チャレンジカップ 男子 こちらも両カテゴリー制覇

前回の続きでチャレンジカップの男子です。

 

○ 男子シングル シニア(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Shun SATO JPN 262.20 95.08 167.12
2 Sota YAMAMOTO JPN 245.61 84.72 160.89
3 Matteo RIZZO ITA 228.99 82.85 146.14
4 Aleksandr SELEVKO EST 215.94 78.84 137.10
5 Andrew TORGASHEV USA 215.86 70.33 145.53
6 Mark GORODNITSKY ISR 214.10 77.21 136.89
7 Maurizio ZANDRON AUT 212.94 73.20 139.74
8 Tatsuya TSUBOI JPN 212.34 67.16 145.18
9 Davide LEWTON BRAIN MON 203.04 71.09 131.95
10 Valtter VIRTANEN FIN 196.76 69.91 126.85
11 Mihhail SELEVKO EST 195.53 74.38 121.15
12 Vladimir SAMOILOV POL 190.64 70.90 119.74

4大陸選手権が終わってそれほど間がない中、おそらく今シーズン最後の国際大会になるこの試合に臨んだ佐藤駿選手が優勝しました。ショートは4回転ルッツを決めて国際大会で初の4回転2本成功でパーソナルベスト相当のスコアとなります。フリーは4回転ルッツを決められませんでしたが逃げ切り勝ちです。

世界選手権を控える山本草太選手は2位。ショートフリー共に今シーズンの国際大会のワースト。今一つな出来でした。調整段階といったところでしょうか。大崩れした感じではなく4回転がうまく入りませんでした。

3位にはイタリアのマッテオリッツォ選手。3位表彰台ではありますが、228.99というスコアはリッツォ選手としては低いスコアです。ショートフリー共に組み込んだ4回転ループは決まらず。世界選手権では表彰台まで狙いたいくらいの気分を持っていてもおかしくない位置にいるのですが、ちょっと調子は今は落ちているでしょうか。

アメリカからトルガシェフ選手が5位。全米選手権3位で世界選手権の代表選考に乗っていて、今大会でミニマムスコアを取りに来た選手。20年の世界ジュニア以来3年ぶりの国際大会。これがショートで2転倒とボロボロ。3つ目のコンビネーションで3-3を何とか決めて技術点35.50 何とか34.00のミニマムを超えました。フリーもよくはなかったですがどうにかミニマムスコアは確保して世界選手権の椅子を掴みました。

日本からもう一人壷井達也選手は8位。ショートから2転倒。精彩を欠いていて調子落としていたでしょうか。フリーでは4回転サルコウを1つ目は決めました。4位までは僅差でしたので立ち位置的にはポイントを獲っておきたかった。来期に向けてもう少し世界ランキングを上げておきたいところでしたが、B級大会は8位だとポイントゼロになります。

 

○佐藤駿選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lz<< <<  5.90   -2.83 3.07 -4.571
2 4T+3T   13.70   1.52 15.22 1.429
3 3A   8.00   1.60 9.60 1.857
4 FCSp3   2.80   0.06 2.86 0.143
5 4T   9.50   2.85 12.35 3.000
6 CSSp4   3.00   0.84 3.84 2.714
7 3A+2T   10.23 x 1.76 11.99 2.286
8 3F!+1Eu+3S ! 11.11 x 0.00 11.11 0.000
9 3Lo   5.39 x 1.27 6.66 2.571
10 StSq3   3.30   0.66 3.96 2.000
11 ChSq1   3.00   0.80 3.80 1.714
12 CCoSp3V   2.25   0.32 2.57 1.429
  TES   78.18   8.85 87.03  

佐藤駿選手、フリーは4回転ルッツ決まらず。まだこれまでショートフリーで2本の4回転ルッツを決めた試合はありません。

4回転は3本。今シーズンは結局ルッツとトーループの2種類でした。フリップは昨シーズンフランス杯のフリーで!ながらもGOEプラスで決めたことがあります。サルコウは19年のジュニアグランプリでGOEマイナスながら降りたことはあります。ジャンプでアピールしたいなら4回転は3種類以上欲しいところですし、2種類でもノーミスで270点台半ばまで見えてきたので4種類入ると300点近いところまで見えることになります。

