18-19男子シングルスコアランキング

女子シングルについての振り返りが一通り終わりましたので、次は男子シングルということになります

女子シングルは200点以上を拾いましたが、男子シングルでは250点以上で拾うことにします

 

ベストスコアではなく、条件を満たせば複数回でも載っています。

対象となる大会は、チャレンジャーシリーズ、(ジュニア)グランプリシリーズ(ファイナル含む)、四大陸選手権/ヨーロッパ選手権ユニバーシアード、(ジュニア)世界選手権、国別対抗戦および、2月3月に日本人選手が出場したB級大会数試合まで含みます。このうちユニバーシアードはISU公認大会ではないので、ISUのベストスコアにはカウントされません。

 

250点以上をすべて並べると延べ53人で実人数としては20人となります。女子で200点以上を並べると延べ65人対して実人数が19人でしたから、安定して250点以上を出す選手の数、というのは少し少ないのかもしれません

  Event Name Nation Total FS SP PL
1 World Championships Nathan CHEN USA 323.42 216.02 107.40 1
2 World Team Trophy Nathan CHEN USA 301.44 199.49 101.95 1
3 World Championships Yuzuru HANYU JPN 300.97 206.10 94.87 2
4 World Team Trophy Vincent ZHOU USA 299.01 198.50 100.51 2
5 GP Helsinki Yuzuru HANYU JPN 297.12 190.43 106.69 1
6 Four Continents Shoma UNO JPN 289.12 197.36 91.76 1
7 Grand Prix Final Nathan CHEN USA 282.42 189.43 92.99 1
8 World Team Trophy Shoma UNO JPN 282.24 189.46 92.78 3
9 World Championships Vincent ZHOU USA 281.16 186.99 94.17 3
10 Skate America Nathan CHEN USA 280.57 189.99 90.58 1
11 Rostelecom Cup Yuzuru HANYU JPN 278.42 167.89 110.53 1
12 Skate Canada Shoma UNO JPN 277.25 188.38 88.87 1
13 NHK Trophy Shoma UNO JPN 276.45 183.96 92.49 1
14 Lombardia Trophy Shoma UNO JPN 276.20 172.05 104.15 1
15 Grand Prix Final Shoma UNO JPN 275.10 183.43 91.67 2
16 Ondrej Nepela Trophy Mikhail KOLYADA RUS 274.37 177.55 96.82 1
17 UNIVERSIADE Matteo RIZZO ITA 273.54 182.76 90.78 1
18 Four Continents Boyang JIN CHN 273.51 181.34 92.17 2
19 Four Continents Vincent ZHOU USA 272.22 172.04 100.18 3
20 Europe Championships Javier FERNANDEZ ESP 271.59 179.75 91.84 1
21 France de Patinage Nathan CHEN USA 271.58 184.64 86.94 1
22 World Championships Shoma UNO JPN 270.32 178.92 91.40 4
23 Europe Championships Alexander SAMARIN RUS 269.84 177.87 91.97 2
24 Four Continents Keegan MESSING CAN 267.61 179.43 88.18 4
25 Skate Canada Keegan MESSING CAN 265.17 170.12 95.05 2
26 Autumn Classic Yuzuru HANYU JPN 263.65 165.91 97.74 1
27 Grand Prix Final Junhwan CHA KOR 263.49 174.42 89.07 3
28 GOLDEN SPIN Jason BROWN USA 263.42 167.92 95.50 1
29 World Championships Boyang JIN CHN 262.71 178.45 84.26 5
30 World Championships Mikhail KOLYADA RUS 262.44 178.21 84.23 6
31 World Team Trophy Matteo RIZZO ITA 260.53 172.89 87.64 4
32 Autumn Classic Junhwan CHA KOR 259.78 169.22 90.56 2
33 UNIVERSIADE Maxim KOVTUN RUS 259.49 167.75 91.74 2
34 Four Continents Jason BROWN USA 258.89 172.32 86.57 5
35 World Team Trophy Keiji TANAKA JPN 258.84 169.79 89.05 5
36 UNIVERSIADE Morisi KVITELASHVILI GEO 258.02 175.31 82.71 3
37 GP Helsinki Michal BREZINA CZE 257.98 164.67 93.31 2
38 World Team Trophy Keegan MESSING CAN 257.79 178.04 79.75 6
39 World Championships Matteo RIZZO ITA 257.66 164.29 93.37 7
40 Nebelhorn Trophy Keegan MESSING CAN 257.16 166.53 90.63 2
41 France de Patinage Jason BROWN USA 256.33 159.92 96.41 2
42 Four Continents Junhwan CHA KOR 255.83 158.50 97.33 6
43 Grand Prix Final Michal BREZINA CZE 255.26 166.05 89.21 4
44 Skate Canada Junhwan CHA KOR 254.77 165.91 88.86 3
45 NHK Trophy Sergei VORONOV RUS 254.28 162.91 91.37 2
46 World Championships Michal BREZINA CZE 254.28 167.32 86.96 8
47 World Championships Jason BROWN USA 254.15 157.34 96.81 9
48 Challenge Cup Sota YAMAMOTO JPN 253.87 171.63 82.24 1
49 GOLDEN SPIN Mikhail KOLYADA RUS 253.14 156.10 97.04 2
50 World Team Trophy Nam NGUYEN CAN 251.97 164.40 87.57 7
51 Four Continents Keiji TANAKA JPN 251.54 167.61 83.93 7
52 Finlandia Trophy Mikhail KOLYADA RUS 250.58 165.38 85.20 1
53 Lombardia Trophy Dmitri ALIEV RUS 250.55 163.98 86.57 2

