全日本選手権22 女子レビュー3

全日本選手権のレビュー続き。今回は女子シングルの個別要素編です。

 

○4回転トーループ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 住吉りをん 1 4Tq q 9.50   -2.31 7.19 -2.333
FS 島田麻央 2 4T< < F 7.60   -3.80 3.80 -5.000

今大会4回転を構成に入れた選手は2人。住吉りをん選手はqでGOEはマイナスですが立ちました。全日本で4回転トーループを転倒無く降りたのはこの住吉りをん選手が初になります。スコア7.19入れば4回転を構成に入れた価値が十分あります。

島田選手はアンダーローテーションの転倒でした。今シーズン成功率が低いのが心配です。

 

トリプルアクセル

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 中井亜美 1 3A+3T   12.20   1.94 14.14 2.444
FS 中井亜美 3 3A   8.00   0.11 8.11 0.222
FS 渡辺倫果 1 3Aq q 8.00   -0.34 7.66 -0.222
FS 吉田陽菜 1 3A   8.00   -1.83 6.17 -2.111
SP 吉田陽菜 1 3Aq q 8.00   -2.86 5.14 -3.667
SP 渡辺倫果 1 3A<< << 3.30   -1.65 1.65 -4.889
SP 中井亜美 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
FS 島田麻央 1 3A< <  F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
FS 河辺愛菜 1 3A< <  F 6.40   -3.20 3.20 -5.000

トリプルアクセルを構成に入れたのは5人。GOEプラスの成功があったのは中井亜美選手1人だけでした。最高評価は3A+3Tというコンビネーションになっています。中井選手が公式戦でコンビネーションのトリプルアクセルを決めたのは初ですし、2本決めたのも初です。全日本でフリーの中で2本のトリプルアクセルを決めたのは、浅田真央さんに次いで2人目ということになるはずです。

渡辺倫果選手はフリーのアクセルはプラスマイナスゼロ程度のもので希望が持てるスタートでした。ショートはダウングレードです。

吉田陽菜選手はGOEマイナスでショートフリー共に降りています。良くはないですがこれくらいならどちらもダブルアクセルを入れるよりも価値としてプラスです。

島田麻央選手、河辺愛菜選手はアンダーローテーションの転倒となりました。

 

○セカンド3Lo

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 青木祐奈 2 3Lzq+3Loq q 10.80   -1.43 9.37 -2.333
SP 青木祐奈 1 3Lz!q+3Lo< ! 9.82   -2.95 6.87 -4.889

セカンドジャンプにトリプルループを入れているのは青木祐奈選手1人だけです。ショートではアンダーローテーションとなりスコアを稼げませんでしたがフリーはqまでで基礎点は満額入りました。実際にはセカンド3Tが苦手で3Loにしている部分があるので、スコア的メリットはないのですが、一つの特徴だと思いますので、このまま続けてきれいに決める姿を見せていただけたらと思います。

 

○3連続ジャンプでGOEプラス

Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
坂本花織 9 2A+3T+2T   9.68 X 1.50 11.18 3.556
青木祐奈 1 2A+1Eu+3F   9.10   1.59 10.69 3.111
島田麻央 7 3S+3T+2T   10.78 X 1.04 11.82 2.444
中井亜美 7 3F+1Eu+3S   11.11 X 1.14 12.25 2.111
江川マリア 3 2A+3T+2T   8.80   0.72 9.52 1.778
河辺愛菜 2 3Lz+3T+2T   11.40   1.01 12.41 1.667
櫛田育良 6 3Lo+2T+2Lo   8.69 X 0.77 9.46 1.556
柴山歩 9 2A+2T+2Lo   6.93 X 0.47 7.40 1.444
三原舞依 9 3Lo+2T+2Lo   8.69 X 0.63 9.32 1.333
松原星 7 3S+3T+2T   10.78 X 0.49 11.27 1.111
野比 8 2A+1Eu+2S   5.61 X 0.38 5.99 1.111
村上遥奈 9 2A+2T+2Lo   6.93 X 0.14 7.07 0.556

3連続ジャンプはフリーで1度だけ入る要素です。GOEプラスになったのは全体の半分の12人います。最高評価は坂本花織選手。これで勝ち確定というような3連続でした。今大会大躍進の青木祐奈選手も+3を超える高い評価を受けました。3つ目にフリップを入れたのは全選手の中で青木選手のみです。