フリーはスピンレベル4が1つ、ステップもレベル3 今回の試合でスピンのスコアは19.78でジュニアに上がって以降の国際大会最低でした。B級大会なのでそういう細かいところは試合の結果に影響してませんが、大事な大会ではもう少し欲しいところかと思います。

 

○山本草太選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   1.94 11.64 2.143
2 4T< F 7.60   -3.80 3.80 -5.000
3 2T+2T   2.60   0.05 2.65 0.429
4 3A+1Eu+3S   12.80   1.44 14.24 1.714
5 FCSp4   3.20   0.64 3.84 1.857
6 StSq3   3.30   0.86 4.16 2.429
7 3A   8.80 x 0.96 9.76 1.143
8 3F+3T   10.45 x 0.64 11.09 1.286
9 3Lz   6.49 x 1.06 7.55 1.714
10 ChSq1   3.00   1.70 4.70 3.429
11 CSSp4   3.00   0.96 3.96 3.143
12 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.571
  TES   74.44   7.36 81.80  

本草太選手はフリーはトーループがいまいち決まらずスコアが伸びませんでした。サルコウは成功。ショートでは逆にトーループをコンビネーションで決めてサルコウが決まらずでした。なんだかんだでトリプルアクセル以降はしっかり決めています。スピンはショートフリーきっちりすべてレベル4 ステップもレベル4取れるといいのですがそこはレベル3でした。

後半の8つ目の要素で3F+3T ここがいつも問題になるところで、標準では3F+2Aにするけれど何らかの予定通りいかない事態により2回飛ぶジャンプが余っているとセカンド3Tを入れてくる、という形になっていて、今回も4回転トーループが入らなかったのでしっかりと余り3Tを使っていました。

 

○壷井達也選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S+3T   13.90   2.91 16.81 2.857
2 4S< F 7.76   -3.88 3.88 -5.000
3 3A+1Eu+2S   9.80   1.44 11.24 1.714
4 FSSp3   2.60   0.52 3.12 1.857
5 StSq3   3.30   0.40 3.70 1.429
6 3Lo   4.90   1.18 6.08 2.429
7 3A F 8.80 x -4.00 4.80 -5.000
8 3F   5.83 x 0.74 6.57 1.429
9 3Lz+2T   7.92 x 1.18 9.10 2.000
10 CCoSp3   3.00   0.60 3.60 1.857
11 ChSq1   3.00   0.60 3.60 1.286
12 FCCoSp3   3.00   0.42 3.42 1.286
  TES   73.81   2.11 75.92  

ショート出遅れてのフリー。冒頭の4回転-3回転は見事に決めたのですが、2本目が決まらず。そのまま立て直しきれず終わった形でした。

4回転は1種類2本。国際大会で4回転2本を入れたのは初でしたが決めきれませんでした。こういう試合で試すにはいいチャレンジだったとは思うのですが残念でした。

基礎点は73.81 2本目の4回転を回転不足なく跳べれば75.75まで出ます。3連続のサルコウも本来は3回転にしたいところでそれが入れば78.75まで。後は3つのスピンがレベル3、ステップもレベル3 これらをレベル4まで出来ると80.75と基礎点80点台に乗せられます。ノーミスで基礎点80点が出る構成までは持ってこられました。

今期の国際大会はこれで終了。シーズンベスト16位を持っていますが、世界ジュニアと世界選手権を経ても24位以内を守れるかどうか。男子は女子ほど層が分厚くはないので、来期のグランプリ枠は回って来るとは思います。

 

