ジュニアの偏差値58.41が最高。ステップは偏差値50台で普通です。

それにしても、全日本はいろいろな判定が厳しかったんだなあ、というのがこれを見ても思います。

 

河辺愛菜スケート偏差値

レーダーチャートは右寄り。全日本ジュニアはステップもよかったですが、基本はジャンプで勝つ、というスタイルです。

世界ジュニアは最後のスピンがカウントしてもらえず、基礎点からゼロになってしまったことで著しい凹みの原因です。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Youth Olympic Games 1 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.333
Youth Olympic Games 2 3Lo   4.90   0.84 5.74 1.778
Youth Olympic Games 3 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.444
Youth Olympic Games 4 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
Youth Olympic Games 5 2A   3.63 x 0.80 4.43 2.556
Youth Olympic Games 6 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.667
Youth Olympic Games 7 CCoSp4   3.50   0.20 3.70 0.556
Youth Olympic Games   TES   31.13   5.62 36.75  

ショートプログラムは31.13が最高で、この数値の試合が3試合ありました。

ジュニアのトップはアリサリュウ選手の33.39、3A-3Tというお化けコンビネーション投入のそのスコア以外では32.41  負けてはいますが、それほど遠いスコアでもないです。

差は、ステップがレベル3なことと、1.1倍ジャンプがダブルアクセルなことです。

ダブルアクセルトリプルループを入れ替えるくらいはあってもいいかもしれませんが、何とかして構成上げていかないと勝負にならない、というようなところにはなく、出来栄え上げていけばジュニアのトップとは勝負になる基礎点です。

おそらく、基礎点を上げるのは、シニアに上がって、完成したトリプルアクセルが要素に入ってくるとき、になるのではないかと思われます。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
全日本ジュニア 1 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
全日本ジュニア 2 3Lz+3T   10.10   1.06 11.16 1.571
全日本ジュニア 3 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.286
全日本ジュニア 4 LSp4   2.70   0.54 3.24 2.143
全日本ジュニア 5 2A+3T   7.50   0.84 8.34 2.000
全日本ジュニア 6 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.714
全日本ジュニア 7 3F!+2T+2T ! 8.69 X -0.11 8.58 -0.286
全日本ジュニア 8 3S   4.73 X 0.95 5.68 2.143
全日本ジュニア 9 FSSp4   3.00   0.72 3.72 2.286
全日本ジュニア 10 3F! ! 5.83 X 0.00 5.83 0.000
全日本ジュニア 11 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
全日本ジュニア   TES   62.85   8.17 71.02  

フリーの基礎点最高は全日本ジュニアの62.85でした。これ自体は国内参考記録ではありますが、これよりも高いフリーの基礎点を今シーズン出したジュニアは世界で3人しかいません。

ジュニアにはない、コレオシークエンス分を補正すると65.85となり、この値は日本人選手では紀平選手に次ぐ2番目になります。海外見ても、ザギトワ選手やブレイディテネル選手より上。

その位置に入ってきている要因は、トリプルアクセルがあることです。65点超えてくると、トリプルアクセル以上の高難度ジャンプがないと届かない領域になっています。

つまり、基礎点だけなら世界のトップ10の領域にいるわけです。

2回飛ぶジャンプはフリップとトーループ。2回飛ぶフリップに2回とも!がついていたりと、フリップが得意とは思えないのですが、どういう理由でいれているんでしょうかね。ルッツ2回の方が安定する上に基礎点も上がるのですけれど。まだジュニアなので、矯正プログラム的な意味もあるのかもしれません。

なお、国際大会ではユースオリンピックの基礎点60.25が最高でした。このスコアでも今シーズンの全ジュニア中6位で、同じユースオリンピックで優勝したユヨン選手の基礎点60.22より上にいます。

 

●平均GOE+2.500以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
全日本ジュニア SP 6 StSq3   3.30   1.06 4.36 3.286
JGP LakePlacid FS 4 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
Youth Olympic Games SP 4 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
World Junior SP 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 3.000
World Junior SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
World Junior FS 10 3S   4.73 x 1.29 6.02 3.000
全日本選手権 FS 4 LSp4   2.70   0.85 3.55 2.889
全日本ジュニア SP 4 LSp4   2.70   0.81 3.51 2.857
JGP LakePlacid FS 6 StSq2   2.60   0.74 3.34 2.778
全日本ジュニア SP 5 2A   3.63 X 0.92 4.55 2.714
全日本ジュニア FS 6 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.714
JGP Croatia FS 6 StSq2   2.60   0.71 3.31 2.667
Youth Olympic Games SP 6 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.667
Youth Olympic Games FS 4 LSp4   2.70   0.69 3.39 2.667
World Junior SP 5 2A   3.63 x 0.85 4.48 2.667
World Junior FS 6 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
JGP Croatia FS 11 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.556
Youth Olympic Games SP 5 2A   3.63 x 0.80 4.43 2.556
Youth Olympic Games FS 6 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.556
Youth Olympic Games FS 11 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
World Junior FS 5 2A+3T+2T   8.80   1.02 9.82 2.556

ここでは、国際大会4試合と全日本選手権及び全日本ジュニアの6試合から抜き出しています。

上の方にある要素が結構バラバラです。一番上にはステップ、次にスピンもあるしジャンプもある。要素の偏りがあまりありません。

スピンはレイバックスピン、ジャンプはダブルアクセルといった、基礎点低めなものが多いですが、ジャンプで一番評価が高かったのは世界ジュニアショート冒頭の3回転-3回転だったりしました。世界ジュニア、いいスタートだったんだけどなあ・・・、という残念さも感じさせられます。

偏りが少ないので、全体を少しづつ押し上げて、この先点数を高めていくこともできるのかもしれません。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Croatia FS 1 3A< 6.40   -2.65 3.75 -4.222
Youth Olympic Games FS 1 3A< 6.40   -1.01 5.39 -1.333
World Junior FS 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
近畿選手権 FS 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
西日本選手権 FS 1 3A   8.00   -4.00 4.00 -5.000
全日本ジュニア FS 1 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
全日本選手権 FS 1 3A< 6.40   0.09 6.49 0.111

今シーズンから挑み始めたトリプルアクセル。結局、回転が足りたのが2回。きちんと着氷したのは1回だけとなりました。その1回が全日本ジュニア。圧勝した一つの要因です。

まだ国際舞台でのトリプルアクセル成功、ないしは回転充足で認定されたもの、というのはありません。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid FS 7 3F!+2T+2Lo ! 9.13 x -0.83 8.30 -1.556
JGP Croatia FS 5 2A+3T+2T   8.80   0.72 9.52 1.667
Youth Olympic Games FS 7 3F+3T+2T   11.88 x 1.06 12.94 2.000
World Junior FS 5 2A+3T+2T   8.80   1.02 9.82 2.556
近畿選手権 FS 5 2A+3T+2T   8.80   1.26 10.06 3.000
西日本選手権 FS 5 2A+3T+2T   8.80   1.01 9.81 2.429
全日本ジュニア FS 7 3F!+2T+2T ! 8.69 X -0.11 8.58 -0.286
全日本選手権 FS 5 2A+3T+2T   8.80   1.02 9.82 2.111
全国中学スケート大会 FS 5 2A+3T+2T   8.80   1.12 9.92 2.800

3連続ジャンプは9試合すべてで要素としてしっかり入ってきました。200点に届かない選手は、3連続入らなかった、という試合がよく出るのですが、河辺選手は9試合すべてきちんと入っています。

跳び方は2パターン。5番目の要素でダブルアクセルから3T付きのときと、7番目の要素で1.1倍にして3Fから。3Fにさらに3Tを付けるという豪華コースがユースオリンピックのときにはありました。7番目に入れているのが、最初から狙っているのか、5番目の要素で入らなかったときのリカバリーなのかは何とも言い難いです。5番目のダブルアクセルでGOEプラスのいいジャンプの時でも、3連続が7番目のフリップからのこともあります。

フリップに2回!がついているのも気になりまして、その2回が、三連続でGOEマイナスになった2回と一致します。それ以外のジャンプはGOEすべてプラスでした。

 

●三回転-三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid SP 1 3F+3T   9.50   -0.91 8.59 -1.667
JGP LakePlacid FS 1 3Lz+3T   10.10   -0.59 9.51 -0.889
JGP Croatia FS 10 3F!+3T< 9.53 x -1.14 8.39 -2.111
Youth Olympic Games SP 1 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.333
Youth Olympic Games FS 7 3F+3T+2T   11.88 x 1.06 12.94 2.000
Youth Olympic Games FS 10 3S+3T< 8.43 x -0.43 8.00 -0.667
World Junior SP 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 3.000
World Junior FS 2 3Lz+3T   10.10   1.26 11.36 2.222
近畿選手権 SP 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.800
近畿選手権 FS 7 3F+3T   10.45 X 1.41 11.86 2.600
西日本選手権 SP 1 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 1.857
西日本選手権 FS 2 3Lz+3T   10.10   1.42 11.52 2.286
全日本ジュニア SP 1 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
全日本ジュニア FS 2 3Lz+3T   10.10   1.06 11.16 1.571
全日本選手権 SP 2 3Lz+3T   10.10   0.34 10.44 0.556
全日本選手権 FS 11 3S+3T< 8.43 X -0.37 8.06 -0.889
全国中学スケート大会 SP 1 3Lz+3T   10.10   0.98 11.08 1.600
全国中学スケート大会 FS 2 3Lz!+3T ! 10.10   0.79 10.89 1.400

三回転-三回転は9試合で18回入っています。セカンド三回転はこれ以外にもダブルアクセルからのものもあり、かなり多数あります。

回転不足は3つ、それを含めてGOEマイナスは5つ。成功率は高い方と言えます。

転倒がありません。河辺選手は今シーズントリプルアクセルに挑んでいることもあり、全体の転倒数はそれなりにありますが、トリプルアクセル以外での転倒は極めて少なくなっています。

ルッツからのコンビネーションは成功率が高く入っているのですが、意外とそれ以外のコンビネーション、フリップやサルコウからのものは成功率が低かったりします。サルコウは2回ともセカンドが回転不足。フリップは回転不足も1つありますし、回転足りていても減点というものもありました。3Lz-3Tがしっかり決まってくるというのはやはり魅力です。

 

