フィギュアスケート19 ジュニアグランプリ終了2 男子シングル

 

 19-20シーズンのジュニアグランプリシリーズが終了しました。

前回は女子シングルを振り返りましたが、今回は男子シングルです

 

Event Pl Name Nation Total SP FS
Baltic Cup 1 Daniil SAMSONOV RUS 250.51 87.33 163.18
Baltic Cup 2 Yuma KAGIYAMA JPN 245.35 84.72 160.63
Egna 1 Daniel GRASSL ITA 241.53 82.77 158.76
Croatia 1 Andrei MOZALEV RUS 236.44 78.85 157.59
Courchevel 1 Yuma KAGIYAMA JPN 234.87 80.61 154.26
Egna 2 Petr GUMENNIK RUS 232.39 80.99 151.40
Baltic Cup 3 Daniel GRASSL ITA 228.64 81.01 147.63
Croatia 2 Artur DANIELIAN RUS 223.82 82.11 141.71
Riga 1 Andrei MOZALEV RUS 223.72 78.42 145.30
RUS 1 Petr GUMENNIK RUS 222.14 74.15 147.99
RUS 2 Artur DANIELIAN RUS 221.93 83.31 138.62
Egna 3 Ivan SHMURATKO UKR 221.44 75.26 146.18
Croatia 3 Shun SATO JPN 219.69 78.41 141.28
Riga 2 Sihyeong LEE KOR 218.31 77.30 141.01
LakePlacid 1 Shun SATO JPN 217.12 79.19 137.93
Egna 4 Ilya YABLOKOV RUS 213.40 70.39 143.01
Croatia 4 Andrew TORGASHEV USA 212.86 80.53 132.33
Croatia 5 Stephen GOGOLEV CAN 212.46 72.12 140.34
Baltic Cup 4 Gleb LUTFULLIN RUS 212.01 76.35 135.66
Riga 3 Daniil SAMSONOV RUS 211.62 72.28 139.34
Croatia 6 Sihyeong LEE KOR 211.58 66.76 144.82
Baltic Cup 5 Joseph PHAN CAN 207.70 71.88 135.82
RUS 3 Ilya YABLOKOV RUS 207.68 73.73 133.95
Egna 5 Adam SIAO HIM FA FRA 206.40 66.20 140.20
Baltic Cup 6 Ryan DUNK USA 205.90 72.90 133.00
Egna 6 Yudong CHEN CHN 205.16 64.93 140.23
LakePlacid 2 Stephen GOGOLEV CAN 203.70 78.85 124.85
LakePlacid 3 Gleb LUTFULLIN RUS 203.50 66.27 137.23
Egna 7 Ilia MALININ USA 203.47 72.19 131.28
Baltic Cup 7 Ivan SHMURATKO UKR 201.90 70.13 131.77
LakePlacid 4 Ilia MALININ USA 201.72 71.34 130.38
Courchevel 2 Aleksa RAKIC CAN 200.71 69.54 131.17
Egna 10 Sena MIYAKE JPN 189.24 68.08 121.16
Riga 8 Kao MIURA JPN 185.50 59.94 125.56

 200点以上プラス日本人選手を並べました。

トップスコアはロシアのサムソノフ選手で250.51 ジュニアにして250点を超えてきました。ただ、まだ安定感というものはなく、もう一戦は211.62に終わっています。

直接対決でサムソノフに敗れましたが、全体スコア2番手は鍵山優馬選手。245.35ともう一戦も234.87とジュニアとしてはかなりのハイスコアで、二戦合計は鍵山選手がトップです。このスコアを出しても二戦二勝出来ない、そんな時代なんですね。

 

スコア三番手で昨年の世界ジュニア3位表彰台、イタリアのグラスル選手がいます。ここまでが240点オーバーの241.53 二戦して優勝と3位でファイナル進出。イタリア男子のジュニアグランプリファイナル進出は、ジュニアグランプリシリーズが始まって以来初めてのことです。イタリアは、男子シングルはここ一二年でマテオリッツォ選手が上位で活躍するようになりましたが、それ以前はまったく名前が上がらないという国でした。コストナー選手やカップル競技での活躍はあるのに、男子シングルでは名前が出てこないので、日本でのペアくらいに、他と比べて手薄だったのですが、ここにきて上位に名前が出てくるようになりました。

