前回は上位の選手について、得点の取り方を見てみました
今回は、ジュニアの選手たちのそれを見てみます
ここでは、全日本ジュニアから勝ち上がった6選手と、シニア組でしたが世界ジュニアの代表になった白岩選手、合わせて7選手についてみていきます
まずはショートプログラム
ジャンプ基礎点 |
ジャンプGOE |
スピン基礎点 |
スピンGOE |
ステップ基礎点 |
ステップGOE |
減点 |
||
横井ゆは菜 |
19.23 |
4.38 |
9.10 |
1.54 |
3.30 |
0.75 |
27.97 |
0.00 |
川畑和愛 |
19.23 |
3.14 |
8.53 |
1.98 |
3.30 |
0.99 |
27.49 |
0.00 |
青木祐奈 |
19.93 |
1.47 |
9.40 |
1.89 |
3.30 |
0.75 |
26.98 |
0.00 |
長縄和奏 |
19.23 |
3.37 |
9.40 |
1.46 |
2.60 |
0.22 |
23.86 |
0.00 |
荒木菜那 |
19.23 |
-2.12 |
9.20 |
1.75 |
3.30 |
0.57 |
25.39 |
-1.00 |
渡辺倫果 |
14.83 |
-2.94 |
8.90 |
1.68 |
3.30 |
0.38 |
24.32 |
0.00 |
白岩優奈 |
18.50 |
-1.74 |
7.55 |
1.92 |
2.60 |
0.78 |
31.38 |
-1.00 |
ジャンプの基礎点は19.23という選手が半分以上います。これは、コンビネーションが3Lz-3Tであり、ダブルアクセルを挟んで、1.1倍ボーナス時に3Fを飛ぶ、という構成だとこの点数になる、というものです。それより上に行っている青木選手は、コンビネーションが3Lz-3Loという最難度構成になっています。渡辺選手はコンビネーションの二つ目が1回転になり零点扱いになったことが効いて基礎点からだいぶ低くなりました。白岩選手はコンビネーション二つ目の3Tが回転不足なので、他の選手より低いです
ジャンプのGOEは転倒した二選手とコンビネーションがうまく入らなかった渡辺選手はマイナスです。
スピンは、シニア組の白岩選手が一番基礎点低いんですね。GOEは高めにとれていますけど。中学生の長縄選手は、スピンステップで点が伸ばせず、演技構成点も一番下になり、ジャンプの良さを生かしきれませんでした
ステップはレベル4を取れた選手がいない、というのがジュニアの現実。シニアで2シーズン目の白岩選手がステップレベル2なのはいただけないです。ステップではGOE+3で加点0.99入って川畑選手が一番でした。
演技構成点はさすがにシニアの白岩選手がトップになってます
ジャンプ基礎点 |
ジャンプGOE |
スピン基礎点 |
スピンGOE |
ステップ基礎点 |
ステップGOE |
減点 |
||
横井ゆは菜 |
46.22 |
4.75 |
9.6 |
1.68 |
5.6 |
1.74 |
60.51 |
0 |
川畑和愛 |
42.98 |
2.05 |
9.2 |
2.04 |
5.6 |
1.24 |
57.34 |
-2 |
長縄和奏 |
46.26 |
5.88 |
8.2 |
1.02 |
5.6 |
0.48 |
47.82 |
0 |
荒木菜那 |
41.78 |
1.76 |
9.2 |
2.42 |
6.3 |
1 |
52.29 |
-1 |
渡辺倫果 |
43.88 |
2.02 |
8.3 |
1.83 |
5.6 |
0.58 |
49.31 |
0 |
青木祐奈 |
37.16 |
-4.38 |
9.2 |
2.23 |
5.6 |
1.34 |
54.41 |
0 |
白岩優奈 |
40.92 |
-0.67 |
8.05 |
2.34 |
5.6 |
2.28 |
65.65 |
-1 |
続いてフリー
フリーでは、青木選手が回転不足が嵩みジャンプが基礎点から伸びずGOEも大きくマイナスで苦しみました。一方で、ジャンプの基礎点トップは中学生の長縄選手で、基礎点だけでなくGOEもジュニア中トップでした。長縄選手はスピンステップ演技構成点がジュニア組の中で最下位で、ジャンプの得点力の高さを生かしきれなかったという形でした。ただ、こういう得点構成は中学生らしい、ともいえると思います
スピンは基礎点は横井選手が高いのですが、GOEは荒木選手が高くなっていました。ジャンプではうまくいかなかった青木選手もスピンは点を伸ばしています。白岩選手はフリーでもスピンの基礎点が伸ばせていません。
