全日本選手権22前に代表選考展望:女子シングル

いつもなら、プレビューという呼び方で今期の戦績とか構成要素とか並べていくわけですが、全日本は代表選考会ということで、ちょっと違う形で、現段階での選考基準がどうなっているかと、それを元に代表に選ばれそうな選手はどのへんか、というのを見ていくということをしようと思います。

今回は女子シングルで、次回に男子シングルと進みます。

 

○世界選手権 女子シングル 3枠

全日本選手権優勝者:未定
②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して1名選考する。

A) 全日本選手権大会2位、3位の選手:未定

B) ISUグランプリファイナル出場者上位2名:三原舞依、渡辺倫果

C) 全日本選手権大会終了時点でのISUシーズンベストスコア上位3名

(島田麻央:217.68) 坂本花織:217.61 三原舞依:217.43 渡辺倫果:213.14

➂以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①②で選考された選手を含め、3名に達するまで選考する。

A) ②のA)B)C)に該当し、②の選考から漏れた選手

B) 全日本選手権大会終了時点でのISUワールドスタンディング上位3名

 坂本花織:1位 三原舞依:4位 渡辺倫果:20位

C) 全日本選手権大会終了時点でのISUシーズンワールドランキング上位3名

 渡辺倫果:4位 三原舞依:5位 坂本花織:6位

D) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会におけるシーズンベストトータルエレメントスコア上位3名

 (島田麻央:123.91) 吉田陽菜:122.44 (中井亜美:116.11) 渡辺倫果:113.47 三原舞依:112.50 ただし全日本選手権も対象大会となる

 

今期はジュニアの島田麻央選手がベストスコアを持っているという異常事態。こんな状態で全日本選手権を迎えるのは2005年の浅田真央さん以来のこと。まさに2代目MAOです。それを横に置くと坂本花織選手、三原舞依選手、渡辺倫果選手、グランプリファイナルに進んだ3人が普通に強いです。ここに名前がない選手は基本的には全日本で表彰台に乗らないと選考対象になりません。ただ、実際には①で1人選ばれた後、その選手を除外して②の選考が始まるという形になるので、シーズンベストで4番目以下の選手もその段階では名前が入ってはくるはずです。ただ、そのシーズンベスト4番目はすでに➂の最後に名前のある吉田陽菜選手です。

表彰台に乗るハードルが島田麻央選手の存在により世界選手権の選考対象年齢の選手にとって上がってしまっているので逆転はだいぶ難しく、坂本、三原、渡辺、3選手が高確率で選ばれそうに見えます。波乱があるとしたらすでに名前がある残りの一人、吉田陽菜選手でしょうか。渡辺選手は大崩れする可能性があるので、その際に吉田選手が表彰台ないしは、島田選手が台に乗っていての4位だと、全日本印象で吉田選手を選ぶ可能性もあるかもしれません。

あとは、この一か月で紀平梨花選手の状態が上がっていた場合、というのも逆転代表の可能性はあるかと思われます。紀平選手が表彰台に乗ってきたときの代表選考は大変難しいものになると思われます。

 

○ワールドユニバーシティーゲームズ 女子シングル3枠

内定済み:坂本花織 三原舞依 住吉りをん

補欠内定:渡辺倫果 江川マリア 山下真瑚

 

四大陸以下の前に先にワールドユニバーシティーゲームズを見ます。以前のユニバーシアードのことです。これは代表がすでに決まっています。驚きの、坂本、三原両選手の選出。日程は1/14から16日。全日本から間2週間をおいての試合です。四大陸までは3週間あるので大会のはしごは可能です。従って、全日本、ユニバーシティーゲームズ、四大陸、世界選手権と出ることも可能ですが、世界チャンピオンとファイナル金メダリストがこれに出るのはほとんど反則です。住吉選手はちょうどこれくらいの大会を目標とするのにいい立ち位置にいる選手だと思います。補欠の選手くらいの位置の選手の出る試合だと思うんですよね。結果的に渡辺選手は今季飛躍しすぎて役不足的ですが、昨シーズン中止になったこともあって出たい気持ちはわかる。このレベルの試合に坂本選手と三原選手はオーバースペック過ぎて、ちょっと中堅選手たちの活躍の場を奪ってしまっているように感じます。これに出るから四大陸の方は出ないです、ということであれば、それはそれでまあありかな、とは思いますが・・・。ということで、この試合に坂本選手、三原選手が選ばれていることが四大陸の代表選考にどう影響するかが気になっています。

 

四大陸選手権 女子シングル3枠

全日本選手権大会終了時に、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。

A) 全日本選手権大会10位以内:未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位6名

 坂本花織:1位 三原舞依:4位 渡辺倫果:20位 (樋口新葉:21位) 松生理乃:24位 河辺愛菜:25位 住吉りをん:41位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位6名

