北京オリンピック 男子シングルプレビュー

さて、団体戦が先に進んでいますが、個人戦も近づいてきました。今回は男子シングルのプレビューとなります。団体戦のフリーまでスコアは拾っていますが、ショートフリー両方出た選手について、その両方を合わせた合計スコアはトータルスコアとして拾うということはしていません。個人の1つの試合とはみなせないためです。

○今シーズンの戦績

Name   Season best 2nd best Season worst National
Nathan CHEN USA 307.18 269.37 269.37 328.01
Yuzuru HANYU JPN       322.36
Vincent ZHOU USA 295.56 288.26 260.69 290.16
Shoma UNO JPN 290.15 270.68 270.68 295.82
Mark KONDRATIUK RUS 286.56 250.08 231.88 284.37
Yuma KAGIYAMA JPN 286.41 278.02 277.78 292.41
Daniel GRASSL ITA 274.48 269.00 221.43 273.96
Junhwan CHA KOR 273.22 259.60 214.24 283.31
Deniss VASILJEVS LAT 272.08 254.48 217.68  
Morisi KVITELASHVILI GEO 266.33 253.91 226.61  
Andrei MOZALEV RUS 265.69 252.15 234.05 278.28
Jason BROWN USA 264.20 262.52 259.55 289.78
Evgeni SEMENENKO RUS 260.00 256.01 242.23 274.28
Matteo RIZZO ITA 255.84 250.47 234.40 262.98
Keegan MESSING CAN 255.07 253.06 238.34 258.03
Roman SADOVSKY CAN 253.80 217.73 207.62 247.60
Kevin AYMOZ FRA 252.21 229.42 228.08 277.64
Vladimir LITVINTSEV AZE 244.70 228.65 218.80  
Adam SIAO HIM FA FRA 243.78 243.29 217.52 257.68
Boyang JIN CHN 242.27 224.09 224.09  
Konstantin MILYUKOV BLR 241.24 204.28 177.67  
Michal BREZINA CZE 238.65 238.38 219.59  
Aleksandr SELEVKO EST 238.42 225.89 197.71 233.38
Brendan KERRY AUS 231.36 227.57 204.19  
Sihyeong LEE KOR 229.14 223.18 209.64 240.84
Alexei BYCHENKO ISR 224.40 211.55 207.98  
Ivan SHMURATKO UKR 223.29 214.57 190.83 229.25
Lukas BRITSCHGI SUI 218.91 218.56 211.09 240.41
Donovan CARRILLO MEX 208.41 192.54 170.08  
Nikolaj MAJOROV SWE 198.74 197.31 188.83  

羽生選手は国際大会に今シーズン出場していないので、便宜的に2番目の位置に入れています。

300点超えているのはネイサンチェン選手のみです。スケートアメリカでは崩れて269.37というスコアが出ています。前回のオリンピックはご存じの通り。今回同じ轍を踏むかどうか?

羽生選手は今シーズンの国際大会の評価がまだありません。昨シーズンは世界選手権のみで3位。国際大会で300点を最後に超えたのはシーズン前のNHK杯にまで遡ります。大事な試合には合わせてくる選手ですが、今回はどうなるでしょう?

上位2人に続くのは290点台で2人、280点台で2人。一発チャンスがあるのはこのあたりまででしょうか? 世界選手権で表彰台経験のあるヴィンセントジョウ選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手に、先日のヨーロッパ選手権に勝ったコンドラチュク選手。上位2人を脅かすことができれば面白いし、そうでなくても表彰台争いにはなります。

270点前後の選手が入賞争い付近かと思われます。それぞれに魅力を持った選手が並んでいます。

 

