ロシア選手権21プレビュー2

前回の続きです。ロシア女子では2回では終わらず3回目まで続きます

 

○上位選手のショートプログラムシーズンベストの構成

  VALIEVA SHCHERBAKOVA TUKTAMYSHEVA TRUSOVA KHROMYKH
1 3A 2A 3A 2A 2A
2 3F 3F 3Lz+3T 3F 3Lz
3 CCoSp4 FCSp4 FCSp4 CCoSp4 CCoSp4
4 3Lz+3T 3Lz+3T 3F 3Lz+3T 3F+3T
5 StSq4 CCoSp4 StSq3 FCSp4 FCSp4
6 FCSp4 StSq4 LSp4 StSq4 StSq3
7 LSp4 LSp4 CCoSp4 LSp4 LSp4
Base 37.71 33.01 36.10 33.01 32.35
GOE 12.26 8.59 9.79 9.20 7.20

ショートプログラムからワリエワ選手が基礎点、GOE共に最高点です。これ以上基礎点を上げるにはセカンドジャンプをトリプルループにする以外方法はありません。そんな彼女もフィンランディア杯ではトリプルアクセルをダウングレードで転倒していましたので、トリプルアクセルに関しては絶対盤石なわけではなさそうではあります。

トリプルアクセルが入っているのはもう一人トゥクタミシェワ選手。ステップがレベル3になったこととコンビネーションが1.1倍ではないこと、あとなぜかこの試合ではトリプルフリップも時間的に前半扱いで1.1倍にしてもらえなかったことで基礎点がやや低めでした。もう1.1点ほどは基礎点を上げられます。基礎点だけなら37.23が本来標準です。

シェルバコワ選手とトゥルソワ選手は33.01と同点。トリプルアクセル組とはどうしても3点以上の基礎点差がつきます。基本的には4点差がつくというのが標準です。トゥルソワ選手は冒頭をトリプルアクセルに変えるかどうか。

フロミフ選手は1.1倍がルッツではなくフリップなこととステップレベル3により基礎点が少し劣ります。

 

○上位選手のフリーの技術点シーズンベストの構成

  VALIEVA SHCHERBAKOVA TUKTAMYSHEVA TRUSOVA KHROMYKH
1 4S 4F 3A+2T 4Lz 4T+2T
2 3A 3F+3T 3A 3Lo 4T
3 4T+3T 2A 3Lz 2A+3T CCoSp4
4 3Lo ChSq1 3Fq 2A 3Lo<
5 FCSp4 2A FCSp4 CCoSp4 2A
6 ChSq1 FCSp4 StSq4 ChSq1 StSq2
7 4T+1Eu+2S 3Lz+3Lo 2A+1Eu+3S 3Lz+3T 3Lz+3T
8 3F+3T 3F+1Eu+3S 3Lz+2A+SEQ 3F!+1Eu+3S 3F+1Eu+3S
9 3Lz 3Lz 3Lo 3Lz 3Lz
10 StSq4 StSq4 ChSq1 FCSp3 FCSp4
11 FCCoSp4 FCCoSp4 LSp4 StSq3 ChSq1
12 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 FCCoSp4 FCCoSp4
Base 82.77 73.68 67.20 72.01 72.03
GOE 26.25 18.58 13.13 13.67 13.74

これも当然のようにワリエワ選手が基礎点、GOE共にトップです。基礎点が上がる余地はまだあるのですがその辺は後述します。

シェルバコワ選手が基礎点で2番目ですがワリエワ選手とは9.09の差があります。4回転1本でトリプルアクセル無し。ルッツループ持ちなのでコンビネーションに2回転は一つも入らず2回飛ぶジャンプはルッツとフリップということで、四回転1本だけながらここまでの基礎点になっています。

フロミフ選手は四回転が2本入っていますがシェルバコワ選手に基礎点で劣ります。

トゥルソワ選手は四回転一本でフロミフ選手名もに基礎点。スピンステップでレベルを取りこぼしているのでやや基礎点が伸びていないのですがそれでもここまで入ります。エテリ組は図ったように1.1倍のところにセカンド3回転のコンビネーション、3連続でトリプルサルコウ、最後に単独のルッツと入れてきます。コンビネーションを1.1倍に持ってきて高得点化を狙いつつも、コンビネーションのリカバリー用の単独ルッツを最後に置いてリスクヘッジはしておく、ということでしょうか。

