全日本選手権18女子シングル得点考察3

さて、ここまで全日本フィギュアでの上位選手、ジュニア選手の得点の傾向というのを見てきましたが、女子シングルは、上位選手以外もなかなか興味深い選手がいろいろといますので、そういったところも見ていきたいと思います

 

まずは、グランプリシリーズに出ていた選手たちの比較。

上位四選手はちょっと抜けているので、それ以外の選手で見てみたいと思います。また、大会前に、五番手グループの一人、として横井選手の名前を上げていたりしたので、横井選手もこの中に入れます。

今回は、最初からショートフリーを合わせたもので見てみます

 

 

ジャンプ

スピン

ステップ

 

 

 

 

基礎

GOE

基礎

GOE

基礎

GOE

PCS

減点

総合

樋口新葉

60.54

1.34

18.30

5.39

9.60

3.40

100.06

-1

197.63

山下真瑚

59.37

4.92

19.40

4.67

9.60

3.27

95.91

0

197.14

横井ゆは菜

65.45

9.13

18.70

3.22

8.90

2.49

88.48

0

196.37

白岩優奈

59.42

-2.41

15.60

4.26

8.20

3.06

97.03

-2

183.16

本田真凛

44.05

-7.02

17.70

4.20

8.90

2.88

94.52

-1

164.23

本郷理華

49.16

-9.36

18.80

2.44

9.60

3.79

90.75

-2

163.18

 

ステップ、という表記にはコレオも含みます

 

ジャンプは基礎点、GOE共に横井選手がトップ。スピンは山下選手の基礎点が高くGOEは樋口選手が上でしたが、基礎点+加点の合計は山下選手が上です。ステップはレベル4を取れておらず、レベル3を樋口山下本郷選手がショートフリーで並べたのが基礎点では最高でした。本郷選手は総合順位は低くなっていますが、ステップのGOEはこのメンバーの中では最高点です。フリーの最後の要素に入っていたコレオシークエンスで加点が2点。すなわちGOEが+4平均であり、満点をつけたジャッジも二人いました。最後の要素ですから、本人もそこに至るまでに自分の滑りがあまりよくなく、点が出ないことはわかっていたと思います。それでもGOE+4がついたのは、世界選手権に3度出た選手の意地と実力を見せてもらったような気がします

 

白岩選手はこの層のなかでスピン、ステップの得点が一番下に終わっています。世界ジュニアの代表に選ばれていますが、そこで横井選手に差をつけられて負けるようだと、来シーズンのグランプリ2戦確保が怪しくなってきます。出戻りでの世界ジュニア代表ですが、一つの正念場になると思います

本田選手はとにかくジャンプが決まりませんでした。基礎点が低いうえにGOEも大きくマイナスが付いています。ジャンプの点数だけで横井選手と40点くらいの差があります。プレゼンテーションスコアなんかは、総合でこの順位でも、6位に入った山下選手と遜色なく出せるのですから、ジャンプさえ戻ってくればまだトップで勝負もできるのですが・・・。

 

 

 

 

ジャンプ

スピン

ステップ

 

 

 

 

基礎

GOE

基礎

GOE

基礎

GOE

PCS

減点

総合

宮原知子

60.69

8.35

18.80

7.51

10.80

5.88

111.31

0

223.34

三原舞依

65.60

13.80

19.20

5.50

9.60

3.93

103.17

0

220.80

細田采花

70.27

8.81

16.80

1.90

8.90

1.48

77.58

0

185.74

野比

47.72

0.10

19.10

5.37

8.90

2.13

80.07

0

163.39

本郷理華

49.16

-9.36

18.80

2.44

9.60

3.79

90.75

-2

163.18

大庭雅

42.24

0.81

17.30

2.86

9.60

2.91

83.07

-1

157.79

十倉日和

44.49

1.90

18.00

2.70

8.90

2.16

71.13

0

149.28

中塩美悠

45.58

1.88

16.00

1.77

8.20

1.32

72.71

0

147.46

永井優香

27.78

-1.94

18.60

3.00

8.20

1.33

71.50

0

128.47

 

次は、大学・社会人を並べて比べてみます

ジャンプの基礎点は、トリプルアクセル3本飛んだ細田選手が宮原選手や三原選手を抑えてトップでした。トリプルアクセルの破壊力、というのが見て取れます。細田選手のすごいところは、ただ飛んだだけではなく、ちゃんと加点も得ていることで、GOEも三原選手に次ぐ位置にいて、宮原選手より上です。トリプルアクセルは3本ともすべて1点以上の加点が入っていて、難しいジャンプに挑戦してみた、という水準ではなくて、飛べるジャンプをしっかり飛んだ、というレベルでトリプルアクセルを飛んでいます

スピンは三原選手が基礎点はトップですが、それに次ぐのが竹野選手です。スピンが売り、というようなことを自分で言っていましたが、その言葉通り、スピンだけなら世界のトップ選手と遜色ありません。また、総合点では下位に沈んでしまった本郷選手もショートフリー6つのスピンのうち4つでレベル4ですし、永井選手は5つがレベル4  今沈んでいても、かつては世界レベルで戦っていた選手、というのはこういうところにその力が見えたりします。

ステップは流石の宮原選手ですが、ここでも本郷選手が三原選手と遜色ないレベルの点を出しています。

こうやって見ると、細田選手をユニバーシアードに出してみたかったなあ、という気がしますが、本人がその意思を示していなかったんですかね。三原選手がユニバーシアード、というのは、前回大会にラジオノワがいた、というのと同じくらいの反則級な感じがしますが、出るからにはちゃんと勝って、そのうえで国際大会を楽しんできていただけたらと思います。竹野選手も、ロシアから誰が出てくるか次第で表彰台のチャンスがあるかと思います

