全日本選手権22 女子レビュー2

全日本選手権のレビュー2周目です。ここからは数値編になっていきます。

女子シングルのショートフリー、主要メンバーの構成および要素別のスコアです。

 

○グランプリ組上位6選手のショートプログラム構成

  坂本花織 三原舞依 河辺愛菜 紀平梨花 住吉りをん 渡辺倫果
1 2A 2A 2A 2A 2A 3A<<
2 3Lz! 3F 3Lz 3Sq+2T 3F<<+COMBO 3Lz<<
3 FCSp4 FSSp4 FCSp3 FCSp4 FCSp4 CSp3
4 CCoSp4 3Lz+3Tq 3F!+3T 3Lo< 3Lz 3Lo+3Tq
5 3F+3T CCoSp4 CCoSp4 LSp4 StSq4 CCoSp2V
6 StSq4 StSq4 StSq3 StSq4 CCoSp4 StSq4
7 LSp4 LSp4 SSp4 CCoSp4 LSp4 FSSp4
Base 32.95 32.81 31.75 26.51 24.89 26.49
GOE 8.12 7.13 1.21 2.58 2.24 -0.60
PCS 36.72 34.76 31.55 31.34 30.25 30.34
TSS 77.79 74.70 64.51 60.43 57.38 56.23

グランプリシリーズ出場選手は他にもいますが、その中で今大会のトータルスコア上位6人を持ってきました。

基礎点トップが結局坂本花織選手。三原舞依選手もノーミスでほぼ同等の基礎点ですがスピン構成差でわずかに下回ります。河辺選手はスピンステップのレベル3で基礎点下がってますがジャンプは基礎点満額入りました。ジャンプから基礎点削られた紀平選手、住吉選手、渡辺選手はショートで出遅れる形となり苦しい試合展開となりました。渡辺選手は最後の3-3入らなければショート落ちもあり得たという、なかなか危ない橋を渡っています。

 

○ジュニアグランプリ組のショートプログラム構成

  千葉百音 島田麻央 柴山歩 中井亜美 櫛田育良 吉田陽菜
1 2A 3F 3Lz!+3T 3A 3Lz!+3Tq 3Aq
2 3Lz+3T 2A 2A 3Lz!+3T 2A 3Lz!q
3 CCoSp4 LSp4 FCSp4 FSSp4 FCSp4 FCSp4
4 3F 3Lz+3T 3F CCoSp4 3F 3Loq+3T<
5 FCSp4 FCSp4 CCoSp4 3Lo CCoSp4 StSq4
6 StSq4 StSq4 StSq4 StSq4 StSq4 SSp4
7 LSp4 CCoSp4 LSp4 LSp4 LSp4 CCoSp4
Base 32.53 33.01 32.53 36.59 32.53 36.09
GOE 7.80 8.20 4.62 0.35 2.83 -5.18
PCS 30.73 29.07 27.22 28.13 27.93 29.58
TSS 71.06 70.28 64.37 64.07 63.29 59.49

ジュニアコースの面々はジャンプの基礎点から削られた選手はほとんどいません。吉田陽菜選手のコンビネーション2つ目くらいです。結果としてトリプルアクセル入った中井亜美選手は全選手中トップの基礎点、吉田選手が2番目の基礎点となっています。中井選手はショートのトリプルアクセルを立っていれば最終的に表彰台となる計算でした。

島田選手はループをフリップに変えることはしましたが、シニアルールを生かしたトリプルアクセル入れませんでした。ただ、GOEは全選手トップで、技術点も全選手中トップとなっています。

ジュニアグランプリコースの6人はスピンステップが全員レベル4 基礎力が総じて高いです。その中でジャンプが決まらなかった吉田陽菜選手は出遅れる形となりました。

 

