前回の続きです。女子シングルの後半になります。
○島田麻央選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 3A | 8.00 | 2.51 | 10.51 | 3.222 | ||
2 | 4Tq | q | 9.50 | -0.54 | 8.96 | -0.444 | |
3 | 3Lz+3T | 10.10 | 1.52 | 11.62 | 2.667 | ||
4 | FSSp4 | 3.00 | 0.94 | 3.94 | 3.111 | ||
5 | 3F+2A+SEQ | 8.60 | 1.29 | 9.89 | 2.333 | ||
6 | ChSq1 | 3.00 | 1.64 | 4.64 | 3.333 | ||
7 | 3S+3T+2T | 10.78 | x | 0.80 | 11.58 | 1.889 | |
8 | 3Lo | 5.39 | x | 1.26 | 6.65 | 2.444 | |
9 | 3Lz | 6.49 | x | 1.52 | 8.01 | 2.667 | |
10 | CCoSp4 | 3.50 | 1.70 | 5.20 | 4.778 | ||
11 | LSp4 | 2.70 | 1.08 | 3.78 | 4.000 | ||
TES | 71.06 | 13.72 | 84.78 |
4回転トーループにqがついたことでわずかにGOEはマイナス。全要素全ジャッジプラス評価とはなりませんでした。また、トリプルアクセルと4回転トーループの両者成功、とも残念ながら少し言いづらい形になっています。
トリプルアクセルは今季の国際大会で4分の3成功なのですが、4回転トーループの方は、4回飛んでアンダーローテーション2にqが2 qの2回はどちらも立っていて平均GOE-0.444ですのでスコア的には十分なのですが、GOEが0以上の成功という表現にはちょっと入れにくい、みたいな形になっています。
他は完璧。3連続がもう少しGOE欲しいかな、とか贅沢言えばいくらでもありますが、素晴らしい出来でした。
世界ジュニア4連覇へ向けての1シーズン目。まずはしっかり勝利。今季は国際大会無敗、ジュニアカテゴリーの試合無敗で終えることになりそうです。
○中井亜美選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 3A | F | 8.00 | -4.00 | 4.00 | -5.000 | |
2 | 3Lz+3T | 10.10 | 1.60 | 11.70 | 2.778 | ||
3 | 3Lo+2A+SEQ | 8.20 | 0.49 | 8.69 | 0.889 | ||
4 | FSSp4 | 3.00 | 0.77 | 3.77 | 2.667 | ||
5 | 2A | 3.30 | 0.47 | 3.77 | 1.444 | ||
6 | 3F+1Eu+3S | 11.11 | x | 0.83 | 11.94 | 1.556 | |
7 | CCoSp4 | 3.50 | 0.75 | 4.25 | 2.111 | ||
8 | 3Lo | 5.39 | x | 1.05 | 6.44 | 2.111 | |
9 | 3Lz | 6.49 | x | 1.10 | 7.59 | 1.889 | |
10 | LSp4 | 2.70 | 0.73 | 3.43 | 2.667 | ||
11 | ChSq1 | 3.00 | 1.50 | 4.50 | 3.000 | ||
TES | 64.79 | 5.29 | 70.08 |
トリプルアクセルは転倒でした。国際大会でトリプルアクセルを転倒したのは実は初めてだったりします。GOEプラスの成功ジャンプは1度だけですが、これまでは転倒せずに立てていました。GOEわずかなマイナスくらいで立てていれば2位だったことを考えると結果的にはもったいなかったかもしれません。他の要素はすべてプラス評価をもらっています。
基礎点は64.79で国際大会では3回目。ただ、中井選手の最強構成はトリプルアクセル2本というもう1段上があります。全日本はステップレベル4付で基礎点66.54なのでジュニアルールなら62.64 あれ? という感じですが、これは最後のルッツでコンビネーション付け忘れという痛恨のミスのせい。2Tつけていれば基礎点3.38上げられますので66.02に。さらにはダブルアクセルを付けられれば5.58基礎点上げられるので68.22にまでなります。島田選手と基礎点差が3点未満くらいまで来ますので、そこまで行ければ出来栄え勝負できます。来期のターゲットはそのあたりでしょうか。その前にクープドプランタンに出るようですのでそこでトリプルアクセル2本を試みるかもしれません。
○ショートフリー合わせた要素別のスコア(上位12名)
Pl | Name | Total | PCS | J Base | J GOE | Spin | Step |
1 | Mao SHIMADA | 224.54 | 99.09 | 78.17 | 12.08 | 25.49 | 9.71 |
