グランプリシリーズのエントリーが6月末に発表されました
前回は女子シングルでしたので、今回は男子シングルになります。
6大会の出場メンバーと、19-20シーズンおよび20-21シーズンのシーズンベストを並べます。シーズンベストは国際大会から選んでいて、各国の国内選手権などは含めません。
●Skate America
19-20 | 20-21 | ||
Nathan CHEN | (USA) | 335.30 | 320.88 |
Shoma UNO | (JPN) | 290.41 | 277.44 |
Kevin AYMOZ | (FRA) | 275.63 | 263.82 |
Vincent ZHOU | (USA) | 231.95 | 275.10 |
Nam NGUYEN | (CAN) | 262.77 | 199.93 |
Shun SATO | (JPN) | 255.11 | 214.75 |
Daniil SAMSONOV | (RUS) | 250.51 | |
Artur DANIELIAN | (RUS) | 246.74 | |
Daniel GRASSL | (ITA) | 244.88 | 242.81 |
Adam SIAO HIM FA | (FRA) | 219.89 | 241.11 |
Michal BREZINA | (CZE) | 236.47 | 210.73 |
TBA | (USA) |
初戦はスケートアメリカ。初戦からネイサンチェン選手登場。アメリカなので当然ではありますが。順当にいくと、宇野選手、ケビンエイモズ選手と続きます。2シーズン前の世界選手権メダリスト、ヴィンセントゾー選手は昨シーズンの世界選手権ではまさかのショート落ち。どこまで戻ってきているでしょうか? かつての世界ジュニアチャンピオンナムグエン選手も初戦から登場。2枠になったカナダのオリンピック代表を目指します。
佐藤駿選手がグランプリデビュー。まあ、昨年NHK杯には出てますが、あれは参考試合なので、これがちゃんとしたシニアデビューと見てよいと思います。上位がしっかり滑ると厳しいですが、宇野選手、エイモズ選手、常に安定した結果を出す選手ではなくなっているので、メダルラインが260点くらいに下がってくれば表彰台チャンスもあるでしょうか。
●Skate Canada Int.
19-20 | 20-21 | ||
Nathan CHEN | (USA) | 335.30 | 320.88 |
Morisi KVITELASHVILI | (GEO) | 246.71 | 275.80 |
Jason BROWN | (USA) | 274.82 | 262.17 |
Keegan MESSING | (CAN) | 256.02 | 270.26 |
Alexander SAMARIN | (RUS) | 265.10 | |
Evgeni SEMENENKO | (RUS) | 227.52 | 260.78 |
Makar IGNATOV | (RUS) | 252.87 | 260.78 |
Keiji TANAKA | (JPN) | 250.02 | 215.52 |
Roman SADOVSKY | (CAN) | 247.50 | 224.41 |
Tomoki HIWATASHI | (USA) | 240.78 | 245.30 |
Sota YAMAMOTO | (JPN) | 240.11 | 190.19 |
TBA | (CAN) |
スケートカナダもまさかのネイサンチェン選手エントリー。2戦連続登場です。試合を選べる立場だったと思うのですが、近場で早めに済ませてしまおうというのがあるんでしょうか?
スコア2番手はクビテラシビリ選手となってますが、昨年のロステレコムのスコアだしちょっとあてにはならない部分があるかと思います。ただ、はまれば強いのは確かですけれど。
地元カナダからはキーガンメッシング選手。最近は安定して強いですし、地元で表彰台に乗ってのファイナル候補の一人。ジェイソンブラウン選手もジャンプで崩れなければ当然強いです。
日本からは田中刑事選手と山本草太選手がエントリー。2大会連続のオリンピックを目指すにはちょっとここ一二年の流れは苦しい田中選手ですがベテランの再浮上はあるでしょうか? また、山本草太選手もここ一二年元気がないです。何とか1試合、グランプリが残ったので、この試合で存在感を見せてほしいところ。現実的にはオリンピックはちょっと苦しい位置ですが、今シーズンは世界選手権が4番手に入れば枠が回ってきますし、上位が出ないことが想定される四大陸選手権で、チャンピオンシップの表彰台というのも狙えます。本人の目指すところはそんなところではないかもしれませんが、無責任なファン目線では、そういうところであっても活躍する姿が見たい、という思いもあるかと思います。
●Cup of China
19-20 | 20-21 | ||
Yuma KAGIYAMA | (JPN) | 270.61 | 291.77 |
Boyang JIN | (CHN) | 268.31 | 290.89 |
Mikhail KOLYADA | (RUS) | 281.89 | |
Dmitri ALIEV | (RUS) | 272.89 | 265.11 |
Petr GUMENNIK | (RUS) | 232.39 | 268.47 |
Junhwan CHA | (KOR) | 265.43 | 245.99 |
Han YAN | (CHN) | 249.45 | 264.81 |
Kazuki TOMONO | (JPN) | 251.05 | 226.62 |
Daniel GRASSL | (ITA) | 244.88 | 242.81 |