一見して分かるのは、上位の名前が非常に固定されている事。15位までに名前が4つしかありません。女子もザギトワ選手と紀平選手の二人が上の方では目立ってましたが、ここまでの偏りはありませんでした。

また、男子ではジュニアの選手がこの中に一人もいません。ジュニアの今シーズン最高点は、ジュニアグランプリファイナルでのゴゴレフ選手の233.58でした。女子はシニアとジュニアのスコアがかなり拮抗していますが、男子はシニアとジュニアの差は大きいです。

 

 ベストスコア300点越え

Event Name Nation Total FS SP PL
World Championships Nathan CHEN USA 323.42 216.02 107.40 1
World Championships Yuzuru HANYU JPN 300.97 206.10 94.87 2

 

300点越えは2選手で3回。ネイサンチェン選手の世界選手権優勝スコア323.42は突出しています。構成を落として、ある種気楽に臨んだ国別対抗戦でもスコアとしては300点を超えて羽生選手のベストスコアの上へ行きました。条件が違いすぎますので、手抜きしても羽生選手に勝てる、というのとはだいぶ意味が異なると思いますが、構成を落としても300点レベルの点数が出せる、というのは事実としてあると思います。

羽生選手も300点には届きました。本調子ではなかったでしょうし、ショートプログラム大過失があってのこのスコアですから、負けは負けとはいえしっかりと強さは見せていたんだろうと思います。世界選手権の時点でもまだ本調子ではなく、ケガも回復途上だったようですので、結果的に来季の日本の出場枠が2になったとしても、羽生選手は代表に入れない方がよかったのではないか、という気が今もするのですが、あの負けで火がついて4Aだけでなく総合力を高めてもう一度勝つ、という意欲を得られたなら、それはそれでよかったんでしょうか。

 

ベストスコア280~300点

Event Name Nation Total FS SP PL
World Team Trophy Vincent ZHOU USA 299.01 198.50 100.51 2
Four Continents Championships Shoma UNO JPN 289.12 197.36 91.76 1

 

280点以上、というところまで見ると入ってくる名前は二つ。

ヴィンセントジョー選手は国別対抗戦で300点まであとわずかというスコアを出しました。ただ、世界選手権の段階では、表彰台に乗りましたがベストスコアはまだ宇野昌磨選手の方が上でした。今シーズン初戦のUSインターナショナルでは204.62 グランプリシリーズ2戦は220点台というところから、四大陸で270点台に乗せ、世界選手権で280点台、国別対抗戦は290点台としり上がりのスコアを伸ばしてきました。シーズン初戦と比べると100点近くスコアが伸びていることになります。著しい成長、というよりはジャンプの安定感が増した、ということかと思われます。また、これだけのスコアを出しましたが、今シーズン優勝はありません。この先は勝負強さはどう? というのも求められていくでしょうか。

一方の宇野選手は、シーズン最低点が270.32と270点を上回り、ベストスコアが289.12で、幅が20点に満たないという、男子の選手としては異例な安定感があります。まあ、安定していてミスがない、ということではなく、ミスの量が一定程度あるという形での安定ではありますが。チャレンジャーシリーズに始まり、グランプリ2戦、ファイナルに出て、ナショナル選手権もこなし、四大陸に勝ち、世界選手権で騒がれ、国別対抗戦まで、今シーズンフル稼働で試合に出て常に上位にいる緊張感の中で、ワーストスコアが270点台というのはすごいことだと思います。