2 | Jia SHIN | 201.90 | 92.64 | 66.65 | 10.08 | 24.19 | 9.34 |
3 | Ami NAKAI | 197.40 | 90.95 | 71.38 | 4.47 | 22.81 | 8.79 |
4 | Yujae KIM | 193.62 | 88.01 | 68.23 | 4.86 | 22.96 | 9.56 |
5 | Minsol KWON | 191.06 | 90.65 | 63.12 | 5.08 | 23.08 | 9.13 |
6 | Xiangyi AN | 183.94 | 87.65 | 61.61 | 1.19 | 23.93 | 9.56 |
7 | Kimmy REPOND | 180.32 | 88.61 | 61.30 | -0.46 | 22.04 | 8.83 |
8 | Clare SEO | 172.62 | 85.09 | 55.81 | 0.20 | 22.66 | 8.86 |
9 | Inga GURGENIDZE | 172.50 | 81.20 | 67.87 | -0.35 | 18.39 | 7.39 |
10 | Kaiya RUITER | 169.65 | 86.21 | 59.22 | -4.44 | 20.10 | 8.56 |
11 | Lorine SCHILD | 168.35 | 78.62 | 63.20 | -2.12 | 21.15 | 8.50 |
12 | Niina PETROKINA | 167.48 | 86.63 | 52.17 | -2.04 | 22.33 | 8.39 |
島田選手はPCSで99.09という高い評価を受けています。2番手のシンジア選手とも7点近い差をPCSで付けました。
ジャンプの基礎点は島田選手が圧倒。トリプルアクセル入りの中井選手が2番手です。島田選手の78.17は今シーズン全体トップですが、中井選手の71.38でもシニアルールでこれより上に行ったのは四大陸選手権の吉田陽菜選手だけという高い基礎点構成になります。
ジャンプの加点は島田選手とシンジア選手が二桁稼ぎました。ジャンプでちゃんと加点をもらえる選手が上位に入るという構図です。
スピンも島田選手が25.49でトップ。これは本人比では普通程度だったりします。シンジア選手が24点台で続きます。中井選手は22点台。レベルはしっかり取れているのですが加点をもう少し欲しい、という形になります。
ステップ系要素も島田選手がトップですので、今大会は要素別で見てもすべて島田選手が最高評価でした。それに次ぐのがキムユジェ選手とアンシャンイー選手となっていました。
○4回転ジャンプ
Name | Elements | Base | GOE | Scores | AvGOE | ||||
FS | Mao SHIMADA | 2 | 4Tq | q | 9.50 | -0.54 | 8.96 | -0.444 |
今大会回転ジャンプを構成に入れたのは島田麻央選手ただ一人。Qがついていますが見事に降りました。今シーズン4回転は今一つ決まっておらず転倒や回転不足が多かったのですが、大一番でしっかり降りるあたりはさすがです。
○トリプルアクセルを含む要素
Name | Elements | Base | GOE | Scores | AvGOE | ||||
FS | Mao SHIMADA | 1 | 3A | 8.00 | 2.51 | 10.51 | 3.222 | ||
FS | Inga GURGENIDZE | 2 | 3A | 8.00 | 2.29 | 10.29 | 2.889 | ||
FS | Yujae KIM | 1 | 3A | 8.00 | 1.94 | 9.94 | 2.444 | ||
FS | Inga GURGENIDZE | 1 | 3Aq+2T | q | 9.30 | -0.57 | 8.73 | -0.778 | |
FS | Ami NAKAI | 1 | 3A | F | 8.00 | -4.00 | 4.00 | -5.000 | |
SP | Inga GURGENIDZE | 1 | 3A<+COMBO | F | 6.40 | -3.20 | 3.20 | -5.000 |
今大会トリプルアクセルを構成に入れたのは4選手。ショートから入れる大冒険をしたグルゲニゼ選手はフリーでは見事に成功。コンビネーションはqがついてわずかにGOEマイナスですが、2本しっかりと降りました。
キムユジェ選手も見事に成功。島田選手と合わせて3選手が成功しています。
キムユジェ選手とグルゲニゼ選手の2選手は、ISU公認大会での初のトリプルアクセル成功者となりました。これで今シーズンのトリプルアクセル成功者は全体で6選手になります。
ルール変更でジュニア時代が長くなることが確定してからの初の世界ジュニア。今大会は結局上位5選手は来シーズンもジュニアにいる選手となりました。枠が増える日本はともかく、激戦の韓国ジュニアは来年同じ選手が出てくるかはわかりませんが、あと2シーズンくらい同じようないつもの顔ぶれが上位に並ぶ、という可能性もあります。4年間勝ち続けられるか。島田麻央選手、まずは1勝目。長いジュニアが続きます。
次回は男子シングルです。