全日本選手権22 男子レビュー2

今回から男子のレビュー数値編へと移ります。

 

○シニアの上位選手6名のショートプログラム構成

  宇野昌磨 島田高志郎 本草 友野一希 鍵山優真 森口澄士
1 4F 4S 4T+3T 4Tq 4S 3A
2 4T+2T 4Tq+3T 2S* 4S+2T 3F+3Lo 3Lz+3T
3 FCSp4 FCSp3 FCSp4 CSSp3 CCSp4 FCSp4
4 3A 3A 3A 3A 1A* 3F
5 StSq3 CSSp4 CSSp4 FCSp4 FSSp4 CSSp4
6 CCoSp4 StSq3 StSq4 CCoSp4 StSq4 StSq2
7 CSSp3 CCoSp4 CCoSp4 StSq3 CCoSp3 CCoSp3V
Base 43.20 44.80 36.10 41.90 33.00 34.98
GOE 10.78 1.55 8.98 3.09 5.51 4.35
PCS 46.47 41.34 41.81 41.44 42.88 36.98
TSS 100.45 87.69 86.89 85.43 81.39 76.31

総合成績上位の中で二十歳以上の選手と鍵山選手のショートプログラムの構成を抜き出しました。

基礎点は実は島田高志郎選手が全選手中トップでした。4回転2本入ってセカンド3回転もある構成で基礎点満額取れたのが島田選手のみだったためです。山本選手はサルコウ零点により島田選手8.70の基礎点差、鍵山選手はアクセル零点で島田選手と11.80の基礎点差が生じています。アクセル入っていれば8.80の基礎点があったわけで十分勝負出来たというかスコアとしてはおそらく上に出て2位スタートになっていました。

GOEはさすがの宇野選手がトップ。山本草太選手は決めたジャンプの質はよく、やはり高い加点を得ています。島田選手はそのあたりが今一つで基礎点欠ける大過失はなかったものの、3位以下との差を大きく開くことは出来ない形となりました。

PCSは宇野選手が抜けていて、島田選手から鍵山選手は拮抗しています。

 

○二十歳未満選手の有力6選手のショートプログラム構成

  佐藤駿 吉岡希 中村俊介 三浦佳生 片伊勢武アミン 佐々木晴也
1 4T 4T+3T 3A 4S 3A 3A
2 3Lz+3T 3A 3Lo 3A 3F 2Lz+3T
3 CSSp4 FCSp3 FCSp4 FCSp3 CSSp4 FCSp4
4 FCSp4 3Lz 3Lz+3T 4T+COMBO 3Lzq+2T CSSp4
5 3A CSSp4 CSSp4 CSSp3 StSq3 3Lo
6 StSq3 StSq3 StSq4 StSq3 FCSp4 StSq2
7 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp3 CCoSp3 CCoSp3 CCoSp4V
Base 40.90 40.79 37.11 39.85 33.72 31.12
GOE 3.53 6.12 4.54 -4.73 0.00 0.74
PCS 38.35 33.94 36.09 38.00 36.33 32.87
TSS 81.78 80.85 77.74 71.12 70.05 64.73

こちらは二十歳未満の選手、つまり世界ジュニアを争う位置にいたと考えられる選手のショートプログラムの構成です。

佐藤選手は4回転1本にしていて基礎点は40.90 これは島田選手とは3.90の差がついていました。吉岡選手も4回転が1本入っていて佐藤選手と基礎点は拮抗しています。三浦選手は4回転2本ながらコンビネーションはいらずで基礎点は39.85に留まりました。他のジュニア勢はショートに4回転は入ってこない構成です。

出来栄えがよかったのは吉岡選手。技術点は46.91あり、実は宇野選手に次いでショートでは2位でした。佐藤選手はトリプルアクセルの転倒が痛く加点は結局削られてしまっています。三浦選手は4回転2本転倒なのでGOEはマイナスに沈みました。

PCSは佐藤選手で38.35 この辺で先に記した二十歳以上の選手との差が出ています。三浦選手も同様。吉岡希選手は33.94 ジュニアの中でも決して高くない水準です。このあたりは片伊勢武アミン選手がジュニアの中では高いのですが、ジャンプが決まらずスコアは伸ばせませんでした。

 