 

日本から佐藤駿選手は210点台後半を2試合並べてファイナル進出。ショートは80点近い点数が出ているのですが、フリーが140点前後にとどまってしまっていて、もう少し伸びてもいいんだけどな、という印象はありますが、鍵山選手と並んで日本勢から二人、ファイナルへ進出しました。

 

上位は、女子シングルほどではないですけど、男子シングルでもRUSという文字が並んでいますね。シニアでは女子シングルほど男子シングルはロシアが席巻しているという印象はなく、シニアに上がったらまた別の勝負が始まります、という感じではあるのですが、ジュニアの段階では順調にロシア勢が好成績を上げてきています。

 

昨年のファイナル覇者ゴゴレフ選手は212.46がシーズンベストと伸びてこずファイナル進出ならずです。昨年2位、ロシアのグメンニク選手はベストスコア232.29で全体6番目ですが、優勝一つと2位一つでファイナルに進出しています。

 

日本勢は今シーズンは4人が6試合に出場。鍵山選手佐藤選手以外は200点に届かず、三宅星南選手が189.24 三浦佳生選手が185.50にとどまっています。

ジュニアグランプリシリーズの出場枠は、前シーズンの世界ジュニアの結果で決まるのですが、最大フル枠取れると全7試合に2人づつ、合計延べ14人派遣できるはずでした。ジュニア時代にこういった国際大会に派遣されること、というのは強化のために重要なことだと思われますので、来シーズンは14枠取れることを期待したいです。鍵山選手佐藤選手で仮に挑んだとしたら、問題なく取れそうな気もします。

 

 

以下、要素別を見ていきます

まず、4回転を試みた選手たちです。

 

Event Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Egna Daniel GRASSL ITA 1 4Lz 11.50 2.79 14.29
Baltic Cup Daniel GRASSL ITA 1 4Lz 11.50 -3.45 8.05
RUS Petr GUMENNIK RUS 1 4Lz 11.50 -3.78 7.72
Egna Petr GUMENNIK RUS 1 4Lz< 9.20 -0.66 8.54
Riga Daniil SAMSONOV RUS 2 4Lz< 9.20 -4.60 4.60
Baltic Cup Daniil SAMSONOV RUS 2 4Lz< 9.20 -4.60 4.60
Egna Daniel GRASSL ITA 2 4Lo 10.50 -4.80 5.70
Baltic Cup Daniel GRASSL ITA 2 4Lo< 8.40 -0.84 7.56
Croatia Stephen GOGOLEV CAN 2 4S 9.70 2.22 11.92
LakePlacid Gleb LUTFULLIN RUS 1 4S 9.70 1.52 11.22
Egna Adam SIAO HIM FA FRA 3 4S 9.70 0.83 10.53
Croatia Adam SIAO HIM FA FRA 3 4S 9.70 0.55 10.25
LakePlacid Shun SATO JPN 1 4S 9.70 -2.91 6.79
Baltic Cup Gleb LUTFULLIN RUS 1 4S 9.70 -4.85 4.85
LakePlacid Stephen GOGOLEV CAN 2 4S< 7.76 -3.88 3.88
Egna Petr GUMENNIK RUS 2 4S< 7.76 -3.88 3.88
Egna Sena MIYAKE JPN 2 4S< 7.76 -3.88 3.88
Croatia Andrei MOZALEV RUS 2 4T+3T 13.70 2.17 15.87
Baltic Cup Joseph PHAN CAN 1 4T+3T 13.70 2.04 15.74
Riga Andrei MOZALEV RUS 1 4T+3T 13.70 1.76 15.46
Egna Adam SIAO HIM FA FRA 1 4T+3T 13.70 0.81 14.51
LakePlacid Shun SATO JPN 2 4T+3T 13.70 -2.71 10.99
Baltic Cup Yuma KAGIYAMA JPN 1 4T+2T 10.80 3.53 14.33
Croatia Adam SIAO HIM FA FRA 1 4T+2T 10.80 1.90 12.70
Croatia Adam SIAO HIM FA FRA 5 4T+2T 10.80 -0.14 10.66
Courchevel Yuma KAGIYAMA JPN 1 4T+2T 10.80 -0.41 10.39
Croatia Shun SATO JPN 2 4T+2T 10.80 -1.09 9.71
Riga Joseph PHAN CAN 1 4T<+2T 8.90 -1.19 7.71
Courchevel Yuma KAGIYAMA JPN 3 4T 9.50 3.26 12.76
Baltic Cup Yuma KAGIYAMA JPN 3 4T 9.50 2.58 12.08
LakePlacid Shun SATO JPN 3 4T 9.50 2.04 11.54
Riga Kao MIURA JPN 2 4T 9.50 1.36 10.86
Riga Andrei MOZALEV RUS 2 4T 9.50 -0.95 8.55
Croatia Shun SATO JPN 1 4T 9.50 -2.99 6.51
Croatia Andrei MOZALEV RUS 1 4T 9.50 -3.26 6.24
Croatia Andrew TORGASHEV USA 2 4T< 7.60 -0.65 6.95
Riga Andrew TORGASHEV USA 1 4T< 7.60 -1.19 6.41
Croatia Gabriele FRANGIPANI ITA 1 4T<< 4.20 -2.10 2.10

