世界ジュニア24女子シングル2

前回の続きで、世界ジュニアの女子シングル、数値編です。

 

○島田麻央選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   -1.14 6.86 -1.556
2 4T   9.50   2.31 11.81 2.444
3 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
4 FCCoSp3   3.00   0.51 3.51 1.778
5 3F+2A+SEQ   8.60   0.53 9.13 1.000
6 3S+3T+2T   10.78 x 0.68 11.46 1.556
7 3Lo   5.39 x 1.33 6.72 2.667
8 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.556
9 3Lz   6.49 x 1.69 8.18 2.778
10 CCoSp4   3.50   1.60 5.10 4.556
11 LSp4   2.70   1.12 3.82 4.111
  TES   71.06   11.10 82.16  

構成は昨季からほぼ変わっていません、コレオの位置とスピンの種類が1つ変わっているくらいです。

トリプルアクセルは今季転倒無し。ステップアウトありましたが6.86のスコアが入れば普通は十分です。ただ、結果的には4回転転倒していたら負けていた、ということでしたので確率高いアクセルの方はきれいに決めておきたいところではありました。そんな追い詰められての4回転ですが平均GOE+2.444つく過去最高のジャンプを決めました。

意外と中盤のGOEが伸びていません。普段は+1台ではなく2台までは出てくるのですが、このあたりが伸びてきていませんでした。

技術点80点超えは今季ただ1人です。基礎点70点超えもただ1人。ジュニアなのでステップ1つ分シニアよりハンデがあるのですが、それでこの状態です。ステップ入れば技術点85点超えてきます。

ここから基礎点上げるには、割と安定感のあるセカンド3回転をもう1つ後半にするとか、ダブルアクセル余っているので3連続にシークエンスでアクセル2つにして、3-3を2つにする、というあたりは比較的容易にできるかもしれません。

今期も国際大会無敗。ジュニア全勝。あと2シーズンジュニア全勝を続けていけるでしょうか。

 

○シンジア選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   1.08 4.38 3.222
2 3Lo   4.90   1.54 6.44 3.111
3 3S   4.30   0.92 5.22 2.222
4 3F+2T+2Lo   8.30   1.06 9.36 1.889
5 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.111
6 3Lz+3T   11.11 x 1.94 13.05 3.333
7 3F+2A+SEQ   9.46 x 1.51 10.97 2.778
8 3Lz   6.49 x 1.60 8.09 2.667
9 FCSp4   3.20   0.96 4.16 2.889
10 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.667
11 FCCoSp3   3.00   -0.13 2.87 -0.222
  TES   60.56   13.37 73.93  

シンジア選手も昨季から構成変わってきていません。冒頭ダブルアクセルでずっと組んでいるのですが、そのうちこれをトリプルにする可能性はあるのかどうか。

基礎点、技術点、共に島田選手には及びませんが、GOE +13.37はシンジア選手の勝ちでした。今期これより上は坂本花織選手しかいません。基礎点60.56はジュニアで高難度ジャンプ無い構成ではかなり高いものです。ルッツフリップ2本入りで1.1倍も強構成ですのでここまで来ます、スピンレベル4揃えば61.06まで出せて、シニアルールでステップレベル4取ると64.96という基礎点が出せます。

最後のスピンはもったいなかったです。これをしっかり決めていれば技術点は76点近くあったと思われます。ステップ入れば高難度ジャンプ無しでの技術点80点が見えます。

ここ2年の構図だと、シンジア選手と島田麻央選手が宿命のライバル感があるのですが、実際にはたぶんシンジア選手側からするとそうでもない部分が結構あります。まだ来期も2人の勝負をしないといけないわけですが、シンジア選手の方はその次のオリンピックシーズンにはシニアに上がれます。オリンピックで島田選手と対戦することは無く、そこでぶつかるのは坂本花織選手です。点の取り方も坂本選手に近い。あまり人と比べることはしないというような本人談はありますが、韓国チームとしては打倒島田麻央ではなくて、打倒坂本花織としての位置づけにシンジア選手はいそうに見えます。

