全日本選手権23前に代表選考展望男子シングル

前回の女子に引き続いて今回は男子シングルの代表選考展望です

 

1.世界フィギュアスケート選手権大会

全日本選手権大会優勝者を選考する。 :未定

 

②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して1名選考する。

A) 全日本選手権大会 2 位、3 位の選手    未定

B) ISU グランプリファイナル出場者上位 2 名  宇野昌磨 鍵山優真 / 三浦佳生

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 3 名

宇野昌磨 297.34 鍵山優真 288.65 三浦佳生 274.56 / 佐藤駿273.34 友野一希 265.78 山本草太 258.42

 

③以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①②で選考された選手を含め、 3 名に達するまで選考する。

A) ②の A)B)C)に該当し、②の選考から漏れた選手  未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位 3 名

宇野昌磨 2位 三浦佳生5位 友野一希8位 / 佐藤駿10位 鍵山優真12位 山本草太14位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位 3 名

鍵山優真3位 三浦佳生4位 宇野昌磨8位 / 佐藤駿9位 山本草太12位 友野一希13位

D) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1における 総合得点の最も高い 2 試合*2の平均得点の上位 3 名

宇野昌磨291.95 鍵山優真288.52 佐藤駿279.11 / 三浦佳生271.19 友野一希258.87 山本草太252.00

 

男子は今の時点で選考基準に名前が入っているのは宇野昌磨、鍵山優真、三浦佳生、友野一希、佐藤駿、5選手です。②の段階で名前が入っているのは宇野選手、鍵山選手、三浦選手の3人。仮にこの3人の誰かが優勝した場合、佐藤駿選手の名前が入ってきて②の選考が全日本2位3位の選手と合わせて行われます。山本草太選手は上位2人が決まれば、シーズンランキングで名前が入ってきますが、あとから足されるにしてもそれしかありませんので少し苦しいです。

全項目に宇野選手の名前があり、シーズンランキング以外は1位です。鍵山選手は昨季欠場した分世界ランキングが入っていませんが他の項目はすべて入っています。三浦選手はファイナルの上位2名と2試合平均の2項目で入ってきていませんが、どちらも次点です。

この3選手が現状は圧倒的優位と思われます。特に宇野選手、鍵山選手は非常に高い水準で結果を出していますので表彰台に乗れば確実、4位あたりでも選出されそうです。

逆転があるとしたら、リストに名前のある佐藤駿選手、友野一希選手に可能性があるでしょうか。佐藤駿選手の方が4番目の項目が多く、自分が表彰台に乗ってくれば三浦選手とほぼ変わらない選考ラインに乗れそうですので、佐藤駿vs三浦佳生、というのが1つ注目されるところになります。友野選手は逆転するには佐藤選手より上でかつ、三浦選手と少し大きな差をつけて表彰台に立つ、というのが求められるでしょうか。山本草太選手はこの選考基準を見る限りだとだいぶ苦しく見えます。島田高志郎選手や壷井達也選手、あるいは吉岡希選手もグランプリシリーズに出ていますが、選考基準に引っ掛かる項目が何もなく、全日本表彰台だけだと難しそうです。

 

2.四大陸フィギュアスケート選手権大会

 

全日本選手権大会終了時に、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。

A) 全日本選手権大会 10 位以内 未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位 6 名

宇野昌磨 2位 三浦佳生5位 友野一希8位 佐藤駿10位 鍵山優真12位 山本草太14位 / 島田高志郎27位 吉岡希30位 壷井達也49位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位 6 名

鍵山優真3位 三浦佳生4位 宇野昌磨8位 佐藤駿9位 山本草太12位 友野一希13位 / (中田璃士23位) 島田高志郎31位 吉岡希37位 (蛯原大弥42位) 中村俊介56位

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 6 名

宇野昌磨 297.34 鍵山優真 288.65 三浦佳生 274.56 佐藤駿273.34 友野一希 265.78 山本草太 258.42 / 島田高志郎247.43 吉岡希233.56 (中田璃士227.77) 壷井達也216.98

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1における 総合得点の最も高い 2 試合*2の平均得点の上位 6 名

宇野昌磨291.95 鍵山優真288.52 佐藤駿279.11 三浦佳生271.19 友野一希258.87 山本草太252.00 / 島田高志郎232.94 吉岡希226.92 (中田璃士225.06) 壷井達也216.80

 

4大陸選手権の代表は、毎年そうですが、世界選手権の代表と何人重複させるか、というのが1番大きなポイントになるかと思います。宇野選手はこれまでのふるまいを見ていると出ない選択をしそうです。他に4大陸のタイトルを持っているのは三浦佳生選手ですが、こちらは出られるなら出るという選択をしそうに見えます。その辺、どこまで本人の意思で決められるのかどうか。最初から代表の割り当ては分散させる、という方針があれば、世界選手権の代表になった選手が4大陸の代表と1人しかかぶらない、というようなこともあるかと思われます。

