国別対抗戦が終わり、フィギュアスケートのシーズンは基本的には終了しました。国内のローカル大会は一部あるようですが、それはまあ、横に置いておいていいでしょう
シーズンが終わったので、今シーズンを振り返っていきたいと思います。
まずはトータルスコアのを見ていきたいと思います。女子シングルで200点以上のスコアを並べてみました。
ベストスコアではなく、条件を満たせば複数回でも載っています。
対象となる大会は、チャレンジャーシリーズ、(ジュニア)グランプリシリーズ(ファイナル含む)、四大陸選手権/ヨーロッパ選手権、ユニバーシアード、(ジュニア)世界選手権、国別対抗戦および、2月3月に日本人選手が出場したB級大会数試合まで含みます。このうちユニバーシアードはISU公認大会ではないので、ISUのベストスコアにはカウントされません。
一番左はスコア順位で、その右のJ/Sは、JuniorのJとSeniorのSです。
200点以上のスコアをすべて並べました。延べ65人が200点以上を出していますが、実人数としては19人になります。
J/S | Event | Name | Nation | Total | |
1 | S | Nebelhorn Trophy | Alina ZAGITOVA | RUS | 238.43 |
2 | S | World Championships | Alina ZAGITOVA | RUS | 237.50 |
3 | S | World Team Trophy | Elizaveta TUKTAMYSHEVA | RUS | 234.43 |
4 | S | Grand Prix Final | Rika KIHIRA | JPN | 233.12 |
5 | S | Grand Prix Final | Alina ZAGITOVA | RUS | 226.53 |
6 | S | World Team Trophy | Bradie TENNELL | USA | 225.64 |
7 | S | World Championships | Elizabet TURSYNBAEVA | KAZ | 224.76 |
8 | S | NHK Trophy | Rika KIHIRA | JPN | 224.31 |
9 | S | World Championships | Evgenia MEDVEDEVA | RUS | 223.80 |
10 | S | World Team Trophy | Kaori SAKAMOTO | JPN | 223.65 |
11 | S | World Championships | Rika KIHIRA | JPN | 223.49 |
12 | S | Rostelecom Cup | Alina ZAGITOVA | RUS | 222.95 |
13 | J | World Junior Championships | Alexandra TRUSOVA | RUS | 222.89 |
14 | S | World Championships | Kaori SAKAMOTO | JPN | 222.83 |
15 | S | World Team Trophy | Rika KIHIRA | JPN | 222.34 |
16 | S | Four Continents Championships | Rika KIHIRA | JPN | 221.99 |
17 | J | Amber Cup | Alexandra TRUSOVA | RUS | 221.44 |
18 | J | JGP Armenia Cup | Alexandra TRUSOVA | RUS | 221.00 |
19 | S | UNIVERSIADE | Mai MIHARA | JPN | 220.68 |
20 | J | World Junior Championships | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 219.94 |
21 | S | Skate America | Satoko MIYAHARA | JPN | 219.71 |
22 | S | NHK Trophy | Satoko MIYAHARA | JPN | 219.47 |
23 | S | NHK Trophy | Elizaveta TUKTAMYSHEVA | RUS | 219.02 |
24 | S | Ondrej Nepela Trophy | Rika KIHIRA | JPN | 218.16 |
25 | J | Junior Grand Prix Final | Alena KOSTORNAIA | RUS | 217.98 |
26 | S | World Championships | Satoko MIYAHARA | JPN | 215.95 |
27 | S | Grand Prix Final | Elizaveta TUKTAMYSHEVA | RUS | 215.32 |
28 | S | GP Helsinki | Alina ZAGITOVA | RUS | 215.29 |
29 | J | Junior Grand Prix Final | Alexandra TRUSOVA | RUS | 215.20 |
30 | S | UNIVERSIADE | Elizabet TURSYNBAEVA | KAZ | 214.77 |
31 | S | Skate America | Kaori SAKAMOTO | JPN | 213.90 |
32 | S | European Championship | Sofia SAMODUROVA | RUS | 213.84 |
33 | S | World Championships | Bradie TENNELL | USA | 213.47 |