○男子シングルシニア 上位12名 要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Shun SATO 262.20 120.42 97.83 13.13 19.78 11.04
2 Sota YAMAMOTO 245.61 120.42 88.70 0.76 23.51 13.22
3 Matteo RIZZO 228.99 120.50 82.70 -8.42 20.89 14.32
4 Aleksandr SELEVKO 215.94 112.01 72.97 -2.90 22.24 12.62
5 Andrew TORGASHEV 215.86 109.26 77.83 -4.95 22.70 13.02
6 Mark GORODNITSKY 214.10 103.16 73.87 3.96 20.75 12.36
7 Maurizio ZANDRON 212.94 105.10 80.03 -1.99 18.91 11.89
8 Tatsuya TSUBOI 212.34 107.08 87.72 -8.34 19.51 10.37
9 Davide LEWTON BRAIN 203.04 104.00 61.14 4.59 21.12 12.19
10 Valtter VIRTANEN 196.76 104.00 58.12 0.03 22.25 13.36
11 Mihhail SELEVKO 195.53 104.75 75.69 -10.86 20.02 9.93
12 Vladimir SAMOILOV 190.64 103.83 64.92 -7.03 21.10 8.82

PCSは際どくリッツォ選手がトップでしたが、佐藤駿選手、山本草太選手と3人、おおよそ120点で1項目平均8.0を出してきています。

ジャンプの基礎点は佐藤駿選手がトップ。4回転ルッツが効いてますが、フリーではダウングレードになったこともあり基礎点100点に乗りませんでした。2番目が山本草太選手で壷井達也選手も3番目にいます。ミスはありながらもこのレベルの大会だと高い基礎点になってきます。

ジャンプの加点は佐藤駿選手がトップで二桁稼ぎました。2番目にモンテネグロのブライン選手が入っています。ジャンプでGOEプラスにするのはなかなか大変なようです。

スピンは山本草太選手がトップ。23.51は本人比では普通ですが、流石しっかりレベル4を並べています。トルガシェフ選手が2番目。ジャンプで崩れながらもスピンに救われてワールドのミニマムスコアを確保したようなところもありました。佐藤駿選手はジュニア以降のスピン最低スコア、壷井達也選手はシニアに上がってからのスピン最低スコア。この辺もう少し取れるとよいのですが。

ステップ系要素はリッツォ選手がトップでフィンランドのビルタネン選手が2番手でした。あまり今大会はステップでレベル4を取れている選手がいませんでした。

 

○男子シングルジュニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Haruya SASAKI JPN 177.67 63.14 114.53
2 Haru KAKIUCHI JPN 174.15 59.15 115.00
3 Georgii PAVLOV SUI 161.77 56.64 105.13
4 Arthur MAI GER 148.83 56.87 91.96
5 Axel AHMED FRA 145.53 52.78 92.75
6 Jedidiah LINCOLN GBR 137.00 51.94 85.06
7 Robert WILDT GER 123.13 44.66 78.47
8 Alexander VLASCENKO GER 123.05 47.35 75.70
9 Jari KRESTYANNIKOV FIN 119.83 46.99 72.84
10 Dillon JUDGE IRL 98.36 34.20 64.16

ジュニアも日本から佐々木晴也選手が勝ちました。世界ジュニアのミニマム確保、と言いたいところですが、世界ジュニアの開催日が近すぎて、ルール上もうこの試合のスコアはミニマムとして認めてもらえません。元々はババリアンオープン予定でしたが大学のテストの関係で辞退。1月後半はまじめに大学通う国立大生にとってはなかなかハードな時期です。神戸大学の壷井選手と、テスト大変ですよねと話が合ったかもしれません。

2位にも日本から垣内珀琉選手が入りました。ジュニアグランプリシリーズでは178.01は出していたので、そこにはわずかに届かず。ただ、フリーはその時のスコアを上回り、パーソナルベスト相当のスコアではありました。

 

○佐々木晴也選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A<+3T 10.60   -2.69 7.91 -4.200
2 2A   3.30   0.46 3.76 1.400
3 3Lz+1Eu+3Sq q 10.70   -1.42 9.28 -2.400
4 3T   4.20   0.42 4.62 1.000
5 ChSq1   3.00   0.80 3.80 1.600
6 3Lzq q 6.49 x -2.60 3.89 -4.400
7 3Lo+2Aq+SEQ q 9.02 x -1.37 7.65 -2.800
8 CCSp3   2.80   0.06 2.86 0.200
9 3Fe e 4.66 x -1.36 3.30 -3.200
10 FCCoSp2   2.50   0.15 2.65 0.600
11 CCoSp4   3.50   0.21 3.71 0.600
  TES   60.77   -7.34 53.43  