Deniss VASILJEVS | (LAT) | 241.25 | 233.08 |
Paul FENTZ | (GER) | 230.01 | 212.25 |
Yudong CHEN | (CHN) | 205.16 | 226.21 |
三戦目の中国杯で鍵山優真選手登場。グランプリデビュー戦なような、昨シーズングランプリ初優勝しているような。でも、国内ローカル大会化していたNHK杯の優勝はカウントしがたいので、ここでちゃんと優勝したい感じはします。
ただ強敵はいて、中国なので当然ボーヤンジン選手が迎え撃つ。昨シーズンの世界選手権では精細を欠いていましたが、数少ない300点先取の一人ですし、オリンピックは北京ですし、流石に今シーズンは結果を出す姿を見たい。
そしてコリヤダ選手もいます。安定感のない選手、というイメージでしたけど、昨シーズンは以前のイメージよりは常に点を取っていたでしょうか。
ロシアからはアリエフ選手もいます。中国からもう一人はハンヤン選手。中国はオリンピックの枠が1つになってしまったので、ハンヤンvsボーヤンジン というなかなか厳しいことになってまして、中国杯はその点でも注目。
日本からは友野一希選手がエントリー。代役で出ると結果を出す、という代名詞があるわけですが、あと代役経験がない主要大会はオリンピックを残すのみ。誰にとってもあんまり願わしいコースではないわけですが、そんな道筋も少し頭に浮かんだりします。
ちょっと面白いのは、アメリカ勢のエントリーなし。シリーズ全体で12枠あるアメリカなので、普通はどの試合も1人は出るのですが、中国でゼロなのは、何か国際情勢を反映してるんでしょうか??? 女子ではテネル選手が出場しますので、たまたまだと思いますけど。
●NHK Trophy
19-20 | 20-21 | ||
Yuzuru HANYU | (JPN) | 322.59 | 300.88 |
Shoma UNO | (JPN) | 290.41 | 277.44 |
Vincent ZHOU | (USA) | 231.95 | 275.10 |
Junhwan CHA | (KOR) | 265.43 | 245.99 |
Alexander SAMARIN | (RUS) | 265.10 | |
Nam NGUYEN | (CAN) | 262.77 | 199.93 |
Makar IGNATOV | (RUS) | 252.87 | 260.78 |
Daniil SAMSONOV | (RUS) | 250.51 | |
Matteo RIZZO | (ITA) | 248.53 | 245.37 |
Tomoki HIWATASHI | (USA) | 240.78 | 245.30 |
Camden PULKINEN | (USA) | 244.78 | 207.82 |
TBA | (JPN) |
NHK杯では羽生選手宇野選手がエントリー。この二人がNHK杯に揃うというのは初めてのこと。だいたい二人してシード選手で二人が同じ試合に出ない構成になっていたのですが、今回は宇野選手が世界選手権4位でシード順が羽生選手と異なったため、二人重なるということが生じました。たまにはこういうのもいいかもしれませんが、順当にいくと、NHK杯、ファイナル、全日本、オリンピック とこの二人が同時に試合に出続けるので、グランプリシリーズくらい別々でもよかったかも
表彰台争いが混戦に見えるメンバーです。ロシア勢が3人。オリンピック枠2枠(実質3枠確保出来てました)のロシアとしては、同国内の争いもありますし、グランプリシリーズで表彰台に立って存在感を見せたいでしょうか。
日本の地元枠は誰が入るでしょう?? 三浦佳生選手がシニアに上がればたぶんそこに回ると思うのですが、そうではない場合は誰にいくでしょうか。昨年大会3位表彰台に乗った本田ルーカス剛史選手に行く可能性が高いかもしれません。
●Internationaux de France
19-20 | 20-21 | ||
Yuma KAGIYAMA | (JPN) | 270.61 | 291.77 |
Kevin AYMOZ | (FRA) | 275.63 | 263.82 |
Jason BROWN | (USA) | 274.82 | 262.17 |
Dmitri ALIEV | (RUS) | 272.89 | 265.11 |
Keegan MESSING | (CAN) | 256.02 | 270.26 |
Andrei MOZALEV | (RUS) | 245.09 | 266.69 |
Shun SATO | (JPN) | 255.11 | 214.75 |
Artur DANIELIAN | (RUS) | 246.74 | |
Deniss VASILJEVS | (LAT) | 241.25 | 233.08 |
Adam SIAO HIM FA | (FRA) | 219.89 | 241.11 |
Gabriele FRANGIPANI | (ITA) | 218.00 | 231.65 |
TBA | (FRA) |
五戦目フランスは鍵山優真選手がいます。地元ケビンエイモズ選手が迎え撃ち、ベテランのジェイソンブラウン選手、4-6シードのキーガンメッシング選手、ロシアからはアリエフ選手、モザレフ選手などなど多士済々。優勝争いが一番混戦になるのはこの試合に見えます。
その多士済々の中に混ざったのが佐藤駿選手。日本男子のオリンピック三枠はほぼ決まり、みたいな雰囲気になってますが、佐藤駿選手はその雰囲気を打ち破っての逆転の可能性を持つ選手。この時期の試合でフリー四回転4種類5本、なんて決めてくると面白くなるのですがどうでしょう?
