ジュニアグランプリファイナル22 男子シングル展望

前回のジュニア女子に続いて今回はジュニアの男子の展望です。

 

○今季の成績

Event Name Nation Total SP FS
JGP Gdansk2 Takeru Amine KATAISE JPN 234.24 79.06 155.18
JGP Riga Nikolaj MEMOLA ITA 225.76 83.04 142.72
JGP Gdansk2 Robert YAMPOLSKY USA 223.06 77.39 145.67
JGP Ostrava Nozomu YOSHIOKA JPN 219.68 72.03 147.65
JGP Courchevel Shunsuke NAKAMURA JPN 219.65 77.68 141.97
JGP Ostrava Nikolaj MEMOLA ITA 214.11 71.56 142.55
JGP Egna Lucas BROUSSARD USA 211.14 74.79 136.35
JGP Egna Shunsuke NAKAMURA JPN 211.01 73.61 137.40
JGP Gdansk Lucas BROUSSARD USA 209.39 69.12 140.27
JGP Egna Takeru Amine KATAISE JPN 201.35 65.56 135.79
JGP Riga Robert YAMPOLSKY USA 196.67 65.05 131.62
JGP Gdansk Nozomu YOSHIOKA JPN 194.63 69.97

124.66

ジュニアグランプリシリーズ以外の国際大会に出ている選手もいますが、ここではジュニアグランプリ2戦の結果を載せています

スコアトップは片伊勢武アミン選手です。234.24が今シーズンのここまでのジュニア全体のトップスコアになります。ただ、連戦となった2戦目は201.35とスコアが伸びていません。安定して高いスコアを出しているわけではなく、盤石感はないです。

スコア2番手にイタリアのメモラ選手が続きます。メモラ選手はシニアチャレンジャーシリーズも出場していて230点台のスコアを出していました。高めのスコアを複数回出せているという点で表彰台確率の高い選手に見えます。

3番目にアメリカのヤンポリスキー選手。ジュニアグランプリは初戦の4位から2戦目で2位に入っての逆転ファイナル進出という立ち位置です。

日本勢が4番目5番目で続きます。全日本ジュニアで勝った吉岡希選手に中村俊介選手。二人ともジュニアグランプリの1戦目で優勝してファイナルを掴みました。

アメリカからもう一人ブルサード選手が入ってきています。ブルサード選手はただ一人2戦2勝なのですが、シーズンベストは一番低いと不思議な構図があります。

 

ショートプログラムの構成

  Takeru Amine
KATAISE
Nikolaj
MEMOLA
Robert
YAMPOLSKY
Nozomu
YOSHIOKA
Shunsuke
NAKAMURA
Lucas
BROUSSARD
1 3A 3A 3A 3A 3A 3A
2 3Lo 3Lo 3Lo 3Lz+3T 3Lo FCSp4
3 CSSp3 FCSp4 CCoSp4 FCSp3 FCSp3 3Lz+3T
4 3Lz+3T 3Lz+3T 3Lz+3T 3Lo 3Lz!+3T 3Lo
5 StSq4 StSq4 StSq4 CSSp4 CSSp4 CSSp3
6 FCSp3 CCoSp4 CSSp4 StSq2 StSq3 StSq4
7 CCoSp4 CSSp4 FCSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp3
Base 36.81 37.61 37.61 35.39 36.61 36.19
GOE 6.58 7.62 4.46 3.36 4.68 2.87
PCS 35.67 37.81 35.32 33.28 36.39 35.73
Total 79.06 83.04 77.39 72.03 77.68 74.79

それぞれの選手の技術点が高かった試合の構成を出しています。基礎点がこれより高い構成だけど、GOEが伸びず技術点はこれより低かったという試合がある選手もいます。

ジュニアのショートプログラムは4回転禁止です。それによりジュニアではショートから大きな差が付きにくくはなっています。

全員冒頭トリプルアクセルを入れ、全員が単独ジャンプは指定なのでループが入り、コンビネーションは全員が3Lz+3Tとなり、ジャンプ構成は同じです。1.1倍にコンビネーションを入れるとか3Loを入れるかの違いだけです。後はスピンステップでレベル4を取れるかで基礎点には差が付きますが、一番高い構成で37.61に対し一番低くて35.39となります。スピンステップのレベル差で2.22の基礎点差が付くのは大きいので吉岡希選手はもう少しスピンステップでレベルを取りたいところではありますが、それを含めても全体の出来栄えでの勝負になるというのがショートの構図です。

PCSはメモラ選手が一人だけ37点台後半まで出していて高めです。吉岡選手とはPCSで4.53の差が出ています。ショートでメモラ選手が抜ける展開があるか? 吉岡選手はショートで離れずついていけるか? いずれにしても70点台は出さないとフリーで苦しくなるかと思います。

 

