久しぶりに1シーズン通して試合が行われてきての最後のチャンピオンシップ、という形で3月に入ってきました。やたら日本が強い今シーズン。世界ジュニアもそんな形で進んでいきました。
今回はまず女子シングルの振り返りの前半になります。
○女子シングル 上位12名
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Mao SHIMADA | JPN | 224.54 | 71.78 | 152.76 |
2 | Jia SHIN | KOR | 201.90 | 71.19 | 130.71 |
3 | Ami NAKAI | JPN | 197.40 | 67.28 | 130.12 |
4 | Yujae KIM | KOR | 193.62 | 63.97 | 129.65 |
5 | Minsol KWON | KOR | 191.06 | 62.82 | 128.24 |
6 | Xiangyi AN | CHN | 183.94 | 63.91 | 120.03 |
7 | Kimmy REPOND | SUI | 180.32 | 57.96 | 122.36 |
8 | Clare SEO | USA | 172.62 | 58.41 | 114.21 |
9 | Inga GURGENIDZE | GEO | 172.50 | 52.02 | 120.48 |
10 | Kaiya RUITER | CAN | 169.65 | 57.71 | 111.94 |
11 | Lorine SCHILD | FRA | 168.35 | 61.04 | 107.31 |
12 | Niina PETROKINA | EST | 167.48 | 55.67 | 111.81 |
島田麻央選手が今シーズンISU公認の最高スコアで優勝しました。日本女子最年少、という肩書は、生まれたタイミングの問題なだけでジュニア1シーズン目で優勝した選手も他に何人かいますのであまり意味はないような気はしますが、224.54というスコアは日本のジュニアではいまだかつて出したことのないとてつもないスコアでした。史上初の世界選手権より世界ジュニアの優勝スコアの方が上、ということが起きるのが現実味を帯びてきています。
韓国のシンジア選手が2年連続の2位でした。ショートはほぼ同じ構成での勝負なこともあり僅差でしたが、フリーは4回転とトリプルアクセルを下りられてしまうとちょっと苦しいです。それでもしっかり2位を確保。さすがでした。終盤、コレオシークエンスの終わりのところで転倒があったのですが、コレオの評価は+5~-3まで各ジャッジで割れました。コレオの最後に転倒、ととったジャッジと、コレオはしっかり終わって、そのあとのつなぎの中での転倒ととったジャッジに分かれたようです。
日本からもう一人中井亜美選手は3位表彰台に乗りました。中庭先生、ジュニアグランプリファイナルから3つチャンピオンシップ級の試合に帯同して4位4位5位でメダルを照れていなかったのですが世界ジュニアでついに銅メダル確保しました。
4位に韓国からキムユジェ選手。フリーではダブルアクセルにも見えるくらいに気負いのないトリプルアクセルを決めて追い上げましたが届かず4位でした。
5位にはクォンミンソル選手。フリーでは相変わらずの猫っぷりを発揮してパーソナルベスト更新です。
上位は日韓決戦という形で6番目に誰が入って来るか? というのが興味持たれるところだったのですが、ここに中国から安香怡選手が入ってきました。日韓決戦から拡大して、東アジア選手権になっていました。183.94はパーソナルベスト。中国は昨シーズンジュニアシニアの世界選手権を欠場していて、今シーズンは枠がすべて1という状態になっていたわけですが、これにより来期の枠2を確保し、また、ジュニアグランプリシリーズの枠が来季一気に14枠に増えるはずです。
東アジア勢以外ではようやく7位にスイスのレポンド選手が入りました。今季のヨーロッパ選手権3位表彰台の選手。ショートではジャンプがすべてqか<という判定で苦しみました。フリー最終グループにいればもう少し違う展開もあったかもしれません。
北米勢では8位にアメリカのクレアセオ選手が入ってきています。昨年の6位から順位を落としてしまいました。ただ、これでなんとかアメリカは来期の2枠は確保。最低限の結果を残したとも言えます。
トリプルアクセル組のグルゲニゼ選手が9位。ショートプログラムからコンビネーションでトリプルアクセルを入れようとして転倒したのが痛く19位スタートとなりましたが、フリーでは念願のISU公認トリプルアクセルを決め9位まで巻き返しました。この結果、ジョージアも来期2枠を手に入れています。
○上位6選手のショートプログラム
Mao SHIMADA | Jia SHIN | Ami NAKAI | Yujae KIM | Minsol KWON | Xiangyi AN | |
1 | 3Lo | 3Lz+3T | 2A | 2A | 3Lo | 3Lo |
2 | 2A | 2A | 3Lz+3T | 3Lz+3T | 2A | 2A |
3 | LSp4 | FCSp4 | FCSp4 | FCSp4 | FCSp4 | FCSp4 |
4 | 3Lz+3T | 3Lo | CCoSp4 | LSp4 | 3Fq+3T | 3T+3T |
5 | FCSp3 | StSq4 | 3Lo | 3Loq | LSp4 | LSp4 |