●単独のルッツとフリップ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid FS 10 3F! ! 5.83 x -0.61 5.22 -1.111
JGP Croatia FS 2 3Lz   5.90   -1.60 4.30 -2.778
JGP Croatia FS 7 3F!< 4.66 x -0.60 4.06 -1.667
Youth Olympic Games FS 2 3Lz   5.90   -2.95 2.95 -5.000
World Junior FS 8 3Lz<< <<  2.31 x -1.05 1.26 -5.000
近畿選手権 FS 2 3Lz! ! 5.90   -0.59 5.31 -0.800
西日本選手権 FS 10 3F! ! 5.83 X -0.53 5.30 -1.000
全日本ジュニア FS 10 3F! ! 5.83 X 0.00 5.83 0.000
全日本選手権 FS 2 3Lz   5.90   -2.95 2.95 -4.444
全日本選手権 FS 8 3Lz<+REP 3.63 X -0.54 3.09 -0.889
全国中学スケート大会 FS 8 3Lz! ! 6.49 X 0.20 6.69 0.400

単独でのルッツやフリップはコンビネーションよりもすくなくなっています。

そして、単独の方が成功率が低い。これ、実際にはコンビネーションを飛びたいけど失敗して単独になった、というのが結構あるはずです。

フリップはコンビネーションのところでも触れましたが、単独ジャンプでもことごとく!がついてしまっています。今の段階では、きちんと飛べないジャンプ、とみなさざるをえません。

 

●単独のループとサルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid SP 2 3Lo<< <<  1.70   -0.61 1.09 -3.556
JGP LakePlacid FS 3 1Lo   0.50   -0.20 0.30 -3.889
JGP LakePlacid FS 8 3S   4.73 x 0.80 5.53 1.889
JGP Croatia SP 2 3Lo   4.90   0.63 5.53 1.222
JGP Croatia FS 3 3Lo   4.90   0.56 5.46 1.111
Youth Olympic Games SP 2 3Lo   4.90   0.84 5.74 1.778
Youth Olympic Games FS 3 3Lo< 3.92   -0.33 3.59 -0.667
World Junior SP 2 3Lo   4.90   0.49 5.39 1.000
World Junior FS 3 3Lo<< <<  1.70   -0.85 0.85 -5.000
World Junior FS 10 3S   4.73 x 1.29 6.02 3.000
近畿選手権 SP 2 3Lo   4.90   0.82 5.72 1.800
近畿選手権 FS 3 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.200
近畿選手権 FS 8 3S   4.73 X 0.72 5.45 1.800
西日本選手権 SP 2 3Lo   4.90   0.49 5.39 1.000
西日本選手権 FS 3 3Lo< 3.92   -0.86 3.06 -2.143
西日本選手権 FS 8 3S   4.73 X 0.95 5.68 2.286
全日本ジュニア SP 2 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.714
全日本ジュニア FS 3 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.286
全日本ジュニア FS 8 3S   4.73 X 0.95 5.68 2.143
全日本選手権 SP 5 3Lo   5.39 X 0.49 5.88 0.889
全日本選手権 FS 3 3Lo< 3.92   -0.50 3.42 -0.889
全国中学スケート大会 SP 2 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
全国中学スケート大会 FS 3 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
全国中学スケート大会 FS 10 3S   4.73 X 1.00 5.73 2.400

ループとサルコウは、ショートの単独ジャンプがループ指定のため、ループを数多く跳んでいます。ただ、成功率は案外高くない。18回飛んでダウングレード2、回転不足3、1回転になったもの1なので、成功率は3分の2です。特にフリーの単独ループで回転不足が目立ちます。

サルコウの方はすべてGOEプラスです。フリーのコンビネーションジャンプにサルコウを選ぶこともあるようですので、ループよりもサルコウの方が得意と見てよいのでしょうか。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid SP 6 StSq2   2.60   0.52 3.12 1.889
JGP LakePlacid FS 6 StSq2   2.60   0.74 3.34 2.778
JGP Croatia SP 6 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.111
JGP Croatia FS 6 StSq2   2.60   0.71 3.31 2.667
Youth Olympic Games SP 6 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.667
Youth Olympic Games FS 6 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.556
World Junior SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
World Junior FS 6 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
近畿選手権 SP 6 StSq2   2.60   0.78 3.38 3.200
近畿選手権 FS 6 StSq3   3.30   0.77 4.07 2.600
西日本選手権 SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
西日本選手権 FS 6 StSq4   3.90   1.01 4.91 2.571
全日本ジュニア SP 6 StSq3   3.30   1.06 4.36 3.286
全日本ジュニア FS 6 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.714
全日本選手権 SP 6 StSq2   2.60   0.52 3.12 1.778
全日本選手権 FS 6 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.111
全日本選手権 FS 10 ChSq1   3.00   0.64 3.64 1.222
全国中学スケート大会 SP 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 3.800
全国中学スケート大会 FS 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.200

ステップはレベル3が標準。レベル4を西日本、全日本ジュニア、全中と3回マークしました。国際大会でのレベル4認定はまだなし。レベル2もシーズン序盤はありましたが、中盤以降は全日本で1回あったくらいです。

加点は結構取れてます。GOEで+3以上になってくる試合も結構多く、国際大会でも世界ジュニアのショートは+3です。後はレベルが取れれば武器に出来る要素のように見えます。

 

スピンはレベル4率が80%弱。まだ盤石とはいきませんが、それなりのレベル4率はあります。国際大会では2試合でオールレベル4でしたし。シニアに上がっていく頃には自然とレベル4が標準で加点も上がっていくのではないかと思います。

 

 

名古屋の長久保コーチの下で学んでいたところから、先生の勇退に伴って、濱田チームに移ってから3年ほどでしょうか。昨シーズンは地方大会でショート落ちしていたところから全日本ジュニアに優勝しての世界ジュニアとなりました。これで濱田組の世界ジュニアは5シーズン連続でしょうか。シニアと違ってジュニアは選手が次々と入れ替わっていくので、同じチームから毎年出るのは割と難しいのですが、濱田組は人が変わっていきながらも4人で5シーズン連続出場となっています。

そんな濱田組は、世界で一番女子にトリプルアクセルを飛ばせるノウハウが集まっている場所。河辺選手の二年先輩には紀平梨花選手がいますが、それだけでなく、二人の間に今シーズンからユヨン選手も加入しました。学年で言えばユヨン選手と同じでこの4月に高校1年生になります。濱田組トリプルアクセル豪華三人衆です(細田選手もいるけど)

 

来シーズンは年齢的にはシニアに上がることができます。ただ、今シーズンのベスト、また世界ランキングを考えると、シニアに上がってもグランプリ枠はほぼ間違いなくありません。NHK杯の地元枠なら回ってきそうな気もしますが、その1枠にかけるよりは、ジュニアで確実にジュニアグランプリシリーズ、という方がよいような気もしますが、濱田組はシニアに上がるのが早い傾向はあるように感じるのでどうするでしょうか。

 

シニアに上がるのがその次のシーズンでも北京オリンピックにはピッタリ間に合います。来シーズントリプルアクセルを完成させて200点をコンスタントに出せるようになり、ランキングも上げてからシニアに上がる。タイミング的には平昌の坂本選手と同じになる。

シニアデビューシーズンにグランプリシリーズで名を上げて全日本。ショートフリー、トリプルアクセル三本決めれば

そんな未来図が頭に浮かぶような選手です。

 

川畑和愛 19-20

2002年1月12日生まれ

ジュニア5シーズン目

所属:N高東京

スポンサー関連:

シーズン獲得賞金:$0

世界ランキング:69位

シーズンランキング:60位

シーズンベストスコア 193.96  全日本選手権

 (国際大会の最高は177.86(62位) JGP Baltic Cup)

ショートプログラムシーズンベスト 67.70 JGP Baaltic Cup

フリーシーズンベスト 128.43 全日本選手権

 (国際大会の最高は113.92 JGP Courchevel)

ショートプログラム楽曲: 美しく青きドナウ

フリープログラム楽曲: 夢二のテーマ

スピンレベル4率 32/48=66.7%(国際試合12/18=66.7%)

ステップレベル4率 2/16=12.5%(国際試合1/6=16.7%)

スピンオールレベル4 1/8(国際試合1/3)

スピンステップオールレベル4 0/8(国際試合0/3)

ジャンプ回転不足率  25/80=31.3%(国際試合7/30=23.3%)

ジャンプ回転不足なし試合 0/8(国際試合0/3)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/8

 

 ●川畑和愛選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
DL 関東サマートロフィー 2 161.69 51.06 27.40 24.66 110.63 58.76 51.87
JGP JGP Courchevel 5 171.67 57.75 28.18 29.57 113.92 57.69 56.23
JGP JGP Baltic Cup 5 177.86 67.70 39.02 28.68 110.16 54.93 56.23
RT 東日本選手権 3 150.34 59.06 32.46 26.60 91.28 40.28 52.00
NJ 全日本ジュニア 2 178.95 63.55 35.59 27.96 115.40 60.36 55.04
NC 全日本選手権 3 193.96 65.53 35.96 29.57 128.43 67.62 60.81
NG 国民体育大会 2 161.35 64.54 36.48 28.06 96.81 46.60 51.21
WJ World Junior 14 159.47 62.85 33.87 28.98 96.62 43.43 54.19

川畑選手は高校三年生として迎えた今シーズンがジュニア最後のシーズンになると思われます。まだ、国内が主戦場という選手です。

シーズン初戦は8月頭からサマートロフィーに出て161.69 とりあえずの調整試合なのでこんなもんでしょうか。

ジュニアなので国際試合の始まりも早く、サマートロフィーの二週後にはジュニアグランプリがあります。初戦は171.67 3回転-3回転がショートフリー共に決まらず、点を伸ばせませんでした。

2戦目はショートは67.70のパーソナルベストをマークの2位発進。しかしフリーが3-3決まらず、回転不足も二つと伸ばせずに、トータルは177.86の5位に終わりました。パーソナルベストではありますがもう少し欲しかったところ。これで2シーズンで4試合出場したジュニアグランプリシリーズはすべて5位という変わった結果になりました。

 

ジュニアはここから国内戦に移ります。川畑選手は東日本選手権からの登場。フリーで大崩れして150.34というシーズンワーストで3位に終わりますが、全日本ジュニアには普通に進出。

全日本ジュニアは優勝候補の一人ではあったのですが、ショートフリー共に2位で総合2位に終わります。優勝すれば世界ジュニア代表に決まるのですが2位だとまだ決まらない、という状態ですが3年連続の全日本への出場を果たします。