 

 

 

 

ジャンプ

スピン

ステップ

 

 

 

 

基礎

GOE

基礎

GOE

基礎

GOE

PCS

減点

総合

坂本花織

63.52

14.60

19.40

6.89

10.80

4.98

107.82

0

228.01

紀平梨花

71.87

8.45

18.40

5.78

10.80

4.19

105.27

-1

223.76

樋口新葉

60.54

1.34

18.30

5.39

9.60

3.40

100.06

-1

197.63

山下真瑚

59.37

4.92

19.40

4.67

9.60

3.27

95.91

0

197.14

横井ゆは菜

65.45

9.13

18.70

3.22

8.90

2.49

88.48

0

196.37

白岩優奈

59.42

-2.41

15.60

4.26

8.20

3.06

97.03

-2

183.16

川畑和愛

62.21

5.19

17.73

4.02

8.90

2.23

84.83

-2

183.11

松原星

62.88

3.15

18.10

3.66

10.20

1.53

76.17

0

175.69

長縄和奏

65.49

9.25

17.60

2.48

8.20

0.70

71.68

0

175.40

荒木菜那

61.01

-0.36

18.40

4.17

9.60

1.57

77.68

-2

170.07

青木祐奈

57.09

-2.91

18.60

4.12

8.90

2.09

81.39

0

169.28

本田真凛

44.05

-7.02

17.70

4.20

8.90

2.88

94.52

-1

164.23

渡辺倫果

58.71

-0.92

17.20

3.51

8.90

0.96

73.63

0

161.99

三宅咲綺

42.84

3.75

16.80

3.33

8.90

2.53

76.51

0

154.66

籠谷歩未

50.46

-7.18

18.70

2.90

8.90

0.55

67.78

-1

141.11

 

次は中学生高校生。今回は高3が優勝、高1が2位と気を吐いた高校生ですが、高2勢は白岩選手の9位が最高と、少し苦労していました。

 

ジャンプは紀平選手の基礎点が高くGOEは坂本選手、というのは見ても仕方ないレベルなので、この二人はちょっともう、横に置きます

 

中学生の長縄選手がジャンプの基礎点で横井選手の上に出てこの世代で二番目でした。GOEも紀平選手より上でこちらも二番目。彼女がジャンプで獲得した点数は、全選手の中で紀平、坂本、三原、細田につぐ五番目。全日本ジュニア6位からの出場でしたが、力を発揮してました

一方、本田選手はジャンプで得た点数が中高生の中で一番下。全選手の中でも下から二番目。とにかく、ジャンプの立て直しが必須です

 

スピンでは籠谷選手が坂本山下という、世界で戦う選手に次ぐ基礎点を取っています。三原選手もスピンの基礎点が高かったのですが、今大会では中野先生のチームのスピンの良さが際立っていました。

一方で、白岩選手がスピンの基礎点、全選手中最下位。ジャンプだけでなく、この辺も含めて総合的に立て直しが必要になっています。また、長縄選手がジャンプは良かったのですが、スピンで得た加点は中高生の中では一番下。ステップも同じなのですが、ジャンプ以外はまだまだ、と言ったところが見えます

 

ステップでは松原選手がショートプログラムでレベル4獲得。坂本紀平宮原、三強以外の選手でステップのレベル4が取れていたのは彼女だけです。ステップのレベルは取れていませんでしたが、加点では白岩選手がちゃんとしっかりとれていました。

 

演技構成点は、下位の選手の中では90点台に乗っている本田選手はやはり際立っています。

 

最後に、フリーに進出した24選手の中で、各要素の順位をつけてみたのが次の表になります

 

 

 

ジャンプ

ステップ

ステップ

 

 

   

基礎

 GOE

基礎

GOE

基礎

 GOE

PCS

総合点

1

坂本花織

6

1

1

2

1

2

2

228.01

2

紀平梨花

1

6

11

3

1

3

3

223.76

3

宮原知子

10

7

5

1

1

1

1

223.34

4

三原舞依

3

2

3

4

5

4

4

220.8

5

樋口新葉

11

14

13

5

5

6

5

197.63

6

山下真瑚

13

9

1

7

5

7

7

197.14

7

横井ゆは菜

5

4

7

16

15

12

10

196.37

8

細田采花

2

5

21

23

11

19

16

185.74

9

白岩優奈

12

20

24

8

21

8

6

183.16

10

川畑和愛

8

8

16

12

15

13

11

183.11

11

松原星

7

11

14

13

4

18

18

175.69

12

長縄和奏

4

3

18

21

21

23

21

175.40

13

荒木菜那

9

17

11

10

5

17

15

170.07

14

青木祐奈

15

21

9

11

15

16

13

169.28

15

本田真凛

21

22

17

9

11

10

8

164.23

16

野比

18

16

4

6

15

15

14

163.39

17

本郷理華

17

24

5

22

5

5

9

163.18

18

渡辺倫果

14

18

20

14

15

22

19

161.99

19

大庭雅

23

15

19

19

5

9

12

157.79

20

三宅咲綺

22

10

22

15

11

11

17

154.66

21

十倉日和

20

12

15

20

15

14

23

149.28

22

中塩美悠

19

13

23

24

21

21

20

147.46

23

籠谷歩未

16

23

7

18

11

24

24

141.11

24

永井優香

24

19

9

17

21

20

22

128.47

 

総合順位より上の順位だったものは、よかったもの得意なものであり、総合順位より悪く出ているものは、悪かったもの苦手なもの、と言えるでしょう

 

バランス型の選手、非常に偏っている選手、さまざまです

 

あとは、「子」がつくのは宮原選手だけか、と、どうでもいいことを思いました。

 

 

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