 渡辺倫果:4位 三原舞依:5位 坂本花織:6位 河辺愛菜:14位 住吉りをん:21位 (島田麻央:22位) 紀平梨花:25位

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位6名

 (島田麻央:217.68) 坂本花織:217.61 三原舞依:217.43 渡辺倫果:213.14 吉田陽菜:208.31 (中井亜美:205.90) 千葉百音:205.82 河辺愛菜:197.41

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会におけるシーズンベストトータルエレメントスコア上位6名

 (島田麻央:123.91) 吉田陽菜:122.44 (中井亜美:116.11) 渡辺倫果:113.47 三原舞依:112.50 千葉百音:111.22 坂本花織:109.55 住吉りをん:101.95 ただし全日本選手権も対象大会となる

 

四大陸選手権は上位選手に出る気があるかどうか、というのがまず大きく影響してきます。ワールドユニバーシティーゲームズに選出されている坂本選手、三原選手が四大陸まで出ることを望むかどうか。他の選手は選ばれれば出るでしょう。渡辺倫果選手はしっかり滑ってくればここには入ってきそうに感じます。

坂本三原両選手が出ない、あるいは協会側が選手をばらけさせたいと二人を外すと、ジュニアグランプリを戦っていた吉田陽菜選手、千葉百音選手が浮上してきます。この2人は世界ジュニアとどちらを選ぶか? あるいは両方出すか? という選択にも迫られる。ジュニアの方で櫛田選手や柴山選手が絡んでこない場合、吉田陽菜選手を濱田先生は両方出すように押すかと思いますが果たしてどうなるか。

また、紀平選手もフィンランドでの状態からすると、間1か月置いて全日本で四大陸の枠を争うくらいのところまでは来るのではないかと思われます。トップ6くらいにまで入ってきたら選んでみたくなる選択肢にも思われます。

あとは、河辺愛菜選手、松生理乃選手、住吉りをん選手というあたりが当然絡んでくる位置にいるのですが、ユニバーシティゲームズの代表になっている住吉選手は四大陸の選考対象として見られるかどうか。国内組からは今季好調の江川マリア選手あたりは絡んでくるかもしれません。

勝手に予想すると、渡辺倫果、吉田陽菜、紀平梨花、という3選手の絵柄がなんとなく浮かびます。

 

○世界ジュニア 女子シングル 2枠

①全日本ジュニア選手権大会優勝者を選考する。:島田麻央
②ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手の中で、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①で選考された選手を含め2名に達するまで選考する。

A) 全日本ジュニア選手権大会2位、3位の選手:千葉百音、中井亜美

B) ISU ジュニアグランプリファイナル出場者:(島田麻央) 中井亜美 吉田陽菜

C) 全日本選手権大会参加者のうち上位3名:未定

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名

(島田麻央:217.68) 吉田陽菜:208.31 中井亜美:205.90 千葉百音:205.82

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1(但し全日本選手権大会を除く)におけるシーズンベストトータルエレメントスコア*2上位3名

(島田麻央:123.91) 吉田陽菜:118.15? 中井亜美:116.11 千葉百音:111.22

シニアの試合からはステップ要素を引く、とだけあるのですが、ショートのステップも引くの? という疑問があって、吉田陽菜選手の118.15はシニアルールの西日本で出したもので、フリーのステップだけ引いたスコアとして記しているので?付きです。ショートも引くとジュニアグランプリで出した114.10を下回るのですが、いずれにしても上位3名の中には入ります。

 

世界ジュニアは残り1枠ですがこれが難しい。千葉百音選手、中井亜美選手、吉田陽菜選手の三つ巴が見えますが千葉選手、吉田選手は四大陸や世界選手権がありえる。世界選手権と世界ジュニアの両方選出は無いと思われるので、表彰台に乗るレベルまでいい結果を出すと世界ジュニアの方に選ばれない可能性が高い。四大陸と世界ジュニアの両方選出はなくはない。濱田先生ならそれを押しそう。そして、シニアコースの10代選手もいるので、上記選考基準に名前が全くない選手も絡んできます。

有力どころでは松生理乃選手、河辺愛菜選手、住吉りをん選手がいますが、オリンピックにまで出た河辺選手を出戻り世界ジュニアはちょっと出しにくい。しかしながら、松生選手は全日本ジュニア優勝経験があるのに世界ジュニアに出たことがないという試合運の無さもあるので、条件が合えば世界ジュニアの代表には入って来るでしょう。ただ、今期の成績で見て、吉田、千葉、中井3選手の方がそれらの選手より上です。昨年の渡辺倫果選手のようないきなり大化けする選手、例えば江川マリア選手あたりが出てくると分かりませんが、3人の勝負というのが順当なところと思われます。ただし、柴山歩選手、櫛田育良選手は一発逆転を当然狙っているとは思います。

 

次回、男子シングルへ続きます。