トリグラフトロフィー 4カテゴリーワンツー

例年日本から多数派遣されているチャレンジカップ。今回も大勢派遣されましたがノービス勢の派遣はなし。シニアジュニアに留まりました。

1つのエントリーでまとめるはずだったのですが、派遣選手多数で文量が増えたので男女で分けます。まずは女子から。

 

○女子シングルシニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Hana YOSHIDA JPN 211.46 69.79 141.67
2 Yuna AOKI JPN 185.92 57.22 128.70
3 Ginevra NEGRELLO ITA 158.41 54.41 104.00
4 Elena AGOSTINELLI ITA 152.54 50.98 101.56
5 Julija LOVRENCIC SLO 142.64 43.51 99.13
6 Kristina GRIGOROVA BUL 140.05 44.48 95.57
7 Daria ZSIRNOV HUN 126.32 42.28 84.04
8 Marina NIKOLOVA BUL 100.28 36.23 64.05
9 Manca KRMELJ SLO 96.77 34.30 62.47
10 Elisavet VOULGARI GRE 90.64 24.82 65.82
11 Alja RESMAN SLO 81.99 24.25 57.74

女子のシニアは11人が出場。吉田陽菜選手が圧勝でした。昨年4月はエーニャスプリングトロフィーでしたが、ちょうど1年ぶりにシニアの国際大会に優勝した形です。1年前は210.77でしたのでスコアもちょうどそれくらいでした。

4年ぶりの国際大会となった青木祐奈選手が2位。ISU非公認ですがパーソナルベスト相当のスコアです。これで、おそらく来期のグランプリシリーズのミニマムスコア相当は確保されたと思われます。展開次第でNHK杯の地元枠チャンスがありますし、あるいはチャレンジャーシリーズからの渡辺倫果コースもあり得るわけですが、その足掛かりをしっかり作ることが出来ました。

 

○吉田陽菜選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   2.67 10.67 3.600
2 2A+3T   7.50   1.26 8.76 3.000
3 3Lo   4.90   1.31 6.21 2.800
4 CCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.600
5 SSp4   2.50   0.75 3.25 3.000
6 3F   5.30   1.06 6.36 2.000
7 3Lz F 6.49 x -2.95 3.54 -5.000
8 FCCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
9 3Lzq+3T q 11.11 x -0.39 10.72 -0.800
10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
11 StSq3   3.30   0.77 4.07 2.400
12 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 1.00 10.79 2.400
  TES   68.89   8.61 77.50  

現代のレイア姫トリプルアクセルを飛びます。しばらく言えて無かったですが久しぶりに言えました。平均GOE+3.600の高評価。これは今季のトリプルアクセルの中で最高評価となりました。今シーズントリプルアクセルでGOEプラスの成功ジャンプを決めたのは6 人いましたが、結局ショートフリー同じ試合で2本決めたのは今回の吉田陽菜選手だけとなりました。ほとんどジュニア選手が決めているのでそんなことになっています。

もったいなかったのはルッツジャンプ。今回はショートもqついてセカンドは<ということで3つのルッツがすべてマイナス評価になりました。今回の採点基準ならノーミスでフリー150点出ますし、トータルでは世界選手権の優勝スコアくらいは出ます。

今大会ジャンプで得たスコア80.59は今シーズンのシニアの中では最高スコアでした。

あとはこれが大きな試合で決まれば、といったところ。ジュニアグランプリファイナルや4大陸選手権で決めてきたいところでしたし、あるいは全日本で決めていれば世界選手権代表になっていたかと思われます。大事な試合で決められるか。来期求められるところとなります。

来期はグランプリシリーズ2枠もらえるかどうか。シーズンベストが高いので2枠回ってきそうな気はしますが、世界ランクはこの優勝含めてもまだそれほど高くないので、樋口選手、紀平選手が2枠取ると、1枠しか回ってこない可能性もあります。

 

○青木祐奈選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.77 4.07 2.200
2 3Lz+3Lo   10.80   0.98 11.78 1.400
3 3S   4.30   0.72 5.02 1.400
4 CCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.200
5 3T   4.20   0.42 4.62 1.000
6 ChSq1   3.00   1.33 4.33 2.600
7 2A+1Eu+2F   6.16 x 0.55 6.71 1.800
8 3Lz   6.49 x 0.59 7.08 1.200
9 3F+2T   7.26 x 0.53 7.79 1.000
10 FCSp4   3.20   0.32 3.52 1.200
11 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.800
12 LSp3   2.40   0.56 2.96 2.400
  TES   57.91   8.47 66.38  