ただ、シーズンワーストスコアが世界選手権で出てしまった、というのがやや弱いところでしょうか。今シーズンは3強と謳われていましたが、戦績を考えると、2強+1の1の位置づけと見た方が正しかったのかもしれません。

 

ベストスコア270点台

Event Name Nation Total FS SP PL
Ondrej Nepela Trophy Mikhail KOLYADA RUS 274.37 177.55 96.82 1
UNIVERSIADE Matteo RIZZO ITA 273.54 182.76 90.78 1
Four Continents Boyang JIN CHN 273.51 181.34 92.17 2
Europe Championships Javier FERNANDEZ ESP 271.59 179.75 91.84 1

 

270点台にベストスコアがあるのは4人。ここでようやくヨーロッパ系の選手が入ってきます。

ロシアのコリヤダ選手が274.37のスコアでベストスコアとしては5番目。ただ、これでも全体16番目のスコアであり、かつ、オンドレイネペラ杯というチャレンジャーシリーズのスコアでしかない、という現実もあります。2番目のスコアは世界選手権の262.44で最終的に6位には入りましたが、表彰台争いには全く絡めず。今シーズン、チャレンジャーシリーズに3試合出て2勝と2位1回という成績を収め、チャレンジャーシリーズの覇者としてCHF4000を手に入れましたが、グランプリシリーズ以上の格の試合では表彰台に乗ることができていません。格の高い試合で結果が出せるとよいのですが・・・

イタリアのマテオリッツォ選手がその次の位置にいて、ユニバーシアードの優勝スコア273.54というのがあります。ユニバーシアードはISU非公認大会なので、公認スコアとしては国別対抗戦の260.53がベストスコアです。シーズン前半はチャレンジャーシリーズグランプリシリーズで220点前後の得点にとどまっていたのですが、ヨーロッパ選手権で247.08の3位表彰台、以降スコアを伸ばして、後半は上位選手として活躍しました。ヴィンセントジョー選手と並ぶ、今シーズン成長した選手ということになると思います。四回転がようやく1種類入った、という段階でこういった戦績を上げることができているので、もしかしたら、いわゆる本番に強い、というような選手で、今後も大きな大会で活躍してくれるかもしれません。ヨーロッパでは男子もロシア1強になりかねないので、それを阻んでくれると面白いのですがどうでしょう

中国のボーヤンジン選手が四大陸選手権2位の273.51で全体の18番目のスコアを出しています。四大陸も世界選手権も、まだ本調子とまでは言えない感じでしたが、それでも同世代ライバル宇野選手の次の順位にまでは戻ってきました。グランプリ2戦は結構ひどくて、フリーでは150点にも全然届かず、大丈夫なんだろうか、と心配でしたが、これくらいまで戻ってきてくれれば来シーズンは期待できるでしょうか。北京オリンピックの主役として頑張ってくれると嬉しいです。

そして、今シーズンで引退を表明したハビエルフェルナンデス選手のヨーロッパ選手権優勝スコア271.59が全体の20番目になります。勝って終わる気分の良さ、という感じでしょうが、日本人としては、さいたま来てよ、と言いたいところはある。フェルナンデス選手が本気モードで埼玉に来ていたら、またもう少し違った試合展開になっていた可能性もあるような気もするんですけどね。 ハビエルマンでもいいんで、またのお越しをお待ちしております。

ここまでで8人名前が出ていますが、上位の4人は複数回270点以上を出していて、宇野選手7/7、ネイサンチェン選手5/5、羽生結弦選手3/4、ヴィンセントジョー選手3/7 と4人で18回。今シーズンはこの4人の戦績が突出していたんだな、というのも見て取れます。

 

ベストスコア260点台

Event Name Nation Total FS SP PL
Europe Championships Alexander SAMARIN RUS 269.84 177.87 91.97 2
Four Continents Keegan MESSING CAN 267.61 179.43 88.18 4
Grand Prix Final Junhwan CHA KOR 263.49 174.42 89.07 3
GOLDEN SPIN Jason BROWN USA 263.42 167.92 95.50 1

 

260点台のベストスコアは4人。

ロシアのサマリン選手が269.84でヨーロッパ選手権2位に入りました。世界選手権、もう少し上位に絡むかな? と思っていたのですがショートで出遅れて結局12位 国別対抗戦でも来日してましたが、ショートフリー共にぱっとせず今一つでした。