○フリーの構成

  Takeru Amine
KATAISE
Nikolaj
MEMOLA
Robert
YAMPOLSKY
Nozomu
YOSHIOKA
Shunsuke
NAKAMURA
Lucas
BROUSSARD
1 3A+3T 2A 3A+3T 4T+2T 4T 3T
2 3A 3A+1Eu+3S 3A 3F 3A 3Lo
3 3F 3F! 3Lo 3A CSSp4 2A
4 CCoSp4 3Loq 3S FCSp2 3Lz+3T FCSSp4
5 3Lo CSSp3 CSSp4 3Lo 3F 3F+1Eu+3S
6 3Lz FCSp4 FCSp4 4T 3A+3T 3Lz+3T
7 2A+3T 3A ChSq1 3A+1Eu<<+2S ChSq1 2A
8 3S+2A+2T+SEQ 3Lz!+3Tq 2A ChSq1 FCSp2 CSp3
9 CSSp4 3Lz!+2A+SEQ 3Lz+1Eu+3F! 3Lz+2A+SEQ 3Lz*+1Eu+3S ChSq1
10 ChSq1 ChSq1 3Lz+2A+SEQ CSSp4 3Loq 3Lz+2T
11 FCCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp3
Base 67.93 68.63 68.72 71.10 68.79 56.46
GOE 11.73 3.39 6.42 4.72 2.58 10.55
PCS 75.52 70.53 70.53 71.83 71.60 73.26
Total 155.18 142.55 145.67 147.65 141.97 140.27

フリーもショートと同じように技術点合計が高かった試合の構成を載せています。

こちらは片伊勢武アミン選手がただ一人150点台を出しています。基礎点高めで加点も稼いでPCSもトップです。ただ全日本ジュニアで大崩れしたように、安定感はまだないのでこれがそのままファイナルで出せるかはわからないところがあります。

4回転が構成に入っているのは中村俊介選手と吉岡希選手の2人。ただ中村選手は転倒なので、実質的には吉岡選手のみです。しかも吉岡選手は2本入っています。その関係で基礎点はトップ。ただしセカンド3回転が入っておらず基礎点差があまり拡がっていません。セカンド3回転や3連続のサルコウも3回転で決めてくるようだとショートで順位が下でも一気に逆転していけるだけの構成になっています。

中村俊介選手はこの大舞台で初の4回転を決められるか? あるいは展開次第では4回転無しで手堅くいくという手もあるかもしれません。

ショートでシーズンベストを持っているメモラ選手はフリーの4回転無し。ただしトリプルアクセル組の中では高い基礎点になっていて、これをしっかりミス少なく決めてくれば店はある程度出てきます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Takeru Amine KATAISE 234.24 111.19 78.94 12.66 22.48 8.97
Nikolaj MEMOLA 225.76 112.38 79.28 2.86 21.49 9.75
Robert YAMPOLSKY 223.06 105.85 80.03 4.66 23,57 8.95
Nozomu YOSHIOKA 219.68 105.11 83.29 5.44 18.47 7.37
Shunsuke NAKAMURA 219.65 107.99 81.00 4.49 18.97 8.20
Nikolaj MEMOLA 214.11 105.20 80.34 -1.28 21.27 8.58
Lucas BROUSSARD 211.14 109.45 69.13 3.20 21.04 9.32
Shunsuke NAKAMURA 211.01 102.56 81.55 -0.01 20.64 7.27
Lucas BROUSSARD 209.39 107.56 67.05 6.04 22.08 7.66
Takeru Amine KATAISE 201.35 105.02 71.04 -4.86 23.65 8.50
Robert YAMPOLSKY 196.67 100.10 69.13 -2.84 23.48 7.80
Nozomu YOSHIOKA 194.63 99.54 67.05 2.15 19.13 6.76

PCSは片伊勢選手とメモラ選手が110点台を出せます。吉岡選手はここが105点までで上位2人と少し差が出ます。

ジャンプの基礎点は吉岡選手がトップ。中村選手、メモラ選手、ヤンポリスキー選手も80点台に乗せていて4回転2本分の差は付いていません。片伊勢選手は78.94までで5番手。ただ、僅差なので出来栄えで追いつけるくらいの差ではあります。

ジャンプの加点が片伊勢選手がトップで1人だけ二桁稼いでいます。2番目に構成低めのブルサード選手が6.04稼いでいて吉岡選手が3番目。ジャンプのスコアとしては片伊勢選手の方が吉岡選手より上になります。吉岡選手はセカンド、サードの3回転を入れられるかと全体の出来で伸ばせるかでこの辺のスコアは伸びてきます。

スピンは片伊勢選手が23.65まで出していてトップ、ヤンポリスキー選手も23点台で続きます。中村俊介選手は20点台、吉岡選手は19点台までです。

ステップ系要素はメモラ選手が9.75でトップ、ブルサード選手も9点台があります。片伊勢選手は8点台後半で中村選手は8点台前半まで、吉岡選手は7点台までです。スピンステップで片伊勢選手と吉岡選手は6点ほど差が出る計算です。

 

男子は日本3、アメリカ2、イタリア1の6人。突出した選手がおらず、その日の出来で誰が勝つかが決まる混戦模様に見えます。開催国イタリアの選手が優勝する可能性もある立ち位置で出場してきますので地元パワーの後押しで勝ち切るか? あるいは日本勢がここも勝っていくか。

誰が勝つかは読めませんが、優勝スコアは230点台には乗って来るのかなあ、と思います。これだけいれば誰かはいい滑りをするでしょうきっと、という予想です。

日本勢では全日本ジュニアを優勝した吉岡選手以外の二人は、世界ジュニアの切符を取っていくための一つの過程であり、全日本でシニアコースの選手と対決しないといけない状況の前に、ここで結果を出しておきたいところもあると思います。

3人いますが、表彰台独占、みたいな可能性は低いかな、とは思いつつ、でも3人いると誰かは勝つのではないか、と期待できそうな男子のジュニアになります。