横井ゆは菜 19-20

2000年5月19日生まれ

シニア1シーズン目

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所属:中京大学

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シーズン獲得賞金:$3,000

世界ランキング:30位

シーズンランキング:23位

シーズンベストスコア 214.56(12位) Challenge Cup

ショートプログラムシーズンベスト 73.29 Challenge Cup

フリーシーズンベスト 141.27 Challenge Cup

ショートプログラム楽曲: 黒い十人の女

フリープログラム楽曲: オペラ座の怪人

スピンレベル4率 54/60=90.0%(国際試合22/24=91.7%)

ステップレベル4率 3/20=15.0%(国際試合3/8=37.5%)

スピンオールレベル4 5/10(国際試合3/4)

スピンステップオールレベル4 1/10(国際試合1/4)

ジャンプ回転不足率  7/100=7.00%(国際試合2/40=5.00%)

ジャンプ回転不足なし試合 4/10(国際試合2/4)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/10

 

 

 ●横井ゆは菜選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
DL げんさんサマーカップ 1 198.30 67.01 37.05 29.96 131.29 70.25 61.04
RT 中部選手権 2 166.75 47.54 24.48 25.06 119.21 64.41 54.80
CS Finlandia Trophy 3 191.90 65.09 36.57 28.52 126.81 64.73 62.08
RT 西日本選手権 1 204.70 67.35 38.43 28.92 137.35 76.39 60.96
GP Rostelecom Cup 6 182.68 56.51 28.37 29.14 126.17 67.40 59.77
GP NHK Trophy 4 189.54 62.67 33.22 29.45 126.87 64.59 62.28
NC 全日本選手権 5 190.92 62.90 32.33 30.57 128.02 66.54 61.48
CC 日本学生氷上選手権 1 187.54 59.81 30.63 30.18 127.73 66.99 61.74
NG 国民体育大会 2 198.12 59.36 30.48 29.88 138.76 75.03 63.73
IC Challenge Cup 2 214.56 73.29 40.29 33.00 141.27 75.03 66.24

横井ゆは菜選手は、今シーズン国内外の試合10試合に出場しました。

国内シーズン開幕戦として選んだのはげんさんサマーカップ。中部関西勢が好んで出る試合で198.30のスコアで優勝。200点一歩手前のスコアをまず出しました。

次の中部選手権は、正直、え? というようなショートからの崩れ方でシーズンワーストの166.75 調整試合とはいえ大丈夫か?? というようなスコアでした。

シニア本格参戦、国際試合初戦はチャレンジャーシリーズフィンランディア杯。ショートフリーともまずまず、というスコアで191.90 まずは昨シーズンのジュニア時代のパーソナルベストを上回るスコアを出しました。

つなぎの国内地方大会西日本選手権で204.70 ここで200点スコアラーの仲間入り、と呼ぶのはちょっと抵抗感ありますが、まあ参考スコアとして200点出せましたよ、というところに至ります。

ロステレコム杯でグランプリデビュー。ショートでは冒頭にトリプルフリップで転倒というグランプリ洗礼を受け点を伸ばせませんでしたが、フリーでまずまず盛り返しての182.68で6位。ポイントは確保します。次戦NHK杯は地元枠での出場で連戦となりますが、今度は似たような展開でしたがショート後半で3-3を付けて60点台に乗せてスタート。フリーも大崩れせず最終的に4位まで順位を上げました。

勝負の全日本はショートで後半コンビネーションを最初の予定要素から入れたもののダウングレードで点を伸ばしきれませんでしたが、フリーはまずまずの出来で5位。例年なら四大陸の切符が手に入る位置でしたが、いろいろあってチャンピオンシップの切符はもらえませんでした。

この後は国内で2戦、やはりショートがしっかり滑り切れずという試合が続きます。

このままシーズン終わってしまうのかな、という流れの中での国際B級試合のチャレンジカップ。ここでついに、ノーミスショートプログラムで73.29と70点台に乗せると、フリーも140点台に乗せ、トータル214.56 国際試合で初の200点の大台、どころか210点台半ばで伸ばし、最高の形でシーズンを終えました。

 

