羽生結弦 19-20

1994年12月7日生まれ

シニア10シーズン目

 

所属: ANA

スポンサー関連:ANA 味の素 ファイテン 西川 他

CM:ガーナチョコレート ロッテガム 雪肌精 他

シーズン獲得賞金:$75,000

世界ランキング:2位

シーズンランキング:1位

シーズンベストスコア 322.59(2位) スケートカナダ

ショートプログラムシーズンベスト 111.82 四大陸選手権

フリーシーズンベスト 212.99 スケートカナダ

ショートプログラム楽曲: Otoñal  → バラード1番

フリープログラム楽曲: Origin → SEIMEI

スピンレベル4率 36/36=100.0%

ステップレベル4率 8/12=66.7%(国際試合7/10=70.0%)

スピンオールレベル4 6/6

スピンステップオールレベル4 2/6(国際試合2/5)

ジャンプ回転不足率  10/60=16.7%(国際試合7/50=14.0%)

ジャンプ回転不足なし試合 1/6(国際試合1/5)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/6

 

 ●羽生結弦選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
CS Autumn Classic 1 279.05 98.38 53.03 46.35 180.67 90.97 89.70
GP Skate Canada 1 322.59 109.60 61.13 48.47 212.99 116.59 96.40
GP NHK Trophy 1 305.05 109.34 61.23 48.11 195.71 101.57 94.14
GPF Grand Prix Final 2 291.43 97.43 50.10 47.33 194.00 100.36 93.64
NC 全日本選手権 2 282.77 110.72 62.33 48.39 172.05 83.33 89.72
4CC Four Continents 1 299.42 111.82 63.42 48.40 187.60 97.32 91.28

羽生選手は今シーズン国際大会5試合プラス全日本で6試合言出場しました。

例年通りのスケジュール、初戦はオータムクラシックです。279.05というのは羽生選手としてはあまりよくないですが、いつも初戦はそれほどよくないので、まあ、こんなもんですかね、といったところ。

グランプリシリーズに入ると本領発揮。実は勝っていなかったスケートカナダ。ここで322.59というビッグスコアを出して優勝します。メンバー的には、どうやっても勝つでしょ、と外野は思う試合でしたが、本人的には、なぜか勝てないというジンクス的なもののある大会。アクセル踏み切っちゃいましたでしょうか。

久しぶりの登場となったNHK杯も300点越えのスコアでしっかり勝ちます。

 

そしてシーズン中盤の山場、グランプリファイナル。ネイサンチェン選手との一騎打ちという構図でしたが、ショートで崩れてしまって結果的には大敗。ただ、点差ほどの差は感じていないと本人も言っていましたでしょうか。見ていても、確かに、点差ほどの差は感じない、というのはありました。

全日本も久しぶりの登場となりました。これは今シーズンの調子からするとしっかり勝つのかな、と思ったこの試合はフリーで大崩れして宇野選手に敗北。連戦の疲れも見受けられましたが、宇野選手との直接対決での初めての敗戦となりました。

 

年が明けて四大陸選手権。もうこれは出なくていいんじゃ? と思ったりしますが、獲ってないビッグタイトルはこれだけ、とのことで取りに行き、プログラムもオリンピックと取った時のものにショートフリー共に変更。ショートで111.82のワールドレコード。フリーは伸びませんでしたがしっかりと勝ち、スーパースラムを達成しました。

 

世界選手権が中止となったため、ここでシーズン終了となりました。

 

 ●羽生結弦選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS Autumn Classic 1 279.05 144.00 136.05 102.71 25.88 15.41
GP Skate Canada 1 322.59 177.72 144.87 136.16 26.49 15.07
GP NHK Trophy 1 305.05 162.80 142.25 120.36 26.26 16.18
GPF Grand Prix Final 2 291.43 150.46 140.97 109.14 26.50 14.82
NC 全日本選手権 2 282.77 145.66 138.11 103.99 26.47 15.20
4CC Four Continents 1 299.42 160.74 139.68 119.28 26.09 15.37

要素別を見ると、技術点の方が演技構成点より高いのは当然ですが、演技構成点も常に高いレベルにあります。スケートカナダの144.87は今シーズンの全選手中最高点です。

