サビカとリズキーのその後 IFSNC19

2018年、世界選手権の直前に放映された、安藤美姫さんがインドネシアフィギュアスケートを教えに行くという企画。その時の主役級で出ていたインドネシアのスケーター二人、女子のサビカと男子のリズキー。二人のその後を時折追っています。

 

今シーズンの国際試合では、以前取り上げたジュニアグランプリシリーズに出場していました。成績としてはやはり今一つですが、リズキーはトリプルループを決めることに成功しています。

 

さて、その後なのですが、やはり世界ジュニアに出る、というようなことはかなわず、国際舞台には顔を出せていません。ただ、インドネシアも一つの国。日本でもアメリカでもロシアでもあるように、同じように、インドネシアにだってあります、ナショナル選手権。

インドネシアフィギュアスケートナショナルチャンピオンシップ19 略してIFSNC19

会場は、ジャカルタにあるイオンモールのスケート場です

4月13-14という日程で行われました。国別対抗戦と同日、シーズンの締めくくりですね。

 

二人は、エリートジュニアのカテゴリーで出場しています。年齢的に、リズキーは15歳、サビカも数日前に15歳になったばかり、ということでジュニアカテゴリーになるのは妥当なところ。日本のような、ナショナルジュニアで上位に入るとシニアのナショナル選手権に出られる、なんて制度はありません。

 

サビカはショート37.09 フリー58.23 トータル95.32で残念ながら2位に終わりました。ショートフリー共に2位。トータルスコアで1.04差でしたから非常に僅差だったのですが・・・。

ショートは2A,2Lz-2T,2Loというジャンプ構成。2Aはしっかり決めています。フリーでは2Aが2本入って回転不足なしですが1本目はGOEが-3ついてしまいました。構成に3回転は結果的に入っていませんが、二つ目の要素2S<<はおそらくトリプルサルコウを入れようとしてうまくいかなかった結果かと思われます。コンビネーションが二つしか入らず、3連続を入れられなかった、というのが、最終的には致命傷で優勝を逃す結果となりました。

なお、シニア女子の優勝スコアは78.30  ジュニアの1位2位の方が圧倒的に上です。

 

一方、リズキーは、ショート35.42 フリー46.08 トータル81.50で優勝しました。優勝スコアは女子よりだいぶ低い・・・。なお、男子にはシニア選手がいません。シニアよりジュニアの方がレベルが高いとか云々の前に、エントリー選手そのものがいません。

ショートでは3S-2T,3Lo,2Aという構成でしたが3Loは転倒です。スピンがレベル3,2,1一つづつというあたりがちょっと・・・。フリーでは3Sを2本に3Lo1本という構成でしたが、3Sは転倒でコンビネーションはいらずリピート扱い。それも含めコンビネーションジャンプが一つも入りませんでした。スピンはレベル1、レベル1VにBと点が全然入らず・・・。GOEが11の要素中10の要素でマイナス・・・。これでは点が出ないです。というわけで3回転が複数プログラムに入っているにもかかわらず、3回転なしのサビカよりも全然点が低い、という結果に終わりました。

3回転ジャンプの成功率はまだ高いわけではなく、転倒も目立ちますが、この大会では5本飛んで回転不足は一つもありませんでした。まあ、ジャッジのレベルがどうか、という別の問題もある可能性もありますが、不鮮明ながら映像を見る限りでは、確かにちゃんと回ってはいるように見えました。

 

ルールがだいぶ変わったので前年と比べることの妥当性は怪しい部分はありますが、サビカは前のシーズンは87.10のスコアで優勝。リズキーも84.65のスコアで優勝していました。サビカは点を伸ばしたものの、リズキーは点が下がっています。

ただ、サビカは昨シーズンはショートフリーで合計3本ダブルアクセルを飛んで2本が回転不足だったところが今シーズンは3本飛んで回転不足なし。リズキーは昨シーズンはショートフリーと両方に入れたトリプルループが両方とも転倒、アクセルジャンプは3本中2本が1回転半になり、2回転半の要素にしたものは回転不足だったところが、今シーズンはショートフリー合計でトリプルサルコウ3本、トリプルループ2本、ダブルアクセル2本と、転倒が3回ありながらも回転不足はありませんでした。

 

二人とも、ジャンプの難易度という面ではこの一年で格段に成長しています。特にリズキーは3回転のジャンプが標準装備になってきました。ちょうど二人ともトップ選手との差が、一つ回転が多いくらいのプログラムをイメージするとぴったり合うくらいになってきました。

サビカは世界ジュニアのミニマムスコアが見えてきました。

今シーズンはショート23.0、フリー38.0だったはずですが、今大会でショート21.23、フリー29.04です。ショートは3回転が一つ入った時点でクリアでしょう。フリーはまだ遠いように見えますが、3回転を一つ入れて、3連続のコンビネーションを入れることが出来ればあとはもうすぐそこです。サビカの武器は完全にスピンで、ショートフリーで6回ある中でレベル4が3つ、レベル3が3つ。日本のジュニアの上位とそれほどそん色ないんです。まあ、レフリーが国際試合とは異なるので、この辺のレベル判定も甘い、という可能性は否めませんけれど。

リズキーは、ジャンプ以外の要素をもう少し頑張らないとまだ厳しそうです。男子は若いうちはジャンプ以外は荒い、というのはよくある事なきもしますけれど。

 

インドネシアの国際試合への選出条件、というのはいまひとつわかりませんが、ジュニアグランプリシリーズへの出場枠は二つ割り当てられるはずですので、優勝したリズキーはもちろん、優勝できなかったサビカも、来シーズンのジュニアグランプリシリーズには出てくると思われます。それまでにサビカがトリプルサルコウを標準装備してくれば、世界ジュニアのミニマムスコアをとって、世界ジュニア出場という目もあります。

おそらく、昨シーズンの流れを見ると、ジュニアグランプリシリーズの前に、アジアンオープンフィギュアに出てくることになるかと思います。

 

 

また、サビカがクラウドファンディングを行っています。

どこの国でもフィギュアスケートはお金がかかりますね。

日本語でもまとめられていますので、読んであげていただけたらと思います。