世界ジュニア代表を目指すための全日本だったはずですが、ここでショートからいい演技。3Lz-3Tは全選手中最高の加点をもらい7位でフリーに進みます。フリーはいくつか回転不足もありノーミスでは実はなかったのですが、128.43と初めて120点台に乗せたパーソナルベストでトータル193.96 上位が崩れてきたこともあって、まさかの3位表彰台となりました。

 

年が明けてからは国体を一つ挟んでから3月の世界ジュニアを目指すというスケジュール。

世界ジュニアは2年連続の出場だったのですが、ショートからコンビネーションで回転不足が出ると、フリーはダウングレード二つや転倒などもあり100点に届かないスコアで、159.47に終わり、残念ながらジュニア最後の試合はいい形で終われませんでした。

 

当初の予定ではこのあともう一試合、シニアの国際B級試合に出る予定だったのですが中止。世界ジュニアでシーズンを終えました。

 

 ●川畑和愛選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
DL 関東サマートロフィー 2 161.69 86.16 76.53 58.15 20.54 7.47
JGP JGP Courchevel 5 171.67 85.87 85.80 55.95 21.29 8.63
JGP JGP Baltic Cup 5 177.86 93.95 84.91 62.03 22.48 9.44
RT 東日本選手権 3 150.34 72.74 78.60 47.86 17.80 7.08
NJ 全日本ジュニア 2 178.95 95.95 83.00 66.12 20.93 8.90
NC 全日本選手権 3 193.96 103.58 90.38 70.00 21.62 11.96
NG 国民体育大会 2 161.35 83.08 79.27 53.10 21.40 8.58
WJ World Junior 14 159.47 77.30 83.17 49.14 20.77 7.39

要素別は150点台に終わった、はっきり言うと失敗だった試合二つはTESよりPCSの方が高くなっていますが、他はTESが高くなっています。

PCSは一番いい全日本では90点に乗っていますが、国際試合では85.80が最高。各要素の平均は国際試合では7点前後、全日本の時で7.5くらいとなります。

 

得意な要素はジャンプですが、ばらつきもすごく大きくなっています。

全日本ではジャンプで70点稼いでいて、これは、樋口選手の四大陸選手権(今シーズンのベスト)70.19とほぼ同じですので、シニアのチャンピオンシップの大会で十分通用するレベルです。国際試合で最高だったのは62.03ですが、これくらいだと悪くはないけどジャンプが得意ならもっと欲しいなあ、という位置です。

スピンは最高で22.48 170点台の選手としては悪くない水準です。日本のトップは24点台あるので、この先シニアに上がったらそれくらいまでは出したいです。

ステップは、全日本だけシニアカテゴリーでコレオシークエンスがついているので点が高くなっています。他はコレオなしでステップのみ。実質的に一番良いのはバルティックカップの9.44でこれにコレオが乗るとGOE+2もらえれば13.44にまでなります。今シーズン、樋口新葉選手が13.59、横井ゆは菜選手が13.60なので、ステップ系要素はシニアのこれくらいの位置の選手と遜色なく演じることができる力があるようです。

ただ、シニアのトップは15点台半ばまで出しますので、そのあたりの選手とは少し差があります。

 

 ●川畑和愛選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
関東サマートロフィー 2 50.97 55.55 53.42 50.27 53.50 48.26
JGP Courchevel 5 53.69 51.09 60.44 52.75 59.42 54.34
JGP Baltic Cup 5 55.37 56.23 58.59 56.70 63.33 53.76
東日本選手権 3 47.89 49.42 50.28 41.18 49.67 49.62
全日本ジュニア 2 55.66 59.04 58.91 51.56 59.19 52.50
全日本選手権 3 59.75 59.30 65.10 53.84 54.13 57.35
国民体育大会 2 50.88 50.83 56.04 53.12 58.97 50.06
World Junior 14 50.37 49.84 51.51 51.03 52.81 52.61

偏差値に直すと、トータルスコアは50台前半が多いです。全日本の190点台で偏差値60に近づきましたが、60には乗りませんでした。

ジャンプは基礎点は50台でGOEはいい時に60に乗ってきます。

スピンは50前後。本人比でほかの要素と比べると少し落ちるでしょうか。

ステップはジュニアなのでコレオ補正を加えた後で見て、50台後半が多く、いい時は60に乗ってきます。ステップでこれだけ評価が試合ごとにばらつくのは結構珍しいのですが、レベル4からレベル2まで、レベルでばらついてしまっているが原因です。

PCSは50前後。この辺はジュニア感が出ています。

 

川畑和愛スケート偏差値

レーダーチャートは右寄り。いい時はジャンプでしっかり稼げます、という形です。

世界ジュニアが一番内側の小さい六角形になってしまっているのが残念です。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Baltic Cup 1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
JGP Baltic Cup 2 3Lz+3T   10.10   2.11 12.21 3.556
JGP Baltic Cup 3 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.556
JGP Baltic Cup 4 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.333
JGP Baltic Cup 5 3Lo   5.39 x 1.61 7.00 3.333
JGP Baltic Cup 6 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 1.889
JGP Baltic Cup 7 CSp4   2.60   0.52 3.12 2.000
JGP Baltic Cup   TES   31.19   7.83 39.02  

ショートプログラムの基礎点最高は31.19でした。今シーズンのジュニアはループジャンプが必須要素になっているので、ループをフリップに変えて基礎点を上げる、という手は使えません。ここから基礎点を上げるならステップをレベル4にするというのがまずあります。それで0.6基礎点が上がります。あとはコンビネーションの1.1倍化。それによって0.52基礎点を上げられます。そこまで行くと32.31まで基礎点が上がります。

後、実は、スピンの基礎点が低いです。キャメルスピンCSpはレベルでも基礎点が2.60です。これをレイバックスピンに出来れば2.70に基礎点が上がります。そこまでいくと、基礎点が32.41となり、3A-3Tを投入する以外ではジュニアルールの最高基礎点となります。

この31.19でも、ジュニアとしてはかなり高めな基礎点になっています。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
全日本選手権 1 3Lz+3T   10.10   1.10 11.20 1.667
全日本選手権 2 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.111
全日本選手権 3 2A+3T   7.50   0.96 8.46 2.000
全日本選手権 4 3F<e e 3.18   -0.68 2.50 -1.889
全日本選手権 5 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.333
全日本選手権 6 CCoSp3   3.00   0.47 3.47 1.444
全日本選手権 7 2A+2T+2Lo< 6.56 X -0.28 6.28 -0.667
全日本選手権 8 3Lz   6.49 X 0.93 7.42 1.444
全日本選手権 9 3S   4.73 X 0.86 5.59 1.889
全日本選手権 10 FCSp4   3.20   0.55 3.75 1.556
全日本選手権 11 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.667
全日本選手権 12 FCCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.222
全日本選手権   TES   59.46   8.16 67.62  

フリーの基礎点最高は59.46でした。200点出す選手たちの多くは60点に基礎点を乗せているので、次の階段を上るにはそこまで基礎点が欲しいです。

全日本は好成績でしたのでノーミスだったように思われがちですが、回転不足が二つありました。フリップもeマークで基礎点から減点。ここを解消できれば1.39基礎点が上がるので、60.85にまでできます。後はスピンステップのレベル4化、で1.1基礎点が上がります。

61.95まで基礎点があると、200点台の選手と同等な水準になります。62点以上の基礎点を今シーズン出した選手は13人だけ。したがって、難易度を上げなくても、今の構成をミスなく演じることでそのレベルの選手と同じ水準の点数まで持っていけることになります。

現在の構成で2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。できれば、1.1倍のところにコンビネーションを二つ入れられるともう一段階基礎点を上げられるのですが、それは次の段階でしょうか。

 

●平均GOE+2.500以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Courchevel SP 1 2A   3.30   1.23 4.53 3.667
JGP Baltic Cup SP 2 3Lz+3T   10.10   2.11 12.21 3.556
JGP Courchevel SP 4 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.333
JGP Baltic Cup SP 4 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.333
JGP Baltic Cup SP 5 3Lo   5.39 x 1.61 7.00 3.333
JGP Courchevel SP 7 CSp4   2.60   0.78 3.38 3.111
JGP Baltic Cup SP 1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
World Junior SP 4 StSq2   2.60   0.78 3.38 3.000
JGP Baltic Cup FS 5 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
全日本選手権 SP 4 StSq2   2.60   0.78 3.38 2.778
全日本ジュニア SP 2 3Lz+3T   10.10   1.65 11.75 2.714
全日本ジュニア SP 4 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
JGP Courchevel FS 5 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
全日本選手権 FS 11 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.667
JGP Courchevel SP 6 CCoSp2V   1.88   0.48 2.36 2.556
JGP Baltic Cup SP 3 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.556
全日本選手権 SP 2 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.556

ここは、国際大会と全日本選手権、全日本ジュニアの5試合のみから抜き出しました。

評価の高い要素はジャンプが目立ちます。次にステップ。ジュニアでステップの評価が高い、という選手は少ないのですが、川畑選手はステップの評価が高い。まあ、年齢的には18歳で、今のシニアの上位選手と遜色ないですし、そう違和感あることでもないとは言えます。ただ、レベル3ナノは少し残念。

ジャンプの中では3Lz-3Tが多く出てきています。川畑選手が飛ぶ中で一番難易度の高いジャンプで加点が多く得られている、というのは強みです。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Courchevel FS 7 2A+2T+2Lo   6.93 x 0.66 7.59 2.000
JGP Baltic Cup FS 7 2A+2T+2Lo   6.93 x 0.28 7.21 0.889
World Junior FS 7 2A+2T+1Lo   5.61 x -0.57 5.04 -1.778
関東サマートロフィー FS 7 2A+2T+2Lo   6.93 X 0.55 7.48 1.600
東日本選手権 FS 7 2A<+2T+2Lo 6.20 X -0.10 6.10 -0.286
全日本ジュニア FS 7 2A+2T+2Lo   6.93 X 0.46 7.39 1.286
全日本選手権 FS 7 2A+2T+2Lo< 6.56 X -0.28 6.28 -0.667
国民体育大会 FS 7 2A+2T+1Lo   5.61 X -1.54 4.07 -4.600

3連続ジャンプは1.1倍の一つ目で入っていてダブルアクセルからと難易度は低めです。

8試合すべてこの7番目の要素でしっかり入っていて、ここでうまくいかなくて後からリカバリーというようなものがありませんでした。

ただ、ダブルアクセルで回転不足が1つと、最後のダブルループの回転不足1つ、さらには最後のループが1回転になること2つ、とあるので、成功率は50%にとどまっています。

 