ショートプログラムの今シーズンの戦績

Name   Season best 2nd best Season worst National
Nathan CHEN USA 111.71 106.72 82.89 115.39
Yuzuru HANYU JPN       111.31
Shoma UNO JPN 105.46 102.58 89.07 101.88
Vincent ZHOU USA 102.53 99.51 97.35 112.78
Yuma KAGIYAMA JPN 100.64 97.80 80.53 95.15
Andrei MOZALEV RUS 99.76 84.68 68.77 90.98
Mark KONDRATIUK RUS 99.06 95.81 74.16 97.77
Evgeni SEMENENKO RUS 99.04 87.71 69.63 98.03
Junhwan CHA KOR 98.96 95.92 74.47 98.31
Boyang JIN CHN 97.89 85.02 82.87  
Daniel GRASSL ITA 95.67 91.75 70.88 96.66
Morisi KVITELASHVILI GEO 95.37 92.76 58.53  
Jason BROWN USA 94.00 92.39 89.39 100.84
Keegan MESSING CAN 93.28 92.39 85.03 84.38
Deniss VASILJEVS LAT 90.24 89.76 84.46  
Adam SIAO HIM FA FRA 89.23 84.47 67.60 95.31
Konstantin MILYUKOV BLR 88.18 69.10 62.43  
Michal BREZINA CZE 87.48 82.31 71.60  
Brendan KERRY AUS 85.89 84.36 66.13  
Matteo RIZZO ITA 84.78 77.45 62.57 88.08
Roman SADOVSKY CAN 84.59 76.10 71.06 77.17
Vladimir LITVINTSEV AZE 83.46 80.83 80.54  
Alexei BYCHENKO ISR 82.88 79.35 77.35  
Ivan SHMURATKO UKR 82.13 76.94 64.27 82.18
Nikolaj MAJOROV SWE 81.48 69.84 67.02  
Aleksandr SELEVKO EST 80.84 80.54 67.52 89.34
Kevin AYMOZ FRA 80.39 70.35 58.14 86.57
Sihyeong LEE KOR 79.95 79.13 66.09 73.68
Lukas BRITSCHGI SUI 79.34 76.42 65.28 85.13
Donovan CARRILLO MEX 77.48 63.70 61.06  

ショートプログラムのシーズンベストは団体戦のネイサンチェン選手の111.71です。羽生選手は全日本では111.31を出していましたが、こういったスコアがオリンピックでも出るかどうか。110点を超えてくればフリー勝負ということになります。

100点超えがあるのは他に3人。ワールド表彰台経験者の3人。上2人を脅かすには105点は少なくとも超えていきたい。表彰台争いをするには100点は欲しい。

90点台は多数います。ちょっと失敗して80点台になると前半グループに入って、もう表彰台争いは絶望的です。最低限95点はないとノーチャンスになりそう。100点超えてやっと最終グループということになりそうです。

フリー進出ラインは80点は必要そうでしょうか? まあ、崩れる選手は結構崩れるので60点台が多数出る可能性もあるにはあるのでしょうが。ケビンエイモズ選手が全然今シーズン調子が上がっておらず、ショートのシーズンベストは26位。ちゃんとフリーに進んで上位に絡んでくれるでしょうか?

 