ジャンプは一番悪い時でも100点を超えてきます。136.16はネイサンチェン選手に次いで今シーズン2番目です。

スピンは26点台。これが他の要素よりやや落ちて、今シーズン全体で6位。上に5人います。

ステップ系要素はNHK杯で16.18という高いスコアを上げています。ただ、これでも全選手中3位。

ジャンプ、スピン、ステップ、すべてにおいてベストスコアはネイサンチェン選手に今シーズン負けていました。

 

 ●羽生結弦選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Autumn Classic 1 69.07 69.47 54.67 67.06 68.94 68.95
Skate Canada 1 80.17 74.60 86.44 68.96 67.33 74.30
NHK Trophy 1 75.70 67.63 80.24 68.24 72.57 72.71
Grand Prix Final 2 72.23 65.35 70.66 68.99 66.15 71.93
全日本選手権 2 70.02 68.38 58.38 68.90 67.95 70.20
Four Continents 1 74.26 71.61 71.19 67.71 68.75 71.15

偏差値に直すと、スケートカナダのトータルスコアは80に乗りました。

ジャンプは崩れた時は基礎点の偏差値が60台半ばまで下がってきます。一方、しっかり決まった時は基礎点で75ほどまで、加点は偏差値80台後半まで伸びます。

スピンは60台後半。もうなんか、偏差値70乗らないと低い、みたいな水準にいますこの選手。

ステップはしっかりレベルを取り加点もよかったNHK杯で偏差値70に乗りました。

PCSは偏差値70台が標準です。

やはり、全選手の中で比べると、異常値レベルのハイスコアを持っているというのが偏差値並べると見えます。

 

 

羽生結弦スケート偏差値

レーダーチャートは、ジャンプのGOEが良い時は突出する、という点を取るときに必要な姿になっています。

ステップが、意外と凹む位置にあることが多いです。案外レベル4を取り損ねたりすることが多い要素だったりするためです。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
NHK Trophy 1 4S   9.70   3.74 13.44 3.889
NHK Trophy 2 3A   8.00   3.89 11.89 4.778
NHK Trophy 3 4T+3T   15.07 X 2.44 17.51 2.667
NHK Trophy 4 FCSp4   3.20   0.82 4.02 2.444
NHK Trophy 5 CSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
NHK Trophy 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
NHK Trophy 7 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
NHK Trophy   TES   46.37   14.86 61.23  

ショートプログラムの基礎点最高は46.37 これは全選手中5位です。飛ぶジャンプがサルコウトーループなので、ルッツを入れてくる選手はこれより上を作ることが普通に可能です。

この構成の時、全要素GOE満点が出た場合の加点は20.40 したがって、技術点満点は66.77になり、トータルスコアの満点は116.77となります。実際のスコアが109.34なので、極めて満点に近いスコアを出してきている、というのがわかります。

四大陸選手権でもそうなのですが、基礎点自体は他の選手がもっと高いものを持っているのですが、極めて高い完成度で、その構成での計算上の満点に近い得点までもっていく、というのは羽生選手のショートプログラムになっています。

  

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate Canada 1 4Lo   10.50   -0.15 10.35 0.000
Skate Canada 2 4S   9.70   3.05 12.75 3.333
Skate Canada 3 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
Skate Canada 4 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
Skate Canada 5 3Lz   5.90   2.19 8.09 3.778
Skate Canada 6 4T   9.50   3.94 13.44 4.111
Skate Canada 7 4T+1Eu+3F   16.83 x 4.07 20.90 4.333
Skate Canada 8 3A+3T   13.42 x 2.51 15.93 3.111
Skate Canada 9 3A+2T   10.23 x 1.37 11.60 1.556
Skate Canada 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.667
Skate Canada 11 FCSSp4   3.00   1.07 4.07 3.556
Skate Canada 12 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.444
Skate Canada   TES   92.98   23.61 116.59  

フリーの基礎点最高は92.98 これはネイサンチェン選手に次ぐ今シーズン2番目のスコアです。四回転は4本。四回転5本を回転不足なく入れているネイサンチェン選手には、さすがに基礎点段階では勝てません。ただ、コンビネーションをすべて1.1倍に入れるなど、高い基礎点になっていくような工夫は入っています。

