全日本選手権18男子シングル得点考察2

前回は上位6選手についてみてみましたが、今回はジュニアの6選手についてみてみます。

まずはショートプログラムから

 

 

ジャンプ基礎点

ジャンプGOE

スピン基礎点

スピンGOE

ステップ基礎点

ステップGOE

演技構成点

減点

島田高志郎

24.41

4.52

9.30

1.84

3.30

0.85

36.24

0

鍵山優真

24.41

2.18

9.70

1.39

2.60

0.63

33.60

0

壷井達也

24.41

-1.21

8.80

1.45

3.30

0.52

32.68

0

木科雄登

23.31

0.59

9.70

1.86

2.60

0.45

34.45

0

佐藤駿

27.95

-3.36

8.80

1.00

2.60

-0.07

28.97

-1

三宅星南

23.93

-3.08

7.90

0.12

2.60

0.37

32.32

0

 

ジャンプの基礎点は、ただ一人ショートから4回転を入れてきた佐藤選手が抜けてます。24.41というのは、3Aと3Fに、後半の3Lz-3Tという組み合わせで共通なためです。ルッツなしでコンビネーションをループ-トーループにした木科選手は基礎点低め。三宅選手はジャンプの組み合わせは同じなのですが、後半に入れたのが単独のフリップになったことで基礎点やや低めです

ジャンプのGOEは3本きちんと飛んだ島田選手、鍵山選手はプラスがついて、フリップで!がついた木科選手はわずかにプラス。しっかりジャンプを揃えられなかった三人はマイナスでした。佐藤選手は4回転は決めたのですが、トリプルアクセルで失敗しています

 

スピンは鍵山選手と木科選手がレベル4を三つ揃えて基礎点トップ。鍵山選手はこのスピンでここに乗ってないですが友野選手よりも基礎点、GOE合わせて2.57上回ったことで、中学生男子として本田武史さん以来のフリー最終グループに入り込みました。(女子は、フリー最終グループに中学生がいないことが逆に久しぶりだった・・・)

 

ステップはレベル3が二人にレベル2が四人。やはりステップでレベルを取るのはみんな苦労していますね。佐藤選手はGOEマイナスになってしまいました

 

演技構成点は島田選手が平均7点を超えてトップ。中学生ながら鍵山選手は高校生ジュニアと遜色ない演技構成点ですが、佐藤選手は平均6点割れでだいぶ低めに抑えられています

 

 

 

ジャンプ基礎点

ジャンプGOE

スピン基礎点

スピンGOE

ステップ基礎点

ステップGOE

演技構成点

減点

島田高志郎

40.44

4.05

8.80

1.94

5.60

1.99

76.50

0

鍵山優真

53.35

3.43

9.70

1.60

5.60

0.47

67.70

0

壷井達也

52.91

2.82

10.00

2.28

5.60

1.31

71.00

-1

木科雄登

50.16

1.16

9.70

1.77

5.60

1.74

72.26

-1

佐藤駿

63.80

0.43

10.00

1.09

5.60

-0.22

60.36

-1

三宅星南

43.44

-1.77

4.60

0.17

4.80

1.55

68.20

0

 

フリーも佐藤選手がジャンプの基礎点はトップ。四回転二本にトリプルアクセル二本を回り切ったことで高い基礎点を稼ぎました。逆に四回転二本の構成に挑んで、二本ともに回転になった島田選手は、基礎点が一番低くなってしまっています。ただ、飛べたジャンプの評価はよく、GOEは一番稼ぎました。

スピンは壷井選手と佐藤選手がレベル4三つまとめて基礎点トップ。鍵山選手木科選手もレベル4三つですが、種類の問題でやや基礎点に差が出ました。三宅選手は一つノーバリューになって点が出ていません。

 

ステップは5人がレベル2、三宅選手はレベル1 ショートフリーでレベル4は誰も取れず、レベル3もショートで二人が取っただけ。ジュニアはステップで点が出せていませんn

 

演技構成点はショートと同じように島田選手がトップ。木科選手壷井選手は、転倒がありながらもショートより伸ばして平均7点を超えてきました。

 

 

ジャンプ1本目

ジャンプボーナス

コンビネーション分

ジャンプGOE

スピン

ステップ+コレオ

演技構成点

減点

島田高志郎

32.60

1.74

6.10

4.05

10.74

7.59

76.50

0

鍵山優真

40.70

2.35

10.30

3.43

11.30

6.07

67.70

0

壷井達也

40.30

2.31

10.30

2.82

12.28

6.91

71.00

-1

木科雄登

37.90

1.96

10.30

1.16

11.47

7.34

72.26

-1

佐藤駿

51.10

2.40

10.30

0.43

11.09

5.38

60.36

-1

三宅星南

39.28

1.18

2.98

-1.77

4.77

6.35

68.20

0

 

ジャンプの中身を区分けするとこんな感じです。木科選手は、トリプルアクセルの二つめが転倒してしまいリピート扱いになって基礎点が伸びませんでした。一方、そこでコンビネーションを使えなかった分を後になって使っていて、コンビネーション分の得点はしっかり稼げています

