全日本フィギュア20感想 女子シングル2

前回の女子シングル1の続きです

 

今シーズン復帰の三原舞依選手が五位。国内参考記録ですが200点に復帰。見ていて心配な細さなんですが、新年の名古屋のフェスティバルも出るようですし、無理して何とか全日本には出たい! とかそういうことではなく、あの細さで普通にしっかりトレーニングして選手としてやっている、と受け取ってよいようですね。

フリーはルッツが一つ二回転になっていましたが、それが三回転ちゃんと飛べていても計算上は宮原選手には少し届かないくらいの点数でした。技術点では宮原選手をはっきり上回っているのでPCSがあともう少し伸びてくるといいのですが。現状はまだ各要素8点平均程度。毎試合伸ばしてきているので210点くらいは見えてきたかなあ

妖精に見えたからとローリーニコルさんが付けたフリーの振付。ガブリエルのオーボエもよかったですが、確かに三原選手にはフィギュア界きっての妖精感を感じました

三原選手が表彰台乗ってたら世界選手権の代表選考どうしたんだろう? 昨シーズン全試合欠場で今シーズンはISU公認試合がない、という関係上、ミニマムスコアを持っていません・・・。この先ミニマムスコアが確保できる試合の開催の見込みも立っていない。という中で代表に選べたかどうか? 

 

昨シーズン終わりの時点では1強プラス4ないしは5の、4の中に入っていると思っていた樋口選手横井選手が7位8位に終わりました。二人ともフリーは前半グループ。おいおい何やってますの・・・、という位置でしたが、樋口選手はショート61.53は出してたんですけどね。これでフリー前半グループとは中堅層のレベルがだいぶ上がったなあと思いました

横井選手はフリーノーミス。やっと出たよ、という思い半分、ショート崩れてからのフリーノーミスは割とよく見る展開だったようなという思い半分。ショートフリーしっかりそろえると210点台半ばまで出ます、というのを今年2月に見せていたのに今シーズンはまたうまくいかず。安定して結果が出せればオリンピック代表争いの候補の一人なのですが、もったいないなあ。トムとジェリーはらしい演目だったと思います

樋口選手はフリー、納得感のある反応してましたが、それほどいい出来でもなかったような。フリップ抜けたしサルコウもうまくいかなかったですし。実際、トリプルアクセルありなのにフリーのジャンプの基礎点合計が宮原選手に負けている。それでも130点台を確保できる強さはあったのですけど、全体のレベルが上がってきているので総合7位まで持ってくるのがやっとでした。ショートもフリーも樋口選手に合ったプログラムだとは思っています。あとは、トリプルアクセル決まったbird set freeを見たいです

 

白岩選手が9位。昨シーズン怪我もあって不振、全日本も欠場。強化選手からも外れてしまっていましたし、世界ランキングも下がっていて国際的にもちょっと苦しい。今回もどうかなあ、と見ていましたが、一定の存在感は示せたかなという感じはしました。フリー後半息切れ感があって、最後のジャンプは転倒でしたし三連続も入りませんでした。その辺クリアできれば200点までたどり着けるのですが、来シーズンに希望は何とかつながる190点到達だったかと思いました。9位なので強化選手には復帰しそう。

白岩選手と似た立場なのが山下真瑚選手で、ショート4位と躍進したもののフリーで崩れ13位。ケガがあったということで残念でしたが、ちょっとこれで来シーズン苦しくなったかなあ。グランプリシリーズ開催されるにしてもランキングが結構下がっているので1枠しか回ってこなさそうですし。ただ、ショートは良かったので、万全な状態で滑ればチャンスはあるのね、という希望はまだある。セビリアの理髪師、結構好きなのですが、流石に4シーズン連続はしないかな。来シーズンは変えるかな

 