二回飛ぶジャンプは四回転トーループトリプルアクセル。単独のトリプルルッツ以外は、すべてトリプルアクセルコンビネーション以上の難度というすごい構成です。

グランプリファイナルではルッツ入りの四回転5本を試していましたが、得意のトリプルアクセルが1回転半になるなどして、結果的に基礎点は伸びていません。やろうとしたことが全部できていた場合は基礎点100.37でネイサンチェン選手を上回ることになる可能性がありました。

 

●平均GOE+4.200以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate Canada SP 2 3A   8.00   4.00 12.00 4.889
NHK Trophy SP 2 3A   8.00   3.89 11.89 4.778
Grand Prix Final SP 2 3A   8.00   3.77 11.77 4.667
Four Continents SP 4 3A   8.80 x 3.77 12.57 4.667
Autumn Classic SP 2 3A   8.00   3.68 11.68 4.571
Skate Canada SP 1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
Skate Canada SP 6 StSq3   3.30   1.51 4.81 4.556
Four Continents SP 1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
Four Continents FS 3 3A   8.00   3.66 11.66 4.556
Four Continents FS 11 ChSq1   3.00   2.29 5.29 4.556
Four Continents SP 2 4T+3T   13.70   4.21 17.91 4.444
Skate Canada FS 7 4T+1Eu+3F   16.83 x 4.07 20.90 4.333
NHK Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
NHK Trophy FS 10 ChSq1   3.00   2.21 5.21 4.333
Grand Prix Final SP 6 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.333
Autumn Classic SP 3 4T+3T   15.07 x 3.99 19.06 4.286
Grand Prix Final SP 1 4S   9.70   4.16 13.86 4.222

平均GOEの高い評価、+4.000で切ってもあまりにも多すぎたので、+4.200という、多くの選手が取ったこともない水準で切ってみます。

上の方にはトリプルアクセルが並んでいるというのが非常に特徴的です。スケートカナダでは、9人いるジャッジのうち1人だけが+4で後は+5評価。低い評価一人は採点に使われず切られるので、得られた加点は+4.00であり、結果的に加点満額を得ました。ジャンプの加点満額というのは、現行ルールでは全選手中初になります。

トリプルアクセルの次には四回転サルコウが入ります。ステップコレオを一つづつ挟んで四回転トーループのコンビネーション。ショートプログラムで飛ぶのはこの三種類なわけですから、世界最高得点が出るのもうなづけます。

逆に、これも特徴的なのですが、スピンが一つもいません。まあ、+4.0にはスピンもいるので、苦手ということは全然言えないのですが、やはり相対的にはジャンプやステップよりもポイントが取れていないというか、加点が取れていないということになります。

また、全日本選手権の要素が表中に一つもありません。本人比で、全日本というのは、やはり全体的に出来が良くなかったんだな、というのがこの辺にも表れています。

 

●四回転のルッツとループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic FS 1 4Lo   10.50   -2.94 7.56 -2.571
Skate Canada FS 1 4Lo   10.50   -0.15 10.35 0.000
NHK Trophy FS 1 4Lo   10.50   1.65 12.15 1.556
Grand Prix Final FS 1 4Lo   10.50   4.05 14.55 3.778
Grand Prix Final FS 2 4Lz   11.50   3.94 15.44 3.222
Four Continents FS 1 4Lz   11.50   -3.78 7.72 -3.222
全日本選手権 FS 1 4Lo   10.50   -1.80 8.70 -1.333

四回転ルッツを今シーズン2回要素に入れましたが、成功1、失敗1となっています。ルッツが計算できるジャンプになると、ショートプログラムにも入れることができるようになっていって、さらに得点が上がる可能性がありますので、この先二シーズン、ポイントになる要素だと思います。

ループは5試合でフリー冒頭に飛んでGOEプラスは2回です。ただマイナスもそれほど大きくないので、失敗と前は言い難い。三回転のジャンプを入れた時と比べればおつりは来る点数は得ています。

三回転以下と異なり、四回転の場合は一番難しいのはループなのではないかとおもっているのですが、そのループで抜けもなく転倒もなく着氷し続けているのは羽生結弦選手しかいません。

 