ジュニアではルール上ショートプログラムで四回転を飛ぶことはできませんので、四回転の要素はすべてフリーで行われたものになります。要素の順番としては、1番目からせいぜい3番目までにほとんどの選手は入れていて、一番遅くても5番目、1.1倍ボーナスタイムに入れていた選手はいませんでした。シニアのトップ選手はトーループあたりになると1.1倍で入れてくる選手もいますので、その辺の差はまだあります。とは言え、ジュニアグランプリシリーズの段階で、延べ38例のチャレンジがありました。

 

4回転ルッツは6例あって回転足りたのが3例、GOE加点は1例ですので、確率はまだまだ低いです。3人で6回飛んで、ちゃんと決めたのはイタリアのグラスル選手のみ、ということでした。

 

グラスル選手は4回転ループも跳びます。これは回転足りたのは1回だけで、しかも加点は得られず、成功ジャンプとはとても言えない、という形です。

 

フリップはだれも試みていません。

 

サルコウあたりになると増えてきて9回試技があり6回は回転がしっかり足りていて4回はGOEがプラスとなり、成功率も5割に近づいてきます。

 

トーループになるとコンビネーションで入れる選手もかなりの数います。11回コンビネーションが試みられていて、10回はジャンプ二つともしっかり回転が足りていて、6回はGOEプラスの成功ジャンプです。

むしろ単独の四回転トーループの方が確率低めで、10回飛ばれて3回回転が足りず、GOEプラスは4例となり、5割切ります。これは、一つ目跳んで、うまく跳べたら二つ目も跳んでコンビネーションになるけど、一つ目でダメなときはそのまま一つになる、というあたりの理由かと思います。

 

いずれにしても、ジュニアの段階でもトップに出るには四回転の一つは必要、できれば二本欲しい、というのが現状なようです

 

トリプルアクセルを含む要素で平均GOE+3.0以上(加点2.40以上)

 

Event   Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Baltic Cup SP Yuma KAGIYAMA JPN 1 3A 8.00 3.09 11.09
Baltic Cup SP Daniil SAMSONOV RUS 1 3A 8.00 2.74 10.74
Courchevel SP Yuma KAGIYAMA JPN 1 3A 8.00 2.63 10.63
Croatia SP Artur DANIELIAN RUS 1 3A 8.00 2.63 10.63
LakePlacid SP Shun SATO JPN 1 3A 8.00 2.51 10.51
Riga SP Andrei MOZALEV RUS 2 3A 8.00 2.40 10.40
Baltic Cup FS Daniil SAMSONOV RUS 1 3A+3T 12.20 2.40 14.60