○グランプリ組上位6選手のフリーの構成

  坂本花織 三原舞依 紀平梨花 渡辺倫果 河辺愛菜 住吉りをん
1 2A 2A 3Sq+3T 3Aq 3A< 4Tq
2 3Lz! 3Lz 3F 3Lo 3Lz+3T+2T 3Lo
3 3S 3S 2A 3Lo+3Tq 3Lo FCCoSp4
4 CCoSp4 3F 3Lo+2T 3F 2A 3F+3T
5 3F+2T FSSp4 FSSp4 FCSp4 StSq4 3Lz<<
6 StSq4 CCoSp4 3Lo ChSq1 3Lzq+3T StSq4
7 3F+3T 2A+3T 2Aq+2T+2Lo 3Lz+2A+SEQ FCSp4 2A+3T
8 FSSp4 3Lz+3Tq 3S 2A+1Eu+3S< ChSq1 3Fq+2T+2Loq
9 2A+3T+2T 3Lo+2T+2Lo CCoSp4 CCoSp3V 3F!<< 3S<<
10 ChSq1 StSq4 ChSq1 3Lz<< 3S+2T LSp4
11 3Lo ChSq1 StSq3 StSq3 CCoSp4 ChSq1
12 FCCoSp4 FCCoSp4 LSp4 FSSp4 SSp4 CCoSp4
Base 62.52 63.00 55.85 62.44 61.35 61.41
GOE 16.46 11.20 6.93 3.17 2.42 -0.76
PCS 76.28 71.03 65.41 63.15 64.16 62.00
TSS 155.26 145.23 128.19 127.76 125.93 120.65

フリーの構成は三原選手がグランプリ組の中ではトップの構成で基礎点63.00あります。コンビネーションがオール1.1倍でスピンステップオールレベル4 コンビ1.1倍は結果的にそうなっただけではありますが、この形だと63点に乗るわけです。坂本選手も予定構成をこなしています。高難度ジャンプ組はそれ以外のところで基礎点を削られてこの2人より低い基礎点となっています。紀平選手はルッツなし、フリップ1本ではちょっと戦いきれませんでした。

GOE二桁取ったのは坂本選手に三原選手。ちょっとグランプリ組の中では他と比べて差がありすぎました。

 

○ジュニアグランプリ組6名のフリーの構成

  吉田陽菜 中井亜美 島田麻央 千葉百音 櫛田育良 柴山歩
1 3A 3A+3T 3A< 3Lz!< 3Lz!+3T 3Lo
2 2A+3T 3Lz 4T< 2A+3Tq 3S+3T 3Lz!+3T
3 3Lo 3A 3Lz+3T 3S 2A FSSp4
4 CCoSp4 FSSp4 FSSp3 FCCoSp4 FSSp4 2A
5 SSp3 2A 3F+2A+SEQ CCoSp4 3Lz! 3S
6 3F ChSq1 ChSq1 3Lo 3Lo+2T+2Lo StSq4
7 3Lz+3T 3F+1Eu+3S 3S+3T+2T 3F+2A+SEQ ChSq1 3Lz!+3T
8 FCCoSp4 CCoSp4 3Lo 3Lzq+2T+2Lo LSp4 CCoSp4
9 3Lz 3Lo 3Lz StSq3 3F 2A+2T+2Lo
10 StSq4 3Lz+REP StSq4 3F 2A 3F
11 3Sq+2A+2T+SEQ LSp4 CCoSp4 ChSq1 StSq4 ChSq1
12 ChSq1 StSq4 LSp4 LSp4 CCoSp4 LSp4
Base 69.09 66.54 71.06 62.50 62.05 62.57
GOE 7.14 11.29 4.63 6.55 7.07 6.42
PCS 61.49 59.59 58.82 61.01 58.17 55.73
TSS 137.72 137.42 132.51 129.06 127.29 124.72

ジュニアグランプリ組からはショート出遅れた吉田陽菜選手がフリーはトップのスコアを出しています。基礎点は島田麻央選手が上。アンダーローテーション取られていますがトリプルアクセルと4回転トーループがあると、ルッツとトーループを2本飛べることもあり71.06まで基礎点があり、当然全選手中トップの基礎点になります。中井亜美選手は最後のコンビネーション跳び忘れがあり基礎点は66.54 ちゃんとダブルアクセルのシークエンス付ければ5.18基礎点上がるので71.72になって全体トップの基礎点になります。ダブルトーループ予定だったようですがその場合は69.52の基礎点でした。これだとトリプルアクセル1本の吉田陽菜選手と差が出ないので、アクセル2本ならシークエンスダブルアクセルを付けたい。1本構成の時に3Lo+2Aを飛んでいますので、ルッツにも付けられるないしは付けられないならループ2本で2A付にすることになると思われます。

千葉選手は高難度ジャンプ無しで62.50の基礎点。この中に入ると見劣りしてしまうのは事実です。冒頭ルッツを決めてステップレベル4まで取れれば1.78基礎点上がって64.28までは出せます。2本飛ぶジャンプがルッツとフリップなところで、高難度ジャンプがない中での高い基礎点を作り上げています。