○フリーの今シーズンの戦績

Name   Season best 2nd best Season worst National
Yuma KAGIYAMA JPN 208.94 197.49 179.98 197.26
Nathan CHEN USA 200.46 186.48 186.48 212.62
Yuzuru HANYU JPN       211.05
Vincent ZHOU USA 198.13 186.88 161.18 177.38
Shoma UNO JPN 187.57 181.61 181.21 193.94
Mark KONDRATIUK RUS 187.50 165.29 157.72 186.60
Daniel GRASSL ITA 182.73 173.54 150.55 177.30
Deniss VASILJEVS LAT 181.84 165.61 132.93  
Andrei MOZALEV RUS 179.77 171.44 159.93 187.30
Matteo RIZZO ITA 176.18 173.02 161.46 174.90
Jason BROWN USA 174.81 170.13 165.55 188.94
Junhwan CHA KOR 174.26 163.68 139.77 185.00
Evgeni SEMENENKO RUS 172.60 168.30 160.96 176.25
Kevin AYMOZ FRA 171.82 164.10 159.07 191.07
Morisi KVITELASHVILI GEO 170.96 168.08 159.66  
Roman SADOVSKY CAN 169.21 144.79 122.60 170.43
Keegan MESSING CAN 168.03 164.81 145.06 173.65
Michal BREZINA CZE 166.78 152.04 137.28  
Vladimir LITVINTSEV AZE 161.24 148.11 137.97  
Adam SIAO HIM FA FRA 158.82 156.85 149.92 162.37
Aleksandr SELEVKO EST 157.88 145.05 128.93 144.04
Boyang JIN CHN 155.04 144.38 139.07  
Konstantin MILYUKOV BLR 153.06 135.51 113.49  
Ivan SHMURATKO UKR 150.07 132.44 126.56 147.07
Sihyeong LEE KOR 149.19 144.05 143.55 167.16
Lukas BRITSCHGI SUI 147.97 145.95 134.42 155.28
Brendan KERRY AUS 147.00 146.45 123.71  
Alexei BYCHENKO ISR 145.05 130.63 128.67  
Nikolaj MAJOROV SWE 131.72 127.47 107.35  
Donovan CARRILLO MEX 131.48 130.93 106.38  

フリーのシーズンベストはオリンピック団体戦で鍵山優真選手がマークしました。208.94 すごい滑りでした。団体戦でこれが出たのがもったいないくらいです。

ネイサンチェン選手も200点を持っていますが、まあ、これは、参考程度でしょうか。実際はどこまで出るのか。ヴィンセントジョウ選手は200点近いスコアを出していますが団体戦では今一つ。わずかな時間で立て直せるかどうか。

宇野選手とコンドラチュク選手は180点台まで。宇野選手はまだ余力はあるはずです。コンドラチュク選手はヨーロッパ選手権からもうひと伸びする余地はあるか。表彰台争いに勝つには200点まで乗せたい。シーズンベストでは3番手4番手の選手とやや差がありますが、実力値的にはさほど差はなさそうです。

ヨーロッパ選手権ではグラスル選手やバシリエフス選手も180点台に乗せてきました。入賞ラインに乗るにはフリー180点は必須になりそうです。

170点台には国内選手権で180点以上を出したり、力的には180点までは出せそうな選手が並んでいます。この辺の選手までが入賞争いに絡んできそうに見えます。

 