●四回転サルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 1 4S< 7.76   -3.88 3.88 -5.000
Autumn Classic FS 2 4S   9.70   -2.72 6.98 -2.857
Skate Canada SP 1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
Skate Canada FS 2 4S   9.70   3.05 12.75 3.333
NHK Trophy SP 1 4S   9.70   3.74 13.44 3.889
NHK Trophy FS 2 4S   9.70   3.19 12.89 3.333
Grand Prix Final SP 1 4S   9.70   4.16 13.86 4.222
Grand Prix Final FS 6 4S   9.70   2.22 11.92 2.333
Four Continents SP 1 4S   9.70   4.43 14.13 4.556
Four Continents FS 2 4S   9.70   3.88 13.58 4.000
全日本選手権 SP 1 4S   9.70   4.30 14.00 4.000
全日本選手権 FS 2 4S   9.70   2.77 12.47 2.556

四回転サルコウはショートフリーで1回づつ飛んで、回転不足1、回転足りてのGOEマイナスが1で後の10回は成功ジャンプです。失敗したのは初戦のオータムクラシックのみ。基本的には成功率高い信用できるジャンプと言えそうです。

スケートカナダ四大陸選手権と2度、平均GOE+4.556という高い評価を得ました。これは今シーズンの全選手の四回転サルコウ中最高の評価です。

 

●四回転トーループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 3 4T+3T   15.07 x 3.99 19.06 4.286
Autumn Classic FS 6 4T< 7.60   0.46 8.06 0.571
Autumn Classic FS 7 4T<+1Eu+3S 13.64 x 0.46 14.10 0.571
Skate Canada SP 3 4T+3T   15.07 x 1.90 16.97 1.889
Skate Canada FS 6 4T   9.50   3.94 13.44 4.111
Skate Canada FS 7 4T+1Eu+3F   16.83 x 4.07 20.90 4.333
NHK Trophy SP 3 4T+3T   15.07 X 2.44 17.51 2.667
NHK Trophy FS 6 4T   9.50   2.71 12.21 2.889
NHK Trophy FS 8 4T+3T< 14.15 X -0.14 14.01 0.000
Grand Prix Final SP 3 4T+COMBO   10.45 x -4.75 5.70 -5.000
Grand Prix Final FS 7 4T+1Eu+3F< 15.66 x -2.31 13.35 -2.556
Grand Prix Final FS 8 4T+2T   11.88 x 1.90 13.78 1.889
Four Continents SP 2 4T+3T   13.70   4.21 17.91 4.444
Four Continents FS 7 4T+1Eu+3S   15.73 x -0.95 14.78 -0.889
Four Continents FS 8 4T< 8.36 x -3.80 4.56 -5.000
全日本選手権 SP 2 4T+3T   13.70   4.34 18.04 4.000
全日本選手権 FS 6 4T   9.50   -2.44 7.06 -2.111
全日本選手権 FS 7 4T+1Eu+3F< 15.66 X -1.76 13.90 -1.444

トーループは6試合で18回、ショートではコンビネーションジャンプ、フリーでは単独とコンビネーション一本づつ、という構成です。

回転不足が6回あります。意外と回転不足率が高い要素です。これはトーループが苦手、ということではなく、後半、あるいは後半に近い位置に来てから飛ぶ、ということによる体力的な面からの影響かと思われます。ショートでは六回飛んで回転不足は一度もありません。

3連続ジャンプを4回転トーループから飛ぶ、という選手は男子ではネイサンチェン選手と羽生結弦選手の二人しかいません。女子でトゥルソワ選手が飛んでいたりしますけど

四回転からの3連続でスケートカナダではGOE+4.333という驚異的な値をたたき出しています。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 2 3A   8.00   3.68 11.68 4.571
Autumn Classic FS 8 3A+2T   10.23 x 0.64 10.87 0.714
Autumn Classic FS 10 3A+3T< 12.50 x 0.00 12.50 0.143
Skate Canada SP 2 3A   8.00   4.00 12.00 4.889
Skate Canada FS 8 3A+3T   13.42 x 2.51 15.93 3.111
Skate Canada FS 9 3A+2T   10.23 x 1.37 11.60 1.556
NHK Trophy SP 2 3A   8.00   3.89 11.89 4.778
NHK Trophy FS 9 3A+1Eu+3S   14.08 X 2.74 16.82 3.222
Grand Prix Final SP 2 3A   8.00   3.77 11.77 4.667
Four Continents SP 4 3A   8.80 x 3.77 12.57 4.667
Four Continents FS 3 3A   8.00   3.66 11.66 4.556
Four Continents FS 9 3A+3T   13.42 x 2.74 16.16 3.556
全日本選手権 SP 3 3A   8.80 X 2.63 11.43 3.000
全日本選手権 FS 8 3A+3T< 12.50 X 0.46 12.96 0.444
全日本選手権 FS 9 3A< 7.04 X -3.20 3.84 -4.444