ステップは荒木選手だけがレベル3で他の選手はレベル2。スピンと異なり、ステップでレベル4を取るのはシニアでもかなり苦しんでいますが、ジュニアではだれも取れないという水準になっています。ステップで加点が大きかったのはさすにが白岩選手でした。それに次ぐのが横井選手、また青木選手も高めの加点です。
ジャンプ1本目 |
ジャンプボーナス |
コンビネーション分 |
ジャンプGOE |
スピン |
ステップ+コレオ |
減点 |
||
横井ゆは菜 |
32.90 |
2.32 |
11.00 |
4.75 |
11.28 |
7.34 |
60.51 |
0 |
川畑和愛 |
30.11 |
1.47 |
11.40 |
2.05 |
11.24 |
6.84 |
57.34 |
-2 |
長縄和奏 |
33.90 |
2.06 |
10.30 |
5.88 |
9.22 |
6.08 |
47.82 |
0 |
荒木菜那 |
29.70 |
2.13 |
9.95 |
1.76 |
11.62 |
7.30 |
52.29 |
-1 |
渡辺倫果 |
31.43 |
1.45 |
11.00 |
2.02 |
10.13 |
6.18 |
49.31 |
0 |
青木祐奈 |
28.69 |
1.31 |
7.16 |
-4.38 |
11.43 |
6.94 |
54.41 |
0 |
白岩優奈 |
29.14 |
1.43 |
10.45 |
-0.67 |
10.39 |
7.88 |
65.65 |
-1 |
フリーーはジャンプの中身を区分けしたものも見てみます。
長縄選手は1本目のジャンプの基礎点が高くなっています。1.1倍ボーナス分は横井選手が大きいのですが、ここは、一番低い青木選手と比べても1.01の差しかありません。ボーナス部分で稼ぐ、という戦略はやはりあまり効果的でない、ということがここでも見えてきます。
コンビネーションは、青木選手が一番低くなりました。青木選手のコンビネーションはけっこうおもしろくて、やろうとしたことは、3Lz-3Loの最難度コンビネーションがあり、3連続は1Euから最後の3Fを飛ぶという宇野選手が得意のものを入れたのですが、どちらも不発で、結果的にコンビネーションジャンプで稼ぐことができませんでした。そこが決まっていれば面白い勝負になったと思うのですが、そうはうまくいかず・・・。ただ、その辺は難しいことをやっていてすごいという見方の反面、実は普通にコンビネーションの二つ目に3Tを飛べない、ということの裏返しで無理をしないといけない、という見方になる部分もあります。
今回、結果的に満足のいく滑りが出来なかった荒木選手と青木選手ですが、スピンはこの二人が高い点数でした。
荒木選手はステップも、白岩選手横井選手に次いで三番目。スピンステップは高いレベルでこなせたのですが、ジャンプが決まらず・・・
今大会、高校二年生がだいぶ苦労していて、シニア組の本田白岩両選手は崩れてしまったし、ジュニアでも、青木荒木、さらには渡辺選手も今一つでした。そんな中、唯一、目標としていた代表選考に通った川畑選手ですが、彼女もフリーでは二回転倒があって、滑り自体には満足いくものに出来ませんでした
最後にショートとフリーを合計すると
ジャンプ |
スピン |
ステップ+コレオ |
減点 |
||
横井ゆは菜 |
74.58 |
21.92 |
11.39 |
88.48 |
0.00 |
川畑和愛 |
67.40 |
21.75 |
11.13 |
84.83 |
-2.00 |
長縄和奏 |
74.74 |
20.08 |
8.90 |
71.68 |
0.00 |
荒木菜那 |
60.65 |
22.57 |
11.17 |
77.68 |
-2.00 |
青木祐奈 |
54.18 |
22.72 |
10.99 |
81.39 |
0.00 |
渡辺倫果 |
57.79 |
20.71 |
9.86 |
73.63 |
0.00 |
白岩優奈 |
57.11 |
19.86 |
11.26 |
97.03 |
-2.00 |
ジャンプでは横井選手よりも長縄選手が上。中学生頑張りました、という結果です。
スピンが、ジュニア組6人より白岩選手が下になってしまうという、ちょっといただけない結果に・・・。
ステップは横井選手が流石のトップですが、荒木選手川畑選手もかなり肉薄しています。演技構成点はシニアの白岩選手が抜けています。ジャンプで苦しんで一番点が出なかった青木選手も、演技構成点ではまずまずの点が出ていました。
ジャンプ基礎点 |
ジャンプGOE |
スピン基礎点 |
スピンGOE |
ステップ基礎点 |
ステップGOE |
減点 |
||
横井ゆは菜 |
65.45 |
9.13 |
18.70 |
3.22 |