●セカンド三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Courchevel FS 3 2A+3T< 6.66   0.10 6.76 0.222
JGP Baltic Cup SP 2 3Lz+3T   10.10   2.11 12.21 3.556
JGP Baltic Cup FS 3 2A+3T< 6.66   0.00 6.66 0.000
World Junior SP 2 3Lz+3T< 9.26   0.08 9.34 0.111
World Junior FS 1 3Lz+3T<< <<  7.20   -2.95 4.25 -5.000
関東サマートロフィー SP 2 3Lz+3T<< <<  7.20   -2.95 4.25 -5.000
関東サマートロフィー FS 3 2A+3T< 6.66   -0.23 6.43 -0.800
全日本ジュニア SP 2 3Lz+3T   10.10   1.65 11.75 2.714
全日本ジュニア FS 1 3Lz+3T   10.10   1.30 11.40 2.143
全日本ジュニア FS 3 2A+3T< 6.66   -0.14 6.52 -0.286
全日本選手権 SP 2 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.556
全日本選手権 FS 1 3Lz+3T   10.10   1.10 11.20 1.667
全日本選手権 FS 3 2A+3T   7.50   0.96 8.46 2.000
国民体育大会 SP 2 3Lz+3T< 9.26   0.59 9.85 1.000
国民体育大会 FS 1 3Lz+3T< 9.26   0.00 9.26 0.200
国民体育大会 FS 3 1A+3T< 4.46   -0.67 3.79 -2.400

セカンド三回転は、ショートでルッツ-トーループ。フリーはルッツ-トーループの他にダブルアクセルからのものもあります。

これが実は回転不足率が高いです。3Lz-3Tは要素として10回あるなかでダウングレード2つ、回転不足3つで、しっかり回転が足りたのは50%だけです。実際には最初から後ろを2回転にしたなどがあるので、成功率という見方だとさらに下がります。

ダブルアクセルからのものも5回あって回転不足が4回と、ほとんど成功がありません。ダブルアクセルがシングルになった時も、後ろのトーループが回転不足でした。

決まれば加点がしっかり取れる強みなのですが、成功率が低いというのが弱い部分で、全日本のように190点を超えるスコアを出せるのに、試合によっては150点台に終わってしまうのは、この辺の確度の低さによるものなようです。

 

●単独のルッツとフリップ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Courchevel FS 1 3Lz   5.90   1.26 7.16 2.222
JGP Courchevel FS 4 3Fe<< e 1.44   -0.72 0.72 -5.000
JGP Baltic Cup FS 4 3Fe< 3.18   -1.59 1.59 -5.000
JGP Baltic Cup FS 8 3Lz   6.49 x 0.67 7.16 1.222
World Junior FS 4 3F!<< <<  1.80   -0.90 0.90 -5.000
関東サマートロフィー FS 4 3F<! ! 4.24   -0.85 3.39 -1.800
関東サマートロフィー FS 8 3Lz   6.49 X 0.79 7.28 1.400
東日本選手権 FS 4 3F<! ! 4.24   -0.68 3.56 -1.429
全日本ジュニア FS 4 3F<! ! 4.24   -0.68 3.56 -1.714
全日本ジュニア FS 8 3Lz   6.49 X 0.12 6.61 0.143
全日本選手権 FS 4 3F<e e 3.18   -0.68 2.50 -1.889
全日本選手権 FS 8 3Lz   6.49 X 0.93 7.42 1.444
国民体育大会 FS 4 1Fe e 0.40   -0.12 0.28 -3.000
国民体育大会 FS 8 3Lz   6.49 X 1.38 7.87 2.400

単独ジャンプのルッツとフリップ。これは結構傾向がはっきりしています。

ルッツは、単独で飛ぶときはすべて成功ジャンプです。6回飛んですべて回転充足でGOEプラス。はっきり、得意ジャンプであることがわかります。

問題はフリップ。8回飛んで、ダウングレード2、回転不足5、1回転になったもの1なので、回転がしっかり足りたことがありません。また、eも3回ついています。

フリップのeや!は昨シーズンもついていましたので、もともと苦手は苦手だったのですが、それでも昨シーズンは回転は足りていました。それが今シーズンは回転が一度も足りずということで、かなり厳しいことになっています。

 

●単独のループとサルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Courchevel SP 5 2Lo   1.87 x 0.22 2.09 1.333
JGP Courchevel FS 2 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.444
JGP Courchevel FS 9 3S   4.73 x -0.43 4.30 -1.000
JGP Baltic Cup SP 5 3Lo   5.39 x 1.61 7.00 3.333
JGP Baltic Cup FS 2 3Lo   4.90   -0.56 4.34 -1.111
JGP Baltic Cup FS 9 3S   4.73 x 0.37 5.10 0.889
World Junior SP 5 3Lo   5.39 x 1.12 6.51 2.444
World Junior FS 2 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.778
World Junior FS 9 1S   0.44 x -0.01 0.43 -0.333
関東サマートロフィー SP 5 3Lo   5.39 X 0.65 6.04 1.200
関東サマートロフィー FS 2 3Lo   4.90   1.31 6.21 2.600
関東サマートロフィー FS 9 3S   4.73 X 0.00 4.73 -0.200
東日本選手権 SP 5 3Lo   5.39 X 1.08 6.47 2.286
東日本選手権 FS 2 3Lo< 3.92   -1.10 2.82 -2.571
東日本選手権 FS 9 3S< 3.78 X -0.07 3.71 -0.143
全日本ジュニア SP 5 3Lo   5.39 X 0.29 5.68 0.429
全日本ジュニア FS 2 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
全日本ジュニア FS 9 3S< 3.78 X -0.41 3.37 -1.143
全日本選手権 SP 5 3Lo   5.39 X 1.26 6.65 2.333
全日本選手権 FS 2 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.111
全日本選手権 FS 9 3S   4.73 X 0.86 5.59 1.889
国民体育大会 SP 5 3Lo   5.39 X 1.31 6.70 2.600
国民体育大会 FS 2 3Lo   4.90   1.31 6.21 2.800
国民体育大会 FS 9 3S<< <<  1.43 X -0.65 0.78 -5.000

ループとサルコウは、ループの方が得意なようです。

ループは合計16回、ショートフリーで1回づつある要素ですが、回転不足は2、1回転になったもの1 回転は足りたけどGOEマイナスが1 なので12回成功で成功率75%あります。

サルコウはフリーに1回あるので合計8回飛んで、ダウングレード1、回転不足が2、1回転になったもの1、回転が足りてGOEマイナスなものは2、ということでしっかりとした成功は2回だけで成功率25%となります。

 

●単独のアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Courchevel SP 1 2A   3.30   1.23 4.53 3.667
JGP Baltic Cup SP 1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
World Junior SP 1 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
World Junior FS 3 2A   3.30   0.61 3.91 1.667
関東サマートロフィー SP 1 2A   3.30   0.66 3.96 2.200
東日本選手権 SP 1 2A   3.30   0.92 4.22 2.714
東日本選手権 FS 3 2A   3.30   -1.65 1.65 -5.000
全日本ジュニア SP 1 2A   3.30   0.66 3.96 2.000
全日本選手権 SP 1 2A   3.30   0.71 4.01 1.889
国民体育大会 SP 1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000

単独のアクセルはそれなりの成功率です。10回飛んで1回転倒がありましたが、あとの9回は成功ジャンプです。GOEも+3まで達していることが何度かあります。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Courchevel SP 4 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.333
JGP Courchevel FS 5 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
JGP Baltic Cup SP 4 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.333
JGP Baltic Cup FS 5 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
World Junior SP 4 StSq2   2.60   0.78 3.38 3.000
World Junior FS 5 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.111
関東サマートロフィー SP 4 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.800
関東サマートロフィー FS 5 StSq2   2.60   0.69 3.29 2.600
東日本選手権 SP 4 StSq2   2.60   0.26 2.86 0.857
東日本選手権 FS 5 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
全日本ジュニア SP 4 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
全日本ジュニア FS 5 StSq4   3.90   0.78 4.68 2.000
全日本選手権 SP 4 StSq2   2.60   0.78 3.38 2.778
全日本選手権 FS 5 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.333
全日本選手権 FS 11 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.667
国民体育大会 SP 4 StSq3   3.30   1.21 4.51 3.600
国民体育大会 FS 5 StSq3   3.30   0.77 4.07 2.200

ステップはレベル3が標準ですが、4を取れることもあります。一方で、レベル2になることもすくなくありません。レベル2だと基礎点2.6 レベル4は基礎点3.9 基礎点だけで1.3違ってきますし、それがショートフリーと重なると結構な差となります。

GOEはそれなりに高いものをもらえていて+2台までは普通に出ますし、+3まで行くことも少なくありません。

シニアカテゴリーの試合は全日本選手権だけでしたが、そこでのコレオシークエンスはGOEが+2.667とそれなりにありました。

ステップ系要素の評価は高いので、あとはレベルを安定して取れるようになれば、シニアのカテゴリーの中でも得意要素と言えるようになります。

 

スピンはレベル4率66.7%なので、3つのうち1つはレベル4が取れない、ということになります。シニアのトップは90%くらいありますので、ここはトップ層との差になっています。

 

 

今シーズンがジュニア最終シーズンとなった川畑選手。全日本で3位表彰台という素晴らしい成績を上げました。ただ、ジュニアカテゴリーの試合では残念ながら結果が出せなかった印象です。全日本ジュニアは優勝候補に挙がっていましたが、勝ち切れず。世界ジュニアも昨シーズンより順位を落としてしまいました。

N高東京。実は紀平梨花選手の先輩。まあ、通信制ですので、学内での接点とかそういうのないんでしょうけど、インターハイとか出たら実は強かったのですが、二人とも出ていません。そこに視点はあてていないのでしょう、川畑選手も。

青い衣装でトリプルルッツ-トリプルトーループを豪快に飛ぶ。進学先は早稲田大学、と、なんとなく永井優香選手を彷彿させるものがあります。

 

全日本で結果は出せたのですが、国際大会で結果が出なかったので、来シーズンシニアに上がった時点でのグランプリシリーズの出場枠が微妙です。2枠はないですし、1枠も怪しい。

世界ランキングもシーズンベストも50位以下ですので、出場権確保は難しい情勢です。この位置の選手のシニアデビューシーズンは、割とNHK杯の地元枠が回って来ることが多いのですが、それ狙いになるでしょうか。

 