羽生選手と言えば何と言ってもトリプルアクセルだと思っているのは私だけなんでしょうか。

これが意外とミスが出ることもあって、全日本では回転不足があり、おーたむくらしっくや全日本ではコンビネーションの後ろで回転不足が出ました。

一方で、スケートカナダでは加点+4.0という実質満点評価を受けていたりもします。

今シーズンの要素としては入っていませんが、練習などでは見せている3A-3Aというシークエンス。かつて会見で、「羽生」と名のついた技を開発したいと思わないか? と問われて、そういうのどう答えていいんだか? みたいな反応を羽生選手がしていて、一般的にも、なんだその質問は? という感じだったりしましたが、私はもう、この3A-3Aみたいなものを、HanyuなりYuzuruなり、そんな俗称にしてしまえば? と思うくらいにトリプルアクセルが羽生選手のイメージになっています。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
Autumn Classic FS 4 StSq4   3.90   1.25 5.15 3.286
Autumn Classic FS 11 ChSq1   3.00   1.80 4.80 3.429
Skate Canada SP 6 StSq3   3.30   1.51 4.81 4.556
Skate Canada FS 4 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
Skate Canada FS 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.667
NHK Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
NHK Trophy FS 4 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
NHK Trophy FS 10 ChSq1   3.00   2.21 5.21 4.333
Grand Prix Final SP 6 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.333
Grand Prix Final FS 4 StSq3   3.30   1.18 4.48 3.667
Grand Prix Final FS 10 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
Four Continents SP 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.111
Four Continents FS 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 3.889
Four Continents FS 11 ChSq1   3.00   2.29 5.29 4.556
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   1.73 5.63 4.000
全日本選手権 FS 4 StSq3   3.30   1.27 4.57 3.333
全日本選手権 FS 10 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.667

ステップとコレオの評価も当然高いです。コレオの最高評価は四大陸選手権のGOE+4.556 ステップもやはり4.556がスケートカナダであります。ただ、ステップはレベル3が結構目立ちます。ステップはレベル4を安定して取るのがかなり難しいようですが、加点を増やすよりもレベルを安定して取る方が高い点数を安定して取るには求められそうです。

 

また、スピンが今シーズンレベル4率100%でした。スピンはステップと比べるとレベル4が取りやすい要素ではありますが、それにしても6試合に出て100%というのは素晴らしいことです。90%を超える選手は結構いますが100%はなかなかいません。

 

 

羽生選手も今シーズン途中に25歳になりました。シニアに上がって早くも10シーズンです。初めて四大陸選手権に出たのが2011年。初めて世界選手権に出たのが2012年。その頃から世界で戦い続けているメンバーは、もう何人も現役に残っていません。

何よりすごいのが、オリンピックで金メダルを取った後も戦い続けていること。それも、一つではなく、二つ取ってもまだ試合に出続ける。

女子のザギトワ選手のところで触れましたが、オリンピックで金メダルを取ってからもグランプリシリーズレベルの試合に出続ける選手は稀です。男子ではプルシェンコ選手が金メダル獲得後も現役は長く続けましたが、グランプリシリーズレベルの試合には出てきませんでした。

それが、6分間練習で激突して出血しても包帯巻いて試合に出る。足のケガがあっても次の試合に出てくる。そこまでできる精神構造っていうのはどうなっているんでしょう?

 

あと取っていないタイトルは、強いて言えばグランプリシリーズの全種類制覇というのがあります。浅田真央さんが成し遂げたもの。これが実はまだ結構遠くて、中国、フランスにスケートアメリカも獲ってません。その辺はほとんど出場がないんですね。スケートアメリカは12年に一度出ただけ、フランスは13年、中国は11年14年と2回。目指してなさそうですし、この先もNHK杯が固定で入ったりすると取りにもなかなか行けないのですが、そういう勲章は、一応まで手に入っていないものとしてあります。

 