一方、島田選手は4回転が二つ2回転になっただけでなく、コンビネーションも二つしか入らず、また3回転のジャンプで2回跳んだものはなしで、かつ、3Tは一本も入っていない、ということで、コンビネーションを含め、リカバリーがしっかりできずフリーでは点を伸ばせませんでした。

 

 

 

ショートとフリーを合わせるとこうなります

 

 

ジャンプ

スピン

ステップ+コレオ

演技構成点

減点

総合得点

島田高志郎

73.42

21.88

11.74

112.74

0.00

219.78

鍵山優真

83.37

22.39

9.30

101.30

0.00

216.36

壷井達也

78.93

22.53

10.73

103.68

-1.00

214.87

木科雄登

75.22

23.03

10.39

106.71

-1.00

214.35

佐藤駿

88.82

20.89

7.91

89.33

-2.00

204.95

三宅星南

62.52

12.79

9.32

100.52

0.00

185.15

 

ジャンプで稼いだのは中学生の二人。14歳四回転の佐藤選手の点が伸びていますが、四回転はないものの、GOEマイナスのジャンプが少なかった鍵山選手もかなり高いジャンプの得点になりました。

スピンでは三宅選手以外は大きな差はつかず。ステップは佐藤選手が弱く、演技構成点も同様で、佐藤選手は滑りの部分に課題を抱えているのが見えます。技術点だけならジュニア中トップなんですけどね

逆に島田選手はジャンプで苦しんだものの、演技構成点で稼いでジュニア中のトップになりました。ただ、最終滑走でしたので、ジャンプで失敗してもこうなって残れるはず、という計算をランビエールコーチがした上で、四回転二本挑もう、という戦略にした、ということもあるかもしれません。

 

 

ジャンプ基礎点

ジャンプGOE

スピン基礎点

スピンGOE

ステップ基礎点

ステップGOE

演技構成点

減点

 

島田高志郎

64.85

8.57

18.10

3.78

8.90

2.84

112.74

0

219.78

鍵山優真

77.76

5.61

19.40

2.99

8.20

1.10

101.30

0

216.36

壷井達也

77.32

1.61

18.80

3.73

8.90

1.83

103.68

-1

214.87

木科雄登

73.47

1.75

19.40

3.63

8.20

2.19

106.71

-1

214.35

佐藤駿

91.75

-2.93

18.80

2.09

8.20

-0.29

89.33

-2

204.95

三宅星南

67.37

-4.85

12.50

0.29

7.40

1.92

100.52

0

185.15

 

基礎点とGOEで分けると、島田選手がジャンプもスピンもステップも、GOEがトップなのが見て取れます。できたものの完成度は高い、ということでしょうか。

 

 

ジャンプ1本目

ジャンプボーナス

コンビネーション分

ジャンプGOE

スピン

ステップ+コレオ

演技構成点

減点

 

島田高志郎

51.80

2.75

10.30

8.57

21.88

11.74

112.74

0

219.78

鍵山優真

59.90

3.36

14.50

5.61

22.39

9.30

101.30

0

216.36

壷井達也

59.50

3.32

14.50

1.61

22.53

10.73

103.68

-1

214.87

木科雄登

56.10

2.87

14.50

1.75

23.03

10.39

106.71

-1

214.35

佐藤駿

73.90

3.35

14.50

-2.93

20.89

7.91

89.33

-2

204.95

三宅星南

58.48

1.71

7.18

-4.85

12.79

9.32

100.52

0

185.15

 

ショートフリーで四回転三本トリプルアクセル三本をしっかり回りきった佐藤選手のジャンプ一本目の基礎点の高さが際立ちます。これより高いジャンプ1本目の基礎点合計を持っているのは全選手の中で宇野昌磨選手だけです。

島田選手はコンビネーションジャンプをしっかり生かせればもう少し楽な展開になったのですが、精神的に体力的に、そんなこと言ってられないくらいきつかったですかね。

 

 

 

6選手の中の差分で表を作ると、得手不得手、どこで差をつけたのか、というのは見えやすくなるでしょうか

差分

ジャンプ基礎点

ジャンプGOE

スピン基礎点

スピンGOE

ステップ基礎点

ステップGOE

演技構成点

減点

島田高志郎

0.00

13.42

5.60

3.49

1.50

3.13

23.41

2

鍵山優真

12.91

10.46

6.90

2.70

0.80

1.39

11.97

2

壷井達也

12.47

6.46

6.30

3.44

1.50

2.12

14.35

1

木科雄登

8.62

6.60

6.90

3.34

0.80

2.48

17.38

1

佐藤駿

26.90

1.92

6.30

1.80

0.80

0.00

0.00

0

三宅星南

2.52

0.00

0.00

0.00

0.00

2.21

11.19

2

 

0.00がついているところは、6人の中で自分が一番低かった、ということで、それ以外の選手は、その選手との差分が表記されています

差が大きくつくのは、ジャンプの基礎点、演技構成点、ジャンプのGOEの順になっています

 

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技術点トップの佐藤選手が演技構成点を伸ばせず全体で五番目に、逆に技術点5番目の島田選手が演技構成点を伸ばしてジュニアのトップに、というのが、よく見えるグラフなような気がします

 

 

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