 

○上薗恋奈選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 3.000
2 3Lo   4.90   1.05 5.95 2.222
3 3F+2T   6.60   1.06 7.66 2.000
4 3S   4.30   0.86 5.16 2.000
5 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.222
6 3Lz   6.49 x 1.69 8.18 2.778
7 3F   5.83 x 1.36 7.19 2.667
8 2A+2A+2T+SEQ   8.69 x 0.71 9.40 2.111
9 LSp4   2.70   0.69 3.39 2.556
10 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.444
11 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
  TES   59.11   12.62 71.73  

全要素全ジャッジプラス評価で全要素+2以上。スピンオールレベル4 ジャンプマーク無しのクリーンシート。完璧でした。ミスが少なく見える選手ですが、ジュニアルールで基礎点59.11までしっかり出したのはこれが初めてです。

ルッツフリップ2本構成でスピンオールレベル4なのですが、シンジア選手より1.45基礎点が下がります。基礎点低めなレイバックスピンが入ることと、1.1倍がやや弱い。高難度無しで勝負するなら1.1倍をもう少し強めたいですが、トリプルアクセル挑戦中という話も聞きますし、そちらへシフトしていくのでしょう。元々トリプルアクセルは名古屋のものでした。

上品な滑りをするけれど、下品代表みたいなクレヨンしんちゃん大好きという上薗恋奈選手。ジュニアグランプリファイナルに続いて表彰台に乗りました。ジュニアはあと3シーズン続きます。長いな。表彰台、上へ上がっていくには来期もまだいるシンジア選手、島田麻央選手を超えていかないといけません。まずは、トリプルアクセルの実戦投入を目指していくシーズンオフになるのかと思われます。

 

○櫛田育良選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lzq+2T q 7.20   -0.42 6.78 -0.778
2 3S+3T   8.50   0.92 9.42 2.111
3 FCCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.667
4 2A   3.30   0.75 4.05 2.222
5 2A F 3.30   -1.65 1.65 -5.000
6 CCoSp4   3.50   0.35 3.85 1.000
7 3Loq F 5.39 x -2.45 2.94 -5.000
8 3Lz+3Tq+2T q 12.54 x -0.84 11.70 -1.333
9 3F   5.83 x 0.61 6.44 1.111
10 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
11 LSp4   2.70   0.85 3.55 3.000
  TES   58.76   0.08 58.84  

ショート3位からの表彰台はならずの櫛田育良選手。中盤の2転倒が痛かったですが、それ以外にもコンビネーションのqで失点しています。基礎点は58.76 スピンもオールレベル4で基礎点削られるミスはなかったです。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。セカンド3T2本使いは難しそうに見えるのですが、基礎点で見るとルッツフリップ2本使いの方が上へ行きます。フリップが苦手そうにも感じられないので、ルッツフリップ2本使いにしてシークエンスのアクセル入れると基礎点を上げることは出来ます。

今回の日本からの代表3選手の中で、唯一、次のオリンピックに間に合う世代です。シンジア選手と同じスケート年齢になります。ただ、フリーの自己ベスト110点台ですと、オリンピック代表争いは難しいでしょうか。国内では120点台を割と出しているので、国際大会より国内の方が力を出す傾向はありそうですが、全日本ではショート落ち。国内に強いというより単に波が激しいと言う方が実態に近いのでしょうか。