 ●横井ゆは菜選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
DL げんさんサマーカップ 1 198.30 107.30 91.00 72.68 22.65 11.97
RT 中部選手権 2 166.75 88.89 79.86 55.13 21.51 12.25
CS Finlandia Trophy 3 191.90 101.30 90.60 64.58 23.28 13.44
RT 西日本選手権 1 204.70 114.82 89.88 77.91 24.10 12.81
GP Rostelecom Cup 6 182.68 95.77 88.91 62.47 21.67 11.63
GP NHK Trophy 4 189.54 97.81 91.73 63.32 22.36 12.13
NC 全日本選手権 5 190.92 98.87 92.05 63.79 22.88 12.20
CC 日本学生氷上選手権 1 187.54 97.62 91.92 65.21 22.15 10.26
NG 国民体育大会 2 198.12 105.51 93.61 68.80 23.96 12.75
IC Challenge Cup 2 214.56 115.32 99.24 78.02 23.70 13.60

要素別のスコアを見ると、どの試合でもTESの方がPCSより高いのがわかります。ショートでうまくジャンプが決まらない、というようなことが何試合もありましたが、それでも、技術点の方が高く出ています。PCSの低さはシニア1年目という要素がある、と思っていいのかわかりませんが、シーズン中盤までは国際大会で90点前後しかありません。チャレンジカップで100点近くまで来ましたが、これで各要素平均8点は超えてきた、というあたりです。

ジャンプの獲得点数のばらつきがやはり大きいのですが、210点台を出したチャレンジカップの78.02というのはかなりの高いスコアです。日本人選手では今シーズン紀平選手に次いで2番目のスコアです。トリプルアクセル以上の高難度ジャンプを持たない選手としては、これより高いスコアを出したのはシニアの選手にはいません。

スピンは23点台。200点台のスコアの選手に多い領域でしょうか。ステップの最高点は13.60というのも特に低いわけでもないですが、それほど高いスコアでもないです

ジャンプで点を取っている選手、というのが見えます。

 

 ●横井ゆは菜選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
げんさんサマーカップ 1 60.93 61.65 64.08 57.26 54.18 57.75
中部選手権 2 52.35 53.87 52.21 53.48 55.44 50.44
Finlandia Trophy 3 59.19 55.07 65.89 59.35 60.82 57.49
西日本選手権 1 62.67 61.75 73.04 62.06 57.97 57.02
Rostelecom Cup 6 56.68 59.75 50.77 54.01 52.64 56.38
NHK Trophy 4 58.54 55.98 61.46 56.30 54.90 58.23
全日本選手権 5 58.92 59.04 54.81 58.02 55.22 58.44
日本学生氷上選手権 1 58.00 61.17 52.12 55.60 46.45 58.36
国民体育大会 2 60.88 58.10 65.92 61.60 57.70 59.47
Challenge Cup 2 65.35 61.70 73.34 60.74 61.55 63.16

偏差値で表すとこんな感じになっていて、210点台に乗せたチャレンジカップでトータルスコアについては偏差値65となりました。

ジャンプは基礎点は60前後なのですが、200点以上の高いスコアを出すときはGOEで大きく稼いでいるという構図です。西日本選手権、チャレンジカップではジャンプのGOEが73まで達しました。

スピンは良い時には偏差値60に乗ります。ステップも同様です。

PCSはチャレンジカップで偏差値60台に乗せてきました。

 

 

横井ゆは菜スケート偏差値
レーダーチャートではこうなります。10本線を引くとわけがわからなくなるので、国内の試合はだいぶ削りました。

バランスよく六角形が出来そうな中でジャンプのGOEだけ突出した、というようなチャレンジカップが見えます。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Challenge Cup 1 2A   3.30   1.25 4.55 3.571
Challenge Cup 2 LSp4   2.70   0.59 3.29 2.286
Challenge Cup 3 FCSp4   3.20   0.38 3.58 1.143
Challenge Cup 4 3Lz   5.90   1.53 7.43 2.714
Challenge Cup 5 3F+3T   10.45 x 1.59 12.04 3.143
Challenge Cup 6 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Challenge Cup 7 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.714
Challenge Cup   TES   32.95   7.34 40.29  

ショートプログラムの基礎点最高は32.95でした。トリプルアクセル無し組としてはかなり高めな基礎点です。全体で、これより高い基礎点のショートプログラムを今シーズン演じたのは8人しかいません。トリプルアクセル無し構成でこれより上にいるのは2人だけ。その2人は、3Lz-3Loのコンビネーションがあります。トリプルアクセル無し、ルッツループなしという選手の中で、一番高い基礎点で滑ったのが横井選手となります。

これはスピンステップすべてレベル4なうえで、1.1倍に3回転3回転をつぎ込んだという構成のためです。

ここから上げるには、あとは、コンビネーションを3Lz-3Tにするしかありません。その上は、ルッツループがなければ、トリプルアクセルにチャレンジとなります。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成 