○シーズンベスト時の要素別スコア

Name Nation Total PCS Jump Base Jump GOE Spin Step
Nathan CHEN USA 307.18 139.21 107.78 18.82 25.83 15.54
Yuzuru HANYU JPN 322.36 145.83 103.70 27.52 28.11 17.20
Vincent ZHOU USA 295.56 130.59 115.50 11.26 23.56 14.65
Shoma UNO JPN 290.15 136.61 97.21 19.22 24.27 12.84
Mark KONDRATIUK RUS 286.56 132.49 102.22 14.86 22.75 14.24
Yuma KAGIYAMA JPN 286.41 135.42 97.18 14.98 25.55 13.28
Daniel GRASSL ITA 274.48 124.35 104.25 7.82 24.96 13.10
Junhwan CHA KOR 273.22 133.37 91.50 7.79 26.84 14.72
Deniss VASILJEVS LAT 272.08 132.22 85.02 13.07 26.46 15.31
Morisi KVITELASHVILI GEO 266.33 125.84 97.34 6.37 23.70 14.08
Andrei MOZALEV RUS 265.69 130.81 85.93 9.66 24.78 14.51
Jason BROWN USA 264.20 139.04 76.87 6.10 25.38 16.81
Evgeni SEMENENKO RUS 260.00 128.15 88.32 5.68 23.83 14.02
Matteo RIZZO ITA 255.84 125.91 80.20 11.42 23.52 14.79
Keegan MESSING CAN 255.07 127.00 75.87 12.75 25.74 14.71
Roman SADOVSKY CAN 253.80 124.50 90.07 0.27 25.47 13.49
Kevin AYMOZ FRA 252.21 128.20 88.90 -3.98 24.78 15.31
Vladimir LITVINTSEV AZE 244.70 117.32 91.75 3.50 20.69 12.44
Adam SIAO HIM FA FRA 243.78 119.78 88.26 -0.51 23.38 14.87
Boyang JIN CHN 242.27 119.81 97.00 -6.25 21.13 12.58
Konstantin MILYUKOV BLR 241.24 117.94 82.41 10.17 18.75 11.97
Michal BREZINA CZE 238.65 122.15 69.16 13.81 21.58 12.95
Aleksandr SELEVKO EST 238.42 116.55 75.76 10.10 21.15 14.86
Brendan KERRY AUS 231.36 112.85 77.73 5.98 22.46 12.34
Sihyeong LEE KOR 229.14 112.94 81.52 -1.49 23.81 13.36
Alexei BYCHENKO ISR 224.40 114.10 84.42 -2.09 15.92 12.05
Ivan SHMURATKO UKR 223.29 110.75 74.56 3.42 22.49 12.07
Lukas BRITSCHGI SUI 218.91 109.60 89.09 -14.15 21.00 13.37
Donovan CARRILLO MEX 208.41 108.85 76.23 -10.76 24.04 14.05
Nikolaj MAJOROV SWE 198.74 110.05 65.10 -7.52 20.59 12.52

国際大会のシーズンベストの試合の要素別のスコアを並べていますが、羽生結弦選手は今シーズン国際大会出場がないので、全日本選手権のスコアを入れています。

 

PCSは羽生選手が突出していますが、国内参考記録です。それ以外だと139点まで来たネイサンチェン選手がトップ。トータルスコアは低めですがジェイソンブラウン選手もそれに匹敵するPCSです。他に宇野選手鍵山選手までが135点以上の平均9点台を出しています。ヴィンセントジョウ選手はここが他の上位陣と比べると弱いです。

ジャンプの基礎点は逆にヴィンセントジョウ選手が上に来ます。ネイサンチェン選手が2番手でグラスル選手が3番目に来ます。宇野選手鍵山選手は97点台でネイサンチェン選手とここで10点差がつく。この差は結構大きいです。

ジャンプの加点は羽生選手のスコアがすごいですがやはり国内参考記録。国際大会では宇野選手がトップです。基礎点上がった構成をまだ滑り切れていないのですが、出来栄えは良いという評価。高難度ジャンプが全部そろってこのままの出来栄えなら優勝争いに絡める可能性があるんでしょうか。ネイサンチェン選手も当然高い加点をもらっていて、鍵山選手やコンドラチュク選手は15点弱。上と勝負するにはもう少し欲しいところ。ヴィンセントジョウ選手はもう一段階下です。基礎点高い構成な分、完璧な滑りとはいかないようです。ジャンプの加点は下位の方でも高くもらっている選手が結構います。ジャンプでミスなく加点がもらえると全体の印象は良くなるので、下位の選手でも見栄えは良くなってきそうです。

スピンはチャジュンファン選手がトップに来ます。四大陸優勝の一つの原動力でした。ついでバシリエフス選手。高難度ジャンプが揃う選手ではないですがこういったところは強いです。鍵山選手の25点台は上位では標準的ですが、宇野選手の24点台になるとやや弱いかなという数字になります。まだ今シーズンは高難度ジャンプの取り揃えに苦労していてこの辺まで気が回っていない感じがします。

ステップはジェイソンブラウン選手が16.81とトップです。16点台は他におらず、ネイサンチェン選手とバシリエフス選手が15点台で続くという構図です。宇野選手はステップの評価が低い選手ではないのですが、この試合はレベルの方が取れておらず低いスコアになりました。

 