見た目ノーミスの好演技でした。ショートでは冒頭に曲がちゃんとかからないというトラブルが。4年ぶりの国際大会で何てことしてくれるんだという感じでしたがその影響もあってかルッツで転倒、納得いかない演技となっていました。それをフリーは素晴らしい演技でした。3Lz+3Loをきれいに成功。今シーズンはレビト選手に続いて2人目の成功者です。

見た目ミスはないのですが、3連続ジャンプは本来は3回転フリップを入れたいところでした。そこまで入っていれば130点台に乗ったはずです。スピンステップをレベル4取るところまで行ってのショートフリーノーミスなら200点が見える、というくらいのところにいるようです。

大学4年生になりました。ノービス時代の天才がここにきて復活基調。来期もチャレンジャーシリーズの派遣までは固いです。でも、大学4年生。その次のシーズンをどう考えるか? 世の大学4年生は就活真っ盛り、あるいは内定取得済みなわけですが。非常に迷いが生じるタイミングで国際大会に復帰してきました。外野としては、とりあえず大学院でお願いします、と気軽にいってしまいたくなります。

 

○男子シングルシニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Nozomu YOSHIOKA JPN 238.36 82.42 155.94
2 Sumitada MORIGUCHI JPN 232.79 79.47 153.32
3 Gabriele FRANGIPANI ITA 217.82 70.11 147.71
4 Emanuele INDELICATO ITA 180.94 62.84 118.10
5 Georgii RESHTENKO CZE 176.75 57.80 118.95
6 David SEDEJ SLO 169.15 59.36 109.79
7 Joseph ZAKIPOUR GBR 129.90 43.74 86.16

男子シニアは7人が出場。エントリーは8人いたのですが、滑ったのが7人だとポイントはいらなかったはずです。残念。

吉岡希選手が実質的なシニアの国際大会デビュー戦でしっかり優勝しました。パーソナルベスト相当のスコアです。来期に弾みがつく結果となりました。

森口澄士選手が2位。こちらは国際大会デビュー戦? ペアでは出てますけど。1シーズンの間に2種目で国際大会に出場する、というのは私が知る限り初めての出来事かと思われます。きちんと結果を出したのですが、ポイントはいらないのはもったいなかったです。ただ、森口選手も来期のNHK杯地元枠チャンスがある選手かと思うのですが、グランプリシリーズのミニマムスコアはおそらくこれでクリアになるはずです。

3位にイタリアのフランジパーニ選手が入りました。ショートで転倒あり、フリーではなぜか2回飛ぶジャンプ3種類目でルッツが零点になったりとさえない試合展開でスコア伸びませんでした。

 

○吉岡希選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   1.90 11.40 2.200
2 3F+3T   9.50   0.18 9.68 0.200
3 3A   8.00   1.60 9.60 2.200
4 FSSp2   2.30   -0.46 1.84 -1.600
5 3Lo   4.90   0.65 5.55 1.400
6 ChSq1   3.00   0.50 3.50 1.200
7 3A+1Eu+3S   14.08 x 1.07 15.15 1.400
8 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 0.59 10.71 1.200
9 StSq3   3.30   0.66 3.96 2.000
10 3F   5.83 x -1.24 4.59 -2.200
11 CCSp3   2.80   -0.19 2.61 -0.600
12 CCoSp4   3.50   0.58 4.08 1.800
  TES   76.83   5.84 82.67  

4回転は1本にしましたがしっかり決めました。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルフリップ。コンビネーションも3T、2Aが入っての3連3Sでジャンプの基礎点は高く獲れるように組まれています。

課題は、スピンのレベルがなかなか取れていません。スピンでGOEがマイナスが頻発するというのも珍しいタイプです。上位と戦うには加点ももう少し欲しいでしょうか。1つ1つの要素の完成度を上げていくことがこの先にシニアで戦っていくところでは求められるのかと思われます。

吉岡選手は世界ジュニア表彰台があるので来期のグランプリシリーズ1枠は確定です。今大会の238.36はシーズンベスト22位相当のスコアですが、ISU非公認なのでカウントしてもらえません。2枠目もらえるかどうか。NHK杯地元枠を森口選手などと奪い合う展開になるか。