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
国民体育大会 1 2A   3.30   1.21 4.51 3.800
国民体育大会 2 3F! ! 5.30   0.71 6.01 1.600
国民体育大会 3 FCCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.200
国民体育大会 4 FSSp4   3.00   0.70 3.70 2.400
国民体育大会 5 StSq3   3.30   0.77 4.07 2.400
国民体育大会 6 3Lo   4.90   1.31 6.21 2.800
国民体育大会 7 ChSq1   3.00   1.17 4.17 2.200
国民体育大会 8 3Lz   5.90   1.77 7.67 3.000
国民体育大会 9 3S+3T   9.35 X 1.29 10.64 3.000
国民体育大会 10 3Lz+2Lo   8.36 X 1.38 9.74 2.400
国民体育大会 11 2A+3T+2T   9.68 X 0.00 9.68 0.000
国民体育大会 12 CCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.600
国民体育大会   TES   63.09   11.94 75.03  

フリーの最高基礎点は国内大会でしたが国体の63.09というのがありました。トリプルアクセル無しで63点に乗せてくるのはかなり高めな構成です。国際大会ではチャレンジカップの62.83が最高でした。並べた要素は同じですが、10番目の要素の3Lz-2Loの3Lzが回転不足な分、チャレンジカップの基礎点は低くなっています(ステップレベル4な分がプラスで相殺)。

横井選手の構成の特徴は、何と言ってもコンビネーションジャンプがすべて1.1倍ボーナスタイムに入っていることだと言えます。点を取るんだ! という意志を強く感じさせられる構成です。

また、スピンも基礎点高い組み合わせになっています。多くの女子選手が使うレイバックスピンが構成になく、スピン三つの基礎点合計は10.0あります。多くの選手はレイバックスピン込みでスピンの基礎点9.4というところまでが多いのと比べると、一段階上の基礎点を持っています。

後はステップがレベル4になれば0.6上がって63.69にまではなります。そこまで行くとそれより上はトリプルアクセル以上のジャンプを持った選手しかいません。

横井選手は、シーズン最後のチャレンジカップでは、ショートもフリーも最初のジャンプをダブルアクセルにしていました。これは、一時期練習していたトリプルアクセルを構成に入れることを、将来的にはまだしっかり頭の中に入れている、ということを表しているのではないかと思われます。妹のきな結選手の方が、一足先にトリプルアクセルを欠かさず構成に入れるようになっていますが、今のこの、ほかのジャンプはしっかり決まる、という水準を保っていければ、トリプルアクセルに時間を費やすこともできて、構成に入れられる日も来るのではないかと期待されます。

 

●平均GOE+2.800以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Challenge Cup FS 1 2A   3.30   1.25 4.55 3.857
NHK Trophy FS 1 2A   3.30   1.18 4.48 3.667
Challenge Cup SP 1 2A   3.30   1.25 4.55 3.571
Finlandia Trophy SP 4 2A   3.30   1.10 4.40 3.375
Finlandia Trophy FS 1 2A   3.30   1.10 4.40 3.375
Rostelecom Cup FS 1 2A   3.30   1.08 4.38 3.333
全日本選手権 FS 1 2A   3.30   1.23 4.53 3.333
Challenge Cup SP 5 3F+3T   10.45 x 1.59 12.04 3.143
Challenge Cup FS 9 3S+3T   9.35 x 1.38 10.73 3.143
Finlandia Trophy FS 8 3F   5.30   1.68 6.98 3.125
NHK Trophy SP 4 2A   3.30   1.08 4.38 3.111
全日本選手権 SP 1 2A   3.30   1.13 4.43 3.111
NHK Trophy FS 9 3S+3T   9.35 X 1.29 10.64 3.000
Finlandia Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.875
Challenge Cup SP 6 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Challenge Cup FS 2 3F   5.30   1.59 6.89 2.857
Challenge Cup FS 8 3Lz   5.90   1.77 7.67 2.857

横井選手は出場試合数が今シーズンは多かったですが、以下は、国際試合4試合と全日本の合わせて5試合分からのみ抽出することとします。

横井選手の評価が高い要素はジャンプです。これくらいジャンプが並ぶ選手は、他にトゥルソワ選手くらいでしょうか。

ジャンプの中でもダブルアクセルが上に並びます。冒頭にダブルアクセルを飛ぶ、という構成であることが理由の大きな部分だろうとは思います。ダブルアクセルで得られるスコアは4.55ほど。トリプルアクセルで回転不足でもしっかり立つか、回転足りてフラフラでも立つかで超えられるスコア。飛びたい、トリプルアクセル、というのが次の目標に見えてしまいます。