今期の戦績を見ると、宇野選手は出ないとして、鍵山選手、三浦選手、佐藤選手、友野選手、山本選手の5人の中から、世界選手権と1人か2人重複しつつ3人選ばれる、ということになりそうに感じます。島田高志郎選手は、すべての項目で次点ですので、全日本で好成績ならば逆転で滑りこみもありそうです。また、他の選手もミニマムを持っている選手は全日本表彰台に乗れば、世界選手権は実績足りずに選ばれなくても4大陸なら選出されると思われます。つまり、壷井選手も吉岡選手もそこまで行けばチャンスがありそうです。

男子は女子と比べてジュニアが躍進してシニアの試合に選出されるというのが難しいですが、中村俊介選手は上位に上がってくる可能性はありそうです。しかしながら、中村選手はシニアのミニマムを何も持っていません。従って、表彰台に乗っても4大陸の選手はありません。昨季ジュニアでB級大会に出ていましたが、シニアに出ていれば、こういうところでチャンスがあったのですが、今期は世界ジュニア1本で行くことがほぼ確定となります。

 

3.世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会

①全日本ジュニア選手権大会優勝者を選考する。

 中村俊介

②ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手の中で、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、 上記①で選考された選手を含め 3 名に達するまで選考する。

A) 全日本ジュニア選手権大会 2 位、3 位の選手

 中田璃士 周藤集

B) ISU ジュニアグランプリファイナル出場者

 中田璃士

C) 全日本選手権大会参加者のうち上位 3 名 未定

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 3 名

 (三浦佳生274.56) 中田璃士227.77 (中村俊介214.67) 蛯原大弥207.17 垣内珀琉200.82 / 田内誠悟177.85 西野太翔175.90

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1 におけるジュ ニアカテゴリーの総合得点の最も高い 2 試合*3の平均得点の上位 3 名

中田璃士225.06 (中村俊介213.55) 垣内珀琉199.40 蛯原大弥198.28 / (森本涼雅191.28) 西野太翔188.90 田内誠悟186.52 高橋星名186.46 (朝賀俊太朗183.94) 周藤集183.18

 

世界ジュニアは今季は男子も3枠あります。1枠目は全日本ジュニア優勝の中村俊介選手で確定です。残り2枠。

中田璃士選手は事実上内定と言ってよい成績を残しているように見えます。全日本ジュニアで負けた以外はすべての選考項目で実質的に1位です。よほど全日本で大崩れしない限り選出されると思われます。

問題は3枠目。近年は毎年みられるシニアからの出戻りですが、今期は権利としてありえるのは三浦佳生選手くらいかと思われます。これはさすがに、世界ジュニア1度勝っている選手を出戻りでまた出すというのは無いのではないかと思われます。そうなってくると一般ジュニア勢にチャンスが回って来る。これが、大混戦状態です。

全日本ジュニア表彰台は周藤集選手ですが、今期ジュニアグランプリは大失敗してシーズンベストは165.24と今季の男子ジュニアで最下位。2試合平均も、東日本ジュニアで失敗していることもあり9番目です。ではシーズンベストの高い蛯原選手はどうかというと、全日本ジュニアは7位に沈みました。2試合平均はジュニアグランプリ2戦は良かったので3番手につけています。その蛯原選手を上回る2試合平均をもつのが垣内選手でシーズンベストも選考対象の中では3番目。全日本ジュニアは4位でした。

おそらくこの3人の争いかな、と思われます。ただ、全日本の順位だけならこの3人より上に来る選手がいてもおかしくありません。全日本ジュニアでは5位西野選手が195.71 6位田内選手が195.19 このあたりは表彰台の周藤選手と6点差以内のところにいます。田内選手は2人目の代表が決まったところで、Dの項目で選考リストに乗るはずです。田内選手がまだ決めることが出来ていない挑戦中のトリプルアクセルを全日本で決めてきたら、一発で逆転するような点差です。そんなことが起きた場合に誰を選ぶのか。

大混戦の世界ジュニア3枠目争いとなります。

 

今期はユースオリンピックもありますがそちらは代表決定済みです。ワールドユニバーシティゲームズは来シーズンになりますが、こちらはまず全日本ジュニアの10位以内の選手はリストに乗り、次いで今回の全日本で24位以内に入ればリストに乗ります。まあ、ある程度実績ある選手の中から希望する選手を選ぶ、ということであまり関係ないでしょうか。

 

あとは強化選手入りやシーズン後半のB級大会の出場権の配布というのも全日本の順位で決まってきそうですが、この辺は今一つ基準がしっかりと明示されていません。

何でもかんでも詰め込みすぎな感じのする全日本ですが、それだけに、1人1人の滑り、得点が出るたびに、いろいろなものが変化していくので目が離せません。