ジュニアグランプリファイナル22 女子シングル展望

グランプリシリーズが終わったので次はファイナル。ファイナルはジュニアシニア同時開催です。ファイナル進出選手もすべてそろいましたので、展望を見ていこうと思います。

シニアジュニア男女の4カテゴリー、それぞれ追っていきます。今回はまずジュニアの女子シングルからです。

 

○今季の成績

Event Name Nation Total SP FS
JGP Gdansk Mao SHIMADA JPN 217.68 68.81 148.87
JGP Ostrava Mao SHIMADA JPN 212.65 71.49 141.16
JGP Egna Hana YOSHIDA JPN 208.31 66.89 141.42
JGP Gdansk2 Ami NAKAI JPN 205.90 69.00 136.90
JGP Egna Chaeyeon KIM KOR 203.94 70.29 133.65
JGP Courchevel Hana YOSHIDA JPN 203.52 66.56 136.96
JGP Gdansk Chaeyeon KIM KOR 195.46 67.61 127.85
JGP Gdansk2 Jia SHIN KOR 194.69 63.72 130.97
JGP Riga Jia SHIN KOR 194.68 70.41 124.27
JGP Ostrava Minsol KWON KOR 189.37 62.73 126.64
JGP Gdansk2 Minsol KWON KOR 186.63 66.81 119.82
JGP Riga Ami NAKAI JPN 185.62 63.87 121.75

ジュニアグランプリシリーズ以外にシニアの試合に出ている選手もいますが、ここではジュニアグランプリ2戦の成績を載せます。

島田麻央選手が2戦とも210点を超えるスコアでトップです。それに次ぐのが吉田陽菜選手。中井亜美選手が3番手と日本勢が続きます。ただし中井亜美選手は悪い方の試合ではエントリー選手6人の中で1番悪いスコアとなっています。韓国勢ではキムチョン四選手が203.94と200点を超えています。シンジア選手は昨シーズンの世界ジュニアで2位表彰台。その時は206.01を出した実績がありますが今シーズンはまだ200点をだしていません。

ほとんどの選手が1戦目より2戦目の方がスコアを上げています。例外はクォンミンソル選手くらいです。3戦目にあたるファイナルでそれぞれスコアを上げてくることができるでしょうか?

 

ショートプログラムの構成

  Mao
SHIMADA
Hana
YOSHIDA
Ami
NAKAI
Chaeyeon
KIM
Jia
SHIN
Minsol
KWON
1 3Lo 2A 2A 3Lz+3T 3Lz+3T 3Lo
2 2A 3Lz!q+3T 3Lz+3T 2A 2A 2A
3 LSp4 FCSp4 FCSp4 FCSp4 FCSp4 FCSp4
4 3Lz+3T 3Lo CCoSp4 3Lo 3Lo 3F+3T
5 FCSp4 StSq4 3Lo StSq4 StSq4 LSp4
6 StSq4 SSp4 StSq4 CCoSp4 CCoSp4 StSq4
7 CCoSp4 CCoSp4 LSp4 LSp4 LSp4 CCoSp4
Base 32.61 31.89 32.09 32.09 32.09 31.95
GOE 9.23 5.06 7.17 8.36 8.26 6.46
PCS 29.65 29.94 29.74 29.84 30.06 28.40
Total 71.49 66.89 69.00 70.29 70.41 66.81

技術点が高かった試合の方のショートプログラムの構成です

普通に全員スピンステップすべてレベル4 ジュニアでステップレベル4はなかなか取れないという時代もありましたが、現代はそうでもなくなってきています。

ジュニアは単独トリプルアクセルショートプログラムに入れられないのでジャンプ構成での差は付きにくいです。コンビネーションを1.1倍に入れている島田麻央選手の基礎点が高くなります。クォンミンソル選手も1.1倍にコンビネーションなのですが、ルッツではなくフリップなので基礎点は落ちます。単独ジャンプはルールとして全員固定でループになります。ジュニアはコンビネーションのリカバリーがルール上ほぼ不可能なので、最後のジャンプをコンビネーションにするリスクは最初に飛ぶのと体力面以外では変わりません。吉田選手と中井選手が冒頭ダブルアクセルなのは、全日本などシニア構成でトリプルアクセル組む前提でプログラムを変えたくないためでしょう。

トップジュニアは基礎点32.09になりがちですが吉田陽菜選手はシットスピンで基礎点が下がる分31.89になっています。ただ、基礎点は32.61から31.89までに6人収まっているわけで、ほとんど差がなく、出来栄えで順位が決まっていくという構図です。70点台が何人出るでしょうか?

