前回からの続きです
今回からは各個別の要素を見ていきます
表のBaseValueは基礎点、GOEは9人のジャッジがマイナス5からプラス5までを評価した9人分の平均を取ったものを載せています。なので5.000なら9人全ジャッジが+5を付けた、という意味です
実際の採点には評価の一番良い1人、一番悪い1人を切り捨てた後平均とるので、8人が+5で一人が+4以下でもGOE+5分の加点がもらえるのですが、ここでは全ジャッジの平均を取っています
●四回転のルッツフリップループ
Name | Elements | BaseValue | GOE | |||
SP | 宇野昌磨 | 4F | 11.00 | 3.556 | ||
FS | 宇野昌磨 | 4F | 11.00 | 2.556 | ||
FS | 羽生結弦 | 4Lo | 10.50 | 3.333 | ||
FS | 大島光翔 | 4Lz< | < | 9.20 | -5.000 |
ループ以上の難度の4回転に挑んだのは三人。宇野選手はショートフリーでともにフリップを成功。羽生選手もループを成功させました。世界の表彰台クラスはトーループ、サルコウ以外の三種類目の四回転が必須、ということなのかもしれません。鍵山選手はまだその領域には届いていません
もう一人名前があるのは佐藤駿選手、と思いきや、佐藤選手は結果的に四回転ルッツに当たる要素はなく、ジュニアで高校三年生の大島選手が四回転ルッツに挑みました。結果は回転不足で転倒、ということで残念ながら成功させることは出来ませんでした。
●四回転サルコウ
Name | Elements | BaseValue | GOE | |||
SP | 鍵山優真 | 4S+2T | 11.00 | 2.889 | ||
SP | 羽生結弦 | 4S | 9.70 | 3.222 | ||
SP | 島田高志郎 | 4S | 9.70 | -0.889 | ||
SP | 友野一希 | 4Sq | q | 9.70 | -5.000 | |
SP | 三浦佳生 | 4S | 9.70 | -5.000 | ||
FS | 田中刑事 | 4S+2T | 11.00 | 2.222 | ||
FS | 友野一希 | 4Sq+2T | q | 11.00 | -0.889 | |
FS | 羽生結弦 | 4S | 9.70 | 4.222 | ||
FS | 三浦佳生 | 4S | 9.70 | 3.222 | ||
FS | 鍵山優真 | 4S | 9.70 | 3.000 | ||
FS | 宇野昌磨 | 4S | 9.70 | 2.333 | ||
FS | 山本草太 | 4S | 9.70 | 2.333 | ||
FS | 島田高志郎 | 4Sq | q | 9.70 | -0.222 | |
FS | 田中刑事 | 4S | 9.70 | -0.889 | ||
FS | 三宅星南 | 4Sq | q | 9.70 | -5.000 |
四回転サルコウはショートで5人、フリーで9人が挑んでいます。フリーでは田中刑事選手のみが2回飛ぶ要素として四回転サルコウを選びました。結果として15回四回転サルコウは試されています。コンビネーションにした選手が3人います。
結構驚いたのですが、アンダーローテーションやダウングレードになった選手はおらず、qマークがつく選手はいましたが、それでも全員基礎点は満額得られています。サルコウは抜けるときには回転不足ではなく3回転や2回転になるというような傾向があったりしますでしょうか
名前が載っている選手は世界のメダリストかこの前のNHK杯に出ていたグランプリレベル(ジュニアもいますが)の選手です
回転ぎりぎりのqマークは4例。転倒は3例、降りたけどGOEマイナスというのが4例。8例はGOEプラスの成功ジャンプになっています。成功するとGOEは+2以上付くようです。
最高評価は羽生選手のフリーで+4.222付きました。その羽生選手と鍵山選手がショートフリーで四回転サルコウ二本成功です。
●四回転トーループを含むコンビネーション
Name | Elements | BaseValue | GOE | |||
SP | 羽生結弦 | 4T+3T | 13.70 | 3.111 | ||
SP | 友野一希 | 4Tq+3T | q | 13.70 | -0.222 | |
SP | 三浦佳生 | 4T+2T | 10.80 | 2.667 | ||
FS | 羽生結弦 | 4T+1Eu+3S | 15.73 | X | 3.667 | |
FS | 羽生結弦 | 4T+3T | 15.07 | X | 4.000 | |
FS | 鍵山優真 | 4T+3T | 13.70 | 3.667 | ||
FS | 佐藤駿 | 4T+3T | 13.70 | 2.111 | ||
FS | 三浦佳生 | 4T+2T | 11.88 | X | 2.000 | |
FS | 宇野昌磨 | 4T+1T<< | << | 10.45 | X | -3.444 |
四回転トーループをコンビネーションで跳んだのはショートで3人フリーで5人で6回ありました。フリーの1.1倍ボーナスタイムに跳んだ選手が3人で4回もあります
コンビネーションにした選手というのは全員着氷です。GOEマイナスは二人。他は+2以上の評価を受けています。
最高評価はここでも羽生結弦選手の+4.000 サルコウ、トーループ、二種類の四回転で+4以上の評価を受けました。3連続で四回転入れてそれも1.1倍のところに入れる、という選手はなかなかいません。
名前があるのは表彰台3人+友野選手と、ジャンプが得意と有名な10代の二人です。中学生三浦佳生選手がショートもフリーも4T+2TをGOE+2以上の評価で成功させています。
●単独の四回転トーループ
Name | Elements | BaseValue | GOE | |||
SP | 鍵山優真 | 4T | 9.50 | 3.444 | ||
SP | 佐藤駿 | 4T | 9.50 | 3.333 | ||
