アジア大会2018が閉幕しました
競泳の池江璃花子選手の活躍、陸上山縣選手の10秒00ならぬ9秒997、バスケットボール男子選手の世にも恥ずかしい帰国、などなどで盛り上がりましたが、その辺の話はちょっと横に置きます
日本は金メダル75個、メダル合計205個 前回の金メダル47個から大幅に金メダル数を増やした一方で、合計メダル数は200個からの微増でした
それはさておき、今回、金メダル数も総メダル数も大きく増やして目立ったのはインドネシアでした
前回は金メダル4個、総メダル数20個でしたが、今回は金メダル31個、総メダル数98個で、どちらも4番目と大活躍でした
さて、メダルを取る国、というのはどういう国なのでしょう
いくつかの条件があるのだろうと思います
① 人口が多い
② 経済力が大きい
➂ 強制力を持った強化ができる
④ やる気がある
このあたりが主な要因で、満たすものが多ければ多いほど良い、という感じでしょうか
最近では、⑤ 国籍変更で人を惹きつける力がある、というのも上げられるかもしれませんが、これは④の範疇に入れてもよいかな
わかりやすいのは①ですね。そりゃあ人がたくさんいた方が才能を持った人間も生まれやすく有利です。アジアでは中国インドがそうですし、その下にインドネシア、パキスタン、バングラディシュ、日本、フィリピンと続きます。
こうやってみると、①だけでは足りない。インド、パキスタン、フィリピンあたりは今回もそれほど目立ちませんでした。①を生かすには②が割とほしいわけです
これはやはり中国日本が抜けていて、総額で見るとアジアではインド、韓国、インドネシア、サウジアラビアと続きます。インドは人の数が多いので総額では結構上に来るんですね。
インドネシアも上位です。
そこに➂が加わると強力です。これは旧共産圏が多くて、アジアでは中国に北朝鮮が双璧、と言ってよいのでしょう。共産圏と言ってもベトナムは入ってこない。世界的にはロシアが中国との双璧なのでしょう。今回のアジア大会では、旧ソ連圏のウズベキスタン、カザフスタンは、もしかしたらこの系統の伝統を引きづっている、という可能性はいくらかあるかと思ったりします
あとはやる気の問題。➂もまあやる気の問題の一種でしょうけど。アジアではサウジアラビアなんかは②はかなり上位で①もそれほど少ないわけではないのですが、この④に決定的に欠ける、というのがたぶん大きいでしょう。確実に、女子選手なんて育てる気ないですし、派遣する気もほんとはないけど世界情勢を鑑みて仕方なく解禁したみたいな感じですし、まったくやる気が感じられません。今回も金メダル1の総メダル数6に終わっていました。
インドも広い意味ではこれがない。スポーツ選手を幅広く育成しよう、という発想自体がまだなさそうです。クリケットやカバディみたいな国民的スポーツはそれなりにやるのでしょうけれど、国家の予算を掛けてスポーツ選手を強化する、というところには至っていないのでしょう。一方で、韓国は、①の人口はまあそこそこいて、②の経済力も割と上位なところで、この④、やる気がかなりあって力を掛けるから、人口も経済力も上な日本よりも、総合成績で上回たりしていっています。
おまけで追加した⑤は中東の金持ち国、バーレーンとカタールですかね。
今回の金メダル数上位国を並べてみると
1位中国 人口◎ 経済力◎ 強制力◎ やる気◎
2位日本 人口〇 経済力◎ 強制力△ やる気〇
3位韓国 人口△ 経済力〇 強制力△ やる気◎
4位インドネシア 人口〇 経済力〇 強制力× やる気◎
5位ウズベキスタン 人口△- 経済力△- 強制力〇 やる気?
6位イラン 人口△+ 経済力△+ 強制力? やる気?
7位台湾 人口△- 経済力〇 強制力△ やる気?
8位インド 人口◎ 経済力〇 強制力× やる気×
9位カザフスタン 人口△- 経済力△- 強制力〇 やる気?
10位北朝鮮 人口△- 経済力× 強制力◎ やる気〇
ここに入らなかった中で、タイは金メダル数12位ですが、総メダル数は5位なので、考えてみると、人口△+ 経済力△+ 強制力× やる気? という感じですかね
そりゃあ中国強いよね、というのが一目瞭然。あれだけ人のいる国が金を持って、強制力を持ってトレーニングしてやる気満々。勝てる気しません
一方で、ウズベキスタンとイラン頑張ったな、という感じに見えます
イランって本来地域大国ですからねえ、古代から。世界で最初に大帝国作ったのってアケメネス朝ペルシャだし。その後もパルティアにササン朝があって、しばらくアラブに飲み込まれたり、モンゴルに食われたりしたけどサファビー朝で復活。大国の素養はあるんだから、こういう競技会で目立っても全然おかしくない
ウズベキスタンってのは、やっぱり旧ソ連系の流れで、育成システムみたいなものがある程度あるんですかね
インドは全体の経済力はあっても一人当たりGDPがひどすぎるから、スポーツにお金回してる場合じゃないんだろうな。マハラジャとかIT成金とかはいるので、個人の金持ちがスポーツに興味を持ち出して、サッカーに流れなければ強くなるかも
カタールやバーレーンみたいな、国籍変更族は、それだけだと上位十か国には入ってこないようでした。ある種少数精鋭というか、目立つ競技でしかやってないので、総合競技会の総合成績みたいな分野だと上にまでは出てこないんでしょうか
今回一番思ったのは、インドネシア、本気出したらすごいじゃない、ということだったりします。人口は十分すぎるほどいるし、経済力も人口数に助けられる部分もありつつかなり育ってきました。そこにやる気が加わった結果の好成績。
本気出しても、ある程度の前提条件、人口や経済力がなければ、上位には入ってこられません。2006年にカタールが開催した時には、カタールのメダル順位は9番目でした。ここは人口が決定的に足りないので、経済力があっても、やる気があって国籍変更多用しても、無理なものは無理、ということだったのでしょう
そもそも、ある程度の経済力がないとこの規模の大会は開催できません
これまでアジア大会(夏季)は18回開催されましたが、開催国は9か国しかありません
日本、中国、韓国、インド、インドネシア、タイ、イラン、フィリピン、カタールの9か国です
アジアの中では相対的には国力が上位にいる国が並びます。フィリピン? という感じはありますが、これは第2回の1954年のこと、この時期のフィリピンは、アジア全体の中での相対的地位としては上の方にいました
こうやって見ると、そろそろマレーシアあたり頑張れよ、とかカザフスタンあたりも冬季オリンピックに手を出す前にアジア大会やりなよ、とか思ったりもします
マレーシアは東南アジアではブルネイ、シンガポールといった小国に次いで、一人当たりGDPは三番目、1万ドル前後にいて、かなり力がありそうなんですけどね、本来。
東南アジアの地域大国はタイかマレーシアか、という感覚でいたのですが、数の力でインドネシアがのし上がる、って線もあるのかな。元々、バンドン会議を開いたり、第三世界の旗手になるような志向を建国初期には示していた国ですから、大国を目指す意思があるのかもしれないですね
そんなことを感じた、アジア大会でした