来シーズン、グランプリシリーズの枠が取れなかった場合は、チャレンジャーシリーズに多めに派遣してもらえたらな、と思います。ほとんどの選手はチャレンジャーシリーズは1試合、時折例外的に2試合な選手もいるのですが、グランプリ2戦がないなら、できればグランプリシリーズの裏でやっている時期のチャレンジャーシリーズも含めて3試合派遣してほしい。

チャレンジャーシリーズは単なる国際B級大会よりポイントが高いので世界ランキングを上げやすいのと、ISU公認スコアになるので、シーズンベストスコアを上げるのに大事な試合です。その、シーズンベストスコアを高めるチャンスをなるべく増やしてほしい。

幸い、川畑選手は全日本3位になっているので、来シーズンはシードで、地方大会に出場せずとも無条件に全日本に出られます。なので、全日本前はすべて国際大会に充てることができる。

 

まだ、ベストスコアは170点台ですし、世界の上位と戦うには差があるのは事実ですが、3シーズン前までは全日本ジュニアでフリーに進めなかった選手が、高校3年間で全日本の表彰台に上るところまで来ました。15歳でシニアデビューしていく選手が多いフィギュア界ですが、大学に上がったところでシニアデビューして、それからさらに成長していく、そんな選手に川畑選手はなっていけるのではないかと思っています。

 

 

 

 

本田真凜 19-20

2001年8月21日生まれ

シニア3シーズン目

Twitter Instagram

所属:JAL 青森山田高校

スポンサー関連: JAL アクアバンク EQWEL ほか

CM:シャープAQUOS ガーナアイス ガーナチョコレート 読売新聞 コーセー

マネジメント会社:IMG

シーズン獲得賞金:$0

世界ランキング:33位

シーズンランキング:31位

シーズンベストスコア 179.26(56位) スケートカナダ

ショートプログラムシーズンベスト 65.92 全日本選手権

 (国際大会の最高は61.73 スケートカナダ)

フリーシーズンベスト 120.06 スケートカナダ

ショートプログラム楽曲: Seven Nation Army

フリープログラム楽曲: La La Land より

スピンレベル4率 27/30=90.0%(国際試合22/24=91.7%)

ステップレベル4率 4/10=40.0%(国際試合4/8=50.0%)

スピンオールレベル4 2/5(国際試合2/4)

スピンステップオールレベル4 1/5(国際試合1/4)

ジャンプ回転不足率  20/50=40.0%(国際試合15/40=37.5%)

ジャンプ回転不足なし試合 0/5(国際試合0/4)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/5

 

 ●本田真凜選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
CS Nebelhorn Trophy 5 174.01 58.08 27.16 30.92 115.93 54.77 62.16
GP Skate Canada 6 179.26 59.20 27.95 31.25 120.06 57.44 62.62
GP Cup of China 7 168.09 61.73 30.59 32.14 106.36 44.57 62.79
NC 全日本選手権 8 181.34 65.92 32.92 33.00 115.42 51.79 64.63
IC Bavarian Open 2 178.24 61.72 32.00 30.72 116.52 56.08 61.44

本田真凜選手は今シーズン国際試合4試合と全日本選手権に出場しました。このほかに国内の地方ローカル大会にも出場していますが、それらは省きます。

シーズン初戦はチャレンジャーシリーズネーベルホルン杯。ショートフリー共にジャンプが決まらず得点が伸び悩み174.01でスタートします。

グランプリシリーズを今年も2戦確保。初戦のスケートカナダは交通事故という大事件の直後でショートはやはりジャンプ決まらず60点に届きません。フリーは体調不良を考慮に入れてか大幅に構成を落としましたが、結果としてジャンプで回転不足なし、とまずまずの出来で今シーズン唯一の120点越えとなりました。

グランプリ二戦目は中国杯。ここで初めて今シーズンショートで60点越えの61.73 フリーは得点伸びず106.36に終わり、シーズンワーストのトータル168.09に終わりましたが、スピンステップはオールレベル4としぶとく点を拾ったことで7位に入り、ランキングポイントは確保しています。

全日本はショートで久しぶりに笑顔で負われる出来で国内参考記録ながら65.92と、以前の水準のスコアにまで戻ってきて最終グループ入り。ただ、回転不足が二つあったことも事実です。フリーはその流れで回転不足4つ、2回転になるもの1つと、ジャンプで点が伸びず、トータルで何とか180点には乗せたものの8位に終わりました。

シーズン後半は国際B級大会にエントリー。ノービス時代以来のハバリアンオープンで178.24  得点は伸びませんでしたが、順位としては紀平梨花選手に次ぐ2位となりました。

 

本田真凜選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS Nebelhorn Trophy 5 174.01 81.93 93.08 46.90 21.21 13.82
GP Skate Canada 6 179.26 85.39 93.87 53.20 18.67 13.52
GP Cup of China 7 168.09 75.16 94.93 38.46 22.41 14.29
NC 全日本選手権 8 181.34 84.71 97.63 48.59 22.71 13.41
IC Bavarian Open 2 178.24 88.08 92.16 53.44 21.80 12.84

要素別は5試合全試合で技術点寄り演技構成点の方がはっきりと高くなっています。PCSの一番高いスコアは94.93 中国杯はトータルスコアが168.09で終わっているのですが、トータル160点台の選手がPCSで合計95点近く出ているというのは、今シーズン他におらず破格のスコアです。今シーズンPCSで94.93というのは全体で24位。シーズンベストスコア順位を考えると極めて高い評価と言えます。

ジャンプが苦手要素。中国杯の38.46はあまりにあれですが、良かった方の試合スケートカナダハバリアンオープンでも53点台に終わっていて、これは順位に直すと100位近いです。このスコアだとちょっと苦しい。

スピンは22点台までは出ます。得意とは言えませんが、180点前後の選手としては普通くらいです。

ステップ系要素は中国杯で14.29をマーク。日本人選手はステップ系要素が得意な選手が多く、宮原選手、坂本選手、紀平選手と、評価が高すぎて目立てませんが、実際には本田選手も世界で見ても12番目のスコアとなっており、かなりの得意要素になっています。

 

本田真凜選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Nebelhorn Trophy 5 54.32 47.14 54.14 52.49 62.54 59.12
Skate Canada 6 55.75 49.35 59.84 44.07 61.18 59.64
Cup of China 7 52.71 45.20 44.06 56.46 64.67 60.33
全日本選手権 8 56.31 50.27 49.49 57.46 60.69 62.10
Bavarian Open 2 55.47 52.43 52.74 54.44 58.11 58.51

160点後半から180点前半というスコアは、偏差値にすると55前後になります。

ジャンプの偏差値が低め。基礎点から50を割ることがありますし、GOEも50を割って来る。スケートカナダのように構成を落とすとGOEで60近い偏差値が出せるのですが・・。

スピンはスケートカナダがしくじってますが後は50台中盤でトータルスコア並みの偏差値ですから、本人比で得意でも不得意でもない普通の位置と見てよいのでしょう。

ステップは中国杯で偏差値60台半ば。それ以外の試合も偏差値60に達していて、やはり得意要素となります。

PCSも60前後。トータルスコアから見ると高評価を得ている側にあります。

 

この偏差値見ると不思議なのですが、各要素で一番いい点になった試合がほぼばらばらです。

ベストスコアは全日本で出てますが、ジャンプの基礎点はハバリアンオープンで一番高くなりました。ジャンプのGOEは難易度下げたスケートカナダで高くなり、スピンは全日本が良いのですが、ステップは中国杯が高いです。

各要素でいいものが全部一試合にそろえば190点くらいまでは出せるのですが、なかなかそれが揃わないようです。

 

 

本田真凜スケート偏差値

レーダーチャートははっきりと左よりです。

ステップとPCSで稼ぐ構図。魅せるスケートなのだけど、今の競技会ルールだと不利になる、というチャート構造になってしまっています。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Bavarian Open 1 3Lo+3T   9.10   1.37 10.47 2.714
Bavarian Open 2 3F< 4.24   -2.12 2.12 -5.000
Bavarian Open 3 FSSp4   3.00   0.48 3.48 1.429
Bavarian Open 4 2A   3.63 x 0.53 4.16 1.429
Bavarian Open 5 LSp4   2.70   0.65 3.35 2.429
Bavarian Open 6 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
Bavarian Open 7 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
Bavarian Open   TES   29.47   2.53 32.00  

ショートプログラムのシーズン最高基礎点は29.47でした。30点に乗っていないのは、上位で勝負しようとすると苦しいです。トリプルアクセル無しの究極としてシェルバコワ選手の33.78がありますが、そこまでいかないにしても32点台を上位は持っています。

まず、最高基礎点の時でも回転不足がある、というのが苦しい状態です。フリップの回転不足を解消できればそれだけで1.06基礎点が上がります。また、ステップをレベル4に持っていければ0.6上がります。この二つで31.13まで基礎点を上げることができます。

まず目指すのはその31点台の基礎点になっているのだろうと思われます。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Bavarian Open 1 3Lo+3T   9.10   1.37 10.47 2.714
Bavarian Open 2 3F< 4.24   -2.12 2.12 -5.000
Bavarian Open 3 FSSp4   3.00   0.48 3.48 1.429
Bavarian Open 4 2A   3.63 x 0.53 4.16 1.429
Bavarian Open 5 LSp4   2.70   0.65 3.35 2.429
Bavarian Open 6 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
Bavarian Open 7 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
Bavarian Open   TES   29.47   2.53 32.00  

フリーの基礎点最高は51.25 これはかなり厳しいスコアです。

回転不足が二つ、ダブルアクセルは一つシングルになり、フリップはリピート扱いで基礎点を引かれています。

2回飛ぶジャンプはフリップとループ。ルッツが構成にありません。

まず、この構成でジャンプをしっかり飛べた場合、8番目の3Fはおそらく3F-2Tのコンビで10番目の要素は単独2Aだと考えられますので、その前提で計算すると、56.87まで基礎点は上がります。これでもまだ50点台半ばです。ステップをレベル4に上げられれば57.47までは上がります。それがこの構成のままでの限界です。

これより上げていくにはルッツの投入が求められます。

上位で戦う選手は基礎点60点を超えてくるのですが、そこと並んでいくには、ルッツを入れてセカンド3Tを2つ入れるか、今の構成のまま高いGOEを得ていくかの選択になっていきます。

 