他に、3-3のコンビネーションでも平均GOE+3以上を出していました。

一方で、スピンが一つもいない、というのもちょっと珍しい構図です。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Rostelecom Cup FS 11 2A+3T+2T   9.68 x 0.66 10.34 1.556
NHK Trophy FS 11 2A+2T+2T* * 5.06 X 0.52 5.58 1.444
Challenge Cup FS 11 2A+3T+2Lo   10.12 x 1.09 11.21 2.571
全日本選手権 FS 11 2A+3T+2T   9.68 X 0.54 10.22 1.222

3連続ジャンプを一番最後に飛ぶという、リカバリー不可能構成ですが、5試合で3回はしっかり飛ぶことが出来ました。NHK杯は真ん中の3Tが2回転になったことで最後の2Tがノーカウントになっています。その辺で少し対策を打ったのか、年が明けての学生選手権やチャレンジカップでは、3連続の最後を2Loにして、基礎点を上げつつ同じジャンプを3回入らないようにしていました。

 

●セカンド三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy SP 1 3F!+3T< 8.66   -0.88 7.78 -1.625
Finlandia Trophy FS 9 3S+3T   9.35 x 1.15 10.50 2.625
Rostelecom Cup FS 9 3S+3T   9.35 x 0.98 10.33 2.444
Rostelecom Cup FS 11 2A+3T+2T   9.68 x 0.66 10.34 1.556
NHK Trophy SP 5 3Lz!+3T ! 11.11 X -0.08 11.03 -0.333
NHK Trophy FS 9 3S+3T   9.35 X 1.29 10.64 3.000
Challenge Cup SP 5 3F+3T   10.45 x 1.59 12.04 3.143
Challenge Cup FS 9 3S+3T   9.35 x 1.38 10.73 3.143
Challenge Cup FS 11 2A+3T+2Lo   10.12 x 1.09 11.21 2.571
全日本選手権 SP 5 3Lz+3T<< <<  7.92 X -2.70 5.22 -3.778
全日本選手権 FS 9 3S+3T   9.35 X 1.04 10.39 2.111
全日本選手権 FS 11 2A+3T+2T   9.68 X 0.54 10.22 1.222

3連続を含む、二つ目に3回転を入れたコンビネーションジャンプも、割と成功率高く決めています。5試合で12回飛んで回転不足1ダウングレード1を含め、GOEマイナスは3つですので、成功率75%です。実際には、3-3に出来なかった、というものもあるので、それより成功率は低いですが、それでも割と高めな成功率と言ってよさそうです。

何より特徴的なのは、ほとんどの場合、このセカンド三回転のコンビネーションが1.1倍ボーナスタイムに入っている、というのも一つ言えると思います。

 

●単独のルッツとフリップ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy SP 5 3Lz   6.49 x 1.57 8.06 2.625
Finlandia Trophy FS 2 2Lz   2.10   0.35 2.45 1.750
Finlandia Trophy FS 8 3F   5.30   1.68 6.98 3.125
Rostelecom Cup SP 1 3F   5.30   -2.65 2.65 -5.000
Rostelecom Cup FS 2 3Lz   5.90   0.93 6.83 1.333
Rostelecom Cup FS 8 3F! ! 5.30   0.00 5.30 -0.111
NHK Trophy SP 1 3F   5.30   -2.27 3.03 -4.222
NHK Trophy FS 2 2Lz   2.10   0.30 2.40 1.333
NHK Trophy FS 8 3F   5.30   1.29 6.59 2.444
Challenge Cup SP 4 3Lz   5.90   1.53 7.43 2.714
Challenge Cup FS 2 3F   5.30   1.59 6.89 2.857
Challenge Cup FS 8 3Lz   5.90   1.77 7.67 2.857
全日本選手権 SP 4 3F   5.30   1.51 6.81 2.556
全日本選手権 FS 2 3Lz   5.90   0.08 5.98 0.111
全日本選手権 FS 8 3F! ! 5.30   0.00 5.30 0.000

単独ジャンプもきっちり決めています。ルッツもフリップも回転不足なし。ただ、フリーで抜けて2回転になる、というのは2回ほど起きてしまっていますが。

エッジに!が付くのはフリップの方。ルッツもコンビネーションで一つ!がついていましたが、フリップの方がいくらかエッジに不安はあるようです。

 

ジャンプはそれぞれの要素で加点が減点が、というのもあるのですが、それよりもなによりも、横井選手は今シーズン、回転不足の少なさというのが誇れる部分としてあったかと思います。