来期はまだジュニア。転倒が割と多い、それも種類問わず転倒してくることがあるので、ジャンプの安定感を高めていきたい、というシーズンオフになるかと思います。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア(上位18名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Mao SHIMADA 218.36 95.47 78.15 10.02 25.08 9.64
2 Jia SHIN 212.43 97.19 67.15 14.26 23.75 10.08
3 Rena UEZONO 194.70 89.41 66.20 8.12 22.98 8.99
4 Iida KARHUNEN 186.32 82.69 66.47 8.02 20.83 8.31
5 Ikura KUSHIDA 180.97 86.34 65.35 -0.50 22.46 9.32
6 Anastasia BRANDENBURG 177.36 83.00 63.06 2.69 20.53 9.08
7 Sarina JOOS 174.73 77.88 66.00 2.14 21.30 8.41
8 Sherry ZHANG 174.04 82.47 58.73 2.39 24.66 8.79
9 Stefania GLADKI 173.84 78.10 64.80 0.74 22.39 7.81
10 Lulu LIN 173.71 76.72 63.97 3.01 21.91 8.10
11 Elina GOIDINA 172.89 79.19 65.41 2.44 20.01 7.84
12 Inga GURGENIDZE 172.87 78.69 64.70 1.97 20.98 7.53
13 Maria Eliise KALJUVERE 170.96 80.56 58.08 2.70 21.09 8.53
14 Anthea GRADINARU 170.84 75.00 63.59 3.43 21.64 7.18
15 Yuseong KIM 170.80 80.16 65.77 -4.02 22.86 8.03
16 Yujae KIM 167.84 79.36 61.10 -1.14 22.30 8.22

PCSはシンジア選手が島田選手を上回りました。上薗選手が3番目。上薗選手と島田選手で6.06差があります。櫛田選手が4番目、櫛田選手と島田選手で9.13差。このあたりの差を埋めていきたいところかと思います。

ジャンプの基礎点は島田選手の78.15が圧倒的。当然の今シーズン最高基礎点です。シンジア選手が2番目ですが、8番目の櫛田選手まであまり差がありません。差が付くのは加点の方。シンジア選手は+14.26でこちらは島田選手越え。今季1位のジャンプ加点です。ジャンプのスコアとしては島田選手とシンジア選手で3.24差。それほど大きな差は付きませんでした。上薗選手もショート転倒ありながらも8.12で3番目に続きます。櫛田選手はここがマイナス。ジャンプの安定性がもう少し欲しい、ということになるかと思います。

スピンは島田選手が25.08でいつものごとく1位ですが、26点台を普通に出す選手なので本人比ではそれほど良くは無いです。シンジア選手の23.75も今シーズンワースト。スピンは2人ともいつもより少し伸びなかったです。上薗選手の22.98は自己ベスト。逆説的に、島田選手とのスピンの差が大きいというのもわかります。

ステップ系要素はシンジア選手のみ二桁乗りました。ジュニアで二桁は今季ただ一人です。島田選手の9.64は本人としてはまずまずくらい。上薗選手は9点台出せますので8.99は今一つでした。

 

○4回転ジャンプ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Mao SHIMADA 2 4T   9.50   2.31 11.81 2.444

今大会4回転を構成に入れたのは島田麻央選手ただ一人。これをしっかり決めてきました、4回転トーループの成功が最終的には優勝につながりました。

 

トリプルアクセルを含む要素

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Mao SHIMADA 1 3A   8.00   -1.14 6.86 -1.556
FS Inga GURGENIDZE 2 3A<+COMBO+2T* * 6.40   -2.83 3.57 -4.333
FS Yuseong KIM 1 3Aq F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
FS Yujae KIM 1 3A<< F 3.30   -1.65 1.65 -5.000
FS Inga GURGENIDZE 1 3A<< F 3.30   -1.65 1.65 -5.000

トリプルアクセルを入れたのは4選手。回転十分で降りたのは島田麻央選手のみ。アンダーローテーションでグルゲニゼ選手は降りていて、キムユソン選手はqで転倒、あとはダウングレードの転倒でした。トリプルアクセルは難しい。

 

長いジュニアになってから2シーズン目。昨季の上位5人は全員ジュニアに残ったままだったのですが、続けて出てこられたのは島田選手とシンジア選手の2人だけでした。そしてその2人でまたワンツーです。今期の上位6選手は全員来期もジュニア。同じ顔ぶれが来季も並ぶのか、はたまた入れ替わるのか。有力どころがシニアに上がり始めるのは再来年。女子ジュニアの激戦はまだ続きます。

 

 

次回は男子シングルです。