キーガンメッシング選手は四大陸選手権4位の267.61がベストスコアです。今シーズンはグランプリファイナルにも出場しましたし、躍進ともいえるシーズンだったかと思います。今シーズンで27歳になりました。2シーズン前まではチャレンジャーシリーズ格の選手、という状態で25歳になったところから、オリンピックに出場し、今シーズンはグランプリシリーズ初表彰台、初グランプリファイナル。北米の選手はこれくらいの年齢になってからトップに上がってきたりするので、その辺、日本やロシアも見習ってほしい感じですし、日本も、大学卒業しても中堅選手が競技を続けられる環境が整ってほしい、と、この選手を見ているといつも思ってしまいます。フェルナンデス選手とのチャップリン対決、とか見てみたかった気がします

韓国のチャジュンファン選手がグランプリファイナルで263.49のスコアで表彰台に乗りました。今シーズンは北米ではヴィンセントジョー選手、ヨーロッパはマテオリッツォ選手が成長株という感じで結果を出しましたが、アジアからはチャジュンファン選手だったのかと思います。ただ、シーズン前半は良かったのですが、後半は失速感がありました。四大陸選手権は255.63に留まって6位。世界選手権は今シーズンワーストの229.26で19位に終わっています。完全チャレンジャー状態だったシーズン前半と比べ、自分も出来るんだ、と自覚したシーズン後半は勢いが止まった感じがあります。トップ選手の一人、と自他ともに認めるようになってから結果が出せるかどうか、というのが来シーズン問われるんでしょうか。

260点台ラストはジェイソンブラウン選手。ベストスコアはチャレンジャーシリーズのゴールデンスピン優勝スコア263.42 そのほか250点台を3試合で出しています。今シーズン、ショートプログラムは4回転なしの構成で95点を超えるスコアを3回出していて上位で折り返すのですが、フリーで四回転がしっかり決まらず、ついでにトリプルアクセルもきれいには決められず、ショートの順位を保てない、という展開が目立ちました。各要素の完成度が高いので、あとは高難度ジャンプが決まれば向かうところ敵なしなんですが・・・。

 

 ベストスコア250点台

Event Name Nation Total FS SP PL
UNIVERSIADE Maxim KOVTUN RUS 259.49 167.75 91.74 2
World Team Trophy Keiji TANAKA JPN 258.84 169.79 89.05 5
UNIVERSIADE Morisi KVITELASHVILI GEO 258.02 175.31 82.71 3
GP Helsinki Michal BREZINA CZE 257.98 164.67 93.31 2
NHK Trophy Sergei VORONOV RUS 254.28 162.91 91.37 2
Challenge Cup Sota YAMAMOTO JPN 253.87 171.63 82.24 1
World Team Trophy Nam NGUYEN CAN 251.97 164.40 87.57 7

 

250点台のベストスコアは8人います。

ここに日本から、田中刑事選手と山本草太選手が入ってきました。

田中選手は国別対抗戦で258.84というベストスコアを出しました。四大陸選手権では251.54というのもあります。ただ、世界選手権は238.40で14位。目指すべき大会で結果が出ない、というのが泣き所です。

山本選手はチャレンジカップで253.87を出しました。ただ、これ、ISUの世界ランキングには反映される大会でポイントがしっかり入ったのですが、公認スコアとしては残してもらえず、ベストスコアはNHK杯の213.40という扱いになっています。253.87がベストスコア扱いならグランプリシリーズ2戦がほぼ確定的でよかったんですが・・・。まあ、グランプリシリーズが1戦だけでも、四大陸や世界選手権に出られれば問題ないわけで、来シーズンは、田中刑事選手友野一希選手島田高志郎選手あたりとの全日本選手権表彰台争いが非常に激しいことになりそうな気がしました。北京オリンピックにはまだ間に合う、というタイミングで本格的に復活というか、以前のスコアをはっきりと上回ってきたので、本当にうれしく思います。

 

 

250点以上のベストスコアがあるのはロシア5人、日本4人、アメリカ3人、カナダ2人、イタリア中国スペイン韓国ジョージアチェコが各1人。男子シングルも意外と日露が人数的には寡占なんですね。戦績ではロシアよりアメリカですけれど。ただ、日米ロの三カ国まで広げれば結局男女シングルこの三カ国という感じですし、オズモンド休養中がやがて復帰とすれば、日米ロ加の四か国で男女シングルのほとんどは出来ている、という感じになります。男子はフェルナンデス選手が引退してしまいますし・・・。女子はコストナー選手がいればもう少し状況は変わってくるのですが・・・。

 

もう少し、その辺の、強豪国の幅が広がっていくと面白いというのと、広がらないと財政面でもあまりよろしくないなあ、と思ったりもします。