○上位6人のシーズンベストの試合のショートプログラム構成

  Nathan CHEN Yuzuru HANYU Vincent ZHOU Yuma KAGIYAMA Shoma UNO Mark KONDRATIUK
1 4F 4S 4Lz+3T 4S+3T 4F 4T
2 3A 4T+3T 4S 4T 4T+3T 3A
3 CCSp4 FCSp4 FCSp4 CCSp4 FCSp4 CSSp4
4 4Lz+3T 3A 3A 3A 3A 4S+3T
5 StSq4 CSSp4 CSSp4 FSSp4 CSSp3 StSq4
6 FSSp4 StSq4 StSq3 StSq4 StSq3 FCSp3
7 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4
Base 49.87 45.80 47.20 45.80 46.10 45.99
GOE 13.98 16.48 12.83 9.62 12.79 10.60
PCS 47.86 49.03 42.50 45.22 46.57 42.47
Total 111.71 111.31 102.53 100.64 105.46 99.06

羽生選手はやはり国際大会出場がないので全日本選手権のスコアを入れています。

全員4回転2本構成。基礎点45点を超えてきます。ネイサンチェン選手が基礎点トップ。これ以上上はセカンドループを入れるしか手がありません。羽生選手はジャンプの構成の差でネイサンチェン選手と基礎点が4.07差があります。これは結構大きい。PCSで差を詰めるのは上限が近すぎて難しくなってきますので、出来栄えでどうやって後は差を詰めるか。

宇野選手はスピンステップでレベルが取れておらず基礎点はもう一段階上があって、47.10までは出ます。これはオリンピック団体戦の構成ですが、本番直前ギリギリになってついにセカンド3回転が入りました。これは結構大きいと思います。

それにしても上位のショートは測ったように最初にジャンプ2つ跳んで、スピンで少し時間を使って後半にして1.1倍ジャンプ。後はスピンステップで最後の要素はチェンジフットコンビネーションスピン。スコアの合理性を求めていくとこうなっていくのでしょうが、もうちょっとなんというかオリジナリティみたいなものが欲しい気もします。

 

○上位6人のシーズンベストの試合のフリー構成

  Nathan CHEN Yuzuru HANYU Vincent ZHOU Yuma KAGIYAMA Shoma UNO Mark KONDRATIUK
1 4S 4A<< 4Lz 4S 4Lo 4T
2 3Lz 4S 4F! 4Lo 4S 3A
3 4F+3T 3A+2T 4Sq 4T 4T+2T 3A+2Tq
4 3Lo 3Lo 4Tq 3A+3T 3A 3Lo
5 CCSp3 FCCoSp4 ChSq1 CSSp4 FCSp4 FCSp3
6 StSq3 StSq4 4Sq+3T StSq3 ChSq1 4S+1Eu+3S
7 3A 4T+3T 3A+1Eu+3S 4T+1Eu+3S 2F 4S
8 4T+1Eu+3F 4T+1Eu+3S FCSp4 3F+3Lo 4T 3Lz+3T
9 4T+2T 3A CSSp3 3A 3A+1Eu+3F CSSp4
10 CCoSp4 ChSq1 3A+2T ChSq1 FCCoSp4 StSq3
11 ChSq1 FCSSp4 StSq4 CCoSp4 CCoSp4V CCoSp4
12 FCCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 FCCoSp4 StSq3 ChSq1
Base 89.31 88.40 97.50 93.95 82.24 85.03
GOE 18.37 25.85 12.69 22.55 14.75 12.45
PCS 92.78 96.80 87.94 92.44 90.58 90.02
Total 200.46 211.05 198.13 208.94 187.57 187.50

フリーの構成はシーズンベスト時はこれですが実際の構成はもっと上がってくる選手もいるでしょう。

ネイサンチェン選手は4回転4本ですが、本番では3Lzのところが4Lzでしょうか。4回転5本とは言いましたが、トリプルアクセルを2本入れるかどうか入ってませんでした。トリプルアクセル1本でセカンド3回転2本にする方が合理的な感じもしますので、そちらを選ぶ気がしますが、そこにスピンステップレベル4が加わると基礎点は99点前後まで来ます。