8.90 |
2.49 |
88.48 |
0.00 |
川畑和愛 |
62.21 |
5.19 |
17.73 |
4.02 |
8.90 |
2.23 |
84.83 |
-2.00 |
長縄和奏 |
65.49 |
9.25 |
17.60 |
2.48 |
8.20 |
0.70 |
71.68 |
0.00 |
荒木菜那 |
61.01 |
-0.36 |
18.40 |
4.17 |
9.60 |
1.57 |
77.68 |
-2.00 |
青木祐奈 |
57.09 |
-2.91 |
18.60 |
4.12 |
8.90 |
2.09 |
81.39 |
0.00 |
渡辺倫果 |
58.71 |
-0.92 |
17.20 |
3.51 |
8.90 |
0.96 |
73.63 |
0.00 |
白岩優奈 |
59.42 |
-2.41 |
15.60 |
4.26 |
8.20 |
3.06 |
97.03 |
-2.00 |
見方を変えると、ショートフリー合わせてジャンプのGOEがプラスになったのは三人しかいなかった、というのも見えてきました。長縄選手は、基礎点もGOEも、ジャンプではどちらもトップなんですね
スピンで、白岩選手はレベルが取れなかったりと基礎点部分が低めですが、GOEは一番高いという、いいんだか悪いんだかになってますが、足した結果が一番低いんだから悪いんでしょう
ステップはショートフリー両方共でレベル3を取れたのは一人だけ、ということで、ジュニア勢はなかなか苦しんでいるようでした
ジャンプ1本目 |
ジャンプボーナス |
コンビネーション分 |
ジャンプGOE |
スピン |
ステップ+コレオ |
減点 |
||
横井ゆは菜 |
47.40 |
2.85 |
15.20 |
9.13 |
21.92 |
11.39 |
88.48 |
0.00 |
川畑和愛 |
44.61 |
2.00 |
15.60 |
5.19 |
21.75 |
11.13 |
84.83 |
-2.00 |
長縄和奏 |
48.40 |
2.59 |
14.50 |
9.25 |
20.08 |
8.90 |
71.68 |
0.00 |
荒木菜那 |
44.20 |
2.66 |
14.15 |
-0.36 |
22.57 |
11.17 |
77.68 |
-2.00 |
青木祐奈 |
43.19 |
1.84 |
12.06 |
-2.91 |
22.72 |
10.99 |
81.39 |
0.00 |
渡辺倫果 |
45.93 |
1.78 |
11.00 |
-0.92 |
20.71 |
9.86 |
73.63 |
0.00 |
白岩優奈 |
43.64 |
2.28 |
13.60 |
-2.41 |
19.86 |
11.26 |
97.03 |
-2.00 |
ジャンプの区分けを詳しくすると、こんな感じになります。ボーナスにこだわるよりはGOEをしっかりとれるようにする方が効果的、ということがここにも表れています。
最後に、この7選手間での差分を見てみます
ジャンプ |
スピン |
ステップ+コレオ |
減点 |
||
横井ゆは菜 |
20.40 |
2.06 |
2.49 |
16.80 |
2.00 |
川畑和愛 |
13.22 |
1.89 |
2.23 |
13.15 |
0.00 |
長縄和奏 |
20.56 |
0.22 |
0.00 |
0.00 |
2.00 |
荒木菜那 |
6.47 |
2.71 |
2.27 |
6.00 |
0.00 |
青木祐奈 |
0.00 |
2.86 |
2.09 |
9.71 |
2.00 |
渡辺倫果 |
3.61 |
0.85 |
0.96 |
1.95 |
2.00 |
白岩優奈 |
2.93 |
0.00 |
2.36 |
25.35 |
0.00 |
この7選手の中で一番点が低かった選手を0として、他の選手はその選手との差分を計算させました。
ジャンプの点差がスピンやステップと比べて圧倒的であり、桁が違います。一方で演技構成点の差もかなり大きなものになっています。スピンステップは、ジャンプがしっかり飛べて、演技構成を作りこむことができて、という二つの土台がそろったうえで、さあ最後に勝負、という段階ではポイントになってくるけれど、そこまでたどり着けていないジュニア段階だと、スピンステップよりまずはジャンプ、次に演技構成、ということになるんだな、ということが感じられました
差分だけをグラフ化したものを貼っておきます
ジャンプの青と演技構成点の黄色で、ほとんど作られているのが見て取れます
全日本選手権18女子シングル得点考察3(中高生・大学社会人 全般)