●平均GOE+2.600以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nebelhorn Trophy FS 6 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
Nebelhorn Trophy SP 6 StSq3   3.30   1.12 4.42 3.429
Skate Canada SP 6 StSq3   3.30   1.08 4.38 3.333
全日本選手権 SP 6 StSq3   3.30   1.27 4.57 3.333
Bavarian Open FS 6 StSq3   3.30   1.12 4.42 3.286
全日本選手権 SP 5 LSp4   2.70   0.89 3.59 3.111
Nebelhorn Trophy SP 5 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
Nebelhorn Trophy SP 7 CCoSp3V   2.25   0.68 2.93 3.000
Nebelhorn Trophy FS 12 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
Skate Canada FS 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Cup of China SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
全日本選手権 FS 12 LSp4   2.70   0.89 3.59 3.000
全日本選手権 FS 6 StSq3   3.30   1.04 4.34 2.889
Cup of China FS 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.778
Cup of China FS 12 LSp4   2.70   0.73 3.43 2.778
Nebelhorn Trophy FS 5 CCoSp4   3.50   0.98 4.48 2.714
Bavarian Open SP 1 3Lo+3T   9.10   1.37 10.47 2.714
Bavarian Open SP 6 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
Bavarian Open FS 1 3Lo   4.90   1.37 6.27 2.714
Skate Canada SP 5 LSp4   2.70   0.69 3.39 2.667

評価の高い要素はやはりステップが並んでいます。ステップは平均GOEで+3を超える要素が軒並み並んでいます。スピンからは主にレイバックスピンが高評価。

一方、ジャンプはあまり高評価がないのですが、ハバリアンオープンでは、ショートフリー共に冒頭のループからのジャンプが高評価でした。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nebelhorn Trophy FS 8 3Lo<+1Eu+2S 6.29 x -0.31 5.98 -0.857
Skate Canada FS 8 2A+1Eu+2S   5.61 x 0.28 5.89 0.889
Cup of China FS 8 2A+2T+2Lo< 6.56 x -0.24 6.32 -0.667
Bavarian Open FS 7 3Lo+2T+2Lo   8.69 x 0.98 9.67 1.857
全日本選手権 FS 8 3F<!+2T<+2Lo ! 7.68 X -0.91 6.77 -1.667

3連続ジャンプは5回飛んで回転不足が3回ありました。GOEがプラスになったのは2回だけと、成功率は高くありません。ハバリアンオープンの3Loからの3連続が唯一、ある程度の難易度と評価が両立していました。

どの試合でもこれくらいの評価がもらえるとよいのですが。

  

●セカンド三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nebelhorn Trophy SP 1 3Lo<+3T 8.12   0.34 8.46 0.857
Nebelhorn Trophy FS 2 3F+3T   9.50   1.27 10.77 2.286
Skate Canada SP 1 3Lo+3T< 8.26   -0.07 8.19 -0.111
Cup of China SP 1 3Lo+3T< 8.26   -0.21 8.05 -0.444
Bavarian Open SP 1 3Lo+3T   9.10   1.37 10.47 2.714
Bavarian Open FS 2 1A+3T   5.30   0.50 5.80 1.143
全日本選手権 SP 1 3Lo+3T< 8.26   0.14 8.40 0.444

ジャンプはあまり得意ではないと言いつつも、セカンド三回転は普通に要素として入ってきます。

ショートでは基本的に冒頭に3Lo-3Tのコンビネーションを飛びます。残念ながら5分の4で回転不足が出てしまっていますが、ハバリアンオープンは決めてきて、GOE+2.714の高評価です。

フリーではネーベルホルン杯で3F-3Tと難易度高めな組み合わせで成功させました。

現在のジャンプの構成からすると、セカンド3回転をフリーで2回入れる必要はない、というか2回入れると、余るジャンプが出てきてしまうので1回しか入れられないのですが、その場合はハバリアンオープンのように、ダブルアクセルからの組み合わせにするのが点が取りやすいのではないかと思います。ハバリアンオープンでは、1Aになってしまっていますけれど。

 

●単独のルッツとフリップ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nebelhorn Trophy SP 2 2F* * 0.00   0.00 0.00  
Nebelhorn Trophy FS 1 3Lz< 4.72   -0.09 4.63 -0.286
Skate Canada SP 2 2F!* * 0.00   0.00 0.00  
Skate Canada FS 1 3F! ! 5.30   0.15 5.45 0.333
Cup of China SP 2 3F< 4.24   -2.12 2.12 -5.000
Cup of China FS 1 3F< 4.24   -1.58 2.66 -3.667
Cup of China FS 2 3F<<+REP <<  1.26   -0.82 0.44 -4.222
Bavarian Open SP 2 3F< 4.24   -2.12 2.12 -5.000
Bavarian Open FS 4 3F< 4.24   -0.59 3.65 -1.286
Bavarian Open FS 8 3F<+REP 3.26 x -2.12 1.14 -5.000
全日本選手権 SP 2 3F<! ! 4.24   -0.42 3.82 -0.778
全日本選手権 FS 1 3Lz< 4.72   -2.36 2.36 -4.444
全日本選手権 FS 4 2F! ! 1.80   -0.08 1.72 -0.333
全日本選手権 FS 10 3F<! ! 4.66 X -0.85 3.81 -1.778

単独ジャンプの成功率も高くないのが痛いところ。

ルッツは今シーズン2回チャレンジして2回とも回転不足でした。

フリップもショートでは5回飛んで2回は2回転になって零点。3回は回転不足となっています。フリーのフリップも回転不足4回、ダウングレード1回、2回転になったもの1回で、回転足りたのは1回だけで、そこでも!がついてしまっています。

ルッツがだめでもフリップが得意ならもう少し点が出せるのですが、フリップもうまく跳べていないのが苦しいところです。

 

●単独のループとサルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nebelhorn Trophy FS 3 3S   4.30   0.95 5.25 2.143
Nebelhorn Trophy FS 7 3Lo< 4.31 x -1.96 2.35 -5.000
Skate Canada FS 3 3S   4.30   0.86 5.16 2.000
Skate Canada FS 7 3Lo   5.39 x 1.12 6.51 2.222
Cup of China FS 3 3S   4.30   1.11 5.41 2.556
Cup of China FS 7 3Lo   5.39 x 0.70 6.09 1.556
Bavarian Open FS 1 3Lo   4.90   1.37 6.27 2.714
Bavarian Open FS 3 3S   4.30   0.60 4.90 1.571
全日本選手権 FS 3 3Lo   4.90   1.47 6.37 2.556

ループとサルコウは比較的成功率高く入っています。

単独ループはネーベルホルン杯こそ転倒していますが、あとは加点がついています。サルコウも4回飛んで4回成功です。

これくらい成功率あると、安心して見ていられます。

 

●単独のアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nebelhorn Trophy SP 4 2A   3.63 x 0.79 4.42 2.571
Nebelhorn Trophy FS 4 2A   3.30   0.53 3.83 1.571
Nebelhorn Trophy FS 10 1A   1.21 x 0.00 1.21 0.000
Skate Canada SP 4 2A   3.63 x 0.71 4.34 2.222
Skate Canada FS 4 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
Cup of China SP 4 2A   3.63 x 0.57 4.20 1.667
Cup of China FS 4 1A   1.10   0.05 1.15 0.667
Bavarian Open SP 4 2A   3.63 x 0.53 4.16 1.429
全日本選手権 SP 4 2A   3.63 X 0.80 4.43 2.111
全日本選手権 FS 2 2A   3.30   0.80 4.10 2.000

単独アクセルはそれなりの成功率です。ただ、10回飛んで2回はシングルアクセルになってしまっているのは残念なところ。GOEは2点台は出ています。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nebelhorn Trophy SP 6 StSq3   3.30   1.12 4.42 3.429
Nebelhorn Trophy FS 6 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
Nebelhorn Trophy FS 11 ChSq1   3.00   1.10 4.10 2.286
Skate Canada SP 6 StSq3   3.30   1.08 4.38 3.333
Skate Canada FS 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Skate Canada FS 11 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
Cup of China SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Cup of China FS 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.778
Cup of China FS 11 ChSq1   3.00   1.21 4.21 2.556
Bavarian Open SP 6 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.714
Bavarian Open FS 6 StSq3   3.30   1.12 4.42 3.286
Bavarian Open FS 11 ChSq1   3.00   1.20 4.20 2.429
全日本選手権 SP 6 StSq3   3.30   1.27 4.57 3.333
全日本選手権 FS 6 StSq3   3.30   1.04 4.34 2.889
全日本選手権 FS 11 ChSq1   3.00   1.50 4.50 2.556

ステップの評価は高いです。5試合で10回あって、一番低い評価でもGOE+2.556

平均GOEが+3以上が多く、レベル4がしっかり取れればステップ一つで5点に届きます。シーズン後半、全日本以降、ステップがレベル3になってしまっているのは惜しまれます。

不思議なのはコレオシークエンス。評価は基本的に+2台です。多くの選手が、フリーではステップとコレオで、あとの方にある要素で評価が高くなるという傾向があるのですが、本田真凜選手は、5試合すべて、あとの方にあるコレオよりも、中盤に入っているステップのGOEの方が高くなっています。

これは、体力的な問題なのでしょうか。確かに終盤のコレオは、もう少しスパイラルが長めでもいいし、もっと流れと勢いのある振りでもいいかなあ、とも感じました。

 

一つ一つは載せませんが、スピンはレベル4率が90%に達しました。90%超えてくるとトップ選手の水準と言えそうです。例えば、今シーズンのザギトワ選手が90.5%でした。

昨シーズンはレベル4率が3分の2しかありませんでしたから、そこから比べるとだいぶレベル4率が上がりました。

ステップのレベル4も昨シーズンは1回だけでしたので、スピンステップでレベル4を取るのが普通、となってきたのが、昨シーズンから今シーズンへ向けての一番大きな進歩なんだろうと見て取れます。 

 

今シーズンがシニア3シーズン目の本田真凜選手。旧ルールではありますが、200点スコアを持っている一人です。残念ながら、成績としては一番悪いシーズンとなってしまいました。全日本こそ昨シーズンの二桁順位から8位まで戻しましたが、国際大会でのシーズンベストが180点に届かず終わってしまっています。

世界ランキングも高くないので、来シーズンのグランプリシリーズの出場枠獲得は微妙な情勢。二枠はまずない、一枠だけならなんとか、というあたりの位置にいるでしょうか。

ジャンプの手直し、というのがアメリカに渡るにあたっての課題だったようですが、これはなかなか進んでいないのか、進んでいる途中、一旦壊している途中なのか、まだ結果にまではつながっていません。