基礎点最大の3連続を組んだのが河辺愛菜選手。3Lz+3Tに2Tまでセットで付けて前半で3連続を終わらせるという戦術でGOEもプラスをもらっています。中井亜美選手はトリプルアクセル2本というのを生かして、余るサルコウを3連続の3つ目にしっかり使う構成を作りこれも高い基礎点になっています。

3連続をどういう構成でどの位置で組むか、というところは選手によってさまざまあるようです。

 

○セカンド3回転で平均GOE+2.000以上

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 坂本花織 5 3F+3T   10.45 X 1.97 12.42 3.778
FS 坂本花織 9 2A+3T+2T   9.68 X 1.50 11.18 3.556
FS 坂本花織 7 3F+3T   10.45 X 1.82 12.27 3.444
SP 三宅咲綺 1 3T+3T   8.40   1.44 9.84 3.444
SP 島田麻央 4 3Lz+3T   11.11 X 1.69 12.80 2.889
FS 山下真瑚 1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.889
FS 中井亜美 1 3A+3T   12.20   1.94 14.14 2.444
FS 島田麻央 7 3S+3T+2T   10.78 X 1.04 11.82 2.444
FS 島田麻央 3 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.444
SP 千葉百音 2 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.333
SP 横井ゆは菜 1 3S+3T   8.50   1.04 9.54 2.333
FS 三原舞依 7 2A+3T   7.50   0.96 8.46 2.333
FS 吉田陽菜 2 2A+3T   7.50   0.90 8.40 2.222
SP 江川マリア 2 3T+3T   8.40   0.84 9.24 2.000
FS 江川マリア 5 2A+3T   7.50   0.84 8.34 2.000

コンビネーションの2つ目に3回転を入れた評価の高いジャンプを並べています。

上から3つ坂本花織選手が並びました。この辺がやはり強さです。ショートで5位に入って最終グループ入りした三宅咲選手は坂本選手に次ぐ評価を受けました。

島田麻央選手はショートフリーで合計3つをリストに乗せており、高難度2本は失敗したもののコンビネーションでしっかり稼いだことがよく見えます。

これらの中に中井亜美選手はトリプルアクセルからのコンビネーションを入れているという驚愕の事実もありますが、できればショートのコンビネーションからここに入る出来のものが欲しかった部分もあります。

横井ゆは菜選手のショート、山下真瑚選手のフリー、それぞれ冒頭のコンビネーションが高評価。実力者のいい演技が期待された瞬間だったのですが、残念ながら総合成績は伸びてきませんでした。

 

○平均GOE+3.500以上の要素

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 坂本花織 1 2A   3.30   1.65 4.95 4.889
SP 島田麻央 7 CCoSp4   3.50   1.55 5.05 4.222
SP 坂本花織 1 2A   3.30   1.41 4.71 4.222
SP 千葉百音 7 LSp4   2.70   1.16 3.86 4.222
FS 島田麻央 12 LSp4   2.70   1.12 3.82 4.111
FS 島田麻央 11 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
FS 千葉百音 12 LSp4   2.70   1.08 3.78 4.000
SP 坂本花織 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
FS 三原舞依 11 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.889
SP 坂本花織 5 3F+3T   10.45 X 1.97 12.42 3.778
FS 松生理乃 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
FS 坂本花織 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
FS 坂本花織 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.778
FS 青木祐奈 11 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.667
FS 坂本花織 9 2A+3T+2T   9.68 X 1.50 11.18 3.556
SP 三原舞依 6 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
FS 三原舞依 12 FCCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
SP 河辺愛菜 6 StSq3   3.30   1.18 4.48 3.556
FS 紀平梨花 11 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.556
SP 島田麻央 3 LSp4   2.70   1.00 3.70 3.556

高評価要素を出した選手はやはり上位の選手が多いです。坂本花織選手のダブルアクセルがやはり高評価でフリーは9人のジャッジのうち8人が+5をつけ、スコアしては満点扱いとなりました。

GOE+4.000以上ではその他に、千葉百音選手と島田麻央選手のスピンが入っています。

ステップ最高評価は坂本選手のショート、コレオの最高評価は三原舞依選手でした。

その他、松生理乃選手、青木祐奈選手、河辺愛菜選手、紀平梨花選手といった4選手がステップで高評価を受けリストに名を連ねています。

上位選手の中では中井亜美選手、吉田陽菜選手の名前がありません。一つ一つの要素の評価を上げることで、さらに全体のスコアの上積みが出来そうです。

 

女子シングルはここまで。次回は男子シングルの数値編へと移っていきます。