ジャンプを極めていく方向なのか、スピンや滑り全体のレベルを上げていく方向も目指すのか、どう進むのかわかりませんが、シニアに上がっても活躍を期待します。

 

○森口澄士選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
2 3F! ! 5.30   -1.24 4.06 -2.400
3 3Lo   4.90   1.31 6.21 2.800
4 FCSp4   3.20   0.75 3.95 2.400
5 3F!+2T ! 6.60   0.53 7.13 1.000
6 ChSq1   3.00   1.33 4.33 2.800
7 3S+2A+2A+SEQ   11.99 x 0.86 12.85 2.000
8 3Lz   6.49 x -0.39 6.10 -0.800
9 3Lz+2T   7.92 x 1.38 9.30 2.200
10 CSSp3   2.60   0.26 2.86 0.600
11 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.600
12 CCoSp2V   1.88   0.38 2.26 2.000
  TES   65.18   7.65 72.83  

国際大会デビュー戦、大きなミスなく滑りました。一人で立つ国際舞台はどんな気分だったでしょう。観客ほぼいないので特に緊張もなかったかもしれませんが。海外遠征はしょっちゅうしてますし、そこは初ではないので、特にデビュー戦もなにもなかったかもしれません。

4回転は無し。トリプルアクセルも1本だけでした。3連続は3S+2A+2A ペアのときの3S+3T+2Aより難易度下げてます。というわけで3T余りました。本来はルッツの後ろは3Tにするはずだったと思われます。

今期はジュニアとしてのペアで活躍した森口選手ですが、この4月で大学4年生になりました。シングルとしては十分にシニアの年齢です。ペアは村上選手と組む限りここから3シーズン国際大会に出られません。試合に出られないまま24歳になるのはつらい。それ以降を見越して活動を続けるには、シングルで継続的に活躍していたいところです。来期はチャレンジャーシリーズは確定的だと思いますが、運が良ければグランプリシリーズ地元枠回って来るかどうか。来期も国際舞台での活躍を期待したいです。島田麻央選手より森口選手の方が、年齢制限の影響大きいのかも、と思ったりしますが、カップル競技は資金さえ続けばシングルより競技人生長い傾向もあるので頑張ってほしいです。

 

○ 女子シングル ジュニア(上位8名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mao SHIMADA JPN 212.32 72.90 139.42
2 Haruna MURAKAMI JPN 183.71 63.16 120.55
3 Sara FRANZI SUI 170.94 60.71 110.23
4 Chiara MINIGHINI ITA 153.20 58.88 94.32
5 Giulia BARUCCHI ITA 146.70 50.80 95.90
6 Olivia LENGYELOVA SVK 144.94 54.06 90.88
7 Gioia FIORI ITA 139.21 47.22 91.99
8 Zoja KRAMAR SLO 131.43 46.08 85.35

女子のジュニアは32選手出場していました。

なぜこんな時期にこんなところに、な島田麻央選手の圧勝でした。ジュニアルールでショートは72.90を出しています。

2位にはシングルでは国際大会初出場の村上遥奈選手。183.71は今シーズンの日本のジュニアでは国際大会6番目のスコアになります。来期もジュニアに残るであろう選手の中では4番目。3番目の柴山歩選手で188.39がありますがそれとも勝負できる領域です。

 

○島田麻央選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq q 8.00   -3.20 4.80 -3.800
2 3F   5.30   1.24 6.54 2.400
3 3Lz+3T   10.10   1.57 11.67 2.600
4 FSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
5 2A+2A+SEQ   6.60   0.99 7.59 2.800
6 ChSq1   3.00   1.67 4.67 3.400
7 3S+3T+2T   10.78 x 1.29 12.07 2.800
8 3Lo   5.39 x 0.98 6.37 1.800
9 3Lz   6.49 x 1.57 8.06 2.800
10 CCoSp4   3.50   1.75 5.25 4.800
11 LSp4   2.70   1.08 3.78 4.200
  TES   64.86   9.84 74.70  

今回はトリプルアクセル決まりませんでしたが基礎点満額で転倒していませんのでスコア的には飛んだ価値があります。4回転トーループは回避です。

他のジャンプはクリーンに成功。2A+2Aという、え? というちょっと意外な構成を組んでいました。従来はここに3F+2Aがいたのですが、4Tのところに単独で3F入れた関係でこうなったようです。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループなのは従来通りです。

10番目の要素、CCoSp チェンジフットコンビネーションスピンは5人のジャッジのうち4人が満点をつけたのでスコアとしては満点となりました。一番得意で高評価の多いスピンですが、満点は初めてです。