それでも、スピン、ステップはレベルアップして、悪いながらも点を確保する、ということができるようになりました。

今の段階だと、もうルッツ、フリップ無し、の構成にしてしまって、基礎点低めでも加点を稼いで、ショートでTES36のPCS32、フリーでTES66、PCS66で合計200点 というのを狙うのが確率高くてよいようにも感じます。

ただ、それは、引退する最後のシーズンにすることで、まだ発展途上の時期には、フリップも入れ、3-3も入れ、さらにはルッツを入れようとしていく、というのでたぶん良いのでしょう。ルッツ無くてもフリップがちゃんと降りられるようになれば200点までは問題なく出せるように戻ります。計算上。

 

今シーズンのショートプログラムは昨シーズンからの持越しのセブンネーションアーミー。フリーはラ・ラ・ランド。なんか、赤着ても青着ても、あるいはピンク着ても、何着ても似合ってる感があるのはすごいなと。それも才能だよな、と思います。

フリーは、ロミオとジュリエットトゥーランドット、Loversと来てのラ・ラ・ランド。ストーリー性のある濃い楽曲が好みなようですが、そういったものが似合ってるように感じます。

 

シニアに上がって以降いろいろな意味で苦労をしてきた選手なのだと思います。それこそ、ただ見ているだけのファンからは想像もできないような苦労をしてきたのだと思います。

結果の出せない苦しい時期が続いていますが、この4月で大学生になったばかり。他の競技なら、まだまだこれからという時期です。

息の長い活躍を期待したいと思います。

 

 

山下真瑚 19-20

2002年12月31日生まれ

シニア2シーズン目

 

所属:中京大中京高校

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シーズン獲得賞金:$2,000

世界ランキング:23位

シーズンランキング:62位

シーズンベストスコア 189.25(36位) NHK杯

ショートプログラムシーズンベスト 66.64 全日本選手権

 (国際大会の最高は65.70 NHK杯)

フリーシーズンベスト 123.55 NHK杯

ショートプログラム楽曲: セビリアの理髪師より Una voce poco fa

フリープログラム楽曲: セントオブウーマン

スピンレベル4率 27/36=75.0%(国際試合14/18=77.8%)

ステップレベル4率 0/12=0.00%(国際試合0/6=0.00%)

スピンオールレベル4 1/6(国際試合1/3)

スピンステップオールレベル4 0/6(国際試合0/6)

ジャンプ回転不足率  12/60=20.0%(国際試合5/30=16.7%)

ジャンプ回転不足なし試合 0/6(国際試合0/3)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/6

 

 ●山下真瑚選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
DL げんさんサマーカップ 10 151.11 61.12 32.40 28.72 89.99 38.79 51.20
CS Nepela Memorial 6 163.54 55.99 28.03 28.96 107.55 51.99 56.56
GP Skate America 12 142.40 46.21 20.01 26.20 96.19 46.05 51.14
RT 西日本選手権 6 160.09 58.73 31.53 28.20 101.36 48.56 52.80
GP NHK Trophy 5 189.25 65.70 35.99 29.71 123.55 63.71 59.84
NC 全日本選手権 11 170.75 66.64 36.52 30.12 104.11 47.03 57.08

山下真瑚選手はシニア2シーズン目。今シーズン、記載以外にも愛知県内のローカル大会などに出ていますが、ここに載せる国内の大会はシーズン開幕初戦の他は、全日本選手権につながる大会までとしました、

初戦は8月前半にあるげんさんサマーカップ。ショートの61.12も山下選手からするとそれほど良い点数ではないですが、フリーの89.99はシニアに上がって以来最低という低いスコアでした。どうもこの時点からケガに悩まされていたようで、とにかく心配な立ち上がりでした。

国際大会初戦は9月後半のネペラメモリアル。ショート冒頭のコンビネーションジャンプ転倒で始まって、いいところなく、という感じで163.54の6位。ランキングポイントはある程度確保しましたが、昨シーズン200点に乗せた選手とは思えないスコアになってしまっています。

グランプリシリーズに入ってスケートアメリカはさらに悪化して、ショートで40点台、フリーも100点に届かずのスコアで142.40  タイミング的に出場しないといけなかった西日本選手権も160.09に終わります

今シーズン唯一良かったのはNHK杯。ショートはオール加点のシーズンベスト。フリーもフリップで一つ減点がついた以外はそつなくこなし189.25まで持ってきます。

これくらい回復すれば、全日本は四大陸の出場権くらいまでは狙えるかな? と思ったのですがショートで全要素加点で66点台まで出したものの、フリーで崩れて11位に終わりました。

シーズン後半は、出ようと思えばインターハイなど試合はあったのですが、ケガということで欠場。全日本でシーズン終えることとなりました。

 

●山下真瑚選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
DL げんさんサマーカップ 10 151.11 71.19 79.92 42.86 18.71 9.62
CS Nepela Memorial 6 163.54 80.02 85.52 49.51 19.32 11.19
GP Skate America 12 142.40 66.06 77.34 37.73 17.93 10.40
RT 西日本選手権 6 160.09 80.09 81.00 50.76 19.94 9.39
GP NHK Trophy 5 189.25 99.70 89.55 67.78 20.69 11.23
NC 全日本選手権 11 170.75 83.55 87.20 52.58 20.60 10.37

要素別は、6試合中5試合でTESよりPCSの方が高くなっています。かと言って、PCS寄りの選手、とはちょっといいがたく、シーズンベストのNHK杯では技術点の方がしっかり高くなっていました。ちゃんと滑れば技術点の方が高くなるという選手です。

PCSは一番いいNHK杯で89.55 これは各要素7.5平均程度のスコアとなります。上位陣とはだいぶ差があるのが現実です。

スピンは20.69が最高。日本の上位は24点台、世界では27点台までいることを考えるとこれも低め。トータルスコアのシーズンベストは30位台なのに、スピンのスコアのベストは160位台になりますから、本人比で苦手要素と言えそうです。

ステップ系要素はNHK杯の11.23が最高。ここも、日本のトップイコール世界のトップが15点台出すのと比べて差があります。

今シーズンはケガの影響でジャンプが安定しなかったようですが、一番いい試合では67.78までは獲っています。これは、ザギトワ選手の67.80とほぼ並ぶ数字。本調子でないなかでもそれくらいのスコアは出せていて、やはり得意はジャンプ、というのが見て取れます。

 

 ●山下真瑚選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
げんさんサマーカップ 10 48.10 42.98 57.20 44.20 43.55 50.48
Nepela Memorial 6 51.48 49.12 53.90 46.22 50.65 54.16
Skate America 12 45.73 47.68 36.73 41.61 47.08 48.79
西日本選手権 6 50.54 50.11 53.71 48.28 42.51 51.19
NHK Trophy 5 58.47 58.11 64.09 50.76 50.83 56.80
全日本選手権 11 53.44 49.94 57.31 50.46 46.94 55.26

偏差値で表すと、トータルスコアは50前後になってしまっています。シーズンベストのNHK杯で58.47  ケガさえなければ偏差値60くらいの選手なのかな、という風に見えます。

ケガの影響でジャンプがしっかり決まらなかったことで、ジャンプの偏差値も低めですが、何とか決めてきたNHK杯は基礎点で60近く、GOEでは65に近い偏差値となりました。

スピンステップは良くて偏差値50程度。本人比苦手で全選手中で普通、というくらいの位置にいます。

 

 

 

山下真瑚スケート偏差値

レーダーチャートで見ると、いい試合は右寄り、ジャンプよりというチャートです。

国内大会は全日本だけ載せています。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
NHK Trophy 1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.444
NHK Trophy 2 2A   3.30   0.85 4.15 2.667
NHK Trophy 3 FCSp4   3.20   0.37 3.57 1.222
NHK Trophy 4 3Lo   5.39 X 0.42 5.81 0.778
NHK Trophy 5 SSp4   2.50   0.32 2.82 1.222
NHK Trophy 6 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.111
NHK Trophy 7 CCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.556
NHK Trophy   TES   31.29   4.70 35.99  

ショートプログラムは31.29が最高基礎点でした。良くもなく悪くもなくくらいなスコアです。坂本花織選手の31.49の少し下。

坂本花織選手と構成は似ていて、差がついているのはスピンの部分です。構成にシットスピンを入れている数少ない選手の一人なのですが、このシットスピンがレベル4で基礎点2.5と低めです。坂本選手のレイバックスピン2.7との0.2の差が、ショート全体の基礎点差となってます。

ジャンプは単独ジャンプにループを選んで、これを1.1倍に入れています。フリップにすればもう少し点が上がりますが、後述するようにフリップは苦手。コンビネーションの1.1倍化の方がもしかしたら早いかもしれません。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
NHK Trophy 1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
NHK Trophy 2 2A   3.30   0.85 4.15 2.444
NHK Trophy 3 3Lo   4.90   0.98 5.88 1.889
NHK Trophy 4 3S+2T+2Lo   7.30   0.49 7.79 1.222
NHK Trophy 5 FCSp4   3.20   0.18 3.38 0.556
NHK Trophy 6 ChSq1   3.00   0.50 3.50 0.889
NHK Trophy 7 3Lz+2T   7.92 X 0.84 8.76 1.444
NHK Trophy 8 3F<! ! 4.66 X -0.85 3.81 -2.000
NHK Trophy 9 SSp4   2.50   0.32 2.82 1.222
NHK Trophy 10 StSq3   3.30   0.42 3.72 1.444
NHK Trophy 11 2A   3.63 X 0.57 4.20 1.667
NHK Trophy 12 CCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.333
NHK Trophy   TES   57.31   6.40 63.71  

フリーの基礎点最高は57.31 このスコアは、190点を出す選手としては低めだなという印象になります。

2回飛ぶジャンプはルッツだけ。コンビネーションの二つ目にもう一回3Tを付けたいというのが本当にやりたい構成なのかな? というのがその辺から感じられます。昨シーズンはそういう構成で3Lz-3Tが二つ入る試合が多かったです(一つは3連続でもう一つ2Tがつく)。

また、上位選手は三連続ジャンプを1.1倍のところに入れることが多いのですが、山下選手はそうはなっていない構成です。1.1倍のところの構成がやや弱い。その辺が上位との差になっている部分でもあります。

200点に乗せる選手は、フリーの基礎点は60点台に乗っていることがほとんどですし、山下選手自身も昨シーズンスケートカナダで200点に乗せた時は基礎点61点台ありました。

上記の57.31も、2Tが3Tに一つ変われば60点台に乗りますし、基本的にはそれくらいの構成を作りたいんだろうな、と思われます。

 