今シーズンのプログラムは昨シーズンからの持越し。ショートがジョニーウィアーさん、フリーがプルシェンコさん。完成したプルシェンコさん、じゃなくて、完成したOriginを見たかったのですが、年越してからはプログラム変更、平昌オリンピックシーズンの二つに戻しました。

バラード1番はこれで何シーズン目カウントになるんでしょう。ずいぶん滑っている印象です。羽生選手の代表作ということにたぶんなるんでしょうけど、私の中ではショートはパリの散歩道の印象の方が強いんですが、少数派なんですかね。あれはもしかしたら、若いころ、挑戦者立ち位置だったからこそ似合ったプログラムだった部分もあるのかもしれませんので、復刻していま滑るというのは競技会でやるとちょっと違う感がでてしまうのかもしれません。

フリーのSEIMEIは羽生選手と言えばこれ、というプログラム。和の選択肢としてこういうのもあるんだな、というのも最初の時に感じました。女子だとSayuriとか蝶々夫人とかいった選択肢があったのですが、男子だとそれは選べない。という中でこれは新しいと思ったのですが、もう、ここまで来てしまうと、ほかの選手にとっては選択肢として選べないですね。かつて、ラフマニノフの2番を、浅田真央さんの次のシーズンにジュニア1年目の青木祐奈選手が選んだ時に、すごい度胸しているな、と思いましたが、あれはまだ、それ以前に数多くの選手が演じたプログラムでもありました。それに対してSEIMEIは羽生選手以前が知っている限りで無いので、SEIMEI=羽生結弦、な構図がある。つぎにSEIMEIを他の選手が選べるのは2030年頃でしょうか。この30年のオリンピックで滑りたいんです、と佐藤駿選手が挨拶に行く、なんてシーンもあったりして。それまでは、羽生ゆずれない、しか出来ないんだろうと思います。

 

羽生選手の話題としては四回転アクセルというのもあるでしょうか。

基礎点12.5 4回転ルッツより+1.0です。トリプルアクセルから+4.5 不思議なもので、ダブルアクセルからトリプルアクセルになると+4.7ですから、点の増え方が小さくなっています。ジャンプ高難度化でジャンプ依存の流れを止めたい、という意志がいくらかあるのだと思いますが、この傾向から考えると、得点としては4回転アクセルの習得を目指すのはそれほど得策とは思えません。それよりは四回転五種類や、セカンド3Loを入れていく方が得策です。

ただ、もはやそういうことではないんだろうな、というのは感じます。個人的には、四回転アクセルは見てみたいような、そこで無理するよりも完成度の高い演技を見ている方がいいような、微妙なところ

ただ、先行きの見通しとしては厳しくなってきたかなと感じます。おそらく、練習不足の時期が何か月かあったうえでシーズンが始まると、四回転アクセルに力を入れている時間はない。シーズン終盤になってくると、そういういったチャレンジジャンプを入れている余裕はない。そして、その次のシーズンになるとオリンピックなので、やはりチャレンジジャンプしている余裕はない。

ちょっと難しいんだろうな、と思いますけど、無理はしないでほしいですね。

 

最近は毎シーズンケガをしていて、シーズン中盤が休みになる傾向がありましたが、今シーズンは中盤の試合も出ずっぱり。NHK杯、ファイナル、全日本の2週おき3連戦は、日本のトップ選手がずっとやってきたことなのですが、今シーズンの羽生選手はここがうまく乗り切れませんでした。スケジュールのつくり方がひどい、という批判もあるようですが、本来の羽生選手なら調整可能だったと思います。ただ、最近はその流れがなかったので、うまく乗り切れなかった。今シーズンも結局世界選手権がなかったので、一シーズンしっかり滑りきるということ自体は出来ませんでしたが、調整までは済んでいた段階ですので、流れの感覚は取り戻せたと思います。

来シーズン、どの程度通常時と同じスケジュールになるかはわかりませんが、いつもと同じスケジュールで行けるなら、今度は問題なく3連戦も乗り切れるのではないかと思います。

 

来シーズン、新しいプログラムを用意するのか、何か復刻版で滑るのかわかりません。

ただ、北京で終わりだとすると、新しいものを導入できるのは来シーズンが最後という可能性がかなりあるので、できれば、新プログラムを見たいなと思います。振付師とリンクで滑る時間もとれていないでしょうから難しいかもしれませんが、新、代表作の誕生を期待したいです。