全日本選手権19男子シングル数値編1

前回まで2回ほど、全日本選手権の女子シングル数値編、というのをお届けしました。その流れですので、続いて男子シングルとなります。まずはその前半、散布図が並びます

 

全日本選手権19男子シングルTESPCS

まず、ショートフリー合わせての技術点、演技構成点を見たもの。上位八人は個別の色がついていて、9~23位は水色の小さい点になります。フリーに進出してフリーを滑った選手のみがプロットされます

成績上位選手が当然右上に出る形になります。標準ラインはPCS=TESのあたりですが、PCSは150点が天井なので、それに近いところにいる宇野昌磨選手、羽生結弦選手といったところは、TES寄りになっていくのですが、今回はそれほどTESにかたよりませんでした。これは、バランスが取れたというより、TESを思ったように伸ばせなかった結果、という読み取り方になるかと思います。

TESの3位4位はジュニア勢。鍵山優真選手は表現面の評価も高い選手ではあるのですが、いかんせんまだジュニア。採点するとTESに偏ります。また、四回転はトーループ一種類でしたが、TES合計は佐藤駿選手を上回りました。

田中刑事選手から須本光希選手あたりまでの上位のシニア選手はTESとPCSが拮抗したあたりにいます。左上に突出している水色は、見なくてもわかりますね、高橋大輔選手です。PCSだけなら全体三番手でした。TESだけだと全体22番目ですけれど・・・

上位に行ききれなかったシニア、9位の佐藤洸彬選手、10位島田高志郎選手といったところがPCS110点を超える水色の二つです。この二人はPCS寄りになってしまっていますが、思うようにTESを伸ばしきれなかった結果かな、と感じます

 

全日本選手権19男子シングルジャンプ

次は、ジャンプの基礎点とGOEの稼ぎ方。

右上にトップ二人、となりそうなところですが、これはそうなっていませんね。総合2位だった羽生選手は基礎点は99.20で全体トップでしたが、加点は6番目。出来栄えが今一つでした。結果としてジャンプで得た得点は103.99で全体3番目でした。

基礎点二番手は佐藤駿選手。GOEでは4回転ルッツの転倒分が大きく響いて4番手ですが、ジャンプで得た得点は106.26と羽生選手越えで全体2位です。

加点トップは鍵山優真選手でした。19.05にも及ぶ加点を得ています。ただ基礎点はショートでトリプルアクセルが入らずゼロだったことであまり高くなく、ジャンプ合計点103.40は全体4位です。トリプルアクセル入ってたらジャンプの総合点でもトップになるところでした。

総合点トップは宇野昌磨選手。基礎点は94.05で三番手、加点は17.82の二番手ですが、合わせた111.87がトップでした。ミスがなかったわけでもないのですが、飛べるジャンプをバランスよく跳んで点を稼いだ計算です。

総合6位の友野一希選手はジャンプで得た得点は4位の田中刑事選手よりも上でした。友野選手と田中選手の差は、スピンとPCSにあります。

本草太選手はジャンプで点が取れず、基礎点78.10、加点-3.58の合計74.52 このスコアだとジャンプだけで宇野選手と37,35差、田中選手とでも17.17差あります。

水色の小さい点になってしまっていますが、10位の島田高志郎選手はジャンプ基礎点71.16 加点-3.25の合計67.91と60点台に留まっています。上位と戦うには苦しい水準です。

高橋大輔選手は基礎点54.63 加点-7.03の合計47.60 ジャンプで得た得点はフリーを滑った23人中22番目でした。

男子は、ジャンプでGOEの合計がプラスになっている選手がだいぶ少ないです。女子も24人中10人しかプラス側がいませんでしたが、男子は23人中9人だけプラスです。とはいえ上位6選手はプラス評価。上位に行くにはジャンプをちゃんと降りて加点をもらえること、というのが必須ではあります。

 

全日本選手権19男子シングルスピン

スピンはショートフリー合わせて6回ありますが、6回すべてレベル4だったのは4人だけでした。宇野昌磨羽生結弦、鍵山優真、という表彰台三選手と、総合は20位だった関西学院大学の渡邊純也選手です。その中で基礎点トップはスピンの種類の関係で宇野昌磨選手が19.90入りました。二番目に羽生結弦選手の19.70 三番目に鍵山優馬選手と渡邊純也選手の19.40です。

加点は羽生結弦選手が6.77もらってトップ。二番手が宇野選手です。

加点三番手は山本草太選手になっています。ジャンプは点が取れませんでしたがスピンは上位にいる山本選手です。一方、友野一希選手はスピンで点が取れていない現状があります。基礎点16.28 加点2.33の合計18.61というスピンで得たスコアは、スピントップの羽生選手とは7.86ポイント、三位表彰台の鍵山優真選手とは4.92ポイントの差があります。スピンだけでこれだけ差がつくと、全日本の表彰台争い、みたいな数点差の勝負になってきたときにはだいぶ響きます。5位佐藤駿選手とはトータルスコアで1.81差、4位田中刑事選手と7.75差というのは、スピンの出来で入れ替わらないこともないくらいの点差でした。スピンはジャンプと比べて、各選手試合ごとの獲得点差はそれほど大きくありません。高い人は安定して高い。つまり、ベースとなるスコアなので、一度レベルアップすればなかなか落ちてこない。ここで5点6点さがあると、四回転一本増やさないといけない、みたいな計算になってくるので確実にレベルアップしておきたい分野ではあります。

 

全日本選手権19男子シングルステップ

コレオシークエンスも含めたステップ系のスコアです。ステップレベル4はショートフリー合わせて7例しかありませんでした。ショートフリー2つともレベル4を得たのは二人。優勝した宇野昌磨選手と、総合20位の渡邊純也選手です。渡邊純也選手はジャンプのスコアが全体21番目だったので上位には入ってきていませんが、スピンステップすべてレベル4という、国内大会レベルの選手としてはなかなか達成できないことを成し遂げました。

加点トップはステップが一つレベル3だった羽生選手。合計スコアとしては宇野昌磨選手の方が上になります。加点三番手は高橋大輔選手。ステップのレベルは2と4でしたが、こういうところでは加点を大きく取ってきます。

それに次ぐのは田中刑事選手と友野一希選手。さすがにジュニア勢よりはこういった選手が上にいて、鍵山優馬選手は加点で6番目になります。

 

 

次回、各要素の個別の点数に移ります