SP | 山本草太 | 4T | 9.50 | -0.889 | ||
SP | 宇野昌磨 | 4T+COMBO | 9.50 | -5.000 | ||
SP | 中村俊介 | 4T< | < | 7.60 | -5.000 | |
FS | 宇野昌磨 | 4T | 10.45 | X | 3.000 | |
FS | 三浦佳生 | 4T | 9.50 | 2.778 | ||
FS | 中野紘輔 | 4T | 9.50 | 1.778 | ||
FS | 佐藤駿 | 4T | 9.50 | -1.222 | ||
FS | 鍵山優真 | 4T | 9.50 | -2.667 | ||
FS | 友野一希 | 4T | 9.50 | -2.778 | ||
FS | 島田高志郎 | 4T | 9.50 | -5.000 | ||
FS | 山本草太 | 4T | 9.50 | -5.000 | ||
FS | 日野龍樹 | 4T< | < | 7.60 | -5.000 | |
FS | 小林諒真 | 4T<< | << | 4.20 | -4.778 | |
FS | 中村俊介 | 4T<< | << | 4.20 | -5.000 |
単独の四回転トーループは、コンビネーションにしそこなった、という選手もいるかと思いますが、要素として単独で認定されているものは載せています。また、ショートで転倒してコンボ扱いなものも載せました
こうやって見ると、むしろコンビネーションの方が成功率が高い。これは、ちゃんと飛べればコンビネーションにする、という前提な選手が多いからでしょうか。
羽生選手はここでは名前がありません。ショートフリー、使った四回転トーループはすべてコンビネーションなためです。
宇野選手はフリップやサルコウをクリーンに決めたのに、トーループが成功率が低いという結果になっています。最近そんな姿を何度か見ている気がします。むしろフリップをフリーは2回飛んだら? ショートはコンビネーションにしたら? と思ったりします。
四回転トーループはグランプリ組ではない選手も挑んでいて名前がいくつか入っていますが、成功したのは昨年すでに大学を卒業しながら競技を続けている中野紘輔選手のみでした。過去の記録までしっかり調べていませんが、少なくとも今シーズンはこれまで要素にも入っていませんでしたし初めての成功でしょうか? 全日本で四回転決めました、ってのは一生の自慢になる事柄かと思います
●トリプルアクセルを含む要素で平均GOE+2.000以上
Name | Elements | BaseValue | GOE | |||
SP | 羽生結弦 | 3A | 8.80 | X | 4.556 | |
SP | 鍵山優真 | 3A | 8.80 | X | 3.889 | |
SP | 宇野昌磨 | 3A | 8.80 | X | 3.444 | |
SP | 友野一希 | 3A | 8.80 | X | 2.778 | |
SP | 佐藤駿 | 3A | 8.80 | X | 2.667 | |
SP | 田中刑事 | 3A | 8.00 | 2.333 | ||
SP | 櫛田一樹 | 3A | 8.00 | 2.222 | ||
SP | 三宅星南 | 3A | 8.00 | 2.000 | ||
FS | 日野龍樹 | 3A+3T | 12.20 | 2.222 | ||
FS | 中村俊介 | 3A+3T | 12.20 | 2.111 | ||
FS | 羽生結弦 | 3A+2T | 9.30 | 3.667 | ||
FS | 羽生結弦 | 3A | 8.80 | X | 3.889 | |
FS | 鍵山優真 | 3A | 8.80 | X | 3.222 | |
FS | 宇野昌磨 | 3A | 8.00 | 3.444 |
トリプルアクセルの最高評価はやはり羽生選手、ということでショートでは+4.556が付きました。9人中5人のジャッジが満点付けています。コンビネーションでの最高評価も羽生選手です。ただ、3A+3Tというそれより基礎点の高いコンビネーションでは、今シーズン限りの引退を表明した日野龍樹選手が+2.222という評価を受けています
トリプルアクセルくらいになると全日本選手権レベルではほとんどの選手が構成に入れてきますが、GOEで+2まで持ってくるのは結構大変です。そんな中ショートでは櫛田一樹選手が+2.222 フリーでは中村俊介選手が3A+3Tのコンビネーションで+2.111という評価を得ました。
鍵山選手佐藤駿選手はこういったところに名前を連ねていますが、三浦佳生選手がいません。トリプルアクセルの苦手感を感じます
●セカンドループジャンプ
Name | Elements | BaseValue | GOE | |||
FS | 鍵山優真 | 3Lz+3Lo | 11.88 | X | 2.000 |
コンビネーションの二つ目にループを付けたのは鍵山選手のみでした。GOEは+2.000 高評価を得ました。
●三連続ジャンプで平均GOEがプラス
Name | Elements | BaseValue | GOE | |||
FS | 羽生結弦 | 4T+1Eu+3S | 15.73 | X | 3.667 | |
FS | 三浦佳生 | 2A+1Eu+3S | 8.91 | X | 1.667 | |
FS | 國方勇樹 | 2A+1Eu+3S | 8.91 | X | 0.667 | |
FS | 本田太一 | 2A+1Eu+3S | 8.10 | 1.222 | ||
FS | 小林建斗 | 3S+1Eu+2S | 6.71 | X | 0.333 | |
FS | 長谷川一輝 | 2A+2T+2Lo | 6.30 | 0.889 | ||
FS | 本田ルーカス剛史 | 2A+1Eu+2S | 5.61 | X | 1.111 |
三連続ジャンプでプラス評価をもらった選手は少ないです。トップ選手でもほとんどプラスがついていません。そんな中で四回転からの三連続でGOEが3.667ついた羽生選手というのは突出しています。
今回はここで切って、もう一回続きます