島田選手は3月の終わりからスターズオンアイスで大阪、欧州、横浜と回ってすぐにこの試合に飛んできたようで、新学期学校行ってます? みたいなハードスケジュールでの試合でしたが、正直なところ、そこまでして出る試合でもないような、ジュニアはポイントも入らないし・・、と思ったりもしました。4回転回避は疲れもあったでしょうか。

来期は世界ジュニアの2連覇目もありますが、全日本初制覇も狙うシーズンになるのかと思われます。他人との戦いよりも、トリプルアクセルと4回転をどうそろえるか、という戦いの方が難しいでしょうか。アリサリュウ選手はやめてしまったし、ロシアは…だし、トリプルアクセルと4回転の併用を安定して出来る選手がいないわけですが、何とか決めていく姿を見たいです。

 

○村上遥奈選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   0.59 10.69 1.000
2 3F   5.30   1.06 6.36 2.000
3 2A   3.30   0.77 4.07 2.400
4 3Lzq q 5.90   -0.59 5.31 -1.000
5 LSp3   2.40   0.72 3.12 3.200
6 3S+3T   9.35 x 1.29 10.64 3.200
7 FSSp3   2.60   0.43 3.03 1.600
8 3Lo   5.39 x 0.33 5.72 0.800
9 2A+2T+2Lo   6.93 x 0.33 7.26 1.200
10 ChSq1   3.00   1.17 4.17 2.400
11 CCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.400
  TES   57.77   6.92 64.69  

国際試合には慣れている国際試合デビュー戦の村上選手。本人比でもこんなに観客の少ない試合はなかなか無いでしょうから、そういった方向での緊張も特になく、気分よく滑れたんでしょうか。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。しっかり7本3回転を飛んでいるのですが基礎点は57.77 ステップでレベル3取れるとしてシニアルールで61点に乗るかどうか位の基礎点です。スピンのレベルの取りこぼしと1.1倍にルッツもフリップもいない構成なあたりが効いています。

ルッツにqがついてGOEマイナスになりましたがそれ以外はプラス評価。3S+3Tは+3.200の高評価でした。ただ、やはり他の要素では+1台から2台あたりであり、この辺でどうしても島田選手とは差が出ます。

村上選手は来期おそらくジュニアグランプリシリーズにシングルとして派遣されることが見込まれます。世界的には確認できていませんが、日本では初の、ジュニアグランプリ2種目出場となります。千葉選手、吉田選手がシニアに上がれば、シングルでもジュニアの中では3~6番手あたりの1人になってきます。世界ジュニアは3枠ある。世界ジュニアに2種目で出場経験を持つといういまだかつて聞いたことなければ2年くらい前なら考えたこともない選手になる可能性も出てきました。

 

○男子シングルジュニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Shunsuke NAKAMURA JPN 197.43 74.67 122.76
2 Rio NAKATA JPN 184.45 65.42 119.03
3 Tobia OELLERER AUT 144.18 49.71 94.47
4 Tommaso BARISON ITA 135.72 55.16 80.56
5 Valerii KARASOV UKR 131.89 45.66 86.23
6 Mahery RANDRIANARIVONY ESP 130.01 43.68 86.33
7 Daniel RUIS AUT 113.22 42.91 70.31
8 Oliver GUIU ESP 97.70 34.44 63.26

男子のジュニアは8名の出場です。

中村俊介選手がしっかり優勝しました。ショートフリー共に1位。ただ200点には届きませんでした。

ジュニア1年目の中田璃士は2位。ジュニアグランプリ2戦では200点に届いていたのですがこちらもスコア的には伸びなかった形です。

 

中村俊介選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Tq q 9.50   -2.85 6.65 -3.200
2 4Tq+COMBO+2T* * 9.50   -4.43 5.07 -4.600
3 3A+2T   9.30   -1.33 7.97 -1.800
4 FCSp3   2.80   0.09 2.89 0.200
5 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
6 3F   5.83 x 0.71 6.54 1.400
7 ChSq1   3.00   0.50 3.50 1.000
8 CSSp3   2.60   0.17 2.77 0.800
9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.18 12.95 2.000
10 1A   1.21 x -0.33 0.88 -2.800
11 CCoSp4V   2.63   0.09 2.72 0.000
  TES   63.04   -5.22 57.82  