トリプルアクセルくらいになると、ジュニアでも全体の半分以上の選手が飛んできます。その中で平均GOEが+3.0以上のものを取り出すと7例ありました。

そんな中でトップスコアは鍵山選手。鍵山選手はショートプログラムで2回とも大きな加点をもらうトリプルアクセルを飛びました。日本からは佐藤駿選手も名前があります。他はロシア選手ばかり。

ショートプログラムで大きな加点をもらっている選手が多いですが、これは、ショートプログラムでは四回転が入れられないルールなので、トリプルアクセルが一番難しいジャンプになり、気を使ってジャンプを飛べるから、というあたりにありそうな気がします。一番難しいのはトリプルアクセルになるのですが、基礎点は3-3のコンビネーションの方が高くなるので、そちらを1.1倍ボーナスタイムに入れる選手が多く、単独トリプルアクセルが冒頭のジャンプになる、その結果高評価を得やすい、という関係性がありそうです。

そんな中、トータルスコアでトップスコアを出しているサムソノフ選手はフリーのコンビネーションジャンプでGOE+3.0を並べました。この時は二つ目の四回転ルッツが決まらなかったのですが、そこまで決まってくるとシニアの上位で戦える点数にまでなってきそうです。

 

 

ステップレベル4で平均GOE+3.0以上

Event   Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Croatia FS Andrew TORGASHEV USA 11 StSq4 3.90 1.34 5.24
RUS SP Artur DANIELIAN RUS 6 StSq4 3.90 1.28 5.18
Baltic Cup FS Daniil SAMSONOV RUS 10 StSq4 3.90 1.28 5.18
Baltic Cup FS Yuma KAGIYAMA JPN 7 StSq4 3.90 1.28 5.18
Riga FS Andrew TORGASHEV USA 11 StSq4 3.90 1.23 5.13
Baltic Cup SP Daniil SAMSONOV RUS 6 StSq4 3.90 1.23 5.13
Egna SP Petr GUMENNIK RUS 6 StSq4 3.90 1.23 5.13

ステップではアメリカのトルガシェフ選手が平均GOE3.444でトップです。フリーで2試合とも高GOEを得ています。トータルスコアは212.86までの選手なのですが、ステップでハイスコアを出しました。

鍵山選手、サムソノフ選手、トータルスコアの上位2選手は、ジャンプだけでなくステップでも高GOEとして名前を連ねています。

 

 

スピンでレベル4かつ平均GOE+3.0以上

Event   Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Baltic Cup FS Daniil SAMSONOV RUS 9 FCCoSp4 3.50 1.25 4.75
Riga FS Daniil SAMSONOV RUS 9 FCCoSp4 3.50 1.05 4.55
Baltic Cup FS Daniil SAMSONOV RUS 5 FCSp4 3.20 1.28 4.48
Riga FS Daniil SAMSONOV RUS 5 FCSp4 3.20 1.05 4.25
Baltic Cup SP Daniil SAMSONOV RUS 5 FSSp4 3.00 1.11 4.11
Courchevel SP Yuma KAGIYAMA JPN 6 FSSp4 3.00 0.94 3.94
Courchevel FS Andrei KUTOVOI RUS 4 FSSp4 3.00 0.90 3.90
Baltic Cup SP Yuma KAGIYAMA JPN 6 FSSp4 3.00 0.90 3.90

スピンでレベル4かつGOE+3.0以上というのは名前が三つだけですが、その中でサムソノフ選手の名前が5つあります。この選手は、スピンで加点トップ、ステップで加点トップなうえに、決まりませんでしたが4回転ルッツを構成に入れています。フィギュアスケートが高難度ジャンプ大会になってしまっている、という話をよく聞くんですが、こうやって見ると、カテゴリーの中で全体の一番上に立つ選手、というのはジャンプが高難度なだけでなく、スピン、ステップ、しっかり点を取っているんですね。

全体スコア2番手の鍵山選手も、こういうところにしっかり名を連ねています。

 

 

以上、ジュニアグランプリシリーズの男子シングルでした