シーズン通じて10試合出ているので100回のジャンプ要素があったのですが、回転不足は7つしかありません。回転不足率が一桁%というのはかなり低い部類です。国際試合では40分の2で5.0%の回転不足率。上位選手では、コストルナヤ選手、トゥクタミシェワ選手あたりと並ぶ、回転不足の少なさになります。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.875
Finlandia Trophy FS 5 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.500
Finlandia Trophy FS 7 ChSq1   3.00   1.25 4.25 2.500
Rostelecom Cup SP 6 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.333
Rostelecom Cup FS 5 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.222
Rostelecom Cup FS 7 ChSq1   3.00   0.57 3.57 1.111
NHK Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.333
NHK Trophy FS 5 StSq3   3.30   0.66 3.96 2.000
NHK Trophy FS 7 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.111
Challenge Cup SP 6 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Challenge Cup FS 5 StSq4   3.90   1.01 4.91 2.429
Challenge Cup FS 7 ChSq1   3.00   0.70 3.70 1.429
全日本選手権 SP 6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.444
全日本選手権 FS 5 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.000
全日本選手権 FS 7 ChSq1   3.00   0.86 3.86 1.556

表現力に定評があって、長久保門下生なこともあり、鈴木明子さんの跡を継ぐ人のような見られ方をすることもある横井選手ですが、ステップ系要素の加点が、実はあまり得られていません。最高でもステップで平均GOE+2.875までで+3に達していません。

コレオに関しては最高でも+2.500 ロステレコム杯以降は+1台になっています。ステップのレベルは、基本的には表現的なものを見ているわけではないですし、GOEも表現的なものばかり見ているわけではないですが、コレオになると表現的な部分のGOEへの影響度が大きくなります。そういった中でこのスコアなので、ちょっと意外感はあります。印象と比べてステップ系要素の評価は、決して高くないという現実があるようです。

 

スピンは一つ一つ取り上げませんが、レベル4率はかなり高く、全体で90.0% 国際試合だけなら91.7%ありました。基本的にはオールレベル4が当たり前、という水準です。加点はあまり得られていませんが、基礎点の取りこぼしなく演技することが出来ています。

 

 

今シーズンシニアに上がった横井選手。学年で見れば坂本花織選手、樋口新葉選手と同じですから、やっとシニアに上がったか、という感じもします。樋口選手なんかはシニア4シーズン目ですからね。

ただ、試合ごとの不安定さ、特に国際試合での弱さというのが目立ったジュニア時代だったと思います。昨シーズンは全日本ジュニアこそしっかり勝ちましたが世界ジュニアではショートから大崩れしてフリーでいくらか巻き返すも9位に終わるという、厳しいですが、ある種、大失態を演じて、翌年の出場枠を2にされてしまった、ということもありました。

なので、シニアに上がる段階でも、そういった国際舞台での弱さは心配だったのですが、結果的には大躍進のシーズンとなりました。最終的にチャレンジカップで出したスコアは、今シーズンの日本人選手の中で2番目のスコアです。全体でも13位。ロシアがたくさんいることを考えると、世界選手権の出場枠割で見たら8番目になるという高いスコアでした。

 

ただ、これは残念ながらISU公認スコアとはなっていません。ISU公認のシーズンベストスコアはフィンランディア杯の191.90が使われて30位となります。また、世界ランキングも30位。このため、来シーズンのグランプリシリーズ枠の獲得が、まだ確定しません。

今シーズンも実質は1枠だけで、NHK杯は地元枠での出場だったのですが、来シーズン、しっかり2枠が取れるか不透明。

四大陸選手権に出ることができていたら、チャンピオンシップのポイント加算して、結果的に世界選手権が中止になったこともあり世界ランク24位以内になれたことは確実でした。もう少しさかのぼると、昨シーズン、国際B級大会にジュニアカテゴリーではなく、シニアカテゴリーで出場していれば、やはり今シーズン終わった時点で世界ランク24位以内にいたはずです。

もうちょっと、何か微妙に届かなくて欲しいものが得られていない、という感じでここまで来ていますが、繰り返しになりますが今シーズン出したスコアは日本人選手の中で2番目。来シーズンは世界への切符が見える位置に来ました。

 

日本は昨シーズンはまだ、三強誰が勝つかわからない、くらいの構図だったのが、今シーズン、紀平選手の1強状態になり、その下に何人か、という形になってきました。1強プラス2、でもなく、樋口選手、そして横井選手もその層にいます。1強プラス4 三原舞依選手がしっかり復帰出来たら5、あたりの中で、世界の枠残り2を争うような形になって来るのかと思いますので、今シーズンのような脇役の中のトップではなく、主役の中の一人として、活躍していってくれるのだろうと思います。