34 | S | Grand Prix Final | Kaori SAKAMOTO | JPN | 211.68 |
35 | S | Nebelhorn Trophy | Mai MIHARA | JPN | 209.22 |
36 | S | World Championships | Sofia SAMODUROVA | RUS | 208.58 |
37 | S | Challenge Cup | Rika KIHIRA | JPN | 208.34 |
38 | S | World Championships | Mariah BELL | USA | 208.07 |
39 | S | Four Continents Championships | Elizabet TURSYNBAEVA | KAZ | 207.46 |
40 | S | World Team Trophy | Sofia SAMODUROVA | RUS | 207.45 |
41 | S | Four Continents Championships | Mai MIHARA | JPN | 207.12 |
42 | S | Four Continents Championships | Kaori SAKAMOTO | JPN | 206.79 |
43 | S | Autumn Classic | Bradie TENNELL | USA | 206.41 |
44 | S | Lombardia Trophy | Elizaveta TUKTAMYSHEVA | RUS | 206.07 |
45 | S | World Team Trophy | Mariah BELL | USA | 206.06 |
46 | S | France de Patinage | Rika KIHIRA | JPN | 205.92 |
47 | S | UNIVERSIADE | Stanislava KONSTANTINOVA | RUS | 205.91 |
48 | S | World Championships | Eunsoo LIM | KOR | 205.57 |
49 | J | JGP Bratislava | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 205.39 |
50 | S | Autumn Classic | Evgenia MEDVEDEVA | RUS | 204.89 |
51 | S | Bavarian Open | Satoko MIYAHARA | JPN | 204.56 |
52 | S | Grand Prix Final | Sofia SAMODUROVA | RUS | 204.33 |
53 | S | NHK Trophy | Mai MIHARA | JPN | 204.20 |
54 | S | Nebelhorn Trophy | Loena HENDRICKX | BEL | 204.16 |
55 | J | JGP Cup of Austria | Alena KOSTORNAIA | RUS | 203.50 |
56 | S | Skate Canada | Elizaveta TUKTAMYSHEVA | RUS | 203.32 |
57 | S | Skate Canada | Mako YAMASHITA | JPN | 203.06 |
58 | S | Finlandia Trophy | Elizaveta TUKTAMYSHEVA | RUS | 202.85 |
59 | S | France de Patinage | Mai MIHARA | JPN | 202.81 |
60 | S | Tallinn Trophy | Serafima SAKHANOVICH | RUS | 202.62 |
61 | S | GOLDEN SPIN | Bradie TENNELL | USA | 202.41 |
62 | S | Four Continents Championships | Bradie TENNELL | USA | 202.07 |
63 | S | Grand Prix Final | Satoko MIYAHARA | JPN | 201.31 |
64 | S | US International | Satoko MIYAHARA | JPN | 201.23 |
65 | S | Finlandia Trophy | Elizabet TURSYNBAEVA | KAZ | 200.74 |
ベストスコアはザギトワ選手ですが、チャレンジャーシリーズのネーベルホルン杯、というのはちょっと残念な感じです。せっかくなので世界選手権で超えておいてほしかった気はしますが、スコア1位も2位もザギトワ選手なわけですから、なんだかんだでやっぱり強かったなあ、という感じになりますでしょうか。
それに次ぐのは国別対抗戦でショートフリー1本づつトリプルアクセルを決めたトゥクタミシェワ選手。この選手が世界選手権に出られないわけですから、ロシアはとんでもない国ですね・・・。卓球中国みたいなことになってます。もうしばらくしたら、元ロシア国籍のカタール人とか、元ロシア国籍のバーレーン人とかが多発するんでしょうか。
紀平選手のグランプリファイナルのスコアが4番手。ここまでが230点越えです。世界選手権でベストは出せませんでしたが、シーズン中盤の山場でベストスコアを出して勝ったのですから、紀平選手も紀平選手で強さはありました。
220点台が結構人数いて延べ15人。紀平選手が4回いたりして、実人数としては8人です。
国別対抗戦で高スコアを出したブレイディテネル選手が北米選手の最高点で全体の6番目のスコアになりました。世界選手権2位相当のスコアです。はっきり言ってしまうと、あの緩い空気の国別対抗戦で出したスコアというのは、世界選手権で出すスコアとはだいぶ価値が違うとは思うのですが、自分のできるベストの滑りができれば世界選手権で表彰台に乗ることができるレベルにいる、ということを感じられたというのはあったかと思うので、そういう価値はあったのだろうと思います。