17年のババリアンオープンのアドバンスドノービスクラスに出て以来6年ぶりの国際大会。結果として最初で最後のジュニアカテゴリーでの国際大会となりました。

4回転はなくトリプルアクセル1本構成というのは国内の試合でもいつも組んでいる本人比標準構成ですが、残念ながらそのトリプルアクセルも決まりませんでした。以降のジャンプはqやeが並びながらもなんとか頑張りました、という形で転倒は無し。耐えきっての逃げ切り優勝となっています。

佐々木選手は大学1年生。来期からはシニアに上がります。この構成だとシニアの国際大会は少し辛いですが、全日本ジュニアや全日本で見せてくれたいい演技を、シニアに上がっても見せていただければと思います。

 

○垣内珀琉選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Tq q 9.50   -2.85 6.65 -3.000
2 2A+3T+2T   8.80   0.67 9.47 1.600
3 3Lz+3Tq q 10.10   -1.53 8.57 -2.600
4 FCSp2   2.30   -0.05 2.25 -0.200
5 3F! ! 5.30   -0.11 5.19 -0.200
6 3S   4.73 x 0.60 5.33 1.400
7 2A+2T   5.06 x 0.20 5.26 0.600
8 ChSq1   3.00   0.60 3.60 1.200
9 3Lz   6.49 x 1.06 7.55 1.800
10 CSSp3   2.60   0.21 2.81 0.800
11 CCoSp4   3.50   0.21 3.71 0.600
  TES   61.38   -0.99 60.39  

垣内選手は4回転トーループにチャレンジ。qつきましたが転倒はせずに降りました。平均GOEは-3.000ではありますが、国際大会で転倒無く降りたのは初になりました。

一方で、トリプルアクセルがありません。国内大会含め試合で構成に入れたことはありません。2006年4月生まれの高校一年生。4回転が飛べるようになればトリプルアクセルは時間の問題だと思いますので、ジュニアにいるうちには跳べるようになるのではないかとも思います。

ジャンプの構成としては1.1倍のところがやや弱いです。後半にコンビネーション、セカンド3回転を持ってこられるようになると基礎点はさらに上げやすくなっていくかと思います。

 

○男子シングルジュニア 要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Haruya SASAKI 177.67 93.33 72.46 -13.10 19.27 6.71
2 Haru KAKIUCHI 174.15 82.84 69.29 -0.57 15.29 7.30
3 Georgii PAVLOV 161.77 77.75 61.61 1.84 14.57 7.00
4 Arthur MAI 148.83 81.09 52.33 -7.18 16.87 6.72
5 Axel AHMED 145.53 79.25 46.48 -2.13 15.86 6.07
6 Jedidiah LINCOLN 137.00 76.68 46.57 -8.96 16.19 6.52
7 Robert WILDT 123.13 64.34 44.14 -7.48 17.18 5.95
8 Alexander VLASCENKO 123.05 71.93 38.39 -6.18 14.80 6.11
9 Jari KRESTYANNIKOV 119.83 66.85 46.90 -9.56 14.19 5.45
10 Dillon JUDGE 98.36 55.08 38.83 -11.23 13.94 4.74

PCSは佐々木選手のみが90点台出ています。垣内選手も全体2番目でした。

ジャンプの基礎点は佐々木選手トップ72点台。垣内選手69点台でした。

佐々木選手はジャンプのGOEが-13.10と著しく低いです。qとeのオンパレードはさすがにつらかったでしょうか。

スピンは佐々木選手がトップ。垣内選手は15点台。ショートで1つ零点もありましたし、フリーではGOEマイナスのスピンもありましたし、スピンはかなり苦手です。

ステップ系要素は垣内選手が7.30で全体トップでした。

 

女子のシニアジュニアは表彰台独占、男子はシニアジュニアで1位2位を占めました。日本人だらけのチャレンジカップ。今シーズンはノービスからの派遣がないのが少し残念。お金あるんだから1人2人、ノービスからもご褒美派遣があってもいいんじゃないかなあ、と思いました。