●平均GOE+1.800以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
NHK Trophy SP 2 2A   3.30   0.85 4.15 2.667
NHK Trophy FS 1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
Nepela Memorial SP 2 2A   3.30   0.86 4.16 2.571
NHK Trophy SP 1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.444
NHK Trophy FS 2 2A   3.30   0.85 4.15 2.444
全日本選手権 SP 2 2A   3.30   0.90 4.20 2.444
全日本選手権 SP 6 StSq2   2.60   0.67 3.27 2.333
Nepela Memorial FS 3 3Lo   4.90   1.08 5.98 2.143
NHK Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.111
全日本選手権 SP 4 3Lo   5.39 X 1.12 6.51 2.111
全日本選手権 SP 7 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.111
全日本選手権 SP 1 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.000
全日本選手権 SP 5 SSp4   2.50   0.54 3.04 2.000
Skate America FS 2 2A   3.30   0.61 3.91 1.889
NHK Trophy FS 3 3Lo   4.90   0.98 5.88 1.889
Nepela Memorial SP 6 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.857
Nepela Memorial FS 2 2A   3.30   0.59 3.89 1.857
Nepela Memorial FS 11 3S   4.73 x 0.77 5.50 1.857

ここは、げんさんサマーカップと西日本選手権といった、全日本以外の国内試合は外しました。

山下選手の中で評価が高い要素はやはりジャンプです。上の方にはダブルアクセルと3Lz-3Tが並びます。ケガさえなければ3Lz-3Tがショートフリーで3回出てくる上に加点が大きい、という強力構成が組めるんでしょうか。

今シーズンは調子が良くなかったこともあって、全体的に加点は小さかったように見えます。平均GOEが+3を超える要素がない、というのは上位で戦うには苦しいところ。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
NHK Trophy FS 4 3S+2T+2Lo   7.30   0.49 7.79 1.222
西日本選手権 FS 4 3S+2T+2Lo   7.30   0.34 7.64 0.714
全日本選手権 FS 1 3Lz<+3T+2T 10.22   0.13 10.35 0.333

3連続ジャンプはサルコウからの2T,-2Loが基本でシーズン序盤は入れていましたが、全日本は3Lz-3T-2Tの昨シーズンの構成に戻そうとしました。

6試合出て3連続ジャンプが3つしかない、ということは3試合では入れられなかったということになります。山下選手の場合、序盤に3連続を入れているので、後半にリカバリーすることも理論的には可能なわけですが、そういう形にもなっていません。ジャンプ苦しんだんだなあ、というのが感じられる一つの部分でもあります。

 

●セカンド三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
NHK Trophy SP 1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.444
NHK Trophy FS 1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
げんさんサマーカップ SP 1 3S+3T   8.50   0.86 9.36 2.000
西日本選手権 SP 1 3Lz+3T< 9.26   -2.95 6.31 -5.000
西日本選手権 FS 1 3Lz+3T   10.10   1.06 11.16 1.571
全日本選手権 SP 1 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.000
全日本選手権 FS 1 3Lz<+3T+2T 10.22   0.13 10.35 0.333

コンビネーションは基本が3Lz-3Tです。サマーカップはシーズン初戦で、足の具合も悪かったのか例外的に3S-3Tにしています。

3Lz-3Tで決まればGOE+2台が出るので、大きな得点源になってます。これがショートフリーで合計3つ出せるようになると強いのですが今シーズンはそこまではいかず。それができたのが昨シーズンのスケートカナダで、200点到達の原動力となっていました(その時はすべてGOE+3台)

 

●単独のルッツとフリップ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nepela Memorial SP 1 3Lz   5.90   -2.95 2.95 -5.000
Nepela Memorial FS 1 3F!<< <<  1.80   -0.90 0.90 -5.000
Skate America SP 1 3Lz   5.90   -1.69 4.21 -2.889
Skate America FS 1 3F   5.30   -2.65 2.65 -5.000
Skate America FS 7 3Lz   6.49 x -1.69 4.80 -2.889
NHK Trophy FS 8 3F<! ! 4.66 X -0.85 3.81 -2.000
げんさんサマーカップ FS 4 2F   1.80   0.00 1.80 0.000
西日本選手権 FS 7 3Lz<< <<  2.31 X -1.05 1.26 -5.000
西日本選手権 FS 8 2F   1.98 X 0.11 2.09 0.429
全日本選手権 FS 7 3Lz< 5.19 X -0.40 4.79 -0.889
全日本選手権 FS 8 3F<<! ! 1.98 X -0.87 1.11 -4.000

単独三回転の成功率が残念ながらあまり高くない今シーズンでした。ルッツは本当はコンビネーションにしたいのかと思いますが、単独になっていたのが5回あり、ダウングレード1に回転不足1、転倒2などですべてGOEはマイナスです。

もっとつらいのが実はフリップで、これはもともと単独ジャンプとして入れている要素なはずですが、6試合で6回飛んで、2回転になったのが二つ、ダウングレード二つ、回転不足1に転倒は2 回転が足りて着氷したフリップジャンプというのが実はありません。

昨シーズンはフリップジャンプの成功もゼロではなかったので、全く飛べないということではないのですが、計算の出来るジャンプではなく、とても確率は低いというのは現実として認めなくては行けなさそうです。

 

●単独のループとサルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nepela Memorial FS 3 3Lo   4.90   1.08 5.98 2.143
Nepela Memorial FS 11 3S   4.73 x 0.77 5.50 1.857
Skate America FS 3 3Lo   4.90   0.84 5.74 1.667
Skate America FS 11 3S< 3.78 x -1.33 2.45 -3.778
NHK Trophy SP 4 3Lo   5.39 X 0.42 5.81 0.778
NHK Trophy FS 3 3Lo   4.90   0.98 5.88 1.889
げんさんサマーカップ SP 4 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 2.000
げんさんサマーカップ FS 1 3Lo   4.90   0.10 5.00 0.200
げんさんサマーカップ FS 3 3Lo<<+REP <<  1.19   -0.78 0.41 -4.600
げんさんサマーカップ FS 8 2S   1.43 X -0.08 1.35 -0.600
西日本選手権 SP 4 3Lo   5.39 X 1.27 6.66 2.571
西日本選手権 FS 3 3Lo   4.90   1.18 6.08 2.429
全日本選手権 SP 4 3Lo   5.39 X 1.12 6.51 2.111
全日本選手権 FS 3 3Lo   4.90   0.98 5.88 1.778
全日本選手権 FS 11 3S< 3.78 X -0.49 3.29 -1.222

ループとサルコウで並べていますが、この二つだとループの方が得意そうですトリプルループは11回飛んで1回はダウングレードになる失敗がありますが、あとは成功ジャンプです。GOEは基本的に+2台まで出ます。ループからのコンビネーションにして1.1倍に3連続入れる、なんてしたらもう少し全体の基礎点高められたりするような気がしないでもない。

サルコウは意外と成功率低く、4回飛んで2回転になったのが1回、回転不足2回で成功したのは1回だけ。この辺ももう少し安定感欲しいんでしょうか。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Nepela Memorial SP 6 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.857
Nepela Memorial FS 6 ChSq1   3.00   0.60 3.60 1.000
Nepela Memorial FS 10 StSq3   3.30   0.40 3.70 1.143
Skate America SP 6 StSq3   3.30   0.38 3.68 1.111
Skate America FS 6 ChSq1   3.00   0.14 3.14 0.333
Skate America FS 10 StSq3   3.30   0.28 3.58 0.778
NHK Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.111
NHK Trophy FS 6 ChSq1   3.00   0.50 3.50 0.889
NHK Trophy FS 10 StSq3   3.30   0.42 3.72 1.444
げんさんサマーカップ SP 6 StSq2   2.60   0.16 2.76 0.600
げんさんサマーカップ FS 6 ChSq1   3.00   0.90 3.90 1.800
げんさんサマーカップ FS 10 StSq2   2.60   0.36 2.96 1.400
西日本選手権 SP 6 StSq2   2.60   0.78 3.38 3.143
西日本選手権 FS 6 ChSq1   3.00   0.20 3.20 0.571
西日本選手権 FS 10 StSq2   2.60   0.21 2.81 0.857
全日本選手権 SP 6 StSq2   2.60   0.67 3.27 2.333
全日本選手権 FS 6 ChSq1   3.00   0.71 3.71 1.111
全日本選手権 FS 10 StSq3   3.30   0.09 3.39 0.111

ステップシークエンスはレベル3が基本的ですが、国内大会ではレベル2も目立ちます。昨年も含め、まだレベル4を取ったことがありません。GOEは+1台が多く、時折+2台まで伸びるというくらいな位置です。

コレオシークエンスの評価があまり高くありません。GOEは+0台になっていて、加点がほとんどとれていません。

ステップ系要素は、シニアの上位と戦っていくには、まだまだ、という現実があります。

 

また、具体的に記しませんが、スピンのレベル4率もシニアのトップとしてはあまり高くない75%にとどまっています。スピンも、レベル4なことが多いけれど、安定して常にレベル4でレベル3なときは取りこぼし、と言えるほどのレベル4率にはなっていません。

スピンステップでレベルを上げる、というのも一つの課題として残っているようです。

 

現行ルールでは7人、ISU公認では6人しかいない、日本人の200点スコアラーの一人です。ジュニア最終シーズンには世界ジュニアでトゥルソワ選手、コストルナヤ選手に次ぐ3位表。下には、イムウンス、横井ゆは菜、紀平梨花、ユヨンといった錚々たるメンバーを抑えて表彰台に乗っていました。昨シーズンはグランプリデビュー戦で表彰台。今年もその勢いで行ってほしかったのですが、ケガがだいぶ響いてしまったようでした。

 

ステップの点の伸びなさなど含め、まだなんとなくジュニア感は残っているのですが、16歳でのシーズンですから、普通の日本人考えたら、ジュニアなんですよねあたりまえに。

宇野選手が抜けたことで、山田真知子先生というか樋口先生というか、のチームの筆頭格になりました。山田先生のところは、ジュニアのうちにジャンプ、表現は年齢を経てから、というような方針で昔は育てているようなことをおっしゃっていましたが、今も同じでしょうか。そうなると、山下選手も、この先、表現面での進歩も見られて、二十歳ごろになるとトータルバランスの優れた全体のレベルの高い選手、となっていくようにも感じられます。

ショートフリーで合わせて3本の3Lz-3Tが決まると、特にフリーで後半3Lz-3Tなんかが決まってくると盛り上がるので、来シーズンはケガからの復活を期待したいです。