坂本選手も国別対抗戦がベストスコアになりましたが、こちらはそのスコアでも世界選手権の4位相当。今シーズンは国際試合では勝ち切れませんでしたね。
ジュニアのトップは上から13番目でトゥルソワ選手の世界ジュニア優勝スコアが入りました。ここに単純にジュニアにはない要素のコレオシークエンス分が上乗せされる、と考えた場合、世界選手権2位相当のスコアにまでは計算上確実になります。ジュニアはシェルバコワ選手、コストルナヤ選手と合わせて三強というような扱いがありますが、220点を超えるスコアを出したのはトゥルソワ選手のみで、しかも3回も出しています。頭一つくらいは抜けている、と見た方がいいかもしれません。
ISU公認スコアではないですが、三原選手のユニバーシアード優勝スコアが220点を超えて全体の19番目となりました。
220点を超えるスコアを複数回出しているのは、紀平選手5回、ザギトワ選手4回、トゥルソワ選手3回、坂本選手2回の4人です。
210点台に延べ15人。ここで初めて名前が出てくるのはシェルバコワ選手、宮原選手、コストルナヤ選手、サムドゥロワ選手の4人。ここまでは日露+トゥルシンバエワ選手+テネル選手のみ。トゥルシンバエワ選手はエテリ帝国の一員になってますので、日露と無関係な選手はテネル選手しかいないんですね。
宮原選手は210点台後半のスコアを3回出しているのですが、シーズン中盤以降今一つ振るいませんでした。むしろジャンプ矯正中でよくここまでの点が出たというべきなんでしょうか。
世界ジュニア二位のシェルバコワ選手、ジュニアグランプリファイナル優勝のコストルナヤ選手のスコアがそれぞれこの210点台にいるのですが、二人とも210点を超えたのはその一回のみです。ジュニアグランプリファイナルで2位に敗れたトゥルソワ選手のスコアも210点台ですが、それ以外で220点台を連発したのと比べると、これらの二人はちょっと落ちるし、安定感にも欠けた、というのがジュニアシーズンの結果でした。シニアに上がって三人がどうなるか。ジュニア最終年の紀平選手の安定感の欠け方なんてこんなもんじゃなかったというところから次のシーズンがあれだったわけで、ジュニア→シニアでどれだけ変わるかは全く分からない部分はありますから、楽しみでもあり怖くもあります。
サムドゥロワ選手のヨーロッパ選手権優勝スコアが213.84で全体の32番目。いろいろなめぐりあわせと、本人がここにぴったりと合わせたことで見事に勝ったわけですが、同じロシアの選手の中で見てこのベストスコアは今シーズンの7番目です。来シーズンはこのままだとちょっと苦しいわけですが、シーズン始まる前の段階では今シーズンだって、サムドゥロワ選手がここまで伸びてヨーロッパ選手権に勝つ、とはほとんどだれも思ってなかったでしょうから、来シーズンももう一伸びして夢よ再び、という線もないではないんでしょうか
国別対抗戦は別枠、と考えるなら、北米選手のトップスコアは世界選手権7位のテネル選手213.47というのが上がってきます。
200点一けた台のスコアは延べ31人が出しています。
三原選手の名前がここに4つ入ってきます。200点未満の試合はなし。安定感があるとみるか爆発力が足りないと見るか。今シーズンは日本では三強に割って入ることができず世界選手権の出場権を得られませんでした。220点を出したユニバーシアードくらいのスコアで行けるといいのですが、まだ公認スコア的には200点台一桁の選手、という扱いになります。
ロシア勢ではここで初めて入ってきた名前として、コンスタンティノワ選手とサハノビッチ選手があります。ただ、コンスタンティノワ選手はユニバーシアードであって公認スコアではありません。サハノビッチ選手は202.62で何とか200点に乗るのがやっとで、かつ、タリントロフィーという、グランプリシリーズの裏でやっていたチャレンジャーシリーズの一試合で出したスコアです。ロシアの上位7人とはこの二人は少し差がありそうで、来シーズン以降苦しいでしょうか。また、ロシアのジュニア勢はエテリ帝国三人衆以外もジュニアグランプリシリーズは席巻していたのですが、200点台に入ってくることはなく、190点台以下のスコアでした。ここもやはり差がありそうです。
北米勢ではマライアベル選手がここに入ってきます。208.07で世界選手権9位。二週間置いて国別対抗戦でも206.06を出して、200点台の力が付きました、というのを見せています。北米勢で200点を超えるスコアを出したのは、今シーズンは結局テネル選手とベル選手の二人だけでした。
アジア勢では205.57で世界選手権10位のイムウンス選手がいます。日本人選手ではグランプリシリーズデビュー戦で203.06を出し表彰台に乗った山下選手も入っています。日本人選手は彼女を含めて5人が200点オーバーを出しました。
ロシア以外の欧州勢では、チャレンジャーシリーズでのみですが、ベルギーのルナヘンドリックス選手が204.16を出しています。
200点以上を出したのはロシア9人、日本5人、米国2人、カザフスタン、韓国、ベルギーが1人づつ。合計19人。国籍の偏りが非常に強いです。190点以上に広げても増える国籍はフィンランドとカナダまで。180点まで降りると、スイス、イタリア、フランスが入ってきます。
回数で見るともっと極端になります。200点以上を出したのがロシアは27回、日本が25回、米国7回、カザフスタン4回、韓国ベルギー1回づつ。回数で見ると日本がロシアに匹敵してたりして、シニア限定だと日本の方が多かったりもするあたりも面白いところですが、それ以上に、日露以外との差というのが際立っています。
200点以上のスコアを出した19人のうち、世界選手権がベストスコアという選手は4人、世界ジュニアがベストスコアな選手が2人いました。そういうタイミングでベストスコアが出せるといいですね。