羽生選手は4回転アクセルが基礎点満額12.5になったとしても、基礎点合計は92.90までしかきません。おそらくノーミスネイサンチェン選手と比べると7点前後のビハインドを負うことになります。4回転がアクセル入れても4本になるためです。4回転アクセルにあまり価値が付与されていません。4回転のループまで入ってアクセル付きの4回転5本になれば、98.50まで基礎点が来て、ネイサンチェン選手の推定ノーミス構成とほぼ並びます。

ヴィンセントジョウ選手は4回転5本。スピンのレベル3を4にすることで97.90まで基礎点はあがります。かなりの頻度でqや!が出てきますが、基礎点満額確保できるかどうか。

鍵山選手はループが入って4回転4本になりました。4回転アクセルの入った羽生選手より、同じ4回転4本で基礎点が高くなる。それもトーループ2本でサルコウ1本まで同じで、もう1本がアクセルとループで差があるのに、鍵山選手の方が上になる。セカンドループの威力というやつですが、それはつまり、4回転アクセルよりもセカンド3回転ループの方が価値があるみたいなことになり、なんだかなあ、という雰囲気が生まれてきます。セカンドループの選手には何の罪もあるわけではないですが。鍵山選手は208点まで来ました。団体戦の空気ではなく個人戦のフリーの空気であの滑りならPCSがもっと伸びて210点までは来たはずです。もうひと伸び、215点まで上積みできるか? そこまでいくと、ワンチャンありそうな気もします。

宇野選手は見た目の基礎点は一番低いですが、フリップがちゃんと4回転になればその時点で92.36まで基礎点が上がる。コンビネーションが一つ足りませんがセカンド3回転として入れば96点台半ばまで来ます。そこにスピンステップのレベルの取りこぼしを修正すれば98点台まで来る。ノーミス構成ならネイサンチェン選手と基礎点がほぼ並びますので、出来栄え勝負にまで行けるということになります。

コンドラチュク選手はこの辺に混ざると4回転2種類3本だと苦しい。もう1種類あるという話は聞きませんので、上位がしっかり滑ると表彰台争いはやはり苦しいのかなという構図です。

 

全体見ると、基礎点の高いネイサンチェン選手に、基礎点差をどう出来栄え差で羽生選手が埋めていくか、みたいな構図になります。それは4回転アクセルが入っても変わりません。たぶんそんなことはわかっていて4回転アクセルやろうとしてるのでしょうし、ご本人はいざオリンピックが近づいてくると、勝つためにやるというような言葉をおっしゃるようになってきてはいますが、安藤美姫さんではないですが、見ているともうそんなことはどうでもいいような気がしています。羽生選手は、羽生結弦という別の競技をしている感じがしています。

むしろ人間界の試合という点では、ノーミス宇野選手の方が基礎点はネイサンチェン選手に匹敵出来るという構図です。冷静に彼我の出来でスコアが何点になりどちらが上に行くか、というのを計算する方なようなので、4回転5本というのも、その辺をすべて踏まえた上で必要なものとして組んだのかもしれません。

宇野選手も鍵山選手も4回転のループまで入って3種類4種類あるので、4回転5種類を1つの試合で最初に決める選手に将来的になっていく可能性を感じたりしています。ただ、今シーズンではなさそうですが。羽生選手が4回転アクセルを決めたら、そのあとに続いて、4回転6種類7本を決められる選手が出るか? 佐藤駿選手、三浦佳生選手が次のオリンピック、あるいはその次くらいに出来てくれそうな気もしますが、それはまた別のお話。

 

とにかく、コロナ陽性欠場がなく、みんな元気で滑れたらいいな、と思っています。