グランプリシリーズ19 男子シングル 全体感

今回は今シーズンのグランプリシリーズの全体感を眺めてみます。

女子シングルが終わりましたので、今度は男子シングルです

 

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まずは、技術点と演技構成点の取り方です。

右上の4点とそれ以外、に分けられるように見えます。統計的には右上の四点は異常値、と言いたくなるようなとびぬけ方してますが、羽生結弦選手とネイサンチェン選手の二人分です。

総合点数が低い選手は、PCSの方が点が出て、総合点数が高い選手はTESの方が点が出る、という傾向がありそうです。まあ、PCSの上限値は150点なので、150点超える技術点合計をたたき出す羽生選手、ネイサンチェン選手からしたら、PCSの方が高く出る余地はないわけですけれど

PCS寄りかTESよりかは、総合得点240点あたりの位置にあるでしょうか

 

女子シングルと違い、数か国の寡占、という状態にはなっておらず、上二人以外はOthersに含まれるようないくつかの国からも高めな点数を出してくる選手がいます。

 

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ショートとフリーの得点比較です。ショート×2=フリー、というラインに近いところに来る選手が比較的多いです。

ショートで90点を超えだすと、フリーがショートの2倍というのは厳しくなってくるようです。

ショートで点を出すのは、日米露の三カ国が多いでしょうか。ただ、カナダのキーガンメッシング選手が96点台、フランスのケビンエイモズ選手も91点台、といったあたりもあり、男子シングルの方が上位選手の所属国はばらけています。

ボリュームゾーンはショートで70点台、フリーは150点前後、といったところでしょうか。

 

 

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延べ70選手のスコアをヒストグラムで表したものがこれです。

240.00のように、ぴたりの数値は上(240~250)に分類されます。

210点台がピークで、その後右肩下がりになり260点台まではそれなりに人がいます。その上が20点分誰もいなくて、290点以上にぱらぱらと延べ4人分、という構図です。

女子シングルで、トゥルソワ選手が強い強い言われ、ほかにもロシアのジュニア上がり3人が強い、圧倒的に強い、と言われてますが、紀平選手との差はせいぜい10点です。その下も20数点差のところにはいます。それと比べて男子シングルは、320点台を出した羽生選手の下には、ネイサンチェン選手はいるものの、その下は60点の差がついています。格差という点では女子シングルより男子シングルの方がひどいです。

 

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ショートフリー合わせての技術点がどの程度のところに各選手いるのか、というものです

100~120点のところに半分以上の選手がいます。140点以上は延べ5人。140.53のぎりぎり140点台がロシアのサマリン選手で、その上は158点台二つのネイサンチェン選手と、160以上を二つ出した羽生結弦選手です。やはり二人が突出している、という構図。正規分布と異常値二人、という感じでしょうか。

こういうこと言うのもなんですが、トゥルソワ選手が141.16を持ってまして、それを超えている男子シングルの選手は、羽生結弦選手とネイサンチェン選手の二人しかいない、という現実があります。

 

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PCSは105点当たりから130点あたりまではまんべんなくばらけています。135点を超えていくのは、結局羽生結弦選手、ネイサンチェン選手の二人だったりしますけれど。130点台前半には、ジェイソンブラウン選手が二つと、宇野選手、ケビンエイモズ選手が一つづつあります。

 

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ジャンプの基礎点とGOEの関係を見たもの

女子は、基礎点とGOEには相関があり、基礎点高い方がGOEも伸びるという構図でしたが、男子はそうでもなく、異常値な二人を除くと、基礎点は高かろうが低かろうがGOEは取れる人もいれば取れない人もいる、といった感じです。日本人選手なんかは、羽生選手以外の点を見ると、基礎点高いとGOEが下がる、みたいな近似曲線が引けそうに見えます。

ジャンプで稼げる加点は10点超えるとすごい、というレベルなんですね。そんななか20点を超えるひともいまして・・・

GOEの最低は-21.37を出した、フランス杯での宇野選手です。なかなかここまでマイナス取るのも難しいのですけど、根性で回転は回り切ったうえで転ぶものが多いので、GOEとしての減点が大きい、という構図があるようです。

 

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スピンはレベル4をそろえる力がある人は加点も大きい、という絵柄が見えます。スピンの最高点の緑は、ネイサンチェン選手ではなくジェイソンブラウン選手です。加点が合計7点を超えたのは二つともジェイソンブラウン選手になります。加点は6点台ですが、基礎点19.9とトップに並んでいる二つは、カナダのサドフスキー選手です。スピンは、2強以外の選手もトップに出てきます。

スピンはレベル4を並べて基礎点合計19点台を出す選手の中で、加点の幅が意外とあるんだな、とも感じられます。同じレベル4を並べても、加点4点5点差がついてくるようです。まあ、ジャンプのGOEほどではないですけれど。

 

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ステップはコレオシークエンスを含みますが、基礎点の満点は10.8です。GOE満点は6.3になります。

ステップをショートフリー共にレベル4をそろえたのは12例でした。女子の16例より少なくなっています。ただ、加点は大きく、女子にはいなかった5点以上の加点をもらっている選手が複数います。羽生結弦選手、ネイサンチェン選手、当然のようにいますが、ジェイソンブラウン選手もいます。また、重なってしまっていて水色が見えなくなっていますが、ケビンエイモズ選手も基礎点10.8に加点5.17を得た試合があります。

赤は、3点を超える加点が得られていないんですね。これは、女子シングルでも似たような傾向があったのですが、ロシア勢はステップ系要素で加点があまり得られていません。点を取るためにはジャンプ、というスタンスで入っていくと、要素数が少なく得られる点数の少ないステップには力が入らない、という側面がどうしてもあるでしょうか。

 

今回は、グランプリシリーズの全体感を散布図とヒストグラムで記してみました。

圧倒的に強い羽生チェン二選手ですが、スピンとステップなら他の選手も絡んでこられるんだなあ、というのが見て取れました