●Rostelecom Cup
19-20 | 20-21 | ||
Yuzuru HANYU | (JPN) | 322.59 | 300.88 |
Mikhail KOLYADA | (RUS) | 281.89 | |
Morisi KVITELASHVILI | (GEO) | 246.71 | 275.80 |
Evgeni SEMENENKO | (RUS) | 227.52 | 260.78 |
Kazuki TOMONO | (JPN) | 251.05 | 226.62 |
Keiji TANAKA | (JPN) | 250.02 | 215.52 |
Matteo RIZZO | (ITA) | 248.53 | 245.37 |
Roman SADOVSKY | (CAN) | 247.50 | 224.41 |
Camden PULKINEN | (USA) | 244.78 | 207.82 |
Michal BREZINA | (CZE) | 236.47 | 210.73 |
Maxim NAUMOV | (USA) | 225.10 | 214.27 |
TBA | (RUS) |
最終戦はロステレコム杯。羽生結弦選手エントリーです。羽生選手の拠点は本来カナダのはずなのですが、NHK杯で日本に来て、中一週挟んでロシアに飛び、また中一週で日本に来てファイナル。その後全日本は当然日本。となるわけで、その間にカナダの拠点へ行く?戻る? という動きをするのでしょうか? コロナもまだ沈黙はしていないでしょうし、戻らない場合オーサー先生が全日程ついて回ってくれるってこともないでしょうし。単独の試合の結果だけではなく、その前後の動き方も気になります。
ここも表彰台争いは混戦模様に見えます。オリンピック二枠を争うロシア勢と、エテリ組男子筆頭のクビテラシビリ選手がいますが、このメンバーなら日本の友野一希選手や田中刑事選手にも表彰台チャンスはあるように見えます。
全六試合で延べ72枠あるのですが、国別の枠数は地元枠のエントリー者未定まで含めて以下のようになっています。
ロシア17 日本14 米国12 カナダ7 フランス5 イタリア5 中国3 チェコ・ジョージア・ラトビア・韓国 各2 ドイツ1
女子のイメージが強いロシアですが、男子も最大18のうち17まで枠を持っています。突出した選手がいないのですが、中堅層が厚いロシアです。ただし、女子の最大スコアを越せない選手もいたりしますが・・
日本も男子で14枠あるのは少々以外で、今シーズンは女子の12枠を2枠も上回りました。突出した二人の次がいない、としばらく言われていた日本男子ですが、鍵山選手がその突出したところに近づき、その下も世界のレベル中ではそれなりに人数がいます。常連組では島田高志郎選手が今シーズンは外れました。18枠にはまだ余裕があるのでチャレンジャーシリーズなどでポイントを稼いで、ぜひグランプリに復帰してほしいところです。
中国が地元の3つしかないんですね。中国みたいな国は、地元でオリンピックをやるときには猛烈な強化をしてきそうなものなのですが、フィギュアスケートに関しては、女子もそうですが男子もオリンピックシーズン前に全然伸びてきませんでした。
女子では壊滅状態のフランス、イタリア、カナダですが、男子は一定の存在感を見せています。
女子と比べると、男子の方が世界の勢力図はバランスが取れているように見えます。フィギュアスケートという競技の性質からすると、競技人口は男子より女子の方が多いと想像されるのですが、バランスは人数の少ない男子の方が取れているというのが少し不思議な感じがします。
グランプリシリーズ、今年は10月22日、アメリカ、ラスベガスにて開幕です。