トゥクタミシェワ選手が基礎点では他の選手に劣っています。トリプルアクセル2本では基礎点が伸びないのか? というと単純にそういうことだけでもないです。トリプルアクセル1本のコストルナヤ選手(68.08)に基礎点で劣っている。痛いのは3Lz+2Aのシークエンスです。このシークエンス、選択する選手の少なさと本人の技量もあって私は非常に好きなのですが、基礎点としては1.1倍のところに置いてあるにもかかわらず8.10しかもらえません。3Lz+2Tで1.1倍なら7.92ですのでそれと比べて0.18しか基礎点を高くしてもらえない。シークエンスの0.8倍ルールがつらい。トゥクタミシェワ選手はどうもセカンド3Tを付けるのがあまり得意ではないように以前から見受けられます。ショートのコンビネーションも以前は3T+3Tでしたし。ルッツきれいなのですけどそこからトリプルトーループを付けるのは、以前よりはプログラムに入れるようになってきていますが、それでもリスクを感じながらの構成なようです。また、レイバックスピンを構成に入れているのはトゥクタミシェワ選手だけです。これもレベル4で2.70の基礎点と他のスピンよりやや低い。そういったあたりで基礎点が低めになっています。なんというかこのあたりが、トゥクタミシェワ選手はフィギュアスケートというものへのアプローチが他のロシア勢とは違う感じがあって、点を取るための最適構成を追いかける点取りマシーンとしての構成は追い求めないという、悪く言えば甘さ、よく言えば人間的なところがあるように感じます。

 

○上位選手のフリーの最高設定

  VALIEVA SHCHERBAKOVA TUKTAMYSHEVA TRUSOVA KHROMYKH
1 4S 4Lz 3A+2T 4F 4T+2T
2 3A 4F 3A 4S 4T
3 4T+3T 3F+3T 3Lz+3T 2A+3T CCoSp4
4 3Lo ChSq1 3F 4T 3Lo
5 FCSp4 2A FCSp4 CCoSp4 2A
6 ChSq1 FCSp4 StSq4 ChSq1 StSq4
7 4T+1Eu+3S 3Lz+3Lo 2A+1Eu+3S 4Lz 3Lz+3T
8 3F+3T 3F+1Eu+3S 3Lz 4Lz+1Eu+3S 3F+1Eu+3S
9 3Lz 3Lz 3Lo 3Lz+3T 3Lz
10 StSq4 StSq4 ChSq1 FCSp4 FCSp4
11 FCCoSp4 FCCoSp4 LSp4 StSq4 ChSq1
12 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 FCCoSp4 FCCoSp4
Base 86.07 81.88 69.79 96.49 74.31

フリーの最高設定というのは今シーズン組んだフリーの構成で最も基礎点が高くなるものを拾い、そこからスピンステップはレベル4がすべて獲れたものとし、ジャンプも回転不足などなく、抜けもなく、基礎点が満額取れるものとして計算させたものです。

こういう仮計算をさせるとトゥルソワ選手の構成が群を抜いた基礎点になります。96.49というのは今シーズン全体でヴィンセントジョウ選手がスケートアメリカで97.50を出した以外ではこれを上回る構成はありません。四回転4種類5本、それもルッツが2本で1.1倍に入るというスーパー構成でこうなります。万が一これでダブルアクセルトリプルアクセルに置き換えられたら基礎点で100点を超えます。これをノーミス出来ればワリエワ選手にも勝てます。一度見てみたい四回転四種類五本ノーミストゥルソワ。それにしても四回転のルッツを飛んだ直後に同じルッツを三回転で跳べるもんなんですかね。佐藤駿選手だったかな、同じジャンプで四回転と三回転を使い分けるのは難しすぎる、単独とコンビネーションの2本目とかならできるけど、と言っていましたが。

ワリエワ選手はシーズンベストの構成と比べると3連続でサルコウが3回転になる分が違います。というわけでまだあれより上があり得る。

シェルバコワ選手は四回転2本入ると基礎点80点超えます。これをノーミス出来れば代表には入ってこられるでしょう。

フロミフ選手は四回転2本あるものの1種類なので上積みが厳しくマックス構成でも基礎点74.31までです。上位陣を逆転するには上位のミス待ちになる現実はあります。

トゥクタミシェワ選手は70点に基礎点が届いてきません。セカンド3Tを後半のルッツに付ければ基礎点70点までは来ます。それでもノーミス勝負だとちょっと厳しいという現実はある。トーループ2本のフロミフ選手までならショートフリーでトリプルアクセル3本の方が強いです。しかし、四回転がフリップルッツで2本ある上にセカンドループまで持ってくるシェルバコワ選手や、4種類5本という異次元構成のトゥルソワ選手にはちょっと届きようがない。70点近い基礎点を持っているのに基礎点が低い扱いをされてしまう恐ろしい世界がここにあります。