○シニアの上位選手6名のフリー構成

  宇野昌磨 友野一希 森口澄士 島田高志郎 本草 鍵山優真
1 4Lo 4T+3T 3A+2T 4S 2S 4S
2 2S 2T 3A 4T 4Tq 4S+REP
3 4Fq 4Sq 3Lo 3A+3T 4T+3T 3Lo
4 3A 3Lo FCSp4 3Lo 3A+1Eu+3S FCSSp4
5 ChSq1 CSSp4 3F StSq3 FCSp3 3Aq+2A+SEQ
6 FCSp4 FCSp4 ChSq1 FSSp3 StSq4 3A
7 4T+3T StSq3 3S+2A+2A+SEQ 3A+1Eu+3S 3Aq 3Lz+1Eu+2S
8 4T+2T 3A+1Eu+3S 3Lz+3T ChSq1 3F+2A+SEQ ChSq1
9 3A+2A+2A+SEQ 3F+2T 3Lz 1F! 3Lz 3F
10 StSq4 3A CSSp4 3Lz+2A+SEQ ChSq1 StSq4
11 FCCoSp4 ChSq1 StSq2 CCoSp4 CSSp4 CCoSp4
12 CSSp3 CCoSp4 CCoSp2V FCCoSp3V CCoSp4 FCCoSp4
Base 90.01 75.74 70.77 75.70 78.25 72.69
GOE 12.86 6.18 15.00 6.15 0.98 0.67
PCS 90.41 83.49 79.55 83.02 80.29 84.08
TSS 191.28 165.41 165.32 164.87 158.52 156.44

フリーは基礎点から宇野選手が抜けています。ただ一人80点を超えて90.01と90点に達しました。4回転が結局4本トリプルアクセル2本の構成です。山本草太選手は4回転は2本に留まって78点台。友野選手、島田選手も4回転2本で75点台。友野選手はダブルアクセルをうまく使えていない、島田選手はフリップの抜けにより山本選手に基礎点で負けています。鍵山選手は4回転2本ながらリピートですしコンビネーションもうまく入らず上位と基礎点差がありました。今大会大躍進の森口選手は4回転未装備ですので70点付近までの基礎点となります。

加点は森口選手が全体トップです。素晴らしい演技でした。ただ、流石に終盤は疲れが見えてスピンの2Vなどミスはありました。宇野選手も転倒ありながら二桁のGOEを稼いでいます。山本選手は加点を稼げない要素が多かったのが結局表彰台を逃した要因でしょうか。

PCSは宇野選手が1人抜けています。鍵山選手が2番目で84点に乗せ、友野選手、島田選手も83点台。山本選手が今回は少しPCSが伸びませんでした。全体通してよかった森口選手が山本選手に匹敵するレベルのPCSを出してきたという驚きもありました。

 

○二十歳未満選手の有力6選手のフリー構成

  三浦佳生 佐藤駿 中村俊介 吉岡希 佐々木晴也 片伊勢武アミン
1 3A 4Lz 4Tq 4T+3T 3A+3T 1A
2 4T 4T+3T 3A+2T 4T 3A 2A<<
3 4S 3A+1Eu+3S CSSp4 3A 3Lz+1Eu+3S 3F!
4 FCSp3 FCSp4 3Lz+3T FSSp4 2A CCoSp4
5 3Lo 4T 3F! 3Lo ChSq1 1Lo
6 StSq3 CSSp4 3Aq ChSq1 3Lz+2A+SEQ 3Lz+2T
7 4T+3T 3A StSq3 1A+1Eu+2S 2Lo 2A+3T
8 3A+1Eu+3S 3F!+1T FCSp3 3Fe+2A+SEQ CCSp4 3Sq+2A*+2T+SEQ
9 3F+2A+SEQ 3Lo 3Lz+1Eu+3S StSq3 3Fe CSSp3
10 CSSp3 StSq3 ChSq1 3Lz FCCoSp4 StSq3
11 ChSq1 ChSq1 3Lo CCSp3 StSq1 ChSq1
12 CCoSp3 CCoSp3 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp3 FCCoSp4
Base 85.41 83.46 74.46 69.67 65.35 45.51
GOE 7.54 7.28 -2.82 1.78 3.24 3.61
PCS 78.48 78.12 69.70 68.13 66.63 66.23
TSS 171.43 167.86 140.34 139.58 135.22 115.35

三浦選手が4回転3本降りて基礎点85.41と全体で2番目、佐藤駿選手も3本分基礎点満額入って83.46で3番目の基礎点になっています。4回転2本降りている吉岡選手はこうh案のアクセル1回転にサルコウ2回転によって基礎点が伸びずに69.67という4回転無しでも届く水準にとどまりました。