4回転2本を構成に組み入れてどちらも転倒無く基礎点満額は入りましたがGOEは大きくマイナスでした。4回転を2本入れたのは初です。また、今期の国際大会ではすべて4回転は転倒でしたのでそれらと比べるとだいぶ良かったことになります。

ただ、4回転のところでコンビネーションをしっかりと入れられなかったこと、アクセルが1回転になったこと、さらにはスピンでレベルが取れていないことにより基礎点は63.04に留まりました。

中村選手は今季、ジュニアグランプリファイナル4位、全日本ジュニアも4位。世界ジュニアには出られませんでした。2005年8月生まれの17歳、高校3年生。来期シニアに上がることは出来ますが、この時期にジュニアの試合に出ているということは来期もジュニアで間違いないと思われます。今季の日本の上位のジュニアは来期はシニアに上がっていきます。世界ジュニアに出ていた三浦佳生選手は高校3年生ですが、流石に来期に世界ジュニアは出てこないでしょう。ということで、順番からすると来期の世界ジュニア代表最有力は中村選手ということになります。順当に代表の座を掴めるでしょうか。

 

○中田璃士のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2T   1.30   0.04 1.34 0.400
2 3A+1Eu+3S   12.80   1.60 14.40 2.000
3 FCSp4   3.20   0.53 3.73 1.600
4 3Lz!+3T ! 10.10   -0.20 9.90 -0.600
5 3F   5.30   0.53 5.83 1.000
6 2A   3.63 x -0.66 2.97 -1.800
7 CSSp4   3.00   0.10 3.10 0.200
8 2S   1.43 x -0.43 1.00 -3.400
9 ChSq1   3.00   0.50 3.50 0.800
10 3T+2A+SEQ   8.25 x 0.42 8.67 1.000
11 CCoSp4   3.50   0.35 3.85 1.000
  TES   55.51   2.78 58.29  

冒頭、4回転トーループチャレンジ。これまでおそらく1度も試合では試みたこともなかったと思います。トリプルアクセルは成功。ショートフリー共にGOEプラス評価を受けたのは国際大会では初・また、コンビネーションで入れてきたのは国内外通じて初でした。まだ1本しかいれていませんが、3連続で構成に入れているということは問題なく跳べるジャンプになっている、ということかと思われます。単独ダブルアクセルはダブルを目指して飛んだように見えたので、まだトリプルアクセル2本は入っていないようですが、2本入る日も近いでしょうか。

3Lz+3Tがルッツ!ながら入っていました。これまでコンビネーションはショートもそうですが3T+3Tでした。そもそもルッツを3回転で着氷したこと自体が国際大会では初です。

2回飛ぼうとしているジャンプはサルコウトーループなあたりジャンプはまだまだ感があるのですが、直近の全日本以前の構成と比べてこの試合はジャンプの構成が格段に上がっていました。身長伸びた? という風にも見えましたし、年齢的に体力もついてきて、ジャンプの能力が上がってきているのかもしれません。

来期はジュニア2シーズン目。今季は全日本ジュニア5位で1,2,3位の3人は来期強制シニア。ジャンプの構成も上がってきていますし、世界ジュニアが見えてきたように感じました。

 

今大会はアドバンスドノービスの試合も行われましたが日本からの派遣はありませんでしたので省略します。今季はノービスの海外派遣が無し。そこは少し残念でした。

これで、日本勢、あるいは世界も有力選手の今シーズンは終わったと言えると思います。今季はロシアなし。一方、久しぶりにジュニアグランプリシリーズに日本から派遣がありましたし、大きな試合の中止というのはありませんでした。紛争余波でアルメニアのジュニアグランプリが中止というのはありましたが、主要大会ではそれくらいです。

主要大会で勝ちすぎて日本勢強すぎ問題、というのも少し見えましたが、国別対抗戦では3位に終わるなど、なんだそんなにあまくはないじゃないですかやっぱり、と残念なようなほっとしたような、そんなシーズンでもありました。

 

紀平選手、鍵山選手をはじめとしてケガで苦しんだ選手もいました。何とか勝ち切りましたが宇野選手もケガ。怪我で苦しむ姿を見るのはやはりつらいですね。シーズンオフ、無理せず、皆、ケガから回復した姿を来シーズン見られることを期待して、終わりたいと思います

 

今期の試合レビューはこれで終わりです。

選手別シーズンレビュー、を今シーズン分もそのうち出せたらいいなと思っています