6 | StSq4 | CCoSp4 | StSq3 | StSq4 | StSq3 | StSq4 |
7 | CCoSp4 | LSp3 | LSp4 | CCoSp4 | CCoSp3 | CCoSp3 |
Base | 32.21 | 31.79 | 31.49 | 32.09 | 30.85 | 30.24 |
GOE | 8.46 | 8.20 | 5.88 | 3.95 | 3.41 | 6.02 |
PCS | 31.11 | 31.20 | 29.91 | 27.93 | 28.56 | 27.65 |
Total | 71.78 | 71.19 | 67.28 | 63.97 | 62.82 | 63.91 |
ジュニアのショートプログラムは4回転なし。単独トリプルアクセルなし。単独ジャンプはループ固定。ダブルアクセルも固定。リカバリーコンビネーション不可能。ということで上位選手はほぼ同じようなジャンプ構成になります、コンビネーションがフリップからなのクォンミンソル選手、トーループ-トーループなのがアンシャンイー選手です。1.1倍にコンビネーションを置いたのは島田選手とクォンミンソル選手。後半に持ってくる体力的負担もありますが、どちらにしてもリカバリーできないのでシニアよりもジュニアの方が後半に持ってくる合理性はあるかもしれません。
スピンステップオールレベル4はキムユジェ選手だけでした。島田選手でもスピンは1つレベル3です。
島田選手とシンジア選手はPCSもジュニアながら31点台まで出て71点台のスタートとなりました。
○上位6選手のフリー
Mao SHIMADA | Jia SHIN | Ami NAKAI | Yujae KIM | Minsol KWON | Xiangyi AN | |
1 | 3A | 2A | 3A | 3A | 3F+3T | 3Lz |
2 | 4Tq | 3Lo | 3Lz+3T | 3Lz+3T | 3Lo | 3Fq+3Tq |
3 | 3Lz+3T | 3S | 3Lo+2A+SEQ | 3Lo+2T+2Lo | 3F | 3Lo |
4 | FSSp4 | 3F!+2T+2Lo | FSSp4 | 3S | 2A | 2A |
5 | 3F+2A+SEQ | FCSp4 | 2A | FCCoSp4 | FCCoSp4 | FCSp4 |
6 | ChSq1 | 3Lz+3T | 3F+1Eu+3S | 3Lz+2A+SEQ | 2A+3T | 3S+3Tq+2T |
7 | 3S+3T+2T | 3F+2A+SEQ | CCoSp4 | 3Loq | 3Lze+2T+2Lo | 2A+2T |
8 | 3Lo | 3Lz | 3Lo | 2A | 3S | 3S |
9 | 3Lz | CCoSp4 | 3Lz | FCSp4 | ChSq1 | ChSq1 |
10 | CCoSp4 | ChSq1 | LSp4 | ChSq1 | FCSp4 | LSp3 |
11 | LSp4 | FCCoSp4 | ChSq1 | CCoSp4 | CCoSp4 | CCoSp4 |
Base | 71.06 | 61.06 | 64.79 | 62.64 | 57.67 | 56.27 |
GOE | 13.72 | 9.21 | 5.29 | 6.93 | 8.48 | 3.76 |
PCS | 67.98 | 61.44 | 61.04 | 60.08 | 62.09 | 60.00 |
Total | 152.76 | 130.71 | 130.12 | 129.65 | 128.24 | 120.03 |
フリーは基礎点差がはっきり出ています。島田麻央選手がただ一人70点台。これはJGP グダンスクに次いで2度目の71.06で、今シーズン全選手の中で最高基礎点構成です。中井選手はトリプルアクセル入りで64.79 今シーズン3回目の64.79です。これのすごいところは、スピンステップレベル4を保ち、ジャンプで基礎点から減点される回転不足が無い、という試合が国際大会4試合中3試合目、というところにあります。同じくトリプルアクセル入りのキムユジェ選手は基礎点62.64 構成にフリップがないというところで3回転が1本少ない形になり中井選手と差があります。シンジア選手は高難度無しながら61.06まで基礎点があり、これは1.1倍の構成の強さが効いていまし、2回飛ぶジャンプがルッツとフリップなのも大きいです。
上位の選手はGOEもしっかり稼ぎました。中井選手は5.29にとどまっていますが、トリプルアクセル転倒込みでこれですので、他の要素の高い評価が伺えます。島田選手のGEO+13.72は今シーズンこれより高いGOEをISU公認で出した選手は本人以外いない、という高い加点になります。
島田選手のPCS67.98はジュニアとしては突出しています。18年ジュニアグランプリファイナルでコストルナヤ選手が67.29というPCSをもらっていますが、確認できる範囲ではISU公認ではこれまでの最高がそれですので、島田選手の今回のPCSはジュニアカテゴリーでの過去最高スコアとなります。
今回は島田選手以外でもPCS 60点台を最終グループの選手はすべてもらえていて、以前よりはシニア/ジュニアのPCS格差は縮まってきたのかもしれません。
上位5選手はスピンオールレベル4 この辺はきっちり点が取れています。そして、qは散見しますが、<は誰も見当たらないという、ハイレベルな試合になっていました。
次回へ続きます