新旧の全日本ジュニアチャンピオンが躍進して松生選手4位の河辺選手6位でした。松生選手は全日本ジュニア、NHK杯と198点台でしたが、ついに今回200点到達。三試合続けて目立ったミスがなかったと思います。来シーズンオリンピックチャンスがありそう。カラーパープル、衣装なんでピンクなんだろう? ピンク似合うけど、パープルじゃないのね、とか思ったり思わなかったり。

河辺選手はトリプルアクセルが今シーズンなかなか決まってないです。それでも全日本は回転はqでぎりぎりですが基礎点満額もらえるところまで来ました。そして、ほかのジャンプが崩れないので全体のスコアは結構高く出ます。ジャンプの基礎点合計は全体で紀平選手に次いで二位です。トリプルアクセルがしっかり決まらずに200点に到達したので、ショートフリーで2本決めてくると210点にまで届いて、この選手もオリンピックチャンスがある位置に来てます。プログラム的には昨シーズンのブラックスワンがあっていたな、と感じたのですが、その辺はトリプルアクセルも決まって全体の出来がバランスよくよかったからかなあ。そのせいか黒が似合う印象。

 

ジュニア勢では住吉選手が12位と躍進。186.08のスコアは驚きでした。一方で全日本ジュニア2位の吉田選手は163.78の16位。 これ、世界ジュニアが開催予定だったら代表選考に非常に迷う展開でした。ウルトラCの河辺選手ジュニア出戻り、なんてのが採用されそうな流れでしたけど世界ジュニアはなし。住吉選手吉田選手、二人は来シーズンどうするんでしょう。シニアに上がるかどうか。

 

ベテラン新田谷選手はショート5位からのトータル10位。昨シーズンよかったので今シーズンが普通のシーズンであればチャレンジャーシリーズに派遣されていたはずなのですがコロナで派遣無し。引退撤回で大学卒業年齢から国際大会に復帰していく、というのを体現してもらいたかったのですが世の中うまくいかないもの。それでもショート5位で過去最高位を上回るチャンス、初の200点チャンスがやってきたのですが、フリーはルッツが二本決まらず伸びませんでした。国際大会で見たい選手なのですが10位だとどうだろう? 世の中が平穏に戻ってくれたとして、チャレンジャーシリーズへの派遣があってくれるかどうか。

 

ベテラン組では竹野比奈選手は17位でした。ジャンプがなかなか決まらないですし、セカンド3Tがダブルアクセルにしか付けられないのでどうしても上位にはなかなか入っていけないのですが、相変わらずの美しいスピン。ショートフリー合わせてのスピンでの得点は全体4位でした。競技会での点数・順位以上に、ショーでは生きるタイプかと思います。

 

今シーズン復帰した本郷理華選手は18位でした。フリーでは回転不足5つと苦しんでましたが、この選手はもう、そういう細かいことは言いから、最初から最後までしっかり滑ってくれれば満足です、という風に言いたい気分です。

 

今年からのシニア組では川畑和愛選手が11位、吉岡詩果選手は15位青木祐奈選手が19位

この辺全部東日本勢なのですが、東日本の選手が今回かなり苦しんでいました。三人ともフリーが伸びず。東日本勢の枠はかなり縮小されそうです。来シーズン厳しいなあ。

 

女子では永井優香選手がシーズンの早い段階から今シーズンでの引退を表明していました。ショートではまずまずの出来だったもののフリーはジャンプがことごとく決まらず。終盤、気持ちが切れてしまっているように見えたのは残念でした。

 

女子はショート通過ラインが54.45 50点台半ばにまで上がってきています。昔はフリーの第一グループとか、ジャンプ跳んで次を滑って、というだけで、演技にまでまだなっていません、みたいな選手が目立っていたのですが最近は全然そんなことなくなってます。中堅層のレベルが上がっているというのか厚みを増しているのか、そういう風に見えるので、もう女子は全日本36人でもいいんじゃないか、というような気がしてきました。

 

以上、全日本の感想、女子シングル編でした