櫛田選手、柴山選手もミスなく滑って基礎点62点台。櫛田選手はもう少し1.1倍を強い構成にするなど細かくバージョンアップはあり得ますが、この辺まで来るとあとは高難度無し勢の中では出来栄え勝負になってきて、PCS低めな柴山選手は辛くなるという構図。年齢を重ねてPCSを積み上げていくか、トリプルアクセルが欲しい、という段階まで来ているように見えます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア(フリー進出24人)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 坂本花織 233.05 113.00 65.27 14.58 24.59 15.61
2 三原舞依 219.93 105.79 65.81 7.81 25.01 15.51
3 島田麻央 202.79 87.89 75.07 3.41 24.77 13.65
4 中井亜美 201.49 87.72 73.93 4.96 22.56 13.32
5 千葉百音 200.12 91.74 65.73 4.76 24.91 13.98
6 吉田陽菜 197.21 91.07 76.08 -4.39 21.25 14.20
7 青木祐奈 191.89 92.95 61.83 0.00 22.50 14.61
8 櫛田育良 190.58 86.10 65.18 2.90 22.73 13.67
9 河辺愛菜 190.44 95.71 64.90 -3.94 21.76 14.01
10 柴山歩 189.09 82.95 65.70 4.73 22.73 12.98
11 紀平梨花 188.62 96.75 53.56 1.53 22.79 13.99
12 渡辺倫果 183.99 93.49 63.10 -2.70 18.32 12.78
13 松生理乃 179.85 98.85 44.71 -1.07 23.03 14.33
14 住吉りをん 178.03 92.25 56.40 -7.30 24.12 14.56
15 三宅咲綺 175.38 87.52 54.19 1.08 20.08 13.51
16 山下真瑚 172.96 89.66 57.29 -5.36 18.86 13.51
17 村上遥奈 163.76 73.59 60.80 -2.99 21.16 12.20
18 野比 163.39 78.72 57.65 -5.58 22.89 11.71
19 横井ゆは菜 161.87 89.33 40.25 -1.54 21.85 12.98
20 大庭雅 159.94 83.50 47.11 -4.23 21.47 12.09
21 髙木謠 158.86 75.37 54.97 -1.06 18.13 11.45
22 江川マリア 158.39 81.47 47.26 -3.64 21.19 13.11
23 松原星 152.22 74.48 48.89 -1.74 20.51 11.08
24 竹野仁奈 152.14 75.19 48.35 -5.30 21.74 12.16

要素別で並べると坂本選手、三原選手のPCSの突出ぶりは目立ちます。100点超えはこの2人まで。3番目は松生理乃選手で98.85です。島田麻央選手は87.89で13番目と低い評価になっています。ジュニア勢では千葉百音選手が91.74で全体の8番目でした。

ジャンプの基礎点は吉田陽菜選手がトップです。島田選手はショートがノーマル構成でフリーの高難度2本はアンダーローテーションになったこともあって2番目。中井亜美選手が3番目で高難度ジャンプが入る3人がやはり上位でした。渡辺倫果選手は10番目。トリプルアクセル以外のミスも目立ち、基礎点で稼ぐことができませんでした。

ジャンプの加点は坂本選手が圧倒的で一人だけ二桁です。三原選手が2番目。中井選手、千葉選手、柴山選手とジュニア勢が続きます。上位では吉田選手はGOEマイナス。ショートのジャンプミスは大きかったです。

スピンは三原選手がただ一人25点台です。千葉百音選手が2番目で島田麻央選手が3番目、ジュニア勢が続きます。渡辺倫果選手は18点台で23位。通常22点台までは出しますので、今回はスピンもうまくいかなかったというのが垣間見えます。

ステップ系要素は坂本選手がトップで三原選手が2位。2人は15点台です。3番目が今大会で大躍進した青木祐奈選手。ルッツループが売りの選手ですが、ステップ系要素の評価が今大会は高く出ていました。14点台は他に住吉りをん選手、松生理乃選手、河辺愛菜選手と言ったグランプリ組に、吉田陽菜選手もいました。渡辺倫果選手はここも12点台で伸びず。ジャンプだけでなくすべての要素で精彩を欠いていた、というのがこの辺に表れています。

 

次回へ続きます。