加点は三浦選手、佐藤選手は一桁後半まであります。他の選手は今一つ伸びませんでした。

PCSが三浦選手、佐藤選手共に78点台。前半グループの三浦選手は仕方ないにしても、20番滑走で78点台のPCSだったことが結局佐藤選手が表彰台乗れなかった、すなわち世界選手権の代表を逃した要因となりました。

こうやって並べるとジュニア年齢の中ではやはり三浦選手と佐藤選手が抜けています。全日本ジュニア組の中では中村俊介選手が世界ジュニアの芽が一番あったのですが、この点差だと三浦選手をどうしても選んでしまう。恨むなら3月の三浦選手が枠を3つ取ってこなかったことを恨むべきでしょうか。中村選手は来シーズン世界ジュニアチャンスが大きくあると思われるので、そこでの活躍に期待です。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア(フリー進出24人)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 宇野昌磨 291.73 136.88 104.41 13.65 23.80 14.99
2 島田高志郎 252.56 124.36 93.25 0.28 22.14 12.53
3 友野一希 250.84 124.93 89.04 1.30 23.01 13.56
4 佐藤駿 249.64 116.47 96.36 4.85 22.10 11.86
5 本草 245.41 122.10 84.55 -0.49 25.27 14.98
6 三浦佳生 242.55 116.48 98.86 -2.89 19.89 12.21
7 森口澄士 241.63 116.53 81.02 14.88 18.35 10.85
8 鍵山優真 237.83 126.96 75.69 -1.72 23.78 14.12
9 壷井達也 221.17 109.39 84.26 -1.81 19.91 11.42
10 吉岡希 220.43 102.07 82.26 5.57 19.81 10.72
11 中村俊介 218.08 105.79 83.37 -0.44 18.64 11.72
12 三宅星南 216.10 113.83 83.14 -11.90 19.96 13.07
13 山隈太一朗 206.25 107.48 62.24 1.30 22.62 12.61
14 大島光翔 202.44 100.40 74.29 -1.17 18.01 10.91
15 佐々木晴也 199.95 99.50 70.54 2.66 18.53 8.72
16 西山真瑚 197.81 111.66 47.46 0.43 23.04 15.22
17 周藤集 190.38 96.69 74.82 -9.66 20.30 10.23
18 垣内珀琉 187.97 89.47 80.20 -6.75 17.38 8.67
19 片伊勢武アミン 185.40 102.56 50.83 -1.51 22.19 11.33
20 櫛田一樹 181.81 94.89 58.15 -0.48 18.31 11.94
21 本田ルーカス剛史 180.87 98.38 66.60 -9.09 17.68 10.30
22 長谷川一輝 179.61 93.65 57.68 -0.38 19.51 10.15
23 田内誠悟 173.60 99.10 39.78 0.85 22.85 11.02
24 須本光希 172.40 99.69 47.66 -2.03 17.35 10.73

PCSはやはりといいますか、宇野選手が136点と平均9点を超えるスコアで断トツです。鍵山選手が状態悪いながらもPCSは稼いで2番目。友野選手と島田選手が124点台で3番目4番目で続きます。佐藤駿選手はこのPCSの差が痛いです。森口選手は佐藤駿選手、三浦佳生選手といったグランプリファイナル組をPCSでは上回りました。他、アイスダンサーの西山真瑚選手も111.66と順位比で見て高いPCSを稼ぎだしています。

ジャンプの基礎点は宇野選手のみ100点超え。2番手に三浦佳生選手、3番目に佐藤駿選手とジャンプイメージの選手が続きます。島田選手が4番目、ジャンプのイメージは強くないですが今回は基礎点削られるジャンプミスは最後のフリップくらいだったことで高めの基礎点になりました。山本選手はショートのサルコウが丸々なくなってしまったことで基礎点を稼げていません。

ジャンプの加点はなんと森口選手がトップです。ノーミスは強い。宇野選手が2番目でここまでが二桁。3番目が吉岡希選手で5.57なので、ジャンプのGOEの差はやはり大きく出ます。三浦選手はフリー後半で追い上げはしましたがトータルのジャンプGOEはマイナスでした。

スピンは山本草太選手が25.27でトップでした。宇野選手、鍵山選手が2番目3番目ですが23点台ですのではっきり差があります。4番目に西山選手も23点台で入っています。三浦選手はスピン19点台。グランプリファイナルではせっかく23点台まで出せているのに全日本ではまた悪い癖が出てしまいました。

ステップは西山真瑚選手が全体トップの15.22です。さすがアイスダンサー。宇野選手、山本選手と続きます。佐藤駿選手はステップ系要素で11.86 ステップでしっかり点が取れれば表彰台に乗れたのですが、残念でした。

 

次回へ続きます。