 

○フリーの構成

  Mao
SHIMADA
Hana
YOSHIDA
Ami
NAKAI
Chaeyeon
KIM
Jia
SHIN
Minsol
KWON
1 3A 3A 3A 3Lz+3Tq 2A 3F+3T
2 4Tq 2A+3T 3Lz+3T 3Lo 3Lo 3Lo
3 3Lz+3T 3Lo 3Lo+2A+SEQ 3S 1S 3F
4 FSSp4 CCoSp4 FSSp4 2A 3F+2T+2Lo 2A
5 3F+2A+SEQ SSp4 2A FCCoSp4 FCSp4 FCCoSp3
6 ChSq1 3F! 3F!+1Eu+3S 3F!+2A+SEQ 3Lz+3T 2A+3T
7 3S+3T+2T 3Lz+3T CCoSp4 3Lz+2T+2Lo 3F+2A+SEQ 3Lz!+2T+2Lo
8 3Lo FCCoSp4 3Lo 3F! 3Lz 3S
9 3Lz 3Lz 3Lz FCSp4 CCoSp4 ChSq1
10 CCoSp4 ChSq1 LSp4 ChSq1 ChSq1 FCSp4
11 LSp4 3S+2A+2T<+SEQ ChSq1 CCoSp4 FCCoSp4 CCoSp4
Base 71.06 65.30 64.79 60.88 57.16 58.47
GOE 14.39 11.85 12.06 10.03 12.69 9.25
PCS 63.42 64.27 60.05 62.74 61.12 58.92
Total 148.87 141.42 136.90 133.65 130.97 126.64

続いてフリー。技術点が高かった方の試合の構成を載せています。基礎点はもう一試合の方が高かったけどGOEが低かったというケースがある場合もあります。

基礎点は高難度ジャンプを持つ日本勢が明らかに高く、2本入っている島田麻央選手がその中でも突出しています。吉田選手、中井選手はトリプルアクセル2本構成を取る選択肢もありますがそれをここでぶつけてくるかどうか。ただ、そこまで行っても島田麻央選手の方が基礎点は高くなります。

GOEは5人が二桁稼ぎます。この試合の島田麻央選手は高難度2本着氷していますが、他の試合では着氷は1本まで。1本でも微妙ですが、2本とも転倒した場合はおそらく勝てません。それくらいのプレッシャーを与える構成・実績をまわりの選手も持っています。

PCSは吉田選手が島田選手の上を行きます。トリプルアクセル2本構成でノーミス勝負をするといい勝負くらいかもしれません。中井選手はPCSが少し落ちるのでトリプルアクセル2本構成でもノーミス勝負なら少し負けます。高難度ジャンプ含め日本勢にミスが出るとしっかりと加点を稼ぐ力のある韓国勢にもチャンスが出てきます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Mao SHIMADA 217.68 93.77 78.17 11.37 25.63 8.74
Mao SHIMADA 212.65 92.36 76.27 9.09 26.14 9.79
Hana YOSHIDA 208.31 94.21 71.59 9.19 23.24 10.08
Ami NAKAI 205.90 89.79 71.38 11.09 23.93 9.71
Chaeyeon KIM 203.94 92.58 66.47 9.36 25.83 9.70
Hana YOSHIDA 203.52 94.42 71.88 3.96 23.04 10.22
Chaeyeon KIM 195.46 88.97 65.74 8.72 23.90 8.13
Jia SHIN 194.69 91.23 62.75 9.32 25.36 7.03
Jia SHIN 194.68 90.72 63.46 7.25 25.07 9.18
Minsol KWON 189.37 84.58 64.42 8.60 22.38 9.39
Minsol KWON 186.63 87.14 63.10 4.87 22.81 9.71
Ami NAKAI 185.62 86.46 62.80 6.72 22.20 7.44

ジュニアグランプリ2戦でのショートフリー合わせたそれぞれの選手の要素別スコアです。

PCSは吉田陽菜選手が2戦とも94点台でトップです。島田麻央選手がそれに続き、シンジア選手が3番手。中井選手は吉田選手や島田選手とPCSでいい時でも3~5点のビハインドを負うのはちょっとつらいところ。

ジャンプの基礎点は日本勢が70点を超えていて島田麻央選手は70点台後半です。韓国勢は60点台中盤まで。ジャンプのGOEは島田選手と中井選手は二桁に達したことがあります。吉田選手はコンビネーションで削られることが多く二人より少し劣ります。

スピンは島田選手が26点台を持っていてシンジア選手やキムチェヨン選手の25点台も十分強いです。吉田選手中井選手は23点台までで少しここで差が出ます。

ステップ系要素は吉田選手だけ二桁に乗り島田選手中井選手は9点台までです。島田選手は意外とこのステップでミスをすることが全日本ジュニアでもそうですがあります。

 

ジュニアの女子シングルは日韓3vs3決戦。特に日本勢の構成レベルが高く、もしかしたらシニアの優勝スコアをジュニアが超えてしまうのではないか、あるいは表彰台ラインがジュニアの方が高くなるのではないか、ということが心配されるような状況です。全日本ジュニアを勝った島田麻央選手がここもタイトルを持っていくのか。全日本ジュニアをスキップしてスケジュール的には少し余裕があった吉田陽菜選手が勝つか。あるいは世界ジュニア2枠目に入りたい中井亜美選手がここで大きなタイトルを掴むのか? 韓国勢も甘くはないと思いますが、大変期待されるジュニアグランプリファイナルとなります。